まず、図1を参照し、本発明の概念について説明する。同図において、遠隔制御装置は、アクセサリー(ACC)ライン、イグニッション(IG)ライン、スタータ1(ST1)ラインおよびスタータ2(ST2)ラインからなるイグニッション系ラインを有する。
アクセサリーラインは、車載電気機器に電源を供給する経路であり、アクセサリースイッチSWaによって制御される。イグニッションラインは点火制御装置に電源を供給する経路であり、イグニッションスイッチSWiによって制御される。
スタータ2ラインは、エンジンの始動装置(セルモータ)に電源を供給する経路であり、スタータスイッチSWs2によって制御される。さらに、スタータ1ラインは、エンジンの始動制御に関する情報を他の装置の制御用に供給する経路であり、スタータスイッチSWs1によって制御される。
また、サブリレーRL1は、アクセサリースイッチSWa、イグニッションスイッチSWiへの通電を切断するフェイルセーフ機構であり、サブリレーRL2は、スタータスイッチSWs1およびスタータスイッチSWs2への通電を切断するフェイルセーフ機構である。
そして、駆動出力部15は、バッテリ22の電圧を用いてアクセサリースイッチSWa、イグニッションスイッチSWi、スタータスイッチSWs1、スタータスイッチSWs2、サブリレーRL1、サブリレーRL2のオンオフ制御を実行する手段である。
さらに、各スイッチに対して溶着判定やオープン判定を行なうため、出力モニタ部16がアクセサリースイッチSWa、イグニッションスイッチSWi、スタータスイッチSWs1、スタータスイッチSWs2からなるイグニッション系スイッチの出力を取得している。
具体的には、出力モニタ部16は、アクセサリースイッチSWaの出力を端子16cで、イグニッションスイッチSWiの出力を端子16dで、スタータスイッチSWs1の出力を端子16eで、スタータスイッチSWs2の出力を端子16gで、それぞれ取得する。
スタータ1ラインとスタータ2ラインの双方を用いる車両にこの遠隔始動装置を搭載する場合にはスタータスイッチSWs1が必要であり、出力モニタ部16はスタータスイッチSWs1の出力を端子16eで取得する。
しかし、スタータ2ラインのみを使用する(スタータ1ラインを使用しない)車両にこの遠隔始動装置を搭載する場合、スタータスイッチSWs1は不要となる。そこで、本発明では、スタータスイッチSWs1不要時にはスタータスイッチSWs1を省略することで、コストの削減を実現する。
さらに、スタータスイッチSWs1を省略する場合、補助回路18を介して端子16eをスタータスイッチSWs2に接続する。そのため、端子16eからスタータスイッチSWs1の出力ではなくスタータスイッチSWs2の出力、すなわち端子16gと同一の出力が得られることとなる。
このように、スタータスイッチSWs1を削除した場合には、他のスイッチ(ここではスタータスイッチSWs2)の状態をスタータスイッチSWs1の状態として入力することにより、スタータスイッチSWs1の状態判定を仮想的に実行可能とし、エラーの発生を回避することができる。
つづいて、本発明の実施例にかかる遠隔始動装置の具体的な構成例について説明する。まず、図2にスタータ1ラインが必要である場合の構成図を示す。同図に示すように、遠隔始動装置10は、バッテリ22、ドア開閉スイッチ23、ドアロックスイッチ24、ボンネットスイッチ25、アンテナ29、スタータリレー31およびハザードランプ33に接続するとともに、シフトポジション26およびエンジン回転数27のデータを取得している。
また、バッテリ22は、イグニョン(IG)キースイッチ21にさらに接続し、スタータリレー31は、スタータモータ32に接続している。
IGキースイッチ21は、運転者がイグニッションキーを挿入し、手動で操作することによってアクセサリーライン、イグニッション1ライン、スタータ1ライン、イグニッション2ライン、スタータ2ラインの制御を行なう。なお、ここではスタータラインに加えてイグニッションラインも2系統備える場合の構成を示している。
イグニッションラインを2系統備えているのは、一方がエンジン制御に関係するECUに信号を入力させるためで、他方はエンジン制御以外のECU(例えばワイパーやドアロックを制御するECU)に信号を入力させるためである。それによって、エンジン制御ECU以外に何らかのトラブルがあってもエンジン制御ECUに問題がないようにすることができる。
ドア開閉スイッチ23は、車両のドアの開閉状態に対応するスイッチであり、ドアロックスイッチ24は車両のドアの施錠状態に対応するスイッチである。また、ボンネットスイッチ25は、ボンネットの開閉状態に対応するスイッチである。
アンテナ29は、運転者が所持する送信機28(例えばリモートキー)からの信号を受信して、遠隔始動装置10に出力する。また、スタータリレー31は、スタータ2ラインに接続され、エンジン始動時にスタータモータ32を動作させる制御スイッチである。ハザードランプ33は、左右の方向指示灯の同時点滅によって自車両の挙動に関する周辺への警告を行なうものであるが、本実施例では遠隔始動の制御結果について運転者に通知する通知手段として利用する。
遠隔始動装置10は、主制御部11、受信処理部12、入力処理部13、電源供給部14、駆動出力部15、出力モニタ部16、出力処理部17、サブリレーRL1、サブリレーRL2、イグニッション系スイッチ(アクセサリー(ACC)スイッチSWa、イグニッション(IG)スイッチSWi1,SWi2、スタータ(ST)スイッチSWs2)および外部接続端子19を有する。
外部接続端子19は、図2においては、外部に設けたスタータスイッチSWs1に接続している。このようにスタータスイッチSWs1を外部に設けるのは、スタータスイッチSWs1が必要である場合にのみ設置可能とするためである。
遠隔始動装置10は、アクセサリースイッチSWa、イグニッションスイッチSWi1,SWi2、スタータスイッチSWs1,SWs2を制御することでIGキースイッチ21の機能を代替することができる。
受信処理部12は、アンテナ29が受信した信号を主制御部11に出力する。また、入力処理部13は、ドア開閉スイッチ23、ドアロックスイッチ24およびボンネットスイッチ25の状態、シフトポジション26およびエンジン回転数27を主制御部11に出力する。
