JP4152139B2 - 再剥離用粘着シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラベル、粘着テープもしくはシート等に使用されるアクリル系重合体を主成分とした粘着剤からなる再剥離用粘着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
再剥離性(再剥離型)粘着剤は、一般に、使用に際してシート状やテープ状などの形態で被着体の表面に貼り付け、使用目的を達成した後は、被着体から剥離除去するものであり、例えば、表面保護フィルム、塗装用マスキングテープ、剥離可能なメモ(付箋紙など)等の粘着シートにおける粘着剤として利用されている。
【0003】
例えば、前記表面保護フィルムは、ステンレス板、アルミニウム板、カラー鋼板などの金属板や合板などの被着体の表面に貼り付け、運搬、貯蔵、加工等に際し、上記被着体の表面が汚染されたり、傷がついたりするのを防止する目的で使用されるものである。従って、この種の表面保護フィルムとしては、上記被着体の運搬時、貯蔵時や加工時などでは、被着体に接着して剥離することが無く、保護機能を達成し必要がなくなった後は、容易に剥離できることが要求される。
【0004】
しかし、一般の粘着テープは被着体への貼り付け後に経時変化によって接着力の上昇が起こりやすく、使用後に被着体から剥離することが難しくなったり、粘着剤の糊残りにより被着体の汚染が生じたりする事がある。
【0005】
例えば、イソシアネート反応性基を有するアクリル系重合体を架橋剤(ポリイソシアネート化合物)により架橋させた粘着剤が知られているが、架橋剤のみの使用では大半の架橋が完了しないため、粘着力の経時変化が著しいという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来公知の再剥離型粘着剤は、粘着力(接着力)が経時的に上昇して剥離が困難になったり、糊残りなどの被着体汚染が生じたりする問題があり、これらの解決が望まれていた。
【0007】
従って、本発明の目的は、被着体への固定時には被着体から剥離しない程度の粘着力を有し、しかも被着体からの再剥離時には被着体を汚染することなく容易に剥離することができる再剥離用粘着シートを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、アクリル系重合体に特定の架橋剤及び架橋助剤とが組み合わせられ、乾燥又は硬化した後には、赤外線吸収スペクトル測定や透過型電子顕微鏡観察により一定の特性を示す粘着剤を用いると、被着体への固定時には被着体から剥離しない程度の粘着力を有し、しかも経日により粘着力の上昇がほとんど生じず、被着体からの再剥離時には被着体を汚染することなく容易に剥離することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、プラスチックフィルム基材の少なくとも片面に粘着剤層を有し、粘着剤層を構成する粘着剤が、(A)少なくとも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとイソシアネート基反応性官能基含有共重合性単量体とをモノマー成分とし、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合がモノマー成分全量に対して50〜99.9モル%、イソシアネート基反応性官能基含有重合性単量体の割合が0.01〜20モル%である、イソシアネート基反応性官能基を有するアクリル系重合体、(B)架橋助剤としての複数のヒドロキシル基を含有するアミン系化合物、および(C)架橋剤としてのポリイソシアネート系化合物から少なくともなり、乾燥後又は硬化後且つ被着体貼着前の粘着剤の赤外線吸収スペクトルにおいて、ポリイソシアネート系化合物(C)の未反応イソシアネート基に帰属する波数2100〜2400cm-1領域における吸収帯の吸光度ピーク値と、アクリル系重合体(A)のC−H基に帰属する波数2700〜3100cm-1領域における吸収帯の吸光度ピーク値との比(前者/後者)が0.4未満であり、表面保護フィルムとして用いられることを特徴とする再剥離用粘着シート(以下、「再剥離用粘着シート1」と称する場合がある)を提供する。
【0010】
また、本発明は、プラスチックフィルム基材の少なくとも片面に粘着剤層を有し、粘着剤層を構成する粘着剤が、(A)少なくとも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとイソシアネート基反応性官能基含有共重合性単量体とをモノマー成分とし、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合がモノマー成分全量に対して50〜99.9モル%、イソシアネート基反応性官能基含有重合性単量体の割合が0.01〜20モル%である、イソシアネート基反応性官能基を有するアクリル系重合体、(B)架橋助剤としての複数のヒドロキシル基を含有するアミン系化合物、および(C)架橋剤としてのポリイソシアネート系化合物から少なくともなり、乾燥後又は硬化後且つ被着体貼着前の粘着剤層の断面の透過型電子顕微鏡観察において、前記アクリル系重合体(A)マトリックス中に前記ポリイソシアネート系化合物(C)リッチ相がドメインを形成して分散し、且つ該ドメインの最大長さが1μm以下であり、表面保護フィルムとして用いられることを特徴とする再剥離用粘着シート(以下、「再剥離用粘着シート2」と称する場合がある)を提供する。前記TEM観察において、1.5μm四方の領域内に最大長さ0.3〜1.0μmのドメインが5個以上存在することが好ましい。
