JP4515709B2 - 粘着剤組成物および粘着テープ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は粘着剤組成物に関し、より詳細には粘着テープまたはシートの側面における粘着剤のはみ出しや、打抜き加工などの加工時における刃物への粘着剤の付着などが抑制または防止され、且つ優れた接着力を有する粘着剤組成物および粘着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、基材がポリ塩化ビニル系樹脂組成物からなっているポリ塩化ビニル系粘着テープまたはシート(以下、単に粘着テープとも言う。)では、粘着成分としてスチレン−ブタジエンゴム(以下、「SBR」と称す。)を含有する粘着剤が用いられており、該SBRは低吸水性や耐老化性に優れているが、粘着性や凝集性がやや低いという一面を有しているため、SBRと天然ゴムとの混合物を粘着成分とする粘着剤が広く用いられている(非特許文献1参照)。市販されているSBRには各種グレードがあり、そのグレードによってはSBRの凝集力不足による粘着テープの側面における粘着剤のはみ出し(糊はみ出し)や、打抜き加工等の加工時における刃物への粘着剤の付着(糊取られ)が発生する場合がある。このため、選択できるSBRのグレードが制限され、これが粘着剤のコストダウンの大きな障害になっている。
【0003】
【非特許文献1】
日本粘着テープ工業会粘着ハンドブック編集委員会編集「粘着ハンドブック(第2版)」日本粘着テープ工業会、1995年10月12日、p.461−467
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、粘着剤の粘着成分として各種グレードのSBRを用いても、粘着テープまたはシートの側面における粘着剤のはみ出しや、打抜き加工などの際における刃物への粘着剤の付着が抑制または防止され、且つ粘着力に優れた粘着剤組成物および粘着テープを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで前記目的を達成するために、本発明において、粘着剤組成物としてSBRにイソシアネート系化合物およびポリヒドロキシアルキルアミン系化合物を組み合わせて用いることで、その擬似架橋効果により、凝集力を上げる効果が増大するとの知見を得た。その結果、粘着テープまたはシート側面における粘着剤のはみ出しや、打抜き加工などの加工時における刃物への粘着剤の付着を抑制または防止する効果が格段に向上することを見出し、本発明における粘着剤組成物および粘着テープを完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明はSBRを粘着成分の必須成分として含有し、且つイソシアネート系化合物およびポリヒドロキシアルキルアミン系化合物を含有する粘着剤組成物および粘着テープを提供するものである。
【0007】
本発明における前記イソシアネート系化合物の割合としては、粘着成分100重量部に対して0.1〜40重量部であることが好ましく、前記ポリヒドロキシアルキルアミン系化合物は、当該ポリヒドロキシアルキルアミン系化合物の水酸基含有量(I)(モル)と当該イソシアネート系化合物のイソシアネート基含有量(II)(モル)が下記式(1)の関係を有するように含有されていることが好ましい。
(II)/(I)=0.01〜100 (1)
【0008】
また、本発明における前記粘着成分はSBRおよび天然ゴムの混合物であることが好ましく、SBRと天然ゴムの割合としてはSBR/天然ゴム=10/90〜90/10(重量比)であることが好ましい。
【0009】
さらに、本発明は、基材の少なくとも片面に前記粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着テープに関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、SBRを粘着成分の必須成分として含有し、さらに前記粘着成分に対し、イソシアネート系化合物およびポリヒドロキシアルキルアミン系化合物を組み合わせた粘着剤組成物に関するものである。本発明における前記粘着剤組成物は粘着成分にSBRを必須成分として含有し、さらにイソシアネート系化合物およびポリヒドロキシアルキルアミン系化合物を組み合わせて用いているので、その擬似架橋効果によって凝集力が著しく向上することで、前記SBRが各種グレードのSBRであっても粘着テープまたはシートの側面における粘着剤のはみ出し(糊はみ出し)や、打抜き加工などの加工時における刃物(加工刃)への粘着剤の付着(糊取られ)を抑制または防止することができる。しかも、前記粘着剤組成物は粘着特性の低下を引き起こさず、粘着剤本来の粘着性およびタック性を保持している。
【0011】
本発明の粘着剤組成物(感圧接着剤)は、粘着成分に必須成分としてスチレン−ブタジエンゴム(スチレン−ブタジエン共重合体:SBR)を含有している。
【0012】
本発明で使用される前記SBRとしては、公知ないし慣用のSBRを用いることができ、また、SBRにおけるモノマー成分としてのスチレンとブタジエンとの割合としては、特に制限されない。さらに、該SBRの種類またはグレードについても特に限定されるものではなく、各種グレードのSBRを用いることができる。具体的には、例えば、商品名「SBR1013S」(シェル社製)、商品名「SBR1502」(JSR社製)、商品名「SBR1502」(日本ゼオン社製)などを使用することができる。SBRは同一のグレードのみを用いても異なるグレードの混合物でも良い。
【0013】
