JP4511759B2 - 四輪駆動車両の動力伝達装置 - Google Patents

四輪駆動車両の動力伝達装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4511759B2
JP4511759B2 JP2001109020A JP2001109020A JP4511759B2 JP 4511759 B2 JP4511759 B2 JP 4511759B2 JP 2001109020 A JP2001109020 A JP 2001109020A JP 2001109020 A JP2001109020 A JP 2001109020A JP 4511759 B2 JP4511759 B2 JP 4511759B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vane
valve body
port
rotor
side plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001109020A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002310195A (ja
Inventor
貫二 北
徹 馬渕
和典 宮田
卓也 黒川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2001109020A priority Critical patent/JP4511759B2/ja
Publication of JP2002310195A publication Critical patent/JP2002310195A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4511759B2 publication Critical patent/JP4511759B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Rotary Pumps (AREA)
  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主駆動輪および副駆動輪間に単一のベーンポンプよりなるハイドロリックカップリング装置を備えた四輪駆動車両の動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
四輪駆動車両の動力伝達装置は、本出願人が既に特願平10−238517号により提案している。この動力伝達装置に用いられているハイドロリックカップリング装置は、左右の第1サイドプレートと中央の第2サイドプレートとの間に左右のカムリングを挟持し、左第1サイドプレート、第2サイドプレートおよび左カムリングに囲まれた空間に左ロータを収納し、右第1サイドプレート、第2サイドプレートおよび右カムリングに囲まれた空間に右ロータを収納している。そして吸入ポートおよび吐出ポートの何れか高圧側ポートを第2サイドプレートの側面に形成した環状のベーン押上ポートに選択的に連通させるべく、第2サイドプレートの側面に凹設したオリフィスプレート支持溝にオリフィスプレートを揺動自在に収納した切換バルブを備えている。
【0003】
ところで上記従来のものは、第2サイドプレートの側面にオリフィスプレート支持溝を凹設する際に、そのオリフィスプレート支持溝の底面のエッジをシャープな直角に仕上げることが困難であり、多少の半径が残ることが避けられなかった。そのため、オリフィスプレート支持溝に揺動自在に収納されるオリフィスプレートのエッジをシャープな直角に仕上げてしまうと、オリフィスプレートの一側面がオリフィスプレート支持溝の底面に密着できなくなり、切換バルブのスムーズな作動が妨げられてしまう問題があった。この問題を回避するために、従来はオリフィスプレートの一側面のエッジにオリフィスプレート支持溝の底面のエッジの半径に見合う半径を形成し、オリフィスプレートがオリフィスプレート支持溝内でスムーズに揺動できるように考慮していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、オリフィスプレートの他側面(ロータに摺接する側の面)は作動油のリークを防止するためにシャープな直角に仕上げる必要があることから、オリフィスプレートは一側面および他側面が非対称な部材となってしまい、その加工コストが嵩むだけでなく、オリフィスプレートの組付方向に充分な注意が必要となって作業性が低下する問題があった。このような問題は、単一のベーンポンプを備えたハイドロリックカップリング装置をプロペラシャフトの中間部に配置した動力伝達装置においても同様に発生する。