JP4512580B2 - フィルタ設置装置と、それを用いた湯路のガス置換方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳造金型の湯口にフィルタを配設することが可能であり、且つ前記鋳造金型が形成するキャビティに連通する湯路の雰囲気を不活性ガスに置換することが可能なフィルタ設置装置と、それを用いた湯路のガス置換方法に関する。
自動車部品の内燃機関構成部材等を大量生産する手法として、低圧鋳造法が広汎に採用されている。低圧鋳造法を実施するための鋳造装置は、一般的に、溶湯を貯留した溶湯保持炉と、前記溶湯保持炉の上方に配設され且つ溶湯を通過させるための湯口が形成された下型と、複数個の側方型と、上型とを有し、これら下型、側方型及び上型によっていわゆる型閉じが行われることで、鋳造品を得るためのキャビティが形成される。
前記溶湯保持炉は、湯路であるストークを介して前記キャビティに連通している。溶湯保持炉内の圧力が所定値以上となると、加圧された溶湯がストーク内を上昇し、前記湯口を介してキャビティに充填される。すなわち、溶湯はキャビティの下方から注湯され、その液面は、注湯量が増加するに伴ってキャビティ内を上昇する。場合によっては、ストークと湯口との間に中間ストークが介在されることもある。
所定量の注湯が終了した後は、溶湯を冷却固化させて鋳造品とする。その後、型開きを行って鋳造品を取り出す。
ところで、鋳造作業が営まれる前には金型内のバリや中子砂の残留物を清掃する作業が必要であるが、このため、清掃中にバリや砂が湯口を介して中間ストークやストークに到達する懸念がある。また、鋳造後に鋳造品を金型から取り出すと、ストークや中間ストークに貯留されていた溶湯が溶湯保持炉に戻るが、その際に溶湯が大気に接触することにより、ストーク内の残渣溶湯や、溶湯保持炉に戻った溶湯の表面が酸化する。このような事態が発生すると、次回の鋳造作業時に溶湯に不純物が混入し、鋳造欠陥の原因となる。
この不都合を解消するべく、例えば、特許文献1に記載の網体装着装置を用いる。該網体装着装置は、清掃中に金型内に設置されて湯口を覆い、バリや中子砂がストークや中間ストークに進入することを防止する。また、湯口に設置されたフィルタが、ストーク内の酸化物が溶湯ないし鋳造品に混入することを防止する役割を果たす。
上記とは別に、鋳造作業には、溶湯が中間ストークやストーク内で空気に接触した際にその表層部が酸化してしまい、このために該溶湯の流動が阻害されるようになり、その結果、充填不良等の鋳造欠陥が生じる懸念がある。この不具合を回避するには、特許文献2に記載されているような入口構造を具備する鋳型装置を用い、前記入口構造を介して空気を不活性ガスに置換すればよいとも考えられる。
実公平6−46606号公報 特公昭52−3889号公報
特許文献2記載の鋳型装置には、該鋳型装置自体にガスを置換するための構造(前記入口構造)を設けるため、市販の鋳型装置の場合、大幅な改造が必要となり、また、装置構成が複雑化且つ大型化するという不具合がある。
しかも、不活性ガスの供給通路が水平方向に延在しているので該供給通路に溶湯が進入する懸念がある。実際に溶湯が進入した場合、凝固物が供給通路に付着することになるので、煩雑なメンテナンス作業を行う必要がある。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、鋳型装置を一切改造することなく湯路の雰囲気を不活性ガスに置換することが可能であり、しかも、不活性ガスを供給する供給通路に溶湯が進入することがなく、このために凝固物が前記供給通路に付着する懸念を払拭し得るフィルタ設置装置と、それを用いた湯路のガス置換方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、鋳造金型の複数個の湯口の各々にフィルタを同時に配設し、且つ前記鋳造金型が形成するキャビティに連通する湯路に対して前記湯口中の少なくとも1箇所から不活性ガスを供給するフィルタ設置装置であって、
前記湯口の開口径に比して大径のフランジ部を有する複数個のホルダと、
前記ホルダを支持する支持フレームと、
を有し、
複数個の前記ホルダ中の少なくとも1個に前記不活性ガスを供給するための供給通路が設けられ、
複数個の前記ホルダ中の少なくとも1個に前記湯路からパージされたガスを排出するための排出通路が設けられ、
