JPH04338918A - 累進多焦点レンズ - Google Patents

累進多焦点レンズ

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JPH04338918A
JPH04338918A JP18857091A JP18857091A JPH04338918A JP H04338918 A JPH04338918 A JP H04338918A JP 18857091 A JP18857091 A JP 18857091A JP 18857091 A JP18857091 A JP 18857091A JP H04338918 A JPH04338918 A JP H04338918A
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curvature
center
distance
lens
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、累進多焦点レンズの屈
折面形状に関する。本発明の目的は、累進多焦点レンズ
の遠用部領域および近用部領域での視覚(非点収差およ
び像の歪曲)の改良である。また他の目的は、遠視矯正
を兼ねた累進多焦点レンズの薄型化、軽量化である。
【0002】
【従来の技術】累進多焦点レンズの屈曲面の基本構造を
図1に示す。(以下の図において、図中の記号は共通で
ある。)図はレンズ凸面を示し、Mはレンズの中央を通
る主子午線曲線である。この主子午線曲線はAで示す遠
用中心より上方ではほぼ一定の曲率半径R1をもち、B
で示す近用中心から下方ではほぼ一定の曲率半径R2を
もっており、遠用中心Aから近用中心Bにかけて曲率半
径RがR1からR2に変化している。曲率半径の逆数、
すなわち曲率はレンズ屈折面の屈折力と比例するので、
レンズ屈折力はAからBにかけて連続的に増加し、Aよ
り上方およびBより下方ではそれぞれほぼ一定となる。 この遠用中心Aより上方を遠用部領域、近用中心Bより
下方を近用部領域、AとBの間を中間部領域と称し、そ
れぞれ遠方のものを見るとき(遠方視)、手元のものを
見るとき(近方視)、中間距離のものを見るとき(中間
視)に使われる。この遠用部領域と近用部領域の屈折力
の差は加入度と呼ばれ、眼鏡使用者の目の調節力の不足
を補うものである。
【0003】さて、累進多焦点レンズの一般の単焦点レ
ンズと異なる光学的特徴は、非点収差と歪曲収差にあり
、図2および図3はそれぞれ累進多焦点レンズの非点収
差分布と歪曲収差の一例である。図2は視角(遠方注視
点を基点にした眼球の回旋角)に対する非点収差を表わ
しており、非点収差の単位はディオプトリーである。 この図が示すように、累進多焦点レンズでは中間部領域
の側方に大きな非点収差があり、この部分では物をはっ
きりと見ることができず、使用者がボケを感じずに物を
見ることができる範囲は図の非点収差0.5ディオプト
リー以下の部分であり、この部分は明視域と呼ばれる。 使用者の眼へのフィッティングは水平前方の遠点を見た
ときに視線が遠用中心Aの近傍を通るように設定され、
レンズ光軸も遠用中心Aの近傍となる。このことは、累
進多焦点レンズの近用部領域がレンズ光軸から離れてい
ることを意味し、一般単焦点レンズが遠方視はもちろん
、近方視においても頭を動かすことにより、レンズ光軸
の近傍を使用していること対して累進多焦点レンズの特
徴である。具体的には、近方視状態、たとえば読書にお
いて一般単焦点レンズの場合は視角にして10゜程度で
あるのに対し、累進多焦点レンズでは視角にして30゜
〜40゜である。図3は遠用部領域の度数が零である累
進多焦点レンズを通して正方格子を見たときの歪曲収差
を示しており中間部領域の側方に格子の歪がある。これ
は、頭を動かしながら物を見た場合に知覚される像の搖
れの原因となる。
【0004】以上に述べた如く累進多焦点レンズには他
のレンズにない限定された明視域および像の搖れ現象が
あり、どのようにして広い明視域を確保し、像の搖れを
