JP4510177B2 - 眼鏡用累進焦点レンズ及びその製造方法並びに眼鏡用累進焦点レンズを用いた眼鏡 - Google Patents

眼鏡用累進焦点レンズ及びその製造方法並びに眼鏡用累進焦点レンズを用いた眼鏡 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼鏡用累進焦点レンズ及びその製造方法並びに眼鏡用累進焦点レンズを用いた眼鏡に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
例えば、老齢者は眼球の水晶体を調整する筋力が衰え易く、近距離の結像能力が減退し、これを補うため近視用眼鏡(老眼鏡)を用いる。しかし、近視専用の眼鏡は、必要のない場合に外すか、遠視用の眼鏡に掛け替えられる。この掛け替えの煩わしさを解消するため、単一の眼鏡を遠近両用に用いるための眼鏡用累進焦点レンズがある。
【0003】
この眼鏡用累進焦点レンズは、レンズの上側部に遠用領域を、下側部に近用領域を設け、遠用領域と近用領域の中間に中用領域として累進領域を設けている。さらに、詳述すると、眼鏡用累進焦点レンズ11Aは、図16に示すようにレンズ11Aの幾何中心O1の近傍を通る主注視線12上であって、前記幾何中心O1の近傍に位置する遠用中心O2を通る第1水平線L1より上方の領域を球面又は球面に近い遠用領域13としている。又、前記主注視線12上の幾何中心O1よりも下方の近用中心O3を通る第2水平線L2より下方の領域を近用領域14とし、両線L1,L2の中間を累進領域15としている。
【0004】
ところで、上記の眼鏡用累進焦点レンズ11Aには、乱視を矯正するための円柱屈折力を付与したものもあり、この一例として再公表特許(国際公開番号WO97/ 19382)に示すものが提案されている。図17に示すようにこのレンズ11Aは物体側のレンズ表面16を球面とし、眼球側のレンズ裏面17に対し累進屈折面にトーリック面を合成した複合屈折面18を形成している。即ち、レンズ裏面17は、この裏面が乱視度数を伴わない所定の屈折特性を発揮することのみを目的として設定されたオリジナル累進屈折面と、前記レンズ裏面17が所望の乱視矯正特性を発揮することのみを目的として設定されたオリジナルトーリック面が合成された複合屈折面18となっている。
【0005】
上記従来の眼鏡用累進焦点レンズは、眼鏡として使用した場合に、遠用視により得られた乱視度の一つの測定データに基づいてオリジナルトーリック面が設定されているので、遠用視のときには問題は生じない。しかし、読書などの近用視の場合に、乱視の矯正が適正に行われないという問題があることが分かった。
【0006】
遠用視と近用視では、一般に乱視度の大きさが異なり、その理由として二つの要因が考えられる。第1要因としては、近用視において光線が斜め下方からレンズ11Aに入射するためである。
【0007】
第2要因としては、眼球の構造により実際の近用視において遠用視と異なる乱視度が生じることが考えられる。例えば老齢者の水晶体は硬化しているので、近用視においては水晶体が斜めになる。このため、近用視の際に眼球の構造に起因する乱視が発生することが分かった。即ち、老視の原因には毛様体と水晶体の劣化が挙げられ、主原因は水晶体の劣化と考えられる。劣化していない水晶体は、毛様体が伸びたときに強い凸レンズになって近用視に適した状態になる。老視者の場合は、図18に示すように、毛様体31が伸びても水晶体32の形が変化し難いので、近くが見にくくなり、このとき水晶体32が斜めになり、乱視が起きると推測される。
【0008】
近用の乱視を適正に矯正することは、近用視における眼の疲労を低減する効果があると考えられるが、従来は遠用視と近用視との乱視度数に基づいて乱視矯正をそれぞれ行う眼鏡用累進焦点レンズは提案されておらず、近用視における眼の疲労を低減することができないという問題があった。又、近用の乱視矯正を優先すると、今度は遠用乱視の度が合わなくなるという問題が生じる。
【0009】
なお、乱視度の調査の結果、遠用視と近用視で乱視度の差が0.25デォプター以上変化する人が半数以上あることが分かった。
第1要因で述べたように、累進焦点レンズの近用領域において光が斜めに透過すると、乱視と同様の現象が発生する。この疑似乱視を矯正するために従来、累進屈折面にわざと乱視を付与したものが提案されている。このレンズとして特公平2ー39768号公報、特開平8ー220489号公報、あるいは特許第2576054号公報に示すものが提案されている。これらの累進焦点レンズの要旨とするところは、斜め透過光による非点収差の発生のみをキャンセルするように構成されている。
【0010】
上記特開平8−220489号公報の記載によれば、光束がレンズ面に対して斜めに入射する場合、その光束の通過するレンズ面上の点が、いわゆる臍状点であっても、透過光束に非点収差が生じる。球面はいたる所が臍状点である曲面であり、光束が垂直に入射する場合は、非点収差は生じないが、レンズの光軸外の物を見る場合のように斜めに光束が入射する時は非点収差が生じる。ある曲面上の1点を光束が通過する時に生じる非点収差の量は、曲面の最大曲率G1の大きさと最小曲率G2の大きさと、光束の入射角度と方向から決まる。この時、物体側のレンズ表面と眼球側のレンズ裏面でそれぞれ生じる非点収差がちょうどキャンセルされる組合せになっていれば残存収差は発生しない。
【0011】
レンズ表面の光線入射角αとレンズ裏面の光線射出角βがある特定の関係を満たしている時、レンズ表面で生じた非点収差とレンズ裏面で生じた非点収差が打ち消し合う。従って、曲率の組合せが同じであっても、レンズ表面の傾きなどにより、光束の入射角が変わった場合には、非点収差がキャンセルされずに残る。つまり、最適曲率の球面の組み合わせであっても、光束の入射角が単焦点レンズと異なる場合には、非点収差が発生し、像のボケが生じることになる。
【0012】
一般に、累進眼鏡レンズの形態としては、近用領域が光軸から離れた所に位置することが多く、近用領域を透過する光束は、累進面に対し斜めに入射する。このことから、従来の累進面形状では、近用領域に非点収差が発生し、明視域を狭くしている。これを解決するため、後者の従来の技術では、レンズ表面に光束が斜め入射するために発生する非点収差を、累進面に曲率差ΔGを持たせることにより補正しようとするものである。
【0013】
従って、前述した後者の従来例においては、第2要因の対策は全く無く、着用者に応じた乱視矯正機能を持たないものであって、近用視における眼の疲労を低減することができなかった。
【0014】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであって、その目的は、近用視における乱視の矯正を適正に行い、疲労を低減することができるとともに、近用乱視矯正屈折面の設定を容易に行うことができ、累進屈折面の形状を表す関数を利用して近用乱視の目標水平度数の設定を適正に行うことができる眼鏡用累進焦点レンズ及びその製造方法並びに眼鏡用累進焦点レンズを用いた眼鏡を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1記載の発明は、屈折力の相違する遠用領域及び近用領域と、両領域間で屈折力が累進的に変化する累進領域を備えた眼鏡用累進焦点レンズにおいて、物体側のレンズ表面又はレンズ裏面に形成された遠用領域の遠用乱視矯正屈折面の形状を、眼鏡着用者の測定遠用乱視度数を矯正する形状とし、物体側のレンズ表面又はレンズ裏面に形成された近用領域の近用乱視矯正屈折面の形状を、眼鏡着用者の前記測定遠用乱視度数とは異なる測定近用乱視度数を矯正する形状とし、前記遠近両乱視矯正屈折面を累進屈折面によって滑らかに接続し、前記近用乱視矯正屈折面は最強主経面と最弱主経面とに分けてそれぞれ目標度数に設定された二つの屈折面を合成したものであって、前記最強主経面又は最弱主経面のいずれか一方の屈折面は、前記累進屈折面の形状を表す関数をfp(x,y)とすると、該関数fp(x,y)に第1補正係数(k1)を乗ずることにより該累進屈折面に対し目標水平度数(Dh)となるように設定された仮想の水平度数矯正屈折面(24H)であることを要旨としている
【0023】
請求項記載の発明は、請求項において、前記最強主経面又は最弱主経面の他方の屈折面は、目標垂直度数(Dv)となるように関数により設定された垂直度数矯正屈折面(24V)であって、該屈折面(24V)は、前記仮想の水平度数矯正屈折面(24H)の設定の際に変化した垂直方向の変化度数(Δd)をキャンセルするように設定されている
請求項記載の発明は、請求項又はにおいて、前記合成乱視矯正屈折面は、遠用乱視矯正屈折面の乱視軸の傾斜角と、近用乱視矯正屈折面の乱視軸の傾斜角とをそれぞれ設定して合成されたものである。
【0024】
請求項記載の発明は、請求項において、前記遠用乱視矯正屈折面の形状は、トーリック面の座標ftf(x,y)で表され、トーリック面の最大曲率半径をr1又はr2、最小曲率半径をr2又はr1とすると、前記座標ftf(x,y)は、
ftf(x,y)=r1−√{〔r1−r2+√(r22 −y2 )〕2−x2
上式により設定されたものであり、
近用乱視矯正屈折面の形状は、トーリック面の座標ftn(x,y)で表され、トーリック面の最大曲率半径をr1′又はr2′、最小曲率半径をr2′又はr1′とすると、前記座標ftn(x,y)は、
ftn(x,y)=r1′−√{〔r1′−r2′+√(r2′2 −y2 )〕2−x2
上式により設定されたものであり、
前記遠用乱視矯正屈折面と近用乱視矯正屈折面とは曲面により滑らかに接続されている。
【0025】
請求項記載の発明は、請求項において、前記遠用乱視矯正屈折面の形状は、トーリック面の座標ftf(x,y)で表され、トーリック面の最大曲率半径をr1又はr2、最小曲率半径をr2又はr1、トーリック面の曲率をCx=1/r1、Cy=1/r2とすると、
ftf(x,y)=(Cx・x2 +Cy・y2 )/〔1+√(1−Cx2 ・x2 −Cy2 ・y2 )〕上式により設定されたものであり、
近用乱視矯正屈折面の形状は、トーリック面の座標ftn(x,y)で表され、トーリック面の最大曲率半径をr1′又はr2′、最小曲率半径をr2′又はr1′、トーリック面の曲率をCx=1/r1′、Cy=1/r2′とすると、
