以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また以下の実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
(第1の実施形態)
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態に係わるデジタル一眼レフカメラの外観を示す斜視図である。具体的には、図1はカメラ前面側より見た斜視図であって、撮影レンズユニットを外した状態を示し、図2はカメラ背面側より見た斜視図である。
図1において、1はカメラ本体であり、撮影時に使用者がカメラを安定して握り易いように前方に突出したグリップ部1aが設けられている。2はマウント部であり、着脱可能な撮影レンズユニット(不図示)をカメラ本体1に固定させる。マウント接点21は、カメラ本体1と撮影レンズユニットとの間で制御信号、状態信号、データ信号などをやり取りすると共に、撮影レンズユニット側に電力を供給する機能を有する。また、マウント接点21は電気通信のみならず、光通信、音声通信等を可能な構成であってもよい。
4は撮影レンズユニットを取り外す際に押し込むレンズロック解除釦である。5はカメラ筐体内に配置されたミラーボックスで、撮影レンズを通過した撮影光束はここへ導かれる。ミラーボックス5の内部には、クイックリターンミラー6が配設されている。クイックリターンミラー6は、撮影光束をペンタプリズム22(図3参照)の方向へ導くために撮影光軸に対して45°の角度に保持される状態と、撮像素子33(図3参照)の方向へ導くために撮影光束から退避した位置に保持される状態とを取り得る。
カメラ上部のグリップ側には、撮影開始の起動スイッチとしてのシャッタボタン7と、撮影時の動作モードに応じてシャッタスピードやレンズ絞り値を設定するためのメイン操作ダイヤル8と、撮影系の動作モード設定ボタン10とが配置されている。これら操作部材の操作結果の一部は、LCD表示パネル9に表示される。
シャッタボタン7は、第1ストローク(半押し)でスイッチSW1(図3の7a)がオンし、第2ストローク(全押し)にてスイッチSW2(図3の7b)がオンする構成となっている。また、動作モード設定ボタン10は、シャッタボタン7の1回の押込みで連写になるか1コマのみの撮影となるかの設定や、セルフ撮影モードの設定などを行うものであり、LCD表示パネル9にその設定状況が表示される。
カメラ上部中央には、カメラ本体に対してポップアップするストロボユニット11と、フラッシュ取付け用のシュー溝12と、フラッシュ接点13とが配置されており、カメラ上部の図1における右寄りの位置には撮影モード設定ダイヤル14が配置されている。
グリップ側とは反対側の側面には、開閉可能な外部端子蓋15が設けられており、この外部端子蓋15を開けた内部には、外部インタフェースとしてビデオ信号出力用ジャック16とUSB出力用コネクタ17が納められている。
図2において、カメラ背面側には上方にファインダ接眼窓18が設けられ、更に背面中央付近には画像表示可能なカラー液晶モニタ19が設けられている。カラー液晶モニタ19の横に配置されたサブ操作ダイヤル20は、メイン操作ダイヤル8の機能の補助的役割を担っている。例えばカメラのAEモードでは自動露出装置により算出された適正露出値に対する露出補正量を設定するために使用される。又或は、シャッタスピードとレンズ絞り値の各々を使用者の意志によって設定するマニュアルモードにおいて、メイン操作ダイヤル8でシャッタスピードを設定し、サブ操作ダイヤル20でレンズ絞り値を設定するように使用される。また、このサブ操作ダイヤル20は、カラー液晶モニタ19に表示される撮影済み画像の表示選択にも用いられる。43はカメラの動作を起動もしくは停止するためのメインスイッチである。
図3は、本実施形態に係わるデジタル一眼レフカメラの主要な電気的構成を示すブロック図である。なお、前述の図面と共通する部分は同じ記号で示している。
100はカメラ本体に内蔵されたマイクロコンピュータからなる中央処理装置(以下、MPUという)である。MPU100は、カメラの動作制御を司るものであり、各要素に対して様々な処理や指示を実行する。100aはMPU100に内蔵されたEEPROMであり、時刻計測回路109の計時情報やその他の情報を記憶可能である。
MPU100には、ミラー駆動回路101、焦点検出回路102、シャッタ駆動回路103、映像信号処理回路104、スイッチセンス回路105、測光回路106が接続されている。また、液晶表示駆動回路107、バッテリチェック回路108、時刻計測回路109、電源供給回路110、レンズ制御回路201も接続されている。これらの回路はMPU100の制御により動作するものである。