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、、単一のベーンポンプを備えた四輪駆動車両の動力伝達装置において、吸入ポートおよび吐出ポートの何れか高圧側ポートをサイドプレートの側面に形成した環状のベーン押上ポートに選択的に連通させる切換バルブの加工性および組付性を高めることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、エンジンにより左右の主駆動輪と共に駆動される入力軸と、左右の副駆動輪と共に回転する出力軸と、入力軸および出力軸の相対回転速度差に応じて作動するベーンポンプと、ベーンポンプの吸入ポートおよび吐出ポート間に設けられたオリフィスとを備えてなり、前記ベーンポンプは、カムリングおよび一対のサイドプレートにより囲まれた空間にロータを収納し、このロータに半径方向摺動自在に支持した複数のベーンの半径方向外端をカムリングに摺接させ、一方のサイドプレートに、ベーンの半径方向内端が臨む環状のベーン押上ポートと、吸入ポートおよび吐出ポートを選択的にベーン押上ポートに連通させる切換バルブとを設け、前記切換バルブは、吸入ポートおよび吐出ポート間を横切って該吸入ポートおよび吐出ポートをベーン押上ポートに連通させる弁体支持溝と、弁体支持溝内に揺動自在に枢支された弁体とから構成された四輪駆動車両の動力伝達装置において、弁体支持溝は前記一方のサイドプレートを貫通するように形成され、弁体支持溝に収納された弁体の両側面はロータおよびベーンポンプのケーシングにそれぞれ摺接することを特徴とする四輪駆動車両の動力伝達装置が提案される。
【0007】
上記構成によれば、一方のサイドプレートを貫通するように形成した弁体支持溝に弁体を収納して切換バルブを構成したので、ロータおよびケーシングに摺接する弁体の両側面のエッジをシャープな直角に形成しても、弁体が弁体収納溝に噛み込むのを防止して該弁体をスムーズに揺動させることが可能となる。そして弁体支持溝がサイドプレートを貫通するので、サイドプレートを焼結型取りで製作することが可能となってコストダウンに寄与することができ、しかも弁体の両側面を対称形状として加工性および組付性を両立させることができる。
【0008】
尚、実施例のフロントプロペラシャフト10fおよびリヤプロペラシャフト10rはそれぞれ本発明の入力軸および出力軸に対応し、実施例の第1ケーシング21は本発明のケーシングに対応し、実施例の第1サイドプレート30および第2サイドプレート32は本発明のサイドプレートに対応し、実施例のオリフィスプレート支持溝46およびオリフィスプレート48はそれぞれ本発明の弁体支持溝および弁体に対応し、実施例の左前輪WFLおよび右前輪WFRは本発明の主駆動輪に対応し、実施例の左後輪WRLおよび右後輪WRRは本発明の副駆動輪に対応する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1〜図9は本発明の第1実施例を示すもので、図1は四輪駆動車両の動力伝達装置のスケルトン図、図2はハイドロリックカップリング装置の縦断面図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図2の4−4線断面図、図5はオリフィスプレートの作用説明図、図6はオリフィスプレートの斜視図、図7は図4の7−7線断面図、図8はオリフィスプレートの作用を説明するグラフ、図9はハイドロリックカップリング装置の油圧回路図である。
【0011】
図1に示すように、四輪駆動車両Vは車体前部に横置きに配置したエンジンEと、このエンジンEの右側面に結合したトランスミッションMとを備える。トランスミッションMの駆動力を主駆動輪としての左右の前輪WFL,WFRに伝達する第1動力伝達系D1は、トランスミッションMの出力軸1に設けた第1スパーギヤ2と、第1スパーギヤ2に噛合する第2スパーギヤ3と、第2スパーギヤ3により駆動されるベベルギヤ式のフロントディファレンシャル4と、フロントディファレンシャル4から左右に延出して前輪WFL,WFRに接続される左右の車軸5L,5Rとから構成される。
【0012】
第1動力伝達系D1の駆動力を副駆動輪としての左右の後輪WRL,WRRに伝達する第2動力伝達系D2は、フロントディファレンシャル4のデフボックスに設けた第3スパーギヤ6と、第3スパーギヤ6に噛合する第4スパーギヤ7と、第4スパーギヤ7と一体に回転する第1ベベルギヤ8と、第1ベベルギヤ8に噛合する第2ベベルギヤ9と、前端に第2ベベルギヤ9を備えて車体後方に延びるフロントプロペラシャフト10fおよびリヤプロペラシャフト10rと、リヤプロペラシャフト10rの後端に設けた第3ベベルギヤ11と、第3ベベルギヤ11に噛合する第4ベベルギヤ12と、第4ベベルギヤ12により駆動されるベベルギヤ式のリヤディファレンシャル14と、リヤディファレンシャル14から左右に延出して後輪WRL,WRRに接続される左右の車軸13L,13Rと、フロントプロペラシャフト10fおよびリヤプロペラシャフト10r間に配置されたハイドロリックカップリング装置Hとを備える。
【0013】
次に、図2に基づいてハイドロリックカップリング装置Hの構造を説明する。
【0014】
