以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
図1及び図2は、本発明の一実施形態のデジタル一眼レフレックスカメラの概略的な構成を示す図である。このうち、図1は本実施形態のデジタル一眼レフレックスカメラの一部を切断して、その内部構成を概略的に示す斜視図である。また、図2は図1のデジタル一眼レフレックスカメラの主に電気的な構成を概略的に示すブロック構成図である。図3は、本実施形態のカメラにおいて、液晶表示装置を電子ビューファインダー装置として使用する際の作用を説明するタイムチャートである。図4は、本実施形態のカメラにおいて、最大絞り駆動時間を設定する際の処理シーケンスを示すフローチャートである。
本実施形態のデジタル一眼レフレックスカメラ(以下カメラと略記する)1は、それぞれが別体に構成されるカメラ本体11と撮影用レンズ鏡筒(以下単にレンズ鏡筒という)12とによって構成される。これらのカメラ本体11及びレンズ鏡筒12の両者は互いに着脱自在となるように構成されている。すなわち、カメラ1はレンズ交換式のデジタル一眼レフレックスカメラである。
レンズ鏡筒12は、複数のレンズ要素等からなる撮影用レンズである撮影光学系12a及びその駆動機構(図1では図示せず)等を内部に保持して構成されている。この撮影光学系12aは、被写体からの光束を透過させることで当該被写光束により形成される被写体の像を所定の位置(後述する撮像素子27の光電変換面(受光面)上;図2参照)に結像せしめるように、例えば複数の光学レンズ等によって構成されるものである。そして、このレンズ鏡筒12は、カメラ本体11の前面に向けて突出するように配設されている。
なお、レンズ鏡筒12の詳細な構成については、従来のカメラ等において一般的に利用されているものと同様の構成からなるものが適用されるものとし、その詳細な構成の説明は省略する。
カメラ本体11は、内部に各種の構成部材等を備えて構成され、かつ撮影光学系12aを保持するレンズ鏡筒12を着脱自在となるように配設するための連結部材であるレンズ鏡筒装着部11aをその前面に備えて構成されてなるいわゆるレンズ交換式一眼レフレックス方式のデジタルカメラの主要本体部をなしている。
つまり、カメラ本体11の前面側の略中央部には、被写体光束を当該カメラ本体11の内部へと導き得る所定の口径を有する露光用開口が形成されており、この露光用開口の周縁部にレンズ鏡筒装着部11aが形成されている。
カメラ本体11の外面側には、その前面に上述のレンズ鏡筒装着部11aが配設されているほか、上面部や背面部等の所定の位置にカメラ本体11を動作させるための各種の操作部材、例えば測距動作(AF動作)及び測光動作(AE動作)や露出動作を開始させるための指示信号等を発生させるレリーズボタン17aや撮影動作時に用いるファインダー装置の切り換えを行なうファインダー切換操作部材17b等が配設されている。なお、これら各種の操作部材については、図面の煩雑化を避けるために、図1においては当該レリーズボタン17a以外の操作部材の図示を省略する。
カメラ本体11の内部には、図1に示すように各種の構成部材、例えば撮影光学系12aによって形成される所望の被写体像を観察する観察光学系を構成する光学式ファインダー装置13と、撮像素子27の光電変換面への被写体光束の照射時間等を制御するシャッタ機構等を備えたシャッター部14と、このシャッター部14を含み撮影光学系12aを透過した被写体光束に基づいて形成される被写体像に対応した画像信号を得る撮像手段であり光電変換素子である撮像素子27及びこの撮像素子27の光電変換面の前面側の所定の位置に配設され当該光電変換面への塵埃等の付着を予防する防塵部材である防塵フイルター21等からなる撮像ユニット15と、撮像素子27により取得した画像信号に対して各種の信号処理を施す画像信号処理回路16a(図2参照)等の電気回路を構成する各種の電気部材が実装される主回路基板16を始めとした複数の回路基板(図1では主回路基板16のみを図示している)等が、それぞれ所定の位置に配設されている。
光学式ファインダー装置13は、撮影光学系12aを透過した被写体光束の光軸を所定の方向(観察光学系のがわ)へと折り曲げる反射鏡13bと、この反射鏡13bから出射する光束を受けて正立正像を形成させるペンタプリズム13aと、このペンタプリズム13aにより形成される像を拡大して観察するのに最適な形態の像を結像させる観察光学系の一部を構成する接眼レンズ13cと、被写体光束の一部をAFセンサユニット65(図2では単にAFセンサと表記している)のがわへと導く副鏡13d等によって構成されている。
反射鏡13bは、撮影光学系12aの光軸から退避する位置と当該光軸上の所定の位置との間で進退自在に配設される可動ミラーである。この反射鏡13bは、通常状態においては、撮影光学系12aの光軸上において当該光軸に対して所定の角度、例えば角度45度を有して配置されている。これにより、撮影光学系12aを透過した被写体光束は、当該カメラ1が通常状態にあるときには、反射鏡13bによってその光軸が折り曲げられて、当該反射鏡13bの上方に配置されるペンタプリズム13aのがわへと反射するようになっている。
また、反射鏡13bの撮像素子27と対向する側の面には、当該反射鏡13bに対して角度90度を有して副鏡13dが反射鏡13bに対して回動自在に配設されている。これに伴って、反射鏡13bの略中央部近傍は、一部の光束が透過し得るように形成されている。
したがって、これにより当該カメラ1が通常状態にあるときには、反射鏡13bの一部を透過した光束が副鏡13dによってその光軸を折り曲げられて、当該副鏡13dの下方に設けられるAFセンサユニット65のがわへと反射するようになっている。
一方、本カメラ1が撮影動作の実行中において、その実際の露光動作中には、当該反射鏡13bは、撮影光学系12aの光軸から退避する所定の位置に移動するようになっている。これによって、被写体光束は、撮像素子27のがわへと導かれ、その光電変換面を照射するようになっている。