抑制するかが累進多焦点レンズの課題である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の累進多焦点レン
ズの屈折面の具体的構造について述べる。従来の累進多
焦点レンズには大別して3つのタイプがある。第1のタ
イプは遠用領域および近用部領域を球面にしてそれら領
域における明視域を広くとったものであり、第2のタイ
プは遠用部領域および近用部領域を非球面にして像の搖
れの抑制を図ったものである。また第3のタイプは第1
と第2のタイプの組み合せによるものである。第1のタ
イプのものでは、主子午線におけるその曲線に平行な方
向の曲率(ρt )とそれに直角な方向の曲率(ρs 
)は、遠用部領域および近用部領域は球面であることか
ら等しい。
【0006】又、第2のタイプのものでは、主子午線曲
線上の前述の曲率ρt と曲率ρs が等しく、主子午
線から離れるに従って曲率ρs と同じ方向の曲率が遠
用部領域では漸次増加し、近用部領域では漸次減少する
。すなわち主子午線はへそ状曲線である。第3のタイプ
においても、当然主子午線上の曲率ρt とρs は等
しい。
【0007】さて、主子午線曲線の遠用部領域の屈折力
(以下、ベースカーブと称す。)は、遠用部領域の度数
および加入度から決定される。レンズの度数は主に凸面
の屈折力(ベースカーブ)と凹面の屈折力により決まり
、収差的に最良となる度数とベースカーブとの関係は既
に多数の解析がされている。その代表的なものとしてチ
ェルニングの楕円がある。累進多焦点レンズにおいても
度数によって最良のベースカーブを決定することは単焦
点レンズと同じであるが、累進多焦点レンズの場合は遠
用領域と近用部領域とでは、凸面の曲率および度数が異
なる(加入度の分だけ異なる。)ため、両領域において
収差的に最良となるようにベースカーブが決められる。 しかし遠用部領域における最良となるベースカーブと近
用部領域における最良のベースカーブ(ベースカーブと
加入度の和が近用部領域で凸面の屈折力となる)とは必
ずしも一致しない。というのは、遠用部領域は光軸から
あまり離れない部分(視角にして30゜以内)で遠方視
したときに収差的に良好であることが条件であり、近用
部領域では光軸から離れた部分(視角で30゜〜45゜
)で近方視したときに収差的に良好であることが条件で
ある。というように条件が異なる他に、近用部領域の凸
面の屈折力が加入度により異なるにもかかわらす、レン
ズ製造上の都合により、ベースカーブは加入度間で共通
であるためである。一方ベースカーブが小さい程レンズ
が薄くなる。このことは厚く重なりがちな強度のプラス
レンズにおいては重要であり、特に累進多焦点レンズの
場合は近用部領域で曲率が大きくなること、また近用部
領域を有効に使うためにレンズを大きめにすることから
単焦点レンズよりも厚く、重なるため、ベースカーブを
決定する上で考慮すべき重要な点である。図4、図5は
従来の累進多焦点レンズの一例で、発明者が特願昭55
−171569に示したものであり、その特徴はレンズ
曲面を遠用中心を通る曲線C1と近用中心を通る曲線C
2により遠用部領域、中間部領域、近用部領域に分割す
るとともに、主子午線を含む平面と平行な任意のレンズ
断面曲線上において、レンズ曲面に立てた法線と主子午
線を含む平面との成す角度が、遠用部領域および近用部
領域ではそれぞれ一定であり、中間部領域では遠用中心
と近用中心の間での主子午線曲線の曲率の変化の仕方と
同じ仕方で変化することである。このようなレンズ曲面
形状とすることによって、レンズの非点収差および歪曲
収差が連続的で滑らかな変化をし、それらが知覚されに
くくすることができる。
【0008】この図4および図5からレンズの非点収差
に及ぼすベースカーブの影響を知ることができる。図4
はベースカーブを9.0ディオプトリー(以下、ディオ
プトリーはDと記す)のもの、図5は7.5Dのもので
あり、遠用、中間、近用の領域の分割、主子午線曲線に
直角な方向の断面曲線の曲率の変化の仕方等のベースカ
ーブ以外のレンズ曲面形状決定要因は全て同じであり、
両レンズとも遠用部領域の度数+4.5D、加入度2.