フロントプロペラシャフト10fおよびリヤプロペラシャフト10r間に配置されるハイドロリックカップリング装置Hは、概略円板状の第1ケーシング21および概略カップ状の第2ケーシング22をクリップ23で結合してなるポンプケーシング24を備える。第2ケーシング22の内部には第1サイドプレート30、カムリング31、第2サイドプレート32および第1ケーシング21が積層状態で収納されて複数本のボルト34…で一体に締結される。そして第1ケーシング21の外周面に設けたシール部材25で、第2ケーシング22の内周面との間がシールされる。
【0015】
ポンプケーシング24の内部に収納されたロータシャフト27は、第2サイドプレート32の内周面に設けたニードルベアリング28と、第2ケーシング22の内周面に設けたボールベアリング29とを介して回転自在に支持される。カムリング31および第1、第2サイドプレート30,32に囲まれた空間に収納されたロータ35は、ロータシャフト27の外周にスプライン結合部36で結合される。
【0016】
ロータシャフト27の外周面に形成した環状のシール溝27aの内部に嵌合するシール部材37が、第2ケーシング22の軸孔22aの内周面に当接することにより、第1、第2ケーシング21,22間のシール部材25によるシール作用と相俟って、ポンプケーシング24の外部への作動油の流出が防止されるとともに、ポンプケーシング24の内部へのエアーの流入が防止される。このように、ロータシャフト27側にシール溝27aを形成してシール部材37を保持したので、シール溝27aの加工が容易になって加工コストを削減することができる。従来技術のように、ケーシング側にシール溝を加工しようとすると、面倒な中ぐり加工が必要になって加工コストが増加してしまう。
【0017】
次に、図2〜図7を併せて参照しながらベーンポンプPの構造を詳細に説明する。
【0018】
図2〜図4から明らかなように、ポンプケーシング24の内部に収納されたベーンポンプPは、第1サイドプレート30、カムリング31、第2サイドプレート32、ロータ35およびロータシャフト27を備えており、第1サイドプレート30、カムリング31および第2サイドプレート32はボルト34…で第1ケーシング21に固定される。カムリング31の内周面は概略3角形になっており、その内部に収納された円形のロータ35との間に、円周方向に120°ずつ離間した3個の作動室40が形成される。ロータ35に放射状に形成された8個のベーン溝35a…にそれぞれ板状のベーン41…が摺動自在に支持されており、それらベーン41…の半径方向外端はカムリング31の内周面に摺接する。第2サイドプレート32の前面には、各ベーン41の半径方向外端をカムリング31の内周面に密着させるべく環状のベーン押上ポート32aが凹設される。このベーン押上ポート32aはロータ35の8個のベーン溝35a…の底部にそれぞれ連通する。また各ベーン41の半径方向外端をカムリング31の内周面に密着させるべく、ベーン溝35aの底部とベーン41の半径方向内端との間にコイルスプリング42が縮設される。
【0019】
図3〜図5から明らかなように、第2サイドプレート32の前面には、ベーンポンプPの3個の作動室40…の円周方向両端にそれぞれ臨む3個の吸入ポート43…および3個の吐出ポート44…が凹設される。隣接する2個の作動室40,40の対向部にそれぞれ設けられた吸入ポート43および吐出ポート44を接続する連通溝45を横切るように、半径方向に延びるオリフィスプレート支持溝46が第2サイドプレート32の前後面を貫通するように形成される。各オリフィスプレート支持溝46は、半径方向外側に位置する支持部46aと、この支持部46aから半径方向内側に延びる溝部46bとから構成される。
【0020】
尚、ベーンポンプPは、その正転時には作動油を吸入ポート43…から吸入して吐出ポート44…から吐出するが、その逆転時には作動油を吐出ポート44…から吸入して吸入ポート43…から吐出する。
【0021】
図6に示すように、オリフィスプレート支持溝46に首振り自在に支持されるオリフィスプレート48は、部分円柱状の支点部48aと、この支点部48aから延びる板状の弁部48bとから構成されており、弁部48bにはその両側面を連通させるオリフィス49が貫通するように形成される。またオリフィスプレート48の弁部48bの前面の1つのエッジに切欠50が施される。図5に示すように、上記構造を有するオリフィスプレート48は、支点部48aがオリフィスプレート支持溝46の支持部46aに嵌合し、弁部48bがオリフィスプレート支持溝46の溝部46bの内部において揺動する。オリフィスプレート支持溝46およびオリフィスプレート48は切換バルブCVを構成する。
【0022】
図2、図4および図7から明らかなように、第2サイドプレート32の前面に形成された各3個の吸入ポート43…および吐出ポート44…が、それぞれ連通路52…でポンプケーシング24内の低圧部に連通している。そして連通路52…に臨む吸入ポート43…および吐出ポート44…にそれぞれチェックバルブ53…が設けられる。チェックバルブ53…は、第2サイドプレート32の前面の高圧側から低圧の連通路52…への作動油の流通を阻止し、その逆方向の作動油の流通を許容する。