前記ホルダに保持された前記フィルタが前記湯口に挿入された際、不活性ガス供給機構から供給された前記不活性ガスを前記供給通路から前記湯路に供給する一方、この不活性ガスの供給に伴って前記湯路からパージされたガスを前記排出通路から排出することを特徴とする。
上記のように構成したことにより、ホルダに保持されたフィルタを一度の作業で同時に湯口に挿入することが可能となるとともに、湯路のガス(通常は空気)をアルゴンガス等の不活性ガスに置換することも可能となる。すなわち、本発明によれば、フィルタの装着とガス置換とを一つの装置で実施することが可能となるので、フィルタ装着作業とガス置換作業とを別個の装置で行う場合に比してコスト的に有利であり、しかも、フィルタ装着作業とガス置換作業との切り替えに伴って装置を切り替える必要もない。このため、作業効率が向上する。
また、フィルタ設置装置でガス置換を行うので、鋳造装置(鋳型装置)を改造する必要が一切ない。この点からもコスト的に有利であり、しかも、鋳造装置が大型化することも複雑化することもない。なお、ガス供給通路が設けられたホルダと、ガス排出通路が設けられたホルダとは別個であってもよいし、同一であってもよい。
さらに、フィルタ設置装置は型閉じの前に金型から離脱されるので、キャビティへの注湯に伴ってフィルタ設置装置に設けられたガス供給通路に溶湯が進入することがない。このため、溶湯の凝固物が前記ガス供給通路に付着することがなく、従って、該ガス供給通路の清掃作業の頻度が著しく低減する。
そして、湯路を不活性ガスに置換することで、溶湯が空気に接触して表層が酸化することを回避することができる。従って、溶湯の流動が阻害されることを回避することができ、結局、鋳造欠陥のない鋳造品を得ることが可能となる。
なお、湯路としては、中間ストークを例示することができる。すなわち、主に中間ストーク内に不活性ガスを供給すれば、該中間ストーク内のガスをパージすることが可能である。
また、本発明は、鋳造金型が形成するキャビティに連通する湯路の雰囲気を不活性ガスに置換する湯路のガス置換方法であって、
前記鋳造金型の複数個の湯口の開口径に比して大径のフランジ部を有する複数個のホルダと、前記ホルダを支持する支持フレームとを有するフィルタ設置装置を使用し、
前記ホルダに保持された前記フィルタを前記湯口に挿入することで、該湯口の各々にフィルタを配設し、
その一方で、不活性ガス供給機構から供給された前記不活性ガスを、複数個の前記ホルダ中の少なくとも1個に設けられた供給通路から前記湯路に供給するとともに、この不活性ガスの供給に伴って前記湯路からパージされたガスを、複数個の前記ホルダ中の少なくとも1個に設けられた排出通路から排出することを特徴とする。
上記したように、本発明によれば、フィルタ設置作業とガス置換作業とを同一装置で行うので、コスト的に有利であるとともに作業効率が向上する。しかも、湯路の雰囲気を不活性ガスに置換することで溶湯の表層が酸化することを回避することができ、このため、上記したように鋳造欠陥のない鋳造品を得ることができる。
不活性ガスの好適な例としては、アルゴンガスを挙げることができる。アルゴンガスの密度は空気に比して大きく、従って、アルゴンが湯路の下方に滞留する一方、空気が湯路の上方に偏在するようになる。このため、下方から溶湯を注湯するようにすれば、該溶湯が空気に接触することを回避することが可能となる。
しかも、アルゴンガスは比較的安価であるので、鋳造コストが高騰することを抑制することもできる。
また、湯路の具体例としては、上記したように、中間ストークを挙げることができる。
本発明によれば、全湯口にフィルタを同時に装着可能なフィルタ設置装置で湯路のガス置換を行うようにしているので、鋳造装置を改造する必要が一切ない。このため、鋳造装置が大型化したり構成が複雑化したりすることを回避できるとともに、設備投資が高騰することを回避できる。
しかも、湯口の雰囲気を不活性ガスに置換するので、溶湯が空気等の酸化雰囲気に接触して表層が酸化することが回避される。従って、溶湯の流動性が維持されるので、鋳造欠陥のない鋳造品を得ることができる。換言すれば、製造歩留まりが向上する。
以下、本発明に係る湯路のガス置換方法につき、それを実施するためのフィルタ設置装置との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態では、主に中間ストークの内部をガス置換する場合を例示して説明する。