0Dである。図には、左に主子午線曲線で分割したレン
ズ半面の非点収差分布を、右に主子午線曲線上における
その曲線に平行な方向の屈折力ρt とそれに直角な方
向の屈折力ρs の分布を示す。レンズ上の位置に関し
ては角度(゜)により表わし、眼鏡フレームの垂直から
の傾きを約10゜としている。図4および図5から明ら
かな如く、従来の累進多焦点レンズにおいては、図6(
b)に示すように、主子午線曲線上における該曲線に平
行な方向の曲率ρt と直角な方向の曲率ρs とが、
該曲線上の全点で等しいにもかかわらず、主子午線曲線
に平行な方向の屈折力Pt とそれに直角な方向の屈折
力Psは、遠用部領域と近用部領域とで異なっている。 これは、ベースカーブの不適合によって生ずるもので、
このPs とPt の差が非点収差となる。すなわちこ
れは、本来球面であり非点収差が生じないはずの主子午
線曲線上にも、非点収差が生ずることを示している。ま
た、両図を比較すると、遠用部領域においては明白にベ
ースカーブ9.0Dのものの方が非点収差が少なく優れ
ており、近用部領域においては、主子午線曲線上ではベ
ースカーブ7.5Dのものの方が良いが、明視域の幅で
はベースカーブ9.0Dのものの方が優れている。一方
、両レンズの中心厚はレンズ外径を70mmとしたとき
、表1のようになる。
【0009】
【表1】
【0010】これから解かるように、薄さ、および軽さ
の面では、7.5Dのものの方が優れている。
【0011】以上に例示した如く、従来の累進多焦点レ
ンズでは、必ずしもレンズに対する諸要求を満足すべき
ものがなかった。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、先に述べた従
来の累進多焦点レンズの欠点を解消するため、ベースカ
ーブの不適合の度合に応じて、主子午線曲線上にこの曲
線に平行な方向の曲率とそれに直角な方向の曲率とを異
ならせることにより、遠用部領域および近用部領域にお
ける視覚の改良と遠視矯正を兼ねた累進多焦点レンズの
薄型化、軽量化を図るものである。
【0013】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。
【0014】
【実施例】最初の実施例は、前記の特願昭55−171
569のレンズで図5に示したものに本発明を応用した
例である。図6は、本発明による累進多焦点レンズの主
子午線の曲率の変化と、図5に示した従来の累進多焦点
レンズのそれを示している。ベースカーブは共に7.5
Dである。図の(a)、(b)はそれぞれ本発明による
ものと従来のものを示しており、ρt と、ρs はそ
れぞれ主子午線曲線に平行および直角な方向の曲率であ
る。 先に述べた如く従来の累進多焦点レンズでは、主子午線
曲線は球の断面曲線あるいはへそ状曲線でありρt =
ρs である。一方、本発明のものは、遠用部領域およ
び近用部領域においてそれぞれ遠用中心および近用中心
ではρt =ρs であるが、そこからそれぞれ上方お
よび下方、レンズ周辺にいくに従ってρt が徐々に減
少し、それぞれ視角上方30゜以上および視角下方50
゜以下ではρt が一定となっている。2つの曲率の差
Δρ=ρs −ρt は遠用中心および近用中心で零で
あり、そこからそれぞれ上方および下方に行くに従って
漸次増加し、途中から一定となる。その増加の割合は曲
率を屈折力に換算して、それぞれ0.02D/mmおよ
び、0.01D/mmである。
【0015】図7は遠用部領域における主子午線曲線に
直角な断面曲線のその曲線に平行な方向の曲率の変化(
以下、横方向の曲率変化と称す。)を3次元的に示した
もので、(a)は本発明によるもの、(b)は従来のも
のである。(a)、(b)を比較して解るように、従来
のものでは遠用部領域の横方向の曲率変化は全ての断面
曲線で同じように主子午線曲線から側方にかけて変化し
ているが、本発明のものではその増加の仕方が遠用中心
からレンズ上方にゆくに従って増加割合が小さくなり、
レンズ上端付近では増加なく、すなわち断面曲線は円形
となる。
【0016】図8は、この実施例レンズの非点収差特性
を示したものである。図5と同様、レンズ半面の非点収
差分布と、主子午線上での前述の2方向の屈折力を示し
ている。図8と図5を比較すると本発明によるものは遠
用部領域、特に主子午線曲線に近い部分で非点収差が減
少し、明視域が広くなっている。また近用部領域におい
