JP4513161B2 - ガスセンサの製造方法及びガスセンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスセンサの製造方法及びこの製造方法により製造されるガスセンサに関する。更に詳しくは、環境における特定のガス濃度の測定、それに基づく安全対策等の他、プロセス制御、食品の鮮度管理、生化学的分析、更には介護等、多くの分野で用いることができ、特に、アンモニアガス又はアミン系ガスの検知用として有用なガスセンサの製造方法及びガスセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
アンモニアガス、アミン系ガス等を検知するためのガスセンサは、上記の各種の分野の他、更に多くの用途における利用が期待されている。このように各種の用途において用いられるガスセンサとして、金属酸化物半導体方式のセンサが実用に供されている。また、ポリアニリンを感応膜としたアンモニアセンサが、特開平2−304340号公報、特開平3−37559号公報及び特開平3−89156号公報等に開示されている。
【0003】
また、アミン系ガスの1種であるトリメチルアミンは、魚類の腐敗臭として知られ、この臭いを検知することにより食品の鮮度を管理することができる。そのため、冷蔵庫内等においても使用することができる加熱を必要としない高感度なアミン系ガス検知用センサの開発が望まれている。更に、介護の分野においては、おむつ交換の必要性を介護者に知らせるセンサとして、尿によるおむつの濡れを検知するセンサが一部で実用化されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、金属酸化物半導体方式のセンサでは、(1)ガス選択性が低い、(2)使用時にセンサを加熱する必要があるため使用環境が制限される、及び(3)センサ特性の経時変化が大きい等の問題がある。また、ポリアニリンを感応膜としたアンモニアセンサは、感度及び応答速度が未だ不十分である。例えば、特開平2−304340号公報に記載されたアンモニアセンサの、特定の濃度におけるセンサ抵抗値/ベース抵抗値で表される感度は、50ppmの高濃度においても1.2以下であり、実用性の面から改善の必要がある。
【0005】
更に、尿によるおむつの濡れを検知するセンサは、非常に高価であり、大型で取り扱い難い、及び使用ごとに洗浄する必要がある等の問題もあり、これらが、需要が多いにもかかわらず、その普及を阻む要因となっている。そのため、安価で、取り扱い易く、使用ごとに洗浄する必要もないセンサが強く望まれており、濡れではなく、臭いにより、おむつ交換の必要性を検知することができるガスセンサによって、そのようなセンサを開発することが望まれている。
【0006】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決するものであり、使用時に必ずしも加熱を必要とせず、ガス選択性に優れ、特に、アンモニアガス等に対する十分な感度と応答速度とを有するガスセンサの製造方法及びガスセンサを提供することを目的とする。また、本発明は、特に、介護の分野において、おむつ交換の必要性を検知するための、安価で、取り扱い易く、小型、軽量なガスセンサの製造方法及びガスセンサを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
ポリアニリン等の導電性重合体に、特定の官能基を有するスルホン基含有化合物からなる重合体等のドーパントがドーピングされてなる導電性有機膜をガス感応部とし、このガス感応部と接し、ガス検知部となる検知電極を備えるガスセンサを、アンモニアガス及びアミン系ガス等の検知に用いた場合、常温において作動させることができ、ガス選択性に優れ、感度及び応答速度も十分に高いことが見出された。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
【0008】
第1発明のガスセンサの製造方法は、導電性有機膜と、該導電性有機膜と接する検知電極とを備えるガスセンサの製造方法であって、上記検知電極上に、前記(1)及び(2)の少なくとも一方のドーパントをドープしたポリアニリンからなる上記導電性有機膜を成膜させることを特徴とする。また、第4発明のガスセンサは、本発明のガスセンサの製造方法により製造され、上記導電性有機膜と、該導電性有機膜と接する上記検知電極とを備えることを特徴とする。