この場合において、撮影光学系12aの光軸から退避する所定の位置と、撮影光学系12aの光軸上の所定の位置との間で反射鏡13bを移動させる制御は、ミラー駆動機構63(図2参照)によって行なわれる。
シャッター部14は、例えばフォーカルプレーン方式のシャッター機構や、このシャッター機構の動作を制御する駆動回路等、従来のカメラ等において一般的に利用されているものと同様のものが適用されるものとし、その詳細な構成についての説明は省略する。
本実施形態のカメラ1は、上述したように撮影光学系12a等を内部に備えたレンズ鏡筒12と、装置本体であるカメラ本体11等によって単一のシステムを構成している。この場合において、レンズ鏡筒12は、カメラ本体11の前面側においてレンズ鏡筒装着部11aを介してカメラ本体11に着脱自在に配設されている。そのために、レンズ鏡筒12の後端側には、上述のレンズ鏡筒装着部11aに対応し係合する装着部12bが形成されている。これにより、カメラ本体11とレンズ鏡筒12とは、いわゆるバヨネット結合するようになっている。
そして、図2に示すようにカメラ本体11とレンズ鏡筒12とには、それぞれにカメラ本体11の制御をおこなうボディ制御用マイクロコンピュータ41と、レンズ鏡筒12の制御をおこなうレンズ制御用マイクロコンピュータ71とが配設されている。これらボディ制御用マイクロコンピュータ41及びレンズ制御用マイクロコンピュータ71の両者は、カメラ本体11とレンズ鏡筒12とが連結されている状態において通信コネクタ80a,80bを介して電気的に接続され、互いに通信し得るようになっている。
すなわち、カメラ本体11とレンズ鏡筒12とには、図2に示すように通信コネクタ80a,80bがそれぞれに設けられており、カメラ本体11に対してレンズ鏡筒12が装着され両者が連結した状態になると、ボディ制御用マイクロコンピュータ41とレンズ制御用マイクロコンピュータ71とは、通信コネクタ80a,80bを介して電気的に接続され、互いに通信し得る状態になる。そして、このときレンズ制御用マイクロコンピュータ71は、ボディ制御用マイクロコンピュータ41の制御下において、従属的に協働しながら稼動するようになっている。つまり、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、システムとしてのカメラ1全体を統括的に制御する制御手段の役目をしている。
レンズ鏡筒12は、図2に示すように当該レンズ鏡筒12の各構成部材の制御を行なうレンズ制御用マイクロコンピュータ71と、複数のレンズ等からなる撮影光学系12aと、この撮影光学系12aを所定の方向へ任意のときに所定量だけ移動させるための駆動機構であって例えばDCモータ(図示せず)等を含むレンズ駆動機構74と、撮影光学系12aに入射する光束の光量を調節する絞り機構部72と、この絞り機構部72を駆動するステッピングモータ(図示せず)等を含む絞り駆動機構73等を備えて構成されている。
そして、レンズ制御用マイクロコンピュータ71は、通信コネクタ80a,80bを介して接続されるボディ制御用マイクロコンピュータ41からの指令に基づいてレンズ駆動機構74,絞り駆動機構73等を電気的に駆動制御するようになっている。
一方、カメラ本体11の内部には、上述したように反射鏡13bとペンタプリズム13aと接眼レンズ13cと副鏡13d等によって構成される光学式ファインダー装置13と、フォーカルプレーン方式のシャッター部14と、反射鏡13bを駆動制御するミラー駆動機構63と、シャッター部14の先膜と後膜とを駆動するためのばね力をチャージするための機構等からなるシャッターチャージ機構62等の機構部材のほかに、複数の回路基板が配設され、各種の電気回路が構成されている。
カメラ本体11の電気的な構成は、図2に示すように例えば当該カメラ本体11の各構成部材の制御を行なって本カメラ1全体を統括的に制御するボディ制御用マイクロコンピュータ41と、副鏡13dからの反射光束を受けて測距動作を行なうためのAFセンサユニット65と、このAFセンサユニット65を駆動制御するAFセンサ駆動回路64と、シャッター部14のシャッター秒時などの動作を駆動制御するシャッター制御回路61と、ペンタプリズム13aに入射する光束の一部を受けて所定の測光動作を行なう測光回路66と、被写体光束を受けて光電変換する光電変換素子である撮像素子27を含みこの撮像素子27の前面側に設けられる光学素子としての透明ガラス部材などからなる防塵フイルター21及びこの防塵フイルター21を所定の周波数で振動させるための加振手段である圧電素子22等からなる撮像ユニット15と、防塵フイルター21を振動させるためにボディ制御用マイクロコンピュータ41から出力される制御信号にしたがって圧電素子22を駆動制御する電気回路(駆動回路)であって発振器等からなる駆動手段である防塵フイルター駆動回路48と、撮像素子27を駆動制御し当該撮像素子27により取得される画像信号の信号処理を取り扱うCCDインターフェイス回路29と、このCCDインターフェイス回路29からの出力(すなわち、撮像素子27によって取得した画像信号)に基づいて各種の信号処理を施す画像信号処理回路16aと、この画像信号処理回路16aによって処理済みの画像信号や画像データ及びこれに付随する各種の情報等を一時的に記録する一時的保管用メモリの役目をするSDRAM等のワークメモリ16b及びフラッシュロム(FlashROM)70と、この画像信号処理回路16aによって生成された所定の形態の記録用の画像データを所定の領域に記録する記録媒体43と、画像を表示するための表示部である液晶表示装置(LCD)46と、本カメラ1の制御に必要となる所定の制御パラメータ等を予め記録されているEEPROM等からなる不揮発性メモリ69と、当該カメラ1の動作状態を表示するための動作表示用LCD67と、本カメラ1の各種の操作部材に連動し、各所定の指示信号を発生させるためのスイッチ群であるカメラ操作スイッチ(SW)68と、疑似的なシャッター音や異常発生時の警告音などの例えば電子音などを発生させるスピーカなどの発音部を含む発音手段である発音回路75と、例えば乾電池等からなる電池45と、この電池45又は所定の接続ケイブル等(図示せず)により供給される外部電源(AC)からの電力を受けて、本カメラ1を動作させるのに適する電圧に変換制御して各電気回路へと配電する電源回路44と、撮像素子27の周辺温度を測定する温度測定回路49等を備えて構成されている。