【0023】
即ち、図7から明らかなように、前記チェックバルブ53…は弁座53a…およびチェックボール53b…から構成され、吸入ポート43…および吐出ポート44…が高圧になるとチェックボール53b…が弁座53a…に着座して閉弁し、吸入ポート43…および吐出ポート44…が低圧になるとチェックボール53b…が弁座53a…から離反して開弁する。
【0024】
従って、ベーンポンプPの運転に伴って吸入ポート43…(あるいは吐出ポート44…)が負圧になったとき、その負圧でチェックバルブ53…が開弁して吸入ポート43…(あるいは吐出ポート44…)を後記リザーバ55に連通させるので、過剰な負圧によりキャビテーションが発生するのを確実に防止することができる。
【0025】
このように6個のチェックバルブ53…を第2サイドプレート32に集中して設け、かつ吸入ポート43…、吐出ポート44…、連通溝45…、オリフィスプレート支持溝46…、オリフィスプレート48…、オリフィス49…、連通路52…等の油圧制御系を全て第2サイドプレート32に集約したので、第1サイドプレート30を単なる板体で構成することが可能になるだけでなく、油路の短縮や第2サイドプレート32のサブアセンブリ化による組付工数の削減を図ることができる。
【0026】
またオリフィスプレート支持溝46…は第2サイドプレート32を貫通しているため、オリフィスプレート支持溝46…の深さの管理が不要になり、第2サイドプレート32を焼結型取りで製作することが可能となってコストダウンに寄与することができる。しかも第2サイドプレート32を貫通するオリフィスプレート支持溝46…は溝底部の丸まったエッジを持たないため、オリフィスプレート48…の前後面のエッジ(切欠50が形成されたエッジを除く)をシャープな直角に形成してもスムーズな揺動を可能とすることができる。これにより、オリフィスプレート48の後面(切欠50が設けられている前面と反対側の面)のエッジに丸みを付ける加工が不要になり、加工コストを削減することができる。
【0027】
図2に示すように、ロータシャフト27の内部には軸方向に延びる貫通孔27bが形成されており、そこにリザーバ55が収納される。リザーバ55は、薄肉のラバーで形成されて内部にエアーが充填された筒状弾性体56と、その一端開口部に嵌合する段付き円筒状の閉塞部材57とから構成される。リザーバ55はロータシャフト27の貫通孔27bの前端部から挿入され、リザーバ55の閉塞部材57が前記貫通孔27bの段部27cに例えば圧入により固定される。その際に、閉塞部材57の小径部57aと貫通孔27bの段部27cとの間に筒状弾性体56の開口端が挟まれることにより、リザーバ55の固定と、筒状弾性体56の密封と、貫通孔27bのシールとが同時に達成される。
【0028】
ロータシャフト27の前端は大径になっており、その内周面にスプライン結合部61で軸部62aを結合されたカップリング62が、ボルト63…でフロントプロペラシャフト10fの後端に連結される。ロータシャフト27とカップリング62の軸部62aとのスプライン結合部61に抜け止めを施すべく、カップリング62側から挿入したボルト64がロータシャフト27の貫通孔27bに螺入される。
【0029】
このように、リザーバ55をロータシャフト27の貫通孔27bに移動不能に支持すると同時に、その閉塞部材57で貫通孔27bの内周面をシールするので、特別のシール部材で貫通孔27bの内周面をシールすることなく、ボルト64の螺合部やスプライン結合部61を通してポンプケーシング24から作動油が流出したり、ポンプケーシング24にエアーが流入したりするのを防止することができる。
【0030】
而して、ポンプケーシング24の内部の作動油が温度変化に応じて膨張・収縮したとき、リザーバ55の容積が変化して作動油の容積変化を吸収することにより、作動油へのエアーの混入を防止することができる。特に、ロータシャフト27の貫通孔27bを利用してリザーバ55を配置したので、リザーバ55を設けたことによるベーンポンプPの大型化を回避することができ、しかもベーンポンプPの吐出圧が直接リザーバ55に作用するのを防止することができる。
【0031】
またリヤディファレンシャル14のハウジング65には第3ベベルギヤ11と一体のリヤプロペラシャフト10rがローラベアリング66を介して支持されており、第1ケーシング21にボルト67…で固定されたカップリング68に前記リヤプロペラシャフト10rがスプライン結合部69で結合されてナット70で固定される。
【0032】