本発明において粘着成分はSBRのみから構成されていても良いし、SBRに他の粘着成分を混合して用いても良い。本発明におけるSBR以外の他の粘着成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソブチレン、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体などの合成ゴム、アクリル系重合体やウレタン系重合体、シリコーン系重合体から選定される。このようなSBR以外の他の粘着成分は単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。SBRに他の粘着成分を混合する場合、SBRの含有割合は、粘着成分全量(SBRとSBR以外の他の粘着成分から構成される)に対して10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは30〜70重量%である。SBRの含有割合が10重量%未満の場合、十分な耐老化性が得られにくくなる傾向となり、あるいは90重量%を超える場合、SBR以外の他の粘着成分を混合した効果が得られにくい傾向となる。中でも、本発明において、SBRに混合する他の粘着成分としては、粘着特性の点からは天然ゴムが好ましい。また、該粘着成分におけるSBRと天然ゴムの含有割合は特に制限されるものではないが、例えば、SBR/天然ゴム=10/90〜90/10(重量比)、好ましくは20/80〜80/20の範囲から選択することができる。該粘着成分に含まれるSBR/天然ゴムの比が10/90(重量比)より少ないと、十分な耐老化性が得られにくくなり、一方、90/10(重量比)より多いと、十分なタック性、粘着力が得られにくくなる。
【0014】
また、本発明における粘着剤組成物には、前記粘着成分と共に、イソシアネート系化合物およびポリヒドロキシアルキルアミン系化合物が含まれている。
【0015】
該イソシアネート系化合物としては公知ないし慣用のイソシアネート系架橋剤を好適に用いることができる。イソシアネート系化合物には脂肪族ポリイソシアネート系化合物、脂環式ポリイソシアネート系化合物、芳香族ポリイソシアネート系化合物、芳香脂肪族ポリイソシアネート系化合物などが含まれる。イソシアネート系化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0016】
脂肪族ポリイソシアネート系化合物には、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート系化合物などが含まれる。
【0017】
脂環式ポリイソシアネート系化合物には、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート系化合物などが含まれる。
【0018】
芳香族ポリイソシアネート系化合物には、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4、4´−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、2,2´−ジフェニルプロパン−4,4´−ジイソシアネート、3,3´−ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、4,4´−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5´−ジイソシアネート、3,3´−ジメトキシジフェニル−4,4´−ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート系化合物などが含まれる。
【0019】
芳香脂肪族ポリイソシアネート系化合物には、例えば、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート系化合物などが含まれる。
【0020】
また、イソシアネート系化合物としては、前記例示の脂肪族ポリイソシアネート系化合物、脂環式ポリイソシアネート系化合物、芳香族ポリイソシアネート系化合物、芳香脂肪族ポリイソシアネート系化合物による二重体や三重体、反応生成物または重合物(例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの二重体や三重体、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネートなど)なども用いることができる。
【0021】
本発明における粘着剤組成物に含まれる前記イソシアネート系化合物の割合としては、特に制限されるものではないが、例えば、粘着成分の合計量100重量部に対して0.1〜40重量部、好ましくは0.5〜20重量部、さらに好ましくは1〜10重量部の範囲から選択することができる。含有するイソシアネート系化合物の割合が、粘着成分100重量部に対して0.1重量部未満であると、イソシアネート系化合物と共にポリヒドロキシアルキルアミン系化合物を添加しても前記粘着成分の凝集力を高める効果がほとんど見られず糊はみ出し防止性が低下する傾向となり、40重量部を超えると、粘着力が低下する傾向にあり好ましくない。
【0022】
また、本発明で使用されるポリヒドロキシアルキルアミン系化合物は、1分子中に2個以上のヒドロキシル基(アルコール性水酸基)を有しているアミン系化合物であれば特に制限されない。また、該アミン系化合物の分子内に含まれる窒素原子の数も特に制限されない。該アミン系化合物は単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。例えば、分子内に窒素原子を1個有するアミン系化合物としては、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルジイソプロパノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−エチルジイソプロパノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−ブチルジイソプロパノールアミンなどのジアルコールアミン類;トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのトリアルコールアミン類などが挙げられる。