なお、撮像素子27は、少なくともその中央部近傍が透明な防塵フイルター21によって保護されている。この防塵フイルター21の周縁部には、撮像素子27の受光面に対向するがわの面に防塵フイルター21に対して振動を加えるための圧電素子22が配置されている。
圧電素子22は、防塵フイルター21の側縁部近傍の一方の面に貼着されている。この圧電素子22は、防塵フイルター駆動回路48による制御によって防塵フイルター21に振動を加え得るように構成されている。こうして防塵フイルター21を振動させることで、当該防塵フイルター21の表面に付着した塵埃等を除去する塵埃等除去機構が構成されている。
なお、撮像素子27及び圧電素子22は、図2において破線で示すように防塵フイルター21の一方の面を一面とする枠体により囲まれるケース部材の内部に一体となるように収納されている。このような形態とすることで、より好ましい防塵作用を得ることができるようになっている。
また、通常の場合において、温度はガラス製の部材(防塵フイルター21)等の弾性係数に影響し、その固有振動数を変化させる要因の一つとなっている。したがって、防塵フイルター21を振動させて運用するのに際しては、その温度を計測して、そのときの環境下における固有振動数の変化を考慮する必要がある。特に、カメラ1における撮像素子27は、その稼働中において温度上昇が激しい傾向があり、この撮像素子27の近傍に設けられる防塵フイルター21の温度変化を測定することで、そのときの固有振動数を予想することができる。
したがって、本カメラ1においては、撮像素子27の周辺温度を測定するためのセンサ(図示せず)を含む温度測定回路49を備えて構成されている。そして、この場合におけるセンサの配置位置、即ち温度測定点は、例えば防塵フイルター21の振動面の近傍に設定される。
また、カメラ操作スイッチ68は、例えば測光動作(AE動作)及び測距動作(AF動作)の開始を指示する第1(1st)レリーズスイッチ及び露出動作の開始を指示する第2(2nd)レリーズスイッチや、カメラ1の動作モードの変更を行なうモード変更スイッチや、主電源の開閉(オンオフ)を指示する電源スイッチや、防塵フイルター21を作動させて塵埃等除去動作を実行するためのスイッチや、撮影動作時に用いるファインダー装置の切り換えを行なうファインダー切り換えスイッチ等、当該カメラ1の所定の動作を行なうために操作する必要な操作ボタンにそれぞれ連動するスイッチ群によって構成されている。
一方、上述のAFセンサユニット65からの出力は、AFセンサ駆動回路64を介してボディ制御用マイクロコンピュータ41へ送信されるようになっている。これを受けてボディ制御用マイクロコンピュータ41は周知の測距処理を実行する。
また、画像信号処理回路16aは、ボディ制御用マイクロコンピュータ41からの指令に従ってCCDインターフェイス回路29を制御する。これにより、撮像素子27からの出力信号(画像信号)を取り込み、これをSDRAM等のワークメモリ16b等に一時的に記録するようになっている。
そして、ワークメモリ(SDRAM)16bに一時記録された画像信号は、画像信号処理回路16aにおいて所定の信号処理が施されることによって、画像を表示するのに最適な形態の表示用画像信号となるように変換された後、液晶表示装置46へと出力され、その表示部(図示せず)を用いて対応する画像が表示されるようになっている。
さらに、ワークメモリ(SDRAM)16bに一時記録された画像信号は、画像信号処理回路16aにおいて所定の信号処理が施されることによって、記録するのに最適な形態の記録用画像データ、例えばJPEG方式等の圧縮データ等に変換された後、記録媒体43へと出力され、これに記録されるようになっている。
なお、本実施形態のカメラ1における液晶表示装置46は、記録媒体43に記録済みの画像データに基づいてこれに対応する画像を再生表示する画像再生手段としての役目をする一方、撮影動作時には、反射鏡13b(可動ミラー)を撮影光路外に退避させた状態で、撮像素子27にて撮像し、これから連続的に出力される被写体像を表わす画像データを受けてこの画像データに基づく動画像を表示する画像表示手段である電子ビューファインダー装置としての役目もしている。
ミラー駆動機構63は、反射鏡13bが撮影光学系12aの光路外へと退避した位置(アップ(UP)位置)と、同反射鏡13bを撮影光学系12aの光路上の所定の位置に配置されるダウン(DOWN)位置との間で反射鏡13bとを駆動させるための機構である。
ここで、例えば反射鏡13bがダウン位置に配置されているときには、撮影光学系12aからの光束は反射鏡13bによってその光軸を折り曲げられてペンタプリズム13aのがわへと導かれる。また、撮影光学系12aからの一部の光束は反射鏡13bを透過して副鏡13dによってその光軸を折り曲げられてAFセンサユニット65のがわへと導かれる。
上述のようにペンタプリズム13aのがわへと導かれた撮影光学系12aからの光束は、ペンタプリズム13aにおいて所定の被写体像が形成され、使用者は接眼レンズ13cを介して被写体像を観察することができるようになっている。また、ペンタプリズム13aを透過する光束の一部は測光回路66へと導かれるようになっている。この測光回路66では、内部のフォトセンサ(図示せず)等の作用によって所定の測光処理をおこなう。そして、その測光結果の出力信号は、ボディ制御用マイクロコンピュータ41へと伝送されるようになっている。