ても明視域の幅が広くなっている。
【0017】このことは、つぎのように説明することが
できる。レンズの非点収差が生ずる要因をレンズ凸側屈
折面が非球面であることによる要因(非球面要因と称す
)とベースカーブによる要因(ベースカーブ要因と称す
)に分けて考える。非球面要因は、凸側屈折面において
方向によりその曲面の曲率が異なることにより生ずるも
のでも、球面の場合のみ零となる。非球面要因は、曲面
上の各点における最大と最小の曲率の差で大きさを示す
ことができるが、曲率と屈折力とは比例するので最大と
最小の屈折力の差、すなわち非点収差としても表現でき
る。
【0018】図9は、非球面要因を等非点収差線で表わ
したもので、(a)は本発明によるもの、(b)は従来
例のものである。図中の矢印は最大屈折力の方向とその
大きさを示す。一方、ベースカーブ要因は、先に述べた
レンズの度数とベースカーブの組み合せによって生ずる
ものであり、レンズ凸面が球面(全ての点で全方向の曲
率が等しい)であっても光軸から離れることにより生じ
る。
【0019】図10は、レンズ度数+4.5D、ベース
カーブ7.5Dのときのベースカーブ要因を遠用部領域
および近用部領域について示したもので、表現の方法は
非球面要因と同じである。同図の遠用部領域において、
光軸(実施例においては、遠用中心Aと一致する)に対
して回転対称とならないのはレンズを眼鏡フレームに入
れて使用する場合にレンズが数度傾くためである。また
近用部領域でのベースカーブ要因は微小である。この2
つの要因の複合として実際のレンズの非点収差が決まる
のであるが、複合の際に注目すべき点は非点収差の方向
である。つまり、非球面要因の最大屈折力の方向とベー
スカーブ要因のそれが直交する位置では双方の非点収差
が打ち消し合い、平行となる位置では双方の非点収差が
加算される。
【0020】この法則から本発明の効果が説明される。 図9と図10を重ね合せてみれば、本発明のものは遠用
部領域の上方においてベースカーブ要因を打ち消す方向
に非球面要因を有しており、そのため、図8に示す如く
明視域の改善がされることが解かる。また近用部領域に
おいては、主子午線曲線近傍ではベースカーブ要因を打
ち消す方向の非点収差をもち、それから離れるに従って
図中の記号uで示す曲線上においてヘソ状となり、そこ
から外側では従来のものとほぼ同じ方向をもつが大きさ
の小さい非点収差となるため、明視域の幅が広げられる
【0021】以上述べた如く、本発明はレンズの度数と
ベースカーブでの不適合による非点収差の発生を予め考
慮して、それを打ち消す如くレンズ凸側屈折面の形状を
構成するものである。その内容は、主子午線曲線に関す
るものと、主子午線に直角な断面曲線に関するものから
成る。
【0022】前者は、レンズ度数とベースカーブの不適
合がある場合、主子午線曲線上においてその曲線に平行
な方向の屈折力と直角方向の屈折力に差、すなわち非点
収差が生ずることに対処するもので、その非点収差を打
ち消す方向に主子午線曲線でのレンズ屈折面の曲率の差
Δρ(曲率と屈折力とは比例するので、すなわち屈折力
の差)をもたせるものである。このレンズ度数とベース
カーブの不適合により発生する非点収差は、レンズ光軸
から離れるに従って単調に増加するもの、レンズ光軸か
ら離れるに従って一端増加したのち減少するもの等種々
のタイプがある。従って、主子午線曲線での前述の曲率
の差は、そのタイプに合わせる必要があり、正確にそれ
を行なえば主子午線曲線上におけるレンズの非点収差を
無くすことができる。ただし、レンズの眼鏡としての使
用範囲、遠用中心および近用中心から上方および下方に
最大でも15mm程度、その内使用頻度の高い部分は各
中心から5mm程度、を考慮した場合、少なくともこの
範囲において上述の主子午線曲線での曲率の差Δρの操
作が必要となる。また、この範囲では前述の不適合によ
る非点収差は一般に光軸から遠ざかるにつれてほぼ直線
的に増加するため、前述Δρの変化もほぼ直線的な変化
となる。強度のプラスレンズにおいては、一般に前述の
実施例の如く、主子午線曲線上の屈折力はPt >Ps
 の関係があるため、それに対する主子午線曲線上の曲
率ρt <ρs の関係となる。
【0023】また光軸が遠用中心およびその近傍である
場合は、遠用中心が遠用部領域での前述の曲率変化の基
点としても差し支えなく、そのときは遠用中心において
はΔρ=0となる。近用部領域においては、近用中心は