電源供給部14は、駆動出力部15によるアクセサリースイッチSWa、イグニッションスイッチSWi1,SWi2、スタータスイッチSWs1,SWs2、サブリレーRL1、サブリレーRL2のオンオフ制御に必要な電力をバッテリ22から取得して供給する。また、出力処理部17は、ハザードランプ33の制御を実行する手段である。
出力モニタ部16は、サブリレーRL1,RL2、アクセサリースイッチSWa、イグニッションスイッチSWi、スタータスイッチSWsの出力をモニタし、主制御部11に出力する。
具体的には、出力モニタ部16は、サブリレーRL1の出力を端子16aで、サブリレーRL2の出力を端子16bで取得する。また、アクセサリースイッチSWaの出力を端子16cで、イグニッションスイッチSWi1の出力を端子16dで、スタータスイッチSWs1の出力を端子16eで、イグニッションスイッチSWi2の出力を端子16fでスタータスイッチSWs2の出力を端子16gで、それぞれ取得する。
主制御部11は、遠隔始動装置10を全体制御する制御部であり、受信処理部12、入力処理部13、出力モニタ16からの信号入力に基づいて駆動出力部15および出力処理部17への信号出力を実行する。
具体的には、主制御部11は、受信処理部12が送信機28から遠隔始動指示を受信した場合にアクセサリースイッチSWa、イグニッションスイッチSWi1,SWi2、スタータスイッチSWs1,SWs2を制御して始動制御を実行する。なお、入力処理部13からの信号入力がドアの開放やロックの開放、ボンネットの開放などを示している際には、始動制御を行なわない。同様に、シフトポジション26が「パーキング」以外である場合にも、始動制御は行なわない。
また、エンジン回転数27は、スタータスイッチSWs2のオン制御後、エンジンが始動したか否かの判定に使用する。また、「遠隔始動後、暖気終了時点でエンジンを切る」制御を行なう際に、エンジンの暖気が終了したか否かの判定に使用することもできる。
つぎに、スタータ1ラインが不要である場合の構成図を図3に示す。図2に示した構成では、外部端子19にスタータスイッチSWs1を接続していたが、図3に示す構成では、外部端子19を補助回路18を介してスタータ2ラインに接続している。その他の構成については図2と同一である。
このように、外部接続端子18の接続先を変更するのみで、簡易に構成の切り替えが可能である。また、スタータ1ラインが不要である場合には、スタータスイッチSWs1自体を省略することができ、コストの削減を行なうことができる。
つづいて、各スイッチに対する制御出力と各スイッチの状態について図4〜7を参照して説明する。まず、スタータスイッチSWs1を接続した場合について、図4を参照して説明する。尚、図4〜7では、IG1とIG2の信号が同期していないが、これは一方のイグニッションラインで周辺機器のIGをONまたはOFFさせて動作させてから、他方のイグニッションラインでエンジン系ECUのIGをONまたはOFFさせて、確実にエンジン系のECUと周辺機器を協調動作させるためである(周辺機器より確実にエンジン系ECUに信号を入力させるため)。
時刻T100において送信機28から遠隔始動指示(エンジンスタータ開始信号)を受信すると、主制御部11は、サブリレーRL1とサブリレーRL2の溶着判定を実行し、溶着していなければサブリレーRL1およびサブリレーRL2に対してオン制御を行なう(時刻T101)。
つぎに、アクセサリースイッチSWs、イグニッションスイッチSWi1,SWi2、スタータスイッチSWs1,SWs2の溶着判定を実行して、時刻T102にアクセサリースイッチSWaに対するオン制御を行なう。また、アクセサリースイッチSWaに対するオン制御後、所定時間経過してから、アクセサリースイッチSWaがオン制御に対応して正しくスイッチがオン状態になったかの判定(アクセサリースイッチSWaのオープン判定)を行なう。この所定時間は、アクセサリースイッチSWaがオフからオンに切換わることに伴い発生するチャタリングによる誤判定を防止するために設けられる。同様に、図4において各制御出力がオフからオン、またはオンからオフに切換わった後、溶着判定またはオープン判定が開始されるまでのディレー時間は、このスイッチ変化によるチャタリングを考慮したものである。
つづいて、時刻T103にイグニッションスイッチSWi1に対してオン制御を行なうとともに、イグニッションスイッチSWi1のオープン判定を行なう。さらに、時刻T104にイグニッションスイッチSWi2に対してオン制御を行なうとともに、イグニッションスイッチSWi2のオープン判定を行なう。
そして、時刻T105にアクセサリースイッチSWaに対するオフ制御を実行し、所定時間後にアクセサリースイッチSWaの溶着判定を行なう。この時の所定時間は、アクセサリースイッチSWaがオフとなった後、残留電荷の影響を除去するために必要な時間、例えばコンデンサの放電に要する時間を考慮したものである。その後、時刻T106にスタータスイッチSWs2に対するオン制御を実行し、スタータスイッチSWs2のオープン判定を行なう。さらに、時刻T107にスタータスイッチSWs1に対するオン制御を実行し、スタータスイッチSWs1のオープン判定を行なう。
その後、スタータスイッチSWs2のオン制御によってエンジンが始動されるので、時刻T108にスタータスイッチSWs1を、時刻T109にスタータスイッチSWs2を、それぞれオフ制御し、各スタータスイッチの溶着判定を行なう。また、時刻T110にアクセサリースイッチSWaに対するオン制御を実行する。
以降、各スイッチに対しては通常の制御を行なう。同図においては、送信機28から遠隔始動終了指示(エンジンスタータ終了信号)を受信したことに伴い、時刻T111にイグニッションスイッチSWi2を、時刻T112にイグニッションスイッチSWi1を、それぞれオフ制御している。また、時刻T113にアクセサリースイッチSWaに対してオフ制御し、時刻T114においてサブリレーRL1およびサブリレーRL2に対してオフ制御している。