はじめに、低圧鋳造装置10につき、その要部概略縦断面図である図1を参照して説明する。この低圧鋳造装置10は、溶湯保持炉12と、キャビティ14を形成する鋳型16とを有し、溶湯保持炉12の内室18とキャビティ14とは、ストーク20及び中間ストーク22を介して連通されている。
溶湯保持炉12は溶湯Lを貯留するための容器であり、溶湯Lが内室18中で冷却して凝固することを回避するべく、図示しない加熱手段によって外方から加熱されている。また、溶湯保持炉12には図示しない圧縮ガス供給機構が連結されており、この圧縮ガス供給機構から供給された圧縮ガスは、溶湯保持炉12に貯留された溶湯Lを加圧する。
溶湯保持炉12の開口上端は、炉蓋24によって閉塞されている。この炉蓋24において、溶湯保持炉12の仮想上端面の略中心に対応する箇所には、貫通孔26が形成されている。該貫通孔26には環状段部28が設けられており、この環状段部28に前記ストーク20の大径部30が載置されている。
ストーク20は、長尺な小径部32と、フランジ状に突出した前記大径部30を有する管体である。換言すれば、ストーク20には、その軸線方向に沿う内孔34が貫通形成されている。そして、小径部32の先端が溶湯Lに浸漬される一方、大径部30が上記したように炉蓋24の貫通孔26の環状段部28に載置されている。
ストーク20の上方に配置された中間ストーク22は、ストーク20の大径部30の直径に略対応する直径を有するフランジ部36と、該フランジ部36から直径方向外方に拡径したテーパー部38と、等径部40とを有する。中間ストーク22の内部には、フランジ部36から等径部40に至るまで室42が設けられており、この室42が、前記ストーク20の内孔34とともに湯路としての役割を果たす。
鋳型16は、中間ストーク22の上方に配設される下型44と、2個の側方型46、48と、後面型50と、図示しない前面型と、上型52とを有し、この中の下型44には、図2に示すように、溶湯Lをキャビティ14に充填するための4個の湯口54a〜54dが設けられている。勿論、4個の湯口54a〜54dはすべて、中間ストーク22の前記室42とキャビティ14とを連通させることが可能な位置に形成されている。
湯口54a〜54dの各々は、下方側のテーパー状縮径路56と、上方側のテーパー状拡径路58とからなる。この中、各テーパー状拡径路58には、図3に示すフィルタ60が挿入されている。
フィルタ60は、融点が溶湯温度よりも高い材質で構成され、溶湯Lとしてアルミニウムやアルミニウム合金を用いる場合には鉄系材料等が好適である。図3に示すように、このフィルタ60は実質的に円錐台形状をなし、その底面中央には、軸線方向に指向して突出した膨出部62が形成されている。また、フィルタ60の外周部64は、図3の上方に向かうに従い、湯口54a〜54dのテーパー状拡径路58のテーパー角に対応する角度でテーパー状に拡径している。フィルタ60の形状はテーパー状拡径路58の形状に略対応しているが、その高さ方向寸法はテーパー状拡径路58の高さ方向寸法に比して若干小さく、また、外周部64の径は、テーパー状拡径路58における対応部位の径に比して若干大きく設定されている。
2つの側方型46、48、後面型50及び図示しない前記前面型は、下型44及び上型52とともに閉塞空間、すなわち、溶湯Lが充填されるキャビティ14を形成する。そして、上型52には、キャビティ14に溶湯Lが充填される際に該キャビティ14から空気を逃がすためのベント孔66が形成されている。
次に、前記フィルタ60を湯口54a〜54d(テーパー状拡径路58)に挿入するためのフィルタ設置装置70につき説明する。
前記図2には、下型44の他、本実施の形態に係るフィルタ設置装置70の全体概略斜視が示されている。このフィルタ設置装置70は、下型44に設けられた4個の湯口54a〜54dの各々にフィルタ60を同時に挿入するためのものであり、フィルタ60を保持する4個のホルダ72a〜72dと、全ホルダ72a〜72dを支持する支持フレーム74とを有する。
ホルダ72aは、位置決めをするための大径なフランジ部76と、該フランジ部76に比して小径な突部78とで形成されており、これらフランジ部76と突部78は一体成形されている。また、フランジ部76と突部78の材質には、後述するマグネット80(図4参照)による磁化の度合いが小さいもの、例えば、アルミニウム等が選定される。