また、MPU100は、撮影レンズユニット内に配置されたレンズ制御回路201と、マウント接点21を介して通信を行う。マウント接点21は撮影レンズユニットが接続されるとMPU100へ信号を送信する機能も備えている。これにより、レンズ制御回路201は、MPU100との間で通信を行い、撮影レンズユニット内の撮影レンズ200及び絞り204の駆動を、AF駆動回路202及び絞り駆動回路203を介して行うことが可能となる。
撮影レンズ200は、複数のレンズ群により構成され、手振れ補正レンズ199、手振れ補正レンズ199を駆動する駆動部199aが備えられている。手振れ検出センサ198は手振れを検出する。レンズ制御回路201は、駆動部199aを用いて手振れ補正レンズ199を駆動する。
AF駆動回路202は、例えばステッピングモータによって構成され、レンズ制御回路201の制御によって撮影レンズ200内のフォーカスレンズ位置を変化させることにより、撮像素子33に撮影光束の焦点を合わせるように調整する。絞り駆動回路203は、例えばオートアイリスなどによって構成され、レンズ制御回路201によって絞り204の開口量を変化させ、光学的な絞り値を得るように構成されている。
手振れ補正指示部材45により、手振れ補正を行うモードが設定されると、手振れ検出センサ198の信号に基づいて、駆動部199aが手振れ補正レンズ199を駆動する。
クイックリターンミラー6は、撮影レンズ200を通過する撮影光束をペンタプリズム22へ導く。ミラー駆動回路101は、このクイックリターンミラー6を、ファインダにより被写体像を観察可能とする位置と、撮影光束から待避する位置とへ駆動するものである。具体的には、例えばDCモータとギヤトレインなどから構成される。
ペンタプリズム22は、クイックリターンミラー6によって反射された撮影光束を正立正像に変換反射する光学部材である。使用者は、ファインダ光学系を介して、ファインダ接眼窓18から被写体像を観察することができる。またペンタプリズム22は、撮影光束の一部を測光センサ37にも導く。測光回路106は、この測光センサ37の出力を得て、観察面上の各エリアの輝度信号に変換し、MPU100に出力する。MPU100は、こうして得られる輝度信号から露出値を算出する。
32は機械式のフォーカルプレーンシャッタであり、ユーザがファインダにより被写体像を観察している時には撮影光束を遮る。また撮像時にはレリーズ信号に応じて、不図示の先羽根群と後羽根群の走行する時間差により所望の露光時間を得るように構成されている。フォーカルプレーンシャッタ32は、MPU100の指令を受けたシャッター駆動回路103によって制御される。
33は撮像素子で、例えば撮像デバイスであるCMOSセンサが用いられる。この撮像デバイスには、CCD型、CMOS型およびCID型など様々な形態があり、何れの形態の撮像デバイスを採用してもよい。34はクランプ/CDS(相関二重サンプリング)回路であり、A/D変換する前の基本的なアナログ処理を行うとともに、クランプレベルの変更も可能である。35はAGC(自動利得調整回路)であり、A/D変換する前の基本的なアナログ処理を行うとともに、AGC基本レベルの変更も可能である。36はA/D変換器であり、撮像素子33のアナログ出力信号をデジタル信号に変換する。
410は撮像素子と人間の視感度を概略一致させるための赤外線カットフィルタで、異物の付着を防止するために、表面は導電性物質で覆われている。
420は光学ローパスフィルタで、水晶等からなる複屈折板及び位相板を複数枚貼り合わせて積層されている。光学ローパスフィルタ420は、撮像素子33に入射される光束を複数に分離し、偽解像信号や偽色信号の発生を効果的に低減させる。
430は赤外線カットフィルタ410に振動を与える加振手段で、本実施形態では圧電素子を用いている。圧電素子430は、MPU100から指令を受けた圧電素子駆動回路111により加振され、赤外線カットフィルタ410と一体的に振動するように構成されている。
400は、赤外線カットフィルタ410、撮像素子33と後述する他の部品と共にユニット化された撮像ユニットである。