ここで、スタータスイッチSWs2に対するオン制御(時刻T106)によって出力モニタ部16が取得するスタータスイッチSWs2の状態(端子16gに入力されるスイッチの状態)は「オン状態」となり、スタータスイッチSWs2に対するオフ制御(時刻T109)によって出力モニタ部16が取得するスタータスイッチSWs2の状態は「オフ状態」となる。すなわち、スイッチに対する制御状態とスイッチの状態とが一致する。
同様に、スタータスイッチSWs1に対するオン制御(時刻T107)によって出力モニタ部16が取得するスタータスイッチSWs1の状態(端子16eに入力されるスイッチの状態)は「オン状態」となり、スタータスイッチSWs1に対するオフ制御(時刻T108)によって出力モニタ部16が取得するスタータスイッチSWs2の状態は「オフ状態」となる。すなわち、スイッチに対する制御状態とスイッチの状態とが一致する。
ここで、スタータスイッチSWs1を単純に削除した場合、各スイッチに対する制御出力と各スイッチの状態は図5のようになる。同図において、各スイッチに対する制御は図4と同一である。
スタータスイッチSWs1が存在しないため、スタータスイッチSWs1に対するオン制御(時刻T107)を行ったとしても、出力モニタ部16が取得するスタータスイッチSWs1の状態(端子16eに入力されるスイッチの状態)は「オフ状態」のままである。そのため、主制御部11は、スタータスイッチSWs1にオープン故障が生じていると判定することになる。
そこで、図3に示したように外部接続端子19をスタータ2ラインに接続すると、各スイッチに対する制御出力と各スイッチの状態は図6のようになる。なお、同図においても、各スイッチに対する制御は図4と同一である。
外部接続端子19をスタータ2ラインに接続しているため、スタータスイッチSWs2に対するオン制御(時刻T106)によって出力モニタ部16が取得するスタータスイッチSWs2の状態(端子16gに入力されるスイッチの状態)に加え、端子16gに入力されるスイッチの状態も「オン状態」となり、スタータスイッチSWs2に対するオフ制御(時刻T109)によって(端子16gに入力されるスイッチの状態)に加え、端子16gに入力されるスイッチの状態も「オフ状態」となる。
したがって、図5ようにスタータスイッチSWs1にオープン故障が発生したとの判定が行なわれることはない。ところが、スタータスイッチSWs1をオンからオフに切換えた後、溶着判定を開始するまでの時間(時刻T108から時刻T109)と、スタータスイッチSWs2をオンからオフに切換えた後、溶着判定を開始するまでの時間(時刻T109から時刻T110)とは、共にチャタリングを防止する目的のため同じ長さに設定される。そして、スタータスイッチSW1のオフ制御がスタータスイッチSW2のオフ制御に比して早いことから、スタータスイッチSWs1に対する溶着判定のタイミングがスタータスイッチSWs2に対する溶着判定のタイミングに比して早くなり、その結果スタータスイッチSWs1に溶着故障が発生しているとの判定が出る。
そこで遠隔始動装置10では、スタータスイッチSWs1の判定タイミングを他のイグニッション系スイッチ(具体的には、スタータスイッチSWs1のモニタ用の端子に接続されたスイッチ)の判定タイミングに合わせるように予め設定している。
例えば、本実施例に示したようにスタータスイッチSWs2を端子16eに接続する場合には、主制御部11は、オープン判定や溶着判定を行なう判定制御部11によって、スタータスイッチSWs1に対する判定のタイミングを変更し、スタータスイッチSWs2の判定タイミングに合わせる。
その結果、各スイッチに対する制御出力と各スイッチの状態は図7のようになる。同図においても各スイッチに対する制御は図4と同一であるが、スタータスイッチSWs1に対する判定のタイミングをスタータスイッチSWs2の判定タイミングに合わせたことによってオープン故障の判定も溶着故障の判定も回避することができる。
このように、判定のタイミングを変更することによって、制御出力が同一であったとしても、車両側の構成に関わらず使用することができ、簡易に汎用性を向上することが可能となる。
なお、判定タイミングを変更する場合、接続先のスイッチ(ここではスタータスイッチSWs2)に自動的に合わせるようにしてもよいし、接続先のスイッチと本来のスイッチここではスタータスイッチSWs1)のうち、判定タイミングの遅いほうに合わせるようにしてもよい。
つぎに、遠隔始動装置10の処理動作について説明する。図8は、遠隔始動装置10が送信機28から遠隔始動指示を受信した場合に実行する処理を説明するフローチャートであり、同図に示した処理フローは、遠隔始動装置10による始動制御中に繰り返し実行される。
図8に示すように、遠隔始動装置10は遠隔始動指示を受信した場合に、まずサブレリーRL1およびRL2をオンにする(ステップS101)。つづいてACCライン(アクセサリースイッチSWa)の1回目のオン制御(ステップS102)、IG1ライン(イグニッションスイッチSWi1)のオン制御(ステップS103)、IG2ライン(イグニッションスイッチSWi2)のオン制御(ステップS104)を行なう。
そしてACCラインの1回目のオフ制御(ステップS105)を行った後、ST2ライン(スタータスイッチSWs2)のオン制御(ステップS106)およびST1ライン(スタータスイッチSWs1)のオン処理(ステップS107)を行う。
さらに、ST1ライン(スタータスイッチSWs1)のオフ制御(ステップS108)およびST2ライン(スタータスイッチSWs2)のオフ処理(ステップS109)を行なった後、ACCラインの2回目のオン制御(ステップS110)を行なって処理を終了する。
つづいて、図8に示した各処理について詳細に説明する。図9は、図8にステップS101として示したサブリレーRLオン制御における処理の詳細を説明するフローチャートである。この処理フローでは、遠隔始動装置10は、まず始動制御が許可されているか否かを判定する(ステップS201)。
その結果、始動制御が許可されている場合(ステップS201,Yes)、サブリレーRL1およびサブリレーRL2がともにオン状態であるか否かを判定する(ステップS202)。