また、AFセンサユニット65のがわへと導かれた撮影光学系12aからの一部の光束は、AFセンサユニット65の内部のAFセンサ(図示せず)等の作用によって光電変換されて出力される。AFセンサユニット65からの出力はAFセンサ駆動回路64へと出力され、このAFセンサ駆動回路64を介してボディ制御用マイクロコンピュータ41へと送信される。これを受けてボディ制御用マイクロコンピュータ41は所定の測距処理をおこなう。そして、その測距結果の出力信号は、ボディ制御用マイクロコンピュータ41へと伝送されるようになっている。
さらに、ボディ制御用マイクロコンピュータ41には、スピーカ等の発音部材を含む発音回路75が接続されている。この発音回路75は、ボディ制御用マイクロコンピュータ41から出力される所定の制御信号を受けて、例えば疑似シャッター音や警告音やメッセージ音声等の電子音を適宜所定の時期に発音するものである。
ところで、上述したように本実施形態のカメラ1は、レンズ交換式のデジタル一眼レフレックスカメラであって、光学式ファインダー装置13と電子ビューファインダー装置としての液晶表示装置46とを具備し、この両者を適宜切り換えて使用し得るように構成されている。
この場合において、光学式ファインダー装置13は、反射鏡13bやペンタプリズム13a及び接眼レンズ13cなどによって構成されており、反射鏡13bが撮影光学系12aの光路上の所定の位置に配置されている状態で使用されるものである。
すなわち、反射鏡13bの反射面が撮影光学系12aに対向するように、かつ撮影光学系12aの光軸Oに対して角度略45度傾けて配置されている状態において、撮影光学系12aを透過して入射する光束は、反射鏡13bによってその光軸Oが角度略90度だけ折り曲げられてペンタプリズム13aの側へと導かれ、このペンタプリズム13aにより形成される被写体像は接眼レンズ13cへと至り、この接眼レンズ13cによって被写体像を観察することができるようになっている。
一方、この状態、すなわち光学式ファインダー装置13を使用し得る状態にあるときに、例えばカメラ本体11の外面に設けられる各種の操作部材のうちファインダー切換操作部材17bを操作すると、本カメラ1は液晶表示装置46を電子ビューファインダー装置として用いて被写体像の観察をおこなうことができるようになっている。
この場合において、上述のごとくファインダー切換操作部材17b(図1参照)を操作するとカメラ操作スイッチ68(図2参照)に含まれるファインダー切り換えスイッチが作動し、その信号を受けてボディ制御用マイクロコンピュータ41は、ミラー駆動機構63を介して反射鏡13bを駆動制御し、これを撮影光学系12aの光路外の所定の位置へと退避させる。これと同時に、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、シャッター制御回路61を介してシャッター部14を駆動制御して、これを開放状態にする。その後、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、撮像素子27及び液晶表示装置46を駆動するための制御をおこなって、被写体像の動画像データを取得し、これを液晶表示装置46を用いて表示することで被写体像を観察することができるようになっている。
このように構成される本実施形態のカメラ1において、撮影動作を実行する際の作用を説明する。
まず、撮影動作を行なうのに際して光学式ファインダー装置13を使用する場合の作用を説明する。
本実施形態のカメラ1において撮影動作を実行するのに際しては、まずカメラ本体11の外面に設けられる各種操作部材のうち電源スイッチを作動させる操作部材(特に図示せず)が使用者により操作されると電源スイッチがオン状態にされる。
これを受けてボディ制御用マイクロコンピュータ41は、カメラ本体11の内部電気回路についての所定の初期化をおこなう。これにより、カメラ1は撮影準備状態となる。なお、このときカメラ1は撮影動作を行ない得る撮影モードに設定されているものとする。
この状態においてカメラ1の使用者は、撮影動作を実行するのに際してまず光学式ファインダー装置13を使用して所望の被写体像の観察を行ないつつ、任意のときレリーズボタン17aの第一段目の操作をおこなう。この操作によって、カメラ操作スイッチ68のうち第1レリーズスイッチから測距動作を含むAF動作と測光動作の実行を指示する指示信号が発生する。
これを受けてボディ制御用マイクロコンピュータ41は、AFセンサ駆動回路64を介してAFセンサユニット65を駆動させて測距動作を実行する。そして、その測距結果に基づいてボディ制御用マイクロコンピュータ41は、通信コネクタ80a,80bを介して接続されるレンズ制御用マイクロコンピュータ71によりレンズ駆動機構74の制御をおこなって撮影光学系12aを駆動制御する。これにより、撮影光学系12aによって形成される被写体像は、光学式ファインダー装置13において合焦状態で観察することができるようになる。この一連の動作がAF動作である。
また、上述のAF動作と同時にボディ制御用マイクロコンピュータ41は、測光回路66を駆動制御して測光動作を実行し、その測光結果のデータを一時的に保持する。
この状態から本カメラ1の使用者がさらにレリーズボタン17aの第二段目の操作をおこなうと、カメラ操作スイッチ68のうち第2レリーズスイッチから露出動作の実行を指示する指示信号が発生する。
これを受けてボディ制御用マイクロコンピュータ41は、ミラー駆動機構63を介して反射鏡13bを駆動制御し、これを撮影光学系12aの光路外の所定の位置へと退避させる。これと同時に、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、通信コネクタ80a,80bを介してレンズ制御用マイクロコンピュータ71を制御し、このレンズ制御用マイクロコンピュータ71により絞り駆動機構73を介して絞り機構部72の駆動制御が実行される。なお、絞り機構部72は、通常状態では常に開放状態となっている。したがって、ここで行なわれる絞り機構部72の駆動制御は絞り込み方向への駆動である。
