JP4513505B2 - 金属材の圧延機および圧延方法 - Google Patents
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Description
このような熱間圧延における鋼帯蛇行のメカニズムは、まず、板幅方向での板厚偏差や鋼帯がワークロールに対して板幅方向でどちらかに偏って圧延されるオフセンターなどが直接的な原因となって初期の蛇行が生じ、これにより左右の圧下荷重に差が生じて蛇行した側のロール間ギャップが開くことになるため、鋼帯も蛇行した側へさらに蛇行するという発散現象となり、蛇行量が次第に大きくなる。
また、実際に圧延機で蛇行制御を行う場合、制御周期には限界があるとともに、蛇行制御などでは制御のオーバーシュートなどへの配慮から制御ゲインが上げられないのが一般的であり、鋼帯が蛇行し始めても完全に蛇行を止めることができない。このため、手介入と呼ばれる圧延機オペレータの職人的な技術に頼らざるを得ず、十分に蛇行制御機能を活用できていないのが現実である。
[1]ワークロールとバックアップロールがロールチョックを介して両側のロール支持部に支持された金属材連続圧延用の圧延機において、
前記両側のロール支持部のワークロールチョック−バックアップロールチョック間に、少なくとも両ロールチョックを離間させる方向に駆動力を及ぼし得るように液圧シリンダを設置し、該液圧シリンダは、シリンダ本体内に作動液体を封じ込めることで所定の伸長状態を維持するための封入機構を有することを特徴とする金属材の圧延機。
[2]ワークロールとバックアップロールがロールチョックを介して両側のロール支持部に支持された金属材連続圧延用の圧延機において、
前記両側のロール支持部のワークロールチョック−バックアップロールチョック間に、少なくとも両ロールチョックを離間させる方向に駆動力を及ぼし得るように液圧シリンダを設置し、該液圧シリンダの可動部を機械的にロックするためのロック機構を有することを特徴とする金属材の圧延機。
[3]上記[1]の圧延機において、液圧シリンダの可動部を機械的にロックするためのロック機構を有することを特徴とする金属材の圧延機。
両側のロール支持部のワークロールチョック−バックアップロールチョック間に設置された液圧シリンダを、所定の略等しい伸長状態にしてこれを維持することにより、両側のロール支持部のワークロールチョック−バックアップロールチョック間を略等しい距離に保持する突っ張り手段とすることを特徴とする金属材の圧延方法。
図1は、本発明を熱間圧延設備の仕上圧延機に適用した場合の一実施形態を示す正面図である。
この圧延機(圧延スタンド)の基本構造は従来装置と同様であり、上下ワークロール1a,1bと、これらワークロールをそれぞれ上下で支持する上下バックアップロール2a,2bと、これら各ロールの両端部を支持するロール支持部6(ハウジング)を備えている。上下ワークロール1a,1b及び上下バックアップロール2a,2bは、各々の両ロール軸がロールチョック3,4(上ワークロールチョック3a,下ワークロールチョック3b,上バックアップロールチョック4a,下バックアップロールチョック4b)で支持され、これら各ロールのロールチョック3,4は、前記ロール支持部6内で上下方向スライド可能に保持されている。
なお、他の実施形態として、シリンダ本体50と駆動ロッド51を、それぞれロールチョック3,4に固定するようにしてもよい。
また、場合によっては、上記機械的なロック機構だけで、液圧シリンダ5を所定の伸長状態に保持するようにしてもよい。さらに、液圧シリンダ5内に作動流体を封じ込めるのではなく、液圧シリンダ5の液圧を所定圧力に設定し、圧力制御弁などを用いた圧力制御により、所定の保持力を得るようにしてもよい。
(a) 液圧シリンダにより、両ロール支持部6のロールチョック3,4間の突っ張り手段又は距離間隔の制御手段として強力な駆動力(保持力)が得られ、圧延機の高い平行剛性が確保できる。また、他の流体圧シリンダに較べて応答性に優れているため、ロールチョック3,4間の突っ張り又は距離間隔の制御を迅速且つ高精度に行い、蛇行を的確に抑制することができる。
