JP2006347413A - 車両用ホイールおよび車両用ホイールの鋳造方法 - Google Patents

車両用ホイールおよび車両用ホイールの鋳造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ディスク部,リム部に要求される特性を最大限実現できる車両ホイールを提供する。
【解決手段】
金型20の成形空間40は、車両用ホイールのディスク部を成形するためのディスク部成形空間40aと、車両用ホイールのリム部を成形するリム部成形空間40bとを有している。ディスク部成形空間40aの中央にはセンターゲート25が連なる。リム部成形空間40bには、周方向に間隔をおいて形成された複数のサイドゲート26が連なる。第1溶湯保持炉と第2溶湯保持炉には異なる材料の溶湯が保持されており、第1溶湯保持炉からセンターゲート25に溶湯を供給するとともに、第2溶湯保持炉からサイドゲート26に溶湯を供給することにより、車両用ホイールが鋳造される。車両ホイールのディスク部とリム部の組成は異なっている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ディスク部とリム部とを一体に鋳造してなる車両用ホイールおよびこの車両用ホイールの鋳造方法に関する。
特許文献1には、アルミ合金製(軽合金製)の車両用ホイールを鋳造する低圧鋳造方法が開示されている。この方法に用いられる金型の成形空間は、ディスク部成形空間とリム部成形空間とを有しており、ディスク部成形空間の中央にセンターゲートが連なり、リム部成形空間には周方向に離れた複数のサイドゲートが連なっている。
鋳造時には、1つの溶湯保持炉内の溶湯がセンターゲート,サイドゲートを介して金型の成形空間に充填される。
特開2001−287015号公報
ところで、車両用ホイールのディスク部とリム部では、要求される鋳造特性や機械的特性が異なる。ディスク部では、デザイン性が重視されるので形状が複雑であるため、溶湯の高い流動性が必要であるが、靭性はリム部より低くてもよい。これに対してリム部では、形状が単純であるため溶湯の流動性はディスク部より低くてもよいが、路面からの振動荷重を受けるため高い靭性が要求される。
しかし、特許文献1の方法で鋳造される車両用ホイールは全領域にわたって同一組成となるため、ディスク部とリム部で要求される両方の特性を得られる材料を選択することになり、各部位の要求特性に高いレベルで答えることには限界があった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、ディスク部とリム部とを一体に鋳造してなる車両用ホイールにおいて、ディスク部とリム部の組成が異なることを特徴とする。
この構成によれば、ディスク部で要求される特性とリム部で要求される特性が異なっても、各部位で要求される特性に合わせた組成にすることができ、最適の車両ホイールが得られる。
好ましくは、上記ディスク部の材料はリム部に比べて溶湯状態における流動性が高く、リム部の材料はディスク部に比べて靭性が高いことを特徴とする。これにより、複雑な形状のディスク部の鋳造がより一層容易になるとともに、路面からの振動を受けるリム部の靭性をより一層高めることができる。
好ましくは、上記ディスク部およびリム部の材料がアルミ合金からなり、リム部のアルミ合金のシリコン含有量がディスク部より少ない。これによりディスク部の鋳造がより一層容易になるとともに、リムの靭性をより一層高めることができ、しかもディスク部とリム部の一体性を確保でき,両者の結合も強固である。
さらに本発明は、車両用ホイールの鋳造方法において、車両用ホイールのディスク部を成形するためのディスク部成形空間と、車両用ホイールのリム部を成形するリム部成形空間と、上記ディスク部成形空間の中央に連なるセンターゲートと、上記リム部成形空間に連なり周方向に間隔をおいて形成された複数のサイドゲートとを有する金型を用意するとともに、第1溶湯保持炉と第2溶湯保持炉を用意し、上記第1溶湯保持炉と第2溶湯保持炉に異なる材料の溶湯を保持させ、上記第1溶湯保持炉から上記センターゲートに溶湯を供給するとともに、上記第2溶湯保持炉から上記サイドゲートに溶湯を供給することにより、ディスク部とリム部を一体に鋳造することを特徴とする。