サブリレーRL1,RL2がオン状態でない場合(ステップS202,No)、駆動出力部15によってサブリレーRL1のオン制御(ステップS203)およびサブリレーRL2のオン制御(ステップS204)を実行する。
そして、ACCオン1回目(図8におけるステップS102)の制御タイミングをセットする(ステップS205)とともに、サブリレーRL1,RL2の溶着判定を禁止(ステップS206)する。
また、ACCライン(アクセサリースイッチSWa)の溶着判定を許可し(ステップS207)、IG1ライン(イグニッションスイッチSWi1)およびIG2ライン(イグニッションスイッチSWi2)の溶着判定を許可し(ステップS208)、ST1ライン(スタータスイッチSWs1)およびST2ライン(スタータスイッチSWs2)の溶着判定を許可する(ステップS209)。
このステップS209終了後、もしくは始動制御が許可されていない場合(ステップS201,No)、またはサブリレーRL1,RL2がオン状態である場合(ステップS202,Yes)、遠隔始動装置10は、サブリレーRLオン処理を終了し、図8にステップS102として示したACCオン1回目の制御に移行する。
図10は、図8にステップS102として示したACCオン1回目の制御における処理の詳細を説明するフローチャートである。この処理フローでは、遠隔始動装置10は、まずACCオン1回目の制御タイミングであるか否かを判定する(ステップS301)。
その結果、ACCオン1回目の制御タイミングである場合(ステップS301,Yes)、遠隔始動装置10は、つぎに始動制御が許可されているか否かを判定する(ステップS302)。
そして始動制御が許可されている場合(ステップS302,Yes)、駆動出力部15によってACCスイッチSWaをオンし、ACCのオン出力を実行する(ステップS303)。
つぎに、IG1ラインのオン制御(図8におけるステップS103)の制御タイミングをセットする(ステップS304)とともに、ACCの溶着判定を禁止(ステップS305)する。同様に、IG1ラインおよびIG2ラインの溶着判定を禁止し(ステップS306)、ST1ラインおよびST2ラインの溶着判定を禁止する(ステップS307)。
その後、遠隔始動装置10は、ACCオープン判定の判定開始タイミングをセットする(ステップS308)。この判定の開始タイミングは、既に述べたようにスイッチ変化によるチャタリングを考慮して設定される。具体的には、ステップS303におけるACCオン制御から50ミリ秒後〜100ミリ秒後程度に設定することが好適である。以降、判定開始タイミングのセットを行なう場合には、同様にチャタリングを考慮してそのタイミングを設定するものとする。
ステップS308終了後、もしくはACCオン1回目の制御タイミングでない場合(ステップS301,No)、または始動制御が許可されていない場合(ステップS302,No)、遠隔始動装置10は、ACCオン1回目の制御を終了し、図8にステップS103として示したIG1ラインのオン制御に移行する。
図11は、図8にステップS103として示したIG1ラインのオン制御における処理の詳細を説明するフローチャートである。この処理フローでは、遠隔始動装置10は、まずIG1オンの制御タイミングであるか否かを判定する(ステップS401)。
その結果、IG1オンの制御タイミングである場合(ステップS401,Yes)、遠隔始動装置10は、つぎに始動制御が許可されているか否かを判定する(ステップS402)。
そして始動制御が許可されている場合(ステップS402,Yes)、駆動出力部15によってイグニッションスイッチSWi1をオンし、IG1のオン出力を実行する(ステップS403)。
つぎに、IG2ラインのオン制御(図8におけるステップS104)の制御タイミングをセットする(ステップS404)とともに、IG1ラインのオープン判定の判定開始タイミングをセットする(ステップS405)。
ステップS405終了後、もしくはIG1オンの制御タイミングでない場合(ステップS401,No)、または始動制御が許可されていない場合(ステップS402,No)、遠隔始動装置10は、IG1オンの制御を終了し、図8にステップS104として示したIG2ラインのオン制御に移行する。
図12は、図8にステップS104として示したIG2ラインのオン制御における処理の詳細を説明するフローチャートである。この処理フローでは、遠隔始動装置10は、まずIG2オンの制御タイミングであるか否かを判定する(ステップS501)。
その結果、IG2オンの制御タイミングである場合(ステップS501,Yes)、遠隔始動装置10は、つぎに始動制御が許可されているか否かを判定する(ステップS502)。
そして始動制御が許可されている場合(ステップS502,Yes)、駆動出力部15によってイグニッションスイッチSWi2をオンし、IG2のオン出力を実行する(ステップS503)。
つぎに、ACCラインの1回目のオフ制御(図8におけるステップS105)の制御タイミングをセットする(ステップS504)とともに、IG2ラインのオープン判定の判定開始タイミングをセットする(ステップS505)。
ステップS505終了後、IG2オンの制御タイミングでない場合(ステップS501,No)、もしくは始動制御が許可されていない場合(ステップS502,No)、遠隔始動装置10は、IG2オンの制御を終了し、図8にステップS105として示したACCオフ1回目の制御に移行する。
図13は、図8にステップS105として示したACCオフ1回目の制御における処理の詳細を説明するフローチャートである。この処理フローでは、遠隔始動装置10は、まずACCオフ1回目の制御タイミングであるか否かを判定する(ステップS601)。
その結果、ACCオフ1回目の制御タイミングである場合(ステップS601,Yes)、駆動出力部15によってACCスイッチSWaをオフし、ACCのオフ出力を実行する(ステップS602)。
そして、ST2ラインのオン制御(図8におけるステップS106)の制御タイミングをセット(ステップS603)し、ACCラインのオープン判定を禁止する(ステップS604)。