【0023】
また、分子内に窒素原子を2個有するアミン系化合物としては、下記式(2)で示されるようなアミン系化合物が挙げられる。
【0024】
【化1】
Figure 0004515709
(式(2)において、R1、R2、R3、R4は、同一または異なって、それぞれ水素原子または[―(R5O)m(R6O)n―H]を示す。ここで、R5、R6は異なって、それぞれアルキレン基を示す。m、nは0以上の整数であり、同時に0にはならない。また、R1、R2、R3、R4のうち少なくとも2つは[―(R5O)m(R6O)n―H]である。さらに、Xは2価の炭化水素基を示し、pは1以上の整数である。)
【0025】
式(2)において、R5、R6のアルキレン基としては、例えば、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン基などの炭素数2〜6程度のアルキレン基、好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基、さらに好ましくは炭素数2または3のアルキレン基が挙げられる。該アルキレン基は直鎖状および分岐鎖状のいずれの形態を有していてもよい。R5、R6のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基を好適に用いることができる。
【0026】
また、m、nは0以上の整数であれば特に制限されないが、例えば、m、nのうち少なくとも一方が0〜20、好ましくは1〜10程度の範囲から選択することができる。m、nとしてはどちらか一方が0であり、他方が1以上の整数(特に1)である場合が多い。なお、mとnとは同時に0にはならないが、mとnとが同時に0となる場合は、かかるR1〜R4は水素原子を示すことになる。
【0027】
ここで、Xは2価の炭化水素基を示している。2価の炭化水素基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基などが挙げられる。該Xのアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状であってもよい。また飽和、不飽和のいずれであってもよい。Xのアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン基などの炭素数1〜6程度のアルキレン基、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基、さらに好ましくは炭素数2または3のアルキレン基などが挙げられる。また、シクロアルキレン基としては、例えば、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基などの5〜12員環程度のシクロアルキレン基などが挙げられる。アリーレン基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基などを用いることができる。
【0028】
また、pは1以上の整数であれば、特に制限されないが、例えば1〜10の整数程度の範囲から選択することができ、好ましくは1〜6の整数、さらに好ましくは1〜4の整数である。
【0029】
より具体的には、前記式(2)で表されるアミン系化合物としては、例えばN,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)トリメチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)トリメチレンジアミンの他、エチレンジアミンのポリオキシエチレン縮合物、エチレンジアミンのポリオキシプロピレン縮合物、エチレンジアミンのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物などのアルキレンジアミンのポリオキシアルキレン縮合物などを例示することができる。このようなアミン系化合物としては、例えば、商品名「EDP−300」、商品名「EDP−450」、商品名「EDP−1100」、商品名「プルロニック」(以上、旭電化工業社製)などの市販品を利用することができる。
【0030】
なお、本発明における粘着剤組成物としては、前記アミン系化合物とともに、ヒドロキシル基以外の他の反応性官能基を複数有するアミン系化合物を併用することも可能である。
【0031】
また、本発明における粘着剤組成物に含まれる前記ポリヒドロキシアルキルアミン系化合物の割合としては、特に制限されるものではないが、例えば、前記ポリヒドロキシアルキルアミン系化合物の水酸基含有量(I)(モル)と前記イソシアネート系化合物のイソシアネート基含有量(II)(モル)との関係が(II)/(I)=0.01〜100を満たすように適宜添加されることが好ましく、好ましくは(II)/(I)=0.5〜50、さらに好ましくは(II)/(I)=0.1〜10である。(II)/(I)の値が0.01未満である場合、粘着剤の凝集力が著しく低下する傾向となり好ましくなく、(II)/(I)の値が100を超える場合、ポリヒドロキシアルキルアミン系化合物の添加による粘着特性の向上効果が得られない傾向となり好ましくない。
【0032】
また、本発明における粘着剤組成物には、必要に応じて各種添加剤、例えば、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの各種安定剤、粘着付与樹脂、充填剤、着色剤、帯電防止剤、発泡剤、界面活性剤などの公知の各種添加剤が配合されていてもよい。これらの添加剤の使用量は、粘着剤に適用される通常の量であってよい。
【0033】
本発明の粘着テープは基材の少なくとも片面に前記粘着剤組成物からなる粘着剤層を有するものである.