上記方法によれば、ディスク部とリム部の組成が互いに異なり、それぞれに要求される特性に適合した組成を有する車両ホイールを鋳造することができる。
好ましくは、上記溶湯材料としてアルミ合金を用い、上記第2溶湯保持炉に保持される溶湯のシリコン含有量を、上記第1溶湯保持炉に保持される溶湯より少なくし、第2溶湯保持炉の溶湯温度を第1溶湯保持炉の溶湯温度より高くする。
これにより、ディスク部では溶湯の高い流動性を実現でき、リム部では靭性を向上させることができる。しかも、第1,第2溶湯保持炉内の溶湯温度を材料に合わせて制御することにより、円滑な鋳造を確保できる。
以上説明したように本発明では、ディスク部とリム部にそれぞれ要求される特性を満たすことができる車両ホイールを提供できる。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図4は、鋳造後、切削加工前のアルミ合金製(軽合金製)の車両用ホイール1を示す。車両用ホイール1は、周知のようにディスク部1aとディスク部1aの周縁に一体に形成されたリム部1bとを有している。
図1は、上記車両用ホイール1を低圧鋳造する装置を示す。この低圧鋳造装置は、支持フレーム10と、金型20と、第1溶湯保持炉50と、複数(本実施形態では4つ)の第2溶湯保持炉60とを基本構成要素として備えている。
上記支持フレーム10は、中間高さに固定台11を有し、この固定台11の上方に昇降台12を有している。
上記金型20は、上記固定台11に固定された下型21と、上記昇降台12に固定された上型22と、周方向に複数(本実施形態では4つ)に分割された横型23とを備えている。
図2に示すように、上記金型20の型締め状態では、横型23の側面同士が互いに当たり、横型23の下面が下型21に当たり、横型23の上面が上型22に当たっており、内部に車両用ホイール1を鋳造するためのホイール成形空間40が形成される。このホイール成形空間40は、ディスク部成形空間40aとその周縁に連なって上方に延びるリム部成形空間40bとを有している。
上記下型21の中央には、上記ディスク部成形空間40aの中央に連なるセンターゲート25が形成されている。また、隣接する横型23の側面間には、上記リム部成形空間40bに連なるサイドゲート26が形成されている。本実施形態では、横型23が4分割されており、サイドゲート26が4つ形成されている。なお、横型23が2分割されている場合にはサイドゲート26は2つ形成される。これらサイドゲート26は下型21に形成された湯道27に連なっている。
図1に示すように、固定台11には、上記センターゲート25に接続される出湯管35の上端部が固定されるとともに、4つの湯道27にそれぞれ接続される出湯管36の上端部が固定されている。
上記第1溶湯保持炉50は、金型20の下方に配置されており、断熱容器51と、断熱容器51内に収容された坩堝52と、断熱容器51の内周に配置されたヒータ53とを有している。上記センターゲート25に接続された出湯管35は、垂直に下方に延びて断熱容器51の蓋部51aを貫通し、その下端が坩堝52内の溶湯に浸漬されている。
上記断熱容器51の蓋部51aには給排気管57も貫通しており、この給排気管57には、電磁三方弁58(弁手段)を介して加圧気体供給手段59が接続されている。この加圧気体供給手段59は、加圧気体源と圧力制御手段(いずれも図示せず)を含んでいる。
4つの第2溶湯保持炉60は、上記金型20の下方から離れ、上記第1溶湯保持炉50の近傍に配置されている。これら第2溶湯保持炉60も第1溶湯保持炉50と同様に、断熱容器61と、断熱容器61内に収容された坩堝62と、断熱容器61の内周に配置されたヒータ63とを有している。
上記第2溶湯保持炉60において、断熱容器61の蓋部61aには密閉ポット65の上端部が固定されている。この密閉ポット65は垂直に垂れ下がって坩堝62内の溶湯に浸漬されている。密閉ポット65の上端開口は封止部材65aで封止されている。
図3に示すように、各密閉ポット65の底部には給湯口65xが形成されている。この給湯口65xは、シリンダ72に連結されたロッド形状の遮断弁71の昇降により開閉される。