その後、遠隔始動装置10は、ACC溶着判定の判定開始タイミングをセットする(ステップS605)。この判定の開始タイミングは、既に述べたように残留電荷の影響を考慮して設定される。具体的な長さはコンデンサの容量などに依存するが、例えばステップS602におけるACCオフ制御から1秒後程度に設定することが好適である。以降、判定開始タイミングのセットを行なう場合には、同様に残留電荷を考慮してそのタイミングを設定するものとする。
ステップS605終了後、もしくはACCオフ1回目の制御タイミングでない場合(ステップS601,No)、遠隔始動装置10は、ACCオフ1回目の制御を終了し、図8にステップS106として示したST2ラインのオン制御に移行する。
図14は、図8にステップS106として示したST2ラインのオン制御における処理の詳細を説明するフローチャートである。この処理フローでは、遠隔始動装置10は、まずST2オンの制御タイミングであるか否かを判定する(ステップS701)。
その結果、ST2オンの制御タイミングである場合(ステップS701,Yes)、遠隔始動装置10は、つぎに始動制御が許可されているか否かを判定する(ステップS702)。
そして始動制御が許可されている場合(ステップS702,Yes)、駆動出力部15によってスタータスイッチSWs2をオンし、ST2のオン出力を実行する(ステップS703)。
つぎに、ST1ラインのオン制御(図8におけるステップS107)の制御タイミングをセットする(ステップS704)とともに、ST2ラインのオープン判定の判定開始タイミングをセットする(ステップS705)。
ステップS705終了後、もしくはST2オンの制御タイミングでない場合(ステップS701,No)、または始動制御が許可されていない場合(ステップS702,No)、遠隔始動装置10は、ST2オンの制御を終了し、図8にステップS107として示したST1ラインのオン制御に移行する。
図15は、図8にステップS107として示したST1ラインのオン制御における処理の詳細を説明するフローチャートである。この処理フローでは、遠隔始動装置10は、まずST1オンの制御タイミングであるか否かを判定する(ステップS801)。
その結果、ST1オンの制御タイミングである場合(ステップS801,Yes)、遠隔始動装置10は、つぎに始動制御が許可されているか否かを判定する(ステップS802)。
そして始動制御が許可されている場合(ステップS802,Yes)、駆動出力部15によってスタータスイッチSWs1をオンし、ST1のオン出力を実行する(ステップS803)。
つぎに、ST1ラインのオフ制御(図8におけるステップS108)の制御タイミングをセットする(ステップS804)とともに、ST1ラインのオープン判定の判定開始タイミングをセットする(ステップS805)。
ステップS805終了後、もしくはST1オンの制御タイミングでない場合(ステップS801,No)、または始動制御が許可されていない場合(ステップS802,No)、遠隔始動装置10は、ST1オンの制御を終了し、図8にステップS108として示したST1ラインのオフ制御に移行する。
図16は、図8にステップS108として示したST1ラインのオフ制御における処理の詳細を説明するフローチャートである。この処理フローでは、遠隔始動装置10は、まずST1オフの制御タイミングであるか否かを判定する(ステップS901)。
その結果、ST1オフの制御タイミングである場合(ステップS901,Yes)、駆動出力部15によってスタータスイッチSWs1をオフし、ST1のオフ出力を実行する(ステップS902)。
つぎに、ST2ラインのオフ制御(図8におけるステップS109)の制御タイミングをセット(ステップS903)するとともに、ST1ラインの溶着判定の判定開始タイミングをセットする(ステップS904)。ここで、ST1溶着判定の開始タイミングは、既に述べたようにST1オフ制御から所定時間後ではなく、ST2ラインの溶着判定の判定開始タイミングと同じ時刻に設定する。また、ステップS904の終了後、遠隔始動装置10は、ST1ラインのオープン判定を禁止する(ステップS905)。
ステップS905終了後、もしくはST1オフの制御タイミングでない場合(ステップS901,No)、遠隔始動装置10は、ST1オフの制御を終了し、図8にステップS109として示したST2ラインのオフ制御に移行する。
図17は、図8にステップS109として示したST2ラインのオフ制御における処理の詳細を説明するフローチャートである。この処理フローでは、遠隔始動装置10は、まずST2オフの制御タイミングであるか否かを判定する(ステップS1001)。
その結果、ST2オフの制御タイミングである場合(ステップS1001,Yes)、駆動出力部15によってスタータスイッチSWs2をオフし、ST2のオフ出力を実行する(ステップS1002)。
つぎに、ACCオン2回目(図8におけるステップS110)の制御タイミングをセット(ステップS1003)するとともに、ST2ラインの溶着判定の判定開始タイミングをセットする(ステップS1004)。ここで、ST2溶着判定の開始タイミングは、ステップS1002のST2オフ制御によって発生するチャタリングや残留電荷の影響を考慮して設定する。また、ステップS1004の終了後、遠隔始動装置10は、ST2ラインのオープン判定を禁止する(ステップS1005)。
ステップS1005終了後、もしくはST2オフの制御タイミングでない場合(ステップS1001,No)、遠隔始動装置10は、ST2オフの制御を終了し、図8にステップS110として示したACCオン2回目の制御に移行する。
図18は、図8にステップS110として示したACCオン2回目の制御における処理の詳細を説明するフローチャートである。この処理フローでは、遠隔始動装置10は、まずACCオン2回目の制御タイミングであるか否かを判定する(ステップS1101)。
その結果、ACCオン2回目の制御タイミングである場合(ステップS1101,Yes)、遠隔始動装置10は、つぎに始動制御が許可されているか否かを判定する(ステップS1102)。