映像信号処理回路104は、デジタル化された画像データに対してガンマ/ニー処理、フィルタ処理、モニタ表示用の情報合成処理など、ハードウエアによる画像処理全般を実行する。この映像信号処理回路104からのモニタ表示用の画像データは、カラー液晶駆動回路112を介してカラー液晶モニタ19に表示される。また、映像信号処理回路104は、MPU100からの指示により、メモリコントローラ38を通じて、メモリ39に画像データを保存することも可能である。更に、映像信号処理回路104は、JPEGなどの画像データ圧縮処理を行う機能も有している。連写撮影など連続して撮影が行われる場合は、一旦メモリ39に画像データを格納し、メモリコントローラ38を通して未処理の画像データを順次読み出すことも可能である。これにより映像信号処理回路104は、A/D変換器36から入力されてくる画像データの速度に関わらず、画像処理や圧縮処理を順次行うことが可能となる。
メモリコントローラ38は、外部インタフェース40(図1におけるビデオ信号出力用ジャック16及びUSB出力用コネクタ17に対応する)から入力される画像データをメモリ39に記憶する機能を有する。また、メモリ39に記憶されている画像データをインタフェース40から出力する機能も有する。なお、メモリ39は、カメラ本体1に対して着脱可能なフラッシュメモリなどである。
スイッチセンス回路105は、各スイッチの操作状態に応じて入力信号をMPU100に送信する。7aは、シャッタボタン7の第1ストローク(半押し)によりオンするスイッチSW1である。7bは、シャッタボタン7の第2ストローク(全押し)によりオンするスイッチSW2である。スイッチSW2がオンされると、撮影開始がMPU100に指示される。また、メイン操作ダイヤル8、サブ操作ダイヤル20、撮影モード設定ダイヤル14、メインスイッチ43が接続されている。
液晶表示駆動回路107は、MPU100の指示に従って、LCD表示パネル9やファインダ内液晶表示器41を駆動する。
108はバッテリチェック回路であり、MPU100からの信号に従って、所定時間バッテリチェックを行い、その検出結果をMPU100へ送る。42は電源部であり、カメラの各要素に対して、必要な電源を供給する。
時刻計測回路109は、メインスイッチ43がオフされて次にオンされるまでの時間や日付を計測し、MPU100からの指令により、その計測結果をMPU100へ送信することができる。
図4は、撮像ユニット400の周辺の保持構造について説明するための、カメラ内部の概略構成を示す分解斜視図である。カメラ本体の骨格となる本体シャーシ300の被写体側には、被写体側から順に、ミラーボックス5、フォーカルプレーンシャッタ32が配設されている。また、本体シャーシ300の撮影者側には撮像ユニット400が配設されている。特に撮像ユニット400は、撮影レンズユニットが取り付けられる基準となるマウント部2の取付け面に対して、撮像素子33の撮像面が所定の距離を空けて、かつ平行になるように調整されて固定される。
次に、撮影レンズの一部である手振れ補正レンズを動かす手振れ補正システムについて図5〜図7を用いて詳細に説明する。
手振れ補正系の制御ブロックは、図5に示すように構成されている。
手振れ検出センサ198で検出された手振れ信号は、所定の周波数以上の信号を通過させるハイパスフィルタ(HPF)302を通過した後、積分器303により振れ量に換算される。そして、この換算された振れ量に、手振れ補正レンズ199の位置を検出する位置検出センサ204の検出信号が、算出部212において加味され、移動目標量300aが生成される。この移動目標量300aに基づいて駆動部199aを制御し、手振れ補正レンズ199を駆動することによって、ユーザーの手振れを相殺する。なお、ハイパスフィルタ302および積分器303はMPU100に内蔵されている。
上記の説明においては、手振れ補正レンズ199の移動方向につき1軸を対象に1系統分説明したが、実際には手振れ補正レンズ199は、光軸50に対して垂直な面内で移動する。従って、平面内の2軸で移動させるためには2系統分必要となり、本実施形態においても2系統有するものとする。
次に、光学系駆動の例として、手振れ補正レンズ199を駆動する機構について図6A〜図6Cを参照して説明する。図6A〜図6Cは、撮像光学系の一部の光学系である手振れ補正レンズ199を移動させる機構を概略的に示す図である。
図6Aにおいて、401はレンズを保持する可動枠、199は手振れ補正レンズ、403は鏡筒に取り付けられた固定部、404は可動枠上の支持/案内部、405は支持/案内部と同軸に取り付けられたバネを示す。また、406a、406bは固定部に取り付けられたコイル、407a、407bは可動枠401に取り付けられたマグネットを示す。
図6Bは図6Aに示した手振れ補正機構の右側面図である。