図9は上記ハイドロリックカップリング装置Hの油圧回路を示すものである。同図から明らかなように、ベーンポンプPの吸入ポート43…および吐出ポート44…は第2サイドプレート32に設けた切換バルブCVのオリフィスプレート48…のオリフィス49…により相互に連通する。ベーンポンプPの吸入ポート43…および吐出ポート44…の何れか高圧側は切換バルブCVを介してベーン押上ポート32aに連通する。ベーンポンプPの吸入ポート43…および吐出ポート44…の何れか低圧側は第2サイドプレート32に設けたチェックバルブ53…を介してリザーバ55に連通する。更に、ベーン押上ポート32aとリザーバ55との間にリリーフバルブ59およびチョーク60が設けられる。前記リリーフバルブ59は仮想的なもので、第1サイドプレート30および第2サイドプレート32が油圧で撓むことによりロータ35との間に発生する間隙によって構成される。また前記チョーク60も仮想的なもので、第1サイドプレート30および第2プレート32とロータ35との摺動部の間隙によって構成される。
【0033】
次に、前述の構成を備えた本発明の実施例の作用について説明する。
【0034】
車両Vが定速走行する状態では、エンジンEの駆動力は出力軸1から第1スパーギヤ2、第2スパーギヤ3、フロントディファレンシャル4および左右の車軸5L,5Rを介して左右の前輪WFL,WFRに伝達される。このとき、フロントディファレンシャル4の第3スパーギヤ6の回転は、第4スパーギヤ7、第1ベベルギヤ8、第2ベベルギヤ9およびフロントプロペラシャフト10fを介してハイドロリックカップリング装置HのベーンポンプPのロータシャフト27およびロータ35に伝達される。一方、車両Vの走行に伴って路面から受ける摩擦力で駆動される後輪WRL,WRRの回転は、左右の車軸13L,13Rからリヤディファレンシャル14、第4ベベルギヤ12、第3ベベルギヤ11およびリヤプロペラシャフト10rを介してベーンポンプPのカムリング31に伝達される。前輪WFL,WFRにスリップが発生しておらず、従って前輪WFL,WFRおよび後輪WRL,WRRの回転数が等しいときには、ロータ35の回転数とカムリング31の回転数とが一致して相対回転が発生しない。その結果、ベーンポンプPが作動油を吐出しないためにハイドロリックカップリング装置Hは駆動力の伝達を行わず、車両Vは前輪駆動状態になる。
【0035】
また低摩擦路における発進時や急加速時にエンジンEの駆動力が直接作用する前輪WFL,WFRがスリップすると、前輪WFL,WFRの回転に連動するベーンポンプPのロータ35と、後輪WRL,WRRの回転に連動するベーンポンプPのカムリング31との間に正転方向の相対回転が発生し、ベーンポンプPは吐出ポート44…から吐出した作動油を吸入ポート43…より吸入する。吐出ポート44…から吐出された作動油はオリフィス49…を通過して吸入ポート43…に還流するが、その際の流通抵抗によりベーンポンプPに負荷が発生し、この負荷が駆動力として左右の後輪WRL,WRRに伝達される。而して、前輪WFL,WFRのスリップ時には四輪駆動状態となり、車両Vのトラクションを増加させることができる。このとき、オリフィス49…の径を減少させるほど、ベーンポンプPの負荷が増加して後輪WRL,WRRに伝達される駆動力が増加する。
【0036】
前述した低摩擦路における発進時や急加速時のように前輪WFL,WFRの回転数が後輪WRL,WRRの回転数を上回る場合には、ロータ35が正転方向(図3の矢印A方向)に相対回転し、図5(A)に示すように、吸入ポート43…から作動油が吸入されて吐出ポート44…から作動油が吐出される。その結果、高圧側の吐出ポート44…と低圧側の吸入ポート43…との差圧によって切換バルブCVのオリフィスプレート48…が吸入ポート43…側に揺動するため、高圧側の吐出ポート44…がオリフィスプレート支持溝46…を介してベーン押上ポート32aに連通するとともに、ベーン押上ポート32a低圧側の吸入ポート43…との連通が遮断される。而して、ベーン押上ポート32aに伝達された油圧によってベーン41…を半径方向外側に付勢し、その先端をカムリング31の内周面に圧接することができる。
【0037】
一方、車両が急制動を行う場合には、ABS(アンチロックブレーキシステム)等によって車輪のロック状態を制御することにより、前輪WFL,WFRが後輪WRL,WRRよりも先にロックするようにして車両挙動の安定が図られる。このように急制動により後輪WRL,WRRの回転数が前輪WFL,WFRの回転数を上回ると、ロータ35が逆転方向(図3の矢印B方向)に相対回転し、図5(B)に示すように、吐出ポート44…から作動油が吸入されて吸入ポート43…から作動油が吐出される。その結果、高圧側の吸入ポート43…と低圧側の吐出ポート44…との差圧によって切換バルブCVのオリフィスプレート48…が吐出ポート44…側に揺動するため、高圧側の吸入ポート43…がオリフィスプレート支持溝46…を介してベーン押上ポート32aに連通するとともに、ベーン押上ポート32aと低圧側の吐出ポート44…との連通が遮断される。而して、ベーン押上ポート32aに伝達された油圧によってベーン41…を半径方向外側に付勢し、その先端をカムリング31の内周面に圧接することができる。
【0038】