ftn(x,y)=(Cx・x2 +Cy・y2 )/〔1+√(1−Cx2 ・x2 −Cy2 ・y2 )〕上式により設定されたものであり、
前記遠用乱視矯正屈折面と近用乱視矯正屈折面とは曲面により滑らかに接続されている。
【0026】
請求項記載の発明は、請求項において、レンズ裏面の幾何中心を通る光軸方向、つまりz軸方向とレンズ裏面の交点を頂点位置とし、該頂点位置を通る水平方向をx軸方向、垂直方向をy軸方向とすると、前記垂直度数矯正屈折面(24V)の形状は、遠用領域ではz軸方向の座標値がxによらない一次関数
fvf(y)=h・y+i
で表される平面(24Va)と、
近用領域と対応してy軸方向に関するz軸方向の座標値が目標度数に設定され、かつxによらない二次関数
fvn(y)=e・y2 +f・y+g
で表される曲面(24Vb)と、
累進領域と対応してy軸方向に関するz軸方向の座標値が前記平面(24Va)と曲面(24Vb)とを滑らかに接続し、かつxによらない三次関数
fvm(y)=a・y3 +b・y2 +c・y+d
で表される曲面(24Vc)と
により設定されている。
【0027】
請求項記載の発明は、請求項において、前記垂直度数矯正屈折面(24V)の形状は、前記仮想の水平度数矯正屈折面(24H)の設定の際に変化した垂直方向の変化度数(Δd)と近用乱視における目標垂直度数とに基づいて仮の垂直度数矯正屈折面(24V′)を表す関数fvf(y)′、fvn(y)′、fvm(y)′を設定し、これらの関数に第2補正係数k2を乗ずる第2漸近行程を行うことにより、最終的に目標垂直度数となるように設定されたものである。
【0028】
請求項記載の発明は、請求項において、前記近用乱視矯正屈折面の近用度数は遠用度数に度数加算要素を加算したものとして設定され、この度数加算要素は、累進屈折面を表す関数に第1補正係数k1を乗じて設定された加入度に対し、斜め特殊乱視面の度数を加算して設定されるものであり、該斜め特殊乱視面は斜め横方向の度数が全域に亘ってゼロに設定され、前記斜め横方向と直交する斜め縦方向の度数が目標度数に設定されたものである。
【0029】
請求項記載の発明は、請求項において、前記度数加算要素は、さらに垂直特殊乱視面の度数を加算して設定されたものであり、該垂直特殊乱視面は水平のx軸方向の度数が全域に亘ってゼロに設定され、垂直のy軸方向の度数が目標垂直度数に設定されたものである。
【0030】
請求項1記載の発明は、屈折力の相違する遠用領域及び近用領域と、両領域間で屈折力が累進的に変化する累進領域を備えた請求項1〜9のいずれか一項に記載の眼鏡用累進焦点レンズの製造方法であって、
眼球側のレンズ裏面又は物体側のレンズ表面に予め設定された球面に対し、遠用領域及び近用領域における乱視度数を伴わない所定の視力補正特性を発揮することのみを目的として設定されたオリジナル累進屈折面を合成する第1行程と、
前記レンズ裏面又はレンズ表面のうち遠用領域が所定の乱視矯正特性を発揮することのみを目的としてオリジナル遠用乱視矯正屈折面を求める第2行程と、
前記レンズ裏面又はレンズ表面のうち近用領域が所定の乱視矯正特性を発揮することのみを目的としてオリジナル近用乱視矯正屈折面を求める第3の行程と、 眼鏡用累進焦点レンズのレンズ裏面又はレンズ表面を、前記球面、オリジナル累進屈折面、オリジナル遠用乱視矯正屈折面及びオリジナル近用乱視矯正屈折面から合成する第4の行程と
を有し、前記最終的に合成された合成屈折面の座標データに基づいてレンズ加工装置によりレンズの表面又は裏面を加工することを特徴とするものである。
【0031】
請求項1記載の発明は、請求項1において、前記第1行程は、レンズ表面を所定曲率の球面に設定し、レンズ裏面側の球面を表す式fs(x,y)と、該球面の頂点位置からオリジナル累進屈折面に至る光軸と平行なz 軸方向の距離を表す関数fp(x,y)とを合成したサグ量Zを表す次の式により行われ、
Z=fs(x,y)+fp(x,y)
レンズ裏面の球面のベースカーブの曲率半径をrとすると、前記球面を表す式fs(x,y)は、
fs(x,y)=r−√(r2 −x2 −y2
で求められるものである。
【0032】
請求項1記載の発明、請求項1において、前記オリジナル遠用乱視矯正屈折面は、トーリック面の座標ftf(x,y)で表され、トーリック面の最大曲率半径をr1又はr2、最小曲率半径をr2又はr1とすると、前記座標ftf(x,y)は、
ftf(x,y)=r1−√{〔r1−r2+√(r22 −y2 )〕2 −x2 }により求められ、
前記オリジナル近用乱視矯正屈折面は、トーリック面の座標ftn(x,y)で表され、トーリック面の最大曲率半径をr1′又はr2′、最小曲率半径をr2′又はr1′とすると、前記座標ftn(x,y)は、
ftn(x,y)=r1′−√{〔r1′−r2′+√(r2′2 −y2 )〕2 −x2 }により求められるものである。
【0033】
請求項13記載の発明は、請求項1において、前記オリジナル累進屈折面の形状を設定する前記関数fp(x,y)には、前記オリジナル遠用乱視矯正屈折面を表す関数ftf(x,y)が加算され、
S1=fp(x,y)+ftf(x,y)
上記式の関数fp(x,y)に第1補正係数k1を乗じた次式
S2=k1・fp(x,y)+ftf(x,y)
において、第1補正係数k1を複数段階に変化させることにより、近用領域における水平(x軸)方向のみの度数を目標水平度数(Dh)に接近する第1漸近行程により仮想の水平度数矯正屈折面(24H)が設定され、
一方、近用領域における垂直(y軸)方向のみの度数は、前記第1漸近行程において、第1補正係数k1に応じて垂直方向に変化した度数(Δd)と近用乱視矯正屈折面(23)の垂直度数とに基づいて、仮の垂直度数矯正屈折面(24V′)を表す三つの切断関数により仮に設定され、
fvf(y)′=h・y+i=定数=0・・・(h′)
fvm(y)′=a・y3 +b・y2 +c・y+d・・・(i′)
fvn(y)′=e・y2 +f・y+g・・・(j′)
但し、(h′)は遠用領域と対応して平面を表し、(j′)は近用領域と対応して曲面を表し、(i′)は累進領域と対応して前記平面と曲面を滑らかに接続する曲面を表し、
上記式(i′)、(j′)に第2補正係数k2を乗じた次式
fvm(y)=k2(a・y3 +b・y2 +c・y+d)・・・(i)
fvn(y)=k2(e・y2 +f・y+g)・・・(j)
において、第2補正係数k2を複数段階に変化させることにより、近用領域における垂直(y軸)方向のみの度数を目標垂直度数(Dv)に接近する第2漸近行程により目標とする垂直度数矯正屈折面(24V)が設定され、
上記の垂直度数矯正屈折面(24V)と、前記第1漸近行程により求められた仮想の水平度数矯正屈折面(24H)とを合成して近用乱視矯正屈折面(23)を設定するものである。
【0034】
請求項14記載の発明は、請求項13において、二次関数で表される前記垂直度数矯正屈折面は、遠用領域と対応して垂直方向の度数がゼロの一次関数で表される平面と、累進領域と対応して前記平面と上記二次関数で表される曲面とを滑らかに接続する三次関数で表される曲面により接続されている。
【0035】
請求項15記載の発明は、請求項1〜のいずれかに記載の眼鏡用累進焦点レンズを所定形状にカットして眼鏡用フレームに装着したものである。
請求項16記載の発明は、請求項15において、左右のレンズの主注視線上に設定される近用領域の二つの中心の距離を、同じく左右のレンズの主注視線上に設定される遠用領域の二つの中心の距離と無関係に個別に設定したものである。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の眼鏡用累進焦点レンズ及びその製造方法並びに眼鏡用累進焦点レンズを用いた眼鏡を具体化した一実施形態を図1〜図13を用いて説明する。
【0037】
この実施形態の眼鏡用累進焦点レンズ11において、前提となる構成は従来の項で述べたものと同様である。即ち、図2に示すようにレンズ11の幾何中心O1の近傍を通る主注視線12上であって、前記幾何中心O1の近傍に位置する遠用中心O2を通る第1水平線L1より上方の領域を球面又は球面に近い遠用領域13としている。又、前記主注視線12上の幾何中心O1よりも下方の近用中心O3を通る第2水平線L2より下方の領域を近用領域14とし、両線L1,L2の中間を累進領域15としている。
【0038】
図3に示すように、累進焦点レンズ11の物体側のレンズ表面16は、所定の曲率半径の球面に成形されており、この実施形態ではレンズ表面16に新たに屈折面の加工が施されることはない。
【0039】
一方、眼球側のレンズ裏面17には各種の屈折面を合成した最終合成屈折面Seの形状に加工され、該最終合成屈折面Seとレンズ表面16の球面(曲率)とにより決定される遠用度数と近用度数(ディオプター、以下単にdptという)によって遠用視と近用視が適正に行われる。このとき、遠用視と近用視のそれぞれの乱視を矯正できる構成となっている。
【0040】
図1の符号11aは、光の屈折率が一定(例えば1.500)のガラス又は合成樹脂材よりなるレンズ母材であって、レンズ表面16とレンズ裏面17は例えばそれぞれ異なる曲率の球面に成形されている。なお、レンズ裏面17は球面でなくてもよく、レンズの加工によって削られる体積を低減し得るような曲率の曲面に設定されていてもよい。
【0041】
この実施形態ではレンズ母材11aの幾何中心01を通る光軸、つまりZ軸とレンズ裏面17の所定ベースカーブの球面との交点をレンズの頂点位置Pとし、該頂点位置Pを通り光軸(Z軸)に直交する第1直線(水平方向)をx軸、頂点位置Pを通り、x軸及び光軸に直交する第2直線(垂直方向)をy軸、x,y軸を通る平面をxy平面と定義する。
【0042】
そこで、レンズ裏面17における前述した最終合成屈折面Seを構成する各要素について、その概要を図1により説明する。
上記レンズ裏面17の球面に反映されるオリジナル累進屈折面21は、眼鏡着用者の乱視度数を伴わない測定遠用度数と測定近用度数に基づいて、予め設定されたものである。このオリジナル累進屈折面21は、遠用領域及び近用領域における乱視度数を伴わない所定の視力補正特性を発揮することのみを目的とするものであって、遠用屈折面21aと近用屈折面21bが累進屈折面21cにより滑らかに連続した累進曲面を表している。なお、図1ではオリジナル累進屈折面21はイメージのみを単純化して示したものである。この図示方法は以下の屈折面22,23,24H,24V,24V′等についても同様である。