図6Bにおいて、410、412は図6Aには図示しないヨークである。411は図6Aには図示しない可動部の位置検出センサである。具体的にはホール素子により構成される。
図6Cは図6Aの402矢視図である。
可動枠401は支持/案内部404によって固定部403に対して平面運動可能に案内支持されている。図6Cでは、長円形の案内溝413の中に円形の支持/案内部404が挿入されている。手振れ補正機構は、3箇所とも同一の構造とすることによって、撮像光学系の光軸50の方向には拘束され、光軸50に直交する平面上では運動させることができる。可動枠401上には、手振れ補正レンズ199及び駆動用のマグネット407a、407bが取り付けられている。また、可動枠401は支持/案内部404と同軸に取り付けられたバネ405によって弾性支持されており、駆動力が発生していないときは手振れ補正レンズ199の中心が光軸50にほぼ一致するように配置されている。駆動部分は図6Bに示すようにマグネット407aの両側をヨークで挟み込み、片側にコイル406aを備えた構成をしている。駆動部分の原理は図7A、図7Bを用いて説明する。
図7A、図7Bは、図6Aに示す点線408を断面として駆動回路部分を抜粋した矢視図である。
駆動用マグネット407aは2極で厚み方向に着磁されている。更に、マグネット407aの着磁方向の両側にはヨーク410、412が設けられており、多くの磁束は外に漏れることなく、図7Aの図中に示すような矢印方向の磁界を発生させている。この状態でコイル406aに通電すると、コイル406a上の領域501と502には、それぞれ反対方向の電流が流れる。一方、磁界の方向も反対であるため、フレミングの左手の法則によって同一方向の力が発生する。このときコイルが固定されているため、作用反作用の法則によって可動部に取り付けられたマグネット407aが力を受けて駆動される。駆動力はコイル406aの電流に比例し、コイル406aに流す電流の向きを反対方向にすることによって、マグネット407aが受ける駆動力も反対にすることができる。駆動力が発生すると、可動枠401がバネ405によって弾性支持されているので、バネ力と釣り合う点まで変位する。つまり、コイル406aの電流を適切に制御することによって、可動枠401の位置を制御することができる。更に、ヨーク410上にはホール素子411が取り付けられており、図7Bに示すように、コイル406aに電流を印加することにより発生した駆動力によってマグネット407aが変位すると、ホール素子411上の磁気バランスも変化する。そのため、ホール素子411の信号を得ることによって、マグネット407aの位置を検出することが可能となる。
図6A〜図6C、図7A、図7Bでは、光学系駆動手段としてマグネット及びコイルを用い、可動部にマグネットが配置され、固定部にコイルが配置されたムービングマグネット方式での構成を例示した。しかしながら、本実施形態は、可動部にコイルが配置され、固定部にマグネットが配置されたムービングコイルやその他の駆動方法を用いた手振れ補正機構を備えた撮像装置についても適用可能である。
次に光学系駆動手段の例として、上述の手振れ補正レンズを動かす手振れ補正システムとは異なり、撮像素子そのものを動かす(シフトさせる)ことによって手振れ補正を行うシステムについて、図8、図9を用いて説明する。
図8は本実施形態に適した撮像素子周辺構造を示す図であり、手振れ補正のための駆動部199bを撮像素子33の近傍に備えている。駆動部199bは撮像素子33をシフト駆動する。これに伴い、手振れ補正をするモードの有効/無効、および異物補正を有効とするか否かの設定を行うスイッチは、カメラ本体1側に設けられている。その他の構成は、前記手振れ補正レンズによる手振れ補正形態と同様である。
図8及び図9にて撮像素子33をシフト駆動する機構の例を示す。
図8において、33は撮像素子、1101、1102は撮像素子駆動手段としての駆動コイル、1103、1104は可動部の位置検出を行うホール素子、1105、1106、1107、1108はマグネットを示す。また、1109は第1の保持部、1110は第1の保持部1109上に設けられた第1の案内部、1111は第2の保持部、1112は第2の保持部1111上に設けられた第2の案内部、1113はカメラ本体1に固定される第3の保持部を示す。また、1114は第1の保持部1109と図示しない固定部との間に設けられた第1の弾性体、1115は第2の保持部1111と図示しない固定部との間に設けられた第2の弾性体を示す。第1の案内部1110と第2の案内部1112が案内する方向は互いに直交している。また、撮像素子33を備えた第1の保持部1109は第1の弾性体1114及び第2の弾性体1115によって弾性支持されている。