ところで、ハイドロリックカップリング装置Hを備えた四輪駆動車両Vでは、前輪WFL,WFRおよび後輪WRL,WRRの相対回転数差に応じてベーンポンプPが負荷を発生し、前輪WFL,WFRおよび後輪WRL,WRRの回転数が大きい側から回転数が小さい側に駆動力が伝達される。従って、急制動時における制動力の制御により前輪WFL,WFRが先にロックしようとすると、後輪WRL,WRRの回転数が前輪WFL,WFRの回転数を上回って後輪WRL,WRR側から前輪WFL,WFR側に駆動力が伝達されてしまい、前輪WFL,WFRのロックが抑制されて後輪WRL,WRRのロックが促進されるため、最悪の場合に前輪WFL,WFRおよび後輪WRL,WRRが同時にロックして車両挙動が不安定になる可能性がある。
【0039】
これを回避すべく、本実施例では前輪WFL,WFRおよび後輪WRL,WRRの相対回転の方向によりベーンポンプPが発生する負荷の大きさに差を持たせている。すなわち、前述した低摩擦路における発進時や急加速時のように前輪WFL,WFRの回転数が後輪WRL,WRRの回転数を上回る場合には、ロータ35が図3の矢印A方向に相対回転し、図5(A)に示すように、オリフィスプレート48…によって高圧のベーン押上ポート32aと低圧の吸入ポート43…との連通が完全に遮断されるため、吸入ポート43…および吐出ポート44…はオリフィス49…だけを介して連通し、ベーンポンプPは大きな負荷を発生して前輪WFL,WFRから後輪WRL,WRRに伝達される駆動力が増加する(図8の実線参照)。
【0040】
一方、前述した急制動時のように後輪WRL,WRRの回転数が前輪WFL,WFRの回転数を上回る場合には、ロータ35が図3の矢印B方向に相対回転し、図5(B)に示すように、オリフィスプレート48…によって高圧のベーン押上ポート32aと低圧の吐出ポート44…との連通が一応遮断されるが、オリフィスプレート48…に形成した切欠50…によってベーン押上ポート32aから吐出ポート44…に作動油がリークするため、ベーンポンプPが発生する負荷が減少して前輪WFL,WFRから後輪WRL,WRRに伝達される駆動力が減少する(図8の破線参照)。而して、急制動時に前輪WFL,WFRを後輪WRL,WRRに先立ってロックさせ、車両挙動が不安定になるのを未然に防止することができる。
【0041】
また第1実施例に特有の効果として、ベーンポンプPのロータシャフト27が主駆動輪である前輪WFL,WFRに連動するフロントプロペラシャフト10fにより駆動されるので、前輪WFL,WFRがスリップすると同時にロータ35の回転が増速してベーン41…の遠心力が増加し、ベーンポンプPの起動時にベーン41…とカムリング31との間のシール性を高めて応答性を向上させることができる。
【0042】
図10は本発明の第2実施例を示すもので、第1実施例を示す図2に対応するものである。
【0043】
第2実施例はベーンポンプPの取付方向が第1実施例と逆になっており、フロントプロペラシャフト10f側に第1サイドプレート30、カムリング31および第2サイドプレート32が接続されており、リヤプロペラシャフト10r側にロータシャフト27およびロータ35が接続されている。即ち、リヤプロペラシャフト10rにスプライン結合部69で結合されたカップリング68にボルト63…でカップリング62が結合されており、このカップリング62の軸部62aがロータシャフト27の貫通孔27bの内周にスプライン結合部61で結合される。またフロントプロペラシャフト10fはボルト67…で第1ケーシング21に結合される。
【0044】
本実施例でも、前輪WFL,WFRと後輪WRL,WRRとの相対回転により、カムリング31およびロータ35が相対回転してベーンポンプPが作動するようになっており、前記第1実施例と同様に四輪駆動機能を発揮することができ、更にリーザバ55による効果も第1実施例と同様である。但し、ベーンポンプPを第1実施例に対して前後逆に取り付けたことにより、次のような特別の効果を得ることができる。
【0045】
即ち、ロータ35に複数の遠心バルブを放射状に設け、高速走行時にロータ35の回転が高まると遠心バルブが開弁してベーンポンプPを無負荷状態に切り換えるようにした場合、設定車速で遠心バルブを開弁させるにはロータ35の回転数が主駆動輪である前輪WFL,WFRのスリップの影響を受けないようにする必要がある。従って、仮にロータ35が前輪WFL,WFRに接続されていると、車速が設定車速以下でも前輪WFL,WFRがスリップして回転数が増加したときに遠心バルブが開弁してしまう問題があるが、実施例に如くロータ35が副駆動輪である後輪WRL,WRRに接続されていれば上記問題を解消することができる。
【0046】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0047】
例えば、実施例では切欠50の存在によってオリフィスプレート48が非対称形状(図6参照)になるため、組付時に方向性を考慮する必要があるが、切欠50を形成しなければオリフィスプレート48を対称形状にすることができるため、組付時に方向性を考慮する必要がなくなって組付性が向上する。また実施例ではオリフィスプレート48にオリフィス49を形成しているが、オリフィス49をオリフィスプレート48以外の場所(第2サイドプレート32等)に設けることも可能である。
