JP4510614B2 - 光学活性β−アミノケトン、光学活性1,3−アミノアルコール、およびそれらの製造方法 - Google Patents

光学活性β−アミノケトン、光学活性1,3−アミノアルコール、およびそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学活性β−アミノケトン、光学活性1,3−アミノアルコール、およびそれらの製造方法に関する。
CH−酸性化合物のアミノアルキル化は、約100年もの間知られている。それらはマンニッヒ反応と呼ばれ、そして有機化学の最も重要なC−C結合形成反応の一つである。
Figure 0004510614
その原型かつ最もよく知られた形において、マンニッヒ反応は、三つの成分を用いて「三成分カップリング」の形で行われ:エノール化性ケトン、非エノール化性アルデヒド(多くの場合、ホルムアルデヒドまたはアリールアルデヒド)およびアミン成分(アンモニアまたは第一級アミンまたは第二級アミン)を相互に反応させてβ−アミノケトンを形成する。この「マンニッヒ塩基」において、エノール化性ケトンの活性水素は、アミノアルキル置換基で置き換えられている。上記の三つの反応体は、通常容易に入手でき、高価でなく、そして少なくとも容易に得られるので、マンニッヒ反応のこの直接変法は、特に工業的に魅力的である。また、これらの反応体は、一般的に敏感でない(すなわち良好な貯蔵性を有する)ので、簡単な取り扱いを可能にする。最後に、商業的に入手できる反応体の直接三成分カップリングは、単一段階の、すなわち考えられる最短のβ−アミノケトン合成法である。
加えて、工業的魅力の少ないマンニッヒ反応の間接変法もあり、この場合は予備形成したエノレート等価物(通常はエナミンまたはシリルエノールエーテル)が用いられる。これらの成分は、一般的に商業的に入手できないか、または高価である。それらを前もって製造することは、追加の合成段階である。また、特にトリメチルシリルエノールエーテル、および程度は低いがエナミンは、酸および加水分解に敏感であり、貯蔵性が劣り、かつ取り扱いが困難である。一定の他のシリル基を有するシリルエノールエーテルは安定性がより良いが、それらは製造するのにより高価である。予備形成したエノレート等価物の高い求核性は、長所と欠点を有する。一方において、それは多くの場合に緩和なMeOHを許容するので、直接変法では、あまりにも多くの二次反応を伴うマンニッヒ反応を時として起こすことがある。他方において、予備形成したエノレート等価物のアミノメチル化は、多くの場合に低温反応なので、工業的規模ではコストがかかり、不都合である。予備形成したエノレート等価物を用いる立体選択的変法の他の欠点は、工業的に問題のあるルイス酸の使用、低温で劣った反応成分の溶解性、および、この理由で、大量の溶剤の使用の必要性(劣った空間/時間収率)、または問題があるかもしくは高価な溶剤の使用である。マンニッヒ反応におけるイミニウム塩は、イミンよりも明らかにいっそう反応性(いっそう求電子性)である。これは、予備形成したエノレート等価物について上述したのと同様の利点と欠点をもたらす。
不斉マンニッヒ反応は、例えばM.Arendら(Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1998,37,1044-1070)に記載されており、これは1067頁で次のように述べている:「多くの研究および若干の注目すべき成功にも拘らず、エナンチオマー的に純粋なマンニッヒ塩基の浸透は、まだ手始めに過ぎない。[...]動力学的生成物を(例えばアミノアルコール、ジアミン、アミンなどに)誘導体化するためのその場でラセミ化しない経路の多くを考えてみれば、制御された絶対配置の生成物を生じる効率的かつ有効な経路を開発する可能性を実際に実現できることを理解できるようになる。立体化学の多くの別の分野で確立されている触媒的方法は、まだ殆ど触れられていない。」
不斉マンニッヒ反応において理論量(計算量)のキラル助剤を使用することは、例えばH.Ishitaniら(J. Am. Chem. Soc. 2000,122,8180-8186)に記載されている。この方法は、工業的妥当性を有しない。なぜならば、マンニッヒ反応をジアステレオ選択的付加として行うために、キラル助剤は予備形成したイミン(またはより稀には予備形成したエノレート等価物)に共有結合するからである。キラル助剤の合成、連結、およびマンニッヒ反応後の除去は、複数の追加の合成段階を必要とする。加えて、マンニッヒ付加は、多くの場合に低温反応であり、そしてキラル助剤を得るのは困難であったか、または絶対配置でしか入手できなかった。
触媒的不斉マンニッヒ変法は、S.E. Denmark & O.J. -C. Nicaise(“Catalytic Enantioselective Mannich-Type Reactions”in Comprehensive Asymmetric Catalysis,E.N. Jacobsen, A.Pfaltz, H.Yamamoto編, ;Springer-Verlag:New York,1999:2巻, 26.2.9章;954-958頁)に要約されている。この触媒的変法は、大部分がそれらの工業的魅力を制限する間接マンニッヒ反応である。また、複雑なキラル遷移金属触媒を使用する必要がある。
未改変ケトンを用いる直接不斉三成分マンニッヒ反応は、ランタニドに基づくヘテロポリメタリックキラル触媒により誘発することができるが、S.Yamasakiら(Tetrahedron Lett. 1999,40,307-310)に記載されているように、中程度の化学収率(≦16%)およびエナンチオマー過剰(≦64%ee)しか生じない。
もう少しで工業的要求を満たすところの第一の触媒的直接不斉三成分マンニッヒ反応は、最近になって報告されたばかりである(B.List, J. Am. Chem. Soc. 2000,122,9336-9337;H.Groeger & J.Wilken,Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 2001,40,529-532)。この反応では、未改変ケトンを、アリール−またはアルキルアルデヒドおよび一定のアニリン誘導体と、ジメチルスルホキシドまたはクロロホルム中で30モル%の(L)−プロリンを用いて触媒作用により室温で反応させて、光学活性マンニッヒ塩基を与える。化学収率は中程度ないし良好(35〜90%)、そして光学純度は平均ないし極めて良好(73〜90%ee)であった。
マンニッヒ塩基およびそれらの誘導体は、M.Arendら(Angew. Chem. 1998,110,1096-1122)の1045頁に要約されている多くの工業的用途を有する。最も重要な、特にキラルマンニッヒ塩基の使用分野は、医薬の活性成分、例えば神経遮断剤モバンの製造である。この主題について、M.Arendらの1047頁に次のように要約されている:「古典的マンニッヒ反応はβ−アミノケトンおよびアミノアルデヒドのエナンチオ選択的合成には適しない。従って、マンニッヒ反応から生じる製薬用生成物の大部分は、ラセミ体の形で用いられる。エナンチオマー的に純粋なマンニッヒ塩基の応用は、これらがラセミ体の分離により得られる場合にのみ可能である。この問題は、立体化学的に純粋な医薬の増大する重要性(「異性体バラスト」および望ましくない副反応の回避)を考慮するとき、いっそう深刻になる。
式(I)の化合物およびそのエナンチオマー
Figure 0004510614
の混合物により記述できるラセミ体β−アミノケトンは、
式中の置換基R1=フェニル、R2=H、R3=フェニル、R4=メチル、およびR5=フェニルであるものがT.Akiyamaら,Synlett 1999,1045-1048に;
1=p−トリル、R2=H、R3=p−メトキシカルボニルフェニル、R4=メチル、およびR5=フェニルであるものがN.Shidaら,Tetrahedron Lett. 1995,36,5023-5026に

1=フェニル、R2=H、R3=p−クロロフェニル、R4=メチル、およびR5=フェ
ニルであるものがCA120:257988に;
1=tert−ブチルまたはフェニル、R2=R3=R4=メチル、およびR5=フェニ
ルであるものがE.G. Nolenら,Tetrahedron Lett. 1991,32,73-74に記載されている。
例えば鎮痛剤トラマドールなどのようなキラル1,3−アミノアルコールは、活性医薬成分として、そしてまた不斉合性のためのキラル助剤としても重要であり、例えばS.Cicchiら(“Synthesis of new enantiopure β-amino alcohols:their use as catalysts in the alkylation of benzaldehyde by diethylzinc”, Tetrahedron:Asymmetry 1997,8,293-301)を文献として付記する。
LiAlH4によるマンニッヒ塩基の限定されたジアステレオ選択的還元は、1985
年ほども早く、J.Barluengaらにより記載された(“Diastereoselective synthesis of
β-amino alcohols with three chiral centers by reduction of β-amino ketones and
derivatives”J. Org. Chem. 1985,50,4052-4056)。
式(II)のキラル1,3−アミノアルコール
Figure 0004510614
すなわち、(SR,RS,SR)配置を有するものは、これまで式(I)のマンニッヒ塩基
から工業的に利用可能なジアステレオ選択率で製造することができなかった。
(R)および(S)の指定は、Cahn、IngoldおよびPrelogの優先順位法則に基づく。この優先順位の決定は、置換基の1個またはそれ以上が変更されたときに逆転することがある。表示(SR,RS,SR)は、この化合物において、外側の二つの立体中心が(S)配置を有する場合には、中央の立体中心(これは置換基としてR4を有する)が(R)配置
を有すること(これは式IIに描いた配置である)、そうでなければ、外側の二つの立体中心が(R)配置を有する場合には、中央の立体中心が(S)配置を有すること(これは式IIに描いた配置の鏡像である)を示す。立体異性体の配置はキラルアニオンY*-(以下参照)の選択に依存する。上記で特定した配置の表示(SR,RS,SR)は、実施例に明記するモデル生成物に関するが、他の化合物または置換基の場合に逆転しうる。式(II)の化合物の立体化学は、構造式(II)によって一義的に報告される。
ラセミ体ブタン−1,4−ジオールから出発してキラル1,3−アミノアルコールを製造するための多段階酵素法は、米国特許US 5,916,786に記載されている。
LiAlH4(水素化リチウムアルミニウム)を用いるか、または白金触媒の存在下の水素によるα−キラルβ−アミノケトンのカルボニル還元は、1,3−アミノアルコール、dia−(II)(そのヒドロキシル配置は、アミノ置換基が第三級である場合には式(II)に対してジアステレオマーである)を生じ
Figure 0004510614
そしてジアステレオマー(II)およびdia−(II)のほぼ等モル混合物は、アミノ置換基が第二級である場合に生じる(M. -J.Brienneら, Bull. Soc. Chim. France 1969,2395;A.Andrisano & L.Angiolini Tetrahedron 1970,26,5247)。
特許出願EP 1117645には、R1=o−アミノフェニル、R2=H、R3=R4=2−ピリジル、およびR5=フェニルまたは3,5−ジメチルイソキサゾール−4−イルであり、古典的光学分割によって予め製造された、式(II)の光学活性1,3−アミノアルコールが記載されている。
本発明は、式(I)の化合物またはそのエナンチオマーを提供する。
Figure 0004510614
この式中、
1
1. 水素、
2. tert−ブチル基、または
3. 炭素環式もしくはヘテロ環式アリール基R6であり、ここで、アリール基R6は5〜14個の炭素原子を有する炭素環式アリール基、もしくは5〜14個の炭素原子を有するヘテロ環式アリール基であり、1〜4個の炭素原子はN、OもしくはSで置き換えられており、
ここで、R6は非置換であるか、または1〜5個の置換基を有し、該置換基はそれぞれ
独立して、(C1−C7)アルキル、(C3−C7)シクロアルキル、アルカノイル(−CO−(C1−C7)アルキル)、アロイル(−CO−(C5−C14)アリール)、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシル、(C1−C7)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルコキシ、(C5−C14)アリールオキシ、(C1−C7)アルカノイルオキシ、(C5−C14)アロイルオキシ、−O−CO−NHR、−O−CO−NRR′、−O−CO−OR、−O−CO−SR、−O−CS−NHR、−O−CS−NRR′、−O−CS−OR、−O−CS−SR、−O−SO2−(C1−C7)アルキル、−O−SO2−(C5−C14)アリール、ニトロ、−NH−CO−R、−NR′−CO−R、−NH−CO−OR、−NR′−CO−OR、−NH−CO−NHR、−NR′−CO−NHR、−NR′−CO−NRR″、ジ(C1−C7)アルキルアミノ、ジ(C5−C14)アリールアミノ、N−(C1−C7)アルキル−N−(C5−C14)アリールアミノ、(C1−C7)アルキルチオ、(C5−C14)アリールチオ、(C1−C7)アルキルスルホニル、(C5−C14)アリールスルホニル、(C5−C14)アリールスルホキシジル、もしくは非置換アリール基R6であり、
ここで、R、R′およびR″はそれぞれ独立して、(C1−C7)アルキル、(C3−C7)シクロアルキルもしくは(C5−C14)アリールであり、
好ましくは、6〜10個の炭素原子を有するアリール基、より好ましくは6〜10個の炭素原子を有する炭素環式アリール基であり、
より好ましくは、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾキノリニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、ベンゾピリダジニル、ベンゾピリミジニル、ベンゾピラジニル(キノキサリニル)、ベンゾトリアジニル、ピリドピリジニル、ピリドキノリニル(フェナントロリニル)、ベンゾキノキサリニル(フェナジニル)、ピロリル、ベンゾピロリル(インドリル)、ベンゾインドリル、ピラゾリル、ベンゾピラゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、トリアゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾリル、イミダゾピリミジニル(9H−プリニル)、フラニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、イソオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、オキサゾリル、ベンズオキサゾリル、オキサジアゾリル、ベンズオキサジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、チアジアゾリルまたはベンゾチアジアゾリルの群からの基であり、
特に好ましくは、基R7であり、ここで、R7はフェニル、ナフチル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニルまたはベンゾキノリニルの群からの基と定義され、ここで、R7は非置換であるか、または5個までの置換基を有し、該置換基はそれぞれ独立して:(C1
−C7)アルキル、(C3−C7)シクロアルキル、フルオロ、クロロ、ブロモ、(C1−C7)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルコキシ、(C5−C14)アリールオキシ、(C1−C7)アルカノイルオキシ、(C5−C14)アロイルオキシ、−O−CO−NHR、−O−CO−NRR′、−O−CO−OR、ニトロ、フェニル、ナフチル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾキノリニルであり、
とりわけ好ましくは、炭素環式またはヘテロ環式アリール基R8であり、ここで、R8はフェニル、ナフチル、ピリジルまたはキノリニルの群からの基と定義され、そしてR8
非置換であるか、または5個までの置換基を有し、該置換基はそれぞれ独立して:ニトロ、フルオロ、クロロまたはブロモであり、
2、R3およびR4はそれぞれ独立して、
1. 水素、
2. (C1−C7)アルキル、
ここで、(C1−C7)アルキルは非置換であるか、もしくはアリール基R6で置換され
ており、
3. (C3−C7)シクロアルキル、または
4. アリール基R6であり、そして
好ましくは、それぞれ独立して、水素またはアリール基R7であり、
より好ましくは、それぞれ独立して、水素またはアリール基R8であり、
5はアリール基R6であり、
好ましくは、アリール基R7であり、
より好ましくは、アリール基R8であり、
ただし、R1=o−アミノフェニルまたはo−ニトロフェニル、R2=H、R3=2−ピリジル、R4=2−ピリジル、そしてR5=フェニルまたは3,5−ジメチルイソキサゾール−4−イルである式(I)の化合物を除くものとする。
上記の式(I)の化合物であるが、ただし、R1=o−アミノフェニルまたはo−ニトロフェニル、R2=H、R3=2−ピリジル(場合によりメチル、フッ素またはMeOで置換された)、R4=2−ピリジル(場合によりOH、CH2OH、MeO、CHOまたはNH2で置換された)、そしてR5=フェニルまたはヘテロアリールであり、ここで、フェニルおよびヘテロアリールは場合によりフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、OH、NO2、(C1−C7)−アルキル、CHO、−(C=O)−(C1−C8)−アルキル、(C1−C6)−アルキルチオまたはピリジルで置換されている式(I)の化合物を除くものが好ましい。
アルキルおよびアルコキシ基は分枝状または非分枝状であってよい。
(C1−C7)アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチルである。
(C3−C7)シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、2−メチルシクロペンチル、3−メチルシクロヘキシルである。
また、本発明は、式(II)の化合物
Figure 0004510614
[式中、R1、R2、R3、R4およびR5基はそれぞれ式(I)の化合物で定義したとおり
である]、またはそのエナンチオマーまたはその塩を提供するが、
ただし、R1=o−アミノフェニルまたはo−ニトロフェニル、R2=H、R3=2−ピリジル、R4=2−ピリジル、そしてR5=フェニルまたは3,5−ジメチルイソキサゾール−4−イルである式(II)の化合物を除くものとする。
上記の式(II)の化合物であるが、ただし、R1=o−アミノフェニルまたはo−ニトロフェニル、R2=H、R3=2−ピリジル(場合によりメチル、フッ素またはMeOで置換された)、R4=2−ピリジル(場合によりOH、CH2OH、MeO、CHOまたはNH2で置換された)、そしてR5=フェニルまたはヘテロアリールであり、ここで、フェニルおよびヘテロアリールは場合によりフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、OH、NO2、(C1−C7)−アルキル、CHO、−(C=O)−(C1−C8)−アルキル、(C1−C6)−アルキルチオまたはピリジルで置換されている式(II)の化合物を除くものが好ましい。
本明細書の本文全体にわたって、与えられた全ての立体化学式は、立体化学式により表される絶対配置またはそのエナンチオマーを指し、ここで、化合物は常に、90%eeまたはそれ以上、好ましくは95%eeまたはそれ以上、より好ましくは98%eeまたはそれ以上のエナンチオマー純度で存在する。これは特に式(I)、(II)および(III)の化合物に適用される。
本明細書の本文全体にわたって、「古典的光学分割」は、ラセミ材料の像および鏡像を、(実質的に)エナンチオマー的に純粋な助剤を用いてジアステレオマー塩を形成することにより分離することであり、該ジアステレオマー塩は、異なる物理的性質、例えば異なる溶解性のために、光学分割の条件下で像から鏡像への(有意な)変換を生じることなく、互いに分離される。エナンチオマー的に純粋な材料の古典的光学分割により最高達成可能な収率は、50%である。それは、像および鏡像が光学分割の条件下で相互変換し、従ってエナンチオマー的に純粋な材料の100%までの収率が達成できるようにする「動的光学開裂」とは根本的に異なる。動的光学開裂は、原則として動力学的に制御できるか、または熱力学的に制御できる。熱力学的に制御される動的光学開裂の範囲内の反応の一群は、結晶化で誘発される動的光学開裂である。本発明で説明される例は、この反応群に属する。
驚くべきことに、そのカチオンが極めて高いエナンチオマー過剰および極めて高いジアステレオマー純度(シン/アンチ比)を有する、式(III)の化合物またはそのジアステ
レオマー(IIIA)、
Figure 0004510614
式(I)のβ−アミノケトンの塩は、動的光学分割に基づく直接四成分カップリングにより簡単な手段で高収率で製造できることを見出した。
(IIIA)のカチオンは、カチオン(III)のエナンチオマーである。しかしながら、アニオンY*-はホモキラルなので、化合物(IIIA)は化合物(III)に対してジアステレオマーである。
従って、本発明はまた、式(III)の化合物またはそのジアステレオマー(IIIA)
Figure 0004510614
[式中、R1、R2、R3、R4およびR5基はそれぞれ式(I)の化合物で定義したとおり
であり、
*-アニオンは光学活性有機ブレンステッド酸(プロトン酸)の共役塩基であり、