【0034】
本発明において基材は、各種プラスチックフィルム、紙、金属箔、織布(布)、不織布などが使用できる。プラスチックフィルムとしては、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体などの各種ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン、ポリイミド、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイトなどの樹脂から形成されるフィルムを使用することができる。
【0035】
本発明における基材の厚みについては、特に限定されるものではないが、例えば、5〜500μm程度であり、好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは20〜150μmである。なお、該基材は単層の形態、もしくは、複層の形態を有していてもよい。また、該基材には必要に応じて、背面処理、帯電防止処理、下塗り処理などの各種処理が施されていてもよい。
【0036】
本発明の粘着テープにおける粘着剤層の厚みは、例えば、5〜500μm、好ましくは10〜200μm程度である。
【0037】
本発明における粘着テープは、コーティング法などの慣用の方法を用いて、基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を形成することにより製造できる。なお、粘着剤層は剥離フィルム(剥離ライナ)により保護されていてもよい。また、該粘着テープは本発明の効果を損なわない範囲で他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。
【0038】
さらに、本発明における粘着テープは、例えば、基材と、前記基材の一方の面に形成された粘着剤層と前記基材の他方の面に形成された背面処理層とで構成されていると、粘着剤層の表面が基材背面(例えば、背面処理層の面)と重ね合わせて積層して、粘着剤層を保護することができる。また、この際、ロール状に巻き取ることにより、ロール状に巻き取られた状態または形態を有している粘着テープ(ロール状に巻き取られた粘着テープ)として作製することができ、ロール状に巻き取らない場合は粘着シートとして作製することができる。なお、基材に背面処理層が形成されていない場合、コーティング法などの慣用の方法を用いて、基材の一方の面上に粘着剤層を形成した後、剥離ライナの剥離面を粘着剤層に接触するように積層し、ロール状に巻き取ることにより、ロール状に巻き取られた粘着テープを製造できる。
【0039】
【実施例】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0040】
[実施例1]
(基材)
ポリ塩化ビニル(商品名「TH−1300」信越化学社製):100重量部、可塑剤(商品名「DOP」花王社製;ジオクチルフタレート):54重量部、および安定剤(商品名「NL−175」水澤化学社製):2重量部を混合してポリ塩化ビニル系樹脂組成物を調製した。該ポリ塩化ビニル系樹脂組成物を、カレンダー成形機を用いて150℃で成形し、厚み100μmのポリ塩化ビニル製フィルム(「PVCフィルム」と称する場合がある)を作成した。
(粘着剤組成物)
SBR(商品名「SBR1013S」SHELL社製):70重量部、天然ゴム(商品名「RSS1級」野村貿易社製):30重量部、石油樹脂(商品名「エスコレッツ1315」TONNEX社製;軟化点100℃):60重量部、老化防止剤(商品名「イルガノックス1010」チバガイギー社製;フェノール系老化防止剤):5重量部、イソシアネート系化合物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製):1重量部、およびポリヒドロキシアルキルアミン系化合物(商品名「EDP450」旭電化工業社製):0.5重量部を混合して粘着剤組成物を調製した。なお、当該ポリヒドロキシアルキルアミン系化合物の水酸基含有量(I)と当該イソシアネート系化合物のイソシアネート基含有量(II)とにおいて、(II)/(I)の値は、0.5であった。
(粘着テープ)
上記記載の方法により得られた前記粘着剤を前記基材の片面にコンマダイレクトコータにより塗布し、130℃で2分間乾燥させて、乾燥後の厚みが30μmとなるように粘着剤層を形成させた後、巻取り機にてロール状に巻き取り、さらに、これを切断機にて切断して、幅19mm、長さ20mであるロール状の粘着テープを作成した。
【0041】
[実施例2]
粘着剤組成物に、実施例で使用したSBRと異なる種類のSBR(商品名「SBR1502」JSR社製)を用い、また、粘着剤に加えるイソシアネート系化合物およびポリヒドロキシアルキルアミン系化合物の添加量を、それぞれ2重量部および1重量部としたほかは実施例1に準じて粘着テープを得た。なお、当該ポリヒドロキシアルキルアミン系化合物の水酸基含有量(I)と当該イソシアネート系化合物のイソシアネート基含有量(II)とにおいて、(II)/(I)の値は0.4であった。
【0042】