【0043】
同じくレンズ裏面17の球面に反映される遠用乱視矯正屈折面22は、眼鏡着用者の測定遠用乱視度数に基づいて、予め設定されている。この屈折面22は正乱視矯正用のものにおいては、図1に示すように最大曲率半径r1の主経面がx軸方向に、最小曲率半径r2の主経面がy軸方向に指向したトーリック面となっている。
【0044】
レンズ裏面17の球面に反映される近用乱視矯正屈折面23は、眼鏡着用者の測定近用乱視度数に基づいて予め仮想設定され、遠用乱視矯正屈折面22と同様に最大曲率半径r1′の主経面がx軸方向に、最小曲率半径r2′の主経面がy軸方向に指向したトーリック面となっている。
【0045】
この実施形態では仮想設定した近用乱視矯正屈折面23の他の屈折面への合成行程を理解し易くするために、近用乱視矯正屈折面23を最大曲率半径r1′の主経面のみを目標の度数に設定する行程と、最小曲率半径r2′の主経面のみを目標の度数に設定する行程とに分けて考察する。
【0046】
近用領域における最大曲率半径r1′の主経面を目標度数に設定する行程は、正乱視では水平なx軸方向のみを考慮して水平度数を変更することにより行われる。この実施形態では前記オリジナル累進屈折面21を表す関数fp(x,y)に第1補正係数k1を乗算する後述の第1漸近行程により近用水平度数が目標水平度数に設定される。第1漸近行程により近用領域におけるy軸(垂直)方向の垂直度数も変化するので、この変化量Δdは次に述べる垂直度数矯正屈折面24Vの設定過程において補正される。第1漸近行程で得られた近用領域における水平度数矯正屈折面24Hは、前記垂直度数の変化量Δdを除いた水平度数のみの矯正屈折面として図1に仮想表示されている。
【0047】
前述した最小曲率半径r2′の主経面のみを目標度数に設定する行程は、正乱視においては図1に示すように主経面の方向が垂直なy軸方向を指向し、垂直度数矯正屈折面24Vとして把握することができる。この垂直度数矯正屈折面24Vは、垂直なy軸方向のみを考慮した矯正用のものであって、z座標はy座標によって定まる。
【0048】
上記の垂直度数矯正屈折面24Vは、三つの面により形成されている。即ち、垂直度数矯正屈折面24Vの形状は、遠用領域ではz軸方向の座標値がxによらない一次関数fvf(y)=h・y+iで表される平面24Vaとなっている。又、近用領域では、y軸方向に関するz軸方向の座標値が目標度数に設定され、かつxによらない二次関数
fvn(y)=e・y2 +f・y+g
で表される曲面24Vbとなっている。さらに、累進領域では、y軸方向に関するz軸方向の座標値が前記平面24Vaと曲面24Vbとを滑らかに接続し、かつxによらない三次関数
fvm(y)=a・y3 +b・y2 +c・y+d
で表される曲面24Vcとなっている。
【0049】
次に、前記各屈折面21,22,24H,24Vを求める行程、第1漸近行程、屈折面24Vを最終屈折面とする第2漸近行程、各屈折面の合成行程等を遠用及び近用共に正乱視の場合について、図1、4を中心に説明する。
(1−1)レンズ裏面17の球面にオリジナル累進屈折面21を合成する第1行程
累進屈折面21の形状は、眼鏡着用者の視力測定データに基づいて、遠用領域及び近用領域における乱視度数を伴わない所定の視力補正特性を発揮することのみを目的として求められる。この屈折面21は乱視矯正を行わないので、オリジナル累進屈折面21と言う。レンズ裏面17の球面に前記オリジナル累進屈折面21を合成する第1行程においては、次の関数が用いられる。(図4のステップST1参照)
Z=fs(x,y)+fp(x,y)
上記関数において、記号Zは前記頂点位置P(z=0)、つまりxy平面からオリジナル累進屈折面21に至る距離、即ちサグ量である。
【0050】
上記のfs(x,y)はレンズ裏面17の球面を表す関数であり、以下の式により求められる。
fs(x,y)=r−√(r2 −x2 −y2
但し、rは図3に示すレンズ裏面17におけるZ軸上の点P0を中心とする球面のベースカーブの曲率半径である。
【0051】
fp(x,y)はレンズ裏面17の球面からのZ方向の変位を表すオリジナル累進屈折面21の関数であり、乱視度数を伴わない所定の視力補正特性を発揮するように眼鏡着用者に適した式に設定される。この関数fp(x,y)については例えば、特開平03−46616号公報、特公昭47−9626号公報、あるいは特公平06−80447号公報等に記載されているが、この実施形態では詳しい説明を省略する。
【0052】
従って、球面に対し前記オリジナル累進屈折面21を合成した屈折面の形状(サグ量Z)は、以下の式(a)で求められる。
Z=r−√(r2 −x2 −y2 )+fp(x,y)・・・(a)
(1−2)オリジナル遠用乱視矯正屈折面22を求める第2行程
このオリジナル遠用乱視矯正屈折面22は眼鏡着用者の測定乱視度数に基づいて、遠用領域、近用領域及び累進領域が所定の遠用乱視矯正特性を発揮することのみを目的として求められるものである。(図4のステップST2参照)
一般に、乱視(矯正屈折)面を表す方法として、トーリック面を用いる。屈折面22を形成するトーリック面は図1に示すように曲率半径r2の円弧(母円)の中心Cを通らない直線y−y′を軸として回転させたときにできる曲面で、「タイヤ型」と「タル型」の二種類がある。
【0053】
前記曲率半径r1とr2を主曲率半径と呼び、一方が最大の値で他方が最小の値をとる。この主曲率半径r1,r2による主経面の面屈折力は最強度と最弱度の度数となり、その差が乱視度数である。乱視の矯正用レンズの場合、度数(パワー)が方向別に異なり、最小パワーはS度数で最大パワーは(S+C)度数となる。なお、レンズの平均度数は簡易的に「S+C/2」で表される。
【0054】
トーリック面である前記オリジナル遠用乱視矯正屈折面22の座標は主曲率半径をr1,r2とすると、以下の関数で表される。
ftf(x,y)=r1−√[〔r1−r2+√(r22 −y2 )〕2 −x2] ・・・(b)
上記式(b)において、主曲率半径r1,r2の最大、最小関係が入れ替わると、トーリック面は「タイヤ型」と「タル型」との間で入れ替わる。
【0055】
乱視面の表現にはトーリック面以外の方法として、トーリック面に非球面の考え方を応用した「非トーリック面」や、特願平−518047(国際公開番号:W01997/019382)に開示された乱視面の座標を表す式がある。この式では、曲率をCx=1/r1、Cy=1/r2とし、前記屈折面22の座標を、次式(c)で表している。
【0056】
ftf(x,y)=(Cx・x2 +Cy・y2 )/〔1+√(1−Cx2 ・x2 Cy2 ・y2 )〕・・・(c)
(1−3)前記オリジナル近用乱視矯正屈折面23を求める第3の行程
近用乱視矯正屈折面23は、前述した遠用乱視の場合と同様にトーリック面の座標ftn(x,y)で表され、トーリック面の最大曲率半径をr1′、最小曲率半径をr2′とすると、前記座標ftn(x,y)は、
ftn(x,y)=r1′−√{〔r1′−r2′+√(r2′2 −y2 )〕2 −x2 }・・・(b′)
上式(b′)により求められる。(図4のステップST3参照)
近用乱視矯正屈折面23の形状は、トーリック面の座標ftn(x,y)で表され、トーリック面の曲率をCx=1/r1′、Cy=1/r2′とすると、
ftn(x,y)=(Cx・x2 +Cy・y2 )/〔1+√(1−Cx2 ・x2 Cy2 ・y2 )〕・・・(c′)
上式(c′)により設定することができる。
(1−4)オリジナル累進屈折面21とオリジナル遠用乱視矯正屈折面22の合成
両屈折面21,22の合成は座標の加減算を意味し、第1合成屈折面S1の座標は、
S1=fp(x,y)+ftf(x,y) ・・・(d)
上式(d)により求められる。
【0057】
前述した(1−1)の式(a)及び(1−2)の式(b)から明らかなように、第1合成屈折面S1は次式(e)により求められる。(図4のステップST4参照)
S1=fp(x,y)+r1−√[(r1−r2+√(r22 −y2 ))2 −x2]…(e)
前述した式(e)は互いに直交する乱視軸(主経面)がx軸とy軸に一致したときに適用されるものであり、正乱視の場合を示す。乱視者の何割かは斜乱視であり、主経面(主曲率半径r1,r2)の方向が斜めになっているレンズを必要とする。この場合には、x,y軸に対する乱視軸の傾斜角度をθとして、x,yの座標変換を行う。
【0058】
x′=x・cosθ−y・sinθ
y′=x・sinθ+y・cosθ
遠用乱視矯正屈折面22の式ftf(x,y)は、変換後のx′,y′座標を代入すれば良く、第1合成屈折面S1′は、次式(f)で求められる。
【0059】
S1′=fp(x,y)+ftf(x′,y′)
=fp(x,y)+r1
−√[(r1−r2+√(r22 −y′2 ))2 −x′2]…(f)
なお、前述した式(c)を用いて遠用乱視矯正屈折面22とオリジナル累進屈折面21の合成を行う場合も前述した式(d)(e)(f)と同様である。
(1−5)前記第1合成屈折面S1又はS1′に対し測定近用乱視度数のうちの目標水平度数を設定して第2合成屈折面S2又はS2′を求める第1漸近行程(図4のステップST5参照)。
【0060】
第1合成屈折面S1′を構成するオリジナル累進屈折面21の近用領域の度数を変更することにより目標とする近用水平度数を以下に述べるように新たに設定することができる。
【0061】
ところで、遠用領域では、屈折面の座標を合成するだけで容易に目標の度数を出すことができ、遠用領域上方や側方の度数が正確に「累進屈折面+乱視矯正屈折面」になっていなくても、大きな問題はない。しかし、二つの屈折面を単純に合成する方法においては、近用領域の水平度数が目標の水平度数からずれてしまうので、それを正確に出すため第1漸近行程をとっている。
【0062】