そして始動制御が許可されている場合(ステップS1102,Yes)、駆動出力部15によってACCスイッチSWaをオンし、ACCのオン出力を実行する(ステップS1103)とともに、ACCの溶着判定を禁止(ステップS1104)する。
ステップS1104終了後、もしくはACCオン2回目の制御タイミングでない場合(ステップS1101,No)、または始動制御が許可されていない場合(ステップS1102,No)、遠隔始動装置10は、ACCオン2回目の制御を終了する。
つづいて、遠隔始動装置10による故障判定について説明する。図8〜18を用いて説明した始動制御処理は、送信機28から遠隔始動指示を受信した場合に実行する処理であるが、サブリレー、ACC、IG、STの故障判定は、それぞれメインルーチン内で定期的に実行する。
図19は、サブリレーRL1,RL2の故障判定における遠隔始動装置10の処理動作を説明するフローチャートである。同図に示すように、サブリレーの故障判定においては、まず、サブリレーRL1の出力取り込み(ステップS1201)およびサブリレーRL2の出力取り込み(ステップS1202)を実行する。
つぎに、遠隔始動装置10は、サブリレーRL1,RL2の溶着判定が許可されているか否かを判定する(ステップS1203)。その結果、サブリレーRL1,RL2の溶着判定が許可されていなければ(ステップS1203,No)、そのまま処理を終了する。
一方、サブリレーRL1,RL2の溶着判定が許可されているならば(ステップS1203,Yes)、遠隔始動装置10は、サブリレーRL1の溶着判定を行なう(ステップS1204)。さらにサブリレーRL1が溶着していなければ(ステップS1204,No)、つぎにサブリレーRL2の溶着判定を行なう(ステップS1205)。
そして、サブリレーRL2が溶着していなければ(ステップS1205,No)、そのまま処理を終了する。
一方、サブリレーRL1が溶着している場合(ステップS1204,Yes)、もしくはサブリレーRL2が溶着している場合(ステップS1205,Yes)には、遠隔始動装置10は、始動制御を禁止して(ステップS1206)、処理を終了する。
ここで、始動制御の禁止は、所定のフラグを立てることによって設定し、始動制御が許可されているか否かを判定する場合には、このフラグを参照すればよい。また、始動制御禁止に合わせてサブリレーRL1をオフにする制御を行なってもよい。以降、始動制御の禁止を行なう場合には、同様に所定のフラグを立てるものとし、またサブリレーRL1のオフ制御をおこなってもよいものとする。
つづいて、ACCの故障判定について説明する。図20は、ACCラインの故障判定における遠隔始動装置10の処理動作を説明するフローチャートである。同図に示すように、ACCの故障判定においては、まず、ACCラインの出力取り込み(ステップS1301)を実行する。
つぎに、遠隔始動装置10は、ACC溶着判定の開始タイミングであるか否かを判定し(ステップS1302)、その結果、ACC溶着判定の開始タイミングであるならば(ステップS1302,Yes)、ACCの溶着判定を許可する(ステップS1303)。
ステップS1303の後、もしくはACC溶着判定の開始タイミングではない場合(ステップS1302,No)、遠隔始動装置10は、ACC溶着判定が許可されているか否かを判定する(ステップS1304)。
そして、ACC溶着判定が許可されているならば(ステップS1304,Yes)、遠隔始動装置10は、ACCラインの溶着判定を行なう(ステップS1305)。その結果、ACCラインが溶着している(ステップS1305,Yes)ならば、始動制御を禁止する(ステップS1306)。
ステップS1306における始動制御禁止後、もしくはACC溶着判定が許可されていない場合(ステップS1304,No)、またはACCラインが溶着していない場合(ステップS1305,No)、つぎに遠隔始動装置10は、ACCオープン判定の開始タイミングであるか否かを判定する(ステップS1307)。
その結果、ACCオープン判定の開始タイミングであるならば(ステップS1307,Yes)、遠隔始動装置10は、ACCのオープン判定を許可する(ステップS1308)。
ステップS1308の後、もしくはACCオープン判定の開始タイミングではない場合(ステップS1307,No)、遠隔始動装置10は、ACCオープン判定が許可されているか否かを判定する(ステップS1309)。
そして、ACCオープン判定が許可されているならば(ステップS1309,Yes)、遠隔始動装置10は、ACCラインのオープン判定を行なう(ステップS1310)。その結果、ACCラインがオープン故障している(ステップS1310,Yes)ならば、始動制御を禁止して(ステップS1311)、処理を終了する。
一方、ACCオープン判定が許可されていない場合(ステップS1309,No)、またはACCラインがオープン故障していない場合(ステップS1310,No)、遠隔始動装置10は、そのままACC故障判定を終了する。
つづいて、IGの故障判定について説明する。図21〜22は、IGラインの故障判定における遠隔始動装置10の処理動作を説明するフローチャートである。図21に示すように、IGの故障判定においては、まず、IG1ラインの出力取り込み(ステップS1401)およびIG2ラインの出力取り込み(ステップS1402)を実行する。
つぎに、遠隔始動装置10は、IG1溶着判定が許可されているか否かを判定する(ステップS1403)。そして、IG1溶着判定が許可されているならば(ステップS1403,Yes)、IG1ラインの溶着判定を行なう(ステップS1404)。その結果、IG1ラインが溶着している(ステップS1404,Yes)ならば、始動制御を禁止する(ステップS1405)。
ステップS1405における始動制御禁止後、もしくはIG1溶着判定が許可されていない場合(ステップS1403,No)、またはIG1ラインが溶着していない場合(ステップS1404,No)、つぎに遠隔始動装置10は、IG2溶着判定が許可されているか否かを判定する(ステップS1406)。
そして、IG2溶着判定が許可されているならば(ステップS1406,Yes)、IG2ラインの溶着判定を行なう(ステップS1407)。その結果、IG2ラインが溶着している(ステップS1407,Yes)ならば、始動制御を禁止する(ステップS1408)。