液圧シリンダ5には、油、水、水グリコールなど適宜な液体を作動液体として用いることができるが、熱間圧延機に適用する場合には水グリコールなどを用いることが安全上好ましい。
なお、他の実施形態としては、上記電磁仕切り弁9を液体流路54Aだけに設けることもでき、この場合には、シリンダ本体50の圧力室52A内に作動液体が封じ込められ、液圧シリンダ5が所定の伸長状態から縮まないように保持される。
その他図面において、11は液体流路54の途中に設けられる圧力制御弁である。
また、液圧シリンダ5は、本実施形態(図1)のように上下の各ワークロールチョック3a,3bとバックアップロールチョック4a,4b間に設けることが最も好ましいが、上ワークロールチョック3a−上バックアップロールチョック4a間、或いは下ワークロールチョック3b−下バックアップロールチョック4b間のいずれか一方に設けても、それぞれにおいて本発明の効果が得られる。
先に述べたように液圧シリンダ5は単動式、複動式のいずれでもよいが、複動式は特に、圧力制御で液圧シリンダを制御する場合にも好適である。
また、液圧シリンダ5は、1箇所のロールチョック3,4間に複数基(例えばロール軸位置を挟んだ両側に2基)設置してもよい。
この実施形態は、液圧シリンダ5の可動部を機械的にロックするロック機構を設けたもので、本実施形態では、液圧シリンダ5の駆動ロッド51を任意の伸長状態又は所定の伸長状態でロック(拘束)することができる機械式のロック手段12を設けたものである。このようなロック手段12を設けるのは、シリンダ本体50内での作動液体の封じ込めだけでは、液圧シリンダ5を所定の伸長状態に維持する際の保持力(突っ張り力)が弱い場合があり、このような機械的なロック手段12を併用することにより、突っ張り手段としての確固たる保持力(剛性)を得ることができる。
その他の構成は、図3に示す実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
なお、本実施形態は、機械的なロック機構(ロック手段12)を液圧シリンダ5を所定の伸長状態に保持するための補助手段として設けているが、場合によっては、先に述べたように上記機械的なロック機構だけで、液圧シリンダ5を所定の伸長状態に保持するようにしてもよい。
本実施形態の液圧シリンダ5は、ワークロールチョック3−バックアップロールチョック4間の空間部に配置されるのではなく、両ロールチョック3,4の側部に配置されている。すなわち、液圧シリンダ5のシリンダ本体50は、固定手段13などを介してワークロールチョック3の側部に固定され、一方、駆動ロッド51の先端は、バックアップロールチョック4の側部に固定手段15を介して固定された受け部材14に当接し又は接続されている。このような構造により、液圧シリンダ5を、ロールチョック3,4間の空間部に配置したと同様に、両ロールチョック3,4間の距離を保持するための突っ張り手段又は両ロールチョック3,4間の距離を制御するための制御手段として用いることができる。
その他の構成は、図3に示す実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
一般的に圧延時の圧延機の変形は、図7に示すように、(1)ハウジングの変形、(2)ロールの曲がり(軸心変位と同じ)、(3)ロールの偏平変形(圧延荷重による圧縮を受けたロールの弾性変形)、(4)圧下ねじの縮み(圧延荷重による圧縮を受けた圧下ねじの弾性変形)、(5)軸受部の変形、油膜厚さの変化、(6)ロッカープレートその他の部材の変形、(7)圧下シリンダの変形及び油柱厚さの変形、からなっている。