好ましくは、天然に存在するか、または工業的に製造された光学活性カルボン酸、例えば、(R)−(−)−マンデル酸、(S)−(+)−マンデル酸、(D)−(−)−酒石酸、(L)−(+)−酒石酸、(+)−ジ−O,O′−ピバロイル−(D)−酒石酸[(+)−DPTA]、(−)−ジ−O,O′−ピバロイル−(L)−酒石酸[(−)−DPTA]、(+)−O,O′−ジベンゾイル−(D)−酒石酸、(−)−O,O′−ジベンゾイル−(L)−酒石酸、(−)−ジ−O,O′−ベンゾイル−(L)−酒石酸モノ(ジメチルアミド)、(+)−O,O′−ジアニソイル−(D)−酒石酸[(+)−DATA]、(−)−O,O′−ジアニソイル−(L)−酒石酸[(−)−DATA]、(+)−ジ−O,O′−p−トリル−(D)−酒石酸、(−)−ジ−O,O′−p−トリル−(L)−酒石酸、D−(+)−リンゴ酸、L−(−)−リンゴ酸、L−(+)−乳酸、D−(−)−乳酸、(S)−(−)−2−(フェニルアミノカルボニルオキシ)プロピオン酸、(R)−(+)−2−(フェニルアミノカルボニルオキシ)プロピオン酸、D−(+)−グルコン酸、(−)−2,3,4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸、(D)−(−)−キニン酸、(−)−3,4,5−トリヒドロキシ−1−シクロヘキセン−1−カルボン酸[シキミ酸]、(S)−(+)−(2,2−ジメチル−5−オキソジオキソラン−4−イル)酢酸、(+)−ショウノウ酸、(−)−ショウノウ酸、(1R)−(+)−カンファン酸、(1S)−(−)−カンファン酸、(R)−(−)−O−アセチルマンデル酸、(S)−(+)−O−アセチルマンデル酸、(R)−2−フェノキシプロピオン酸、(S)−2−フェノキシプロピオン酸、(S)−(+)−α−メトキシフェニル酢酸、(R)−(−)−α−メトキシフェニル酢酸、(R)−(+)−α−メトキシ−α−トリフルオロメチルフェニル酢酸、(S)−(−)−α−メトキシ−α−トリフルオロメチルフェニル酢酸、(S)−(+)−2−フェニルプロピオン酸、(R)−(−)−2−フェニルプロピオン酸、(R)−(+)−2−クロロプロピオン酸、(S)−(−)−2−クロロプロピオン酸、(R)−(+)−N−(α−メチルベンジル)フタル酸モノアミド、(S)−(−)−N−(α−メチルベンジル)フタル酸モノアミド、(R)−(−)−5−オキソテトラヒドロフラン−2−カルボン酸、(S)−(+)−5−オキソテトラヒドロフラン−2−カルボン酸、D−(+)−3−フェニル乳酸、L−(−)−3−フェニル乳酸、(L)−(+)−α−ヒドロキシイソ吉草酸、(D)−(−)−α−ヒドロキシイソ吉草酸、(+)−メンチルオキシ酢酸、(−)−メンチルオキシ酢酸、フタル酸(+)−モノ−(1S)−メンチル、フタル酸(−)−モノ−(1R)−メンチル、(+)−トランス−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、(−)−トランス−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、(R)−(+)−メチルコハク酸、(S)−(−)−メチルコハク酸、(R)−(+)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸[(R)−(+)−Trolox(R)]、(S)−(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸[(S)−(−)−Trolox(R)]、(S)−(+)−2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸[(S)−イブプロフェン]、(R)−(−)−2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸[(R)−イブプロフェン]、(+)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸[(+)−ナプロキセン]、(−)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸[(−)−ナプロキセン]、そしてまた、利用可能な天然もしくは非天然α−もしくはβ−アミノ酸、およびそれらの容易に得られる誘導体、特にN−アシル化誘導体、
または、光学活性スルホン酸、例えば(1S)−(+)−カンファー−10−スルホン酸、(1R)−(−)−カンファー−10−スルホン酸、(−)−3−ブロモカンファー−8−スルホン酸もしくは(+)−3−ブロモカンファー−8−スルホン酸、
または、光学活性のリン酸、ホスフィン酸もしくはホスホン酸誘導体、例えば(R)−(−)−1,1′−ビナフタレン−2,2′−ジイルリン酸水素、(S)−(+)−1,1
′−ビナフタレン−2,2′−ジイルリン酸水素、(+)−ホスフィノトリシンもしくは
(−)−ホスフィノトリシン、
または、光学活性フェノール、好ましくは(R)−(+)−または(S)−(−)−ビナフトール
の群からのものである]の製造方法を提供し、
該方法は、
式(IV)、(V)、(VI)および(VII)の化合物
Figure 0004510614
[式(IV)、(V)、(VI)および(VII)の化合物のR1、R2、R3、R4およびR5基は式(II)の化合物で定義したとおりである]を、1種またはそれ以上の好適な溶剤中で、または溶剤を用いることなく、式(III)の化合物に変換することを含み、
該変換は、式(IV)、(V)、(VI)および(VII)を直接マンニッヒ反応で同時に反
応させること、
または、最初に式(IV)および(V)の化合物を反応させて、式(X)のイミンもしくは式(XI)のアミナール(これらは場合により単離することができる)を与え
Figure 0004510614
次いで、式(X)もしくは(XI)の化合物を式(VI)および(VII)の化合物との付加により式(III)の化合物に変換すること、の何れかによって行われる。
式(III)の化合物を与える上記の反応は、以下、方法段階1と呼ばれる。
好ましい実施形態において、式(IV)、(V)、(VI)および(VII)の四つの成分、ならびに好適な溶剤を反応器に導入し、攪拌する。添加の順序は決定的でない。大規模の場合は、(IV)〜(VII)が固体である場合には特に、これらの反応体を先ず反応器に装
入し、次いで必要に応じて冷却しながら、溶剤に供給することが最も実用的である。次いで反応混合物を所望の反応温度に加熱する。通常の実施形態において、最初に溶液が存在する。しかしながら、四つの成分の一つまたはそれ以上が僅かに溶解する場合には特に、この方法段階を、僅かに溶解する反応体が反応の進行につれてのみ溶液に移行するように行うこともできる。一定の時間後に始まる塩(III)および(IIIA)の結晶化のため、後者の場合は、反応経過の全体にわたって存在する懸濁液を生じることがある。
反応体(IV)〜(VII)の溶液が最初は透明であり、塩(III)/(IIIA)が結晶化した直後にサンプルを採取し、このサンプルを濾過した場合、分析は、沈殿には、ジアステレオマー塩(IIIA)に対して僅かないし中程度ではあるが有意に過剰の塩(III)が存在することを示す。これに対し、塩(III)および(IIIA)は濾液中に1:1の比で存在する。反応がさらに経過するうちに、沈殿の量は連続的に増加し、かつ(III):(IIIA)の比は連続的に上昇するが、濾液中では1:1のままである。最後に、反応は、沈殿の量
または(III):(IIIA)の比の何れもさらに上昇しない定常状態に変わる。沈殿の量は一般的に理論値の85〜95%、そして(III)/(IIIA)沈殿中のマンニッヒ塩基のエナンチオマー過剰は90〜99%eeであった。
(III)および(IIIA)の逆マンニッヒ傾向のため、エナンチオマー比を直接のHPLCまたはDCにより測定することは不可能である。NMRによる測定は原則として可能であるが、シグナルの重複のため、あまりにも不正確である。最良の測定方法は、サンプルを光学的に純粋な(+)−または(−)−カンファン酸クロリド(VIIIA)またはアキラルピバロイルクロリド(VIIIB)でHPLCにより誘導体化することである:
Figure 0004510614
N−アシル化誘導体(IX)および(IXA)は安定であり、もはや逆マンニッヒ反応を行うことができない。(−)−カンファン酸クロリドの使用は、誘導体(IX)および(IXA)がジアステレオマーであり、従ってアキラル定常相を有する従来のHPLCカラム上で分離できるという利点を有する。しかしながら、この方法は、(III)および(IIIA)とこの酸クロリドとの反応速度が同一でないので、立体異性体の比の(通常は小さい)偏り(望ましくない動力学的光学分割)が誘導体化中に起こりうるという欠点を有する。(III)および(IIIA)はアキラルピバロイルクロリド(VIIIB)と同一速度で反応するはずなので、この場合はジアステレオマー比を除外することができる。しかしながら、この場合の誘導体化生成物(IX)および(IXA)はエナンチオマーであるので、キラル定常相を有するHPLCカラムはそれらの分離を必要とする。多数のサンプルの分析は、(−)−カンファノイルクロリドを用いて測定したエナンチオマー過剰は歪められ、ピバロイルクロリドを用いた信頼度がより良い測定法と比較して、4%未満だけ悪いee値を与えることを示す。
四成分カップリング反応の沈殿中の生成物(III)の割合が(IIIA)を消費して経時的に増加する一例として、R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、そしてR5=フェニル、そしてHY*=(+)−ジ−O,O′−ピバロイル
−D−酒石酸、そして溶剤=エタノール、そして反応温度=20〜25℃である反応を調べた。
Figure 0004510614
Figure 0004510614
沈殿(XII)/(XIIA)には、各(+)−DPTAアニオンにつき二つのカチオンが存在する。この実験において、丸底フラスコ中でテフロン被覆磁気攪拌棒を用いて反応混合物を攪拌した。21時間後に採取した最初のサンプルは、(III)および(IIIA)を62.7:37.3の比で含んでいた。322時間後、この比は97.7:2.3であった。これは、95.4%eeの基礎にある遊離塩基のエナンチオマー過剰に相当する。反応温度が高いほど、四成分カップリンクの沈殿中の(XII)/(XIIA)比の上昇はより速く、このことは、溶剤およびキラルブレンステッド酸(VII)の性質に対する明確な依存性をも示す。
最適な結果のために、本発明に係る方法段階1を、反応懸濁液中の固体粒子の特に効率的な混合および微粉砕を保障する攪拌器を用いて行うことが好ましい。
方法段階1は、有機溶剤および/または可溶化剤を添加するか添加することなく、水中で行うことができ、また、反応体(IV)〜(VII)の一つまたはそれ以上が反応温度で液体である場合には、溶剤を存在させずに(「ニート」)行うこともできる。
好適な溶剤は、場合により溶解性促進添加物、例えば相間移動触媒を含有する、水または有機溶剤、または水と有機溶剤との混合物であり、ここで、有機溶剤は100%純粋な品質または工業的品質で存在することができ、例えば、分枝状もしくは非分枝状のC1−C8−アルコール、好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールもしくはn−ブタノール、またはケトン性溶剤、好ましくはアセトンもしくはメチルエチルケトン(MEK)、またはエステル、好ましくは酢酸エチルもしくは酢酸n−ブチル、またはエーテル、好ましくはテトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタンもしくはジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、または脂肪族もしくは芳香族の炭化水素、好ましくはトルエン、または超臨界媒質、好ましくは超臨界二酸化炭素、またはハロゲン化炭化水素、好ましくはジクロロメタン、または極性非プロトン性溶剤、好ましくはDMF、DMSOもしくはNMPであり、
そして、反応混合物中に存在する水を、場合により、例えば共沸蒸留によるか、または水結合添加物、例えば硫酸マグネシウムもしくは活性化モレキュラーシーブの添加により除去する。
反応は、−15℃〜+140℃、好ましくは+10℃〜+100℃、より好ましくは+30℃〜+70℃で行われる。
方法段階1は、大気圧、減圧(上記参照、例えば共沸混合物を蒸留除去する目的)または加圧下に、反応促進を目的とした後者は不活性ガス雰囲気中または空気中で行うことができる。
本発明に係る方法段階1は、それぞれの場合に反応体(VI)に基づいて、0.80〜2.00モル当量の反応体(IV)および(V)、そしてまた、0.80〜4.00モル当量の反応体(VII)を用いて行われる。本発明に係る方法を、それぞれの場合に1.00モル当量の反応体(VI)に基づいて、0.95〜1.30モル当量の反応体(IV)および(V)、そしてまた、1.00〜2.00モル当量の反応体(VII)を用いて行うことが好ましい。本発明に係る方法を、それぞれの場合に1.00モル当量の反応体(VI)に基づいて、1.00〜1.25モル当量の反応体(IV)および(V)、そしてまた、1.05〜1.50モル当量の反応体(VII)を用いて行うことが特に好ましい。
表2は、キラル酸(VII)として(+)−ジピバロイル−D−酒石酸[(+)−DPTA]を用い、そしてモーター駆動機械的攪拌器(0.5モル以下の場合はテフロンパドルを有する精密ガラス攪拌器の使用;0.5モルを超える場合はスチールタービン攪拌器の使用)を装備した典型的な実験室用ガラス反応容器(0.5モル以下の場合は多頚丸底フラスコ、0.5モルを超える場合はジャケット付き丸底反応器)を用いて、式(III)の化合物を与える四成分カップリングの結果を示す。
Figure 0004510614
Figure 0004510614
Figure 0004510614
上記の反応に相当する四成分カップリングを、S−(+)−マンデル酸を用いて行い、式(III)の化合物を与えた。
Figure 0004510614
表3は、R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、そしてR5=フェニルであり、そしてブレンステッド酸(VII)としてS−(+)−マンデル酸を用いた場合の、四成分カップリングの結果を示す:
Figure 0004510614
Figure 0004510614
Figure 0004510614
Figure 0004510614
(+)−DPTA、S−(+)−マンデル酸および(−)−リンゴ酸を用いた四成分カップリングを、Argonaut Surveyor Reaction Screening Systemと平行して操作した10の反応器中で、表4および5にまとめた反応条件により、異なる溶剤中で行った。これらの反応器中で、混合はピストン駆動磁気攪拌により行われる。混合は、磁気攪拌棒または精密ガラスパドル攪拌器の混合よりも明らかに効率的であり、そしてタービン攪拌器の混合よりも少し効率が良い。
表4は、(+)−DPTA、S−(+)−マンデル酸または(−)−リンゴ酸を用いた四成分カップリングの結果を示す:
Figure 0004510614
Figure 0004510614
表5は、Surveyor Screening Systemにおいて、種々の溶剤中でS−(+)−マンデル酸を用いた四成分カップリングの結果を示す:
Figure 0004510614
Figure 0004510614
表において別に述べない限り、懸濁液を室温に冷却した後、濾過し、固体を少量の冷溶剤で洗浄することにより、生成物(III)を単離した。
60℃のメタノール中では、組み合わせた四成分カップリング/動的光学分割は、極めて迅速に進行した。僅か1時間後に、沈殿(III)/(IIIA)の基礎となる遊離マンニッヒ塩基(I)は、92.6%eeのエナンチオマー過剰に達し(表3、第2行)、そして最長3時間後に、反応は97.3%eeのエナンチオマー過剰で完了した(表3、第1行
)。より効率の良い混合のため、Surveyor Screening Systemにおいて98.6%eeまでのエナンチオマー過剰が得られた(表5)。
メタノール中に(III)が室温で少なからず溶解するため、収率は、エタノール中での収率よりも少なくとも10%低かった。30℃でさえも、メタノール中での反応は、15時間以内に完了した(表4)。エタノール中では、40℃での反応は44〜53時間を必要とした(表3、第4および5行)。収率(理論値の約95.3%まで)およびエナンチオマー過剰(約95%ee)は高かった。60℃では、エタノール中での反応は、2当量のマンデル酸を用いた場合に、僅かに約4時間後に完了した。収率(理論値の約92.6%まで)およびエナンチオマー過剰(97.5%eeまで)は高いままであった(表3、第6〜8行)。反応を極めて高い濃度で行った場合、反応速度は幾分低下したが、収率およびeeはわずかに低下した(表3、第9行)。1.5当量のマンデル酸を用いると、60℃でエタノール中の反応には約7時間が必要であり、僅かに低い収率およびee値となった(表3、第10〜11行)。1.10当量のマンデル酸(表3、第12〜14行)を用いた場合、および1.05当量のみのマンデル酸(表3、第15〜16行)を用いた場合、エタノール中60℃で得られるeeは、懸濁液を室温に冷却すると(生成物を吸引濾別する前)、明らかに悪化するという現象が再び観察された。一夜放置は、8%のee低下を生じることがある(第16行)。しかしながら、懸濁液の冷却および(III)の吸引濾別を迅速に行った場合、1.05当量のみのマンデル酸を用いた場合でさえも、88%の収率および95.4%のeeが得られた(第15行)。2.0当量のマンデル酸を用いた場合、冷却時のこのようなee低下は起きなかった。反応した反応懸濁液(60℃、エタノール)のアリコートを抜き取り、室温で72時間攪拌した。エナンチオマー過剰およびシン/アンチ比は、その後に変化しなかった。
比較的長鎖の分枝状または非分枝状アルコール、例えばイソプロパノール(表3、第17行;表5)、またはn−ブタノール(表3、第18および19行;表4および表5)中でも、反応を同様に首尾よく行うことができる。ケトン溶剤、例えばアセトン(表3、第20および21行;表5)またはメチルエチルケトン(MEK、表5)、エステル、例えば酢酸エチルまたは酢酸n−ブチル(表3、第22および23行;表5)、およびハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン中でも成功した。
反応は、原則として、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタンまたはジエチレングリコ
ールジメチルエーテル(ジグライム)、炭化水素、例えばトルエン、そしてまた、超臨界媒質、例えば超臨界二酸化炭素の中で行うことができる。溶解性促進剤、例えば相間移動触媒または補助溶剤の使用が有利でありうる。反応は、極性非プロトン性溶剤、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはN−メチルピロリジノン(NMP)の中で行うことができる。これらの溶剤中で単離された収率は、該溶剤中の(III)の溶解性が高すぎない場合には、競
合的である。
反応は水分の含有量に耐える。表3の第4行と、第5行および表5の第1〜3行との比較は、無水エタノールが工業用またはMEK−またはトルエン変性エタノールに対して利点を与えないことを示す。若干の例において、水と低沸点共沸混合物を形成する溶剤(例えばエタノール)を用いた場合、マンニッヒ反応で生成する反応水を大気圧または減圧で連続的に共沸蒸留除去すると、有意ないし中程度の反応促進に導くことが観察された。これを空間時間収率の最適化に利用でき、そして比較的短時間の熱応力のため、場合によっては生成物の化学純度および単離収率を改善するために該蒸留を用いることができる。
また、同様の結果は、水結合添加物、例えば乾燥硫酸マグネシウム又は活性化モレキュラーシーブによって得ることができる。しかしながら、水の排除および/または生成する反応水の除去は、四成分マンニッヒカップリングの実際上定量的な進行または動的光学分割の進行に何れにとっても必要でない。表1〜5は、必要な反応時間が許容される場合には、未乾燥装置または未乾燥溶剤を用いる場合でも、生成物(III)を極めて高い収率、
化学純度および高いエナンチオマー過剰で得ることができることを確認する。
表2〜5によれば、反応体(IV)〜(VI)の相対モル量は、得られる生成物(III)の収率、化学純度またはエナンチオマー過剰に悪影響を与えることなく、かなりの間隔以内で変えることができる。各場合の基礎として、1.00当量のCH−酸性成分(VI)を用いて、特定の例で使用した残りの反応体の量(表1〜5)を次の間隔以内で変化させた:アルデヒド(IV):1.00〜1.20当量;アミン(V):1.05〜1.25当量;キラル酸(VII):1.05〜2.00当量。
方法段階1における動的光学分割の効率にとって最も重要な因子は、式(VII)のキラル酸HY*を良く選択することである。立体化学の全分野において、本来最適なキラル助剤または本来最適なキラル配位子は存在せず、それどころか一つも存在しえないというコンセンサスが現在ある。反応の不斉の程度は、むしろ特定の反応体/助剤および生成物/助剤の相互作用(「キラル認識」)に依存する。従って、どのキラル酸(VII)が本発明に係る範囲内で最適な結果を導くかは、置換基R1〜R5の特定の性質に依存し、そして反応体(IV)〜(VI)の各組み合わせについてそれぞれの場合に独立して、一般的に実験的に測定しなければならない。これは下記の手段で達成することができる:
a)ラセミ体遊離マンニッヒ塩基rac.−(I)を製造する。これは、特に次の二つの代替経路の一つにより簡単に行うことができる:
a1)マンニッヒ塩基rac.−(I)が中程度のみの溶解性を有する溶剤中で、反応体(IV)、(V)および(VI)を触媒量だけのアキラル酸と共に用いる以外は、方法段階1と同様に四成分マンニッヒカップリングを行う。多くの場合、溶剤エタノール中の約1モル%のp−トルエンスルホン酸水和物の使用が有用であることが分かった。次いで、遊離マンニッヒ塩基rac.−(I)は時には極めて高い収率で反応混合物から結晶化し、濾過により単離することができる。相当する操作法を実施例3に記載する。
a2)方法段階1に適する上記の溶剤の一つの中で、理論量または理論量を超えるアキラル酸を用いて反応体(IV)、(V)および(VI)の反応を行う以外は、方法段階1と同様に四成分マンニッヒカップリングを行う。この場合、式(III)と類似の塩が得られ、この塩ではカチオンがラセミであり、かつアニオンY-がアキラルである。この塩rac.−(III)を方法段階2と同様にして遊離ラセミ体マンニッヒ塩基rac.−(I)に変換する。
b)rac.−(I)が平均ないし中程度の溶解性(好ましくは約1〜5質量%の溶解性)を有し、その逆マンニッヒ反応ができる限り遅く進行する溶剤を見出す。この溶剤を選択するために、種々の物理的および化学的代替方法を利用できる:
b1)rac.−(I)を適切な予備ジュウテリウム化溶剤に溶解し、これらの溶液を1Hまたは13C NMRにより短い時間間隔で繰り返し分析することによって、各場合の逆マンニッヒ速度を監視する;
b2)rac.−(I)を溶剤に溶解し、逆マンニッヒ反応をReactIRプローブによるか、または従来の2ビームIR装置のキューブ中で溶液を規則的時間間隔で分析することによって、リアルタイムで監視し、後者では各場合に、純溶剤を満たした同一キューブを参照ビーム中で用いる。
b3)rac.−(I)を、酸クロリドを用いるアミド化反応と適合する非プロトン性溶剤に溶解または懸濁する。それらを調製した直後に、溶液または懸濁液をピバロイルクロリド(VIIIB)と反応させて、ラセミ体ピバロイル誘導体(IX)/(IXA)を与える。特定溶剤中での逆マンニッヒ反応が遅いほど、アミド(IX)/(IXA)の達成される収率および純度は高い。相当する操作法を実施例4に記載する。
これまで調査した例において、構造類似のマンニッヒ塩基とブレンステッド酸(式III)との塩が同一条件(同じ溶剤、同じ温度、同じブレンステッド酸)において逆マンニッヒ反応する傾向は、式(IV)のアルデヒド化合物の電子供与置換基により援助されることを見出した。式(IV)のアルデヒド成分の電子引き抜き置換基は逆マンニッヒ反応傾向を減少させた。DMSO−d6溶液中300Kでの逆マンニッヒ反応による式(III)のシン−マンニッヒ塩のシン/アンチ−異性化に関する1H NMR監視は、実施例28で理解することができる。実施例27から分かるように、四成分カップリングの反応パラメーターを良く選択した結果、アルデヒド成分が電子供与置換基を有し、逆マンニッヒ傾向が高い場合でさえも、優れた収率のマンニッヒ塩を、基礎となるマンニッヒ塩基の極めて高いジアステレオマーおよびエナンチオマー純度で生じる。
上記の例において、遊離マンニッヒ塩基rac.−(I)の逆マンニッヒ反応は、アセ
トン中では多くの場合に極めて遅く進行することを見出した。
c)全ての入手可能な光学活性ブレンステッド酸HY*(VII)の古典的光学活性分割の効率に関するスクリーニングを、b)により得られた溶剤中のrac.−(I)の溶液または懸濁液について行う。この目的で、置換基R1〜R5が塩基性中心を有しない場合には、新たに製造したrac.−(I)の懸濁液を、(VII)が一塩基性酸であるならば1.0モル当量の酸(VII)と、または(VII)が二塩基性酸であるならば0.5モル当量の酸(VII)と反応させる。置換基R1〜R5が塩基性中心を有する場合には、対応してより多量のモル当量の酸(VII)を加える。この混合物を室温で約20時間攪拌し、沈殿した塩(III)を濾過により単離し、そして基礎となる遊離塩基(I)に存在するエナンチオマー比を、(IX)/(IXA)への誘導体化、次いでHPLC分析により測定する(上記参照)。選択されたキラルブレンステッド酸(VII)は、スクリーニングで最高の(IX):(IXA)比、好ましくは(IX):(IXA)≧95:≦5を与えるものである。このようなスクリーニングの代表的な実験操作法を実施例6に記載する。