【0011】
本発明の再剥離用粘着シートは、ポリカーボネート樹脂板に貼着させ80℃で30分加熱後さらに室温で1時間保持後の該ポリカーボネート樹脂板に対する180°剥離力(引張速度300mm/分、23℃、50%RH)が、初期粘着力(室温で30分経過後)の1.2倍以下であることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の再剥離用粘着シートは、イソシアネート基反応性官能基を有するアクリル系重合体(A)(以下、「アクリル系重合体(A)」と称する場合がある)と、複数のヒドロキシル基を含有するアミン系化合物(B)(以下、「アミン系化合物(B)」と称する場合がある)と、ポリイソシアネート系化合物(C)(以下、「イソシアネート系化合物(C)」と称する場合がある)とを含む粘着剤を用いている。アクリル系重合体(A)はベースポリマーとして、アミン系化合物(B)は架橋助剤として、イソシアネート系化合物(C)は架橋剤として用いることができる。
【0013】
[(A)イソシアネート基反応性官能基を有するアクリル系重合体]
アクリル系重合体(A)としては、分子内にイソシアネート基反応性官能基(例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基等)を少なくとも1個含有しているアクリル系重合体であれば特に制限されない。アクリル系重合体(A)としては、例えば、少なくとも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとイソシアネート基反応性官能基含有共重合性単量体とをモノマー成分とする共重合体を用いることができる。アクリル系重合体(A)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0014】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に制限されないが、アルキル基の炭素数が1〜18(好ましくは2〜12)である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好適である。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0015】
イソシアネート基反応性官能基含有共重合性単量体としては、例えば、ヒドロキシル基含有共重合性単量体、アミノ基含有共重合性単量体、カルボキシル基含有共重合性単量体などが挙げられる。中でも、カルボキシル基含有共重合性単量体やヒドロキシル基含有共重合性単量体が好ましく用いられる。
【0016】
ヒドロキシル基含有共重合性単量体としては、特に制限されず、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートなど(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルの他、ビニルアルコール;アリルアルコール;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル;2−ヒドロキシエチルアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル;クロトン酸2−ヒドロキシエチル等のクロトン酸ヒドロキシアルキル;メチロール化(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。アミノ基含有共重合性単量体としては、例えば、n−ブチルアミノエチル(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられ、カルボキシル基含有共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。これらのイソシアネート基反応性官能基含有共重合性単量体は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0017】
また、本発明では、アクリル系粘着剤の改質用モノマーとして知られる各種モノマーが用いられていてもよい。このような改質用モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有共重合性単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有共重合性単量体;などが挙げられる。改質用モノマーは単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0018】
さらに本発明では、上記以外の他の共重合性単量体、例えば、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類やジエン類;(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン原子含有ビニル単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;スチレン、ビニルトルエンなどのスチレン系単量体などが用いられていてもよい。
【0019】
アクリル系重合体(A)を得るための重合方法としては、アゾ系化合物や過酸化物などの重合開始剤を用いて行う溶液重合方法、エマルジョン重合方法や塊状重合方法、光開始剤を用いて光や放射線を照射して行う重合方法など慣用の重合方法を採用することができる。本発明では、分解してラジカルを生成させる重合開始剤を用いて重合させる方法(ラジカル重合方法)を好適に採用することができる。このようなラジカル重合では、通常のラジカル重合に用いられる重合開始剤を使用できる。例を挙げれば、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルマレエートなどの過酸化物、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリルなどのアゾ系化合物等が用いられる。