図4に示すように、突部78内には、軸線方向に指向してフランジ部76に到達するまで延在する凹部82が形成されている。この凹部82内には、ボルト84を介してマグネット80が昇降自在に螺合されており、このマグネット80によってホルダ72aの全体が吊持される。このマグネット80の位置は、ホルダ72aの上部に配置されたナット86によって調整可能である。なお、該ナット86は、ボルト84に螺合している。
フランジ部76の径は、湯口54a〜54dのテーパー状拡径路58の開口径に比して大きく設定されている。このため、図4に示すように、突部78がテーパー状拡径路58に挿入された際、最終的に、フランジ部76が下型44の底面に堰止される。
フランジ部76には、供給通路88が貫通形成されている。この供給通路88には、L字型継手90を介して図示しないアルゴンガス供給管が接続されている。勿論、該アルゴンガス供給管は、例えば、アルゴンガスボンベ等のアルゴンガス供給源(図示せず)に橋架されている。
残余のホルダ72b〜72d中、ホルダ72bはホルダ72aと同一構成である。一方、ホルダ72c、72dは、フランジ部76に排出通路92が貫通形成されていることを除き、ホルダ72a、72bと同様に構成されている。従って、ホルダ72aと同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
支持フレーム74は、下方に指向して屈曲することで略コ字状に形成され、且つ互いに平行な2本の第1フレーム94a、94bと、これら第1フレーム94a、94bの先端部に橋架された棒状の第2フレーム96a、96bとを有する。さらに、第1フレーム94a、94bの略中央には、下方に指向して屈曲した把持部98が取着されている。また、第1フレーム94a、94bの各先端部にはボルト84が植設され、該ボルト84の各々に、ホルダ72a〜72dを構成する前記マグネット80が係着されている。
湯口54a〜54dへのフィルタ60の挿入、及び中間ストーク22の室42内のガス置換は、上記のように構成されたフィルタ設置装置70を用い、以下のようにして実施される。
先ず、4つのフィルタ60の各膨出部62を、ホルダ72a〜72dのマグネット80に磁力を介して吸着させる。この際、膨出部62は、例えば、ホルダ72aの突部78とマグネット80の底部とによって形成される空間に臨入し、前記マグネット80に吸着される。
次に、フィルタ設置装置70の把持部98を把持し、該フィルタ設置装置70の各ホルダ72a〜72dに保持されたフィルタ60を低圧鋳造装置10の各テーパー状拡径路58に同時に挿入する。
マグネット80に吸着された各フィルタ60が各テーパー状拡径路58に挿入されると、上記したようにフィルタ60の外周部64の径がテーパー状拡径路58の対応部位の径に比して大きいため、外周部64がテーパー状拡径路58の側壁に押圧される。その結果、該外周部64は、直径方向内方に圧縮される。
この圧縮に伴い、各フィルタ60の外周部64には、テーパー状拡径路58の側壁に指向する弾発付勢力が生じる。また、ホルダ72a〜72dの各フランジ部76の下端面が下型44の底面に当接する一方、フィルタ60の先端がテーパー状拡径路58の底部近傍に堰止され、これによりフィルタ60が各テーパー状拡径路58の所定位置に位置決めされる。
そして、図示しない前記アルゴンガス供給源から、不活性ガスとしてのアルゴンガスが供給される。このアルゴンガスは、ホルダ72a、72bの各フランジ部76に連結されたL字型継手90、供給通路88、及び、主には湯口54a、54bを介して中間ストーク22の室42に到達する。
アルゴンガスの密度は、空気に比して大きい。このため、室42内に到達したアルゴンガスは該室42の下方に向けて流通する一方、該室42の下方の空気がアルゴンガスで押圧されて上昇する。アルゴンガスは、ストーク20の内孔34まで到達することもある。
上昇した空気は、主に、ホルダ72c、72dが着座した湯口54c、54d、ホルダ72c、72dの各フランジ部76に設けられた排出通路92を通過する。この時点では型閉じを行っておらず、排出通路92は大気に開放されているので、中間ストーク22の室42、さらにはストーク20の内孔34から排出された空気は、大気に排出される。