【0048】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、一方のサイドプレートを貫通するように形成した弁体支持溝に弁体を収納して切換バルブを構成したので、ロータおよびケーシングに摺接する弁体の両側面のエッジをシャープな直角に形成しても、弁体が弁体収納溝に噛み込むのを防止して該弁体をスムーズに揺動させることが可能となる。そして弁体支持溝がサイドプレートを貫通するので、サイドプレートを焼結型取りで製作することが可能となってコストダウンに寄与することができ、しかも弁体の両側面を対称形状として加工性および組付性を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】四輪駆動車両の動力伝達装置のスケルトン図
【図2】ハイドロリックカップリング装置の縦断面図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】図2の4−4線断面図
【図5】オリフィスプレートの作用説明図
【図6】オリフィスプレートの斜視図
【図7】図4の7−7線断面図
【図8】オリフィスプレートの作用を説明するグラフ
【図9】ハイドロリックカップリング装置の油圧回路図
【図10】本発明の第2実施例に係るハイドロリックカップリング装置の縦断面図
【符号の説明】
10f フロントプロペラシャフト(入力軸)
10r リヤプロペラシャフト(出力軸)
21 第1ケーシング(ケーシング)
30 第1サイドプレート(サイドプレート)
31 カムリング
32 第2サイドプレート(サイドプレート)
32a ベーン押上ポート
35 ロータ
41 ベーン
43 吸入ポート
44 吐出ポート
46 オリフィスプレート支持溝(弁体支持溝)
48 オリフィスプレート(弁体)
49 第1オリフィス
E エンジン
P ベーンポンプ
CV 切換バルブ
WFL 左前輪(主駆動輪)
WFR 右前輪(主駆動輪)
WRL 左後輪(副駆動輪)
WRR 右後輪(副駆動輪)

Claims (1)

  1. エンジン(E)により左右の主駆動輪(WFL,WFR)と共に駆動される入力軸(10f)と、
    左右の副駆動輪(WRL,WRR)と共に回転する出力軸(10r)と、
    入力軸(10f)および出力軸(10r)の相対回転速度差に応じて作動するベーンポンプ(P)と、
    ベーンポンプ(P)の吸入ポート(43)および吐出ポート(44)間に設けられたオリフィス(49)と、
    を備えてなり、
    前記ベーンポンプ(P)は、カムリング(31)および一対のサイドプレート(30,32)により囲まれた空間にロータ(35)を収納し、このロータ(35)に半径方向摺動自在に支持した複数のベーン(41)の半径方向外端をカムリング(31)に摺接させ、
    一方のサイドプレート(32)に、ベーン(41)の半径方向内端が臨む環状のベーン押上ポート(32a)と、吸入ポート(43)および吐出ポート(44)を選択的にベーン押上ポート(32a)に連通させる切換バルブ(CV)とを設け、
    前記切換バルブ(CV)は、吸入ポート(43)および吐出ポート(44)間を横切って該吸入ポート(43)および吐出ポート(44)をベーン押上ポート(32a)に連通させる弁体支持溝(46)と、弁体支持溝(46)内に揺動自在に枢支された弁体(48)とから構成された四輪駆動車両の動力伝達装置において、
    弁体支持溝(46)は前記一方のサイドプレート(32)を貫通するように形成され、弁体支持溝(46)に収納された弁体(48)の両側面はロータ(35)およびベーンポンプ(P)のケーシング(21)にそれぞれ摺接することを特徴とする四輪駆動車両の動力伝達装置。
JP2001109020A 2001-04-06 2001-04-06 四輪駆動車両の動力伝達装置 Expired - Fee Related JP4511759B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001109020A JP4511759B2 (ja) 2001-04-06 2001-04-06 四輪駆動車両の動力伝達装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001109020A JP4511759B2 (ja) 2001-04-06 2001-04-06 四輪駆動車両の動力伝達装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002310195A JP2002310195A (ja) 2002-10-23
JP4511759B2 true JP4511759B2 (ja) 2010-07-28

Family

ID=18961051