【0020】
ラジカル重合において、重合開始剤の使用量は、アクリル系モノマーの重合の際に通常用いられる量でよく、例えば、前記モノマー成分(例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、イソシアネート基反応性官能基含有共重合性単量体など)の総量100重量部に対して、0.005〜10重量部程度、好ましくは0.1〜5重量部程度である。
【0021】
本発明では、前記モノマー成分(例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、イソシアネート基反応性官能基含有共重合性単量体、改質用モノマーなど)を用いて重合させて得られたアクリル系重合体(A)では、通常、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが主成分として用いられている。従って、アクリル系重合体(A)において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合としては、例えば、モノマー成分全量に対して50モル%以上(50〜99.9モル%)、好ましくは55モル%以上(55〜99.8モル%)、さらに好ましくは60モル%以上(60〜99.5モル%)程度の範囲から選択することができる。
【0022】
また、イソシアネート基反応性官能基含有共重合性単量体の割合としては、例えば、モノマー成分全量に対して20モル%未満(20〜0.01モル%)、好ましくは10モル%未満(10〜0.02モル%)、さらに好ましくは5モル%未満(5〜0.03モル%)程度の範囲から選択することができる。
【0023】
アクリル系重合体(A)の分子量(重量平均分子量など)としては、特に制限されない。アクリル系重合体(A)の重量平均分子量としては、例えば、5万以上(5万〜300万)、好ましくは20万〜200万、さらに好ましくは30万〜150万程度の範囲から選択することができる。
【0024】
なお、本発明では、ベースポリマーとしてのアクリル系重合体(A)とともに、イソシアネート基反応性官能基以外の他の反応性官能基を有するアクリル系重合体を用いてもよい。
【0025】
[(B)複数のヒドロキシル基を含有するアミン系化合物]
アミン系化合物(B)としては、分子内にヒドロキシル基(アルコール性ヒドロキシル基)を少なくとも2個有しているアミン系化合物であれば特に制限されない。また、アミン系化合物(B)において、分子内に含まれる窒素原子の数は特に制限されない。アミン系化合物(B)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0026】
具体的には、アミン系化合物(B)において、例えば、分子内に窒素原子を1個有するアミン系化合物(B)としては、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルジイソプロパノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−エチルジイソプロパノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−ブチルジイソプロパノールアミン等のジアルコールアミン類;トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のトリアルコールアミン類などが挙げられる。
【0027】
また、分子内に窒素原子を2個有するアミン系化合物(B)としては、下記式(1)で示されるようなアミン系化合物が挙げられる。
【化1】
Figure 0004152139
(式(1)中、R1、R2、R3、R4は、同一又は異なって、それぞれ水素原子又は[−(R5O)m(R6O)n−H]を示す。ここで、R5、R6は、異なって、それぞれアルキレン基を示す。m、nは0以上の整数であり、同時に0にならない。また、R1、R2、R3、R4のうち少なくとも2つは[−(R5O)m(R6O)n−H]である。さらに、xは2価の炭化水素基を示し、pは1以上の整数である。)
【0028】
式(1)において、R5、R6のアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン基等の炭素数1〜6程度のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基、さらに好ましくは炭素数2又は3のアルキレン基)が挙げられる。該アルキレン基は、直鎖状および分岐鎖状のいずれの形態を有していてもよい。R5、R6のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基を好適に用いることができる。
【0029】
また、m、nは0以上の整数であれば特に制限されないが、例えば、m、nのうち少なくとも一方が0〜20、好ましくは1〜10程度の範囲から選択することができる。m、nとしては、何れか一方が0であり、他方が1以上の整数(特に1)である場合が多い。なお、mとnとは同時に0にならないが、mとnとが同時に0となる場合は、係るR1〜R4は水素原子を示すことになる。
【0030】