【0009】
導電性重合体としては、アニリン、チオフェン、ピロール、アセチレン、チアジル、パラフェニリンビニレン及びシラン等、並びにこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種からなる重合体が挙げられ、2種以上の重合体を併用することもできる。これらのうちでは、導電性有機膜の化学的及び経時的な安定性、並びにセンサ作動時の抵抗値及びその変化率などの観点から、アニリン及びその誘導体の少なくとも一方からなる重合体が好ましく、本発明ではアニリンが用いられる
【0010】
導電性重合体、本発明ではポリアニリンにドーピングされる上記「(1)アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有するスルホン基含有化合物」、及び上記「(2)該スルホン基含有化合物からなる構成単位を有する重合体」(以下、これら(1)及び(2)をドーパントということもある。)としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタリルスルホン酸又は3−スルホプロピルメタクリレート等の化合物、及びこれらの化合物からなる構成単位を有する重合体が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。これらのうちでは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びこの化合物からなる構成単位を有する重合体のうちの少なくとも一方を使用することが好ましい。
【0011】
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸は、種々の単量体と共重合させてドーパントとして使用することができる。共重合させる単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類等を使用することができる。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。また、スチレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル等を用いることもできる。具体例としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸と、iso−ブチルメタクリレート及びn−ブチルメタクリレートの少なくとも一方との共重合体等が挙げられる。尚、この共重合は、水系及び有機溶剤系のいずれにおいても行うことができる。
【0012】
ドーパントのドープ量は特に限定されないが、上記「導電性有機膜」の安定性及び感度の観点から、導電性重合体の基本骨格に対して10〜90モル%、特に20〜60モル%であることが好ましい。また、導電性有機膜がアニリン及びその誘導体の少なくとも一方の重合体からなる場合、本発明のようにポリアニリンからなる場合は、そのドープ量は、基本骨格を構成するアニリン等の窒素原子に対して10〜90モル%、特に20〜60モル%であることが好ましい。
【0013】
導電性有機膜の成膜は、ディップコーティング法、バーコーティング法及びスピンコーティング法などの各種の方法により行うことができる。成膜し、乾燥した後の塗膜の膜厚は、第発明のように、10nm以上、5μm以下とすることが好ましく、特に0.25μm以上、2μm以下とすることがより好ましい。この範囲の膜厚であれば、感度に優れ、応答速度の大きい導電性有機膜とすることができる。
【0014】
本発明のガスセンサを用いた特定のガスの検知は、センサを被検ガスを含むガスに曝した状態で、導電性有機膜の表面に形成された、或いは導電性有機膜に埋設された検知電極に通電し、電極間の抵抗率(導電率)の変化量を測定することにより行うことができる。また、この変化量に基づいて被検ガスの濃度を算出することができる。
【0015】
検知電極の材質、形状等は特に限定されず、この種のセンサにおける一般的な材質及び形状等とすることができる。材質としては、白金、金、ニッケル等が挙げられ、形状は、平行電極及び櫛形電極等とすることができる。この検知電極は、導電性有機膜の表面に形成されていてもよいが、通常、導電性有機膜に埋設されて形成される。このようにすれば、被検ガスと導電性有機膜及び検知電極との接触面積を大きくすることができ、より感度を高めることができる。