図9は駆動部の構成を示す図である。磁気回路は2つ存在するが90度角度が異なるだけで同様の構成となっているので、駆動コイル1101及びマグネット1105、1106によって構成される駆動部を用いて説明を行う。
図9において、1203は磁束を模擬的に示した矢印、1201、1202は図8には図示しないヨークである。マグネット1105、1106は2つの領域に分割して着磁されている。そのため図9に示したように磁束の多くは背面のヨーク1201、1202を使って循環する閉磁路1203を構成する。駆動コイル1101に電流が流れることによって、フレミングの左手の法則に従って駆動コイル1101に対して力が発生する。発生した力と第1の弾性体1114及び第2の弾性体1115とのつりあいによって第1の保持部1109及び撮像素子33は変位する。第1の保持部1109が変位することによって、第1の保持部1109上に設けられたホール素子1103、1104も変位する。結果として、固定部に設けられた磁気回路と相対的に変位するので、ホール素子1103、1104の信号から第1の保持部1109の位置が検出可能であり、フィードバック制御を行うことができる。更に、露光中においては、レンズ情報と手振れ検出センサ198の信号に基づいて、適切に駆動コイル1101及び1102の電流を制御することによって、振れの少ない高品位な画像を得ることができる。
撮像素子手振れ補正系の制御ブロックは、駆動対象が手振れ補正レンズ199ではなく撮像素子33である点を除いて、手振れ補正レンズ199による手振れ補正形態と同様である。
次に、異物検出処理について、図10、図11を用いて説明する。図10は、本実施形態に係わるカメラにおける異物検出処理(異物によって画像不良が生じている画素位置の検出処理)を説明するためのフローチャートである。当該処理は、撮影者が被写界の本撮影を行う以前に実行しておく必要がある。
この異物検出処理は、異物検出用画像を撮影することにより行われる。異物検出処理を行う場合、面光源装置の出射面や白い壁などの均一な色を持つ面に撮影レンズ200の光軸50を向けてカメラを設置し、異物検出用画像の撮影準備を行う。または撮影レンズユニット先端のフィルタ着脱のためのマウント部(不図示)に異物検出用のライトユニット(レンズの代わりに装着する小型の光源装置)を装着し、異物検出用画像の撮影準備を行う。ライトユニットの光源は例えば白色LEDが考えられ、発光面のサイズを予め定めた絞り値(例えば、本実施形態ではF32)相当になるように調整するのが望ましい。
準備が終了した後、異物検出処理の開始が指示されると(ステップS700)、まず絞りの設定を行う。撮像素子近傍の異物はレンズの絞り値によって結像状態が変わり、レンズの瞳位置によって位置が変化する。したがって、異物補正データには異物の位置や大きさに加え、異物検出用画像の撮影時の絞り値とレンズの瞳位置を保持する必要がある。
ただし、異物補正データを作成する段階で、異なるレンズを用いたとしても常に同じ絞り値を使うことを予め決めておけば、必ずしも異物補正データ内に絞り値を保持する必要はない。また、瞳位置に関してもライトユニットを用いたり、特定のレンズのみの使用を許可することで、同様に必ずしも異物補正データ内に瞳位置を保持する必要はなくなる。
つまり、異物補正データを作成する段階において、使用するレンズを複数許したり、絞り込む絞り値を適宜変更する場合には、検出時の絞り値とレンズの瞳位置を、異物補正データ内に保持する必要があると言える。なお、ここで瞳位置とは、射出瞳の撮像面(焦点面)からの距離をいう。
ここでは、例えば絞り値としてF32を指定する(ステップS701)。
次にMPU100は、レンズ制御回路201に対し、撮影レンズ200の絞り羽根制御を行わせ、ステップS701で指定された絞り値に絞りを設定する(ステップS702)。さらに、フォーカス位置を無限遠に設定する(ステップS703)。
撮影レンズの絞り値とフォーカス位置が設定されると、異物検出モードでの撮影を実行する(ステップS704)。撮影された画像データは、バッファメモリ37に格納される。
撮影が終了すると、撮影時の絞り値とレンズ瞳位置を取得する(ステップS705)。映像信号処理回路104はバッファメモリ37に記憶されている撮影画像の各画素に対応するデータを呼び出す(ステップS706)。次に映像信号処理回路104は、後述する図11に示す異物領域取得ルーチン処理を行い、異物が存在する画素の位置と大きさと周辺画素に対する出力の落ち込み量を取得する(ステップS707)。
