JP4515627B2 - 撮像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はCCD等の撮像素子を用いた撮像装置に関し、特に画素欠陥補償機能を有する撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビデオカメラなどの撮像装置は従来より広く利用されている。近年主として静止画を撮像記録する電子スチルカメラも特にディジタルカメラとして普及するに至り、主として動画記録用であったビデオムービーにおいても静止画撮影記録機能を有するようになってきた。そして静止画撮影に際して使用される長時間露光は撮像素子における電荷蓄積時間を長くすることによって露光時間を長くし、これによって低照度下でもストロボなどの補助照明を使用することなく撮影できるようにする技術として知られている。
【0003】
一方CCD等の撮像素子においてはいわゆる暗電流の存在などによる暗出力が存在し、これが画像信号に重畳されるため、画質劣化を来す。この暗出力レベルが大きい画素が存在する場合は画素欠陥と称され、その画素の出力情報は用いず近隣の画素の出力情報を用いて情報を補完することが広く実用されている。本明細書においてはこのような補完処理を画素欠陥の補償と称する。しばしば使用フレームレートにおける動画駆動を前提に決められる所定の(例えばNTSCでは1/60秒の、あるいはこれに基づいて所定のマージンを見た例えば4倍マージンだと1/15秒の)標準露光時間で暗出力を評価し、そのレベルが大きい画素については欠陥画素と見做して上記画素欠陥補償を適用する。
【0004】
そしてさらに、画素欠陥は温度依存や経時変化を伴うから欠陥画素の評価を工場出荷前に行なうだけでは不十分であるという点について改善をはかった技術も特開平06−038113号公報に公知である。すなわちこの公報には、電源オン直後にアイリスを閉じることで受光面を遮光し、カメラの使用に先立ってCCD暗出力を評価することで欠陥画素を検出して、欠陥補償を行なう技術が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記公報の技術のように(工場出荷後の完成品としての)カメラ装置に於いて欠陥画素を検出して欠陥補償を行なうと、記録画像に画質破綻を来たすおそれがある。何故なら温度依存や経時変化によって生じる暗電流増加によって新たに欠陥画素が検出された場合、この欠陥画素の発生の状況は一般には予測困難である。これは特に上記従来技術をさらに発展応用させて、長時間露光にも適用を図った場合には深刻な問題となる。
【0006】
すなわち新規な技術提案として「標準露光時間を超える長時間露光の場合には暗電流の蓄積効果によって画素の暗出力レベルがさらに大きくなることを考慮し、長時間露光の場合にこれに対応した欠陥画素検出を行ない欠陥補償を行なう技術」を考案し得るが、このような場合には生じる劣化は暗電流の蓄積効果によって概略露光時間に比例して増大することから、最悪の場合は欠陥と判定される画素が大量発生することもあるわけである。
【0007】
そして欠陥画素の数が増えた時にはその欠陥補償のために用いる補完対象である隣接画素(補完のための情報提供対象画素:以下特記無い限りこの意味で使用)もまた欠陥画素であるという状況を生むに至る。このような場合に採り得る一つの方法は、通常は複数存在する隣接画素のうち、このような欠陥画素を除いたものだけを対象として補完処理を行なうことであるが、これは
(1)各欠陥画素毎に、状況適応的に異なる補完方法を用いることを必須的に要求することになるから、補償アルゴリズムが複雑化し、処理手段(例えばソフトウェアのコード規模)が肥大化したり、演算時間の増加を招く。
【0008】
(2)全ての隣接画素が欠陥画素になってしまった場合は、結局補完することができない。
【0009】
という不具合がある。
【0010】
なお、(2)のような状況に対しては、このような状況を「画質破綻状態」と判定して例えば撮像を禁止する技術を本出願人自身が既に提案している(特願平11−207016号)が、このような技術を単純に採用した場合は、これによって例えばある程度以上の長時間露光を実現することが完全に不可能となってしまうなど、撮影条件が制限されてしまう問題があった。
【0011】