[比較例1]
粘着剤組成物にイソシアネート系化合物およびポリヒドロキシアルキルアミン系化合物を添加しなかったほかは実施例1に準じて粘着テープを得た。
【0043】
[比較例2]
粘着剤組成物にポリヒドロキシアルキルアミン系化合物を添加しなかったほかは実施例2に準じて粘着テープを得た。
【0044】
実施例1、2および比較例1、2で得られた粘着テープを用いて、以下の各特性について評価を行った。なお、それぞれの測定方法は以下に示す通りであり、評価結果は表1に示した。
【0045】
<粘着力>
粘着テープを、19mm幅に切断し、該粘着テープをSUSステンレス板に2kgのゴムローラーを1往復させて貼付し、室温(23℃)且つ65%RH雰囲気下の条件で30分間放置後、引張試験機を使用して、引張速度300mm/分(23℃)での180℃ピール粘着力を測定し、粘着性(または剥離性)を評価した。
【0046】
<粘着テープ側面における糊はみ出し防止性>
ロール状の粘着テープを、60℃で1日間保存した後取り出して、室温(23℃)で冷却後、粘着テープの側面を室温(23℃)で、指を押しつけて離した際の官能などにより、下記の基準にて糊はみ出し防止性を評価した。
評価基準
○:側面にべとつきがない
△:側面に若干べとつきがある
×:側面にべとつきがあり、粘着テープ同士が互いにくっつく
【0047】
<ブロッキング防止性>
各ロール状の粘着テープ2巻を、互いに側面が接触するように重ね合わせ、60℃で1日間保存した後取り出して、室温(23℃)で冷却後、室温(23℃)にて手で1巻ずつに分ける作業を行った際のブロッキング防止性を、下記の基準にて官能により評価した。
評価基準
○:粘着テープ同士が容易に分かれる
△:粘着テープ同士がややブロッキング傾向にある
×:粘着テープ同士がブロッキングしており、分けるのに相当の力を要する
【0048】
<打抜き加工時における刃物への粘着剤の糊残り性評価>
粘着テープを打抜き加工装置を使用して、ダンベル形状で100ショット打抜き作業後の刃への粘着剤の付着具合を目視で確認し、粘着剤の糊残り性を評価した。
評価基準
○:刃に粘着剤の付着無し
×:刃に粘着剤の付着有り
【0049】
【表1】
Figure 0004515709
【0050】
上記表1の結果より、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を粘着成分として含有し、さらにイソシアネート系化合物およびポリヒドロキシアルキルアミン系化合物を含有する粘着剤組成物により形成されている本発明の粘着テープは、全実施例において、いずれも粘着テープ側面における粘着剤のはみ出しが抑制または防止されており、粘着テープ同士間での耐ブロッキング防止性にも優れた効果を発揮し、且つ粘着テープとしての適切な粘着力を有していた。さらに、打抜き加工時における刃物への粘着剤の付着も認められなかった。これに対して、比較例1、2では、糊はみ出し防止性、ブロッキング防止性および糊残り性を満足するものではなく、粘着テープとして適さないことが明らかとなった。
【0051】
【発明の効果】
本発明における粘着剤組成物は、SBRを粘着成分の必須成分として含有し、且つ該粘着成分にイソシアネート系化合物およびポリヒドロキシアルキルアミン系化合物を組み合わせて得られること特徴とし、また、本発明における粘着テープは、前記粘着剤組成物からなる粘着剤層を基材の少なくとも片面に有していることを特徴とする。このため、前記SBRとして、各種グレードのSBRを使用することができ、さらに、低価格で汎用性の高いSBRを用いていても粘着テープの側面における粘着剤のはみ出しや、打抜き加工などの加工時における刃物への粘着剤の付着を抑制または防止する作用に優れ、且つ粘着性、タック性やブロッキング防止性などの粘着特性にも優れた粘着剤組成物および粘着テープとすることができる。

Claims (4)

  1. スチレン−ブタジエンゴム及び天然ゴムを粘着成分として含有し、さらに前記粘着成分に対し、イソシアネート系化合物およびポリヒドロキシアルキルアミン系化合物を含有することを特徴とする粘着剤組成物。
  2. 請求項1において、イソシアネート系化合物の割合は、粘着成分100重量部に対して0.1〜40重量部であり、ポリヒドロキシアルキルアミン系化合物は、ポリヒドロキシアルキルアミン系化合物の水酸基含有量(I)(モル)とイソシアネート系化合物のイソシアネート基含有量(II)(モル)が下記式(1)の関係を有するように含有されている粘着剤組成物。
    (II)/(I)=0.01〜100 (1)
  3. 請求項において、スチレン−ブタジエンゴムと天然ゴムとの割合が、スチレン−ブタジエンゴム/天然ゴム=10/90〜90/10(重量比)である粘着剤組成物。
  4. 基材の少なくとも片面に、請求項1〜のいずれかの項に記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有することを特徴とする粘着テープ。
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