xは2価の炭化水素基を示している。2価の炭化水素基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基などが挙げられる。該xのアルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状であってもよい。また、飽和、不飽和のいずれであってもよい。xのアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン基等の炭素数1〜6程度のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基、さらに好ましくは炭素数2又は3のアルキレン基)などが挙げられる。また、シクロアルキレン基としては、例えば、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基等の5〜12員環程度のシクロアルキレン基などが挙げられる。アリーレン基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基などを用いることができる。
【0031】
pは1以上の整数であれば特に制限されないが、例えば、1〜10の整数程度の範囲から選択することができ、好ましくは1〜6の整数、さらに好ましくは1〜4の整数である。
【0032】
より具体的には、前記式(1)で表されるアミン系化合物(B)としては、例えば、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)トリメチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)トリメチレンジアミンの他、エチレンジアミンのポリオキシエチレン縮合物、エチレンジアミンのポリオキシプロピレン縮合物、エチレンジアミンのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物などのアルキレンジアミンのポリオキシアルキレン縮合物などを例示することができる。このようなアミン系化合物(B)としては、例えば、商品名「EDP−300」、商品名「EDP−450」、商品名「EDP−1100」、商品名「プルロニック」(以上、旭電化株式会社製)などの市販品を利用することができる。
【0033】
なお、本発明では、アミン系化合物(B)とともに、ヒドロキシル基以外の他の反応性官能基を複数有するアミン系化合物を用いることも可能である。
【0034】
[(C)ポリイソシアネート系化合物]
イソシアネート系化合物(C)としては、分子内にイソシアネート基を少なくとも2個有するイソシアネート系化合物であれば特に制限されない。イソシアネート系化合物(C)としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネ−ト、脂環族ポリイソシアネ−ト、芳香族ポリイソシアネ−ト、芳香脂肪族ポリイソシアネ−トなどが含まれる。イソシアネート系化合物(C)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0035】
前記脂肪族ポリイソシアネ−トには、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、1,4−テトラメチレンジイソシアネ−ト、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネ−ト等の脂肪族ジイソシアネ−トなどが含まれる。
【0036】
また、脂環族ポリイソシアネ−トには、例えば、イソホロンジイソシアネ−ト、シクロヘキシルジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネ−ト、水素添加キシレンジイソシアネ−ト、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネ−ト等の脂環族ジイソシアネ−トなどが含まれる。
【0037】
芳香族ポリイソシアネ−トには、例えば、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルエ−テルジイソシアネ−ト、2−ニトロジフェニル−4,4´−ジイソシアネ−ト、2,2´−ジフェニルプロパン−4,4´−ジイソシアネ−ト、3,3´−ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシネ−ト、4,4´−ジフェニルプロパンジイソシアネ−ト、m−フェニレンジイソシアネ−ト、p−フェニレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,4−ジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,5−ジイソシアネ−ト、3,3´−ジメトキシジフェニル−4,4´−ジイソシアネ−トなどの芳香族ジイソシアネ−トなどが含まれる。
【0038】
芳香脂肪族ポリイソシアネ−トには、例えば、キシリレン−1,4−ジイソシアネ−ト、キシリレン−1,3−ジイソシアネ−ト等の芳香脂肪族ジイソシアネ−トなどが含まれる。
【0039】
また、イソシアネート系化合物(C)としては、前記例示の脂肪族ポリイソシアネ−ト、脂環族ポリイソシアネ−ト、芳香族ポリイソシアネ−ト、芳香脂肪族ポリイソシアネ−トによる二重体や三量体、反応生成物又は重合物(例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの二重体や三量体、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネートなど)なども用いることができる。