ここで図10のステップS707の異物領域取得ルーチンについて図11を用いて説明する。
異物検出処理の開始が指示されると、映像信号処理回路104は以下の動作を行う。異物検出処理のために取得された画像データはメモリ上に展開され、予め定められたブロック単位で処理が行われる。ブロック内の異物領域判定は、図11に示す処理の流れで行う。まずブロック内の最大輝度Lmax、平均輝度Laveを算出し、次式を用いてブロック内のスレッショルド値T1を算出する。
T1=Lave×0.6+Lmax×0.4
次に、スレッショルド値を超えない画素を異物画素とし(ステップS801)、異物画素によって構成される孤立領域を各々一つの異物領域di(i=0,1,…,n)とする(ステップS802)。異物領域は各々異物領域を構成する画素の水平方向の座標の最大値Xmaxおよび最小値Xmin、垂直方向の座標の最大値Ymaxおよび最小値Yminを求め、異物領域diのサイズを表す半径riを次式によって算出する(ステップS803)。
ri=√(((Xmax−Xmin)/2)2+((Ymax−Ymin)/2)2)
その後ステップS804で、異物領域毎の平均輝度値を算出する。これより異物領域に隣接した領域の輝度との差、つまり異物の出力落ち込み量も算出できる。
ここで再び図10に戻って、ステップS707で取得した異物が存在する画素の位置と大きさ、出力値およびステップS705で取得した絞り値とレンズ瞳位置情報を、異物補正データとしてメモリ39に登録する(ステップS708)。
具体的には、検出用画像撮影時のレンズ情報として、検出用画像撮影時における実際の絞り値(F値)と、そのときのレンズ瞳位置を格納する。続く記憶領域に検出した異物領域の数(整数値)を格納し、これに続き、個々の具体的な異物領域のパラメータを、異物領域の数だけ繰返して格納する。異物領域のパラメータは、異物の半径、周辺画素に対する出力の落ち込み量、有効画像領域における中心のx座標、おなじく中心のy座標、以上4つの数値がセットとなって登録される。
ここでステップS708において、予め画素欠陥位置情報としてメモリ39に記録されている製造時からの不良画素(画素欠陥)の位置と、読み出した画素データの位置を比べて画素欠陥であるかどうかを確認する。そして、画素欠陥によるものでは無いと判断された異物領域のみ、異物補正情報としてメモリ39に情報を登録しても良い。またこの異物補正情報は、通常撮影時に画像データの撮影時情報と共に画像に付加して外部メモリに記録されることで、画像処理による異物除去処理時に利用することができる。
次に、自動焦点検出の撮像素子の画面上における焦点検出範囲設定動作について図12を用いて説明する。
ステップS001では、焦点検出範囲選択SW(スイッチ)46がオンされたか否か判定する。オンされたならば、ステップS002へ移行する。ステップS002では、メイン操作ダイヤル8が操作されたか否か、また操作されていれば操作方向及び操作量を検出する。ステップS003では、ステップS002でのメイン操作ダイヤル8の操作方向及び操作量に応じて焦点検出エリアを変更する。ステップS004では、焦点検出範囲選択SW46がオフされたか否か判定し、オフされたならば、焦点検出エリア選択シーケンスを終了する。
次に、自動焦点調節の動作について説明する。本実施形態ではコントラスト方式での自動焦点調節を行う。
撮影レンズ200からの被写体光が撮像素子33に結像され、撮像素子33からの画像信号が焦点検出回路102に出力される。焦点検出回路102では、上述の焦点検出範囲設定動作によって設定された、焦点検出範囲の画像信号から高周波成分の信号の値(焦点電圧の値)をAF評価値信号としてカメラ側のMPU100に出力する。MPU100では、フォーカスレンズを光軸上で前後させたときの各AF評価信号を時系列的に比較してAF評価値が最大になった状態を合焦状態と判断する。したがって、フォーカス調整動作の際に、撮影レンズ200のフォーカスレンズを光軸50上で微小量前後するようにAF駆動回路202により駆動する。
なお、ここでは、自動焦点検出の手段として撮像素子の信号の高周波成分によりコントラスト検知を行なう、所謂コントラスト方式を用いて説明をおこなった。しかし、撮像素子に位相差検出用画素を配置した位相差方式での自動焦点検出のような、撮像面で行う他の形式の焦点検出方式であっても適応可能である
次に、本実施形態に係わるカメラの撮像動作について、図13を用いて説明する。図13は、本実施形態における撮像動作のフローチャートである。図13における各ステップを順に追って説明する。