そして、上述の反射鏡13b及び絞り機構部72の駆動制御の完了を待って本露出動作が実行される。すなわち、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、シャッター制御回路61を介してシャッター部14の駆動制御を行ない、同時に撮像素子27の駆動制御を実行する。このシャッター部14と撮像素子27の駆動制御によって被写体像の画像データが取得されることになる。この動作を本露出動作という。
なお、この本露出動作においておこなわれるシャッター部14及び絞り機構部72の駆動制御は、上述の測光動作で得られた測光結果に基づいて算出され決定されるシャッター秒時や絞り値の設定値、または使用者によって予め設定されたシャッター秒時や絞り値の設定値などに基づいておこなわれる。
また、上述の本露出動作におけるシャッター部14及び撮像素子27の駆動制御に先立って実行される反射鏡13b及び絞り機構部72の駆動制御によって、その動作が完了するのに必要となる時間、すなわちレリーズボタン17aの第二段目の操作(第2レリーズスイッチ)がなされてから本露出動作が開始されるまでの時間内に、反射鏡13bの退避動作と絞り機構部72の駆動動作を完了させておく必要がある。
このように、シャッター部14及び撮像素子27を駆動して本露出動作を開始するのに先立って、反射鏡13bの退避動作や絞り機構部72の駆動動作などが完了されている必要がある。これらの動作に必要となる時間をミラー退避時間というものとする。
本実施形態のデジタル一眼レフレックスカメラの場合におけるミラー退避時間としては、およそ66msec.程度であるものとする(図3参照)。したがって、この場合のシャッターレリーズタイムラグは、およそ66msec.程度となる。
つまり、図3に示す符号C1の撮影タイミングにてレリーズボタン17aの第二段目の操作をおこなったとすると、符号C1の時点からおよそ66msec.経過後の符号Dの時点において本露出動作が開始される。
上述したように、撮像素子27などによる本露出動作が完了すると、その後、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、シャッターチャージ機構62を介してシャッター部14の駆動制御をおこなって次の露出動作のためのシャッターチャージ動作を実行する。同時にボディ制御用マイクロコンピュータ41は、ミラー駆動機構63を介して反射鏡13bを駆動させて、当該反射鏡13bを撮影光学系12aの光路上における所定の位置に復帰させる。さらに、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、通信コネクタ80a,80bを介して接続されるレンズ制御用マイクロコンピュータ71を制御する。このレンズ制御用マイクロコンピュータ71は絞り駆動機構73を介して絞り機構部72の駆動制御をおこなって、これを通常状態である開放状態に復帰させる。これら一連の動作が露出動作である。そして、カメラ1は次の撮影動作のための待機状態になる。
次に、撮影動作を行なうのに際して液晶表示装置46を電子ビューファインダーとして使用する場合の作用を説明する。
本実施形態のカメラ1の通常状態においては、上述のように電源スイッチがオン状態とされたとき、光学式ファインダー装置13を使用し得る状態となっている。そこで、使用者は、液晶表示装置46を電子ビューファインダーとして使用するためのモード設定操作をおこなう。
すなわち、カメラ本体11の外面に設けられる各種の操作部材のうち撮影動作時に用いるファインダー装置の切り換えを行なうファインダー切換操作部材17bが使用者により操作されると、カメラ操作スイッチ68(図2参照)に含まれるファインダー切り換えスイッチから所定の指示信号が発生する。
これを受けてボディ制御用マイクロコンピュータ41は、ミラー駆動機構63を介して反射鏡13bを駆動制御する。これにより、反射鏡13bは、撮影光学系12aの光路外の所定の位置へと退避する。
これと同時に、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、シャッター制御回路61を介してシャッター部14を駆動制御する。これによりシャッター部14は開放状態となる。
次いで、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、撮像素子27及び液晶表示装置46を駆動するための所定の駆動制御をおこなう。これにより、撮像素子27により取得される被写体像を表わす動画像データが取得され、当該データは所定の信号処理がなされた後、液晶表示装置46へと出力されて被写体像を含む動画像が連続的に表示される。これにより、使用者は被写体像を動画像として観察し得る状態になる。
この状態においてカメラ1の使用者は、撮影動作を実行するのに際してまず液晶表示装置46を使用して所望の被写体像の観察を行ないつつ、任意のときにレリーズボタン17aの第一段目の操作をおこなう。この操作によって、撮像素子27により取得された画像データを用いてコントラストAF動作と測光動作とが実行される。これにより、撮影光学系12aによって形成される被写体像は、液晶表示装置46において合焦状態で表示観察し得るようになる。
ここで、液晶表示装置46においては、図3に示す作用によって被写体像の観察画像の表示がなされる。
まず、本実施形態のカメラ1における液晶表示装置46の表示画像の表示レート(撮像周期)は、毎秒30フレーム(フレーム/秒)であるものとする。したがって、1フレーム当たり33ミリ秒(msec.)で動作することになる。
この液晶表示装置46においては、図3に示すように垂直同期信号VDの発生タイミングで各表示フレームが表示されるようになっている。また、撮像素子27(CCD27と表記)の露出動作をB1,B2,……,B10で示し、液晶表示装置46(LCD46と表記)の表示動作をA1,A2,……,A10で示している。