本発明は上述の事情を考慮してなされたもので、その目的とするところは、上記した画素欠陥補償における欠陥画素の大量発生に伴う問題点を解決し、画質劣化に一定の歯止めをかけるとともに、撮影条件の制限等の問題を生じない高性能な撮像装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、本発明の撮像装置は、撮像素子と、前記撮像素子に対する露光を制御可能な露出制御手段と、前記撮像素子における電荷蓄積時間を制御可能な蓄積時間制御手段と、前記露出制御手段および前記蓄積時間制御手段とを制御して前記撮像素子の所定の動作状況における画素欠陥に関する情報を取得する画素欠陥情報取得手段と、前記画素欠陥情報取得手段が取得した画素欠陥情報に基づいて欠陥画素を検出する欠陥画素検出手段とを具備し、前記欠陥画素検出手段は、互いに隣接しない孤立の欠陥画素候補を欠陥画素として検出するとともに、本撮影に先立って画素欠陥の検出を行なった結果の検出欠陥画素に隣接する画素のうちに、カメラの製造工程において予めメモリに記憶された常欠陥画素が存在する場合は、該検出欠陥画素を非欠陥画素として検出することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、露出制御手段および蓄積時間制御手段を制御することにより撮像素子の所定の動作状況における画素欠陥に関する情報が取得され、その取得された画素欠陥情報に基づいて欠陥画素の検出が行われる。この欠陥画素としての検出に際しては、互いに隣接しない孤立の欠陥画素候補を欠陥画素として検出するとともに、本撮影に先立って画素欠陥の検出を行なった結果の検出欠陥画素に隣接する画素のうちに、カメラの製造工程において予めメモリに記憶された常欠陥画素が存在する場合は、該検出欠陥画素を非欠陥画素として検出するので、画質劣化の程度を最低限に抑えつつ長時間撮影などの撮影条件の限界を延ばすことができる。
【0014】
また、前記欠陥画素検出手段は、検出欠陥画素に隣接する画素のうちに検出欠陥画素が存在した場合は、欠陥レベルを比較し、自身の欠陥レベルが他の全ての検出欠陥画素の欠陥レベルよりも大きい場合に限り最終的な欠陥画素と判定し、そうでない場合には非欠陥画素とするように構成することが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係わる電子カメラの概略構成を示すブロック図である。
【0021】
図中101は各種レンズからなるレンズ系、102はレンズ系101を駆動するためのレンズ駆動機構、103はレンズ系101の絞り及びシャッタ装置を制御するための露出制御機構、104はローパス及び赤外カット用のフィルタ、105はCCD撮像素子、106は撮像素子105を駆動するためのCCDドライバ、107はA/D変換器等を含むプリプロセス回路、108は色信号生成処理,マトリックス変換処理,その他各種のデジタル処理を行うためのデジタルプロセス回路、109はカードインターフェース、110はメモリカード、111はLCD画像表示系を示している。
【0022】
また、図中の112は各部を統括的に制御するためのシステムコントローラ(CPU)、113は各種スイッチからなる操作スイッチ系、114は操作状態及びモード状態等を表示するための操作表示系、115はレンズ駆動機構102を制御するためのレンズドライバ、116は発光手段としてのストロボ、117は露出制御機構103及びストロボ116を制御するための露出制御ドライバ、118は各種設定情報等を記憶するための不揮発性メモリ(EEPROM)、119は撮像素子105の周辺温度を検出する温度センサを示している。
【0023】
本実施形態のディジタルカメラにおいてはシステムコントローラ112が全ての制御を統括的に行なっており、特に露出制御機構103に含まれるシャッタ装置と、CCDドライバ106によるCCD撮像素子105の駆動制御を用いて露光(電荷蓄積)および信号の読み出しを行ない、それをプリプロセス107を介してディジタルプロセス108に取込んで、画素欠陥補償を含む各種信号処理を施した後にカードインターフェース109を介してメモリカード110に記録するようになっている。ここで、CCD撮像素子105における露光時間つまり電荷蓄積時間の制御は、例えばCCDドライバ106によって電荷移送パルス(TGパルス)の発生タイミングを制御するといういわゆる素子シャッタ制御にて行われる。
【0024】
ここまでの基本構成は従来装置と同様であるが、本実施形態ではこれに加え、画素欠陥補償機能が設けられており、本撮影に際しては、