図1に示すように、各出湯管36の上端部は湯道27に接続されるようにして固定台11に固定され、ここから放射状に延びて対応する第2溶湯保持炉60に至り、その断熱容器61の蓋部61aを垂直に貫通し、下方に延びて坩堝62内の溶湯中に浸漬されている。さらに、この出湯管36の下端部36aは、水平に延びて密閉ポット65の底部近傍の周壁を貫通して密閉ポット65内に入り込んでおり、密閉ポット65の一部を構成している。
図3に示すように、出湯管36の下端部36aには、出湯口36xが形成されている。 上記出湯口36xは、シリンダ74に連結されたロッド状の遮断弁73の昇降により開閉されるようになっている。
図3に示すように、上記密閉ポット65の上端開口を封止する封止部材65aには給排気管80(連通路)が貫通しており、この給排気管80には電磁弁81を介して吸引ポンプ82(吸引手段)が接続されるとともに、電磁弁83を介して加圧気体供給手段84が接続されている。この加圧気体供給手段84は、加圧気体源と圧力制御手段(いずれも図示せず)を含んでいる。
なお、上記出湯管35,36において外部に露出された部位にはヒータ(図示しない)が巻かれている。
上記構成の装置を用いた車両用ホイールの低圧鋳造方法について詳述する。第1溶湯保持炉50の坩堝52内には、通常の車両用ホイールの鋳造に用いられるJIS規格AC4CHのアルミ合金の溶湯を約700°Cで保持させ、第2溶湯保持炉60の坩堝62内には、JIS規格6000系たとえば6061のアルミ合金の溶湯を約720°Cで保持させる。
なお、第2溶湯保持炉60においては、鋳造作業の開始に先立って、出湯口36xおよび給湯口65xの開閉、密閉ポット65内の加減圧が行なわれ、出湯管36における溶湯が定湯面レベルCに保持される。
第1溶湯保持炉50から金型20への溶湯供給は、給排気管57と加圧気体供給手段59とを連通させるように三方弁58を作動させ、加圧気体供給手段59からの加圧気体を坩堝52に供給することにより実行される。坩堝52内の溶湯は、この加圧気体に押され、出湯管35,センターゲート25を経てディスク部成形空間40aに供給されて、充填が完了する。そして、溶湯の充填状態を維持したままで、所定時間が経過すると、加圧気体の供給を停止させるとともに、三方弁58を作動させて坩堝52内を大気に開放させる。これにより、センターゲート25における湯切れを行う。
一方、第2溶湯保持炉60では、坩堝62の溶湯を直接に金型20に供給するのではなく、密閉ポット65を介して供給する。鋳造作業開始時は、前記したように、出湯口36xおよび給湯口65xが閉じられて、出湯管36の溶湯が定湯面レベルCに維持されている状態である。この状態で、給湯口65xを開き、開閉弁83を閉じ、開閉弁81を開くとともに、吸引ポンプ82を作動させることにより、密閉ポット65内を負圧にし、坩堝62内の溶湯を密閉ポット65に流入させる。密閉ポット65内の溶湯のレベルが所定レベルHに達したら、これをフロースイッチ等のレベル検知手段で検知して、遮断弁71が下降して給湯口65xを閉じるとともに、吸引ポンプ82を停止し、開閉弁81を閉じる。
次に、給湯口65xを閉じた状態で、出湯口36xを開くととともに、開閉弁83を開くことにより、加圧気体を密閉ポット65に供給する。これにより、密閉ポット65内の溶湯が出湯管36を通り、湯道27,サイドゲート26を経てリム部成形空間40bに供給される。密閉ポット65の溶湯のレベルが所定レベルLまで下がったら、これをレベル検知手段で検知して加圧気体の供給を停止させるとともに、このときの密閉ポット65内の圧力を維持する、そして、所定時間が経過すると、密閉ポット65内の圧力を降下し、出湯管36内の溶湯を若干量密閉ポット65内へ戻して湯切りした後、遮断弁71を下降させて出湯口36xを閉じる。
出湯口36xを閉じた後に、再び給湯口65xを開き、所定のタイミングで上述の吸引動作を行ない、次回の鋳造に備える。
湯切り終了後に出湯口36xを閉じるので、溶湯は密閉ポット65に戻らず出湯管36に残留しており、ヒータの加熱により溶湯のまま維持されている。したがって、次の鋳造時には、出湯管36から直ぐにサイドゲート26に溶湯を供給することができる。
なお、鋳造に際して、上記溶湯保持炉50,60から金型20への溶湯供給はほぼ同時期に行なわれ、ほぼ同時期に終了する。これら溶湯の供給圧力や供給時期に関しては、適宜個別に調節することができる。第2溶湯保持炉60に関しては、共通の開閉弁81,83,吸引ポンプ82,加圧気体供給手段84を用いてもよい。