この第1漸近行程では、まず、前述した単純合成された第1合成屈折面S1′における近用度数を計算する。この計算は単純な合成面のカーブを求めるシミュレーション計算でもよく、実際に眼に入射する光線のシミュレーション計算でもよい。眼鏡着用者の検眼方法として普通の球面レンズを使用する方法を想定すれば、前者の方が望ましい。検眼に用いた球面レンズは、単純な表と裏の面カーブの差によって度数が出ているからである。
【0063】
前述のように求めた第1合成屈折面S1′の近用水平度数と、目標とする近用水平度数、つまり実際に設定したい近用水平度数の差を一致させて第2合成屈折面S2′を求める第1漸近行程が次のように行われる。
【0064】
この第1漸近行程には、第1合成屈折面S1′の式(f)において、オリジナル累進屈折面21を表す関数fp(x、y)に第1補正係数k1を乗ずる次式(g′)が用いられる。
【0065】
S2′=k1・fp(x,y)+ftf(x′,y′)
=k1・fp(x,y)+r1
−√[(r1−r2+√(r22 −y′2 ))2 −x′2]…(g′)
なお、この項において正乱視における第2合成屈折面S2は、以下の式で表される。
【0066】
S2=k1・fp(x,y)+ftf(x,y)
=k1・fp(x,y)+r1
−√[(r1−r2+√(r22 −y2 ))2 −x2]…(g)
上記式(g)又は前記式(g′)の計算は一回の行程では目標とする近用水平度数にならないので、前記第1補正係数k1を段階的に変化させるシミュレーションをして、目標の近用水平度数とのズレを求める。これを繰り返して目標の近用水平度数に近づけていく。最初は、この第1補正係数k1=1と考え、それを1よりも大きくしたり小さくしたりして近用領域の水平度数を目標近用水平度数に近づける。
【0067】
この第1漸近行程において、k1・fp(x,y)により設定された水平度数矯正屈折面24Hは、前述したように図1に仮想表示されている。第1漸近行程において、水平度数のみを変化させることはできず、垂直方向の度数も第1補正係数k1に応じて変化する。この垂直度数の変化量Δd(dpt)は第1補正係数k1が確定すれば、k1・fp(x,y)から求められるので、この変化量Δd及び測定近用乱視度数のうちの垂直度数に基づいて、次に述べる仮の垂直度数矯正屈折面24V′が設定される。(ステップST6参照)
(2−1)仮の垂直度数矯正屈折面24V′の設定行程(図4のステップST6参照)
ここで、仮の矯正屈折面24V′を設定する理由について説明すると、前述した変化量Δd{k1・fp(x,y)から求められる}及び測定近用乱視度数のうちの垂直度数が明らかであるので、それらに基づいて目標垂直度数となる垂直度数矯正屈折面24Vが一回の設定作業で理論的には設定できる筈である。しかし、実際には目標垂直度数とならないことが多いので、仮の垂直度数矯正屈折面24V′を設定する。
【0068】
仮の垂直度数矯正屈折面24V′を表す関数fv(y)′は、x軸方向の座標に無関係でyのみに影響される関数である。関数fv(y)′は遠用領域のfvf(y)′、累進領域のfvm(y)′、近用領域のfvn(y)′の3式に分けられる。y座標の値によって遠・中・近を判定する。例えば、「y>2(幾何中心から2mm上)の領域を遠用領域」、「y<−12(幾何中心から12mm下)の領域を近用領域」と設定している。遠用度数測定位置が幾何中心O1よりも8mm上ならば、境界は3mm±2mmが望ましい。5mmよりも大きく設定すると、遠用度数測定位置で度数の誤差を発生する。逆に1mmよりも小さい値や負の値に設定すると、垂直度数矯正屈折面24V′の遠用領域から近用領域にかけての変形、つまりうねりが急激になってしまう。
【0069】
遠用領域から近用領域の累進領域にかけての形状変化は、スプライン関数で表現される。ここでは「遠用領域fvf(y)′・平面=一次式」、「累進領域fvm(y)′・3次式」、及び「近用領域fvn(y)′・2次式」が滑らかにつながっているような関数が必要となる。「滑らかにつながる」とは、形状的につながっている他に折れ曲がらないこと、カーブ(曲率)が不連続に変化しないことを意味する。カーブが不連続に変化すると、ある点の度数が不連続に変化する。
【0070】
スプライン関数の特性を利用して遠用領域と近用領域を滑らかに接続するが、このスプライン関数の簡単な例として「切断べき関数」を例示する。「切断べき関数」とは、以下に例示するようにべき乗で表現された別々の多項式に設定したものである。
【0071】
遠用領域の関数fvf(y)′は、遠用領域のカーブ又は度数に影響を与えないために、x座標の値が定数で、y座標の値によらず
fvf(y)′=h・y+i=定数
上記の一次式で表される平面24Va′とする。この実施形態では説明を簡略化するために、上式において、h,iを0として、
fvf(y)′=0・・・(h′)
とする。
【0072】
累進領域の関数fvm(y)′の最も簡単な表現方法は三次式である。即ち、x軸方向の座標値を定数とし、y軸方向に関するz軸方向の座標値が前記平面24Va′と次に述べる曲面24Vb′とを滑らかに接続する曲面24Vc′を表す三次関数式(i′)となる。
【0073】
fvm(y)′=a・y3 +b・y2 +c・y+d・・・(i′)
近用領域の関数fvn(y)′の最も簡単な表現方法は二次式である。即ち、x軸方向の座標値を定数とし、y軸方向に関するz軸方向の座標値が目標度数に仮に設定された曲面24Vb′を表す次式(j′)である。
【0074】
fvn(y)′=e・y2 +f・y+g・・・(j′)
ところで、累進領域の形状にとって肝要なことは、遠用領域から累進領域にかけて垂直度数が不連続に変化しないことである。
【0075】
以下に、この条件を列記する。
・面の度数(=カーブ)は面形状のyによる2階微分値に比例し、換言すれば「2階微分値が不連続でない(連続である)」ということになる。
【0076】
・遠用領域ではfvf(y)′=0のため、これをyで2階微分した値もfvf”(y)′=0である。
・累進領域の関数fvm(y)′もy=2のときは同様に2階微分値もfvm”(2)′=0である。
【0077】
・屈折面は滑らかに変化しなければならないので、1階微分値もfvm’(2)′=0である。又、形状そのものが不連続になってはならないので、fvm(2)′=0である。
【0078】
・近用領域の入口、つまりyの値が−12のとき、累進領域の関数fvm(y)′の2階微分値fvm”(−12)′を目標値に設定するためには、近用領域の関数fvn(y)′の2階微分値fvn”(−12)′が、前記2階微分値fvm”(−12)′と等しくなるようにする必要がある。
【0079】
なお、y=−12としたのは、近用度数測定位置を幾何中心O1の12mm下に想定したためである。又、垂直方向の度数のズレからと、「もとの曲率」から「あるべき曲率」を決定する。その後に「もとの曲率」と「あるべき曲率」の値をもとに、2階微分値の目標値を決定することができる。
【0080】
・近用領域の入り口では、fvm’(−12)′=fvn’(−12)′、fvm(−12)′=fvn(−12)′という条件も成立する必要がある。
・前述した近用領域の関数fvn(y)′における2次係数eに関して、
e≒0.5×度数変化量/(素材屈折率−1)
という近似式が成り立つ。
【0081】
この近似式の度数変化量は、dpt(=m-1)単位である。他の式ではmmを用いている関係で単位を揃えて、
e≒0.5×度数変化量×0.001/(素材屈折率−1)
とする。
【0082】
以上の各条件を満たすようにして、前記関数(h′)、(i′)及び(j′)に基づいて仮の垂直度数矯正屈折面24V′を設定することができる。
前述した関数fvm(y)′、fvn(y)′の式(i′)、(j′)における各係数a,b,c,d,e,f,gの設定は例えば以下のように行われる。
【0083】
垂直度数の変化量Δd=0.03dpt、素材屈折率=1.500とすると、前述した近似式、
e≒0.5×度数変化量×0.001/(素材屈折率−1)
から、eは次のように求められる。
【0084】
e≒0.5×0.03×0.001×(1.5−1.0)≒0.0000075
又、累進領域を規定する第1水平線L1、第2水平線L2のy座標の値を、2mm、−12mmとすると、前述したfvm(y)′を表す(i′)、fvn(y)′を表す(j′)式から以下の各等式が成立する。なお、符号「’」は一階微分値、「”」は二階微分値を表す。
【0085】
fvm (2)′=0→8a+4b+2c+d=0
fvm’(2)′=0→12a+4b+c=0
fvm”(2)′=0→12a+2b=0
fvm (-12 )′=fvn (-12 )′
→-1728a+144b-12c+d =144e-12f+g
fvm'(-12 )=fvn '(-12 )
→432a-24b+c=-24e+f
fvm”(-12 )=fvn”(-12 )
→−72a+2b=2e
これらの式から、a,b,c,d,f,gを求めると、以下のようになる。
【0086】
a=−0.0000001786 b=0.0000010714
c=−0.0000021429 d=0.0000014286
f=0.0000750000 g=0.0003100000
なお、このようにして設定された仮の垂直度数矯正屈折面24V′を表す式も完全ではないことは、前述した通りである。実際にはシミュレーションによる漸近補正を次項(2−2)のように行ってより正確な垂直度数矯正屈折面24Vを設定する。
(2−2)仮の垂直度数矯正屈折面24V′に基づいて目標とする垂直度数矯正屈折面24Vを設定する第2漸近行程(図4のステップST7参照)
前述したステップST6において計算により求めた三次関数fvm(y)′及び二次関数fvn(y)′を用いても、前記垂直度数の変化量Δd(例えば0.03dpt)は必ずしも完全に補正できない。このため、前述した三次関数fvm(y)′及び二次関数fvn(y)′に第2補正係数k2を乗じた次式(i)、(j)により補正が行われる。
【0087】
fvm(y)=k2・fvm(y)′
=k2(a・y3 +b・y2 +c・y+d)…(i)
fvn(y)=k2・fvn(y)′
=k2(e・y2 +f・y+g)…(j)
上記式(i)又は(j)の計算は一回の行程では目標とする近用垂直度数にならないので、第2補正係数k2を段階的に変化させるシミュレーションをして、目標の近用垂直度数とのズレを求める。これを繰り返して目標の近用垂直度数に近づけていく。最初は、この第2補正係数k2=1と考え、それを1よりも大きくしたり小さくしたりして近用領域の垂直度数を目標近用垂直度数に近づける。(2−3)最終合成屈折面Seの合成(図4のステップST8参照)