実測及び計算によると、ロール間ギャップの変化量のなかで各部の占める割合は、ロール部の偏平等のロール変形が40〜70%、ハウジングの変形が10〜16%、圧下ねじの変形が4〜20%であり、ロール変形の占める割合が圧倒的に大きいことが知られている。圧延時においては、圧延荷重に応じた変形が各所で発生し、実際に圧延後の熱延鋼帯の板厚を決定するロールギャップ部においては、上記変形量の総和分だけロールギャップが開いていることを意味する。
図8(A)は鋼帯が蛇行していない状態を示し、図8(B)は鋼帯が蛇行したときの状態を示す。
鋼帯が圧延機内で蛇行して、圧延機に差荷重が発生すると、蛇行した側のロールチョック3,4間の距離も縮まろうとするが、図10に示すように本発明の圧延方法では、両ロール支持部6において液圧シリンダ5が突っ張り手段となってロールチョック3,4間を保持することで、ロールの弾性変形で偏平する変形量を抑えることが可能となり、この結果、蛇行を抑制することができる。
以上のように本発明の第一の圧延方法では、両ロール支持部6のワークロールチョック3−バックアップロールチョック4間において略等しく伸長した液圧シリンダ5が突っ張り手段になることにより、鋼帯の蛇行が効果的に抑制される。
また、液圧シリンダ5を所定の伸長状態に保持する(少なくとも所定の伸長状態から縮まないように保持する)手段としては、液圧シリンダ5内への液圧の封じ込めではなく、液圧シリンダ5の液圧を所定の圧力に設定し、圧力制御弁11などを用いた圧力制御だけで行うこともでき、また、液圧シリンダ5の可動部をロックする機械的なロック機構だけで行うこともできる。
第一の実施形態では、最初の段階から、両ロール支持部6のワークロールチョック3−バックアップロールチョック4間に設置された液圧シリンダ5を所定の略等しい伸長状態にしてこれを維持することにより、両ロール支持部6のロールチョック3,4間を略等しい距離に保持する突っ張り手段を形成する。
この方法は、最初の段階から液圧シリンダ5による突っ張り手段を形成するものであるため、先に述べたような理由からしてワークロールベンダーなどの機能に影響を与えるものであるが、圧延中に液圧シリンダ5を制御する必要ないという利点がある。
この実施形態では、まず、鋼帯が自圧延機(本発明に係る当該圧延機)に噛み込む前の段階から、両ロール支持部6のロールチョック3,4に設置された液圧シリンダ5の初期圧力を、液圧シリンダがロールチョック3,4間の距離の変動に追随して伸縮し、常に両ロールチョック3,4に係合した状態が維持されるような圧力に設定する。このような設定圧力に基づく液圧シリンダ5の圧力制御は、圧力制御弁などにより自動的になされる。
(1)鋼帯の蛇行が検知されたとき
(2)自圧延機に鋼帯が噛みこみ、自圧延機の圧下荷重が制御開始されたとき
(3)自圧延機の前段の圧延機から鋼帯の尾端が抜けたとき
(4)その他のタイミング
上記(1)〜(3)のうち(1)の鋼帯の蛇行は、例えば幅計によるエッジ位置の検出又は差荷重の検出に基づき検知することができ、また、上記(3)は、例えば前段の圧延機のロードオフを検出することで検知することができ、これらの検出信号に基づいて液圧シリンダ5の液圧が高められ、ロールチョック3,4間に突っ張り手段が形成される。
なお、液圧シリンダ5が、ロールチョック3,4のうちの一方のロールチョックにのみ固定され、他方のロールチョックに固定されない構造とした場合には、液圧シリンダ5の使用形態としては、他方のロールチョックに固定されていない液圧シリンダ5の部分は、液圧シリンダ5がロールチョック3,4間の突っ張り手段となる以外は、同他方のロールチョックと係合させなくてもよい。
この第二の圧延方法の一実施形態では、両ロール支持部6のワークロールチョック3−バックアップロールチョック4間の距離に偏差を生じないように、両ロール支持部6のロールチョック3,4間に設置された液圧シリンダ5の圧力制御を行うものである。この実施形態は、圧延の最初の段階から、両ロール支持部6のロールチョック3,4間の距離に偏差を生じないように、両液圧シリンダ5の圧力制御を行うものである