▲1▼通常撮影時には予めEEPROM118に格納された通常時の欠陥(以下常欠陥と称する)に関する欠陥画素のアドレスデータに基づいて
▲2▼長時間撮影時には、さらにその本撮影に先立って画素欠陥の検出を行なった結果の欠陥(以下検出欠陥と称する)に関する欠陥画素の画素アドレスデータに基づいて
システムコントローラ112の制御の下にディジタルプロセス108においてこの画素欠陥補償処理を施す。
【0025】
画素欠陥の検出時には、システムコントローラ112に設けられた画素欠陥情報取得部112aが前述の露出制御機構103およびCCDドライバ106を用いてCCD撮像素子105の露光および電荷蓄積時間を制御することにより、CCD撮像素子105の所定の動作状況における画素欠陥に関する情報が取得される。そして、その取得された画素欠陥情報、さらにはEEPROM118に予め格納されている常欠陥に関する情報を用いることにより、最終的に欠陥画素とすべき画素の判定が欠陥画素検出部112bにて行われる。欠陥画素検出部112bでは、複数の欠陥画素候補が隣接した場合には優先順位の低いものは欠陥と判定しないという、優先度に基づく欠陥画素判定が行われる。
【0026】
ここで、図2を参照して、本実施形態における画素欠陥補償処理の基本原理の1つである欠陥画素の種類(常欠陥/検出欠陥)に基づく欠陥画素判定について説明する。この判定では、常欠陥画素と検出欠陥画素のどちらも最初は欠陥画素候補として扱い、欠陥画素候補同士が隣接して存在する場合には常欠陥画素を優先して欠陥画素として扱い、検出欠陥画素については正常画素として扱うという処理が行われる。
【0027】
すなわち、図2(a)および(b)に示すように欠陥画素の候補同士が互いに隣接せずに孤立発生している場合には、それら欠陥画素候補それぞれが最終的な欠陥画素として扱われ、補完のための情報提供対象画素(例えば補完対象画素の上下4画素)からの補完によって欠陥補償が行われる。一方、図2(c)に示すように、常欠陥と検出欠陥の両欠陥画素候補同士が隣接して存在する場合には、常欠陥画素のみを欠陥画素と判定する。この場合、常欠陥画素については隣接上下4画素(正常画素として判定された検出欠陥画素を含む)からの補完が行われるが、常欠陥画素に隣接する検出欠陥画素については補完処理は行われない。これは、つまり図2(d)に示すように、常欠陥画素に隣接する検出欠陥画素は常欠陥画素の情報提供対象画素として使用するが、検出欠陥画素についてはあくまで正常画素として扱い、その補完処理は行わないことを意味している。
【0028】
なお、検出欠陥の欠陥画素候補同士が隣接して存在する場合には、それらのうちいずれか1つの(任意の、または望ましくは欠陥の程度に応じてレベルがより大きい)欠陥画素候補のみを最終的な欠陥画素として扱えば良い。また、常欠陥に関しては全て孤立欠陥であることが保証されているものとする。
【0029】
以下、図3のフローチャートを参照して、本実施形態の画素欠陥の検出と補償に直接関わる処理を中心にシステムコントローラ112によるカメラ制御の動作を説明する。ただし、本カメラにおいて信号レベルのディジタル処理は8ビット(0〜255)で行われるものとする。また後に特記する部分を除いては常温を仮定して説明する。
【0030】
まず、撮影に先立ってマニュアル設定または測光結果に基づいて撮影に必要な露光時間Ttotalが設定される(ステップS101)。これが本カメラにおける標準露光時間Tstd(任意に設定可能であるがこの例では1/15秒とする)以下であるかどうかを判断する(ステップS102)。
【0031】
(1)Ttotal ≦ Tstdの場合は特に従来技術と変わりなく本撮影の撮影トリガー指令を待機し、指令を受けて所定の露出制御値に基いた露光を行ない、撮像信号を読み出すという本撮像処理を行う(ステップS103)。そして、上記▲1▼に対応する常欠陥画素についてのみの画素欠陥補償処理を施した後に(ステップS104)、メモリカード110に記録する(ステップS105)。
【0032】
(2)Ttotal > Tstdの場合はまず本撮影に先立って、具体的には撮影トリガー指令を受けた時点で、まず露出制御機構103に含まれるシャッタ装置で撮像素子105の受光面を遮光した状態でテスト撮像を行なう(ステップS106)。すなわち画素欠陥情報取得部112aの制御の下に、暗黒下でCCDドライバ106により所定露出時間Ttest=5×Tstdの電荷蓄積動作を行なってテスト撮像信号(暗出力信号)を読み出し、ディジタルプロセス108に取り込む。そして、欠陥画素検出部112bによって欠陥画素候補の検出が行われる(ステップS107)。ここでは、取り込んだ全データのうち少なくとも常欠陥画素を除いた有効出力画素に関して各出力レベルを調べて基準レベルとディジタル比較を行なうことで欠陥(の候補)であるか否かの判定を行なう。判定基準は以下のようなものである。