以上のようにして設定された垂直度数矯正屈折面24Vの形状を表す切断べき関数fvf(y)、fvm(y)、fvn(y)を、前述した第2合成屈折面S2′に合成することにより、最終合成屈折面Seを次式(k)により求める。
【0088】
Se=S2′+fv(y)=S2′+〔fvf(y)、fvm(y)、fvn(y)〕 ・・・(k)
(2−4)レンズ母材の加工工程(図4のステップST9参照)
図4のステップST9において、最終合成屈折面Seに基づいてレンズ母材11aの裏面の球面の加工を行うことにより累進焦点レンズが製造される。
【0089】
上記のレンズ母材11aの裏面の加工は、レンズ加工装置における数値制御装置の記録媒体に予め記録した最終合成屈折面Seの座標データにより加工刃が自動制御されることにより行われる。
(3)遠用領域は正乱視で、近用領域の乱視軸が傾斜した斜乱視の場合における最終合成屈折面Se′を求める行程について
前述した(2−1)〜(2−4)項では、遠用領域が斜乱視で、近用領域が正乱視の場合について説明したが、(3)項ではそれが逆の場合である。
(3−1)第1方法(図5〜図7参照)
近用領域の最終合成屈折面Se′の度数は、次のa〜dの要素を合成したものである。
【0090】
a 遠用領域の乱視度数
b 第1漸近行程に用いたk1・fp(x,y)により設定された加入度
c 垂直特殊乱視面
d 斜め特殊乱視面
上記のうち、aは遠用乱視度数によって決定される。b〜dの三要素を度数加算要素と定義し、この度数加算要素を、一般的な乱視度数(S度数とC度数の組み合わせ)として決定するための方法を以下に説明する。
【0091】
図5に示すように、遠用度数の球面要素としてのS度数をDfb、球面要素と円筒要素を合成したS+C度数をDfcとすると、DfbとDfcの方向は直交する。近用度数のS度数をDnb、S+C度数をDncとすると、DnbとDncの方向も直交する。度数加算要素のS度数をDxb、S+C度数をDxcとすると、DxbとDxcの方向も直交する。
【0092】
次に、前述したS+C度数を、「球面要素+円筒要素」に分解する。遠用の円筒要素をDf1とすると、
Dfc=Dfb+Df1
となる。
【0093】
又、度数加算要素の円筒要素をDx1とすると、
Dxc=Dxb+Dx1
となる。
【0094】
さらに、遠用度数に度数加算要素を加えた度数は、球面要素(Dfb+Dxb)に、円筒要素(Df1+Dx1)を加えたものである。
一般に、球面要素の合成(Dfb+Dxb)は単純な度数の足し算で求められ、「球面要素+円筒要素」の合成も容易である。円筒面の軸方向は「球面度数+円筒度数」の足し算で求められる。円筒面の軸と垂直な方向は、球面度数と同じ度数である。
【0095】
しかし、円筒要素同士の合成(Df1+Dx1)はやや複雑なので、以下に一般的な方法を示す。
図6に示すように、屈折力D1 の第1円筒面Aの軸と屈折力D2 の第2円筒面Bの軸とが任意の角γをなしているときに、これを両円筒面A,Bの軸が90度をなしている1枚のレンズに換算することができる。但し、この場合に第1円筒面Aの屈折力をD1 ′、第2円筒面Bの屈折力をD2 ′とし、又、D1 ′の第1円筒面Aの軸と、D1 の第2円筒面Bの軸とのなす角をαとする。すると、合成面におけるD1 ′,D2 ′,αは次の四つの式から計算することができる。なお、下記の一番目の式は「R」を定義したものである。
【0096】
2 =D12 +D22 +2D1・D2 ・cos2γ
D1 ′=(D1 +D2 +R)/2
D2 ′=(D1 +D2 −R)/2
sin2α=D1 ・sin2γ/R
この実施形態においては、上記各式を逆用して、目的の乱視度数を得るためにどのような円筒要素が必要となるかを計算する。
【0097】
次に、度数加算要素の設定方法について説明する。
球面要素の合計Ds1は、
Ds1=Dfb+Dxb
で示され、遠用の円筒要素Df1は、
Df1=Dfc−Dfb
で示され、度数加算要素の円筒要素Dx1は
Dx1=Dxc−Dxb
で示され、Df1とDx1のなす角γxとすると、上記の各式から次の各式が成り立つ。なお、下記の一番目の式は「R1」を定義したものである。
【0098】
R12 =Df12+Dx12+2Df1・Dx1・cos2γx
Dnb =(Df1+Dx1+R1) /2+Ds1 Dnb は近用度数のS度数
Dnc =(Df1+Dx1-R1) /2+Ds1 Dnc は近用度数のS+C度数
sin2α1 =Df1 ・sin2γx /R1 α1はDfb とDnb のなす角であって、遠用と近用の乱視軸から求める。
【0099】
上述の各式を満足するDx1,Dxb,γxを求める。
次に、図7に基づいて、特殊乱視面の設定方法について説明する。
前述した計算式により求めた度数加算の要素Dx1,Dxb,γxをさらに分析する。この実施形態では、これらの度数加算の要素を以下に示す要素に分解する。
【0100】
・垂直特殊乱視面の円筒要素 Dv1
・斜め特殊乱視面の円筒要素 Dl1
・球面度数として加算する要素 Ds2
又、垂直特殊乱視面と斜め特殊乱視面のなす角度として、γx=45度と定めている。
【0101】
γx=45度と定めた理由は、乱視軸が45度を越えると、斜め特殊乱視面の影響が遠用領域に影響する。このため、45度以下が望ましいが、これをあまり小さくすると問題である。即ち、γx=1度と仮定すると、この状態で合成乱視軸を45度にするには、垂直特殊乱視面と斜め(傾き1度)特殊乱視面の値を、それぞれプラス、マイナスの符号を変えて極めて大きな数値に設定する必要があり、実際の加工には適さない。又、円筒面の合成は一種の近似計算であるため、各乱視の値を極端に大きくすると、近似誤差が大きくなる。従って、γx=35〜45度の範囲で選択するのが望ましい。
【0102】
さて、α2をDv1とDxcのなす角とすると、前述した各要素Dv1、Dl1、Ds2、Dxb、Dx1などの間には次の各式が成立する。なお、下記の一番目の式は「R2」を定義したものである。
【0103】
R22 =Dv12 + Dl12
Dxb =(Dv1 +Dl1 +R2)/2+Ds2
Dxb は前述した方法で求められている。
【0104】
Dxc =(Dv1 +Dl1 −R2)/2+Ds2
Dxc =Dxb+Dx1 で、Dx1 は前述した方法で求められている。
sin2α2 =Dv1 /R2
α2(=γx)は度数加算要素の傾き角で既知である。
【0105】
これらの式を満足するように図7に示された垂直特殊乱視面のDv1、斜め特殊乱視面のDl1、球面度数として加算する要素Ds2を求めることができる。以上のようにして、近用領域における度数加算要素が設定され、最終合成屈折面Se′を設定することができる。即ち、
Se′=係数k1倍した累進面+遠用乱視面+垂直特殊乱視面+斜め特殊乱視面なお、最終合成屈折面Se′は、近似的に求めた値である。実際は、このようにして計算された合成面Se′を元にシミュレーションを行い、近用の発現度数を計算する。その度数と、目標とする近用度数の差を0に近づけるべくさらに別の合成要素を求め、特殊乱視面を更新する。これはフィードバック計算であり、累進面の式に乗ずる第1補正係数k1を漸次変更して加入度を目標に近づける漸近方法と同様である。
(3−2)第2方法(図5、6及び図8〜10参照)
この第2方法により得られる近用領域の最終合成屈折面Se″は、次のa,b,cの要素を合成したものである。
【0106】
a 遠用領域の乱視度数
b 第1漸近行程に用いたk1・fp(x,y)により設定された加入度
c 斜め特殊乱視面
上記のうち、aは遠用乱視度数によって決定される。b,cの二要素を度数加算要素と定義し、この度数加算要素を、一般的な乱視度数(S度数とC度数の組み合わせ)として決定するための方法を以下に説明する。
【0107】
図5及び図6を参照して展開された第1方法におけるDx1,Dxb,γxを求めるための理論は、第2方法においても同様であるため、説明を省略する。
そこで、図8〜10に基づいて、特殊乱視面の設定方法について説明する。
【0108】
前述した計算式により求めた度数加算要素は、斜め特殊乱視面と球面度数からなっている。
球面度数Dxbは、オリジナル累進屈折面によってもたらされる加入度である。オリジナル累進面による加入度を目標とする値に設定するには、累進面屈折面を表す関数fp(x,y)に乗ずる第1補正係数k1を調整すればよい。
【0109】
図8に示すように、
度数加算要素=斜め特殊乱視面+球面度数
とした場合には、斜め特殊乱視面は、円筒屈折力Dxl、傾き角度γxとして設定される。
【0110】
以上のようにして、近用領域における度数加算要素が設定され、最終合成屈折面Se″を設定することができる。即ち、
Se″=第1補正係数k1倍した累進面+遠用乱視面+斜め特殊乱視面
ここで、乱視軸が図8に示すように大きく傾斜しない場合には、それほど問題はない。しかし、図9に示すように、乱視軸が45度を越えると、斜め特殊乱視面の影響が遠用領域に影響する。これを解決するため図10に示すように円筒面の軸を入れ換えると遠用領域への影響を低減することができる。
【0111】
なお、最終合成屈折面Se″も、近似的に求めた値である。実際は、このようにして計算された合成屈折面Se″を元にシミュレーションを行い、近用の発現度数を計算する。その度数と、目標とする近用度数の差を0に近づけるべく、さらに別の合成要素を求め、特殊乱視面を更新する。これはフィードバック計算であり、累進面の式に乗ずる第1補正係数を漸次変更して加入度を目標に近づける第1漸近行程と同様である。
【0112】
上記の漸近方法に代えて、特殊乱視面を例えば初回の合成で乱視軸が充分目標に近づかなければ、特殊乱視面をさらに傾ける等の設定をして合成する方法も考えられる。この方法は合成が一回で済むのでよい。又、初回の合成で乱視値が充分目標に近づかなければ、特殊乱視面の乱視の大きさを変更して、漸近法により目標に近づけていくようにしてもよい。
【0113】