すなわち、撮像素子27によって取り込まれたフレームB1の画像データは、1VD(33msec.)後に液晶表示装置46においてフレームA1の表示画像として表示されるようになっている。つまり、本液晶表示装置46では、露出動作がなされた後、33msec.を経て、その露出動作で得られた画像データに基づく画像が表示されるようになっている。換言すれば、露出動作と表示動作の間には、表示の遅延時間として33msec.の遅延(DELAY:ディレイ)が生じることになる。
上述したように、液晶表示装置46において被写体像を合焦状態で観察し得る状態になった後、使用者は、任意のときにレリーズボタン17aの第二段目の操作をおこなう。これにより、カメラ操作スイッチ68のうち第2レリーズスイッチから露出動作の実行を指示する指示信号が発生する。
これを受けてボディ制御用マイクロコンピュータ41は、通信コネクタ80a,80bを介してレンズ制御用マイクロコンピュータ71を制御して、このレンズ制御用マイクロコンピュータ71により絞り駆動機構73を介して絞り機構部72の駆動制御を実行する。
続いて、この絞り機構部72の駆動制御の完了を待って本露出動作が実行される。すなわち、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は撮像素子27の駆動制御を実行する。この撮像素子27の駆動制御によって被写体像の静止画像データが取得される。
なお、この本露出動作においておこなわれる撮像素子27及び絞り機構部72の駆動制御は、上述の測光動作で得られた測光結果に基づいて算出され決定されるシャッター秒時や絞り値の設定値、または使用者によって予め設定されたシャッター秒時や絞り値の設定値などに基づいておこなわれる。
また、上述の本露出動作における撮像素子27の駆動制御に先立って実行される絞り機構部72の駆動制御によって、その動作が完了するのに必要となる時間、すなわちレリーズボタン17aの第二段目の操作(第2レリーズスイッチ)がなされてから本露出動作が開始されるまでの時間内に絞り機構部72の駆動動作を完了させておく必要がある。これに必要となる時間を絞り駆動時間というものとする。
なお、この絞り駆動時間は、カメラ本体11に装着されるレンズ鏡筒12の絞り機構部72によって異なる。したがって、本実施形態のカメラ1においては、装着されたレンズ鏡筒12の絞り駆動時間について予め設定する制御がなされる。設定すべき絞り駆動時間は、そのレンズ鏡筒12における絞り機構部72を駆動した時の最大絞り駆動時間、すなわち絞り機構部72を開放状態から最小絞り状態まで駆動させる際に要する時間である。なお、一般的な交換式レンズの場合の最大絞り駆動時間は、およそ10msec.前後になる。この値は、例えば各交換用レンズ毎に特有のものである。したがって、この最大絞り駆動時間に関する情報は、レンズ制御用マイクロコンピュータ71の内部に設けられる記憶手段などに予め各交換用レンズ毎に記録されているものである。
ここで、本カメラ1に装着されたレンズ鏡筒12の絞り機構部72の最大絞り駆動時間を判定する際の処理シーケンスを図4のフローチャートによって説明する。
この処理シーケンスは、カメラ本体11のがわのボディ制御用マイクロコンピュータ41がレンズ鏡筒12(交換用レンズ)との間で通信をおこない、これによって絞り機構部72を動作させて、その際の絞り機構部72の動作状態から当該絞り機構部72の最大絞り駆動時間を、判定手段であるボディ制御用マイクロコンピュータ41により判定する処理である。
まず、カメラ本体11の各種操作部材のうち電源スイッチを作動させる操作部材(特に図示せず)が使用者によって操作されて電源スイッチがオン状態になる。これを受けてボディ制御用マイクロコンピュータ41は、カメラ本体11の内部電気回路についての所定の初期化をおこなう。この初期化動作の段階において、図4に示すシーケンス処理が実行される。
すなわち、図4のステップS1において、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、カメラ本体11に対してレンズ鏡筒12が装着されているか否かの検出をおこなう(交換用レンズ検出処理)。この検出は、例えば通信コネクタ80a,80bを介してボディ制御用マイクロコンピュータ41とレンズ制御用マイクロコンピュータ71との間で所定の通信をおこなって両者が電気的に接続されているかを確認することによって判断がなされる。
また、カメラ本体11とレンズ鏡筒12との接続を検出する検出手段としては、これに限らず、例えばカメラ本体11がわのレンズ鏡筒装着部11aとレンズ鏡筒12の後端に設けられる装着部12bとの間でバヨネット結合がなされる際に、その連結状態を機械的に検出する検出手段を設け、その検出手段からの信号によって両者の接続状態を判断するようにしてもよい。
ここで、カメラ本体11とレンズ鏡筒12との電気的な接続が確認された場合には、カメラ本体11にレンズ鏡筒12が装着されているものと判断されて、次のステップS2の処理に進む。
また、カメラ本体11とレンズ鏡筒12との接続が確認されなかった場合には、ステップS10の処理に進む。このステップS10において、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、発音回路75などを用いて、カメラ本体11にレンズ鏡筒12が装着されていない旨の告知、例えば動作表示用LCD67を用いてその旨の警告表示をおこなったり、発音回路75を駆動制御して、各種の所定の警告音などを発生させる交換用レンズ非装着告知処理を実行する。その後、上述のステップS1の処理に戻る。
一方、上述のステップS1において、カメラ本体11とレンズ鏡筒12との接続が確認されて、次のステップS2の処理に進むと、このステップS2において、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、通信コネクタ80a,80bを介してレンズ制御用マイクロコンピュータ71との通信をおこなって、装着されているレンズ鏡筒12に固有の最大絞り駆動時間に関する情報を取得する。この情報はレンズ鏡筒12がわのレンズ制御用マイクロコンピュータ71の内部メモリ領域などに予め記録されているものである。その後、ステップS3の処理に進む。