【0016】
本発明のガスセンサは、加熱することなく室温で被検ガス、即ち、アンモニアガス及びアミン系ガス等の検知に使用することができる。しかし、一旦、導電性有機膜に吸着した被検ガスが自然に離脱するには数分から十数分程度の時間を要する。そのため、第発明のように、導電性有機膜を加熱するためのヒータを付設することが好ましい。このヒータによって導電性有機膜を加熱し、吸着された被検ガスを強制的に離脱させることにより、センサを早期に初期状態にする(リセットする)ことができる。導電性有機膜の加熱温度は、その耐熱性にもよるが、通常、100〜180℃とすることができ、特に100〜150℃とすれば被検ガスの離脱が十分に促進される。
【0017】
ヒータは、導電性有機膜を所定温度にまで容易に昇温させることができるものであればよく特に限定はされないが、白金、金、ルテニウム等の金属からなるヒータ或いはシリコンヒータなどを使用することができる。このヒータは導電性有機膜及び検出電極とは絶縁層により絶縁されて付設される。この絶縁層の材質等は特に限定されず、シリカ、窒化珪素及びアルミナ等の少なくとも1種により形成することができる。
【0018】
導電性有機膜及び検出電極は基板の表面に、又は基板の表面に形成された絶縁層の表面に形成される。この基板としては、アルミナ等のセラミック、ガラス又はシリコン等の半導体などからなるものを使用することができ、特に限定されない。これらのうちでは、一般的な半導体技術を応用して容易に小型化することができるシリコン等からなる半導体基板が特に好ましい。
【0019】
このようにヒータを付設し、半導体を基板とし、第発明のように、少なくとも一方の表面側に開口するキャビティを有する半導体基板の他方の表面に絶縁層が形成され、ヒータが絶縁層に埋設されて形成され、検知電極が絶縁層の表面に形成され、且つ導電性有機膜に埋設されているガスセンサとすることが特に好ましい。キャビティはシリコンエッチング等の技術を応用して形成することができ、このようにキャビティを設けた場合は、室温と所定温度との間の昇温、降温を1秒未満に行うことができ、ヒータの消費電力も小さいため特に好ましい。
【0020】
本発明のガスセンサでは、ドーパントの種類により、各種の被検ガスを選択的に検知することができるが、塩基性のガスを効率よく検知することができ、第発明のように、アンモニアガス及びアミン系ガスの少なくとも一方の検知に特に有用である。このアミン系ガスとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のトリアルキルアミン、ベンジルアミン等の芳香族アミン及びピリジン等のガスを挙げることができ、トリメチルアミンガスの検知により好適に使用することができる。
【0021】
【作用】
本発明のガスセンサにおいて用いられる導電性有機膜と、アンモニアガス及びアミン系ガスとの相互作用については完全に明らかになってはいない。しかし、特定のドーパントをドープした導電性有機膜、特に、ポリアニリン等の重合体からなる有機膜に、アンモニアガス及びアミン系ガスが選択的に吸着され、この有機膜の抵抗率(導電率)が変化するためガスセンサとして機能するものと推察される。また、ドープされた特定のドーパントにより、アンモニアガス及びアミン系ガスと有機膜との相互作用、吸脱着速度等が制御され、それによって、ガス選択性、感度及び応答速度が向上したものと考えられる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のガスセンサについて実施例により更に詳しく説明する。
実施例1(アルミナ基板を用いたガスセンサの作製)
(1)検知電極の形成
複数のガスセンサを作製することができる大きさを有し、一表面に5mm間隔で溝が形成されているアルミナ基板(寸法;50×50×0.5mm)を洗浄し、乾燥した後、溝が形成されている側の表面に、フォトリソグラフィ法により検知電極パターン及び検知電極部コンタクト用パターンを形成した後、リフトオフ法によりPt/Tiからなる櫛形の検知電極及び検知電極部コンタクト(構成及び膜厚:膜厚25nmのTi膜上に、膜厚200nmのPt膜を積層、線幅;120μm)を形成した。
【0023】
(2)ポリアニリンからなる導電性有機膜の成膜