【0040】
なお、本発明では、ポリイソシアネート系化合物(C)とともに、ポリイソシアネート系化合物以外の架橋剤(例えば、多官能性メラミン化合物や多官能性エポキシ化合物など)を用いることができる。
【0041】
また、本発明では、アクリル系重合体(A)と、アミン系化合物(B)と、イソシアネート系化合物(C)との割合としては、例えば、アクリル系重合体(A)に係るイソシアネート基反応性官能基の含有量(MA)(モル)、アミン系化合物(B)に係るヒドロキシル基の含有量(MB)(モル)、およびイソシアネート系化合物(C)に係るイソシアネート基の含有量(MC)(モル)が、以下の関係を有しているような割合であってもよい。
・(MB)/(MA)=0.01〜100(好ましくは0.03〜50、さらに好ましくは0.05〜20)
・(MC)/[(MA)+(MB)]=0.01〜100(好ましくは0.03〜30、さらに好ましくは0.1〜20)
【0042】
このような割合であると、アクリル系重合体(A)をより一層効果的に硬化させることができ、より一層優れた凝集性を発揮させることができる。
【0043】
上記の粘着剤はそのまま使用してもよいが、必要に応じて各種添加剤が添加されていてもよい。例えば、接着特性を調整するため、公知乃至慣用の粘着付与樹脂(例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂など)が配合されていてもよい。また、粘着付与樹脂以外の添加剤として、可塑剤、微粉末シリカ等の充てん剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの各種安定剤などの公知の各種添加剤を適宜配合することもできる。これらの添加剤の使用量は、いずれもアクリル系感圧性接着剤に適用される通常の量であってもよい。
【0044】
また、本発明における粘着剤には、より均一な粘着剤を得るため調整用溶媒を添加してもよい。調整用溶媒としては、特に限定するものではないが、本発明においては、粘着剤組成物に極性が高い官能基を有する化合物を含むことから、極性が高い有機溶媒が好ましく、例えば酢酸エチルなどが好ましく用いられる。
【0045】
本発明の再剥離用粘着シートは、前記粘着剤からなる粘着剤層を備えていればよく、基材の少なくとも片面に前記粘着剤層を設けた基材付き再剥離用粘着シート、及び基材を有しない粘着剤層のみの基材レス再剥離用粘着シートのいずれであってもよい。なお、粘着剤層の保護のため、使用時まで該粘着剤層上に剥離フィルム(剥離ライナ)を積層していてもよい。また、本発明の再剥離用粘着シートの形態は、特に限定されず、シート状やテープ状などの適宜な形態を採りうる。
【0046】
前記再剥離性粘着剤層の厚さは、特に制限されず、用途等に応じて適宜選択でき、例えば、0.1〜300μm、好ましくは2〜100μm程度の範囲から選択することができる。
【0047】
基材付き再剥離用粘着シートにおける基材としては、粘着シートに通常用いられる基材であればよく、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、セロハンなどのプラスチックからなるプラスチックフィルム;クラフト紙、和紙等の紙;マニラ麻、パルプ、レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維などの天然繊維、半合成繊維又は合成繊維の繊維状物質などからなる単独又は混紡などの織布や不織布等の布;天然ゴム、ブチルゴム等からなるゴムシート;ポリウレタン、ポリクロロプレンゴム等からなる発泡体による発泡体シート;アルミニウム箔、銅箔等の金属箔;これらの複合体などが挙げられる。基材としては、ポリエチレン製フィルムやポリエステル製フィルム(ポリエチレンテレフタレート製フィルム等)などのプラスチックフィルムを好適に用いることができる。なお、基材は透明、半透明、不透明のうちいずれであってもよい。また、片面又は両面にコロナ処理などの表面処理が施されていてもよい。
【0048】
基材の厚さは、取扱性等を損なわない範囲で適宜選択できるが、一般に10〜500μm程度、好ましくは20〜200μm程度である。
【0049】
基材付き再剥離用粘着シートは、基材の少なくとも片面に、前記粘着剤を塗布した後、乾燥し、架橋させて硬化させることにより得ることができる。
【0050】
一方、基材レス再剥離用粘着シートは、例えば、剥離層を有するプラスチックフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルムなど)などの支持体からなる剥離ライナ上に、前記粘着剤を塗布した後、乾燥し、架橋させて硬化させることにより得ることができる。もちろん、剥離ライナにおいて粘着剤を塗布する面は、剥離層側の面であればよい。なお、剥離ライナにおいて、剥離層は支持体の片面又は両面に設けることができる。
【0051】
前記剥離ライナの支持体としては、プラスチックフィルムが好適に用いられるが、紙、発砲体、金属箔などであってもよい。剥離ライナの支持体の厚みは、目的に応じて適宜選択できるが、一般には10〜500μm程度である。なお、前記剥離ライナの基材のプラスチックフィルムの素材としては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。プラスチックフィルムは、無延伸フィルム及び延伸(一軸延伸又は二軸延伸)フィルムの何れであってもよい。
【0052】
また、剥離層としては、慣用の剥離ライナにおける剥離層として用いられている剥離層(例えば、シリコーン系剥離層など)を用いることができる。
【0053】