ステップS1408における始動制御禁止後、もしくはIG2溶着判定が許可されていない場合(ステップS1406,No)、またはIG2ラインが溶着していない場合(ステップS1407,No)、つぎに遠隔始動装置10は、図22に示すようにIG1オープン判定の開始タイミングであるか否かを判定する(ステップS1409)。
その結果、IG1オープン判定の開始タイミングであるならば(ステップS1409,Yes)、遠隔始動装置10は、IG1のオープン判定を許可する(ステップS1410)。
ステップS1410の後、もしくはIG1オープン判定の開始タイミングではない場合(ステップS1409,No)、遠隔始動装置10は、IG1オープン判定が許可されているか否かを判定する(ステップS1411)。
そして、IG1オープン判定許可されているならば(ステップS1411,Yes)、遠隔始動装置10は、IG1ラインのオープン判定を行なう(ステップS1412)。その結果、IG1ラインがオープン故障している(ステップS1412,Yes)ならば、始動制御を禁止する(ステップS1413)。
ステップS1413における始動制御禁止後、もしくはIG1オープン判定が許可されていない場合(ステップS1411,No)、またはIG1ラインがオープン故障していない場合(ステップS1412,No)、遠隔始動装置10は、IG2オープン判定の開始タイミングであるか否かを判定する(ステップS1414)。
その結果、IG2オープン判定の開始タイミングであるならば(ステップS1414,Yes)、遠隔始動装置10は、IG2のオープン判定を許可する(ステップS1415)。
ステップS1415の後、もしくはIG2オープン判定の開始タイミングではない場合(ステップS1414,No)、遠隔始動装置10は、IG2オープン判定が許可されているか否かを判定する(ステップS1416)。
そして、IG2オープン判定が許可されているならば(ステップS1416,Yes)、遠隔始動装置10は、IG2ラインのオープン判定を行なう(ステップS1417)。その結果、IG1ラインがオープン故障している(ステップS1417,Yes)ならば、遠隔始動装置10は始動制御を禁止して(ステップS1418)、処理を終了する。
一方、IG2オープン判定が許可されていない場合(ステップS1416,No)、またはIG2ラインがオープン故障していない場合(ステップS1417,No)、遠隔始動装置10は、そのままIG故障判定を終了する。
つづいて、STの故障判定について説明する。図23〜24は、STラインの故障判定における遠隔始動装置10の処理動作を説明するフローチャートである。図23に示すように、STの故障判定においては、まず、ST1ラインの出力取り込み(ステップS1501)およびST2ラインの出力取り込み(ステップS1502)を実行する。
つぎに、遠隔始動装置10は、ST1溶着判定の開始タイミングであるか否かを判定し(ステップS1503)、その結果、ST1溶着判定の開始タイミングであるならば(ステップS1503,Yes)、ST1の溶着判定を許可する(ステップS1504)。
ステップS1504の後、もしくはST1溶着判定の開始タイミングではない場合(ステップS1503,No)、遠隔始動装置10は、ST1溶着判定が許可されているか否かを判定する(ステップS1505)。
そして、ST1溶着判定が許可されているならば(ステップS1505,Yes)、遠隔始動装置10は、ST1ラインの溶着判定を行なう(ステップS1506)。その結果、ST1ラインが溶着している(ステップS1506,Yes)ならば、サブリレーRL2をオフする(ステップS1507)とともに、始動制御を禁止する(ステップS1508)。
ステップS1508における始動制御禁止後、もしくはST1溶着判定が許可されていない場合(ステップS1505,No)、またはST1ラインが溶着していない場合(ステップS1506,No)、つぎに遠隔始動装置10は、ST2溶着判定の開始タイミングであるか否かを判定し(ステップS1509)、その結果、ST2溶着判定の開始タイミングであるならば(ステップS1509,Yes)、ST2の溶着判定を許可する(ステップS1510)。
ステップS1510の後、もしくはST2溶着判定の開始タイミングではない場合(ステップS1509,No)、遠隔始動装置10は、ST2溶着判定が許可されているか否かを判定する(ステップS1511)。
そして、ST2溶着判定が許可されているならば(ステップS1511,Yes)、遠隔始動装置10は、ST2ラインの溶着判定を行なう(ステップS1512)。その結果、ST2ラインが溶着している(ステップS1512,Yes)ならば、サブリレーRL2をオフする(ステップS1513)とともに、始動制御を禁止する(ステップS1514)。
ステップS1514における始動制御禁止後、もしくはST2溶着判定が許可されていない場合(ステップS1511,No)、またはST2ラインが溶着していない場合(ステップS1512,No)、つぎに遠隔始動装置10は、図24に示すようにST1オープン判定の開始タイミングであるか否かを判定し(ステップS1515)、その結果、ST1オープン判定の開始タイミングであるならば(ステップS1515,Yes)、ST1のオープン判定を許可する(ステップS1516)。
ステップS1516の後、もしくはST1オープン判定の開始タイミングではない場合(ステップS1515,No)、遠隔始動装置10は、ST1オープン判定が許可されているか否かを判定する(ステップS1517)。
そして、ST1オープン判定が許可されているならば(ステップS1517,Yes)、遠隔始動装置10は、ST1ラインのオープン判定を行なう(ステップS1518)。その結果、ST1ラインがオープン故障している(ステップS1518,Yes)ならば、サブリレーRL2をオフする(ステップS1519)とともに、始動制御を禁止する(ステップS1520)。