ディスク部成形空間40aへの溶湯供給をリム部成形空間40bへの溶湯供給より早くしてもよい。例えば、ディスク部成形空間40aへの溶湯充填がほぼ完了した時にリム部成形空間40bへの溶湯供給を開始するようにしてもよい。
上記センターゲート25からディスク部成形空間40aに充填されるアルミ合金の溶湯はAC4CHであり、シリコンを多く含んでいる。そのため、溶湯の流動性が高く、ディスク部成形空間40aが複雑であっても、迅速かつ円滑に溶湯充填がなされる。しかも、シリコンを多く含むため凝固の際の収縮率が小さく、厚いディスク部の成形において寸法の収縮を最小限にすることができる。
上記サイドゲート26からリム部成形空間40bに充填されるアルミ合金の溶湯は6000系であり、ディスク部成形空間40aに充填されるAC4CHよりシリコンが少ない。そのため、成形されたリム部1bは高い靭性を有することができる。この溶湯はAC4CHより流動性が低いが、リム部成形空間40bは比較的単純な形状であるので、充填に支障をきたすことは無い。また、この溶湯はAC4CHより収縮率が高いが、リム部成形空間40bが薄いので、寸法の収縮は小さく問題にならない
本発明は上記実施形態に制約されず、種々の形態を採用可能である。例えば、上記実施形態では、複数の第2溶湯保持炉60に保持する溶湯を同一組成としたが、第2溶湯保持炉60毎に溶湯の組成を異ならせることも可能である。
複数のサイドゲート26への溶湯組成が同じ場合には、共通の第2溶湯保持炉60を用いてもよい。すなわち、複数のサイドゲート26に接続される複数の出湯管36を、共通の第2溶湯保持炉60内の複数の密閉ポット65に接続する。
金型のリム成形空間は、最終製品のリム部よりはるかに厚いリム部を成形するものであってもよい。この場合、鋳造後にリム部をスピニング加工することにより、最終製品形状またはそれに近い形状にする。
ディスク部1a,リム部1bの組成は,上記実施形態に制約されない。要求される特性が今後変化する場合には、要求される特性に応じてディスク部,リム部の組成を変える。
本発明の一実施形態に係わる車両用ホイールの低圧鋳造方法を実行する装置の縦断面図である。 同装置の金型の要部を型締め状態で示す拡大縦断面図である。 同装置の第2溶湯保持炉の要部拡大縦断面図である。 鋳造直後の車両ホイールの縦断面図である。
符号の説明
1 車両用ホイール
1a ディスク部
1b リム部
20 金型
25 センターゲート
26 サイドゲート
40 車両用ホイール成形空間
40a ディスク部成形空間
40b リム部成形空間
50 第1溶湯保持炉
60 第2溶湯保持炉

Claims (5)

  1. ディスク部とリム部とを一体に鋳造してなる車両用ホイールにおいて、ディスク部とリム部の組成が異なることを特徴とする車両用ホイール。
  2. 上記ディスク部の材料はリム部に比べて溶湯状態における流動性が高く、リム部の材料はディスク部に比べて靭性が高いことを特徴とする請求項1に記載の車両用ホイール。
  3. 上記ディスク部およびリム部の材料がアルミ合金からなり、リム部のアルミ合金のシリコン含有量がディスク部より少ないことを特徴とする請求項2に記載の車両用ホイール。
  4. 車両用ホイールのディスク部を成形するためのディスク部成形空間と、車両用ホイールのリム部を成形するリム部成形空間と、上記ディスク部成形空間の中央に連なるセンターゲートと、上記リム部成形空間に連なり周方向に間隔をおいて形成された複数のサイドゲートとを有する金型を用意するとともに、
    第1溶湯保持炉と第2溶湯保持炉を用意し、
    上記第1溶湯保持炉と第2溶湯保持炉に異なる材料の溶湯を保持させ、
    上記第1溶湯保持炉から上記センターゲートに溶湯を供給するとともに、上記第2溶湯保持炉から上記サイドゲートに溶湯を供給することにより、ディスク部とリム部を一体に鋳造することを特徴とする車両用ホイールの鋳造方法。
  5. 上記溶湯材料としてアルミ合金を用い、上記第2溶湯保持炉に保持される溶湯のシリコン含有量を、上記第1溶湯保持炉に保持される溶湯より少なくし、第2溶湯保持炉の溶湯温度を第1溶湯保持炉の溶湯温度より高くすることを特徴とする請求項4に記載の車両用ホイールの鋳造方法。
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