再剥離性粘着剤組成物の塗布は、慣用のコーター、例えば、ファウンテンコーター、ファウンテンメタリングコーター、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどを用いて行うことができる。
【0054】
本発明では、再剥離用粘着シートを製造した後、再剥離性粘着剤層を均質化し、経時的に安定した粘着力を維持させる目的で、加温エージング処理を施してもよい。加温エージング処理は、粘着剤を任意の厚みに調整後、又はシート等に塗布した後、例えば12時間以内、好ましくは6時間以内、より好ましくは3時間以内に施される。温度条件は、40〜60℃程度の範囲内であり、エージング時間は、例えば48時間以上、好ましくは72時間〜80時間程度である。
【0055】
本発明では、加熱等により乾燥又は硬化した後の粘着剤は、架橋剤(硬化剤)としてのイソシアネート系化合物(C)と、架橋助剤(硬化助剤)としてのアミン系化合物(B)とによりアクリル系重合体(A)が架橋されて、一定のネットワークを有する粘着剤層を形成する。本発明において、このように形成された粘着剤層は、赤外線吸収スペクトル測定や断面の透過型電子顕微鏡(TEM)観察に供される。なお、TEM観察は、例えば、再剥離性粘着剤層を塗工方向と平行に切断した面に対して行われる。
【0056】
[赤外線吸収スペクトル測定]
本発明においては、架橋により形成されるネットワークの尺度として、赤外線吸収スペクトル測定が行われる。赤外線吸収スペクトル測定により、架橋の進行程度を化学的に把握することができる。
【0057】
本発明の再剥離性粘着シート1の特徴の一つは、粘着剤層を構成する粘着剤が、(A)イソシアネート基反応性官能基を有するアクリル系重合体、(B)複数のヒドロキシル基を含有するアミン系化合物、および(C)ポリイソシアネート系化合物から少なくともなり、乾燥後又は硬化後の粘着剤の赤外線吸収スペクトルにおいて、ポリイソシアネート系化合物(C)の未反応イソシアネート基に帰属する波数2100〜2400cm-1領域における吸収帯の吸光度ピーク値と、アクリル系重合体(A)のC−H基に帰属する波数2700〜3100cm-1領域における吸収帯の吸光度ピーク値との比(前者/後者)が0.4未満であることにある。0.4以上の場合は、未反応のイソシアネート基が多く残存するため、大半の架橋(擬似架橋を含む)が完了していないことが多く、アミン系化合物(B)を含まない粘着剤の前記ピーク比は一般に0.4以上である。
【0058】
赤外線吸収スペクトル測定は、粘着剤を乾燥又は硬化することにより再剥離性粘着剤層が形成された後に行われる。例えば、基材上に再剥離性粘着剤層を設けた粘着シート形成後に行ってもよい。
【0059】
[断面の透過型電子顕微鏡観察]
本発明においては、架橋により形成されるネットワークの尺度として、上記の他に、粘着剤層断面の透過型電子顕微鏡(TEM)観察が行われる。TEM観察により、架橋の進行程度を形態的に把握することができる。
【0060】
本発明の再剥離性粘着シート2の特徴の一つは、粘着剤層を構成する粘着剤が、(A)イソシアネート基反応性官能基を有するアクリル系重合体、(B)複数のヒドロキシル基を含有するアミン系化合物、および(C)ポリイソシアネート系化合物から少なくともなり、乾燥後又は硬化後の粘着剤層の断面の透過型電子顕微鏡観察において、前記アクリル系重合体(A)マトリックス中に前記ポリイソシアネート系化合物(C)リッチ相がドメインを形成して分散し、且つ該ドメインの最大長さが1μm以下であることにある。ドメインの最大長さは、0.3〜1μm程度が好ましい。
【0061】
前記ドメインの最大長さは、アクリル系重合体(A)とポリイソシアネート系化合物(C)との架橋反応速度に依存していると考えられる。例えば、アミン系化合物(B)を加えない場合などでは、アクリル系重合体(A)とポリイソシアネート系化合物(C)との架橋反応の速度が遅く、且つ相分離が徐々に進行する結果、前記ドメインの最大長さが1μmを超え、4〜5μm程度にまで達するものもある。前記相分離が生じやすい原因としては、前記ポリイソシアネート系化合物(C)リッチ相のドメインにおける該ドメイン内の湿度が遮断されるため、また、アクリル系重合体(A)における架橋が不十分であるため、いずれも粘性が高く分離が容易となることが考えられる。このようにアクリル系重合体(A)の架橋が不十分であるときは、上記赤外線吸収スペクトル測定における吸光度比が0.4以上である場合が多い。なお、前記ポリイソシアネート系化合物(C)リッチ相のドメインは粒子状のものが多く、通常、前記アクリル系重合体(A)マトリックス中に島構造をとって点在する様子が観察される。
【0062】
また、本発明の再剥離性粘着シート2は、上記断面のTEM観察において、1.5μm四方の領域内に最大長さ0.3〜1.0μmのドメインが5個以上存在するものが好ましい。具体的には、倍率10000倍に拡大した断面のTEM写真において、前記アクリル系重合体(A)マトリックス中に島構造をとって点在するドメインのうち、15mm四方の領域内に存在する最大長さ3〜10mm(定規により測定)のドメインを数えた場合に、該ドメインが5個以上認められるものが好ましい。この場合には、前記相分離架橋が生じる前に、アクリル系重合体(A)とポリイソシアネート系化合物(C)との架橋反応が速やかに進行する結果、ドメインが細かく分散された架橋ネットワークを形成し、再剥離可能な程度の適度な粘着特性が発揮されやすい。前記ドメインが5個未満の場合は、ポリイソシアネート系化合物(C)がアクリル系重合体(A)中に十分に分散していないことを示し、架橋が十分に進行していないことが多い。
【0063】