d)さらなる選択は、c)により選択した光学活性ブレンステッド酸(VII)の間で、特に好ましい酸(VII)に対する下記の基準を極めて実質的に満たすために行うことがで
きる:
− Y*-は反応条件下で安定な配置を有する;
− それは、その二つのジアステレオマー塩(III)と(IIIA)との間の溶解性の最大の差に導く;
− それは、所望の式(III)のジアステレオマーの極めて低い溶解、および所望しな
い式(III)のジアステレオマーの極めて高い溶解を果たす;
− 式(III)の塩のラセミ体(塩(III)およびその鏡像体の1:1混合物)は、団塊として結晶化する。団塊は、二つの鏡像結晶構造の混合物からなり、その一方の結晶構造は光学活性塩(III)の結晶構造に対応する。この団塊において、エナンチオマー分子だけでなく、超分子構成物としての二つの結晶構造も、相互の鏡像体である。団塊中の二つの結晶構造は、分子のキラリティーだけが異なるのではない。二つの結晶構造における結晶パッキング、すなわち三次元の周期的な配置/積重なりも、鏡像体である;
− それは、(III)および(IIIA)に導く四成分マンニッヒ反応を触媒する;
− それは、より溶解性のジアステレオマー塩(IIIA)の逆マンニッヒ反応を触媒し、すなわち、塩(IIIA)が、エノール化性ケトン(VI)およびイミニウム塩R1CH=N+23*-またはその解離生成物、アルデヒド(IV)、およびアミン(V)とHY*との塩に開裂するのを触媒する。
式(I)のマンニッヒ塩基が団塊として結晶化する場合、本発明はまた、三成分カップリングおよび動的光学分割をキラル助剤酸HY*を存在させずに行いうる特定の実施形態を包含する。この実施形態において、場合により触媒量(約1〜10モル%)のアキラル酸、例えばp−トルエンスルホン酸が存在する三つの成分(IV)、(V)および(VI)の溶液に、光学的に純粋な遊離マンニッヒ塩基の結晶を播種する。団塊効果(優先的結晶化)のため、遊離マンニッヒ塩基のこの対掌体だけが反応溶液から結晶化することができ、そして溶液中に残った鏡像体から連続的に形成される。この連続的形成が所望の対掌体の結晶化速度に比べて速い場合には、反応の経過中に、不適当な対掌体も結晶化し始めるその境界濃度に達することがない。この理由で、反応の終了時の沈殿は、もっぱら所望の対掌体からなり、そして化学収率が100%に近づくことができる。キラル助剤を必要としない第二の種類のこの不斉変換は、「全自然分割(total spontaneous resolution)」という用語で呼ばれる(E.H. Eliel,S.H. Wilen “Stereochemistry of Organic Compounds”,John Wiley,New York,1994,page 316;Y.Okadaら,J.Chem. Soc.,Chem. Commun. 1983,784-785)。
本発明に係る方法段階1のもう一つの変形において、反応体(IV)および(V)から最初にイミン(X)を形成し、その後でだけCH−酸性ケトン(VI)を加えると、これは、好適な光学活性酸(VII)の存在下に動的光学分割によりマンニッヒ塩(III)に導く。アキラルであってもよい酸、例えば約1モル%のp−トルエンスルホン酸水和物で触媒される公知の手段により、アルデヒド(IV)およびアミン(V)からイミン(X)を形成し、そしてイミンを単離することも可能である。このような操作法を実施例9に記載する。次いで、イミン(X)を後からケトン(VI)および光学活性酸(VII)と反応させて、マン
ニッヒ塩(III)を与える。
間接マンニッヒ反応の若干の欠点は、上記の好適な溶剤の一つ、より好ましくは酢酸n−ブチル中でアルデヒド(IV)および少なくとも等モル量のアミン(V)を加熱することにより最初にイミン(X)の溶液を形成し、そして生成した反応水を好ましくは減圧で共沸蒸留除去することによって回避される。この反応段階を、水分離器の機能、すなわち、共沸蒸気の凝縮および後続の相分離の後に、より低い比重を有する有機溶剤は自動的に反応器に流れ戻る一方、水は分離器中に保持されるという機能を有する装置/反応器中で行
うことが特に好ましい。理論量の水が分離されたとき、0.80〜2.00当量のCH−酸性ケトン(VI)および0.80〜4.00当量のキラル酸(VII)(各場合にアルデヒド(IV)に基づく)、好ましくは0.95〜1.30当量の(VI)および1.00〜2.00当量の(VII)、より好ましくは1.00〜1.25当量の(VI)および1.05〜1.25当量の(VII)を反応溶液に加え、これを場合により、動的光学分割が進行するために短時間後に出現する沈殿(III)/(IIIA)中のエナンチオマー純度が最高に達するまで、加熱する。
表3(No.22、23)から分かるように、R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル、HY*=(S)−(+)−マンデル酸、そして溶剤が酢酸n−ブチルであった場合、60℃での標準四成分カップリングは、理論値の84.6%の単離収率および95.1%eeでマンニッヒ塩IIIを生じた。これに対し、イミン(X)の酢酸n−ブチル溶液を上記の手段で最初に形成した場合には、(VI)および(VII)の付加反応直後に60℃への加熱を行ったところ、理論値の93.1%の収率および96.7%eeでマンニッヒ塩(III)が得られた。(VI)および(VII)の付加反応後に先ず40℃(沈殿が始まる)にだけ加熱を行い、そして温度を4時間後にだけ60℃に高めたところ、理論値の93.4%の特に高い収率および98%eeが達成された。これに対し、標準四成分カップリングは、平行したイミン(X)の形成および反応を生じた。この例において、Mettler反応熱量計RC1でReactIRプローブにより反応の進行をリアルタイムで監視して調査したところ、四成分カップリングの何れの相にも、反応混合物中にイミン(X)の理論量の40%を超える蓄積がなかったことを示した。さらに、該反応混合物では、有意量のイミン(X)に対する熱応力の持続時間は実質的により短い。
本発明に係る反応段階1のもう一つの変形において、式(XI)のアミナールを最初に形成し(実施例10)、次いで、単離直後または元の反応溶液中の何れかで、場合によりさらに追加当量のアルデヒド(IV)を加えて、ケトン(VI)および酸(VII)と反応させて、マンニッヒ塩(III)を与えることもできる。この変形操作法においても、(III)は、四成分カップリングの光学収率に近い光学収率で単離される(表2〜5)。
ここで述べた本発明に係る反応段階1の変形操作法の全てにおいて、マンニッヒ塩(III)の高い光学活性は、動的光学分割が起こることに基づく。従って、本発明に係る反応段階は、B.List(J. Am. Chem. Soc. 2000,122,9336-9337)に記載された四成分マンニッヒ反応とは根本的に異なる。後者は、触媒的不斉マンニッヒ反応に関し、すなわち、CH−酸性ケトン(VI)と触媒(L)−プロリンとの縮合反応から生成するエナミンが、遊離マンニッヒ塩基(I)を直接形成する場合のアルデヒド(IV)とアミン(V)との縮合反応から生成するイミン(X)に付加反応する段階は不斉反応である。この理由で、List反応では僅かに約35モル%の(L)−プロリンが用いられるに過ぎない。溶液中に存在する反応生成物は既に光学活性であり、そして現在の理解レベルによれば、生成物の光学純度は反応の進行中に基本的に変化しない。これに対し、本発明に係る反応段階1は、「触媒」量のキラル酸(VII)を用いて行われることはない:0.8モル当量未満の一塩基性酸(VII)または0.4モル当量未満の二塩基性酸(VII)を用いると、マンニッヒ塩(III)の単離収率は不可避的に理論値の70%未満に低下し、従ってもはや工業的に許容できない。反応混合物中でその場で形成されたキラル(VII)のイミン(X)にケトン(VI)が付加する反応は、有意に不斉には誘発されないので、溶液中のマンニッヒ塩(III):(IIIA)比は約1:1である。結晶化したマンニッヒ塩(III)中の光学純度も、反応の経過全体にわたり連続的に上昇する。
本発明に係る反応段階1のキラル酸(VII)は、簡単な手段および不変の光学純度で実
際上定量的に得ることができ、そして次のバッチに再使用することができる。反応段階1
を反復バッチ式で実施する際にキラル助剤(VII)を多数回再使用することは、総量(VII)の実質的に0.35モル%未満でマンニッヒ塩を製造できることを意味する。B.List(J. Am. Chem. Soc. 2000,122,9336-9337)は、反応がプロリンを用いる場合にだけ成功し、そしてプロリンの極めて関連した類似体を用いる場合でさえ失敗に終わると報告している。
これに対し、その機構が異なるため、本発明に係る反応段階1は、極めて種々の、時には構造が極めて異なる酸(VII)を用いて成功する。例えば、表2〜5は、(S)−(+
)−マンデル酸、(+)−ピバロイル酒石酸または(L)−(−)−リンゴ酸を用いて同じマンニッヒ塩基を高い光学純度で製造できたことを示す。(S)−(+)−マンデル酸および(L)−(−)−リンゴ酸は(L)−プロリンと比較しうる価格を有するが、エナンチオマー(R)−(−)−マンデル酸および(D)−(+)−リンゴ酸は(D)−プロリンの価格よりも実質的に安い価格を有することも、工業的に興味深い。List反応に対する本発明の反応段階1の有意な利点は、極めて多種多様の使用可能な溶剤、光学活性マンニッヒ塩(III)の仕上げ処理(workup)することのない(簡単な濾過による)単離
、および高い単離化学収率(理論値の85〜95%)である。これらの特性は全て、表2〜5の例により確認される。
Figure 0004510614
1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、そしてR5=フェニルである式(III)の化合物を与えるための、キラル情報の伝達体としてL−プロリンを用いた、不斉マンニッヒ反応の実験を、493mg(1.00当量)の式(XV
)のケトン、294mg(1.25当量)の2−アミノピリジン(XIV)および453mg(1.20当量)の2−ニトロベンズアルデヒド(XIII)を、Surveyor Reaction Screening Systemの8台のガラス反応器のそれぞれに秤量して入れることによって行った。また、101mg(0.35当量)のL−プロリンを反応器1〜5および7のそれぞれに、そして576mg(2.00当量)のL−プロリンを反応器6および8のそれぞれに秤量して入れた。次いで各場合に、10mlの表で特定した溶剤を加えた。反応器1〜6を室温(22℃)で、また反応器7〜8を40℃の内部温度で攪拌した。特定した反応時間の後、抜き取ったサンプルをカンファモイルクロリド(VIIIA)で誘導体化し、生成した異性体アミド(XVII)、(XVIIA)、すなわち(XVII)のアンチ−異性体および(XVIIA)のアンチ−異性体をHPLCにより定量した。
表6は、L−プロリンを用いて試みた不斉マンニッヒ反応の結果を示す。
Figure 0004510614
J. Am. Chem. Soc. 2000,122,9336-9337に明示的に記載された条件、およびこれらの条件と密接に関連する条件では、調製用に使用可能な結果は得られない。好ましい条件(室温でアセトンまたはDMSO溶剤中の35モル%の(L)−プロリン)において、マンニッヒ塩基またはそのエナンチオマーの何れも、19時間〜131時間の反応時間後に有意な量で形成されなかった(表6、No.1および3)。Listにより特定されていないメタノールおよびエタノール溶剤中では、室温で35モル%の(L)−プロリンの使用は、19時間以内に実際上ラセミ体のマンニッヒ塩基の形成に導いた(表6、No.2および5)。反応混合物を155時間にわたって連続攪拌した場合にだけ、形成されたマンニッヒ塩基は、低いが有意なエナンチオマー過剰(約12%ee)を達成し、初めに存在した少量のトランス−異性体が同時に消失する(表6、No.2および5)。反応温度の上昇(エタノール、40℃)は、131時間後に達成されるマンニッヒ塩基のエナンチオマー過剰を上昇させない(表6、No.7)。室温および40℃の両方でエタノール中の200モル%の(L)−プロリンを使用した場合でさえも、得られるマンニッヒ塩基の小さい光学純度しか生じない(8〜9%ee、表6、No.6および8)。35モル%の(L)−プロリンをジクロロメタン溶剤中で室温で用いると、40時間の反応時間までに、マンニッヒ塩基の所望のシス−異性体の約2倍も多いトランス−異性体が存在する。131時間後にのみ、トランス−およびシス−異性体の量は等しくなる。何れのジアステレオマーによっても、有意なエナンチオマー過剰は全期間にわたって達成されない(表6、No.4)。
また、立体化学純度を有意に損失することなく、式(III)の化合物から式(I)のβ
−アミノケトンを得ることのできる条件を見出した。
さらに、本発明は、式(I)の光学活性β−アミノケトン(マンニッヒ塩基)またはその鏡像体
Figure 0004510614
[式中、R1、R2、R3、R4およびR5基はそれぞれ上記で定義したとおりである]の製
造方法を提供し、該方法は、好適な溶剤中の式(III)の化合物を好適な塩基の添加により変換することを含む。
好適な塩基は、有機アミン、好ましくは(C1−C10)トリアルキルアミン、好ましく
は(C1−C3)トリアルキルアミン、例えばトリエチルアミンまたはジイソプロピルアミン、そしてまた、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩、炭酸塩または水酸化物塩である。
好適な溶剤は、場合により溶解性促進添加物、例えば相間移動触媒を含む、水または有機溶剤、または水と有機溶剤との混合物であり、ここで、有機溶剤は純度100%または工業的品質で存在してよく、そして例えば、分枝状もしくは非分枝状のC1−C8−アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールもしくはn−ブタノール、またはケトン溶剤、例えばアセトンもしくはメチルエチルケトン(MEK)、またはエステル、例えば酢酸エチルもしくは酢酸n−ブチル、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタンもしくはジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、または脂肪族もしくは芳香族炭化水素、例えばトルエン、または超臨界媒質、例えば超臨界二酸化炭素、またはハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、または極性非プロトン性溶剤、例えばDMF、DMSOもしくはNMPであってよい。
(I)は(III)から、溶剤(または溶剤混合物)の融点〜沸点の温度範囲内、例えば
−30〜100℃、好ましくは0〜40℃、より好ましくは0〜25℃で遊離させることができる。
光学活性マンニッヒ塩(III)から配置を完全に保持してマンニッヒ塩(I)を遊離化
することは、とるに足りない方法段階ではない。なぜならば、それは下記の条件下で行う
必要があるからである。
1. (III)または(I)のケト官能基に対してCH−酸性α−位が脱プロトン化しな
いこと、なぜならば、これは(III)または(I)の望ましくないアンチ−ジアステレオ
マーの形成に導くだろうからである、または
2. (III)または(I)が逆マンニッヒ開裂しないこと、なぜならば、これは収率損
失、化学不純物の形成、望ましくないアンチ−ジアステレオマーの形成、そしてまた、マンニッヒ塩基(I)の光学純度の部分的損失に導くだろうからである。
遊離化は、原則として、逆マンニッヒ開裂が極めてゆっくりと進行する溶剤(上記参照)、好ましくはアセトン中で、N−H酸性アンモニウム基を脱プロトン化できるが、(III)または(I)のCH−酸性α−位を脱プロトン化できない塩基、好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩または炭酸塩を用いて行われる。
遊離化はさらに、水性媒質中で、そして塩基として例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩、炭酸塩または水酸化物塩を用い、好ましくはpH約8〜9の恒常pH条件下で行うこともできる。pH約8〜9の恒常pH条件下の炭酸水素ナトリウムまたは水酸化ナトリウムが好ましく、水酸化ナトリウムが特に好ましい。
マンニッヒ塩(III)および遊離マンニッヒ塩基(I)両者の溶解性は弱塩基性の水中
で通常は極めて低いので、遊離化反応は塩(III)の懸濁液から遊離マンニッヒ塩基(I
)の懸濁液への変換に導く。従って、反応の終了後、簡単な遠心または濾過により生成物(I)を単離することができる。低い溶解性のため、生成した遊離塩基(I)はすぐに再び沈殿するので、反応体(III)は極めて小さい割合および短時間でのみ溶液中に存在す
るに過ぎない。この理由で、逆マンニッヒ反応は、水性媒質中では事実上なんの役割も演じない。調査した場合の遊離塩基(I)の単離収率は、理論値の95〜100%であり、最適化条件におけるアンチ−ジアステレオマーの含有量0.7〜1.5%は、使用したマンニッヒ塩(III)と比較して限界誤差の範囲内で不変であり、そして最適化操作法におけ
る(I)のエナンチオマー過剰は、塩(III)と比較して2%ee未満またはそれと等し
い分だけ、好ましくは1%eeだけ低下した(表7)。
塩基、例えばNaOHまたはNaHCO3またはNa2CO3により利用可能な速度で脱
プロトン化されて(I)を与えるためには純水中の溶解性が不十分である式(III)の塩
の場合には、1種またはそれ以上の水混和性有機溶剤を、<25容量%、好ましくは1〜10容量%、より好ましくは5〜10容量%の量で加えることができる(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン)。先行する四成分カップリング(方法段階1)が行われた溶剤に、この溶剤が水混和性である限り、1〜10容量%の補助溶剤を加えることが好ましい。メタノール、エタノール、n−プロパノールまたはイソプロパノールを、四成分カップリングのための溶剤として、および水性媒質中での(I)の遊離化のための補助溶剤としての双方に用いることが特に好ましい。遠心で得られたアルコールで湿ったマンニッヒ塩(III)を前もって乾燥することなく、水性媒質中での遊離化のために用いることが実に特に好ましい。有機補助溶剤を(III)の水性懸濁液に添加すべきどうか、そしてどの程度まで添加すべきかは、(III)の溶解性および水湿潤性に、そしてまた、その置換基R1〜R5およびそのアニオンY*-の性質に依存する。補助溶剤の添加量を、恒常pH条件下で許容できる遊離化速度と調和させうるような程度まで最小限にすることが好ましい。不必要に多量の補助溶剤を水性媒質に添加することは、遊離マンニッヒ塩基(I)の単離収率を低下させるか、またはより複雑な(I)の単離を必要にすることがある(反応懸濁液中に(I)を完全に沈殿させる目的で、固体を遠心分離する前に補助溶剤を懸濁液から蒸留除去する)。また、不必要に多量の補助溶剤の添加は、恒常pH条件下で遊離化する間に逆マンニッヒ反応を促進し、従って生成物(I)の収率、化学純度、ジアステレオマー純度およびエナンチオマー純度を悪化させることがある。
Figure 0004510614
式(I)のマンニッヒ塩基の遊離化を、R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、そしてR5=フェニルである式(I)の化合物(式(XVII)の化合物)を反応させる例を用いて、以下に説明する。この場合、(XVII)を相当する式(XVIII)のマンデル酸塩から種々の条件下で遊離させた。
表7は、化合物(XVIII)から化合物(XVII)への変換の結果を示す:
Figure 0004510614
Figure 0004510614
Figure 0004510614
Figure 0004510614
Figure 0004510614
Figure 0004510614
Figure 0004510614
Figure 0004510614
Figure 0004510614
表7に記載する反応において、0.95〜1.10当量の2N水酸化ナトリウム溶液を、0℃または室温で、純水中の(XVIII)の懸濁液に一度に加えたところ、(XVII)の定量的遊離化が生じた。しかしながら、これは5〜10%の(XVII)のアンチ−ジアステレオマーの形成を伴った(No.1〜5および8〜11)。特定の反応条件に応じて、(XVII)のエナンチオマー過剰の減少は、最小限のみ(No.1)、僅か(No.2、4、5、9〜11)、または明確(No.3および8)の何れかであった。従って、水酸化ナトリウム溶液の全量を一度に加えた直後に、水酸化物イオン濃度が高かったので、マンニッヒ塩(XVIII)のアンモニウム官能基の所望の脱プロトン化が起こっただけでなく、そのCH−酸性α−位が望ましくなく脱プロトン化してカルボニル基になることも、かなりの程度で起こった。
生成した(XVII)のエノレートイオンは立体選択的に再プロトン化されないが、エノレート平面の両側で同様の程度まで再プロトン化されるので、(XVII)およびそのアンチ−異性体の両者が形成される。水酸化ナトリウム溶液の添加後の攪拌時間を室温で1時間に制限した場合、僅かに1.3〜3.7%のアンチ−異性体が形成されたが(No.6および7)、この時点での遊離化度は僅かに約20%であり、そして実験の一つでは塩(XVIII)のエナンチオマー過剰(96.2%)も、遊離塩基(XVII)では7%だけ低下して僅かに89.0%になった(No.6)。
水酸化ナトリウム溶液の代わりに2当量の炭酸水素ナトリウムをマンデル酸塩(XVIII)の水性懸濁液に0℃で加えた場合、14時間以内に僅かに2.4%の遊離化が起こったが(No.12)、吸引濾別された(XVIII)/(XVII)混合物としての生成物は、増加量のアンチ−異性体を含有しなかった。同様に、1当量の2N水酸化ナトリウム溶液を(XVIII)純粋水性懸濁液に0℃で非常にゆっくりと5時間かけて計量添加した場合、僅かに11〜13%の遊離化が起こった(No.13および15)。
しかしながら、遊離化のために2当量のNaHCO3を用いて5または10容量%のアセトンを添加すると、遊離塩基(XVII)の定量的形成が行われ、0℃(No.14、16、17、22)だけでなく、10℃(No.23)、室温(No.18)、および40℃(No.24)においても、エナンチオマー純度が完全に保持され、かつアンチ−異性体が有意に増加することなかった。少しばかりより良好な結果は、室温で水/エタノール(10:1)中の炭酸水素ナトリウムを用いて達成された(No.19)。
同様に良好な結果は、0.95〜1.00当量の2N水酸化ナトリウム溶液を水/エタノール(10:1)中の(XVIII)の懸濁液にpH8.5で(恒常pH条件下で自動ビュレットを用いて)計量添加した場合に達成された(No.20、21、25、26)。エナンチオマーおよびジアステレオマー純度の保持は、40℃(No.25および26)でよりも室温(No.20および21)で僅かに良好に見えた。