(1)において形成した電極上に、ドーパントとして2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を50質量%ドープしたポリアニリンからなる導電性有機膜をバーコーティング法により成膜した。この有機膜の厚さを接触式段差計及び走査型電子顕微鏡により測定したところ150nmであった。その後、この電極と有機膜とが形成された基板を溝に沿って割り、図1のように、アルミナ基板1aの表面に検知電極2と導電性有機膜3とが形成された5×5mmの大きさのガスセンサを作製した。
【0024】
(3)感度の評価
(2)において作製したガスセンサを使用して、図2に示すガスセンサと電源(V)とコンデンサとが直列に接続された回路によって各種のガスを検知する感度を評価した。測定条件は下記の通りである。
印加電圧;2V、センサ温度;25℃、被検ガス流量;15リットル/分、ベースガス;20質量%のO2ガスを含む窒素ガス、被検ガス及びベースガス温度;25℃、被検ガス種類;NH3、N(CH33、CH3OH、キシレン、トルエン、H2S、NO、CO及びCH4の各ガス、被検ガス濃度;50ppm、各々の被検ガスでの測定時間;20分
結果を表1に示す。表1において感度(Rg/Ra)は下記の式より算出したものである。
Rg/Ra=センサを各々の被検ガスに曝した場合の抵抗値/センサをベースガスに晒した場合の抵抗値
【0025】
【表1】
Figure 0004513161
【0026】
表1の結果によれば、実施例1のガスセンサは、アンモニアガスに対する感度が非常に高く、トリメチルアミンガスに対する感度も他のガスの場合に比べ高いことが分かる。このように、実施例1のガスセンサは、アンモニアガス又はアミン系ガス、特に、アンモニアガスに対する選択性に非常に優れていることが分かる。
【0027】
実施例2〜4及び比較例1〜3(キャビティを有するシリコン基板を用い、ヒータを付設したガスセンサの作製)
以下、図3を参照しながら説明する。
(1)ヒータの形成
所定数のガスセンサを作製することができる大きさを有するシリコン基板1b(寸法;直径10.16cm、厚さ400μm)を洗浄し、乾燥した。その後、基板両面にLPCVD法により膜厚100nmの窒化珪素からなる絶縁層を形成した。次いで、一方の絶縁層上にPCVD法により更に400nm厚さの窒化珪素を堆積し、膜厚500nmの絶縁層42とした。その後、絶縁層42の表面にフォトリソグラフィ法によりヒータ用パターン及びヒータ部コンタクト用パターンを形成した。次いで、リフトオフ法によりPt/Tiからなる個数分のヒータ5及びヒータ部コンタクト51a、51b(構成及び膜厚;膜厚25nmのTi膜に、膜厚200nmのPt膜を積層、線幅;40μm)を形成した。その後、絶縁層42上にPCVD法により膜厚1000nmの窒化珪素からなる絶縁層43を更に形成した。次いで、この絶縁層43のヒータ部コンタクトに対応する部位の窒化珪素をドライエッチングにより除去してヒータ部コンタクトを露出させた。
【0028】
(2)検知電極及びシリコン基板のキャビティの形成
(1)において形成した絶縁層43の表面にフォトリソグラフィ法により検知電極用パターン及び検知電極部コンタクト用パターンを形成した。その後、リフトオフ法によりPt/Tiからなる個数分の検知電極2及び検知電極部コンタクト21a、21b(構成及び膜厚;膜厚25nmTi膜に、膜厚200nmのPt膜を積層、線幅;40μm)を形成した。次いで、(1)において基板の他方の面に形成された絶縁層41の表面にフォトリソグラフィ法によりキャビティ用パターンを形成し、同時に絶縁層41の表面に10mm間隔で溝を形成した。その後、絶縁層41のキャビティに対応する部位をドライエッチングにより除去した。次いで、85℃に加熱された22容量%TMAH溶液に10〜14時間浸漬し、シリコンの異方性エッチングによりキャビティ1b1(ダイヤフラム)を形成した。その後、超純水で洗浄し、自然乾燥させた。
【0029】
(3)ポリアニリンからなる導電性有機膜の成膜
以下、スピンコーティング法により種々のドーパントをド−プしたポリアニリンからなる導電性有機膜の成膜を、成膜、脱ドープ及び再ドープの工程順に説明する。
先ず、一般的な溶解性に優れる3,6−ジノニル−1−ナフチルスルホン酸をドーパントとしたポリアニリンを調製し、これをキシレンとエチレングリコールモノブチルエーテル混合液に溶解させた。その後、成膜領域以外をポリ塩化ビニルフィルムでマスクし、3,6−ジノニル−1−ナフチルスルホン酸をドーパントとするポリアニリン溶液を滴下し、スピンコータで成膜した。