ステップS500にてシャッタボタン7の半押下げ操作がなされると、ステップS501にて、上述の異物検出処理が終了しているかどうかの判定がなされる。
ステップS501での判定において、異物検出処理が終了していないときには、ステップS506にすすみ、通常の撮影シーケンスがおこなわれる。すなわち、ステップS506でAF/AE動作を行う。具体的には、AFセンサ、AEセンサから得られた信号に基づき、レンズ制御回路201等を介して焦点合わせ、絞り調整及び露光時間設定を行う。
次にカメラは、ステップS507にて、SW1−ONの信号を確認し、SW1−ON信号が途切れた場合(ステップS507で「NO」)は、ステップS500に戻って、再びSW1−ON信号が来るまで待機する。
次に撮影者が、静止画撮影をするためにシャッタボタン7をさらに押し下げるとトリガー信号SW2−ONが発生し(ステップS508)、今度は撮像素子33の全画素の露光出力について、前述したようにγ補正、ホワイトバランス補正、圧縮処理等の画像処理を施し、画像ファイルが生成される(ステップS509、ステップS510)。そして、ステップS511において、生成した画像ファイルをメモリ39に記録し、一連の撮影シーケンスを終了する。
ステップS501での判定において、異物検出処理が終了しているときには、ステップS502にすすみ、本実施形態における特徴的な動作を行う。すなわち、まずステップS502にて、既に検出されている異物位置と焦点検出範囲の一致判定を行う。具体的には、先述の異物検出処理によって得られた異物の中心座標、異物半径をメモリ39から読み出し、これを焦点検出範囲と比較し、異物の影が焦点検出範囲と重なっているか否かを判定する。
ステップS502の判定において、異物位置と焦点検出範囲が一致しなかったときには、異物によって焦点検出の精度が悪化することはないため、ステップS506に進み、以降は通常の撮影シーケンスが実行される。
ステップS502の判定において、異物位置と焦点検出範囲が一致したときには、ステップS503にすすみ、異物の影が焦点検出範囲と重ならないようにする動作を行う。すなわち、まずステップS503では、まず光学系駆動量を演算する。具体的には、自動焦点検出に用いる画素と異物の影の位置が重ならないようにするための、光学系駆動量を演算する。
図14Aは、主被写体に焦点検出範囲が設定されており、異物位置と焦点検出範囲が重なっている状態を示す図である。1400は撮像素子33の有効画素範囲で、1401は主被写体である。1402は上述の方法によって設定された焦点検出範囲であり、主被写体1401の顔付近に設定されている。1403は撮像素子近傍の光学部材に付着した異物の影で、主被写体1401の顔付近に存在し、設定された焦点検出範囲1402と重なっている。
図15は、異物の影と焦点検出範囲が重なる箇所付近の画素を拡大して示した図である。例えば、図15に示すように、異物と焦点検出範囲とがx方向に5画素重なっている場合であれば、重なる画素数(例えば5画素)×画素ピッチ(例えば5μm)=25μmだけ、被写体像をx方向に移動すると異物の影は現在設定されている焦点検出範囲と重ならなくなる。上述の25μmに数画素分をプラスして多く駆動することで、主被写体から近傍ではなくある程度離れたところに異物の影を移動できるため、ここでは例えば10画素分の50μmをさらにプラスし、75μmだけ被写体像を移動させるための、光学系の移動目標量を演算する。ここで言う光学系の移動とは、先述の手振れ補正レンズ199を動かす手振れ補正システムを利用して、手振れ補正レンズ199を駆動して行ってもよいし、撮像素子33を動かすことによって手振れ補正を行うシステムを利用して、撮像素子33そのものを動かして行っても良い。
ステップS504では、先のステップS503にて演算した光学系の移動目標量に基づき、光学系を駆動する。図14Bは、ステップS504によって光学系を駆動した後の状態を示す図である。光学系の駆動によって、有効画素範囲1400上の主被写体位置が図14Aからシフトし、異物の影1403が主被写体から離れている。また、上記動作に伴い、選択された焦点検出範囲1402も主被写体1401から離れている。ここでのレンズ、或は撮像素子そのものの駆動動作の仕組みについては、先述した手振れ補正のための駆動と同一である。手振れ補正のための駆動では、手振れ検出センサ198で検出された手振れ信号に基づいて換算された振れ量から移動目標量を生成したのに対し、ここでは上述のステップS503によって演算した移動目標量を用いるという点が異なる。