光軸から10数mm離れた位置にあるためベースカーブ
の不適合の度合に応じて屈折力に換算して0.2D以下
の曲率差Δρを近用中心にもたせることが必要である。 なお、一般に屈折力と曲率との関係は、屈折力=(n−
1)×曲率(ただし、nはレンズ材料の種類によって定
まる屈折率である。)で表されるので、この式から曲率
差を求めれば良い。またΔρの増加のさせ方として、主
子午線曲線に平行な方向の曲率ρt を減少させ、直角
方向の曲率ρs を一定としたとき、主子午線曲線上に
おける平均度数が光軸でのそれに近づくため好ましい。
【0024】一方後者は、遠用部領域あるいは近用部領
域における主子午線曲線に直角な断面曲線の形状をつぎ
のように変化させることである。すなわち、遠用部領域
の場合は前述の実施例の如く前記断面曲線の形状を主子
午線曲線から離れるに従って曲率が増加する形状とし、
遠用中心からレンズ上方にいくに従って、その増加の割
合が漸次小さくなるようにする。また近用部領域の場合
は、前記断面曲線の形状を主子午線曲線から離れるに従
って曲率が減少する形状とし、近用中心からレンズ下方
にいくに従ってその減少の割合が漸次小さくなるように
する。近用部領域でのこのことによる効果は、本実施例
の近用部領域での効果の解説の際に出てきた近用部領域
に生ずるヘソ状曲線が、このことにより下方にいくに従
って一層レンズ側方に移動することから、近用部領域の
明視域がより広くなることである。また、遠用部領域あ
るいは近用部領域におけるこれらの断面曲線変化は、適
用ケースによっては歪曲収差にも良い影響をもつ。すな
わち、強度のプラス処方を有する遠用部領域にこれを適
要した場合、プラスレンズの特徴であるところのレンズ
上方にいくに従って横に広がるいわゆる鼓形の歪曲収差
を減ずることができる。また強度のマイナス処方を有す
る近用部領域に適用した場合は、マイナスレンズ特徴で
あるところの、レンズ下方にいくに従って横がすぼまる
、いわゆる樽形の歪曲収差を減ずることができる。
【0025】図11、図12、図13は、他の従来例お
よびそれに本発明を応用した2つの例である。図11も
前述の特願昭55−171569のレンズであり、遠用
部領域および近用部領域が共に球面のものである。その
実施例と同じく、ベースカーブ7.5D、レンズ処方度
数+4.5Dである。
【0026】図12は、図11のものに本発明を応用し
たもので、遠用部領域の主子午線曲線に前述の実施例と
同様の2方向の曲率ρt,ρsの変化を施したものであ
る。主子午線曲線に直角な断面曲線は前遠用部領域で円
形形状である。図11の従来例に比べ遠用部領域の主子
午線曲線近傍の非点収差が減少し、明視域も広くなって
いる。
【0027】図13は、図12のものに更に主子午線曲
線に直角な断面曲線の変化を加えたものである。
【0028】すなわち遠用部領域において、その領域の
下端では前記の断面曲線は円形形状であり、遠用部領域
の上方にいくに従い主子午線から離れるに従って曲率の
減少する非円形形状に徐々に変化する。
【0029】この断面曲線の変化を加えることにより、
図12のものより更に明視域が広がる。この効果の説明
は、最初の実施例のところで非球面要因とベースカーブ
要因に説明したものの延長として容易に理解されるであ
ろう。
【0030】
【発明の効果】以上、実施例において詳細に説明した如
く、本発明によれば、累進多焦点レンズ特有の視覚的な
条件(遠用部領域と近用部領域の視角上、および視距離
の違い)あるいは加入度によらないベースカーブの共通
化、さらにレンズの薄型化といった諸要因によって生ず
るレンズ度数とベースカーブの不適合に基因する非点収
差の発生を減少させ使用上充分な明視域を確保するとと
もに、歪曲収差をも改善することができる。特に強度の
遠視矯正処方のものについては、薄型化・軽量化を図り
ながら、視覚的にも充分満足できる累進多焦点レンズを
供給することができる。
【0031】なお、本発明はレンズ度数およびベースカ
ーブの不適合の様相により、必要に応じてその内容の全
部あるいは、一部を適用するものであり、それぞれの効
果は独立して得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】  累進多焦点レンズの屈折面の構造を示す図
【図2】  累進多焦点レンズの非点収差と歪曲収差の
特徴を示す図。
【図3】  累進多焦点レンズの非点収差と歪曲収差の
特徴を示す図。
