JP4514893B2 - 階段へのレール取り付け構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、階段の傾斜に沿ってレールを配置し、このレールに沿っていすが昇降するいす式階段昇降機のような、レール取り付け部分に片寄った荷重がかかる条件に対して、強度的に優れた状態でレールを支持することができる階段へのレール取り付け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
いす式階段昇降機は、自力で階段の昇降が困難な人が、いすに座ったままで階段を昇降することができるようにするための装置であり、高齢化社会において益々重要になってきている。
【0003】
図7は、いす式階段昇降機を既設の木製階段に対して設置する構造を示し、階段Aの踏み板1上に所定の間隔で支柱2を立設し、この支柱2の一面側にレール3を階段Aの傾斜に沿うような配置で固定し、上記レール3にいす4が昇降するよう取り付けられている。
【0004】
このような、支柱2を用いたレール3の取り付け構造は、階段室における壁材Bの強度が十分でないことから、主流となっている。
【0005】
ところで、上記のようないす式階段昇降機は、レール3に対して壁材Bと反対側にいす4が昇降動するよう取り付けられるため、このレール3を支持する支柱2には、レール3といす4及び使用者の重量が片持ちの転倒モーメントとして作用する。このため、支柱2に引き抜き力が作用する側の踏み板1に対する固定には十分な強度が要求される。
【0006】
従来、階段Aの踏み板A上に木ねじを用いて支柱2を固定する場合、支柱2の下端に設けた固定ベース5を踏み板1上に重ね、木ねじを固定ベース5から踏み板1にねじ込んで固定するが、このとき、固定ベース5の引き抜き力が作用する壁材B側の固定には四本の木ねじを使用し、耐引き抜き力を得るようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般に既設の木製階段Aにおける踏み板1の幅は、150〜250mm程度であり、ここに四本の木ねじを幅方向に沿う配置でねじ込んで支柱2を固定することは、木ねじの配置間隔が狭くなり、踏み板1の割れや施工上の問題が起こることになる。
【0008】
そこで、この発明の課題は、木製階段に対する支柱の固定を、踏み板だけでなく上段の踏み板又は蹴上部に分散し、踏み板に対する木ねじのねじ込み数を減らしながら、全体としては引き抜き力が作用する壁側の固定に四本の木ねじを確保することができ、これによって、踏み板の割れや施工上の問題がない階段へのレール取り付け構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記のような課題を解決するため、請求項1の発明は、階段の踏み板上に支柱を起立状態で固定し、この支柱の一面側にレールを固定し、上記支柱の途中とこの支柱を固定した踏み板よりも上段の踏み板をブラケットで結合した階段へのレール取り付け構造において、上記支柱は、下端の固定ベースが平面的にレールを挟む両側の位置が階段の踏み板上に締結具で固定され、上記ブラケットは、踏み板に対して、平面的にレールを挟む両側の位置が締結具で固定されている構成を採用したものである。
【0010】
また、請求項2の発明は、階段の踏み板上に支柱を起立状態で固定し、この支柱の一面側にレールを固定し、上記支柱の途中とこの支柱を固定した踏み板の前面に起立する蹴上部をブラケットで結合した階段へのレール取り付け構造において、上記支柱は、下端の固定ベースが平面的にレールを挟む両側の位置が階段の踏み板上に締結具で固定され、上記ブラケットは、蹴上部に対して、平面的にレールを挟む両側の位置が締結具で固定されている構成を採用したものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0013】
図1乃至図4に示す第1の実施の形態において、階段Aの踏み板1上に所定の間隔で支柱11を立設し、この支柱11の一面側にレール12を階段Aの傾斜に沿うような配置で固定し、上記レール12にいすが昇降するよう取り付けられている。
【0014】
上記支柱11は、上下に長い角形の鋼管を用い、階段Aの壁板Bと反対側の面の上部にレール取り付け板13が固定され、支柱11の下端に矩形の固定ベース14が設けられている。
【0015】
この固定ベース14に対して支柱11は、図3のように、階段Aの壁板B側へ片寄った位置に起立固定され、レール取り付け板13に固定したレール12は、平面的に見て、固定ベース14の中間上に位置する配置となり、固定ベース14の壁板B側に、いすとレール12及び使用者の重量が片持ちの転倒モーメントとして引き抜き力が作用することになる。
【0016】
固定ベース14の四隅には、階段Aの踏み板1上に支柱11を固定する木ねじ15の挿通孔16が設けられている。従って、固定ベース14に対する木ねじ15の挿通孔16は、平面的にレール12を挟んで階段Aの壁板B側に二個と壁板Bと反対側に二個が配置され、各挿通孔16に挿入した木ねじ15を踏み板1にねじ込むことにより、踏み板1上に支柱11を起立状に固定することができる。