【0030】
次いで、150℃で10分間オーブンにて乾燥させた後、脱ドープ溶液に3分間含浸し、メチルアルコールで洗浄して脱ドープした。その後、ドーパントとして、(a)2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の重合体、(b)2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とiso−ブチルメタクリレートとの共重合体、又は(c)2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とn−ブチルメタクリレートとの共重合体、を含む溶液に含浸した。このようにして(a)、(b)及び(c)のいずれかのドーパントを導電性有機膜に導入した後、メチルアルコールで洗浄し、再度、150℃で10分間オーブンにて乾燥させた。次いで、マスクを剥離し、実施例1と同様にして膜厚を測定したところ250〜300nmであった。その後、10mm間隔の溝に沿って割り、ガスセンサとした。
【0031】
(4)ガスセンサの構造
以上のようにして作製したガスセンサの縦断面を図3に示す。
厚さ400μmのシリコン基板1bの表面には厚さ500nmの窒化珪素からなる絶縁層42、裏面には厚さ100nmの窒化珪素からなる絶縁膜41が形成されている。表面側の絶縁層42の表面にはヒータ5が形成されており、このヒータは厚さ1000nmの窒化珪素からなる絶縁層43により被覆されている。絶縁層42の両端側にはヒータ部コンタクト51a、51bが形成されており、ヒータに電力が供給される。絶縁層43の表面には検知電極2が形成されており、両端側には検知電極に通電するための検知電極部コンタクト21a、21bが形成されている。この検知電極は導電性有機膜3により被覆されており、吸着された被検ガスによる導電性有機膜の抵抗値の変化が検出され、出力される。
【0032】
(5)感度の評価
このガスセンサを用いて、被検ガスをアンモニアガスとし、その濃度を5〜100ppmと変化させた他は、実施例1と同様にして感度を測定した。結果を図4に示す。
【0033】
尚、(a)、(b)及び(c)のドーパントを用いた場合を、それぞれ実施例2、実施例3及び実施例4とする。また、比較例1は、特開平2−304340号公報に記載された実施例1のアニリン、炭酸プロピレン及び過塩素酸を含む重合浴を電解することによって得たポリアニリン膜を使用し、同様に評価したものである。比較例2は、特開平2−37559号公報に記載された実施例1のアニリン、炭酸プロピレン及び過塩素酸を含む重合浴を電解することによって得たポリアニリン膜を使用して、同様に評価したものである。比較例3は、特開平3−89156号公報に記載された実施例1のアニリン及び過塩素酸中で電解することによって得たポリアニリン膜を使用し、同様に評価したものである。
【0034】
更に、実施例3については、(3)における導電性有機膜の成膜の際に、溶液の濃度を3〜40質量%、スピンコータの回転数を1000〜5000rpmに変化させて、導電性有機膜の厚さを2〜25μmの範囲で制御し、アンモニアガスの濃度を50ppmとして、同様に感度を測定し、導電性有機膜の厚さと感度との相関を検討した。この結果を図5に示す。また、実施例3において、ヒータに通電せず、室温で感度を測定し、センサとアンモニアガスとの接触を遮断した後の抵抗値の低下の傾向を、アンモニアに晒した後、150℃でヒータ制御して測定した場合と比較してヒータの効果を確認した。この結果を図6に示す。
【0035】
(1)ドーパントの種類又はドーパントの有無によるアンモニアガス濃度と感度との相関
図4によれば、特定のドーパントがドーブされたポリアニリンからなる導電性有機膜を有する実施例2〜4のガスセンサでは、アンモニアガスの濃度によらず感度が高く、特に、高濃度域においては非常に感度が高いことが分かる。一方、従来技術である比較例1〜3のセンサでは、アンモニアガスの濃度によらず感度が低く、特に、高濃度域では非常に劣っていることが分かる。
【0036】
(2)膜厚と感度との相関
図5によれば、導電性有機膜の厚さが2μm未満の範囲では特に十分な感度を有するセンサが得られていることが分かる。また、導電性有機膜の厚さが5μmを越えて25μmと厚くなっても感度に大きな変化はなく、5μmを越えて厚くする必要はないことが分かる。尚、この図5では、導電性有機膜が薄くなるとともに感度が向上しているが、厚さを9.8nmとした場合は、抵抗値が高くなって却って感度が低下する傾向にあり、導電性有機膜の厚さは10nm以上とすることが好ましい。これらは第発明に特定される膜厚が好ましいことを裏付けるものである。