本発明に係る方法段階2は、四成分カップリングの間に用いた式(VII)の光学活性酸HY*を遊離化反応の弱塩基性水性母液から、不変のエナンチオマー純度で実質的に回収する可能性を与える。この目的に好ましい方法は、水性酸性媒質中のキラル酸の溶解性、そしてまた、化学的および光学的安定性に依存する。pH約3で水に極めて不溶性である酸(VII)の場合、母液を酸性化し、そして沈殿した固体(VII)を遠心分離または濾別することで一般的に十分である。キラル酸(VII)としてα−アミノ酸を用いた場合には、遊離化段階の水性母液をα−アミノ酸の等電点まで酸性化し、次いで固体を遠心分離または濾別することで一般的に十分である。キラル酸(VII)が少なからぬ水溶性を有する場合、例えば酒石酸、リンゴ酸またはマンデル酸の場合、または強すぎる酸性条件下で部分的にラセミ化する危険がある場合には、好ましい回収方法は、弱酸性の水性母液から繰り
返し抽出することである。例えば、酢酸エチル抽出による(S)−(+)−マンデル酸の回収は、88%の収率、>95.5の%化学純度および10%eeで成功する。
キラル助剤が極めて高い水溶性、鉱酸感受性または高いコストを有する場合には、他の回収方法、例えば遊離化反応の中和した水性母液を凍結乾燥することも、考慮される。
さらに、式(I)のβ−アミノケトンまたは式(III)のそれらの塩を、式(I)または(III)の化合物に既に存在する立体化学純度を損失することなく、またはキラル助剤を使用する必要なく、極めて高いジアステレオ選択率で1,3−アミノアルコールに還元できる簡単な還元方法を見出した。
従って、本発明はまた、式(I)の化合物または式(III)の化合物を好適な還元剤で還元することを含む、式(II)
Figure 0004510614
[式中、R1、R2、R3、R4およびR5基はそれぞれ上記で定義したとおりである]の光学活性1,3−アミノアルコールまたはその鏡像体の製造方法を提供する。
次いで、式(II)の化合物を本来公知の方法により仕上げ処理することができる。
式(I)の化合物から式(II)の化合物への変換は、以下で方法段階3と呼ばれる。
式(III)の化合物から式(II)の化合物への変換は、以下で方法段階4と呼ばれる。
好適な還元剤は、場合によりキラル触媒の存在下のボランまたは水素化ホウ素試薬である。
本発明に係る方法段階3は、ボランまたは水素化ホウ素試薬を用いる場合、光学活性α−アミノケトン(I)のケト基の還元において、式(II)の1,3−アミノアルコールのほうを選んで明確なジアステレオ選択率を達成する。
(I)から(II)へのジアステレオ選択的還元は、アキラル還元剤(簡単なジアステレオ選択の原理)を用いるか、または光学活性触媒の存在下に達成することができ、後者の場合には、触媒活性試薬のエナンチオ選択率は簡単なジアステレオ選択と部分的に重複し、そして通常は優位を占める。光学活性触媒の存在下に還元する場合、キラル触媒のエナンチオ選択率が還元の簡単なジアステレオ選択率と一致するならば(マッチした場合)、高いジアステレオマー過剰が達成される。触媒が逆の絶対配置を有し、従ってそのエナンチオ選択率が簡単なジアステレオ選択を妨害するならば(ミスマッチの場合)、低いジアステレオマー過剰が達成される。
アキラル還元剤(簡単なジアステレオ選択の原理)の例は、以下のものを包含する:
1. ボラン−スルフィド錯体、例えばボラン−ジメチルスルフィドまたはボラン−1,4−チオキサン錯体;
2. ボランエーテル化物、例えばボラン−テトラヒドロフラン錯体;
3. カテコールボラン;
4. ルイス酸、例えば塩化チタントリイソプロポキシド(iPrO)3TiCl)の存在下のボラン−スルフィド錯体またはボランエーテル化物またはカテコールボラン;
5. ボラン−アミン錯体、例えばボラン−アンモニア、ボラン−tert−ブチルアミン、ボラン−N,N−ジエチルアニリン、ボラン−N−エチルジイソプロピルアミン、ボラン−N−エチルモルホリン、ボラン−N−メチルモルホリン、ボラン−モルホリン、ボ
ラン−ピペリジン、ボラン−ピリジン、ボラン−トリエチルアミンまたはボラン−トリメチルアミン錯体;
6. ルイス酸、例えば塩化チタントリイソプロポキシド(iPrO)3TiCl)の存在下のボラン−アミン錯体;
7. ボラン−ホスフィン錯体、例えばボラン−トリブチルホスフィンまたはボラン−トリフェニルホスフィン錯体;
8.水素化ホウ素、好ましくは水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素テトラアルキルアンモニウムと、その場でボランの生成に導く試薬との組み合わせ。このような組み合わせの例は、ジクロロメタン中、または臭化アルキル(例えば臭化n−ブチル)および水素化ホウ素ナトリウム飽和水溶液および相間移動触媒としての触媒量(約10モル%)の第四級オニウム塩の2相混合物中の、水素化ホウ素ナトリウム/ヨウ素、水素化ホウ素ナトリウム/三フッ化ホウ素二エーテル化物、水素化ホウ素ナトリウム/クロロトリメチルシラン;水素化ホウ素テトラアルキルアンモニウム/ハロゲン化アルキル(例えばヨウ化メチル)を包含する(B.Jiang, Y.Feng,J.Zheng Tetrahedron Lett. 2000,41,10281);
9. 添加物としてのセリウム(III)塩、例えばCeCl3の存在または不在下の、1価または2価金属カチオンの水素化ホウ素、例えば水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウムまたは水素化ホウ素亜鉛、または水素化ホウ素テトラアルキルアンモニウム;
10. ジボラン(B26)。
例えば下記の還元を、1種またはそれ以上の光学活性触媒の存在下に用いることができる:
1.補助配位子としてのテトラヒドロフルフリルアルコールの存在または不在下の、触媒量の光学活性アルドイミナトコバルト(II)錯体、例えば(1S,2S)−N,N′−ビス[3−オキソ−2−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ブチリデン]−1,2−ジフェニルエチレンジアミナトコバルト(II)(S)−MPACの存在下の、1価または2価金属カチオンの水素化ホウ素、好ましくは水素化ホウ素ナトリウム。この試薬の組み合わせは、T.Makaiyamaら,Synlett 1996,1076に記載された。それは、カルボニル基の触媒エナンチオ選択的水素化ホウ素還元に導く。マンニッヒ塩基(I)を還元するためのこの新規適用の場合に、試薬のエナンチオ選択率を一致させることにより、水素化ホウ素ナトリウムの自然のジアステレオ選択率を高めることができる。
2. 1分子の[(μ5)−ペンタメチルシクロペンタジエニル]ロジウムジクロリド二量体当り2分子の光学的に純粋な1,3−アミノアルコール(II)の配座から生じるロジウム錯体により触媒される、1価または2価金属カチオンの水素化ホウ素、好ましくは水素化ホウ素ナトリウム。この場合、キラル配位子(II)の置換基R1、R2、R3、R4およびR5を、該置換基が得られる還元生成物(II)のものと同一であり、従って水素化ホウ素ナトリウム還元が自触媒的に進行するように選択することが可能であり、かつ有利である。このような触媒は、AVECIAからのCATHyMT触媒と類似するが(WO 98/42643)、下記の点で異なる:
− CATHyMT触媒は、シクロペンタジエニルロジウムクロリド二量体およびキラル1,2−アミノアルコール、例えばシス−1−アミノ−2−インダノールから製造される。本願では、キラル−1,3−アミノアルコールは用いられない。
− CATHyMT触媒は、エナンチオ選択的移動水素化に用いられ、この反応において、第二級アルコール、好ましくはイソプロパノール、またはトリエチルアミン/ギ酸混合物が水素供与体として機能した。これに対し、水素化ホウ素、好ましくは水素化ホウ素ナトリウムを、本願では還元剤として機能する。
− CATHyMT触媒は、異なるプロキラルケトンのエナンチオ選択的移動水素化に用いられたが、ラセミ体または光学活性マンニッヒ塩基(例えば(I))またはその塩(例
えば(III))のケト基の還元には用いられなかった。
好ましい還元剤は、ボラン−スルフィド錯体、ボランエーテル化物、水素化ホウ素ナトリウム、または光学活性1,3−アミノアルコール(II)への[(μ5)−ペンタメチルシクロペンタジエニル]ロジウムジクロリド二量体の配座により得られるインシツ(in situ)触媒を含む水素化ホウ素ナトリウム錯体である。
特に好ましい還元剤は、ボラン−ジメチルスルフィド錯体またはボラン−テトラヒドロフラン錯体である。
室温で貯蔵する際のその力価安定性のため、そしてまた高濃度(94〜95%液体)でのその工業的入手可能性のため、ボラン−ジメチルスルフィド錯体が実に特に好ましい。
反応は、0.3〜10.0モル当量の上記の還元剤の一つを用いて、好ましくは0.5〜4.0モル当量を用いて、より好ましくは1.0〜2.5モル当量のを用いて行われる。
方法工程3および4は、例えば芳香族炭化水素(例えばトルエン、クメン、キシレン、テトラリン、ピリジン)、飽和炭化水素(例えばシクロヘキサン、ヘプタン、ペンタン)、エーテル(例えばアニソール、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン)、塩素化炭化水素(例えばジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン)、アミド(例えばN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド)、エステル(例えば酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸プロピル、酢酸エチル)、またはスルホキシドもしくはスルホン(例えばジメチルスルホキシドまたはスルホラン)を溶剤として用いて行うことができる。最後の三つのクラスの溶剤はボランに対して不活性ではない。トルエン、クメン、テトラヒドロフランまたはアニソール中で反応を行うことが好ましい。トルエン、クメンまたはTHFが特に好ましい。
還元反応は、−70℃から使用する溶剤の沸点の範囲の温度、好ましくは−10℃〜+40℃、より好ましくは0℃〜+25℃で行われる。
下記の選択肢が存在する:
a)ボラン錯体の溶液をマンニッヒ塩基(I)の懸濁液または溶液に添加する(標準添加)、または
b)マンニッヒ塩基(I)の懸濁液または溶液を、最初に装入したボラン錯体の溶液に添加する(逆添加)。
還元反応の持続時間は、特定の反応体(置換基R1〜R5の性質)、選択した反応温度、および溶剤中の反応体の溶解性に依存する。それは30分〜3日間、好ましくは1〜5時間、より好ましくは1〜2時間である。
特に好ましい還元剤、ボラン−ジメチルスルフィドまたはボラン−THF錯体を用いる場合には、反応の一次生成物はオキサアザボリナンのジアステレオマー混合物であり、これは所望により、容易に単離することができる。式(C)は、そのHPLC挙動に基づくその非常に支配的な成分、HPLC/MS(M+H+:m/z=437.3)により測定したモル質量、およびメタノール/メタンスルホン酸の作用下で1,3−アミノアルコール(II)へのその円滑な変換に起因する。
Figure 0004510614
表8は、アミノケトン(XVII)(R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、そしてR5=フェニルである式(I)の化合物)から1,3−アミノアルコール(XIX)またはそのジアステレオマーdia−(XIX)を生成する例示的反応を要約している:
Figure 0004510614
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表8の注解:
(a)反応体No.5〜26において:反応が完了し、そして中間体オキサアザボリナンを酸ソルボリシス(加溶媒分解)した後の反応混合物のHPLC分析。
反応体No.1〜4において:水素化ホウ素化混合物のHPLC分析。
(b)ボラン錯体の添加量を容量測定(目盛シリンジでの添加)により測定した。
(c)ボラン錯体の使用量を秤量により測定した。
(d)2N NaOHからの沈殿、濾過および乾燥後の収率。
(e)DM−水中での反復洗浄、濾過および乾燥後の収率。
(f)2N NaOH中で沈殿させた後、(XIX)をそのまま45〜50℃のn−ブタノールに溶解し、2.2当量の30%塩酸を用いて、その二塩酸塩を沈殿させた。
(g)2N HClによる(XIX)の抽出を、さらに1.4当量のMeSO3Hの添加および水での抽出で置き換えた。
(h)2N HClによる(XIX)の抽出を、さらに0.7当量のMeSO3Hの添加および水での抽出で置き換えた。
(i)2.5当量のMeSO3Hの代わりに3.2当量を直接に使用したので、(XIX)をトルエン相から水相に抽出するために2N HClまたはさらにMeSO3Hを添加する必要がなくなった。
結果は、この方法がカルボニル基が高い立体選択率で還元されるのを可能にし(>97:<3;No.9および11参照)、そして反応体(I)の逆マンニッヒ反応が反応条件下で極めて実質的に抑制され、従って反応体に既に存在する立体化学情報は事実上完全に保持されることを示す。
ボランまたは水素化ホウ素試薬による還元のための本来公知の仕上げ処理の例は、ソルボリシス開裂および/または結晶化である。
(I)から1,3−アミノアルコールへの還元において最初に形成されたオキサアザボリナン(C)をソルボリシス開裂し、そして反応混合物からそれを単離することは、立体異性体:エナンチオマーent−(II)
Figure 0004510614
ジアステレオマー dia-(II)
Figure 0004510614
およびジアステレオマーのエナンチオマー ent-dia-(II)
Figure 0004510614
の最大可能な程度の除去に導く。
場合により、式(II)の生成物の反応溶液の仕上げ処理中に、粗製反応溶液に含有される少量の(II)の立体異性体を完全に除去する、高い収率で進行する結晶化を行うことができる。このようにして、通常市販品として得られる出発材料から2〜3段階で、式(II)の1,3−アミノアルコールを高い全収率、時として理論値の70%を超える全収率を達成しながら、極めて高い純度(>99.5%化学純度、〜100%de、>99%ee)で製造することができた。
ソルボリシス開裂は、種々の異なる操作法により達成することができる:
a)1〜4当量の強酸、より好ましくはメタンスルホン酸または硫酸を、過剰の低分子量アルコール、より好ましくはメタノール中で、0〜60℃、より好ましくは15〜40℃で用いて開裂を行うことが好ましい(表8、No.6〜36)。これらの条件下で、(C)からのホウ素が揮発性トリアルキルボレートエステルに変換され、特に好ましい場合には、沸点59℃のメタノールとのMeOH・B(OMe)3共沸混合物(これは共沸混合物中に約70%のB(OMe)3を含有する)の形で、揮発性トリメチルボレートB(OCH3)3に変換される(M.Couturierら,Tetrahedron Lett. 2001,42,2285)。特に、ボランの還元を特に好ましい溶剤、例えばトルエンまたはクメン中で行った場合には、ホウ酸エステル溶媒和物および過剰のメタノールを、ソルボリシスが完了した後に真空を適用することにより、容易に定量的に蒸留除去することができる。一般式(II)の1,3−アミノアルコールはプロトン化された形で存在し、従って一般的に良好な水溶性を有する。従って、トルエン性またはクメン性蒸留残留物に水を加えると、(II)の塩は、大部分の場合に事実上定量的に水相に抽出される。そのとき、トルエン性またはクメン性相は、大部分の反応副生物、例えば逆マンニッヒ生成物およびそれらの還元生成物を除去している。次いで、生成物を含有する酸性水溶液を、例えば水酸化ナトリウム水溶液で強塩基性にすると、1,3−アミノアルコール(II)は沈殿し、そして容易に単離することができる。しかしながら、(II)をその一つの塩の結晶化により単離する一方で、粗生成物に含有される少量の立体異性体が母液中に残ることが好ましい。このような結晶化のために最適なアニオンおよび溶剤は、(II)の置換基R1〜R5の性質に依存し、従って、式(II)の各1,3−アミノアルコールについて独立して測定しなければならない。例えば、R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、そしてR5=フェニルである場合、(II)の二塩酸塩の最適結晶化は、1−ブタノールから行われることが分かった。二塩酸塩は、99.3〜100%ee、および使用したマンニッヒ塩基(I)に基づいて、理論値の74〜84%の収率において99.1〜99.9%化学純度で得られた(表7、No.19〜29、31〜35に相当する)。この結晶化は、使用したマンニッヒ塩基(I)の非典型的に低いエナンチオマー純度をさらに償うことができる。表7、No.32の実験において、僅かに90.5%eeの(I)を用いた。これにも拘らず、(II)二塩酸塩は99.4%eeおよび99.7%化学純度で76%の収率で単離された。
b)別法として、(C)のソルボリシスは、ボラン還元の有機溶剤を予め蒸留除去した後、過剰の強酸水溶液、好ましくは2規定ないし濃塩酸またはメタンスルホン酸水溶液を用いて0〜100℃、好ましくは0〜40℃で行うことができる。この仕上げ処理を表9(No.4〜7、9〜14および16〜18)および表10(No.5〜8)に適用した。
これらの条件下で、(C)からのホウ素はB(OH)3に変換され、これは、0〜10℃に冷却した場合には特に、水性酸性反応混合物に僅かに溶解するに過ぎず、そして極めて実質的に結晶化し、従って容易に除去することができる。これに対し、1,3−アミノアルコールはプロトン化された形で存在し、従って一般的に良好な水溶性を有する。ホウ酸を除去した後、生成物を含有する酸性水溶液を、例えば水酸化ナトリウムで強塩基性にすると、遊離1,3−アミノアルコール(II)は沈殿し、容易に除去することができる。適切な典型的操作法は実施例23(表9、No.18に相当する)および24(表10、No.5に相当する)に記載されている。しかしながら、a)の場合のように、(II)をその塩の一つの結晶化により単離することが好ましい。これは、生成物を含有する酸性水溶液を、好適な水混和性有機溶剤、例えばn−ブタノールの存在下に塩基性とすることにより達成される。遊離1,3−アミノアルコール(II)はこの有機相に事実上定量的に抽出され、次いで該有機相を加熱し、好適な酸水溶液、例えば濃塩酸の添加により(II)の塩を形成し、これはブタノール性溶液を徐々に冷却すると結晶化する。
c)(C)のためのもう一つの別法ソルボリシス方法は、過剰のアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物の溶液を加え、次いで30〜100℃、好ましくは50〜70℃に加熱することである。次いで、遊離1,3−アミノアルコール(II)を不活性有機溶剤で抽出することができ、その一方、生成したアルカリ金属ボレートまたはアルカリ土類金属ボレートは水相に残る。適切な典型的操作法は、実施例25(表10、No.3に相当する)に記載されている。
d)(C)のためのもう一つの別法ソルボリシス方法は、ホウ素と強力な錯体を形成する有機錯生成剤(例えばジエチレントリアミン)を加えることである。この方法を下記の形態で適用することが好ましい:
最初にメタノールを不活性ガス雰囲気中でソルボリシス反応器に20〜60℃、好ましくは40〜50℃で装入する。好ましいトルエン性還元混合物(実質的に(C)および過剰のボランを含む)を、20〜60℃、好ましくは40〜50℃で、最初に装入したメタノールに徐々に計量添加する。計量添加が完了したとき、錯生成剤、例えばジエチレントリアミンを計量添加し、(II)を生成する(C)のソルボリシスが定量的になるまで、ソルボリシス混合物を攪拌する。次いで反応混合物に水を、好ましくは60〜70℃で供給する。次いで有機(トルエン性)相を水相から分離し、好ましくは60〜70℃で水洗する。ホウ素−アミンキレートおよび過剰のメタノールは水相で除去される。式(II)のアミノアルコールはトルエン性相から公知方法により単離することができる。置換基R1〜R5の特定の性質に応じて、温かい濃トルエン溶液を徐々に冷却することにより直接結晶化させることも、有利でありうる。しかしながら、a)に記載したように、(II)を、極性がより高い別の溶剤、例えばn−ブタノールに移し、次いで(II)の好適な塩、例えば塩酸塩を結晶化させることも有利でありうる。
e)(C)から1,3−アミノアルコール(II)を生成するためのもう一つの別法開裂方法は、過酸化水素溶液の添加によりソルボリシス開裂することである。この方法は、過酸化水素で容易に酸化されない生成物(II)にとってのみ有利である。また、ボランおよび式(II)の若干のオキサアザボリナンと過酸化水素との反応は、著しく発熱性でありうるので、仕上げ処理方法a)およびd)は多くの場合にe)よりも好ましい。
方法段階4は、方法段階3について既に記載したのと同じ還元剤を用い、同じ反応条件(還元剤のモル当量、使用できる溶剤、反応温度および時間、添加方法)、および仕上げ処理方法で行われる。
下記の特定の態様が方法段階4に適用される:
− 式(III)のマンニッヒ塩は、式(I)の遊離マンニッヒ塩基よりも一般的に明らかに極性が高い。非極性溶剤(トルエンまたは極性がより低いもの)中のマンニッヒ塩(
III)の溶解性は、還元剤を用いて実行可能な反応速度にとって殆どの場合にもはや十分でない。従って、マンニッヒ塩(III)の還元のために好ましい溶剤は、(III)がより良好な溶解性を有する比較的に極性の溶剤であり、テトラヒドロフランが特に好ましい。
− マンニッヒ塩(III)における得に好ましい対イオンY*-は、キラルカルボキシレートまたはジカルボキシレートである。これらの対イオンY*-は、ボラン、ボラン錯体または活性化水素化ホウ素に対して一般的に完全には不活性でなく、それら自体は用いられる還元剤により徐々に還元される。この消費は、還元剤の当量を適切に増加させることにより考慮されねばならない。
方法段階3について記載したように、オキサアザボリナン(C)は一次反応生成物として形成され、次いで上記のソルボリシス/仕上げ処理操作法の一つにより所望の式(II)の1,3−アミノアルコールに変換される。
表9には、(S)−(+)−マンデル酸塩(XVIII)(R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=Phである式(III)の化合物)のジアステレオ選択的カルボニル還元により1,3−アミノアルコール(XIX)を生成した結果が、例としてまとめられている:
Figure 0004510614
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塩(XVIII)の成分へのマンニッヒ塩基の定量的変換は、3.0当量に低減した還元剤にて達成された(表9、No.8〜11、16および18)。(XIX)への変換はトルエン中では殆ど達成されなかったが(表9、No.1)、完全な変換にはTHF中で十分であった(表9、No.2〜18)。カルボニル還元の場合、96.8:3.2までのジアステレオ選択率((XIX)/dia−(XIX)比)が達成された(表9、No.4および18)。(XIX)の単離収率は理論値の78〜83%であり、そして、この場合は方法段階3のa)項と同様の(XIX)の二塩酸塩の結晶化段階がなかったので、これらの生成物は3〜4%のジアステレオマーdia−(XIX)およびほぼ2%の(XIX)のエナンチオマーを含有していた(表9、No.9および18)。二塩酸塩の結晶化を含めると、使用したマンデル酸塩(XVIII)に基づいて70〜75%の収率で、エナンチオマー的およびジアステレオマー的に純粋なアミノアルコール(XIX)(>99%ee,>99%de、>99%化学純度)が得られた。
表10には、(+)−ジピバロイル酒石酸塩(XII)(R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル、そしてHY*=(+)−ジピバロイル酒石酸である式(III)の化合物)のジアステレオ選択的カルボニル還元により1,3−アミノアルコール(XIX)を生成した結果が、例として要約されている:
Figure 0004510614