以上のようにして、中間ストーク22の室42内の空気、さらには、ストーク20の内孔34の空気がアルゴンガスに置換される。なお、空気のすべてをアルゴンガスに置換する必要は特になく、例えば、中間ストーク22の容積の半分をアルゴンガスに置換するようにしてもよい。
このように、本実施の形態においては、フィルタ設置装置70を介して中間ストーク22の室42内のガス置換を行うようにしている。従って、低圧鋳造装置10を改造する必要は一切なく、このため、低圧鋳造装置10の構成が複雑化且つ大型化することもない。
アルゴンガスへの置換が終了した後、フィルタ設置装置70を上昇させることでフィルタ60をホルダ72a〜72dから離脱させる。上記したように、各フィルタ60の外周部64はその弾発付勢力でテーパー状拡径路58の側壁を押圧しており、しかも、この弾発付勢力は、膨出部62が形成されることで一層強化されている。その結果、フィルタ60の外周部64の弾発付勢力がマグネット80の磁気的吸引力よりも大きくなっている。このため、フィルタ設置装置70を上昇変位させることのみで、フィルタ60をマグネット80から容易に離脱させることができる。
すなわち、このフィルタ設置装置70によれば、中間ストーク22の室42内のガス置換を実施できるのみならず、複数個のフィルタ60を一度の作業で同時に湯口54a〜54dに挿入することもできる。従って、ガス置換装置とフィルタ設置装置とを別個の装置として準備する必要がないので、コスト的に有利である。また、ガス置換を行った後にガス置換装置を取り外してフィルタ設置装置でフィルタ60を湯口54a〜54dに挿入するようなこともないので、作業が簡素化され、作業時間も短縮する。
引き続き、鋳造作業を実施する。すなわち、図1に示すように型閉じを行い、下型44、2つの側方型46、48、後面型50、図示しない前記前面型及び上型52によってキャビティ14を形成する。次いで、溶湯保持炉12内に圧縮ガス、好ましくはアルゴンガス等の不活性ガスを供給し、これにより溶湯Lを加圧することで、該溶湯Lを上昇させる。溶湯Lは、最終的に、湯口54a〜54dを経由してキャビティ14に到達する。
この際、剥離した塗型剤等の不純物が溶湯保持炉12に仮に混入していたとしても、湯口54a〜54dにフィルタ60が嵌合しているので、該フィルタ60によって不純物が堰止され、溶湯Lから確実に分離される。
また、溶湯Lが上昇を開始するよりも前にフィルタ設置装置70が下型44から離脱しているので、アルゴンガスを供給する供給通路88に溶湯Lが進入することがない。このため、凝固物が供給通路88に付着することがないので、供給通路88の清掃作業の頻度が著しく低減する。
溶湯Lのキャビティ14への上昇に伴い、ストーク20の内孔34、中間ストーク22の室42に供給されたアルゴンガスも上昇し、溶湯Lよりも先にキャビティ14に到達する。従って、キャビティ14内の空気がアルゴンガスに押圧されて上昇し、上型52に設けられたベント孔66から排出される。
このことから諒解されるように、本実施の形態によれば、溶湯Lが中間ストーク22の室42内やキャビティ14内で空気に接触することが回避される。従って、溶湯Lの表層が酸化されることを回避することができ、このため、溶湯Lの流動性を維持することができる。そして、このように溶湯Lの流動速度が維持される結果、鋳造欠陥のない製品を得ることが可能となる。
なお、室42の容積の半分程度をアルゴンガスに置換した場合であっても、上記したようにアルゴンガスの密度が空気に比して大きく、このためにアルゴンガスが室42の下方に滞留し且つ空気が室42の上方に偏在するようになるので、結局、溶湯Lが室42内で空気に接触することが回避される。
所定量の溶湯Lがキャビティ14に注湯されると、溶湯保持炉12内の溶湯Lに対する加圧が終了され、溶湯Lの冷却固化が行われる。この冷却固化により、鋳造品が得られるに至る。上記したように、湯口54a〜54dに挿入されたフィルタ60によって不純物がキャビティ14に到達することが阻止されているので、得られた鋳造品には、鋳造欠陥等が極めて少ない。換言すれば、高品質な鋳造品を高い歩留まりで得ることが可能となる。
なお、上記した実施の形態においては、4個のホルダ72a〜72dを有するフィルタ設置装置70を例示して説明したが、ホルダの個数は、湯口の個数に対応して適宜設定可能であることはいうまでもない。また、アルゴンガスを供給するための供給通路88が設けられたホルダの個数や、排出通路92が設けられたホルダの個数も適宜設定可能である。加えて、同一のホルダに供給通路88と排出通路92の双方を設けるようにしてもよい。