【0033】
すなわち着目画素の出力レベルがSであったとして
S >38×Ttest/Ttotal
の場合には欠陥候補、それ以外(S ≦ 38×Ttest/Ttotal)の時には非欠陥とするものである。
【0034】
この意味は暗出力はほぼ蓄積時間に比例するとして、本撮像時の暗出力レベルを38以下(フルレンジ255の約15%)までは許容するとしたものである。ここで出力レベル38(約15%)という判定基準レベルはもとより唯一絶対的なものではなく、設計時に事情に合わせて任意に設定し得るものであるが、上記程度以下の適当な値(他に例えば約10%とか5%なども有効)を選んでおけば画像に重畳される暗出力の影響の顕在化可能性は充分低くなる。またこれを0%に選べば暗出力が重畳された画素を完全に排除することが可能でありこの点ではこれも一つの好適実施例として挙げ得るが、これは逆に見れば僅かな暗信号の重畳のためにその画素情報を完全に廃棄することを意味するから、却って総合画質を低下させることにもなる場合もある。現実にはこれらのトレードオフ要素を勘案して基準レベルを設定する。
【0035】
次に、上記欠陥画素を候補として、最終的な欠陥画素の判定を優先度に従って行なう(ステップS108)。この意味では上記常欠陥も検出欠陥も基本的には同様に欠陥画素の候補である。ただし、本実施形態では、上述したように、常欠陥は検出欠陥に対して優先する欠陥候補として扱うようになっており、また、カメラの製造工程において撮像素子の選別が行なわれており、常欠陥に関しては全て孤立欠陥だけとなっているものとする。従って常欠陥に関しては以下に示す判定条件を自動的に充たすことになり、特に判定の手順を実施することなく最終的な欠陥画素と判定することができる。
【0036】
少なくとも検出欠陥については以下のように判定を行なう。
【0037】
(1) 隣接画素のうちに常欠陥画素が存在する場合は、非欠陥画素(正常画素)と判定する。
【0038】
(2) 隣接画素のうちに欠陥画素が全く存在しない場合(孤立発生)は、最終的な欠陥画素と判定する。
【0039】
(3) (1)(2)いずれにも該当しない場合、すなわち隣接画素のうちに検出欠陥が存在した場合は、欠陥レベルを比較し、自身の欠陥レベルが他の全ての検出欠陥よりも大きい場合に限り最終的な欠陥画素と判定し、そうでない場合には非欠陥画素(正常画素)と判定する。
【0040】
以上の判定基準は言いかえれば
A:欠陥候補には優先順位が規定されている。
【0041】
B:優先規定は、種類と程度(ただし種類はレベルに優先的に適用)に応じ、種類は「常欠陥>検出欠陥」、程度は「レベル大>レベル小」である。
【0042】
C:隣接画素のうちに他の欠陥画素候補が存在した場合は、自己の優先順位が他の全てよりも大きい場合に限り欠陥画素と判定する。
【0043】
と概念整理することができる。
【0044】
なお、上記(3)のレベルに関する判定は実際にはシステムへの負担を大きくするおそれがあるから、上記(3)の判定を、
(3a) (1)(2)いずれにも該当しない場合は(1)と同様に非欠陥画素(正常画素)と判定する。
【0045】
と単純化しても良い。この場合は上記Bの優先規定を種類のみに限ったことに相当する。実際、このような単純化されたものでも、常欠陥画素のような欠陥レベルが最大級である欠陥画素の情報を他の画素への補完(充当)に使用するということが避けられるから、極めて大きな効果を発揮することができる。
【0046】
ここで、上記「隣接」という概念について確認すると、これは当該着目画素に対して他方の画素が補完のための情報提供対象画素で有る場合を意味している。つまり、一般に欠陥補償のための補完は画素の配列として隣接配置されたものによってなされるため、説明の便宜上「隣接」という用語を使用しているが、例えばカラー撮像素子においてはこれは当業者においては「同色画素のみの配列に関して隣接」と自明的に読み替えられるなど、一般的な語法に従うものであり、従って当該カメラの補完方法に応じても異なり得るものである。
【0047】
本実施形態においては補完方法は「最近接同色画素(同色の画素のうち、当該欠陥画素に最も近い4画素:カラー撮像素子におけるRGBベイヤ配列の場合を例示すればGに関しては斜め4方に隣接する4つのG画素、R(またはB)に関しては上下左右の4方向で直接隣接でなく間に1つのGを挟んで次に位置する各4つのR(またはB)画素)たる4画素情報の平均値を代替適用する」ものが採用されており、これに対応して、上記「隣接」画素とは上記最近接同色画素のことを意味するものである。(従って、モノクロ撮像素子の場合は実際に隣接している上下左右の4画素が該当することは、既に図2を用いて説明したとおりである。)
次に、上記のように求められた、常欠陥を含む最終的な欠陥画素のアドレスを、後の欠陥補償で使用するべくディジタルプロセス108の適当な領域に格納する。(または一旦EEPROM118に格納してから用いても良い。また格納データは検出欠陥アドレスのみとし、欠陥補償に際して改めてEEPROM118に格納されている常欠陥アドレスデータと統合して使用しても良い。)
そして上記のように欠陥画素のアドレスデータを得た後には、(1)の撮影トリガー指令後と全く同様に所定の露出制御値に基いたすなわち露光時間Ttotalの本撮像を行ない、撮像信号を読み出してディジタルプロセス108に取り込む(ステップS109)。この後、上記した「最近接同色4画素の平均値補完」による画素欠陥補償処理が行われる(ステップS110)が、上記した最終欠陥画素の判定によって、隣接画素には欠陥画素が含まれないようになっているから、このような、画素ごとの条件判断を要しない単純な補完を用いることができるとともに、システム上露光時間に制限を設ける必要もない。そして画素欠陥補償された後の画像がメモリカード110に記録される(ステップS111)。
【0048】
なお、欠陥補償後において記録に至るまでの映像信号処理は(1)(2)共通に処理されるが、この後段の回路における処理は、その必要に応じて適宜使用されるそれ自体は公知の、例えば色バランス処理、マトリクス演算による輝度−色差信号への変換あるいはその逆変換処理、帯域制限等による偽色除去あるいは低減処理、γ変換に代表される各種非線型処理、各種情報圧縮処理、等々である。
【0049】
上記実施形態によれば、所定の標準露光時間Tstd以下の通常の露光時間に対してはテスト撮像を行なう必要が無く(従ってテスト撮像に伴うタイムラグの発生等が無く)従来と同等の画素欠陥補償を行なった高画質な画像を得ることができると同時に、そのままでは画質劣化を生じる長時間露光に対してはテスト撮像によってその時点の状況に応じた欠陥画素を検出して適切な画素欠陥補償を行なった高画質な画像を得ることができる。その際、欠陥画素が隣接することによる問題は生じないようにされているから、補完方法が単純化できると同時に、露光時間自体に制限を設ける必要もなくすことができる。
【0050】
なおかつこれらの状況判断は全て自動的に行なわれテスト撮像時間も実際の長時間撮影の撮像時間によらずに短時間(例えば1/3秒)の固定時間で実行できるから、撮影操作に不便や違和感を生じない。また、テスト撮像のタイミングが従来例のような電源投入時ではなく本撮像直前であるから、例えば電源投入後の時間経過による内部温度上昇の影響等も含めて実際に使用する状況に応じた誤動作の無い補償を行なうことができる。
【0051】
なお、上記においては説明を明瞭にするために電荷蓄積時間と露光時間とを同一視しているが、厳密にはメカニカルシャッタを用いて露光開始前から電荷蓄積を開始する場合や、あるいは露光完了してから所定時間後に電荷を転送路に移送したり蓄積電荷を転送路に移送した後所定時間後に転送開始するいわゆる遅延読み出しの手法を用いる場合などこの両者は必ずしも一致しないことがある。しかし、この両者の差はいずれもシステムコントローラ112が管理認識しているものであるから、必要に応じてこの差を具体的に考慮して上記実施形態を適用すれば良いものである。
【0052】
また、優先順位における欠陥の種類については、上記では常欠陥と検出欠陥によって判断したが、これらとは独立な概念として、(ア)暗時白欠陥(上記例での対象となっている、暗電荷重畳等による白欠陥)と(イ)明時暗欠陥(光に感応しない画素欠陥)、(ウ)明時白欠陥(遮光不良等による異常高感度)などによって優先度を判断することも好適である。一例を示せばその視認性の高さに応じて(ア)>(イ)>(ウ)の優先度としたものは、好適な実施形態の一つである。
【0053】
さらに上記以外にも様々な実施形態が考えられる。