なお、上記ドメインの最大長さやその存在比率については、形成する粘着剤層の厚みを調整することや、粘着剤層形成後に上記の加温エージング処理を適宜な条件で施すことなどによりに制御することができる。
【0064】
なお、本発明における粘着剤層は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層を介して又は介することなく複数の層で構成されていてもよい。例えば、再剥離用粘着シートは、透明基材の両面に、前記粘着剤からなる粘着剤層を設けた両面粘着シートであってもよい。
【0065】
本発明によれば、被着体に接着する際には効果的に粘着力を発揮し、経日による粘着力の上昇がほとんど又は全く生じず、さらに、被着体から剥離する際には糊残りなどを生じず、容易に剥離することが可能な再剥離用粘着シートを得ることができる。
【0066】
本発明の再剥離用粘着シートは、ポリカーボネート樹脂板に貼着して室温で30分間放置後の該ポリカーボネート樹脂板に対する180°剥離力(初期粘着力;引張速度300mm/分、23℃、50%RH)が、5N/20mm以下であることが好ましい。また、ポリカーボネート樹脂板に貼着させ80℃で30分加熱後さらに室温で1時間保持後の該ポリカーボネート樹脂板に対する180°剥離力(引張速度300mm/分、23℃、50%RH)が、初期粘着力の1.2倍以下(1〜1.2倍)であることが好ましく、さらに好ましくは1〜1.15倍であり、特に1〜1.1倍であることが好適である。
【0067】
さらに、本発明の再剥離用粘着シートは、ポリカーボネート樹脂板に貼着させ80℃で30分加熱後、室温で1時間保持し、さらに室温で1週間保持した後の該ポリカーボネート樹脂板に対する180°剥離力(引張速度300mm/分、23℃、50%RH)が、初期粘着力の1.2倍以下(1〜1.2倍)であることが好ましく、さらに好ましくは1〜1.15倍であることが好適である。
【0068】
上記粘着力(剥離力)は、例えば、再剥離性粘着剤のベースポリマーを構成するモノマー成分の種類や割合、重合開始剤の種類や量、重合温度や重合時間、架橋剤及び架橋助剤の種類や量を適宜選択することにより調整できる。
【0069】
また、本発明の再剥離用粘着シートは、適宜の幅に裁断しロール状に巻回することにより、再剥離用粘着テープとして用いることもできる。
【0070】
本発明の再剥離用粘着シートは、被着体に接着させる際には効果的に粘着力を発揮し、経日により粘着力の上昇がほとんど又は全く生じておらず、被着体から剥離させる際には糊残り等を生じさせずに容易に剥離させることができる。そのため、例えば表面保護フィルムとして用いた場合、被着体の運搬、貯蔵、加工時等では被着体に接着して剥離することがなく、保護機能を達成した後は、容易に剥離することができる。あるいは、被着体表面に付着した異物(ゴミ、塵埃等の付着物)の除去シートとして、また、粘着剤面を表にして巻き取って異物除去ロールとしても利用できる。その他、その使用時或いは使用終了時点において粘着シートの剥離を伴うような、種々の物品や部材の製造及び加工、各種製造装置などにおける部材の表面保護、マスキング等に広く適用できる。より具体的には、本発明の再剥離用粘着シートは、塗装用マスキングテープ、剥離可能なメモ(付箋紙など)等としても用いることができる。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、再剥離用粘着シートが均一且つ十分に架橋された粘着剤層を有しているので、被着体への固定時には被着体から剥離しない程度の粘着力を有し、被着体からの再剥離時には被着体を汚染することなく容易に剥離することができる。従って、再剥離時の作業性が優れている。
【0072】
例えば、本発明の再剥離用粘着シートを、被着体の運搬、貯蔵、加工時に被着体に貼付すると、被着体に接着して不用意に剥離することが無く、保護機能を発揮することができ、該保護機能を達成した後は、糊残り等を生じさせずに、容易に小さな力で剥離することが可能である。
【0073】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。また、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算分子量を示す。なお、以下において「部」とは「重量部」を、「%」とは「重量%」をそれぞれ意味する。
実施例1
アクリル酸n−ブチル:アクリロニトリル:アクリル酸=85:15:2.5(重量比)の配合物100部に対して、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を添加し、トルエン中で重合してアクリル系重合体(重量平均分子量70万)を含む溶液を得た。この溶液に、重合体の固形分100部に対して、複数のヒドロキシル基を含有するアミン系化合物(エチレンジアミンのポリオキシプロピレン縮合物;商品名「EDP−1100」、旭電化(株)製)5部、及びポリイソシアネート系化合物(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業(株)製)20部を添加し、希釈溶媒として酢酸エチルを用いて十分に混合し、固形分濃度16%の粘着剤組成物を調製した。得られた粘着剤組成物を、厚さ60μmのポリエチレンフィルムに乾燥後の厚みが10μmとなるように塗工機にて塗工し、乾燥(平均温度70℃、1分間)した後、ロール状に巻回し(200m巻き、厚さ約35mm)、次いで、40℃の室温で72時間加熱エージングを行って、粘着剤組成物を完全に架橋させることにより、粘着テープを得た。
【0074】
比較例1