この第2方法により得られる近用領域の最終合成屈折面Se″は、乱視軸を入れ換えると、度数加算要素の球面度数成分が増加し、オリジナル累進屈折面に乗ずる第1補正係数k1が増加し、面全体の非点収差や歪曲の点で不利となる。しかし、第1方法よりも行程が簡便である。
(4)遠用PDと近用PDを独立して設定する方法について
ところで、累進焦点レンズを用いた眼鏡は、遠用領域を使用して遠くを適正に見ることができるように、測定された左右の眼球の中心の距離(PD;頂間距離)に合わせて図2に示すレンズの遠用中心O2,O2の距離、つまり遠用PDが設定される。そして、読書等において近用領域を使用して近くを適正に見ることができるように、近用中心O3,O3の距離、つまり近用PDが前記遠用PDよりも所定距離だけ短く設定される。
【0114】
図2に示すように、左右のレンズ11,11の遠用PDは、測定された左右の眼球中心の距離と同じに設定される。又、近用PDは眼鏡着用者によって異なる。これは図11に示すように、近点Wと眼球との間の距離が個々の眼鏡着用者によって異なるためである。従って、遠用PDに無関係に近用PDを自由に設定するのが望ましく、この最も簡単な方法は、図12に示すように遠用中心O2を中心として累進面を回転させることである。即ち、
x′=x・cosθ−y・sinθ
y′=x・sinθ+y・cosθ
という座標変換をして、累進面を表す式をfp(x′,y′)で計算すれば良い。この方法によると、回転によって近用度数測定位置が左右だけでなく、上下にも動いてしまう。しかし、上下動はわずかなので無視するか累進面にかける第1補正係数k1で調整する。例えば、近用の眼球中心(EP)が上方に移動することは、加入の入り方が大きくなることに相当するので第1補正係数k1を小さくして調整する。
【0115】
上記の回転法では非点収差や歪曲の分布も回転してしまうので、図13に示すように、累進領域と近用領域の累進面の座標だけを水平方向にスライドさせる方法が考えられる。このためには累進領域と近用領域においてx座標の適当な変換を行う。
【0116】
x′=x+Δx(y)
上式は水平方向のズレを表すが、方法はいろいろ考えられる。厳密な面の連続性を考慮すると、遠用領域と累進領域の境界、及び累進領域と近用領域の境界において1階微分値が連続的に変化するような方式が望ましい。これは、垂直度数矯正屈折面24Vを生成する際に連続性について考慮した理論と同様である。
【0117】
Δx(y)とは、yの値によってΔxの値を定める関数である。この関数の最も単純な形態は1次式である。ただし、1次式では「遠用領域と累進領域の境界」及び「累進領域と近用領域の境界」において変化の仕方が不連続になる(折れ曲がる)。連続的に変位させるには、それぞれの境界において徐々に変位量を変化させればよい。この方法としてスプライン関数(その中で最も簡単なものが切断べき関数)がある。具体的な例として、ここでは、さらに単純な方法を示す。
【0118】
累進領域の長さを15mmとし、この15mmの間に1mmスライドさせる方法をとる。
Δx(y)=a・y3 +b・y2 +c・y+d
上式の係数a,b,c,dを求めれば良い。
【0119】
Δx( 0)=0 ▲1▼ 遠用領域と累進領域の境界で変位が0mm
Δx(15)=1 ▲2▼ 累進領域と近用領域の境界で変位が1mm
Δx′( 0)=0 ▲3▼ 用領域と累進領域の境界で傾きが0
Δx′(15)=0 ▲4▼ 累進領域と近用領域の境界で傾きが0
▲1▼よりd=0、▲3▼よりc=0、▲2▼と▲4▼よりa=2/153 、b=−1/152 となる。
【0120】
以上詳述したように本実施形態によれば、次のような作用、効果を得ることができる。
(1)前記実施形態では、遠用領域の乱視度数と近用領域の乱視度数を眼鏡着用者の測定遠用乱視度数と測定近用乱視度数に基づいて個別に設定したので、近用視における乱視の矯正を適正に行い、疲労を低減することができる。
【0121】
(2)前記実施形態では、近用乱視矯正屈折面23をX軸方向成分とy軸方向成分に分割して設定したので、両方向の度数をそれぞれ単独で目標度数に適正に設定することができる。
【0122】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・物体側のレンズ表面を累進屈折面と、遠用及び近用の乱視矯正屈折面の合成屈折面とし、眼球側のレンズ裏面を球面としてもよい。
【0123】
・物体側のレンズ表面を累進屈折面又は遠用及び近用の乱視矯正屈折面とし、眼球側のレンズ裏面を遠用及び近用の乱視矯正屈折面又は累進屈折面としてもよい。
【0124】
・前記遠用及び近用の乱視矯正屈折面を、測定遠用乱視度数に基づいて設定された遠用乱視矯正屈折面と、測定近用乱視度数に基づいて設定された近用乱視矯正屈折面とを合成した合成屈折面としてもよい。
【0125】
・前記遠用乱視矯正屈折面を、測定遠用乱視度数に基づいてレンズ裏面の遠用領域、累進領域及び近用領域のうち少なくとも遠用領域を対象として設定し、近用乱視矯正屈折面を、測定近用乱視度数に基づいて近用領域、累進領域及び遠用領域のうち少なくとも近用領域を対象として設定してもよい。
【0126】
・前記近用乱視矯正屈折面を、最強主経面と最弱主経面とに分けてそれぞれ目標度数に設定された二つの屈折面を合成して形成するようにしてもよい。
以下、この発明の実施例1,2,3を説明する。なお、実施例1,2,3では、レンズの表面を累進面とし、裏面を乱視面としている。
【0127】
【実施例1】
この実施例1においては、四人の眼鏡着用者(A,B,C,D)の右(R)眼と左(L)眼における遠用乱視、近用乱視及び遠近PDの臨床データを上げる。表1を用いて実施例1を説明する。
【0128】
【表1】
Figure 0004510177
表1の眼鏡着用者AのR眼の例は、遠用度数は75度方向では+1.50dptとそれを直交する165度方向では−0.25dpt(S+Cの値)になっている。又、平均すれば遠視であるが、165度方向は弱い近視になっていることが分かる。近用度数は75度方向では+3.75dpt、165度方向では+2.50dptである。このように、遠用と近用の乱視をそれぞれ検査すると、C度数の値と軸に差があることがわかる。本願発明の技術的思想を利用すれば、この差に対応することができる。
【0129】
なお、左右眼の近用S度数あるいは平均度数の差に対応することもできる。以下に、その考え方を示す。左右眼の近用度数は、着用者によって一致することもあれば異なることもある。しかし、従来の累進レンズの処方では、多くの場合左右眼の加入度を等しく設定している。実際に必要な加入度が左右で若干異なることが珍しくないが、遠用から近用にかけて左右の像倍率変化が異なると物が見にくいので、殆どの場合左右で加入度を同じに設定している。
【0130】
表1の着用者AのR眼では、
遠用平均度数+0.625、近用平均度数+3.125であるから、加入は2.500dptである。
【0131】
同じ着用者AのL眼では、遠用平均度数+0.250、近用平均度数+2.875であるから、加入は2.625dptである。
左右で加入度に差があるので、本願発明の技術的思想を応用すると、この差に対応もできる。しかし、対応の方法は種々考えられるので、ここでは、いくつかの例を示す。
(1)平均度数の差はわずかであるため、無視する。
(2)充分な加入を得るために、加入度が大きいほうに合わせる。R眼の近用はS+3.75ではなく、S+3.875にする。
(3)加入度が大きいと、揺れ・歪みの点で不利なので、加入度が小さいほうに合わせる。L眼の近用はS+3.75ではなく、S+3.625にする。
(4)効き眼に合わせる。
【0132】
例えば、右眼が効き眼ならば、(3)と同じになる。
これらの調整は、累進面を表現する関数にかける第1補正係数を変化することで実現できる。加入度を0.25dptステップで累進面をセミ加工していたレンズの前記累進面を、受注してからさらに加工するので、このような細かい調整が可能となる。
【0133】
【実施例2】
この実施例2では、加入度を設定する具体例を示す。これを表2を用いて説明する。
【0134】
【表2】
Figure 0004510177
初期設計においては、遠用度数−0.00dpt、近用度数+2.00dptになるように設計したレンズの光学シュミレーションを行う。このとき、レンズの裏面が4.00のカーブの球面であるとする。素材屈折率が1.500のとき、4.00カーブは、曲率半径(1.500−1.000)/4.00=0.125m=125mmの球面を意味する。
【0135】
なお、度数は以下の公式で計算する。
度数(dpt)
=表カーブ/〔1−表カーブ・中心厚(mm)・0.001/屈折率)−裏カーブ〕
表面が3.97カーブ、裏面が4.00カーブ、中心厚が3mm、レンズ素材の屈折率が1.500とすると、度数は−0.00dptになる。中心厚の効果を計算に入れない簡便式では、表面及び裏面とも4.00カーブでレンズの度数が−0.00dptとなる。
【0136】
次に、レンズの裏面を単純に2.00カーブ浅くする。
遠用度数+2.00dpt、近用度数+4.00dptにするべく設計したレンズの光学シミュレーションを行う。ここでレンズ表面は累進面であり、裏面は2.00カーブの球面である。すると、遠用度数は+2.00dptにならない。この理由は、図14に示すように、裏カーブを浅くする関係で中心厚がおよそ2mm厚くなるためである。レンズの度数は厚さによって変化するので、その結果わずかに度数が+側にシフトする。計算例では+2.02dptとなった。
【0137】
レンズの表面が3.97カーブ、裏面が2.00カーブ、中心厚が5mm、レンズ素材の屈折率が1.500とすると、度数は+2.02dptになる。
このときの近用度数は、光学シミュレーションによって計算できる。この計算のためには、近用度数測定点における表面のカーブ(微視的領域の断面を円に近似して、その曲率半径を計算)を求め、その位置でのレンズの厚さを求める。かくして、表カーブ・裏カーブ・厚さより局部的なレンズの度数を計算する。近用水平度数は+4.05dptで、近用垂直度数は+4.08dptになった。近用領域で+0.03dptの乱視が発生した理由は、図15に示すようにレンズ表面と裏面のなす角が変わったためである。
【0138】
次に、遠用度数を調整する方法について説明する。