この実施形態では、例えば、最初の段階では液圧シリンダ5を初期圧力に設定し、その後、ワークロールチョック3−バックアップロールチョック4間の距離の偏差が検出された際に、上記のような液圧シリンダ5の圧力制御を行ってロールチョック3,4間の距離を制御する。この実施形態も、液圧シリンダ5によりロールチョック3,4間の距離を制御する必要がない圧延期間中は、液圧シリンダ5がロールチョック3,4間の距離の変動を妨げないようにするものである。
さきに述べたように、鋼帯の蛇行は、例えば幅計によるエッジ位置の検出又は差荷重の検出に基づき検知することができ、この検出信号に基づいて、上述した液圧シリンダ5の圧力制御が開始される。
また、本発明を熱延鋼帯製造用の熱間仕上圧延機に適用する場合には、仕上圧延機群のなかで特に蛇行が生じやすいのは、圧延機群後段の圧延機であることから、少なくとも全圧延機数/2の数の圧延機群後段の圧延機(例えば、圧延スタンド数が7スタンドの場合には、No.4〜7スタンド)に本発明を適用することが好ましい。もちろん、全部の圧延機に本発明を適用してもよい。
2a,2b バックアップロール
3a,3b ワークロールチョック
4a,4b バックアップロールチョック
5 液圧シリンダ
6 ロール支持部
7 支持手段
8 圧下手段
9A,9B 電磁仕切り弁
10 液圧ポンプ
11 圧力制御弁
12 ロック機構
13 固定手段
14 受け部材
15 固定手段
16 方向切換弁
50 シリンダ本体
51 駆動ロッド
52A,52B 圧力室
53A,53B 出入口
54A,54B 流体流路
55 戻し流路
Claims (5)
- ワークロールとバックアップロールがロールチョックを介して両側のロール支持部に支持された金属材連続圧延用の圧延機において、
前記両側のロール支持部のワークロールチョック−バックアップロールチョック間に、少なくとも両ロールチョックを離間させる方向に駆動力を及ぼし得るように液圧シリンダを設置し、該液圧シリンダは、シリンダ本体内に作動液体を封じ込めることで所定の伸長状態を維持するための封入機構を有することを特徴とする金属材の圧延機。 - ワークロールとバックアップロールがロールチョックを介して両側のロール支持部に支持された金属材連続圧延用の圧延機において、
前記両側のロール支持部のワークロールチョック−バックアップロールチョック間に、少なくとも両ロールチョックを離間させる方向に駆動力を及ぼし得るように液圧シリンダを設置し、該液圧シリンダの可動部を機械的にロックするためのロック機構を有することを特徴とする金属材の圧延機。 - 液圧シリンダの可動部を機械的にロックするためのロック機構を有することを特徴とする請求項1に記載の金属材の圧延機。
- 請求項1〜3のいずれかの圧延機を用いた金属材の圧延方法であって、
両側のロール支持部のワークロールチョック−バックアップロールチョック間に設置された液圧シリンダを、所定の略等しい伸長状態にしてこれを維持することにより、両側のロール支持部のワークロールチョック−バックアップロールチョック間を略等しい距離に保持する突っ張り手段とすることを特徴とする金属材の圧延方法。 - 両側のロール支持部のワークロールチョック−バックアップロールチョック間に設置された液圧シリンダの初期圧力を、液圧シリンダが、前記ワークロールチョック及びバックアップロールチョックと常に係合しつつ、ワークロールチョック−バックアップロールチョック間距離の変動に追随して伸縮するような圧力に設定しておき、その後、所定の又は任意のタイミングにて、前記両側の液圧シリンダを所定の略等しい伸長状態にしてこれを維持することにより、両側のロール支持部のワークロールチョック−バックアップロールチョック間を略等しい距離に保持する突っ張り手段とすることを特徴とする請求項4に記載の金属材の圧延方法。
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