【0054】
上記では常温を仮定して説明してきたが、本発明は温度変化に対してもそのまま有効であることは説明を要しないであろう。すなわち温度が上昇して暗電流が増加しても、上記実施形態のようにテスト撮像を行なってその時の(温度上昇の影響も含んだ)欠陥画素を検出して本撮像時に欠陥補償を行なうから、画質破綻を来たすことなく撮像できる。ただ、上記例では標準露光時間Tstdを境にテスト撮像の実行を判断していたから、温度上昇によって欠陥が増えTstd以下であってもテスト撮像を行なうべきケースが発生したときこれに対応できない可能性がある。しかしこれは例えば「始めからTstdおよび常欠陥画素の設定を温度上昇時の欠陥発生を前提に行なう」「温度センサ119の検出値によってTstdを変化させる」「Ttotalの値によらず常にテスト撮像を行なう」などの対応によって解決を図ることができる。
【0055】
以上本発明の実施形態を具体的に挙げたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、画素欠陥補償における欠陥画素の大量発生に伴う問題点を解決できるようになり、画質劣化の程度を最低限に抑えつつ長時間撮影などの撮影条件の限界を延ばすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子カメラの構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態で用いられる画素欠陥補償の原理を説明するための図。
【図3】同実施形態で用いられる画素欠陥の検出と補償に関わる処理動作を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
101…レンズ系
102…レンズ駆動機構
103…露出制御機構
104…フィルタ系
105…CCDカラー撮像素子
106…CCDドライバ
107…プリプロセス部
108…デジタルプロセス部
109…カードインターフェース
110…メモリカード
111…LCD画像表示系
112…システムコントローラ(CPU)
112a…画素欠陥情報取得部
112b…欠陥画素検出部
113…操作スイッチ系
114…操作表示系
115…レンズドライバ
116…ストロボ
117…露出制御ドライバ
118…不揮発性メモリ(EEPROM)
119…温度センサ

Claims (4)

  1. 撮像素子と、前記撮像素子に対する露光を制御可能な露出制御手段と、前記撮像素子における電荷蓄積時間を制御可能な蓄積時間制御手段と、前記露出制御手段および前記蓄積時間制御手段とを制御して前記撮像素子の所定の動作状況における画素欠陥に関する情報を取得する画素欠陥情報取得手段と、前記画素欠陥情報取得手段が取得した画素欠陥情報に基づいて欠陥画素を検出する欠陥画素検出手段とを具備し、
    前記欠陥画素検出手段は、互いに隣接しない孤立の欠陥画素候補を欠陥画素として検出するとともに、本撮影に先立って画素欠陥の検出を行なった結果の検出欠陥画素に隣接する画素のうちに、カメラの製造工程において予めメモリに記憶された常欠陥画素が存在する場合は、該検出欠陥画素を非欠陥画素として検出することを特徴とする撮像装置。
  2. 前記欠陥画素検出手段は、検出欠陥画素に隣接する画素のうちに検出欠陥画素が存在した場合は、欠陥レベルを比較し、自身の欠陥レベルが他の全ての検出欠陥画素の欠陥レベルよりも大きい場合に限り最終的な欠陥画素と判定し、そうでない場合には非欠陥画素とするように構成されたものであることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
  3. 前記欠陥画素検出手段によって検出された欠陥画素の情報に基づいて、本撮像時に前記撮像素子より得られる画像データの欠陥を補償することを特徴とする請求項1または2記載の撮像装置。
  4. 前記欠陥画素情報取得手段は、前記露出制御手段により前記撮像素子に対する露光を遮断した状態で前記撮像素子における電荷蓄積および読み出し動作を実行するテスト撮像手段を有し、前記テスト撮像手段によって実行されたテスト撮像によって得られた撮像素子出力レベルを前記欠陥画素に関する情報として取得するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の撮像装置。
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