【0017】
上記支柱11の中間部に先端をボルト止めしたブラケット17が、支柱11を固定した踏み板1よりも一段上の踏み板1aに固定されている。このブラケット17の踏み板1aへの固定部分は、平面的に見てレール12を境として両側に張り出し、階段Aの壁板B側に二個と壁板Bと反対側に二個の木ねじ15の挿通孔18が設けられ、各挿通孔18に挿入した木ねじ15を踏み板1aにねじ込むことにより、踏み板1a上にブラケット17が固定される。
【0018】
このように、階段Aへの支柱11の固定において、引き抜き力が作用する壁板B側の固定が、固定ベース14の壁板B側の二本の木ねじ15と、ブラケット17の壁板B側の二本の木ねじ15の合計四本の木ねじ15で固定されることになり、従来と同じ合計数を確保することで耐引き抜き力を得ることができ、かつ、踏み板1の幅方向に対する木ねじのねじ込み数は二本となり、これによって、踏み板1に割れが発生するのを防止できる。
【0019】
図5と図6に示す第2の実施の形態は、支柱11自体の構造と階段Aの踏み板1上に対する支柱11の固定構造は上述した第1の実施の形態と同じであるが、支柱11の中間部に先端をボルト止めしたブラケット21が、支柱11を固定した踏み板1の前面に起立する蹴上部1bに木ねじ15で固定されている。
【0020】
このブラケット21の蹴上部1bに対する固定は、ブラケット21の端部に直角の配置で固定した取り付け板22を蹴上部1bに重ね、その両端部を木ねじ15のねじ込みで蹴上部1bに固定しており、この第2の実施の形態においても、支柱11の固定のための踏み板1の幅方向に対する木ねじ15のねじ込み数は二本となり、支柱11の中間に先端を固定したブラケット21を蹴上部1bに固定することにより、支柱11に対して片持ちの転倒モーメントに対する耐引き抜き力の補強を図ることができる。
【0021】
この発明のレール取り付け構造は、上記のような構成であり、木製階段Aの踏み板1上への木ねじによる支柱11の固定が、固定ベース14の四隅で行い、これにより、踏み板1の幅方向に対する木ねじのねじ込み数が二本になり、踏み板1に割れが発生するのを防止できると共に、支柱11の途中を、上段の踏み板1aにブラケット17で、また、踏み板1の前面に起立する蹴上部1bにブラケット21で固定することにより、支柱11にかかる片持ちの転倒モーメントに対する耐引き抜き力の補強を図ることができる。
【0022】
【発明の効果】
以上のように、この発明によると、階段の踏み板上に支柱を起立状態で固定し、この支柱の一面側にレールを固定し、上記支柱の途中と、この支柱を固定した踏み板よりも上段の踏み板または、踏み板の前面に起立する蹴上部をブラケットで固定した階段へのレール取り付け構造において、上記支柱は、下端の固定ベースが平面的にレールを挟む両側の位置が階段の踏み板上に締結具で固定され、上記ブラケットは、踏み板又は蹴上部に対して、平面的にレールを挟む両側の位置が締結具で固定されているようにしたので、ブラケットにより、支柱にかかる片持ちの転倒モーメントに対する耐引き抜き力の補強を図ることができ、これにより、踏み板上への木ねじによる支柱の固定が、踏み板の幅方向に対して木ねじのねじ込み数を二本にすることができ、木ねじのねじ込み数を削減することで踏み板に割れが発生するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態のレール取り付け構造を示す斜視図
【図2】同上の縦断正面図
【図3】同上の横断平面図
【図4】図2の矢印A−Aに沿う縦断側面図
【図5】第2の実施の形態のレール取り付け構造を示す縦断正面図
【図6】同上の横断平面図
【図7】いす式階段昇降機の構造を示す斜視図
【符号の説明】
A 階段
1 踏み板
1b 蹴上部
11 支柱11
12 レール
13 レール取り付け板
14 固定ベース
15 木ねじ
16 挿通孔
17 ブラケット
21 ブラケット

Claims (2)

  1. 階段の踏み板上に支柱を起立状態で固定し、この支柱の一面側にレールを固定し、上記支柱の途中とこの支柱を固定した踏み板よりも上段の踏み板をブラケットで結合した階段へのレール取り付け構造において、
    上記支柱は、下端の固定ベースが平面的にレールを挟む両側の位置が階段の踏み板上に締結具で固定され、上記ブラケットは、踏み板に対して、平面的にレールを挟む両側の位置が締結具で固定されていることを特徴とする階段へのレール取り付け構造。
  2. 階段の踏み板上に支柱を起立状態で固定し、この支柱の一面側にレールを固定し、上記支柱の途中とこの支柱を固定した踏み板の前面に起立する蹴上部をブラケットで結合した階段へのレール取り付け構造において、
    上記支柱は、下端の固定ベースが平面的にレールを挟む両側の位置が階段の踏み板上に締結具で固定され、上記ブラケットは、蹴上部に対して、平面的にレールを挟む両側の位置が締結具で固定されていることを特徴とする階段へのレール取り付け構造。
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