実施例1において、複数のヒドロキシル基を含有するアミン系化合物を用いなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、粘着テープを得た。
【0075】
評価方法
実施例及び比較例で得られた各粘着テープについて、テープ外周部から15mm内周部より所定の大きさの試験片を採取し、以下の方法により評価を行った。その結果を表1に示す。
(粘着力)
20×120mmの試験片を、被着体としてのポリカーボネート樹脂板に圧力78.5N/cm、速度300mm/min、23℃、50%RHの条件でラミネート圧着した後、下記(A)〜(C)の条件で放置し、180°ピール剥離試験(引張速度300mm/min、23℃、50%RH)を行い、剥離に要する力(180°剥離力)[N/20mm]を測定し、粘着力として評価した。なお、「*」は、剥離不能を示し、剥離することができないほど粘着剤層が被着体に接着している状態を示している。
条件:(A)室温×30分
(B)80℃で30分加熱後、室温×1時間
(C)80℃で30分加熱後、室温×1時間、次いで室温×1週間
これらの結果を、表1中、(A)を「初期」、(B)を「1hr後」、(C)を「1wk後」の欄に示す。
(赤外線吸収スペクトル測定)
10×30mmの試験片をゲルマニウムに貼り付けて測定用試料とし、下記の測定条件の下、分析装置にFT−IR Nicolet製、Magna850を用いて赤外線吸収スペクトルを測定し、波数2274cm-1と2960cm-1における吸光度ピーク値の比(2274cm-1/2960cm-1)を算出した。結果を、表1の「FT−IR吸光度比」の欄に示す。
測定条件:ATR法(Ge45°)、分解能4cm-1、積算回数100回、検出器DTGS
(断面のTEM観察)
10×20mmの試験片について、2重量%ルテニウム酸水溶液を用いた飽和蒸気により染色処理(2時間)を施し、エポキシ樹脂中に包埋した試料を、超薄切片法により粘着剤層について塗工方向と平行に切断した断面についてTEM観察した。倍率10,000倍に拡大された写真の185mm×240mmの領域内において、イソシアネート系化合物がリッチなドメインのうち最大長さが1μmを超えるドメインの数をカウントした。また、同倍率の写真の15mm四方の領域内において、上記ドメインの最大長さが3mm〜10mm(実際の最大長さ0.3〜1.0μmに相当)の範囲内であるドメインの数をカウントした。これらの結果を、表1の「1μm<」及び「0.3〜1μm」の欄に示す。
【0076】
【表1】
Figure 0004152139

Claims (4)

  1. プラスチックフィルム基材の少なくとも片面に粘着剤層を有し、粘着剤層を構成する粘着剤が、(A)少なくとも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとイソシアネート基反応性官能基含有共重合性単量体とをモノマー成分とし、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合がモノマー成分全量に対して50〜99.9モル%、イソシアネート基反応性官能基含有重合性単量体の割合が0.01〜20モル%である、イソシアネート基反応性官能基を有するアクリル系重合体、(B)架橋助剤としての複数のヒドロキシル基を含有するアミン系化合物、および(C)架橋剤としてのポリイソシアネート系化合物から少なくともなり、乾燥後又は硬化後で且つ被着体貼着前の粘着剤の赤外線吸収スペクトルにおいて、ポリイソシアネート系化合物(C)の未反応イソシアネート基に帰属する波数2100〜2400cm-1領域における吸収帯の吸光度ピーク値と、アクリル系重合体(A)のC−H基に帰属する波数2700〜3100cm-1領域における吸収帯の吸光度ピーク値との比(前者/後者)が0.4未満であり、表面保護フィルムとして用いられることを特徴とする再剥離用粘着シート。
  2. プラスチックフィルム基材の少なくとも片面に粘着剤層を有し、粘着剤層を構成する粘着剤が、(A)少なくとも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとイソシアネート基反応性官能基含有共重合性単量体とをモノマー成分とし、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合がモノマー成分全量に対して50〜99.9モル%、イソシアネート基反応性官能基含有重合性単量体の割合が0.01〜20モル%である、イソシアネート基反応性官能基を有するアクリル系重合体、(B)架橋助剤としての複数のヒドロキシル基を含有するアミン系化合物、および(C)架橋剤としてのポリイソシアネート系化合物から少なくともなり、乾燥後又は硬化後且つ被着体貼着前の粘着剤層の断面の透過型電子顕微鏡観察において、前記アクリル系重合体(A)マトリックス中に前記ポリイソシアネート系化合物(C)リッチ相がドメインを形成して分散し、且つ該ドメインの最大長さが1μm以下であり、表面保護フィルムとして用いられることを特徴とする再剥離用粘着シート。
  3. 粘着剤層断面の透過型電子顕微鏡観察において、1.5μm四方の領域内に最大長さ0.3〜1.0μmのドメインが5個以上存在する請求項2記載の再剥離用粘着シート。
  4. ポリカーボネート樹脂板に貼着させ80℃で30分加熱後さらに室温で1時間保持後の該ポリカーボネート樹脂板に対する180°剥離力(引張速度300mm/分、23℃、50%RH)が、初期粘着力(室温で30分経過後)の1.2倍以下である請求項1〜の何れかの項に記載の再剥離用粘着シート。
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