ステップS1520における始動制御禁止後、もしくはST1オープン判定が許可されていない場合(ステップS1517,No)、またはST1ラインがオープン故障していない場合(ステップS1518,No)、つぎに遠隔始動装置10は、ST2オープン判定の開始タイミングであるか否かを判定し(ステップS1521)、その結果、ST2オープン判定の開始タイミングであるならば(ステップS1521,Yes)、ST2のオープン判定を許可する(ステップS1522)。
ステップS1522の後、もしくはST2オープン判定の開始タイミングではない場合(ステップS1521,No)、遠隔始動装置10は、ST2オープン判定が許可されているか否かを判定する(ステップS1523)。
そして、ST2オープン判定が許可されているならば(ステップS1523,Yes)、遠隔始動装置10は、ST2ラインのオープン判定を行なう(ステップS1524)。その結果、ST2ラインがオープン故障している(ステップS1524,Yes)ならば、サブリレーRL2をオフする(ステップS1525)とともに、始動制御を禁止して(ステップS1526)、処理を終了する。
一方、ST2オープン判定が許可されていない場合(ステップS1523,No)、またはST2ラインがオープン故障していない場合(ステップS1524,No)、遠隔始動装置10は、そのままST故障判定を終了する。
このST故障判定において、図中に網掛けによって示したST1溶着判定開始タイミング(ステップS1503)とST2溶着判定タイミング(ステップS1509)は、既に述べたようにスタータスイッチSWs1が接続されない場合を想定し、スタータスイッチSWs2のオフ制御から所定時間後(すなわち同一のタイミング)に設定される。
なお、スタータスイッチSWs1の接続状態に基づいてST1溶着判定開始タイミングを決定してもよい。この場合、ST1溶着判定開始タイミングを決定する処理であるST1オフ制御は、図25のフローチャートに示した処理を用いる。
図25に示したST1オフ処理において、ST1オフの制御タイミングであるか否かを判定し(ステップS1601)、ST1オフの制御タイミングである場合(ステップS1601,Yes)に、ST1のオフ出力を実行し(ステップS1602)、ST2オフ制御のタイミングをセットする(ステップS1603)までは、図16に示したST1オフ処理のステップS901〜903と同様である。
そして、ST2オフ制御のタイミングセット(ステップS1603)後、ST1ラインが接続されているか否かを判定し(ステップS1604)、ST1ラインが接続されていなければ(ステップS1604,No)、ST1溶着判定開始タイミングをST2溶着判定タイミングと同じ時刻であるT2に設定する(ステップS1606)。
その一方、ST1ラインが接続されているならば(ステップS1604,Yes)、ST1溶着判定開始タイミングは、ステップS1602のST2オフ制御によって発生するチャタリングや残留電荷の影響を考慮した時刻T1に設定する(ステップS1605)。
そして、ST1溶着判定開始タイミングのセット(ステップS1605もしくはステップS1606)後、ST1ラインのオープン判定を禁止する(ステップS1607)。さらに、ステップS1607終了後、もしくはST1オフの制御タイミングでない場合(ステップS1601,No)、遠隔始動装置10は、ST1オフの制御を終了し、図8にステップS109として示したST2ラインのオフ制御に移行する。
このようにST1の接続状態に基づいてST1溶着判定タイミングを変更することで、ST1を接続した場合にも最適な判定タイミングを採ることができる。なお、ST1の接続状態は、ユーザが入力してもよいし、遠隔始動装置10が自動で判別してもよい。
図26にST1の接続状態を自動判別するST故障判定処理のフローチャートを示す。同図に示すSTの故障判定においては、まず、ST1ラインの出力取り込み(ステップS1701)およびST2ラインの出力取り込み(ステップS1702)を実行する。
そして、ST1オフからST1オンへの変化を検知したならば(ステップS1703,Yes)、さらにST2オフからST2オンへの変化があったか否かを判定する(ステップS1704)。
その結果、ST2オフからST2オンへの変化があった場合、すなわちST2の変化に応じてST1が変化した場合には、ST1接続フラグを「0」、すなわちST1が非接続状態であると判定する。なお、このST1接続フラグは初期値を「1」、すなわちST1接続状態としておく。
ステップS1705の終了後、もしくはST1オフからST1オンへの変化がない場合(ステップS1703,No)、またはST2オフからST1オンへの変化がない場合(ステップS1704)、図23に示したステップS1503に移行する。
このように、ST1とST2の出力を比較することで、ST1の接続状態を自動で判別することができる。
上述してきたように、本実施例にかかる遠隔始動装置では、外部接続端子18の接続先を変更するのみで、簡易に構成の切り替えが可能である。また、スタータ1ラインが不要である場合には、スタータスイッチSWs1自体を省略することができ、コストの削減を行なうことができる。
さらに、スイッチの状態判定のタイミングを変更することで、構成の変更に関わらず、また制御出力を変更することなく簡易かつ正確に判定を行なうことができる。
なお、本実施例ではスタータラインとイグニッションラインが2系統の車両に対応する遠隔始動装置を、スタータラインが1系統の車両に搭載する場合を例に説明を行なったが、本発明の利用はこれに限定されるものではなく、遠隔始動装置の制御ラインは任意の数で構成することができる。また、遠隔始動制御装置のイグニッションラインが車両側のイグニッションライン数を超える場合など、任意の制御ラインについて本発明を適用することができる。さらに、削除するスイッチの替わりに接続するラインは、同系統(実施例に示したようにスタータ1ラインをスタータ2ラインに接続する)に限定されるものではなく、任意の制御ラインに接続してよいものである。
また、本実施例では送信機28からの遠隔始動指示に基づいて始動制御を行なう遠隔始動装置を例に説明を行ったが、本発明の利用はこれに限定されるものではなく、設定されたスケジュールに基づく自動始動や、イグニッションキーを用いない車両の始動など、リレースイッチを用いた車両の始動制御に広く適用することができる。