【0037】
(3)ヒータの効果
図6によれば、アンモニアガスとの接触が遮断された時点から、ヒータにより導電性有機膜を150℃に加熱して制御した場合は、速やかに抵抗値が初期状態にまで低下し、直ちに次の測定が可能であることが分かる。一方、ヒータを使用せず、アンモニアガスを導電性有機膜から自然に離脱させた場合は、容易に離脱せず、抵抗の低下に長時間を要する。このことから、ヒータ制御をしない場合は、抵抗が確実に初期状態にまで低下し、次の測定を行うことができるまでには相当な時間が必要であることが推察される。
【0038】
【発明の効果】
発明によれば、特定のガスの濃度を効率よく測定することができ、環境におけるガス濃度の測定及び制御、食品の鮮度管理及び介護等、各種の分野において使用することができる、選択性に優れ、感度の高いガスセンサとすることができる。また、第発明によれば、より選択性に優れ、感度の高いガスセンサとすることができる。これらのガスセンサは、第発明のように、アンモニアガス及びアミン系ガスの測定において特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のガスセンサの斜視図である。
【図2】ガス検知時の感度の評価に用いた回路図である。
【図3】実施例2のガスセンサの縦断面を示す断面図である。
【図4】ドーパントの種類又はドーパントの有無と感度との相関を表すグラフである。
【図5】導電性有機膜の厚さと感度との相関を表すグラフである。
【図6】ヒータによる加熱の有無の効果を裏付けるため、測定終了後の抵抗変化の様子を比較して示すグラフである。
【符号の説明】
1a;アルミナ基板、1b;シリコン基板、1b1;キャビティ、2;検知電極、21a、21b;検知電極部コンタクト、3;導電性有機膜、41、42、43;窒化珪素からなる絶縁層、5;ヒータ、51a、51b;ヒータ部コンタクト。

Claims (8)

  1. 導電性有機膜と、該導電性有機膜と接する検知電極とを備えるガスセンサの製造方法であって、
    上記検知電極上に、下記(1)及び(2)の少なくとも一方のドーパントをドープしたポリアニリンからなる上記導電性有機膜を成膜させることを特徴とするガスセンサの製造方法
    (1)アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有するスルホン基含有化合物
    (2)該スルホン基含有化合物からなる構成単位を有する重合体
  2. 上記ドーパントのドープ量が、基本骨格を構成するアニリンの窒素原子に対して20〜60モル%である請求項1記載のガスセンサの製造方法
  3. 上記ドーパントが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の重合体、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とiso−ブチルメタクリレート及びn−ブチルメタクリレートの少なくとも一方との共重合体、のうちの少なくとも1種である請求項1又は2に記載のガスセンサの製造方法。
  4. 請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載のガスセンサの製造方法により製造され、上記導電性有機膜と、該導電性有機膜と接する上記検知電極とを備えることを特徴とするガスセンサ。
  5. 上記導電性有機膜の厚さが10nm以上、5μm以下である請求項記載のガスセンサ。
  6. 上記導電性有機膜を加熱するためのヒータが付設されている請求項4又は5に記載のガスセンサ。
  7. 少なくとも一方の表面側に開口するキャビティを有する半導体基板の他方の表面に絶縁層が形成され、上記ヒータが該絶縁層に埋設されて形成され、上記検知電極が該絶縁層の表面に形成され、且つ該検知電極は導電性有機膜に埋設されている請求項記載のガスセンサ。
  8. アンモニアガス又はアミン系ガスの検知に用いられる請求項乃至のうちのいずれか1項に記載のガスセンサ。
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