次にステップS505にて焦点検出範囲の変更を行う。具体的には、当初設定されていたように、焦点検出に用いる画素が主被写体と略同一になるように画素を選択する。例えば、先のステップS504でx方向に5画素+10画素の15画素分の光学系シフトを行っているときでは、焦点検出範囲を逆の方向に同じ量の15画素シフトを行う。図14Cは、ステップS505によって焦点検出範囲を15画素シフトし変更した後の状態を示す図である。焦点検出に用いる画素を変更することで、主被写体上に焦点検出範囲がきている。
次にステップS506に進み、ここからは通常の撮影動作と同一である。
上記のような撮像動作を行うことにより、撮像素子近傍の光学部材(具体的には赤外線カットフィルタ410)に異物が付着していても、焦点検出に用いる画素は異物の影の影響を受けることがないので、異物の影による焦点検出精度低下を抑制することが可能となる。
(第2の実施形態)
上記の第1の実施形態では、図14Aに示す撮影者が当初意図して設定していた撮像範囲と主被写体との相対位置関係は、図14Cに示す実際に生成される画像ファイルでの相対位置関係と異なっていた。第2の実施形態では、撮像装置の構成は第1の実施形態と同一であるが、カメラ撮像動作が第1の実施形態と異なり、実際に生成される画像をトリミングによって画角の変化がないようにすることを特徴としている。
以下、本実施形態におけるカメラの撮像動作について、図16、図17を用いて説明する。図16は、本実施形態における撮像動作のフローチャートである。図16における各ステップを順に説明する。
シャッタボタン7の半押下げ操作のステップS500から、本露光が行われるステップS509までの処理は第1の実施形態において説明した動作と同一であるため、ここでは説明を省略する。ステップS509で本露光が行われると、次にステップS610に進む。
ステップS610では、撮影動作中に光学系を駆動したかどうか(すなわち、ステップS502での異物位置と焦点検出範囲の一致判定が、YESであったかNOであったか)の判定が行われる。
ステップS610の判定において、NOであった場合はステップS611に進む。ステップS611では撮像素子33の露光出力について、前述したようにγ補正、ホワイトバランス補正、圧縮処理等の画像処理を施し、有効画素範囲の中央部をトリミングして画像ファイルを生成する。図17Aは、有効画素範囲と、ステップS611で生成されるトリミングされて出力される画像の相対関係を示す図である。1400が有効画素範囲で、1404aはトリミングされて出力される範囲を示している。
ステップS610の判定において、YESであった場合はステップS612に進む。ステップS612では撮像素子33の露光出力について、前述したようにγ補正、ホワイトバランス補正、圧縮処理等の画像処理を施し、光学系駆動による画角変化の前後で、撮影画像全体に対する主被写体の位置が、略同一となるように、撮影画像をトリミングして画像ファイルを生成し、一連の撮影シーケンスを終了する。図17Bは、有効画素範囲と、ステップS612で生成されるトリミングされて出力される画像の相対関係を示す図である。1400が有効画素範囲で、1404bはトリミングされて出力される範囲を示している。図17Aと図17Bを比較して明らかなように、異物が付着していた場合であっても、異物が付着していなかったときと同じ画像が生成されている。
上記のような撮像動作を行うことにより、撮像素子近傍の光学部材に異物が付着していても、焦点検出に用いる画素は異物の影の影響を受けることがないので、異物の影による焦点検出精度低下を抑制することが可能となる。また、光学系駆動による画角変化の前後で、撮影画像全体に対する主被写体の位置が、略同一となるように、撮影画像をトリミングして画像ファイルを生成するので、撮影者が意図した構図を変更することなく、精度良い自動焦点検出が可能となる。
(他の実施形態)
また、各実施形態の目的は、次のような方法によっても達成される。すなわち、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、本発明には次のような場合も含まれる。すなわち、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
さらに、次のような場合も本発明に含まれる。すなわち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した手順に対応するプログラムコードが格納されることになる。