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ブタノール/水中の水素化ホウ素ナトリウムの使用は、結果として少しばかりの所望の生成物(XIX)を生成したに過ぎなかった(表10、No.1)。エタノール中の水素化ホウ素ナトリウムを触媒量の第四級アンモニウム塩の存在下で用いると、変換はより良好であったが、ジアステレオ選択率は極めて低かった(表10、No.2)。ボラン−ジメチルスルフィド錯体を還元剤として用いたところ、THF中で優れた変換およびジアステレオ選択率が達成されたが(表9、No.5〜9)、メチルtert−ブチルエーテル中では反応しなかった(表9、No.4)。中間体(C)のソルボリシス後の粗製反応混合物中の(XIX)対dia−(XIX)比(カルボニル還元のジアステレオ選択率)は98:2までであった(表10、No.9)。使用したマンニッヒ塩(XII)の装入物は、四成分カップリングにとって中程度である僅かに93.2%eeの光学純度を有したが、また、仕上げ処理操作法にブタノールからの(XIX)の二塩酸塩の結晶化段階を含めなかったが、単離生成物(XIX)(使用した塩(XII)に基づき理論値の収率84〜89%)において、ジアステレオマー比は99.2:0.8までであり、エナンチオマー純度は95.2%eeであった(表10、No.9)。化学純度に関し、dia−(XIX)は別として、UV活性不純物はHPLCで検出できず、そしてHPLCアッセイ法による単離生成物の(XIX)含有量((XIX)の精製参照標準物に基づく)は、97.9%であった。
本発明は、市販品として得られる安価な、または、安価で入手容易な助剤(VII)および技術的観点から見て容易に実現される温和な反応条件を用いて短い経路で、極めて容易に製造されるキラル反応体(IV)、(V)および(VI)から出発し、式(I)、(II)および(III)の化合物を高い収率で高い立体選択率で製造することを可能にする。従って、本発明に記載する方法は、式(I)および(II)の光学活性化合物の工業的製造に特に適している。
下記のスキームは、本発明に係る方法の大要を提供する:
Figure 0004510614
上記の表および例示的反応は合計162個の例を含み、これらの例は本発明に係る方法の範囲内にある反応パラメーターの多種多様な可能な変形を説明する。表中のこれら162個の例のうち、特に代表的な操作法を詳細に記載した。これらの操作法は本発明に係る方法の好ましい実施形態である。しかしながら、それらは本発明の主題を決して限定するものではない。
本発明の主題を問題なく操作または確認できるために知る必要のある方法、作業手段および操作法を、以下の実施例に記載するが、これらの実施例は本発明に係る方法段階の説明を意図しており、本発明の主題を限定するものではない。
実施例1
(−)−カンファノイルクロリドでの誘導体化による、R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル、およびHY*-=(S)−(+)−マンデル酸である場合の一般式(I)のマンニッヒ塩基または一般式(III)のマンニッヒ塩のエナンチオマー過剰の測定
10mgの表題で特定したマンニッヒ塩基(I)またはその塩(III)を秤量し、10ml容量のフラスコに入れ、200mgの(−)−カンファノイルクロリドと混合する。1mlのトリエチルアミンを加え、約9mlのアセトニトリル(HPLC等級)を用いて、この混合物を正確に10mlにする。この混合物を超音波浴中で30秒以内に溶解させる。1mlの最初は明黄色溶液をHPLCバイアルに移し、10分の遅延時間の後、その8.0μlをMachery-Nagel CC 250mm×4mm Nucleosil 100−5 C18/5μm HD HPLCカラムに注入する。溶出は、1.00ml/分の流速で、下記の二つの溶出剤:
溶出剤1:水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸=900/100/1.00
溶出剤2:水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸=100/900/0.75
からなる線形勾配を用い、下記の勾配の変化で行う:
Figure 0004510614
検出は254nmで行う。誘導体化生成物を下記の保持時間で溶出する:
一般式(IXA)の相当するアミド((I)の所望しないエナンチオマーから生じる):19.59分。
式(IX)のアミド((I)の所望のエナンチオマーから生じる):20.50分。
(I)のアンチ−ジアステレオマーから生成するアミド:13.12分。
(I)−エナンチオマーのアンチ−ジアステレオマーから生成するアミド:24.09分。
保持時間20.01分のピークも目に見え、これは誘導体化成分から生じる。
エナンチオマー過剰(I)を、クロマトグラムで次のように測定する:(IX)および(IXA)のピーク面積の合計を100%に設定する。(IX)および(IXA)の割合を計算する(例えば、(IX)=97.0%、(IXA)=3.0%)。(IX)の割合から(IXA)の割合を差し引く。
特定した実施例において、遊離マンニッヒ塩基(I)、またはマンニッヒ塩(III)の基礎となるマンニッヒ塩基(I)は94.0%eeのエナンチオマー純度を有した。
実施例2
ピバロイルクロリドでの誘導体化による、R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル、およびHY*-=(S)−(+)−マンデル酸である場合の一般式(I)のマンニッヒ塩基または一般式(III)のマンニッヒ塩のエナンチオマー過剰の測定
2mlのHPLCバイアル中で、1mgの表題で特定したマンニッヒ塩基(I)またはその塩(III)を、2μlのピバロイルクロリド、100μlのトリエチルアミlおよび500μlのアセトニトリル(HPLC等級)に溶解する。正確に5分後、500μlの水を加えて反応を停止する。バイアルを直ちに隔膜キャップで密封し、HPLC装置の自動サンプラーに装入し、10分の遅延時間の後、その5μlをMerck Darmstadt 250mm×4mm 5μm CHIRADEXカラム(β−シクロデキストリン)(Order No.1.51333.0001、Cartridge No.971324)に注入する。溶出は、1.00ml/分の流速で定組成で(isocratically)、下記の溶出剤混合物を用いて行う:
溶出剤1:酢酸中の1%トリエチルアミン(pH4.1)
溶出剤2:100%アセトニトリル
溶出剤1:溶出剤2=82.5:17.5
検出は254nmで行う。
図1は、表題で特定された置換基および95.3%eeのエナンチオマー純度を有する一般式(I)のマンニッヒ塩基からの典型的なクロマトグラムを示す。
図2は、表題で特定された置換基を有する一般式(I)の相当するラセミ体マンニッヒ塩基のクロマトグラムを示す。
実施例3
1モル%のp−トルエンスルホン酸を用いた三成分カップリングの触媒反応による遊離ラセミ体マンニッヒ塩基rac.−(I)[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル]の製造
70mlの無水エタノール、5.91g(30mmol)の1−フェニル−2−(ピリジン−2−イル)エタノン、3.53g(37.5mmol)の2−アミノピリジン、5.44g(36.0mmol)の2−ニトロベンズアルデヒドおよび57mg(0.30mmol)の4−トルエンスルホン酸一水和物を順次に窒素中で、精密ガラス攪拌器を備えた250mlの4頚フラスコに導入する。この溶液を窒素中25℃で攪拌する。約18時間後、生成物rac.−(I)の結晶化が始まる。この時点で、TLC(n−ヘプタン/EtOAc)で約40%の変換を示す。合計96時間後に、薄相クロマトグラム(TLC)で事実上定量的な変換を示す。沈殿を吸引濾別し、母液で、次いでエタノール10mlで洗浄し、30℃で減圧乾燥する。11.9g(28.0mmol;理論値の93.2%)の黄色結晶を得る。
1H NMRスペクトル(CDCl3、溶解直後に測定)の積分は97:3の所望の化合物:アンチ−ジアステレオマー比を示す。
実施例4
アミドrac.−(IX)[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル、R=tert−Bu]を与えるrac.−(I)とピバロイルクロリドとの反応
500mlの4頚フラスコに、最初に、15.02g(35.4mmol)の実施例3からのラセミ体マンニッヒ塩基rac.−(I)を窒素中0℃で装入する。次いで内部温度を0℃に冷却しながら90mlのアセトンを供給した後、6.44g(53.3mmol)のピバロイルクロリドおよび13.82g(106.9mmol)のジイソプロピルエチルアミンを二つの滴下ロートから平行して計量添加する。0℃で3時間攪拌した後、HPLC分析で95.9%の所望のrac.−(IX)、1.1%の相当するトランス−ジアステレオマーおよび1.9%の未変換rac.−(I)を示す。40mlのアセトンを減圧蒸留除
去する(浴温<35℃)。200mlの水を残留物に供給し、次いで0℃の内部温度でさらに2時間攪拌する。沈殿を吸引濾過し、フィルター上で20mlの氷冷酢酸エチルにより洗浄し、次いで40℃で減圧乾燥する。16.4g(32.2mmol;理論値の91%)の淡黄色結晶性沈殿を得る、融点162℃。HPLC純度は99.4%である。
実施例5
アセトン中の(S)−(+)−マンデル酸を用いたrac.−(I)[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル]の古典的光学分割
6mlのアセトンを、503.9mg(1.19mmol)の実施例3からのrac.-(I)および359.0mg(2.36mmol、1.98当量)の(S)−(+)−マンデル酸に加えた。反応混合物を気密密封フラスコ中で25℃において20時間磁気攪拌し、沈殿を吸引濾別し、減圧乾燥した。446mg(0.773mmol)の相当するマンデル酸塩(III)を得た。これは、1H NMRによれば、1:1.00比のマンニッヒ塩基(I)およびマンデル酸からなっていた。実施例1に従ってサンプルを(−)−カンファノイルクロリドで誘導体化し、続いてHPLC分析したところ、5.0:95.0のアミド(IXA):アミド(IX)比を与えた。従って、マンデル酸塩(III)中のマンニッヒ塩基(I)のエナンチオマー過剰は90%eeであった。
実施例6
アセトン中のL−(−)−リンゴ酸を用いたrac.−(I)[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル]の古典的光学分割
6mlのアセトンを、504.2mg(1.19mmol)の実施例3からのrac.-(I)および161.5mg(1.20mmol、1.01当量)のL−(−)−リンゴ酸に加えた。反応混合物を気密密封フラスコ中で25℃において20時間磁気攪拌し、沈殿を吸引濾別し、減圧乾燥した。400mg(0.716mmol)の相当するリンゴ酸塩(III)の沈殿を得た。これは、1H NMRによれば、1:1.04比のマンニッヒ塩基(I)およびリンゴ酸からなっていた。実施例1に従ってサンプルを(−)−カンファノイルクロリドで誘導体化し、続いてHPLC分析したところ、2.4:97.6のアミド(IXA):アミド(IX)比を与えた。従って、マンデル酸塩(III)中のマンニッヒ塩基(I)のエナンチオマー過剰は95.2%eeであった。
実施例7
アセトン中の(−)−ジ−O,O′−ピバロイル−D−酒石酸[(−)−DPTA]を用いたrac.−(I)[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル]の古典的光学分割
6mlのアセトンを、506.2mg(1.19mmol)の実施例3からのrac.-(I)および379.2mg(1.19mmol、1.00当量)の(−)−DPTAに加えた。反応混合物を気密密封フラスコ中で25℃において20時間磁気攪拌し、沈殿を吸引濾別し、減圧乾燥した。557mgの相当するDPTA塩(III)を得た。これは、1H NMRによれば、1:0.57比のマンニッヒ塩基(I)およびDPTAからなっていた。実施例1に従ってサンプルを(−)−カンファノイルクロリドで誘導体化し、続いてHPLC分析したところ、97.7:2.4のアミド(IXA):アミド(IX)比を与えた。従って、DPTA塩(III)中の相当するマンニッヒ塩基(I)のエナンチオマー過剰は95.2%eeであった。
実施例8
エタノール中の(S)−(+)−マンデル酸を用いて試みたrac.−(I)[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル]の古典的光学分割
6mlのエタノールを、500mg(1.18mmol)の実施例3からのrac.-(I)および358.5mg(2.36mmol、2.00当量)の(S)−(+)−マンデル酸に加えた。反応混合物を気密密封フラスコ中で20〜25℃において18時間磁気攪拌し、沈殿を吸引濾別し、少量のエタノールで洗浄し、減圧乾燥した。590mg(1.02mmol)の相当するマンデル酸塩(III)を得た。実施例1による1H NMRは、47.9:52.1比のアミド(IXA):アミド(IX)比を与えた。従って、マンデル酸塩(III)中のマンニッヒ塩基(I)のエナンチオマー過剰は僅かに4%eeであった。
実施例9
アルデヒド(IV)およびアミン(V)[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル]からのイミン(X)の合成
50mlのトルエンを、9.97g(106mmol)の2-アミノピリジン、15.12g(100mmol)の2−ニトロベンズアルデヒドおよび190.3mg(1mmol)の4−トルエンスルホン酸一水和物に加え、水分離器でトルエン/水共沸混合物を共沸蒸留除去しながら、反応混合物を窒素中で1時間還流加熱する。次いで、この混合物を室温に冷却すると、R1=o−ニトロフェニル、およびR2=2−ピリジルである相当するイミン(X)が結晶化する。生成物を吸引濾別し、減圧乾燥する。18.2g(80mmol、理論値の80%)の黄色結晶を得る。1H NMR(300MHz、CDCl3:溶解直後に測定)によれば、生成物の80%はイミン(X)であり[δ=7.24(m,1H)、7.38(d,1H)、7.63(td,1H)、7.70-7.83(m,2H)、8.06(dd,1H)、8.36(dd,1H)、8.53(dm,1H)、10.28(s,1H)]、それぞれ10%は反応体2−アミノピリジンおよび2−ニトロベンズアルデヒドである。IR(KBr):ν=1513(s)、1435(m)、1352(m)、1339(s)、788(m)cm-1。MS(DCl):C12H9N3O2(M=227)、m/z=228(100%、M+H+)。
実施例10
アルデヒド(IV)およびアミン(V)[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル]からのアミン(XI)の合成
9.97g(106mmol)の2-アミノピリジンおよび15.12g(100mmol)の2−ニトロベンズアルデヒドを、窒素中で、精密ガラス攪拌器、温度計、水分離器および還流冷却器を備えた250mlの4頚丸底フラスコに入れた53mlのジクロロメタンに溶解すると、内部温度は12℃に低下する。1.5gの強酸性イオン交換体(Amberlite IR 120,Merck)を導入し、次いで反応混合物を75℃の浴温で還流加熱する。水分離器には、約1.5mlの水が集まる(理論量:反応から1.8ml+イオン交換体から0.8ml)。5.5時間後に、もはや水の分離を認めることができない。攪拌器のスイッチを切ると、沈降したイオン交換体の上に透明溶液(これは元の反応溶液に比べて殆ど濁っていない)が見られる。室温で一夜放置した後、かなりの量の黄色結晶が沈殿している。この懸濁液を還流加熱し、結晶が沸騰熱で完全に溶解するのにちょうど間に合う量のジクロロメタンを加える(約100ml)。イオン交換体を除去するために、このバッチを溝付きフィルターに通して熱時濾別する。濾液を250mlのトルエンと混合し、40℃の浴温で減圧(最初:400mbar、終了:100mbar)において、ジクロロメタンを蒸発除去する。濃縮が終了するころに、淡黄色固体が沈殿する。次いで真空を15mbarに増強して、トルエンの2/3を除去する。この懸濁液を気密密封して約0℃の冷蔵庫で一夜貯蔵すると、生成物の結晶化が完了する。固体を吸引濾別し、20mlの冷トルエンで洗浄し、40℃で減圧乾燥する。14.50g(45.1mmol、理論値の45.1%)の淡黄色個体を得る、融点134〜135℃、さらにトルエンから再結晶した後の融点140〜142℃。1H NMR(300MHz、DMSO-d6):δ=6.35(tm,2H)、6.58(d,2H)、7.20(d,2H)、7.30-7.44(m,3H)、7.53(td,1H)、7.67 (td, 1H)、7.78 (dt, 1H)、7.88 (d, 1H)、7.94 (m, 2H)、IR (KBr):ν=3227(m)、3074(m)および3020(m)、1599(s)、1576(m)、1532(s)、1459(m)、1435(s)、1320(m)、1149(m)、771(m)cm-1。MS(DCl):C17H15N5O2(M=321)、m/z=228.1(100%、M+H+−アミノピリジン)、94.8(アミノピリジン)。
実施例11
式(III)のマンニッヒ塩[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル、HY*-=(S)−(+)−マンデル酸]からマンニッヒ塩基(I)を遊離化させた水性母液からの(S)−(+)−マンデル酸の回収
表題で特定した置換基を有するマンニッヒ塩基(I)を、1280mlの水および128mlのエタノール中の256.5g(445.0mmol)の相当するマンニッヒ塩基(III)から、222.0mlの2N水酸化ナトリウム溶液(444.0mmol)を用い、恒常pH8.5で遊離化させ、吸引濾別し、3×150mlの水で洗浄し、減圧乾燥して、188.52gの(I)を得た(444.1mmol、理論値の99.8%)。
予め室温で5日間放置した上記の黄色水性母液(pH7.62)を、先ず2×250mlのメチルtert-ブチルエーテル、次いで250mlの酢酸エチルで洗浄した。上記の洗浄相は全て明らかに黄色であり、減圧濃縮して乾燥した後、0.21g、0.06gおよび0.04gの残留物を含有しており、全て捨てた。今は極めて淡い黄色に過ぎない水性母液(pH7.83)を、12mlの37%塩酸を用いて、マンデル酸のpKa値(pH3.85)に調節した(検定済みガラス電極)。この溶液は濁ってきたが、マンデル酸は沈殿しなかった。500mlの酢酸エチルを用いて抽出を行った。減圧濃縮して乾燥した後、この「抽出物1」は、14.10g(92.67mmol、理論値の20.8%)の残留物からなっていた。次いで、さらに19mlの37%塩酸を攪拌しながら水相に滴下すると、pHが4.2から2.44に低下し、再び濁りが生じた。500mlの酢酸エチルを用いて抽出を行った。減圧濃縮して乾燥した後、この「抽出物2」は、29.57g(194.35mmol、理論値の43.7%)の残留物からなっていた。18.5mlの37%塩酸を攪拌しながら水相に滴下すると、pHが2.99から1.08に低下した。500mlの酢酸エチルを用いて抽出を行った。減圧濃縮して乾燥した後、この「抽出物3」は、12.62g(82.94mmol、理論値の18.6%)の残留物からなっていた。この水相(pH1.4)をもう1回500mlの酢酸エチルで抽出した。減圧濃縮して乾燥した後、この「抽出物4」は、3.71g(24.38mmol、理論値の5.5%)の残留物からなっていた。四つの残留物(抽出物1〜4)全ての融点(DSC測定値)は、133.2℃〜133.5℃であった。1H NMRスペクトル(400MHz、DMSO−d6)によれば、四つの残留物は全て高純度のマンデル酸からなっていた。各残留物のサンプルを、ジエチルエーテル中のジアゾメタンの溶液でメチルエステルに誘導体化し、エナンチオマー過剰を見出すために、GCにより、キラル相を有する毛管カラムを用いて分析した[0.25μmのLipodex−Eで被覆された50m×0.25mm ID溶融シリカ毛管カラム(Ser. No.723369、カラムNo.20174−32)。オーブン温度:115℃、等温、インジェクター:200℃、検出器:220℃、流速:2.0mlのHe/分。スプリット:1:100。(S)−(+)−マンデル酸(メチルエステルとして)の保持時間は、24.73分であった。ラセミ体の比較サンプルを用いて測定したところ、(R)−(−)−マンデル酸(メチルエステルとして)の保持時間は、25.90分であった]。何れの残留物(抽出物1〜4)でも(R)−(−)−マンデル酸を検出できなかった。従って、合計60.0g(394.35mmol、理論値の88.6%)の(S)−(+)−マンデル酸を100%eeで回収した。
従って、(S)−(+)−マンデル酸を工業的規模で回収するために、水性母液を連続的に、例えば向流方法で、例えば酢酸エチルを用いて、37%塩酸を連続的に添加してpHを2.5〜1.0の範囲内に維持することにより抽出するという可能性がある。
実施例12
式(C)の主成分を有するオキサボリナン[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル]の混合物の合成および単離
精密ガラス攪拌器、内部温度計および隔壁を備えた250mlの4頚フラスコ中で、75mlのトルエン中の6.37g(15mmol)のマンニッヒ塩基(I)[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル]の懸濁液を、氷浴を用いて+1℃の内部温度に冷却した。2分以内に、4.47ml(45mmol、3.0当量)のボラン−ジメチルスルフィド(ジメチルスルフィド中95%)をシリンジから加えると、最高内部温度は+3℃になった。冷却浴を除去し、この懸濁液を15分以内に+18℃に加熱した。この明黄色懸濁液をこの温度で45分間激しく攪拌した。
この懸濁液のHPLC分析[8.0μlのアセトニトリル溶液を、250×4mmスチールカラムNucleosil 100−5 C18、5μm、流速1.0ml/分で注入、検出254nm、溶出剤A:水(900ml)/アセトニトリル(100ml)/トリフルオロ酢酸(1.00ml)、溶出剤B:水(100ml)/アセトニトリル(900ml)/トリフルオロ酢酸(0.75ml);線形勾配による溶出:0〜2分(75%A、25%B)、22〜26分(35%A、65%B)、27分(75%A、25%B)]は、2%を除く全部のマンニッヒ塩基(I)が反応したことを示した((I)およびカラム上で生成する逆マンニッヒ生成物は、tret3〜4分にショルダーを有する広いピークを与えた)。トルエンピーク(tret20.8分)、幾つかの小さいピーク、および3%の1,3−アミノアルコール(II)(tret12.4分)に加えて、比較的長い保持時間の二つのピークを検出し(「ピーク1」tret25.5分、「ピーク2」tret28.6分)、その合計ピーク面積は全てのピーク(トルエンピーク以外)の93%となった。これら二つのピーク間で、再び基線値に達することがなかった(プラトーに留まる)。これは、カラム上で化合物「ピーク1」から化合物「ピーク2」に変換したことを意味する。
上記懸濁液を+5℃に冷却し、5mlの水と素早く混合し、次いで室温で5分間攪拌した。この懸濁液をブフネルロートで濾過した。この極めて淡い黄色の固体をトルエン(2×10ml)で洗浄し、窒素中で+45℃/150mbarで乾燥した。6.22g(式(C)に基づき14.26mmol、理論値の95%)の無色粉末を得た。
DSCにおいて、この粉末は104.6℃で弱い吸熱ピーク(−9.5J/g)、および166.8℃で極めて強い発熱(1718J/g)分解ピーク(157℃で始まる)を示した。