ステップS3において、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、上述の通信処理をおこなった結果、所望の情報の取得が成功したか否かの確認がなされる。ここで、所望の情報、すなわち装着されているレンズ鏡筒12に固有の最大絞り駆動時間に関する情報の取得が成功したものと判断されると、次のステップS9の処理に進む。
次いで、ステップS9において、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、通信によって得られた結果を最大絞り駆動時間として扱う設定をおこなう。その後、本シーケンス処理を終了し、本カメラ1は待機状態に移行する(正常終了)。
一方、上述のステップS3の処理において、所望の情報(最大絞り駆動時間に関する情報)の取得が失敗したものと判断されると、次のステップS4の処理に進む。ここで、情報の取得に失敗する例としては、例えば装着されているレンズ鏡筒12のがわに所望の情報が存在しない場合などが考えられる。
ステップS4において、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、自己の内部に有する計時手段であるタイマー(図示せず)の計時動作を開始するタイマースタート処理を実行する。その後、ステップS5の処理に進む。
続いて、ステップS5において、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、通信コネクタ80a,80bを介してレンズ制御用マイクロコンピュータ71との通信をおこなう。これを受けて、レンズ制御用マイクロコンピュータ71は、絞り駆動機構73を介して絞り機構部72の駆動制御をおこなって、所定の絞り駆動処理を実行する。その後、ステップS6の処理に進む。なお、ここで行なわれる絞り駆動処理では、絞り機構部72を開放状態から最小絞り状態まで駆動させる処理である。これにより、当該絞り機構部72の動作確認と、その最大絞り駆動時間を確認することができる。
ステップS6において、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、上述のステップS5において実行した絞り駆動処理が終了したか否かの確認を行なう。ここで、当該絞り駆動処理が終了したことが確認されると、次のステップS7の処理に進む。
続いて、ステップS7において、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、自己の内部に有するタイマー(図示せず)の計時動作を停止するタイマーストップ処理を実行する。その後、ステップS8の処理に進む。
ステップS8において、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、上述のステップS4〜S7においてタイマーによって計時された計時結果を最大絞り駆動時間として扱う設定をおこなう。その後、本シーケンス処理を終了し、本カメラ1は待機状態に移行する(正常終了)。
一方、上述のステップS6の処理において、絞り駆動処理の終了が確認されない場合には、ステップS11の処理に進む。
ステップS11において、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、タイマーの計時時間を確認することで所定の時間が経過したか否かの判断をおこなう。ここで、所定の時間が経過していないと判断された場合には、ステップS6の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。また、上述のステップS11において、所定の時間が経過していると判断された場合には、次のステップS12の処理に進む。
ステップS12において、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、タイマーの計時動作を停止するタイマーストップ処理を実行する。その後、ステップS13の処理に進む。
ステップS13において、ボディ制御用マイクロコンピュータ41は、所定の絞り駆動異常処理を実行する。その後、本シーケンス処理を終了し、本カメラ1は待機状態に移行する(異常終了)。
なお、上述のステップS13において実行される絞り駆動異常処理は、カメラ本体11に装着されているレンズ鏡筒12の絞り機構部72に何らかの異常が生じていることを使用者に告知するための処理である。その告知処理として、具体的には、例えばボディ制御用マイクロコンピュータ41の制御により発音回路75を駆動制御してスピーカ等の発音部材から警告音を発生させる処理や、ボディ制御用マイクロコンピュータ41の制御により動作表示用LCD67を駆動制御して、その旨の警告表示をおこなう処理などである。
以上のようにして、本カメラ1に装着されたレンズ鏡筒12の絞り機構部72の最大絞り駆動時間が設定される。その後、カメラ1は撮影準備状態となる。
なお、上述の図4に示すシーケンス処理は、上述のように電源スイッチがオン状態にされたときのカメラ本体11の初期化処理においておこなうようにしているが、これに限らず、例えばレンズ鏡筒12(交換用レンズ)をカメラ本体11に対して装着したとき、これに呼応して絞り機構部72の駆動動作を実行するようにしてもよい。この場合には、例えばカメラ本体11のがわのレンズ鏡筒装着部11aと、このレンズ鏡筒装着部11aに対応する装着部12bとが機械的に係合したことを検出するスイッチ部材などを設け、このスイッチ部材によってレンズ鏡筒12の装着状態を検出するようにすればよい。
ところで、上述したように、本実施形態のカメラ1においては、撮影動作の際に被写体像の観察をおこなう手段として、光学式ファインダー装置13と電子ビューファインダー装置としての液晶表示装置46とを具備し、この両者を適宜切り換えて使用し得るように構成されている。