遠用度数を目標通りに+2.00dptにするために、裏面のカーブを深くして2.02カーブにする。それに伴って近用の度数は、水平+4.03dpt、垂直+4.06dptにそれぞれ変化する。このときのレンズ中心厚の変化はわずかであるため、度数に影響はしない。
【0139】
次に、加入度を調整する方法について説明する。
オリジナル累進屈折面を表す関数に乗ずる第1補正係数k1を調整することによって、水平又は垂直の度数のいずれかをねらい通りに+4.00dptに設定することができる。ここでは水平度数+4.03dptをねらい通りの+4.00dptに調整する。初期設計状態では第1補正係数k1=1.00であると考えれば、+2.03dpt→+2.00dptに調整するには第1補正係数k1を0.985(=2.00/2.03)にすれば良い。その結果、表2に示すように、近用垂直度数は+4.03dptになった。
【0140】
さらに、近用垂直度数を目標の+4.00dptに調整するには、垂直特殊乱視面を用いて近用領域の余分な垂直度数をキャンセルすれば良い。なお、このキャンセルの具体例は【実施例3】における「垂直特殊乱視面の設定」の項から「計算結果」の項に記載している。
【0141】
【実施例3】
この実施例3は、遠用・近用共に乱視がある場合に近用度数を設定するものである。これを表3を用いて説明する。
【0142】
【表3】
Figure 0004510177
(1)改善の考え方と実施例3
遠用度数 S+1.00 C+1.00 軸180度(水平+1.00 垂直+2.00 )
近用度数 S+3.00 C+1.50 軸180度(水平+3.00 垂直+4.50 )
・初期設計状態
遠用度数−0.00dpt、近用度数+2.00dptになるように設計したレンズの光学シミュレーション
このときの裏カーブを4.00カーブとする。
【0143】
表カーブは3.97カーブである。
・裏面をトーリック面にする。
水平方向を単純に+1.00dpt浅くして、3.00カーブにする。
【0144】
垂直方向を単純に+2.00dpt浅くして、2.00カーブにする。
このとき、レンズの中心厚が3mmから5mmに増す。
度数(dpt)=表カーブ/(1/表カーブ・中心厚(mm)・0.001/屈折率)−裏カーブ
上記の公式から遠用度数は、
水平方向 +1.02dpt になる。
【0145】
垂直方向 +2.02dpt になる。
光学シミュレーションから近用度数は、
水平方向 +3.04dpt になる。
【0146】
垂直方向 +4.08dpt になる。
・遠用度数を調整
遠用水平度数を目標通りに+1.00dptにするために、裏面のカーブを深くして3.02カーブにする。
【0147】
遠用垂直度数を目標通りに+2.00dptにするために、裏面のカーブを深くして2.02カーブにする。
これにともなって近用度数は、
水平方向 +3.02dpt になる。
【0148】
垂直方向 +4.06dpt になる。
・加入を調整
累進面を表す関数に乗ずる第1補正係数k1を調整する。
【0149】
近用水平度数を+3.00dptに調整すると、近用垂直度数は+4.04dptになる。
・垂直特殊乱視面の設定
さらに、近用垂直度数を+4.50dptに調整するために、垂直特殊乱視面を用いて近用領域の余分な垂直度数をキャンセルする。以下、垂直特殊乱視面の具体的な計算例を提示する。
・遠用、累進、近用の式
遠用領域 fvf(y)′=0
累進領域 fvm(y)′=a・y3 +b・y2 +c・y+d
近用領域 fvn(y)′=e・y2 +f・y+g
・条件
fvf”=0
fvm”(2)′=0
fvm’(2)′=0
fvm(2)′=0
fvm”(−12)′=fvn”(−12)′
fvm’(−12)′=fvn’(−12)′
fvm(−12)′=fvn(−12)′
e=0.5・度数変化量×0.001/(素材屈折率−1)
・代入した式
fvm(2)′=0→8a+4b+2c+d=0
fvm’(2)′=0→12a+4b+c=0
fvm”(2)′=0→12a+2b=0
fvm (-12 )′=fvn (-12 )′→-1728a+144b-12c+d =144e-12f+g
fvm'(-12 )′=fvn ' (-12 )′→432a-24b+c=-24e+f
fvm"(-12 )′=fvn"(-12 )′→−72a+2b=2e
・計算結果
e=0.5×0.46×0.001×(1.5−1.0)=0.0001150000
a=−0.0000027381
b= 0.0000164286
c=−0.0000328571
d= 0.0000219048
f= 0.0011500000
g= 0.0047533333
なお、レンズの光学シュミレーションを行った結果に基づいて、フィードバックを行う動作を繰り返して第2補正係数k2の最終的な値を設定する。
【0150】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の眼鏡用累進焦点レンズの発明によれば、近用視における乱視の矯正を適正に行い、疲労を低減することができるとともに、近用乱視矯正屈折面の設定を容易に行うことができ、累進屈折面の形状を表す関数を利用して近用乱視の目標水平度数の設定を適正に行うことができる。
【0154】
求項に記載の発明は、垂直度数矯正屈折面の関数により垂直度数の設定を容易に行うことができる。
【0155】
請求項に記載の発明は、遠用及び近用の乱視矯正を適正に行うことができる。
請求項に記載の発明は、遠用及び近用の乱視矯正屈折面の形状の設定をトーリック面の座標式を用いて適正に行うことができる。
【0156】
請求項に記載の発明は、遠用及び近用の乱視矯正屈折面の形状の設定を座標を表す関数を用いて適正に行うことができる。
請求項に記載の発明は、近用乱視の垂直度数矯正屈折面の形状の設定を関数を用いて適正に行うことができる。
【0157】
請求項に記載の発明は、第2漸近行程を行うことにより、最終的に目標垂直度数となる近用乱視の垂直度数矯正屈折面の形状を適正に設定することができる。
【0158】
請求項に記載の発明は、斜め特殊乱視面により近用乱視矯正屈折面の近用度数の設定を適正に行うことができる。
請求項に記載の発明は、垂直特殊乱視面により近用乱視矯正屈折面の近用度数の設定を適正に行うことができる。
【0159】
請求項114に記載の眼鏡用累進焦点レンズの製造方法の発明によれば、近用視における乱視の矯正を適正に行い、疲労を低減する眼鏡用累進焦点レンズを容易に製造することができる。
【0160】
請求項1に記載の発明は、オリジナル累進屈折面の形状を表す座標の設定を適正に行うことができる。
請求項1に記載の発明は、オリジナル遠用乱視矯正屈折面及びオリジナル近用乱視矯正屈折面の設定を適正に行うことができる。
【0161】
請求項13に記載の発明は、近用乱視矯正屈折面を適正に設定することができる。
請求項14に記載の発明は、垂直度数矯正屈折面を適正に設定することができる。
【0162】
請求項15に記載の眼鏡用累進焦点レンズを備えた眼鏡の発明によれば、近用視における乱視の矯正を適正に行い、疲労を低減することができる。
請求項16に記載の発明は、遠用PDと近用PDを適正に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の眼鏡用累進焦点レンズの最終合成屈折面を分解して模式的に示す斜視図。
【図2】左右一対の累進焦点レンズの正面図。
【図3】累進焦点レンズの縦断面図。
【図4】最終合成屈折面を求めるフローチャート。
【図5】近用度数、遠用度数及び度数加算要素の関係を示す説明図。
【図6】 第1及び第2円筒面の合成方法を示す説明図。
【図7】 度数加算要素、垂直特殊乱視面、斜め特殊乱視面及び球面度数の関係を表す説明図。
【図8】 度数加算要素、斜め特殊乱視面及び球面度数の関係を表す説明図。
【図9】 度数加算要素、斜め特殊乱視面及び球面度数の関係を表す説明図。
【図10】 度数加算要素、斜め特殊乱視面及び球面度数の関係を表す説明図。
【図11】 近用PDを示す略体平断面図。
【図12】 近用PDを変更する方法を示すレンズの正面図。
【図13】 近用PDを変更する方法を示すレンズの正面図。
【図14】 実施例2における累進焦点レンズの断面図。
【図15】 実施例2における累進焦点レンズの断面図。
【図16】 従来の累進焦点レンズの正面図。
【図17】 従来の累進焦点レンズの断面図。
【図18】 乱視の発生する要因を示す説明図。
【符号の説明】
11…眼鏡用累進焦点レンズ、11a…レンズ母材、12…主注視線、13…遠用領域、14…近用領域、15…累進領域、16…物体側のレンズ表面、17…眼球側のレンズ裏面、21…オリジナル累進屈折面、21a…遠用屈折面、21b…近用屈折面、21c…累進屈折面、22…遠用乱視矯正屈折面、23…近用乱視矯正屈折面、24H…仮想の水平度数矯正屈折面、24V′…仮の垂直度数矯正屈折面、24V…目標とする垂直度数矯正屈折面、24Va′…平面、24Vb′,24Vc′…曲面、S1,S1′…第1合成屈折面、S2,S2′…第2合成屈折面、Se,Se,′Se″…最終合成屈折面。

Claims (16)

  1. 屈折力の相違する遠用領域及び近用領域と、両領域間で屈折力が累進的に変化する累進領域を備えた眼鏡用累進焦点レンズにおいて、
    物体側のレンズ表面又はレンズ裏面に形成された遠用領域の遠用乱視矯正屈折面の形状を、眼鏡着用者の測定遠用乱視度数を矯正する形状とし、物体側のレンズ表面又はレンズ裏面に形成された近用領域の近用乱視矯正屈折面の形状を、眼鏡着用者の前記測定遠用乱視度数とは異なる測定近用乱視度数を矯正する形状とし、前記遠近両乱視矯正屈折面を累進屈折面によって滑らかに接続し、前記近用乱視矯正屈折面は最強主経面と最弱主経面とに分けてそれぞれ目標度数に設定された二つの屈折面を合成したものであって、前記最強主経面又は最弱主経面のいずれか一方の屈折面は、前記累進屈折面の形状を表す関数をfp(x,y)とすると、該関数fp(x,y)に第1補正係数(k1)を乗ずることにより該累進屈折面に対し目標水平度数(Dh)となるように設定された仮想の水平度数矯正屈折面(24H)であることを特徴とする眼鏡用累進焦点レンズ