【図4】  従来の累進多焦点レンズの例で、それぞれ
レンズの処方度数とベースカーブが適合したものと不適
合のもの、左に非点収差分布を示し、右に主子午線曲で
その曲線に平行および直角な2方向の屈折力を示す図。
【図5】  従来の累進多焦点レンズの例で、それぞれ
レンズの処方度数とベースカーブが適合したものと不適
合のもの、左に非点収差分布を示し、右に主子午線曲で
その曲線に平行および直角な2方向の屈折力を示す図。
【図6】  主子午線曲線上でのそれに平行および直角
な2方向の曲率の変化を示す図。(a)は本発明による
ものであり、(b)は従来例である。
【図7】  遠用部領域における主子午線曲線に直角な
断面曲線の曲率の変化を示す図。(a)は本発明による
もの、(b)は従来例である。
【図8】  本発明の実施例の非点収差分布と主子午線
曲線上の屈折力を示す図。
【図9】  本発明の効果を説明するもので、レンズ凸
側の非球面曲面に基因する非点収差を示す図。(a)は
本発明によるもの、(b)は従来のもの。
【図10】  ベースカーブとレンズ処方度数の不適合
に基因する非点収差を示す図。
【図11】  他の従来例を示す図で、ベースカーブと
レンズ処方度数の不適合があるもの。
【図12】  図10のレンズに本発明を応用した例を
示す図。
【図13】  図10のレンズに本発明を応用した例を
示す図。
【符号の説明】
M:主子午線曲線 A:遠用中心 B:近用中心 C1:遠用部領域と中間部領域の境界線C2:近用部領
域と中間部領域の境界線P:屈折力 ρ:曲率

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  主子午線曲線の遠用部領域下端である
    遠用中心と前記曲線の近用部上端である近用中心の間で
    所定の法則に従って屈折力が変化して加入度を付与する
    累進多焦点レンズにおいて、前記遠用部領域および前記
    近用部領域の少なくとも一方の領域の一部あるいは全部
    において、前記主子午線曲線上における該曲線に直角な
    方向の曲率(ρs )と前記曲線に沿った方向の曲率(
    ρt )の差Δρ=|ρs −ρt |を零より大きく
    し、かつ、前記遠用中心を通る曲線C1と前記近用中心
    を通る曲線C2により、レンズ曲面を遠用部領域、近用
    部領域において前記主子午線曲線を含む平面に平行な任
    意のレンズ断面曲線上でのレンズ曲面の法線と前記主子
    午線を含む平面との成す角度の変化の仕方が、前記主子
    午線曲線上の前記遠用中心と前記近用中心の間で屈折力
    の変化の仕方と同じであることを特徴とする累進多焦点
    レンズ。
  2. 【請求項2】  前記遠用部領域および前記近用部領域
    の少なくとも一方において、前記曲率の差Δρが前記遠
    用部領域では前記遠用中心から、前記近用部領域では前
    記近用中心から少なくとも5mmの間漸次増加すること
    を特徴とする請求項1記載の累進多焦点レンズ。
  3. 【請求項3】  前記遠用中心において、前記曲率ρs
     と前記曲率ρt が等しい事を特徴とする請求項1又
    は請求項2記載の累進多焦点レンズ。
  4. 【請求項4】  前記近用中心において、前記曲率ρs
     と前記曲率ρt の差Δρが屈折力に換算して0.2
    ディオプトリー以下であることを特徴とする請求項1又
    は請求項2記載の累進多焦点レンズ。
  5. 【請求項5】  前記曲率ρs と前記曲率ρt の差
    Δρの増加の仕方が直線的であることを特徴とする請求
    項2記載の累進多焦点レンズ。
  6. 【請求項6】  前記曲率ρs が一定であり、前記曲
    率ρt が前記遠用中心あるいは前記近用中心からレン
    ズ周辺方向にかけて、漸次減少することを特徴とする請
    求項2記載の累進多焦点レンズ。
  7. 【請求項7】  前記遠用部領域において、前記主子午
    線曲線に直角な断面曲線が円形形状であることを特徴と
    する請求項2記載の累進多焦点レンズ。
  8. 【請求項8】  前記近用部領域において、前記主子午
    線曲線に直角な断面曲線が円形形状であることを特徴と
    する請求項1記載の累進多焦点レンズ。
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