そして、撮影動作を行なうのに際して光学式ファインダー装置13を使用する場合のシャッターレリーズタイムラグは、上述したように、およそ66msec.程度となっている。このことから、図3に示すように符号C1の撮影タイミングでレリーズボタン17aの第二段目の操作をおこなったとすると、この符号C1の時点からおよそ66msec.経過後の符号Dの時点から本露出動作が開始されることになる。この場合、撮像素子27は、図3に示すフレームB6に対応する画像データ以降の所定時間のデータを取得する処理がおこなわれる。
一方、撮影動作を行なうのに際して液晶表示装置46を電子ビューファインダーとして使用する場合には、上述のミラー退避時間を考慮する必要がないので、同様に図3に示す符号C1の撮影タイミングでレリーズボタン17aの第二段目の操作をおこなったとすると、同図符号C2の時点から本露出動作が開始されることになってしまう。つまり、同図符号C1の時点で液晶表示装置46の表示部に表示されている画像A2は、それより以前に取得されるフレームB3に対応する画像となっている。このことは、撮像素子27による画像データの取得と、この取得された画像データについての処理を行なった後、これに応じた画像を液晶表示装置46の表示部に表示する際の遅延が生じていることを意味する。本実施形態のカメラ1では、図3に示すように、露出から表示の間の遅延時間(以下、露出表示遅延時間という;DELAY)を1フレーム分としている。
したがって、液晶表示装置46の表示を観察しつつ撮影動作をおこなう場合には、レリーズボタン17aの第二段目の操作タイミング(符号C1)よりも1フレーム分(33msec.)の時間だけ遡った時点(符号C2)が本露出動作の基点となる。
このことを考慮して、この場合には、図3の符号C2を基点とし、ここからミラー退避時間分の66msec.だけ待機した後、図3の符号Fのタイミングで本露出動作を開始するようにすれば、液晶表示装置46を電子ビューファインダー装置として使用するときと、光学式ファインダー装置13を使用するときとで、ほぼ同一のシャッターレリーズタイムラグで動作させることができる。
換言すれば、液晶表示装置46を電子ビューファインダー装置として使用するときには、光学式ファインダー装置13を使用する場合のミラー退避時間(66msec.)から露出表示遅延時間(33msec.)を減じた時間だけの待機時間(66−33(msec.=33msec.))を、レリーズボタン17aの第二段目の操作後に置いてから本露出動作を開始するようにすれば、常に略同一のタイムラグで本露出動作が開始されることになる。
なお、液晶表示装置46を電子ビューファインダー装置として使用する場合における待機時間(WAIT)の間には、例えばボディ制御用マイクロコンピュータ41の制御により発音回路75を駆動制御してスピーカ等の発音部材から、疑似的に作成されるミラーアップ動作音、すなわち電子的ミラーアップ音などを発生させるようにしてもよい。
また、上述の説明では、最大絞り駆動時間Gについては考慮していなかったが、これを考慮すると、次のようになる。
すなわち、光学式ファインダー装置13を使用する場合には、反射鏡13bの退避動作や絞り機構部72の駆動動作の完了後に本露出動作をおこなうことになる。この場合において、反射鏡13bの退避動作と絞り機構部72の駆動動作は、略同時に実行することになる。そして、反射鏡13bの退避時間(およそ66msec.)に比較して絞り機構部72の最大絞り駆動時間(およそ10msec.)は充分に短い時間となるのが普通である。
しかしながら、反射鏡13bの退避時間に比較して絞り機構部72の最大絞り駆動時間が長くなる場合をも考慮して、両者のうちいずれか長い方をシャッターレリーズタイムラグの基準時間として考慮すればよい。
したがって、本実施形態のカメラ1については、上述の説明で設定したミラー退避時間としての66msec.をシャッターレリーズタイムラグの基準時間として考慮すればよい。
一方、液晶表示装置46を電子ビューファインダー装置として使用する場合には、同様に図3に示す符号C1のタイミングでレリーズボタン17aの第二段目の操作をおこなったとすると、まず最大絞り駆動時間だけ待機して本露光動作が実行されるのであるが、上述したようにシャッターレリーズタイムラグを考慮して同図符号C2の時点から待機時間(66msec.)を置いている。ここで、本実施形態のカメラ1においては、上述したように最大絞り駆動時間を10msec.としている。したがって、本カメラ1では、上述の待機時間(66msec.)の間に絞り機構部72の駆動動作は完了することになる。このことから、本実施形態のカメラ1については、上述の説明で設定したミラー退避時間としての66msec.をシャッターレリーズタイムラグの基準時間として考慮すればよい。
換言すれば、この場合には、光学式ファインダー装置13を使用するとき場合のミラー退避時間(66msec.)から露出表示遅延時間(33msec.)を減じた時間(66−33(msec.)=33(msec.))と、最大絞り駆動時間(この場合は10msec.)とを比較して、いずれか長い方の時間を待機時間として考慮すればよい。
以上説明したように上記第1の実施形態によれば、光学式ファインダー装置と電子ビューファインダー装置とを切り換えて使用し得るように構成されたレンズ交換式のデジタル一眼レフレックスカメラにおいて、液晶表示装置46を電子ビューファインダー装置として使用して撮影動作を実行する際には、光学式ファインダー装置13を使用して撮影動作を実行する際にミラー退避時間などに起因して生じるシャッターレリーズタイムラグを考慮して本露出動作の開始タイミングを設定するようにしたので、いずれのファインダー装置を使用したときにも、常に略同一のシャッターレリーズタイムラグで本露出動作が実行されるようになる。したがって、使用者はいずれのファインダー装置を利用しても違和感なく使用でき、常に意図する撮影結果を得ることができる。