「ピーク1」に関し、HPLC−MS(APIポジティブ)は、式(C)の実験式C2521BN43(分子量436.28)に相当するM+H+:m/z=437.3を与えた。「ピーク2」に関し、次の質量ピーク:488.3、449.2および439.3を検出した。これは多分、1,3−アミノアルコール(II)のホウ酸付加物[C252243×H3BO3、分子量488.3]である。ホウ酸およびアミノアルコール(II)は、水性酸性媒質中でのオキサアザボリナン(C)の予期された加水分解生成物である。
最後に、無色粉末(C)のサンプルを、過剰のメタノール中の3.0当量のメタンスルホン酸を用いて+20℃でソルボリシスする。この反応混合物のHPLC分析で、「ピーク1」および「ピーク2」の事実上完全な消失(<1%)を示し、これと同時に、アミノアルコール(II)(94%)およびそのジアステレオマーdia−(II)(tret8.2分、4%)のピークが連続的に増加した。実施例19と同様の仕上げ処理は、純粋なアミノアルコール(II)の二塩酸塩(100%ee、99.5%de)を理論値の75%の収率で与えた。
実施例13
室温での動的光学分割を用いた四成分カップリングによる式(III)の光学活性マンニッヒ塩[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル]の合成;eeの経時変化の監視(表1);キラル助剤として(+)−ジピ
バロイル酒石酸[HY*-=(+)−DPTA]および溶剤としてエタノールを使用(表2、No.5):
最初に60mlのエタノール(トルエンで変性)を攪拌しながら、精密ガラス攪拌器、窒素供給管およびバブルカウンターを備えた100mlの3頚丸底フラスコに装入し、4.63g(23.5mmol、1.00当量)の2−ピリジルメチルフェニルケトン、2.77g(29.4mmol、1.25当量)の2−アミノピリジン、4.26g(28.2mmol、1.20当量)の2−ニトロベンズアルデヒドおよび7.48g(23.5mmol、1.00当量)の(+)−ジピバロイル酒石酸を順次に導入した。約10分後、透明な黄色溶液が生成し、これは約15分後に濁ってき始めた。エナンチオマー的に純粋な(+)−DPTA塩の種結晶(10mg)を加えると、黄色懸濁液が生じ、これを窒素雰囲気中、室温で14日間攪拌した。表1から分かる各時点で、反応懸濁液の小アリコートを抜き取り、これに含まれる固体を微量濾別により母液から分離し、実施例1に記載したように(−)−カンファノイルクロリドで誘導体化し、HPLCにより分析した。eeの経時変化は表1に報告されている。14日目に、所望のエナンチオマー:所望しないエナンチオマーの比は97.67:2.33であり、95.34%eeに相当した。今は白色の懸濁液を濾別し、フィルター残留物を母液で、次いで毎回10mlのエタノールで2回洗浄した。この固体を45℃で2時間、高真空乾燥した。11.45g(9.81mmol、理論値の83.6%)の白色固体を得た。これは、1H NMRおよび滴定によれば、DPTAジアニオン当り2個のマンニッヒ塩基カチオンを含んでいた。抜き取った10個の中間サンプルは有意な量の生成物を消費したので、実際の収率は理論値の90%を超えたと推定することができる。
実施例14
40℃での動的光学分割を用いた四成分カップリングによる式(III)の光学活性マンニッヒ塩[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル]の合成。キラル助剤として(+)−ジピバロイル酒石酸[HY*-=(+)−DPTA]および溶剤としてエタノールを使用(表2、No.6):
精密ガラス攪拌器、窒素供給管、およびバブルカウンター付き還流冷却器を備えた250mlの4頚丸底フラスコ中で、5.06g(25.65mmol、1.00当量)の2−ピリジルメチルフェニルケトンを、60mlの無水エタノールに溶解した。10分以内に、2.99g(31.76mmol、1.24当量)の2-アミノピリジン、4.61g(30.53mmol、1.19当量)の2−ニトロベンズアルデヒドおよび8.08g(25.38mmol、0.99当量の(+)−DPTAを順次に、40℃の内部温度で加え、それぞれの添加を、固体が完全に溶液に移行するのにちょうど必要な時間量だけ待った後に行った。透明な黄色溶液を得た。これは25分後に黄色懸濁液に変わった。次いで反応混合物を40℃で一夜攪拌した。直後に採取して誘導体化したサンプルは、固体のエナンチオマー過剰が4.16時間後に55.7%ee、20時間後に93.0%eeであったことを示した。23時間後に加熱浴を除去し、懸濁液を15分以内に23℃に冷却し、沈殿を吸引濾別し、10mlのエタノールで2回洗浄し、次いで45℃で高真空乾燥した。14.89g(12.76mmol、25.52mmolの表題で特定した置換基を有するマンニッヒ塩基(I)、理論値の99.5%)を、極めて淡い黄色固体として得た。1H NMRおよび滴定によれば、この塩は、2:1比の(I)およびDPTAからなっていた。エナンチオマー過剰は95.9%eeであった。
実施例15
60℃での動的光学分割を用いた四成分カップリングによる式(III)の光学活性マンニッヒ塩[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル]の合成。キラル助剤として(S)−(+)−マンデル酸[HY*-=(+)−MDLA]および溶剤としてエタノールを使用(表3、No.7):
温度センサーおよび機械的タービン攪拌器を備えた2リットルのジャケット付き反応器
(循環サーモスタットに接続)中で、97.2g(492.4mmol、1.00当量)の2−ピリジルメチルフェニルケトンを、1200mlのエタノール(メチルエチルケトンで変性)に室温で溶解した。15分間かけて、内部温度を40℃に高めた。この温度で、55.66g(591.4mmol、1.20当量)の2−アミノピリジン、89.37g(591.4mmol、1.20当量)の2−ニトロベンズアルデヒドおよび149.96g(985.6mmol、2.00当量)の(S)−(+)−マンデル酸を順次に加えた。その直後に、反応混合物の内部温度を60℃に高めて、透明溶液を得た。この加熱操作を30分間持続し、15分後に第一の沈殿形成を観察することができた。実施例1に従ったサンプルの抜き取り/誘導体化/HPLC分析により、2時間後に91.5%ee、3.5時間後に93.0%ee、4.5時間後に94.4%eeの沈殿のエナンチオマー過剰を測定することができた。反応混合物を2時間以内に20℃に冷却した。沈殿を吸引濾別し、50mlのエタノールで3回洗浄し、次いで50mbarの真空下に40℃で一定重量となるまで乾燥した。262.4g(455.2mmol、理論値の92.4%)の表題で特定した置換基を有するマンデル酸塩(III)を得た。融点は153〜154℃であった。1H NMRによれば、それは相当するマンニッヒ塩基(I)およびマンデル酸を1:1の比で含んでいた。エナンチオマー純度は、カンファノイルクロリドでの誘導体化により94.4%ee、実施例2に従った、より正確なピバロイル誘導体化方法により97.5%eeであった。
実施例16
40℃での動的光学分割を用いた四成分カップリングによる式(III)の光学活性マンニッヒ塩[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル]の合成。キラル助剤として(S)−(+)−マンデル酸[HY*-=(+)−MDLA]および溶剤としてアセトンを使用(表3、No.20):
温度センサーおよび機械的タービン攪拌器を備えた2リットルのジャケット付き反応器(循環サーモスタットに接続)中で、97.2g(492.4mmol、1.00当量)の2−ピリジルメチルフェニルケトンを、1200mlのアセトンに室温で溶解した。15分間かけて、内部温度を40℃に高めた。この温度で、55.66g(591.4mmol、1.20当量)の2-アミノピリジン、89.37g(591.4mmol、1.20当量)の2−ニトロベンズアルデヒドおよび149.96g(985.6mmol、2.00当量)の(S)−(+)−マンデル酸を順次に加えると、透明溶液を生じ、これを40℃でさらに攪拌した。4.5時間後に第一の沈殿形成を観察することができた。24時間後、実施例1に従ったサンプルの抜き取り/誘導体化/HPLC分析は、97.0%eeの沈殿を与えた。この懸濁液を2.5時間以内に25℃の内部温度に冷却した。この懸濁液を吸引濾別し、50mlのアセトンで3回洗浄し、50mbarの真空下に40℃で乾燥した。250.4g(434.4mmol、理論値の88.2%)の表題で特定した置換基を有するマンデル酸塩(III)を、156〜158℃の融点を有する殆ど無色の固体として得た。1H NMRによれば、それは相当するマンニッヒ塩基(I)およびマンデル酸を1:1の比で含んでいた。エナンチオマー純度は、カンファノイルクロリドでの誘導体化(実施例1)により95.7%ee、より正確なピバロイル誘導体化方法(実施例2)により97.0%eeであった。
実施例17
40〜60℃での動的光学分割を用いてその場で予備形成したシッフ塩基とのカップリングによる式(III)の光学活性マンニッヒ塩[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル]の合成;キラル助剤として(S)−(+)−マンデル酸[HY*-=(+)−MDLA]および溶剤として酢酸n−ブチルを使用(表3、No.23):
還流冷却器を取り付けた水分離器、精密ガラス攪拌器、窒素供給管および真空接続器を備えた1リットルの4頚丸底フラスコ中で、500mlの酢酸n−ブチル中の25.87
g(275mmol)の2-アミノピリジンおよび37.75g(250mmol)の2−ニトロベンズアルデヒドの溶液を、100mbarおよび70℃の浴温(50〜60℃の内部温度)で還流加熱すると、22時間以内に水分離器中に約4.7mlの水の分離が生じた。
次いで、この混合物を窒素雰囲気中22℃で一夜放置した。次いで、49.2g(25
0mmol)の2−ピリジルメチルフェニルケトンを攪拌しながら加え、その全部が溶解したとき、45.6g(300mmol)の(S)−(+)−マンデル酸を加え、40℃の内部温度に加熱した。5分後に沈殿の生成を観察した。40℃で3時間後に、さらに60℃に加熱し、攪拌をこの温度で24時間続けた。この懸濁液を攪拌しながら25℃に冷却し、ついで沈殿を吸引濾別し、50mlの酢酸n−ブチルで2回洗浄し、50℃で減圧乾燥した。134.6g(233.4mmol、理論値の93.4%)の表題の置換基を有するマンデル酸塩(III)を得た。1H NMRによれば、それは相当するマンニッヒ塩基(I)およびマンデル酸を1:1の比で含んでいた。エナンチオマー純度は、カンファノイルクロリドでの誘導体化(実施例1)により95.4%ee、より正確なピバロイル誘導体化方法(実施例2)により98.0%eeであった。
実施例18
表8:光学活性遊離マンニッヒ塩基(I)[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル、式(XVII)の化合物に相当する]からエナンチオマー的に純粋な1,3−アミノアルコール(XIX)を生成するジアステレオ選択的還元、および後続の仕上げ処理のための典型的な操作法(表8、No.29):
精密ガラス攪拌器、滴下ロートおよび内部温度計を備えた500mlの4頚フラスコ中で、21.39g(50.39mmol、1.0当量)のマンニッヒ塩基(XVII)(化学純度>99%、95.6%ee、0.36%のH2O)を、窒素雰囲気中で160mlのトルエンに懸濁させ、氷浴を用いて+1℃の内部温度に冷却した。この温度で、10.18g(125.97mmol、2.5当量)のボラン−ジメチルスルフィド錯体(ジメチルスルフィド中94%)を25分以内に滴下すると、内部温度は+2℃に上昇した。添加が完了したとき、この混合物を30分以内に+20℃に加熱し、この温度でさらに攪拌すると、この黄色懸濁液がベージュ色に変わった。15分後に反応を監視(実施例12のようにHPLC)すると、(XVII)が事実上完全に消費され、一般式(C)の相当するオキサアザボリナンとそのオリゴマーとの平衡が形成されたことを示した。20℃で1.5時間の全攪拌時間後に、70mlのメタノールを、氷浴で冷却しながら+15℃〜+22℃の反応混合物の内部温度で10分以内に滴下した。この添加中にガスの発生を観察した。次いで6.5ml(100.78mmol、2.0当量)のメタンスルホン酸を、氷浴で冷却しながら20℃の内部温度で10分以内に滴下すると、激しいガスの発生および発熱を観察した。添加が終了するころに黄色溶液が生成し、これを平均ないし高速で、+40〜+45℃の内部温度で攪拌した。1.25時間の攪拌時間後に、反応をHPLCにより254nmで監視すると、合計6.1%の「逆マンニッヒ」分解生成物、中間体オキサアザボリネートの完全消失および94.3:5.6の還元のジアステレオ選択率を示した。40〜45℃で合計1.75時間後に、この混合物を回転蒸発器において+40℃/350〜150mbarで濃縮し、78mlの蒸留物(メタノール、トリメチルボレート、若干のトルエン)を除去した。生成した2相混合物(トルエンおよび分離した黄色油状物)を30mlの2N塩酸と混合し、抽出した。黄色の水性酸性相を除去し、トルエン相を5mlの2N塩酸および10mlの水で再抽出した。HPLCによれば、そのときトルエン相は生成物(XIX)をもはや含んでおらず、捨てた。一緒にした生成物含有水性酸性相を200mlの1−ブタノールに溶解し、精密ガラス攪拌器および滴下ロートを備えた500mlの4頚フラスコ中で、+20℃の内部温度で10分以内に95ml(190mmol、3.77当量)の2N水酸化ナトリウム溶液と混合して、橙黄色エマルジョンを得、これをさらに5分間攪拌した。橙黄色の生成物含有ブタノール相(上)を、無色透明な水相(下、pH10)から除去し、85mlの1−ブタノール/水を、回転蒸発器において+50℃の浴温および250〜45mbarで共沸蒸留除去した。生成したブタノール中の(XIX)の濃縮溶液を、精密ガラス攪拌器、滴下ロートおよび内部温度計を備えた500mlの4頚フラスコ中で、窒素中で+45℃の内部温度に加熱し、滴下ロートからの11.1ml(110mmol、2.18当量)の30%塩酸と5分以内に混合すると、内部温度は+48℃に上昇し、黄色溶液が生じた。この溶液を1時間以内に+20℃の内部温度に冷却すると、白色の二塩酸塩の結晶化およびペースト状懸濁液の生成が始まった。次いで、この混合物を10分以内に+5℃に冷却し、この温度でさらに15分間攪拌した。次いで、この粘稠な懸濁液をブフネルロートで濾過し、白色フィルターケーキおよび黄色濾液を得た。フィルターケーキを2×20mlの1−ブタノールで洗浄し、吸引濾別した後、真空乾燥キャビネット中40℃/100mbarで乾燥した。20.22g((XIX)・2HClとして計算して40.48mmol)の白色結晶性個体を得た。HPLCによれば、それは99.8%の(XIX)および<0.1%のジアステレオマーdia−(XIX)を含んでいた。エナンチオマー純度は100%eeであった。滴定(酸/塩基、そしてまたクロリド滴定)および1H NMRによれば、(XIX)は二塩酸塩として存在していた。1H NMRによれば、11.5重量%(87.5モル%に相当)の1−ブタノールが存在していた。高真空下40〜50℃での乾燥を延長しても、ブタノールを除去できなかった。この挙動は、1−ブタノールから沈殿した表8の全ての二塩酸塩で観察された。ブタノール含有量は例外なく85〜97モル%であったので、この生成物は(II)−二塩酸塩の一ブタノール溶媒和物であると考えることができる。生成物質量を、ブタノール含有量を無視して二塩酸塩として計算した場合、収率は理論値の80.3%であった。この収率は、使用した反応体(XVII)の不完全なエナンチオマー純度(93.4%ee)を考慮することなく、その質量に基づくものである[テルケル収率として知られている]。
実施例19
表8、No.33に従った、光学活性遊離マンニッヒ塩基(I)[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル、式(XVII)の化合物に相当する]からエナンチオマー的に純粋な1,3−アミノアルコール(XIX)を生成するジアステレオ選択的還元;還元剤としてボラン−ジメチルスルフィド錯体を使用;最適化した仕上げ処理
精密ガラス攪拌器、滴下ロートおよび内部温度計を備えた1リットルの4頚丸底フラスコ中で、63.63g(150mmol、1.0当量)のマンニッヒ塩基(XVII)(化学純度>99%、93.4%ee、0.02%のH2O)を、窒素雰囲気中で400mlのトルエンに懸濁させ、氷浴を用いて+1℃の内部温度に冷却した。この温度で、31.60g(391.1mmol、2.6当量)のボラン−ジメチルスルフィド錯体(ジメチルスルフィド中94%)を15分以内に滴下すると、内部温度は+4℃に上昇した。添加が完了したとき、この混合物を30分以内に+20℃に加熱し、次いでこの温度でさらに攪拌すると、この黄色懸濁液がベージュ色に変わった。2.5時間後に反応を監視(実施例12のようにHPLC)すると、(XVII)が事実上完全に消費され、オキサアザボリナンの平衡が形成されたことを示した。20℃で4時間の全攪拌時間後に、190mlのメタノールを、氷浴で冷却しながら+15℃〜+22℃の反応混合物の内部温度で10分以内に滴下した。この添加中にガスの発生を観察した。次いで31.1ml(478.9mmol、3.19当量)のメタンスルホン酸を、同様に+15℃〜+22℃の内部温度で20分以内に滴下すると、激しいガスの発生および発熱を観察した。酸の全量の2/3を導入したとき、黄色溶液を得た。添加が完了したとき、さらに53mlのメタノールを用いて滴下ロートをすすぎ、攪拌を+20〜+22℃で続けた。1時間の攪拌時間後に、反応を254nmでHPLC監視すると、合計5.4%のマンニッヒ塩基(XVII)および「逆マンニッヒ」分解生成物、5.3%のdia−(XIX)および88.4%の(XIX)、そしてまた、中間体オキサアザボリネートの完全消失を示した。従って、粗製反応溶液中のジアステレオ選択率は94.4:5.6であった。この混合物を室温(+18〜+22℃の内部温度)で一夜攪拌し、翌日に、回転蒸発器において+40℃の浴温および400〜150mbarで、380mlの最終体積まで濃縮し、メタノール、トリメチルボレート、若干のトルエンを除去した。生成した2相混合物を+10℃〜+25℃の内部温度で212mlの水と混合し、攪拌を5分間続けけた後、相が分離した。トルエン相を捨てた。黄色の生成物含有水相(約330ml)を、303mlの1−ブタノールに溶解し、精密ガラス攪拌器および滴下ロートを備えた1リットルの4頚フラスコ中で、+10℃〜+15℃の内部温度で10分以内に61.72g(509.2mmol、3.39当量)の2N水酸化ナトリウム溶液と混合して、橙黄色エマルジョンを得た。添加が完了したとき、この混合物をさらに5分間攪拌した。橙黄色の生成物含有ブタノール相(約390ml、上)を、事実上無色透明の水相(下、pH9)から除去し、回転蒸発器において+50℃の浴温および300〜50mbarで、115mlの蒸留物(1−ブタノール/水)が共沸蒸留除去されるような程度まで濃縮した。生成したブタノール中の(XIX)の濃縮溶液を、精密ガラス攪拌器、滴下ロートおよび内部温度計を備えた500mlの4頚フラスコ中で、窒素中で+49℃の内部温度に加熱し、滴下ロートからの39.24g(322.9mmol、2.15当量)の30%塩酸と5分以内に混合すると、内部温度は+53℃に上昇し、黄色溶液が生じた。この溶液を15分以内に+20℃の内部温度に冷却すると、白色の二塩酸塩の結晶化およびペースト状懸濁液の生成が始まった。+20℃で30分の攪拌時間後に、この混合物を30分以内に+1℃に冷却し、この温度でさらに1時間攪拌した。次いで、ブフネルロートによる濾過を行って、白色フィルターケーキおよび黄色濾液を得た。フィルターケーキを2×60mlの1−ブタノールで洗浄し、吸引乾燥した後、真空乾燥キャビネット中で穏やかな窒素気流中40℃および50mbarで乾燥した。62.7g(125.55mmol)の(XIX)・2HClを白色結晶性個体として得た。HPLCによれば、それは99.68%の(XIX)および0.14%のジアステレオマーdia−(XIX)を含んでいた。エナンチオマー純度は100%eeであった。滴定および1H NMRによれば、(XIX)は二塩酸塩として存在していた。1H NMRによれば、11.5重量%(87.5モル%に相当)の1−ブタノールが存在していた。生成物重量(62.7g)を、ブタノール含有量を無視して二塩酸塩として計算した場合、収率は理論値の83.7%であった。この収率は、使用した反応体(XVII)の不完全なエナンチオマー純度(93.4%ee)を考慮することなく、その重量に基づくものである[テルケル収率として知られている]。(XIX)−二塩酸塩のブタノール含有量を考慮し、そして仕上げ処理で除去された使用反応体(XVII)のラセミ体割合(6.6%)を差し引いた場合、収率は理論値の79.4%であった。ブタノールについて補正した収率が反応体(XVII)全量に基づく場合、収率は74.1%であった。
実施例20
クロロトリメチルシランおよび水素化ホウ素ナトリウムからその場で生成したボランを用いた、光学活性遊離マンニッヒ塩基(I)[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル、式(XVII)の化合物に相当する]からエナンチオマー的に純粋な1,3−アミノアルコール(XIX)を生成するジアステレオ選択的還元(表8、No.34)
精密ガラス攪拌器、還流冷却器、内部温度計および隔壁を備えた500mlの4頚丸底フラスコ中で、1.70g(45.0mmol、3.0当量)の水酸化ナトリウムを、215mlのテトラヒドロフランに懸濁させた。4.89g(45.0mmol、3.0当量)のクロロトリメチルシランを(シリンジで)加えた後、この懸濁液を50℃の内部温度で45分間、平均ないし高速で攪拌すると、微結晶性の白色固体が沈殿した。次いで、この懸濁液を+1℃に冷却し、5分以内に6.36g(15.0mmol、1.0当量)のマンニッヒ塩基(XVII)と混合すると、内部温度が+3℃に上昇し、淡黄色懸濁液が生じた。この混合物を15分以内に20℃に加熱し、この温度で攪拌を続けた。30分後のHPLC監視は、(XVII)が事実上完全にオキサアザボリナン(C)に変換したことを示した。20℃で2時間の全攪拌時間後に、この混合物に25mlのメタノールを10〜15℃で5分以内に滴下した。次いで、3.1ml(47.9mmol、3.19当量)のメタンスルホン酸を5分以内に加えた。次いで、この混合物を20℃の内部温度でさらに攪拌した。15分後のHPLC監視は、23%の(XVII)および72%の(C)を示した。30分の攪拌時間後に、この混合物にさらに50mlのメタノールおよび3.1ml(47.9mmol、3.19当量)のメタンスルホン酸を20℃で加えた。次いで、この混合物を40〜43℃の内部温度で攪拌した。さらに30分後のHPLC監視は、(C)が完全に(XIX)(85.1%)、dia−(XIX)(5.4%)、そしてまた、(XVII)および逆マンニッヒ分解生成物(合計8.5%)に変換したことを示した。40〜43℃で1時間の全攪拌時間後に、この黄色懸濁液を濾過して塩を除去し、濾液を回転蒸発器で40℃および400〜20mbarで十分に濃縮した。残った黄色の粘稠油状物を50mlの水中で+4℃で一夜貯蔵した。この水性生成物相を、精密ガラス攪拌器、滴下ロートおよび内部温度計を備えた250mlの4頚丸底フラスコ中で、60mlの1−ブタノールに窒素中で溶解し、11.96g(98.7mmol、6.58当量)の33%水酸化ナトリウム水溶液と、5分以内に15〜22℃で混合した。この橙黄色懸濁液を5分間攪拌し、黄色のブタノール相を無色の水相(pH13〜14)から分離した。このブタノール相を、50℃および200〜20mbarで、22mlの蒸留物(ブタノール/水)が共沸除去されるような程度まで濃縮した。生成した濃縮ブタノール溶液を、精密ガラス攪拌器、滴下ロートおよび内部温度計を備えた100mlの4頚フラスコ中で、窒素中で47℃の内部温度に加熱し、4.00g(33.0mmol、2.20当量)の塩酸と5分以内に混合すると、内部温度が50℃に上昇し、透明な橙赤色溶液が生じた。これを15分以内に15℃に冷却すると、白色の二塩酸塩の結晶化の開始が生じ、ペースト状懸濁液を得た。30分の攪拌時間後に、この混合物を15分以内にさらに1℃に冷却し、攪拌をこの温度で1時間続けた。沈殿を吸引濾別し、10mlのブタノールで2回洗浄し、穏やかな窒素気流中40℃及び50mbarで乾燥した。5.60g(11.21mmol、理論値の74.8%)の白色固体を得た。これは、HPLCによれば、>99%eeを有し、99.6%の(XIX)および0.2%のdia−(XIX)からなっていた。1H NMRは、12.0%の1−ブタノール含有量を示した。水含有量(カール−フィッシャー滴定)は、0.99%であった。クロリド滴定は、1モルの(XIX)当り1.97当量のクロリドイオンを与えた。
実施例21
表7、No.23に従った、水/アセトン中のNaHCO3によるマンデル酸塩(XVIII)[Y*=(S)−(+)−マンデル酸塩]からのマンニッヒ塩基(I)[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル、式(XVIII)の化合物に相当する]の遊離化
温度センサーおよび機械的タービン攪拌器を備えた2リットルのジャケット付き反応器(循環クリオスタットに接続)中で、228.6g(396.6mmol、1.0当量)のマンデル酸塩(XVIII)(95.6%eeの存在するマンニッヒ塩基(XVII))を、窒素雰囲気中で攪拌しながら、1143mlの水に室温で懸濁させた。次いで、この白色懸濁液を+10℃の内部温度に冷却した。66.64g(793.24mmol、2.0当量)の炭酸水素ナトリウムを加え、5分後に114mlのアセトンを加えた。次第に黄色になった懸濁液を+10℃の内部温度で攪拌した。サンプルの採取、濾過および固体の1H NMRにより、変換を監視した。4.5時間後に、まだ15.4%のマンデル酸が、7.4時間後に、まだ9.1%が存在していた。一夜攪拌した後、マンデル酸はもはや検出されなかった。この懸濁液を吸引濾別し、フィルターケーキを毎回50mlの水で3回洗浄した。固体を真空乾燥キャビネット中40℃および約50mbarで乾燥した。168.25g(396.4mmol、理論値の99.95%)の遊離マンニッヒ塩基(XVII)を黄色粉末として得た、96.8%ee(実施例1によるカンファノイル法)または96.2%ee(実施例2によるピバロイル法)、融点153〜154℃、カール−フィッシャー滴定による残留水含有量:0.32重量%。1H NMRおよびHPLCは、それがマンデル酸をもはや含まない単一化合物であることを確認した。1H NMRはまた、(XVII)のアンチ−ジアステレオマー含有量が1%未満であったことを示した。
実施例22
表7、No.21に従った、水/エタノール中の恒常pH8.5の2N水酸化ナトリウムによるマンデル酸塩(XVIII)[Y*=(S)−(+)−マンデル酸塩]からのマンニッヒ塩基(I)[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル、式(XVII)の化合物に相当する]の遊離化
温度センサーおよび機械的ベル攪拌器を備え、Metrohm 718 STAT−Titrino自動滴定装置が接続された10リットルのジャケット付き反応器(循環クリオスタットに接続)中で、反応を行った。自動滴定装置に1150mlの2.00N水酸化ナトリウム溶液を満たし、そして反応懸濁液中に浸漬したガラス電極により制御し、次のパラメーター:最高計量添加速度20ml/分、最低計量添加速度4ml/分、毎回60秒の記録時間間隔、pHmax8.5に設定した。自動滴定装置の滴下チップを反応懸濁液中に浸漬した。反応器のジャケット温度を、反応懸濁液の温度が20〜25℃の範囲内に維持されるように制御した。
室温で、1311.3g(2.274mmol、1.0当量)のマンデル酸塩(XVIII)(94.4%eeの存在するマンニッヒ塩基(XVII)、約1.3%の(XVII)のアンチ−ジアステレオマー)を、窒素雰囲気中で攪拌しながら、室温で5686mlの水に懸濁させ、569mlのエタノール(メチルエチルケトンで変性)を加えた。懸濁液のpH(滴定の開始前)は、4.8であった。滴定装置にスイッチを入れた後、pHは短時間にpH9.7の最高に達した。僅か30秒後に、反応懸濁液の色は淡黄色から強い黄色に変わった。最初は高い計量添加速度は、時間が経つとかなり遅くなった。4時間後に、理論量の92%の水酸化ナトリウム溶液が計量添加された。この混合物を恒常pH条件(pH8.5)で一夜攪拌した。翌朝、計量添加は停止した。懸濁液のpHは8.72であり、合計1139.6ml(理論値の100.2%)が滴定により添加された。この懸濁液を吸引濾別し、フィルターケーキを500mlの水で4回洗浄した。固体を、窒素雰囲気下の真空乾燥キャビネット中で、40℃および約100mbarで28時間、次いで25℃および100mbarで70時間、最後に高真空下(10-2mbar)40℃でさらに20時間乾燥した。960.9g(2.26mmol、理論値の99.5%)の遊離マンニッヒ塩基(XVII)を微細な明黄色粉末として得た、95.6%ee(実施例2によるピバロイル法)、融点150〜152℃、カール−フィッシャー滴定による残留水含有量:0.35重量%。1H NMRおよびHPLCは、それがマンデル酸をもはや含まない単一化合物であることを確認した。1H NMRはまた、(XVII)のアンチ−ジアステレオマー含有量が約1.2%であったことを示した。
実施例23
表9、No.18に従った、光学活性マンデル酸塩(III)[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル、HY*=(S)−(+)−マンデル酸、式(XVII)の化合物に相当する]から1,3−アミノアルコール(XIX)を生成するジアステレオ選択的還元;塩酸を用いるオキサアザボリナンのソルボリシス
精密ガラス攪拌器、バブルカウンター付き滴下ロート、内部温度計および窒素供給管を備えた1リットルの4頚丸底フラスコ中で、30.0g(52.0mmol、1.0当量)のマンデル酸塩(XVIII)(96.5%eeの存在するマンニッヒ塩基(XVII)を、400mlのTHFに懸濁させ、氷浴により+1℃に冷却した。15.5ml(156mmol、3.0当量)のボラン−ジメチルスルフィド錯体(95%)を、窒素雰囲気中+1〜+3℃の反応温度で10分以内に滴下した。添加が完了したとき、氷浴を除去し、反応混合物を15分以内に23℃にとなし、次いでさらに1.5時間攪拌した。サンプル採取/HPLC分析は、(XVIII)からオキサアザボリナン(C)への変換が僅かに1時間後に完了したことを示した。反応混合物を氷浴で再び1℃に冷却し、次いで25mlの水を12℃の最高内部温度で徐々に滴下した。これは激しいガスの発生を生じ、溶液は淡黄色になった。ガスの発生が完了するまで(30分)、攪拌を室温で続けた。白色固体が沈殿した。THFを反応混合物から40℃および約100mbarで蒸留除去した。蒸留が終了するころに、十分な水流真空(約20mbar)を5分間適用した。+5℃に冷却した後、200ml(2400mmol)の濃塩酸(37%)を20℃の反応混合物の内部温度で徐々に滴下し、次いでこの混合物を40℃で1時間攪拌した。1,3−アミノアルコール(XIX)は塩酸塩として溶液に移行し、ホウ酸は沈殿した。結晶化を完了させるために、この懸濁液を冷蔵庫中4℃で一夜放置した。ホウ酸を吸引濾別し、40mlの水で洗浄した。減圧乾燥した後、その重量は7.23g(116.9mmol、理論値の75%)であった。酸性濾液は250mlの全容量を有した。精密ガラス攪拌器および滴下ロートを備えた1リットルの4頚フラスコ中で、96g(2400mmol)の水酸化ナトリウム溶液を、520mlの水に溶解し、13℃に冷却し、次いで上記の酸性濾液を15℃の最高内部温度で徐々に滴下した。粗製1,3−アミノアルコール(XIX)は荒い結晶の形で沈殿した。この懸濁液を室温でさらに1時間攪拌し、次いで沈殿を吸引濾別し、250mlの水で洗浄した(洗浄水が濾液に流れたときに生成した沈殿は、主に極性不純物からなっていたので、捨てた)。粗製(XIX)を真空乾燥キャビネット中40℃および約100mbarで乾燥した。20.7g(48.54mmol、理論値の93.4%)の淡黄色個体を得た。これを100mlのジイソプロピルエーテルに懸濁させ、55℃で1時間、激しく攪拌した。この固体を吸引濾別し、100mlのジイソプロピルエーテルで洗浄し、40℃および約100mbarで減圧乾燥した。17.5g(41.0mmol、理論値の78.9%)の淡黄色粉末を得た。これは、HPLC分析によれば、純度95%であり、3.1%のジアステレオマーdia−(XIX)および1.8%の副生物からなっていた。
実施例24
表10、No.5に従った、光学活性マンニッヒ基(III)[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル、HY*=(+)−DPTA]から、式(XIX)の化合物に相当する一般式(II)の1,3−アミノアルコールを生成するジアステレオ選択的還元;塩酸を用いるオキサアザボリナンのソルボリシス
精密ガラス攪拌器、隔壁、バブルカウンター、内部温度計および窒素供給管を備えた250mlの4頚丸底フラスコ中で、10.0g(8.57mmol;化合物(XVII):DPTA比の1H NMR測定によれば、16.08mmolの(XVII)を含有する;1.0当量)のDPTA塩(III)(95.1%eeの存在するマンニッヒ塩基(XVII))を、100mlのTHFに懸濁させ、次いで0〜5℃の内部温度に冷却した。7.63ml(80.45mmol、5.0当量)のボラン−ジメチルスルフィド錯体(95%)を、窒素雰囲気中で15分以内にシリンジにより滴下した。次いで氷浴を除去し、この懸濁液を室温に加熱した。室温で20分後に、透明溶液となった。サンプルの採取およびHPLC分析は、(III)が定量的にオキサアザボリナン(C)に変換したこと、および僅かに2〜3の副生物が生成したことを示した。45mlの水を15分以内に滴下したところ(ガスの発生、激しい発泡)、内部温度が40℃に上昇した。10mlの37%塩酸を15分以内に滴下すると、内部温度が60℃に上昇した。60℃で15分後に、HPLC分析は、ホウ素化合物がもはや存在しないこと、および(XIX)が主生成物として生成したことを示した。30mlの33%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを13に調節し、次いで反応混合物を室温に冷却し、100mlのジクロロメタンで2回抽出した。一緒にした有機抽出物を減圧蒸発させて乾燥し、残留物(固形泡状物)を真空乾燥キャビネット中40℃および50mbarで乾燥した。8.11gの淡黄色粉末を得た。これは、HPLCアッセイによれば、(XIX)の純粋参照標準物に基づいて、75.1%の純度を有していた。従って(XIX)の収量は6.09g(14.28mmol、理論値の88.8%)であった。HPLC100%純度は94.8%であり、(XIX):dia−(XIX)比は97.8:2.2であり、エナンチオマー純度は96.8%eeであった。
実施例25
表10、No.3に従った、光学活性マンニッヒ基(III)[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル、HY*=(+)−DPTA]から、式(XIX)の化合物に相当する一般式(II)の1,3−アミノアルコールを生成するジアステレオ選択的還元;水酸化カリウム溶液を用いるオキサアザボリナンのソルボリシス
精密ガラス攪拌器、隔壁、バブルカウンター、内部温度計および窒素供給管を備えた250mlの4頚丸底フラスコ中で、10.0g(8.57mmol;化合物(XVII):DPTA比の1H NMR測定によれば、16.08mmolの(XVII)を含有する;1.0当量)のDPTA塩(III)(95.1%eeの存在するマンニッヒ塩基(XVII))を、100mlのTHFに懸濁させ、次いで0〜5℃の内部温度に冷却した。7.63ml(80.45mmol、5.0当量)のボラン−ジメチルスルフィド錯体(95%)を、窒素雰囲気中で15分以内にシリンジにより滴下した。次いで氷浴を除去し、反応混合物を室温に加熱しながら攪拌した。30分後に、透明溶液となった。サンプルの採取およびHPLC分析は、反応体が91%のオキサアザボリナンおよび9%の(XIX)に完全に変換したことを示した。45mlの水を15分以内に滴下し、次いで45mlの20%水酸化カリウム水溶液を15分以内に滴下した。これは、ガスの発生、激しい発泡を生じ、内部温度が40℃に上昇した。反応混合物を60℃に加熱し、オキサアザボリナンから1,3−アミノアルコール(XIX)へのソルボリシスをHPLC監視により追跡した。(C)/(XIX)比は、60℃で3時間後に53.3:46.7、10時間後に19.4:80.6、そして16時間後に6.9:93.1であった。この時点でソルボリシスを中止し、反応混合物を室温に冷却した。100mlのジクロロメタンで2回抽出し、一緒にした有機抽出物を50mlの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。次いで、ジクロロメタン溶液を減圧蒸発させて乾燥し、残留物を真空乾燥キャビネット中40℃および50mbarで乾燥した。7.05gの淡黄色粉末を得た。これは、HPLCアッセイによれば、(XIX)の純粋参照標準物に基づいて、77.2%の純度を有していた。従って(XI)の収量は5.44g(12.76mmol、理論値の79.3%)であった。HPLC100%純度は93.0%であり、(XIX)/dia−(XIX)比は98.5:1.5であり、エナンチオマー純度は95.2%eeであった。5.5%のソルボリシスされなかったオキサアザボリナンが、なお存在していた。
実施例26
表10、No.9に従った、光学活性マンニッヒ基(III)[R1=o−ニトロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル、HY*=(+)−DPTA]から、式(XIX)の化合物に相当する一般式(II)の1,3−アミノアルコールを生成するジアステレオ選択的還元;メタノール/メタンスルホン酸を用いるオキサアザボリナンのソルボリシス
精密ガラス攪拌器、隔壁、バブルカウンター、内部温度計および窒素供給管を備えた250mlの4頚丸底フラスコ中で、15.33g(13.13mmol;化合物(XVII):DPTA比の1H NMR測定によれば、25.30mmolの(XVII)を含有する;1.0当量)のDPTA塩(III)(93.2%eeの存在するマンニッヒ塩基(XVII))を、125mlのTHFに懸濁させ、次いで0〜5℃の内部温度に冷却した。4.86ml(63.94mmol、2.5当量)のボラン−ジメチルスルフィド錯体(95%)を、窒素雰囲気中で15分以内にシリンジにより滴下した。氷浴を除去し、反応混合物を室温に加熱しながら攪拌した。45分後に、透明溶液となった。2時間後に、HPLCにより反応体はもはや検出できなかった。5℃で20.9gのメタノールを15分以内に滴下し、その直後に4.92gのメタンスルホン酸を加えた。この黄色溶液を35℃の内部温度に加熱し、オキサアザボリナン(C)のソルボリシスをHPLC監視により追跡した。4.5時間後に、3.7%の(C)、94.2%の(XIX)および2.1%のジアステレオマーdia−(XIX)を検出した。この溶液を35℃で6.5時間、および室温で一夜放置した後に、1.8%の(C)、96.9%の(XIX)および1.8%のdia−(XIX)を検出した。この透明な黄色溶液を、回転蒸発器で減圧蒸発させて22.95gの残留物(黄色油状物プラス固体)となし、15mlのメタノールに溶解して透明溶液を得た(超音波浴、35℃)。この極めて濃厚なメタノール溶液を、75mlの水(25℃)中の10mlの25%アンモニア溶液の溶液に、15分以内に滴下すると、直ちに(XIX)が沈殿した。この懸濁液を室温で1時間攪拌し、次いで吸引濾別した。(XIX)の純粋参照標準物に対するHPLCアッセイによれば、この粗生成物は88%の純度および98.1:1.9の(C)/dia−(XIX)比を有していた。それを、75mlの水中の1mlの濃アンモニア溶液の溶液に懸濁させ、室温で激しく2時間攪拌し、次いで吸引濾別し、45℃および150mbarで乾燥した。11.0g(25.79mmol、理論値の101.9%)の明黄色粉末を得た。これは、標準物に対するHPLCアッセイによれば、96.1%の純度(すなわち、補正収率:理論値の97.9%)、93.2%eeおよび98.1:1.9の未変化(XIX)/dia−(XIX)比を有していた。この大まかに精製した(XIX)を、66mlの沸騰ジイソプロピルエーテル中で30分間激しく攪拌し、氷浴冷却下にさらに1時間攪拌し、次いで吸引濾別し、高真空下(10-2mbar)50℃で乾燥した。9.50g(22.28mmol、理論値の88.1%)の明黄色粉末を得た。これは、標準物に対するHPLCアッセイによれば、97.5%の純度(すなわち、補正収率:理論値の86.2%)、95.2%ee、および99.2:0.8の(XIX)/dia−(XIX)比を有していた。
実施例27
室温での動的光学分割を用いた四成分カップリングによる式(III)の光学活性マンニッヒ基[R1=p−トリル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル]の合成;キラル助剤として(S)−(+)−マンデル酸[HY*=(+)−MDLA]および溶剤としてエタノールを使用:
精密ガラス攪拌器を備えた100mlの3頚フラスコに、最初に30mlのエタノール(メチルエチルケトンで変性)を装入した。室温(22℃)で、2.32g(11.76mmol、1.00当量)の2−ピリジルメチルフェニルケトン、1.40g(14.70mmol、1.25当量)の2−アミノピリジン、1.75g(14.11mmol、1.20当量)の4−トリルアルデヒドおよび3.65g(23.52mmol、2.00当量)の(S)−(+)−マンデル酸を順次にN2雰囲気中で加えた。機械的攪拌器にスイッチを入れると、2〜3分後に透明な黄色溶液が生成した。1時間後には、かなりの量の沈殿が生成した。この懸濁液を室温でさらに攪拌した。40時間および64時間の反応時間後に、懸濁液のサンプル(それぞれ約50mgの沈殿を含む)を抜き取り、その中の沈殿をそれぞれの場合に吸引濾別した。シン/アンチ比を1H NMR分光法により測定した(サンプルをDMSO−d6に溶解した直後に測定)。ジアステレオマー比は原則として、複数のシグナルの積分から、最も簡単には、シン異性体ではδ=2.15ppm、アンチ異性体ではδ=2.11ppmであるメチルシングレットから計算することができる。実施例27の終わりに記載した操作法を用いてピバロイル誘導体化した後、マンニッヒ塩基の光学純度をキラル相HPLC分析により測定した。
両方のサンプルについて、NMR積分から計算したシン/アンチ比は、95:5であった。サンプル溶解後のNMR装置へのサンプルの導入、サンプルのシミング(shimming)およびデータの蓄積のために必要であった3.5分の期間を考慮して、>99:<1の沈殿の元のシン/アンチ比を、シン/アンチ異性化の動力学(実施例28)から外挿する。両者の場合に、マンニッヒ塩基:マンデル酸のモル比は正確に1:1であった。マンニッヒ塩基のエナンチオマー過剰は、40時間後のサンプルにおいて96.0%ee、64時間後のサンプルにおいて97.0%eeであった。
反応混合物の沈殿を吸引濾別し、母液および次いで少量のエタノールで洗浄し、吸引乾燥し、高真空乾燥した。5.66g(10.4mmol、理論値の88.2%)の明黄色粉末を得た。前に採取した二つのサンプル(約100mg)を考慮すると、収率は理論値の
90%であった。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=2.15 (s, 3H), 5.02 (s, 1H, マンデル酸アニオンのCHOH), 5.65(d, 1H), 5.95 (t, 1H), 6.32 (d, 1H), 6.37 (t, 1H), 6.89 (d,1H), 6.99 (d, 2H), 7.20 (m, 2H), 7.25-7.48 (m, 11H), 7.50-7.60 (m, 2H), 7.68 (td, 1H), 7.87 (d, 2H), 7.92 (〜d, 1H), 8.46 (〜d, 1H)。
13C NMR (100.62 MHz, DMSO-d6):δ=20.52 (CH3), 55.20 (CH), 60.55 (CH), 72.44 (マンデル酸アニオンのCHOH), 107.84 (CH), 111.87 (CH), 119.10 (CH), 121.80 (CH), 126.60-128.70 (12シグナル, CH), 133.13 (CH), 135.40 (C), 136.50 (CH), 136.63 (CH), 138.95 (C), 140.20 (C), 147.25 (CH), 148.87 (CH), 156.10 (C), 157.90 (C), 174.20 (CO2-), 196.8 (C=O)。
誘導体化およびeeの測定:
20μlのピバロイルクロリド、次いで10μlのトリエチルアミンを、Reacti-Vialに入れた2〜5mgのマンニッヒ塩に加える。この溶液を超音波浴中で2分間音波処理する。500μlのアセトニトリル(HPLC等級)を加え、この溶液の1μlをChiralpak AS 250mm×4.6mmカラムに注入する。25℃で1.0ml/分の溶出剤50%イソプロパノール/50%n−ヘキサン/0.1%トリフルオロ酢酸による定組成(isocratic)溶出、および254nmでのUV検出。主な異性体(98.5%)はt(ret)12.14分で、鏡像体(1.5%)はt(ret)7.34分で溶出した。適切に誘導体化したラセミ体比較サンプルは、各ピークの50%を与えた。
実施例28
DMSO−d6溶液中300Kでの実施例26からのマンニッヒ塩基マンデル酸塩のシン/アンチ−異性化。レトロ−マンニッヒ/マンニッヒ反応の動力学および平衡化の位置:
実施例27からの8mgの生成物を、1H NMR管中でDMSO−d6に室温で可能な限り速やかに溶解した。このサンプルを直ちにNMR装置(400MHz、300.0K)に導入し、速やかにシム(shim)し、分析した。最初のスペクトルを、サンプル溶解後3.5分に得た。それは、マンニッヒ塩の95.1:4.9比のシン−およびアンチ−異性体を示した。この溶液の他のスペクトルを、それぞれ3〜4分間隔で得た。それらは、シン−異性体を消費したアンチ−異性体の連続的増加を示した。この変化は、添付のグラフおよび表から明らかである。マンニッヒ塩の溶解後69分に、NMR監視を50:50のシン/アンチ比で中止した。マンニッヒ塩の溶解後20.5時間の繰り返し測定は、41.5:58.5のシン/アンチ比を示した。合計44.5時間後に、この比は変わらなかった。従って、二つの異性体の熱力学的平衡は20時間未満で達成され、溶液中ではアンチ−異性体が優先する。これに対し、四成分カップリング(実施例27)は、事実上純粋なシン−異性体の結晶化が生じる。これは、明らかにより溶解性のためである。サンプル溶解後3.5分に得られたスペクトルでさえ、(マンニッヒ塩のシン−およびアンチ−異性体に加えて)少ないが有意な量の逆マンニッヒ生成物2−ピリジルメチルフェニルケトン(式VI:δ=4.53にシングレット)、およびトリルアルデヒド(または相当するイミン)(式IVまたはX:δ=2.40および9.12にシングレット)の存在を示す。グラフの測定点間のベストフィット曲線は、3次元多項式の作成により得た。これらの曲線を時間t=0に外挿すると、固体が>99:<1のシン/アンチ比を有したことを示す。
Figure 0004510614
実施例29
室温での動的光学分割を用いた四成分カップリングによる式(III)の光学活性マンニッヒ基[R1=o−クロロフェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル]の合成;キラル助剤として(S)−(+)−マンデル酸[HY*=MDLA]および溶剤としてエタノールを使用:
磁気攪拌棒を備えた50mlの2頚フラスコに、最初に30mlのエタノール(メチルエチルケトンで変性)を装入した。室温(20℃)で、2.32g(11.76mmol、1.00当量)の2−ピリジルメチルフェニルケトン、1.41g(14.70mmol、1.25当量)の2−アミノピリジン、2.03g(14.11mmol、1.20当量)の2−クロロベンズアルデヒドおよび3.65g(23.52mmol、2.00当量)の(S)−(+)−マンデル酸を順次にN2雰囲気中で加えた。磁気攪拌器にスイッチを入れると、僅かに濁った黄色溶液が生成した。30分の反応時間後に、濁りは明らかに増し、1時間後には、既にかなりの量の沈殿が生じた。この混合物を室温で週末にかけて攪拌した。合計3、4、5、6および7日の反応時間後に、サンプル(それぞれ約50mg)を採取した。ピバロイルクロリドによる誘導体化および実施例27と同様のHPLC分析は、次のエナンチオマー過剰:97.2%ee、97.4%ee、97.6%ee、98.2%ee、98.4%eeを与えた。主な異性体はt(ret)=9.38分で、鏡像体はt(ret)=6.31分で溶出した。適切に誘導体化したラセミ体比較サンプルは、これらの各ピークの50%を与えた。サンプルの1H NMRスペクトル(400MHz、DMSO−d6)において、アンチ−異性体を検出することができず(すなわち、シン/アンチ>>99:1)、同様にo−クロロベンズアルデヒドまたはそのイミンも検出できなかった。痕跡量の逆マンニッヒ生成物2−ピリジルメチルフェニルケトンを検出することができた。反応バッチの沈殿を吸引濾別し、母液および次いで少量のエタノールで洗浄し、吸引乾燥し、高真空乾燥した。5.77g(10.19mmol、理論値の86.7%)の淡黄色粉末を得た。前に採取した五つのサンプル(約250mg)を考慮すると、単離収率は理論値の90.4%であった。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=5.02 (s, 1H, マンデル酸アニオンのCHOH), 5.73 (d,1H), 6.22 (t, 1H), 6.38 (d, 1H), 6.40 (t, 1H), 6.90 (d, 1H), 7.14 (t, 2H), 7.18 (〜td, 1H), 7.25-7.30 (m, 2H), 7.30-7.38 (m, 3H), 7.38-7.45 (m, 4H), 7.45-7.57 (m, 3H), 7.67 (td, 1H), 7.87 (m, 3H), 8.48 (dd, 1H)。
13C NMR (100,62 MHz, DMSO-d6):δ=52.65(CH), 58.92 (CH), 72.41 (マンデル酸アニオンのCHOH), 107.37 (CH), 112.25 (CH), 122.35 (CH), 124.66 (CH), 126.60-129.29 (9シグナル, CH), 132.83 (CH), 133.02 (C), 136.30 (C), 136.71 (CH), 136.77 (CH), 139.68 (C), 140.22 (C), 147.37 (CH), 148.90 (CH), 156.36 (C), 157.44 (C), 174.09 (CO2-), 196.43 (C=O)。
実施例30
室温での動的光学分割を用いた四成分カップリングによる式(III)の光学活性マンニッヒ塩基[R1=フェニル、R2=2−ピリジル、R3=H、R4=2−ピリジル、R5=フェニル]の製造;キラル助剤として(S)−(+)−マンデル酸[HY*=MDLA]および溶剤としてエタノールを使用:
精密ガラス攪拌器を備えた100mlの3頚フラスコに、最初に30mlのエタノール(メチルエチルケトンで変性)を装入した。室温(22℃)で、2.32g(11.76mmol、1.00当量)の2−ピリジルメチルフェニルケトン、1.41g(14.70mmol、1.25当量)の2−アミノピリジン、1.51g(14.11mmol、1.20当量)のベンズアルデヒドおよび3.65g(23.52mmol、2.00当量)の(S)−(+)−マンデル酸を順次にN2雰囲気中で加えた。機械的攪拌器にスイッチを入れると、2〜3分後に僅かに濁った黄色溶液が生成した。20分後に、沈殿が生成した。この懸濁液を室温でさらに3日間攪拌した。実施例27と同様にサンプルを採取し、ピバロイルクロリドにより誘導体化した。Chiralpak AD 250mm×4.6mmカラム上で、25%イソプロパノール/75%n−ヘキサン/0.1%トリフルオロ酢酸溶出剤を用いて定組成濃度で分析を行った。適切に誘導体化したラセミ体参照サンプルのように、像および鏡像が50:50比で溶出した[t(ret)=12.25および14.46分]。1H NMRは、マンニッヒマンデル酸塩が高純度で存在下ことを示した。ジアステレオマーおよびレトロ−マンニッヒ生成物を極めて少量でNMR溶液(DMSO−d6)に検出することができた。
次いで反応混合物を60℃に7時間加熱した後、室温に冷却させ、固体を濾別し、少量のエタノールで洗浄し、高真空乾燥した。5.55g(10.44mmol;理論値の88.8%)の淡黄色粉末を得た。1H NMRスペクトルは変わらなかった。誘導体化はラセミ体の形で変わらないままのマンニッヒ塩基を生じた。実施例27および29と対比して、エタノール溶剤中の(S)−(+)−マンデル酸は、反応体(IV)、(V)および(VI)からのマンニッヒ塩基の生成、そしてまたマンデル酸塩の結晶化を行ったが、動的光学分割を行わなかった。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=5.02 (s, 1H, マンデル酸アニオンのCHOH), 5.68 (d,
1H), 5.99 (t, 1H), 6.32 (d, 1H), 6.37 (t, 1H), 6.97 (d, 1H), 7.07 (t, 1H), 7.15-7.25 (m, 5H), 7.41 (t, 2H), 7.50-7.60 (m, 3H), 7.70 (t, 1H), 7.87 (d+m, 3H), 8.47 (d, 1H)。
置換基が実施例2の表題で特定された一般式(I)のマンニッヒ塩基であって、95.3%eeのエナンチオマー純度を有するものからの典型的なクロマトグラムを示す。 置換基が実施例2の表題で特定された一般式(I)の対応するラセミ体マンニッヒ塩基のクロマトグラムを示す。

Claims (30)

  1. 式(III)
    Figure 0004510614
    [式中、
    1 は、フェニルであり、ここで、前記フェニルは、非置換であるか、または1個の置換基を有し、該置換基は、(C 1 −C 7 )アルキル、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはニトロであり;
    2 は、ピリジルであり;
    3 は、水素であり;
    4 は、ピリジルであり;
    5 は、フェニルである;
    そして、アニオンY*-は光学活性有機ブレンステッド酸(プロトン酸)の共役塩基である]の化合物またはそのジアステレオマーの製造方法であって、
    該方法は、
    式(IV)、(V)、(VI)および(VII)
    Figure 0004510614
    [式(IV)、(V)、(VI)および(VII)の化合物のR1、R2、R3、R4およびR5基は上記で定義したとおりである]の化合物を、好適な溶剤中で、式(III)の化合物に変換することを含み、
    該変換を、式(IV)、(V)、(VI)および(VII)の化合物を直接マンニッヒ反応で同時に反応させること、
    または、最初に式(IV)および(V)の化合物を反応させて、式(X)のイミンもしくは式(XI)
    Figure 0004510614
    のアミナール(これらは場合により単離することができる)を得、
    次いで、式(X)もしくは(XI)の化合物を式(VI)および(VII)の化合物の付加により式(III)の化合物に変換すること、
    の何れかによって行われる、上記製造方法。
  2. *-が、天然に存在するか、または工業的に製造された光学活性カルボン酸、光学活性スルホン酸、光学活性のリン酸、ホスフィン酸もしくはホスホン酸誘導体まは光学活性フェノールである、請求項に記載の方法。
  3. *- が、(R)−(−)−マンデル酸、(S)−(+)−マンデル酸、(D)−(−)−酒石酸、(L)−(+)−酒石酸、(+)−ジ−O,O′−ピバロイル−(D)−酒石酸[(+)−DPTA]、(−)−ジ−O,O′−ピバロイル−(L)−酒石酸[(−)−DPTA]、(+)−O,O′−ジベンゾイル−(D)−酒石酸、(−)−O,O′−ジベンゾイル−(L)−酒石酸、(−)−ジ−O,O′−ベンゾイル−(L)−酒石酸モノ(ジメチルアミド)、(+)−O,O′−ジアニソイル−(D)−酒石酸[(+)−DATA]、(−)−O,O′−ジアニソイル−(L)−酒石酸[(−)−DATA]、(+)−ジ−O,O′−p−トリル−(D)−酒石酸、(−)−ジ−O,O′−p−トリル−(L)−酒石酸、D−(+)−リンゴ酸、L−(−)−リンゴ酸、L−(+)−乳酸、D−(−)−乳酸、(S)−(−)−2−(フェニルアミノカルボニルオキシ)プロピオン酸、(R)−(+)−2−(フェニルアミノカルボニルオキシ)プロピオン酸、D−(+)−グルコン酸、(−)−2,3,4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸、(D)−(−)−キニン酸、(−)−3,4,5−トリヒドロキシ−1−シクロヘキセン−1−カルボン酸[シキミ酸]、(S)−(+)−(2,2−ジメチル−5−オキソジオキソラン−4−イル)酢酸、(+)−ショウノウ酸、(−)−ショウノウ酸、(1R)−(+)−カンファン酸、(1S)−(−)−カンファン酸、(R)−(−)−O−アセチルマンデル酸、(S)−(+)−O−アセチルマンデル酸、(R)−2−フェノキシ
    プロピオン酸、(S)−2−フェノキシプロピオン酸、(S)−(+)−α−メトキシフェニル酢酸、(R)−(−)−α−メトキシフェニル酢酸、(R)−(+)−α−メトキシ−α−トリフルオロメチルフェニル酢酸、(S)−(−)−α−メトキシ−α−トリフルオロメチルフェニル酢酸、(S)−(+)−2−フェニルプロピオン酸、(R)−(−)−2−フェニルプロピオン酸、(R)−(+)−2−クロロプロピオン酸、(S)−(−)−2−クロロプロピオン酸、(R)−(+)−N−(α−メチルベンジル)フタル酸モノアミド、(S)−(−)−N−(α−メチルベンジル)フタル酸モノアミド、(R)−(−)−5−オキソテトラヒドロフラン−2−カルボン酸、(S)−(+)−5−オキソテトラヒドロフラン−2−カルボン酸、D−(+)−3−フェニル乳酸、L−(−)−3−フェニル乳酸、(L)−(+)−α−ヒドロキシイソ吉草酸、(D)−(−)−α−ヒドロキシイソ吉草酸、(+)−メンチルオキシ酢酸、(−)−メンチルオキシ酢酸、フタル酸(+)−モノ−(1S)−メンチル、フタル酸(−)−モノ−(1R)−メンチル、(+)−トランス−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、(−)−トランス−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、(R)−(+)−メチルコハク酸、(S)−(−)−メチルコハク酸、(R)−(+)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸[(R)−(+)−Trolox (R) ]、(S)−(−)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸[(S)−(−)−Trolox (R) ]、(S)−(+)−2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸[(S)−イブプロフェン]、(R)−(−)−2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸[(R)−イブプロフェン]、(+)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸[(+)−ナプロキセン]、(−)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸[(−)−ナプロキセン]、利用可能な天然もしくは非天然α−もしくはβ−アミノ酸、それらの容易に得られる誘導体、(1S)−(+)−カンファー−10−スルホン酸、(1R)−(−)−カンファー−10−スルホン酸、(−)−3−ブロモカンファー−8−スルホン酸、(+)−3−ブロモカンファー−8−スルホン酸、(R)−(−)−1,1′−ビナフタレン−2,2′−ジイルリン酸水素、(S)−(+)−1,1′−ビナフタレン−2,2′−ジイルリン酸水素、(+)−ホスフィノトリシン、(−)−ホスフィノトリシン、または(R)−(+)−もしくは(S)−(−)−ビナフトールである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記α−もしくはβ−アミノ酸の誘導体が、N−アシル化誘導体である、請求項3に記載の方法。
  5. 好適な溶剤が、場合により溶解性促進添加物を含む、水または有機溶剤、または水と有機溶剤との混合物であり、ここで、有機溶剤は100%純粋な品質または工業的品質で存在することができ、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 有機溶剤が、分枝状もしくは非分枝状のC 1 −C 8 −アルコール、ケトン性溶剤、エステル、エーテル、脂肪族もしくは芳香族の炭化水素、超臨界媒質、ハロゲン化炭化水素または極性非プロトン性溶剤である、請求項5に記載の方法。
  7. 有機溶剤が、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、テトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トルエン、超臨界二酸化炭素、ジクロロメタン、DMF、DMSOまたはNMPである、請求項5または6に記載の方法。
  8. 反応中に存在する水を、共沸蒸留によるか、または水結合添加物の添加により除去する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 水結合添加物が、硫酸マグネシウムまたは活性化モレキュラーシーブである、請求項8に記載の方法。
  10. 式(I)
    Figure 0004510614
    [式中、
    1 は、フェニルであり、ここで、前記フェニルは1個の置換基を有し、該置換基はニトロであり;
    2 は、ピリジルであり;
    3 は、水素であり;
    4 は、ピリジルであり;
    5 は、フェニルである;
    の化合物またはそのエナンチオマーの製造方法であって、該方法は、式(III)
    Figure 0004510614
    [式中、R1、R2、R3、R4およびR5基は上記で定義したとおりである]
    の化合物を、好適な溶剤中で好適な塩基の添加により変換することを含む、上記製造方法。
  11. 好適な塩基が、有機アミン、アルカリ金属の炭酸水素塩、炭酸塩もしくは水酸化物、またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩、炭酸塩もしくは水酸化物である、請求項10に記載の方法。
  12. 好適な塩基が、(C 1 −C 10 )トリアルキルアミン、炭酸水素ナトリウムまたは水酸化ナトリウムである、請求項10または11に記載の方法。
  13. 好適な塩基が、(C 1 −C 3 )トリアルキルアミンである、請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. (C 1 −C 3 )トリアルキルアミンが、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンである、請求項13に記載の方法。
  15. 好適な溶剤が、場合により溶解性促進添加物を含む、水または有機溶剤、または水と有機溶剤との混合物である、請求項10〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 有機溶剤が、分枝状または非分枝状のC1−C8−アルコール、ケトン性溶剤、エステル、エーテル、脂肪族もしくは芳香族の炭化水素、超臨界媒質、ハロゲン化炭化水素または極性非プロトン性溶剤である、請求項15に記載の方法。
  17. 有機溶剤が、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、テトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トルエン、超臨界二酸化炭素、ジクロロメタン、DMF、DMSOまたはNMPである、請求項15または16に記載の方法。
  18. 式(II)
    Figure 0004510614
    [式中、
    1 は、フェニルであり、ここで、前記フェニルは1個の置換基を有し、該置換基はニトロであり;
    2 は、ピリジルであり;
    3 は、水素であり;
    4 は、ピリジルであり;
    5 は、フェニルである;
    の化合物またはそのエナンチオマーの製造方法であって、該方法は、
    式(III)
    Figure 0004510614
    [式中、R1、R2、R3、R4およびR5基はそれぞれ上記で定義したとおりである]の化合物、
    または、式(I)
    Figure 0004510614
    の化合物
    を、好適な還元剤で還元し、次いで、場合により仕上げ処理し、そして単離することを含む、上記製造方法。
  19. 還元剤が、場合によりキラル触媒の存在下のボランまたは水素化ホウ素試薬である、請求項18に記載の方法。
  20. 還元剤が、アキラル還元剤または1種またはそれ以上の光学活性触媒を含む還元剤である、請求項18に記載の方法。
  21. アキラル還元剤が、
    1. ボラン−スルフィド錯体;
    2. ボランエーテル化物;
    3. カテコールボラン;
    4. ルイス酸の存在下のボラン−スルフィド錯体またはボランエーテル化物またはカテコールボラン;
    5. ボラン−アミン錯体;
    6. ルイス酸の存在下のボラン−アミン錯体;
    7. ボラン−ホスフィン錯体;
    8. 水素化ホウ素とその場でボランの生成に導く試薬との組み合わせ;
    9. 添加物としてのセリウム(III)塩の存在または不在下の、1価または2価金属カチオンの水素化ホウ素;
    10. ジボラン(B 2 6 )、
    である、請求項20に記載の方法。
  22. アキラル還元剤が、
    1. ボラン−ジメチルスルフィドまたはボラン−1,4−チオキサン錯体;
    2. ボラン−テトラヒドロフラン錯体;
    3. 塩化チタントリイソプロポキシド(iPrO) 3 TiClの存在下のボラン−スルフィド錯体またはボランエーテル化物またはカテコールボラン;
    4. ボラン−アンモニア、ボラン−tert−ブチルアミン、ボラン−N,N−ジエチルアニリン、ボラン−N−エチルジイソプロピルアミン、ボラン−N−エチルモルホリン、ボラン−N−メチルモルホリン、ボラン−モルホリン、ボラン−ピペリジン、ボラン−ピリジン、ボラン−トリエチルアミンまたはボラン−トリメチルアミン錯体;
    5. 塩化チタントリイソプロポキシド(iPrO) 3 TiClの存在下のボラン−アミン錯体;
    6. ボラン−トリブチルホスフィンまたはボラン−トリフェニルホスフィン錯体;
    7. 水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素テトラアルキルアンモニウムと、その場でボランの生成に導く試薬との組み合わせ;
    8. 添加物としてのセリウム(III)塩の存在または不在下の、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素亜鉛、または水素化ホウ素テトラアルキルアンモニウム;
    である、請求項20または21に記載の方法。
  23. アキラル還元剤が、ジクロロメタン中、または臭化アルキルおよび水素化ホウ素ナトリウム飽和水溶液および相間移動触媒としての触媒量の第四級オニウム塩の2相混合物中の、水素化ホウ素ナトリウム/ヨウ素、水素化ホウ素ナトリウム/三フッ化ホウ素ジエチルエーテル化物、水素化ホウ素ナトリウム/クロロトリメチルシラン;水素化ホウ素テトラアルキルアンモニウム/ハロゲン化アルキルである、請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 水素化ホウ素テトラアルキルアンモニウム/ハロゲン化アルキルのハロゲン化アルキルが、ヨウ化メチルである、請求項23に記載の方法。
  25. 1種またはそれ以上の光学活性触媒を含む還元剤が、
    1. 補助配位子としてのテトラヒドロフルフリルアルコールの存在または不在下の、触媒量の光学活性アルドイミナトコバルト(II)錯体の存在下の、1価または2価金属カチオンの水素化ホウ素;
    2. 1分子の[(μ 5 )−ペンタメチルシクロペンタジエニル]ロジウムジクロリド二量体当り2分子の光学的に純粋な1,3−アミノアルコール(II)の配座から生じるロジウム錯体により触媒される、1価または2価金属カチオンの水素化ホウ素;
    3. シクロペンタジエニルロジウムクロリド二量体およびキラル1,2−アミノアルコールからなるCATHy TM −触媒である、請求項20に記載の方法。
  26. 1種またはそれ以上の光学活性触媒を含む還元剤が、
    1. 補助配位子としてのテトラヒドロフルフリルアルコールの存在または不在下の、触媒量の(1S,2S)−N,N′−ビス[3−オキソ−2−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ブチリデン]−1,2−ジフェニルエチレンジアミナトコバルト(II)(S)−MPACの存在下の、1価または2価金属カチオンの水素化ホウ素
    2. 1分子の[(μ 5 )−ペンタメチルシクロペンタジエニル]ロジウムジクロリド二量体当り2分子の光学的に純粋な1,3−アミノアルコール(II)の配座から生じるロジウム錯体により触媒される、水素化ホウ素ナトリウムである、請求項20または25に記載の方法。
  27. 1価または2価金属カチオンの水素化ホウ素が、水素化ホウ素ナトリウムである、請求項25または26に記載の方法。
  28. 還元剤が、ボラン−スルフィド錯体、ボランエーテル化物、水素化ホウ素ナトリウム、または光学活性1,3−アミノアルコール(II)への[(μ5)−ペンタメチルシクロペンタジエニル]ロジウムジクロリド二量体の配座により得られる反応系中触媒を含む不斉水素化ホウ素ナトリウム還元剤である、請求項18または19に記載の方法。
  29. 還元剤が、ボラン−ジメチルスルフィドまたはボラン−テトラヒドロフラン錯体である、請求項28に記載の方法。
  30. 式(II)の化合物を、酸性ソルボリシスおよび/または結晶化により仕上げ処理する、請求項20〜29のいずれか1項に記載の方法。
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