そして、中間ストーク22を設けることは必須ではなく、ストーク20と湯口54a〜54dとを連通させるようにしてもよい。
さらに、フィルタ60に膨出部62を設けることも必須ではない。換言すれば、膨出部62を具備しないフィルタ60を湯口54a〜54dに挿入するようにしてもよい。この場合、前記マグネット80として高さ方向寸法が凹部82の高さ方向寸法に比して小さいものを用いることが好ましい。これによりマグネット80の磁気的吸引力がフィルタ60の弾発付勢力に比して小さくなるので、フィルタ60の湯口54a〜54dへの挿入・嵌合が容易となる。
さらにまた、不活性ガスはアルゴンガスに特に限定されるものではなく、溶湯の化学変化を引き起こすことのないガスであれば如何なる種類のガスであってもよい。アルゴンガス以外の不活性ガスの好適な例としては、キセノンガスを挙げることができる。
低圧鋳造装置の要部概略縦断面図である。 前記低圧鋳造装置の鋳型を構成する下型と、本実施の形態に係るフィルタ設置装置の全体概略斜視図である。 前記下型の湯口に挿入されるフィルタの全体概略斜視図である。 前記フィルタ設置装置のホルダに保持された前記フィルタを前記下型の湯口に挿入した状態を示す要部概略縦断面図である。
符号の説明
10…低圧鋳造装置 12…溶湯保持炉
14…キャビティ 16…鋳型
18…内室 20…ストーク
22…中間ストーク 34…内孔
42…室 44…下型
46、48…側方型 50…後面型
52…上型 54a〜54d…湯口
58…テーパー状拡径路 60…フィルタ
62…膨出部 66…ベント孔
70…フィルタ設置装置 72a〜72d…ホルダ
74…支持フレーム 76…フランジ部
78…突部 80…マグネット
82…凹部 88…供給通路
92…排出通路 L…溶湯

Claims (5)

  1. 鋳造金型の複数個の湯口の各々にフィルタを同時に配設し、且つ前記鋳造金型が形成するキャビティに連通する湯路に対して前記湯口中の少なくとも1箇所から不活性ガスを供給するフィルタ設置装置であって、
    前記湯口の開口径に比して大径のフランジ部を有する複数個のホルダと、
    前記ホルダを支持する支持フレームと、
    を有し、
    複数個の前記ホルダ中の少なくとも1個に前記不活性ガスを供給するための供給通路が設けられ、
    複数個の前記ホルダ中の少なくとも1個に前記湯路を介して前記供給通路に連通し且つ該湯路からパージされたガスを排出するための排出通路が設けられ、
    前記ホルダに保持された前記フィルタが前記湯口に挿入された際、不活性ガス供給機構から供給された前記不活性ガスを前記供給通路から前記湯路に供給する一方、この不活性ガスの供給に伴って前記湯路からパージされたガスを前記排出通路から排出することを特徴とするフィルタ設置装置。
  2. 請求項1記載の装置において、前記湯路としての中間ストーク内に前記不活性ガスを供給して該中間ストーク内のガスをパージするものであることを特徴とするフィルタ設置装置。
  3. 鋳造金型が形成するキャビティに連通する湯路の雰囲気を不活性ガスに置換する湯路のガス置換方法であって、
    前記鋳造金型の複数個の湯口の開口径に比して大径のフランジ部を有する複数個のホルダと、前記ホルダを支持する支持フレームとを有するフィルタ設置装置を使用し、
    前記ホルダに保持された前記フィルタを前記湯口に挿入することで、該湯口の各々にフィルタを配設し、
    その一方で、不活性ガス供給機構から供給された前記不活性ガスを、複数個の前記ホルダ中の少なくとも1個に設けられた供給通路から前記湯路に供給するとともに、この不活性ガスの供給に伴って前記湯路からパージされたガスを、複数個の前記ホルダ中の少なくとも1個に設けられ、且つ前記湯路を介して前記供給通路に連通する排出通路から排出することを特徴とする湯路のガス置換方法。
  4. 請求項3記載のガス置換方法において、前記不活性ガスとしてアルゴンガスを使用することを特徴とする湯路のガス置換方法。
  5. 請求項3又は4記載のガス置換方法において、前記湯路として中間ストーク内のガスを前記不活性ガスに置換することを特徴とする湯路のガス置換方法。
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