  2. 請求項において、前記最強主経面又は最弱主経面の他方の屈折面は、目標垂直度数(Dv)となるように関数により設定された垂直度数矯正屈折面(24V)であって、該屈折面(24V)は、前記仮想の水平度数矯正屈折面(24H)の設定の際に変化した垂直方向の変化度数(Δd)をキャンセルするように設定されている眼鏡用累進焦点レンズ。
  3. 請求項又はにおいて、前記遠用乱視矯正屈折面と近用乱視矯正屈折面とを合成した合成乱視矯正屈折面は、遠用乱視矯正屈折面の乱視軸の傾斜角と、近用乱視矯正屈折面の乱視軸の傾斜角とをそれぞれ設定して合成されたものである眼鏡用累進焦点レンズ。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、前記遠用乱視矯正屈折面の形状は、トーリック面の座標ftf(x,y)で表され、トーリック面の最大曲率半径をr1又はr2、最小曲率半径をr2又はr1とすると、前記座標ftf(x,y)は、
    ftf(x,y)=r1−√{〔r1−r2+√(r22 −y2 )〕2−x2
    上式により設定されたものであり、
    近用乱視矯正屈折面の形状は、トーリック面の座標ftn(x,y)で表され、トーリック面の最大曲率半径をr1′又はr2′、最小曲率半径をr2′又はr1′とすると、前記座標ftn(x,y)は、
    ftn(x,y)=r1′−√{〔r1′−r2′+√(r2′2 −y2)〕2−x2
    上式により設定されたものであり、
    前記遠用乱視矯正屈折面と近用乱視矯正屈折面とは曲面により滑らかに接続されている眼鏡用累進焦点レンズ。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項において、前記遠用乱視矯正屈折面の形状は、トーリック面の座標ftf(x,y)で表され、トーリック面の最大曲率半径をr1又はr2、最小曲率半径をr2又はr1、トーリック面の曲率をCx=1/r1、Cy=1/r2とすると、 ftf(x,y)=(Cx・x2 +Cy・y2 )/〔1+√(1−Cx2 ・x2 −Cy2 ・y2 )〕上式により設定されたものであり、
    近用乱視矯正屈折面の形状は、トーリック面の座標ftn(x,y)で表され、トーリック面の最大曲率半径をr1′又はr2′、最小曲率半径をr2′又はr1′、トーリック面の曲率をCx=1/r1′、Cy=1/r2′とすると、 ftn(x,y)=(Cx・x2 +Cy・y2 )/〔1+√(1−Cx2 ・x2 −Cy2 ・y2 )〕上式により設定されたものであり、
    前記遠用乱視矯正屈折面と近用乱視矯正屈折面とは曲面により滑らかに接続されている眼鏡用累進焦点レンズ。
  6. 請求項において、レンズ裏面の幾何中心を通る光軸方向、つまりz軸方向とレンズ裏面の交点を頂点位置とし、該頂点位置を通る水平方向をx軸方向、垂直方向をy軸方向とすると、前記垂直度数矯正屈折面(24V)の形状は、遠用領域ではz軸方向の座標値がxによらない一次関数
    fvf(y)=h・y+i
    で表される平面(24Va)と、
    近用領域と対応してy軸方向に関するz軸方向の座標値が目標度数に設定され、かつxによらない二次関数
    fvn(y)=e・y2 +f・y+g
    で表される曲面(24Vb)と、
    累進領域と対応してy軸方向に関するz軸方向の座標値が前記平面(24Va)と曲面(24Vb)とを滑らかに接続し、かつxによらない三次関数
    fvm(y)=a・y3 +b・y2 +c・y+d
    で表される曲面(24Vc)と
    により設定されている眼鏡用累進焦点レンズ。
  7. 請求項において、前記垂直度数矯正屈折面(24V)の形状は、前記仮想の水平度数矯正屈折面(24H)の設定の際に変化した垂直方向の変化度数(Δd)と近用乱視における目標垂直度数とに基づいて仮の垂直度数矯正屈折面(24V′)を表す関数fvf(y)′、fvn(y)′、fvm(y)′を設定し、これらの関数に第2補正係数k2を乗ずる第2漸近行程を行うことにより、最終的に目標垂直度数となるように設定されたものである眼鏡用累進焦点レンズ。
  8. 請求項において、前記近用乱視矯正屈折面の近用度数は遠用度数に度数加算要素を加算したものとして設定され、この度数加算要素は、累進屈折面を表す関数に第1補正係数k1を乗じて設定された加入度に対し、斜め特殊乱視面の度数を加算して設定されるものであり、該斜め特殊乱視面は斜め横方向の度数が全域に亘ってゼロに設定され、前記斜め横方向と直交する斜め縦方向の度数が目標度数に設定されたものである眼鏡用累進焦点レンズ。
  9. 請求項において、前記度数加算要素は、さらに垂直特殊乱視面の度数を加算して設定されたものであり、該垂直特殊乱視面は水平のx軸方向の度数が全域に亘ってゼロに設定され、垂直のy軸方向の度数が目標垂直度数に設定されたものである眼鏡用累進焦点レンズ。
  10. 屈折力の相違する遠用領域及び近用領域と、両領域間で屈折力が累進的に変化する累進領域を備えた請求項1〜9のいずれか一項に記載の眼鏡用累進焦点レンズの製造方法であって、
    眼球側のレンズ裏面又は物体側のレンズ表面に予め設定された球面に対し、遠用領域及び近用領域における乱視度数を伴わない所定の視力補正特性を発揮することのみを目的として設定されたオリジナル累進屈折面を合成する第1行程と、
    前記レンズ裏面又はレンズ表面のうち遠用領域が所定の乱視矯正特性を発揮することのみを目的としてオリジナル遠用乱視矯正屈折面を求める第2行程と、
    前記レンズ裏面又はレンズ表面のうち近用領域が所定の乱視矯正特性を発揮することのみを目的としてオリジナル近用乱視矯正屈折面を求める第3の行程と、
    眼鏡用累進焦点レンズのレンズ裏面又はレンズ表面を、前記球面、オリジナル累進屈折面、オリジナル遠用乱視矯正屈折面及びオリジナル近用乱視矯正屈折面から合成する第4の行程と
    を有し、前記最終的に合成された合成屈折面の座標データに基づいてレンズ加工装置によりレンズの表面又は裏面を加工することを特徴とする眼鏡用累進焦点レンズの製造方法。
  11. 請求項1において、前記第1行程は、レンズ表面を所定曲率の球面に設定し、レンズ裏面側の球面を表す式fs(x,y)と、該球面の頂点位置からオリジナル累進屈折面に至る光軸と平行なz 軸方向の距離を表す関数fp(x,y)とを合成したサグ量Zを表す次の式により行われ、
    Z=fs(x,y)+fp(x,y)
    レンズ裏面の球面のベースカーブの曲率半径をrとすると、前記球面を表す式fs(x,y)は、
    fs(x,y)=r−√(r2 −x2 −y2
    で求められるものである眼鏡用累進焦点レンズの製造方法。
  12. 請求項1において、前記オリジナル遠用乱視矯正屈折面は、トーリック面の座標ftf(x,y)で表され、トーリック面の最大曲率半径をr1又はr2、最小曲率半径をr2又はr1とすると、前記座標ftf(x,y)は、
    ftf(x,y)=r1−√{〔r1−r2+√(r22 −y2 )〕2 −x2 }により求められ、
    前記オリジナル近用乱視矯正屈折面は、トーリック面の座標ftn(x,y)で表され、トーリック面の最大曲率半径をr1′又はr2′、最小曲率半径をr2′又はr1′とすると、前記座標ftn(x,y)は、
    ftn(x,y)=r1′−√{〔r1′−r2′+√(r2′2 −y2 )〕2 −x2 }により求められる眼鏡用累進焦点レンズの製造方法。
  13. 請求項1において、前記オリジナル累進屈折面の形状を設定する前記関数fp(x,y)には、前記オリジナル遠用乱視矯正屈折面を表す関数ftf(x,y)が加算され、
    S1=fp(x,y)+ftf(x,y)
    上記式の関数fp(x,y)に第1補正係数k1を乗じた次式
    S2=k1・fp(x,y)+ftf(x,y)
    において、第1補正係数k1を複数段階に変化させることにより、近用領域における水平(x軸)方向のみの度数を目標水平度数(Dh)に接近する第1漸近行程により仮想の水平度数矯正屈折面(24H)が設定され、
    一方、近用領域における垂直(y軸)方向のみの度数は、前記第1漸近行程において、第1補正係数k1に応じて垂直方向に変化した度数(Δd)と近用乱視矯正屈折面(23)の垂直度数とに基づいて、仮の垂直度数矯正屈折面(24V′)を表す三つの切断関数により仮に設定され、
    fvf(y)′=h・y+i=定数=0・・・(h′)
    fvm(y)′=a・y3 +b・y2 +c・y+d・・・(i′)
    fvn(y)′=e・y2 +f・y+g・・・(j′)
    但し、(h′)は遠用領域と対応して平面を表し、(j′)は近用領域と対応して曲面を表し、(i′)は累進領域と対応して前記平面と曲面を滑らかに接続する曲面を表し、
    上記式(i′)、(j′)に第2補正係数k2を乗じた次式
    fvm(y)=k2(a・y3 +b・y2 +c・y+d)・・・(i)
    fvn(y)=k2(e・y2 +f・y+g)・・・(j)
    において、第2補正係数k2を複数段階に変化させることにより、近用領域における垂直(y軸)方向のみの度数を目標垂直度数(Dv)に接近する第2漸近行程により目標とする垂直度数矯正屈折面(24V)が設定され、
    上記の垂直度数矯正屈折面(24V)と、前記第1漸近行程により求められた仮想の水平度数矯正屈折面(24H)とを合成して近用乱視矯正屈折面(23)を設定する眼鏡用累進焦点レンズの製造方法。
  14. 請求項13において、二次関数で表される前記垂直度数矯正屈折面は、遠用領域と対応して垂直方向の度数がゼロの一次関数で表される平面と、累進領域と対応して前記平面と上記二次関数で表される曲面とを滑らかに接続する三次関数で表される曲面により接続されている眼鏡用累進焦点レンズの製造方法。
  15. 請求項1〜のいずれかに記載の眼鏡用累進焦点レンズを所定形状にカットして眼鏡用フレームに装着したことを特徴とする眼鏡。
  16. 請求項15において、左右のレンズの主注視線上に設定される近用領域の二つの中心の距離を、同じく左右のレンズの主注視線上に設定される遠用領域の二つの中心の距離と無関係に個別に設定した眼鏡。
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