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001109020A Expired - Fee Related JP4511759B2 (ja) 2001-04-06 2001-04-06 四輪駆動車両の動力伝達装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4511759B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000062495A (ja) * 1998-08-25 2000-02-29 Honda Motor Co Ltd 四輪駆動車両の動力伝達装置
JP2002096653A (ja) * 2000-09-21 2002-04-02 Honda Motor Co Ltd 四輪駆動車両の動力伝達装置

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000062495A (ja) * 1998-08-25 2000-02-29 Honda Motor Co Ltd 四輪駆動車両の動力伝達装置
JP2002096653A (ja) * 2000-09-21 2002-04-02 Honda Motor Co Ltd 四輪駆動車両の動力伝達装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002310195A (ja) 2002-10-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3943676B2 (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JP3676583B2 (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JP4511759B2 (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JP2002301943A (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JPH038499Y2 (ja)
JP4216995B2 (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JP4226207B2 (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JP4371536B2 (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JP2002310194A (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JP2002310193A (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JP2004301100A (ja) ベーンポンプにおけるシール構造
JP2002301945A (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JP2002301950A (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JP2002301942A (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JPH0344581Y2 (ja)
JPH0423055Y2 (ja)
JPH0215699Y2 (ja)
JP2002301944A (ja) 四輪駆動車両の動力伝達装置
JPH0421709Y2 (ja)
JPH03159823A (ja) 4輪駆動用駆動連結装置
JP2565705Y2 (ja) 四輪駆動車用駆動力伝達装置
JPH0623783Y2 (ja) 駆動連結装置
JPH0511060Y2 (ja)
JP2523749Y2 (ja) 4輪駆動用駆動連結装置
JPH0324904Y2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071126

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100421

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100422

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100507

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130514

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees