JPH081494B2 - 累進多焦点レンズ - Google Patents
累進多焦点レンズInfo
- Publication number
- JPH081494B2 JPH081494B2 JP3188570A JP18857091A JPH081494B2 JP H081494 B2 JPH081494 B2 JP H081494B2 JP 3188570 A JP3188570 A JP 3188570A JP 18857091 A JP18857091 A JP 18857091A JP H081494 B2 JPH081494 B2 JP H081494B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- curve
- lens
- curvature
- distance
- center
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Eyeglasses (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、累進多焦点レンズの屈
折面形状に関する。本発明の目的は、累進多焦点レンズ
の遠用部領域および近用部領域での視覚(非点収差およ
び像の歪曲)の改良である。また他の目的は、遠視矯正
を兼ねた累進多焦点レンズの薄型化、軽量化である。
折面形状に関する。本発明の目的は、累進多焦点レンズ
の遠用部領域および近用部領域での視覚(非点収差およ
び像の歪曲)の改良である。また他の目的は、遠視矯正
を兼ねた累進多焦点レンズの薄型化、軽量化である。
【0002】
【従来の技術】累進多焦点レンズの屈曲面の基本構造を
図1に示す。(以下の図において、図中の記号は共通で
ある。)図はレンズ凸面を示し、Mはレンズの中央を通
る主子午線曲線である。この主子午線曲線はAで示す遠
用中心より上方ではほぼ一定の曲率半径R1をもち、B
で示す近用中心から下方ではほぼ一定の曲率半径R2を
もっており、遠用中心Aから近用中心Bにかけて曲率半
径RがR1からR2に変化している。曲率半径の逆数、
すなわち曲率はレンズ屈折面の屈折力と比例するので、
レンズ屈折力はAからBにかけて連続的に増加し、Aよ
り上方およびBより下方ではそれぞれほぼ一定となる。
この遠用中心Aより上方を遠用部領域、近用中心Bより
下方を近用部領域、AとBの間を中間部領域と称し、そ
れぞれ遠方のものを見るとき(遠方視)、手元のものを
見るとき(近方視)、中間距離のものを見るとき(中間
視)に使われる。この遠用部領域と近用部領域の屈折力
の差は加入度と呼ばれ、眼鏡使用者の目の調節力の不足
を補うものである。
図1に示す。(以下の図において、図中の記号は共通で
ある。)図はレンズ凸面を示し、Mはレンズの中央を通
る主子午線曲線である。この主子午線曲線はAで示す遠
用中心より上方ではほぼ一定の曲率半径R1をもち、B
で示す近用中心から下方ではほぼ一定の曲率半径R2を
もっており、遠用中心Aから近用中心Bにかけて曲率半
径RがR1からR2に変化している。曲率半径の逆数、
すなわち曲率はレンズ屈折面の屈折力と比例するので、
レンズ屈折力はAからBにかけて連続的に増加し、Aよ
り上方およびBより下方ではそれぞれほぼ一定となる。
この遠用中心Aより上方を遠用部領域、近用中心Bより
下方を近用部領域、AとBの間を中間部領域と称し、そ
れぞれ遠方のものを見るとき(遠方視)、手元のものを
見るとき(近方視)、中間距離のものを見るとき(中間
視)に使われる。この遠用部領域と近用部領域の屈折力
の差は加入度と呼ばれ、眼鏡使用者の目の調節力の不足
を補うものである。
【0003】さて、累進多焦点レンズの一般の単焦点レ
ンズと異なる光学的特徴は、非点収差と歪曲収差にあ
り、図2および図3はそれぞれ累進多焦点レンズの非点
収差分布と歪曲収差の一例である。図2は視角(遠方注
視点を基点にした眼球の回旋角)に対する非点収差を表
わしており、非点収差の単位はディオプトリーである。
この図が示すように、累進多焦点レンズでは中間部領域
の側方に大きな非点収差があり、この部分では物をはっ
きりと見ることができず、使用者がボケを感じずに物を
見ることができる範囲は図の非点収差0.5ディオプト
リー以下の部分であり、この部分は明視域と呼ばれる。
使用者の眼へのフィッティングは水平前方の遠点を見た
ときに視線が遠用中心Aの近傍を通るように設定され、
レンズ光軸も遠用中心Aの近傍となる。このことは、累
進多焦点レンズの近用部領域がレンズ光軸から離れてい
ることを意味し、一般単焦点レンズが遠方視はもちろ
ん、近方視においても頭を動かすことにより、レンズ光
軸の近傍を使用していること対して累進多焦点レンズの
特徴である。具体的には、近方視状態、たとえば読書に
おいて一般単焦点レンズの場合は視角にして10゜程度
であるのに対し、累進多焦点レンズでは視角にして30
゜〜40゜である。図3は遠用部領域の度数が零である
累進多焦点レンズを通して正方格子を見たときの歪曲収
差を示しており中間部領域の側方に格子の歪がある。こ
れは、頭を動かしながら物を見た場合に知覚される像の
搖れの原因となる。
ンズと異なる光学的特徴は、非点収差と歪曲収差にあ
り、図2および図3はそれぞれ累進多焦点レンズの非点
収差分布と歪曲収差の一例である。図2は視角(遠方注
視点を基点にした眼球の回旋角)に対する非点収差を表
わしており、非点収差の単位はディオプトリーである。
この図が示すように、累進多焦点レンズでは中間部領域
の側方に大きな非点収差があり、この部分では物をはっ
きりと見ることができず、使用者がボケを感じずに物を
見ることができる範囲は図の非点収差0.5ディオプト
リー以下の部分であり、この部分は明視域と呼ばれる。
使用者の眼へのフィッティングは水平前方の遠点を見た
ときに視線が遠用中心Aの近傍を通るように設定され、
レンズ光軸も遠用中心Aの近傍となる。このことは、累
進多焦点レンズの近用部領域がレンズ光軸から離れてい
ることを意味し、一般単焦点レンズが遠方視はもちろ
ん、近方視においても頭を動かすことにより、レンズ光
軸の近傍を使用していること対して累進多焦点レンズの
特徴である。具体的には、近方視状態、たとえば読書に
おいて一般単焦点レンズの場合は視角にして10゜程度
であるのに対し、累進多焦点レンズでは視角にして30
゜〜40゜である。図3は遠用部領域の度数が零である
累進多焦点レンズを通して正方格子を見たときの歪曲収
差を示しており中間部領域の側方に格子の歪がある。こ
れは、頭を動かしながら物を見た場合に知覚される像の
搖れの原因となる。
【0004】以上に述べた如く累進多焦点レンズには他
のレンズにない限定された明視域および像の搖れ現象が
あり、どのようにして広い明視域を確保し、像の搖れを
抑制するかが累進多焦点レンズの課題である。
のレンズにない限定された明視域および像の搖れ現象が
あり、どのようにして広い明視域を確保し、像の搖れを
抑制するかが累進多焦点レンズの課題である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の累進多焦点レン
ズの屈折面の具体的構造について述べる。従来の累進多
焦点レンズには大別して3つのタイプがある。第1のタ
イプは遠用領域および近用部領域を球面にしてそれら領
域における明視域を広くとったものであり、第2のタイ
プは遠用部領域および近用部領域を非球面にして像の搖
れの抑制を図ったものである。また第3のタイプは第1
と第2のタイプの組み合せによるものである。第1のタ
イプのものでは、主子午線におけるその曲線に平行な方
向の曲率(ρt )とそれに直角な方向の曲率(ρs )
は、遠用部領域および近用部領域は球面であることから
等しい。
ズの屈折面の具体的構造について述べる。従来の累進多
焦点レンズには大別して3つのタイプがある。第1のタ
イプは遠用領域および近用部領域を球面にしてそれら領
域における明視域を広くとったものであり、第2のタイ
プは遠用部領域および近用部領域を非球面にして像の搖
れの抑制を図ったものである。また第3のタイプは第1
と第2のタイプの組み合せによるものである。第1のタ
イプのものでは、主子午線におけるその曲線に平行な方
向の曲率(ρt )とそれに直角な方向の曲率(ρs )
は、遠用部領域および近用部領域は球面であることから
等しい。
【0006】又、第2のタイプのものでは、主子午線曲
線上の前述の曲率ρt と曲率ρs が等しく、主子午線か
ら離れるに従って曲率ρs と同じ方向の曲率が遠用部領
域では漸次増加し、近用部領域では漸次減少する。すな
わち主子午線はへそ状曲線である。第3のタイプにおい
ても、当然主子午線上の曲率ρt とρs は等しい。
線上の前述の曲率ρt と曲率ρs が等しく、主子午線か
ら離れるに従って曲率ρs と同じ方向の曲率が遠用部領
域では漸次増加し、近用部領域では漸次減少する。すな
わち主子午線はへそ状曲線である。第3のタイプにおい
ても、当然主子午線上の曲率ρt とρs は等しい。
【0007】さて、主子午線曲線の遠用部領域の屈折力
(以下、ベースカーブと称す。)は、遠用部領域の度数
および加入度から決定される。レンズの度数は主に凸面
の屈折力(ベースカーブ)と凹面の屈折力により決ま
り、収差的に最良となる度数とベースカーブとの関係は
既に多数の解析がされている。その代表的なものとして
チェルニングの楕円がある。累進多焦点レンズにおいて
も度数によって最良のベースカーブを決定することは単
焦点レンズと同じであるが、累進多焦点レンズの場合は
遠用領域と近用部領域とでは、凸面の曲率および度数が
異なる(加入度の分だけ異なる。)ため、両領域におい
て収差的に最良となるようにベースカーブが決められ
る。しかし遠用部領域における最良となるベースカーブ
と近用部領域における最良のベースカーブ(ベースカー
ブと加入度の和が近用部領域で凸面の屈折力となる)と
は必ずしも一致しない。というのは、遠用部領域は光軸
からあまり離れない部分(視角にして30゜以内)で遠
方視したときに収差的に良好であることが条件であり、
近用部領域では光軸から離れた部分(視角で30゜〜4
5゜)で近方視したときに収差的に良好であることが条
件である。というように条件が異なる他に、近用部領域
の凸面の屈折力が加入度により異なるにもかかわらす、
レンズ製造上の都合により、ベースカーブは加入度間で
共通であるためである。一方ベースカーブが小さい程レ
ンズが薄くなる。このことは厚く重なりがちな強度のプ
ラスレンズにおいては重要であり、特に累進多焦点レン
ズの場合は近用部領域で曲率が大きくなること、また近
用部領域を有効に使うためにレンズを大きめにすること
から単焦点レンズよりも厚く、重なるため、ベースカー
ブを決定する上で考慮すべき重要な点である。図4、図
5は従来の累進多焦点レンズの一例で、発明者が特願昭
55−171569に示したものであり、その特徴はレ
ンズ曲面を遠用中心を通る曲線C1と近用中心を通る曲
線C2により遠用部領域、中間部領域、近用部領域に分
割するとともに、主子午線を含む平面と平行な任意のレ
ンズ断面曲線上において、レンズ曲面に立てた法線と主
子午線を含む平面との成す角度が、遠用部領域および近
用部領域ではそれぞれ一定であり、中間部領域では遠用
中心と近用中心の間での主子午線曲線の曲率の変化の仕
方と同じ仕方で変化することである。このようなレンズ
曲面形状とすることによって、レンズの非点収差および
歪曲収差が連続的で滑らかな変化をし、それらが知覚さ
れにくくすることができる。
(以下、ベースカーブと称す。)は、遠用部領域の度数
および加入度から決定される。レンズの度数は主に凸面
の屈折力(ベースカーブ)と凹面の屈折力により決ま
り、収差的に最良となる度数とベースカーブとの関係は
既に多数の解析がされている。その代表的なものとして
チェルニングの楕円がある。累進多焦点レンズにおいて
も度数によって最良のベースカーブを決定することは単
焦点レンズと同じであるが、累進多焦点レンズの場合は
遠用領域と近用部領域とでは、凸面の曲率および度数が
異なる(加入度の分だけ異なる。)ため、両領域におい
て収差的に最良となるようにベースカーブが決められ
る。しかし遠用部領域における最良となるベースカーブ
と近用部領域における最良のベースカーブ(ベースカー
ブと加入度の和が近用部領域で凸面の屈折力となる)と
は必ずしも一致しない。というのは、遠用部領域は光軸
からあまり離れない部分(視角にして30゜以内)で遠
方視したときに収差的に良好であることが条件であり、
近用部領域では光軸から離れた部分(視角で30゜〜4
5゜)で近方視したときに収差的に良好であることが条
件である。というように条件が異なる他に、近用部領域
の凸面の屈折力が加入度により異なるにもかかわらす、
レンズ製造上の都合により、ベースカーブは加入度間で
共通であるためである。一方ベースカーブが小さい程レ
ンズが薄くなる。このことは厚く重なりがちな強度のプ
ラスレンズにおいては重要であり、特に累進多焦点レン
ズの場合は近用部領域で曲率が大きくなること、また近
用部領域を有効に使うためにレンズを大きめにすること
から単焦点レンズよりも厚く、重なるため、ベースカー
ブを決定する上で考慮すべき重要な点である。図4、図
5は従来の累進多焦点レンズの一例で、発明者が特願昭
55−171569に示したものであり、その特徴はレ
ンズ曲面を遠用中心を通る曲線C1と近用中心を通る曲
線C2により遠用部領域、中間部領域、近用部領域に分
割するとともに、主子午線を含む平面と平行な任意のレ
ンズ断面曲線上において、レンズ曲面に立てた法線と主
子午線を含む平面との成す角度が、遠用部領域および近
用部領域ではそれぞれ一定であり、中間部領域では遠用
中心と近用中心の間での主子午線曲線の曲率の変化の仕
方と同じ仕方で変化することである。このようなレンズ
曲面形状とすることによって、レンズの非点収差および
歪曲収差が連続的で滑らかな変化をし、それらが知覚さ
れにくくすることができる。
【0008】この図4および図5からレンズの非点収差
に及ぼすベースカーブの影響を知ることができる。図4
はベースカーブを9.0ディオプトリー(以下、ディオ
プトリーはDと記す)のもの、図5は7.5Dのもので
あり、遠用、中間、近用の領域の分割、主子午線曲線に
直角な方向の断面曲線の曲率の変化の仕方等のベースカ
ーブ以外のレンズ曲面形状決定要因は全て同じであり、
両レンズとも遠用部領域の度数+4.5D、加入度2.
0Dである。図には、左に主子午線曲線で分割したレン
ズ半面の非点収差分布を、右に主子午線曲線上における
その曲線に平行な方向の屈折力ρt とそれに直角な方向
の屈折力ρs の分布を示す。レンズ上の位置に関しては
角度(゜)により表わし、眼鏡フレームの垂直からの傾
きを約10゜としている。図4および図5から明らかな
如く、従来の累進多焦点レンズにおいては、図6(b)
に示すように、主子午線曲線上における該曲線に平行な
方向の曲率ρt と直角な方向の曲率ρs とが、該曲線上
の全点で等しいにもかかわらず、主子午線曲線に平行な
方向の屈折力Pt とそれに直角な方向の屈折力Psは、
遠用部領域と近用部領域とで異なっている。これは、ベ
ースカーブの不適合によって生ずるもので、このPs と
Pt の差が非点収差となる。すなわちこれは、本来球面
であり非点収差が生じないはずの主子午線曲線上にも、
非点収差が生ずることを示している。また、両図を比較
すると、遠用部領域においては明白にベースカーブ9.
0Dのものの方が非点収差が少なく優れており、近用部
領域においては、主子午線曲線上ではベースカーブ7.
5Dのものの方が良いが、明視域の幅ではベースカーブ
9.0Dのものの方が優れている。一方、両レンズの中
心厚はレンズ外径を70mmとしたとき、表1のようにな
る。
に及ぼすベースカーブの影響を知ることができる。図4
はベースカーブを9.0ディオプトリー(以下、ディオ
プトリーはDと記す)のもの、図5は7.5Dのもので
あり、遠用、中間、近用の領域の分割、主子午線曲線に
直角な方向の断面曲線の曲率の変化の仕方等のベースカ
ーブ以外のレンズ曲面形状決定要因は全て同じであり、
両レンズとも遠用部領域の度数+4.5D、加入度2.
0Dである。図には、左に主子午線曲線で分割したレン
ズ半面の非点収差分布を、右に主子午線曲線上における
その曲線に平行な方向の屈折力ρt とそれに直角な方向
の屈折力ρs の分布を示す。レンズ上の位置に関しては
角度(゜)により表わし、眼鏡フレームの垂直からの傾
きを約10゜としている。図4および図5から明らかな
如く、従来の累進多焦点レンズにおいては、図6(b)
に示すように、主子午線曲線上における該曲線に平行な
方向の曲率ρt と直角な方向の曲率ρs とが、該曲線上
の全点で等しいにもかかわらず、主子午線曲線に平行な
方向の屈折力Pt とそれに直角な方向の屈折力Psは、
遠用部領域と近用部領域とで異なっている。これは、ベ
ースカーブの不適合によって生ずるもので、このPs と
Pt の差が非点収差となる。すなわちこれは、本来球面
であり非点収差が生じないはずの主子午線曲線上にも、
非点収差が生ずることを示している。また、両図を比較
すると、遠用部領域においては明白にベースカーブ9.
0Dのものの方が非点収差が少なく優れており、近用部
領域においては、主子午線曲線上ではベースカーブ7.
5Dのものの方が良いが、明視域の幅ではベースカーブ
9.0Dのものの方が優れている。一方、両レンズの中
心厚はレンズ外径を70mmとしたとき、表1のようにな
る。
【0009】
【表1】
【0010】これから解かるように、薄さ、および軽さ
の面では、7.5Dのものの方が優れている。
の面では、7.5Dのものの方が優れている。
【0011】以上に例示した如く、従来の累進多焦点レ
ンズでは、必ずしもレンズに対する諸要求を満足すべき
ものがなかった。
ンズでは、必ずしもレンズに対する諸要求を満足すべき
ものがなかった。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、先に述べた従
来の累進多焦点レンズの欠点を解消するため、ベースカ
ーブの不適合の度合に応じて、主子午線曲線上にこの曲
線に平行な方向の曲率とそれに直角な方向の曲率とを異
ならせることにより、遠用部領域および近用部領域にお
ける視覚の改良と遠視矯正を兼ねた累進多焦点レンズの
薄型化、軽量化を図るものである。
来の累進多焦点レンズの欠点を解消するため、ベースカ
ーブの不適合の度合に応じて、主子午線曲線上にこの曲
線に平行な方向の曲率とそれに直角な方向の曲率とを異
ならせることにより、遠用部領域および近用部領域にお
ける視覚の改良と遠視矯正を兼ねた累進多焦点レンズの
薄型化、軽量化を図るものである。
【0013】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。
る。
【0014】
【実施例】最初の実施例は、前記の特願昭55−171
569のレンズで図5に示したものに本発明を応用した
例である。図6は、本発明による累進多焦点レンズの主
子午線の曲率の変化と、図5に示した従来の累進多焦点
レンズのそれを示している。ベースカーブは共に7.5
Dである。図の(a)、(b)はそれぞれ本発明による
ものと従来のものを示しており、ρt と、ρs はそれぞ
れ主子午線曲線に平行および直角な方向の曲率である。
先に述べた如く従来の累進多焦点レンズでは、主子午線
曲線は球の断面曲線あるいはへそ状曲線でありρt =ρ
s である。一方、本発明のものは、遠用部領域および近
用部領域においてそれぞれ遠用中心および近用中心では
ρt =ρs であるが、そこからそれぞれ上方および下
方、レンズ周辺にいくに従ってρt が徐々に減少し、そ
れぞれ視角上方30゜以上および視角下方50゜以下で
はρt が一定となっている。2つの曲率の差Δρ=ρs
−ρt は遠用中心および近用中心で零であり、そこから
それぞれ上方および下方に行くに従って漸次増加し、途
中から一定となる。その増加の割合は曲率を屈折力に換
算して、それぞれ0.02D/mmおよび、0.01D/m
mである。
569のレンズで図5に示したものに本発明を応用した
例である。図6は、本発明による累進多焦点レンズの主
子午線の曲率の変化と、図5に示した従来の累進多焦点
レンズのそれを示している。ベースカーブは共に7.5
Dである。図の(a)、(b)はそれぞれ本発明による
ものと従来のものを示しており、ρt と、ρs はそれぞ
れ主子午線曲線に平行および直角な方向の曲率である。
先に述べた如く従来の累進多焦点レンズでは、主子午線
曲線は球の断面曲線あるいはへそ状曲線でありρt =ρ
s である。一方、本発明のものは、遠用部領域および近
用部領域においてそれぞれ遠用中心および近用中心では
ρt =ρs であるが、そこからそれぞれ上方および下
方、レンズ周辺にいくに従ってρt が徐々に減少し、そ
れぞれ視角上方30゜以上および視角下方50゜以下で
はρt が一定となっている。2つの曲率の差Δρ=ρs
−ρt は遠用中心および近用中心で零であり、そこから
それぞれ上方および下方に行くに従って漸次増加し、途
中から一定となる。その増加の割合は曲率を屈折力に換
算して、それぞれ0.02D/mmおよび、0.01D/m
mである。
【0015】図7は遠用部領域における主子午線曲線に
直角な断面曲線のその曲線に平行な方向の曲率の変化
(以下、横方向の曲率変化と称す。)を3次元的に示し
たもので、(a)は本発明によるもの、(b)は従来の
ものである。(a)、(b)を比較して解るように、従
来のものでは遠用部領域の横方向の曲率変化は全ての断
面曲線で同じように主子午線曲線から側方にかけて変化
しているが、本発明のものではその増加の仕方が遠用中
心からレンズ上方にゆくに従って増加割合が小さくな
り、レンズ上端付近では増加なく、すなわち断面曲線は
円形となる。
直角な断面曲線のその曲線に平行な方向の曲率の変化
(以下、横方向の曲率変化と称す。)を3次元的に示し
たもので、(a)は本発明によるもの、(b)は従来の
ものである。(a)、(b)を比較して解るように、従
来のものでは遠用部領域の横方向の曲率変化は全ての断
面曲線で同じように主子午線曲線から側方にかけて変化
しているが、本発明のものではその増加の仕方が遠用中
心からレンズ上方にゆくに従って増加割合が小さくな
り、レンズ上端付近では増加なく、すなわち断面曲線は
円形となる。
【0016】図8は、この実施例レンズの非点収差特性
を示したものである。図5と同様、レンズ半面の非点収
差分布と、主子午線上での前述の2方向の屈折力を示し
ている。図8と図5を比較すると本発明によるものは遠
用部領域、特に主子午線曲線に近い部分で非点収差が減
少し、明視域が広くなっている。また近用部領域におい
ても明視域の幅が広くなっている。
を示したものである。図5と同様、レンズ半面の非点収
差分布と、主子午線上での前述の2方向の屈折力を示し
ている。図8と図5を比較すると本発明によるものは遠
用部領域、特に主子午線曲線に近い部分で非点収差が減
少し、明視域が広くなっている。また近用部領域におい
ても明視域の幅が広くなっている。
【0017】このことは、つぎのように説明することが
できる。レンズの非点収差が生ずる要因をレンズ凸側屈
折面が非球面であることによる要因(非球面要因と称
す)とベースカーブによる要因(ベースカーブ要因と称
す)に分けて考える。非球面要因は、凸側屈折面におい
て方向によりその曲面の曲率が異なることにより生ずる
ものでも、球面の場合のみ零となる。非球面要因は、曲
面上の各点における最大と最小の曲率の差で大きさを示
すことができるが、曲率と屈折力とは比例するので最大
と最小の屈折力の差、すなわち非点収差としても表現で
きる。
できる。レンズの非点収差が生ずる要因をレンズ凸側屈
折面が非球面であることによる要因(非球面要因と称
す)とベースカーブによる要因(ベースカーブ要因と称
す)に分けて考える。非球面要因は、凸側屈折面におい
て方向によりその曲面の曲率が異なることにより生ずる
ものでも、球面の場合のみ零となる。非球面要因は、曲
面上の各点における最大と最小の曲率の差で大きさを示
すことができるが、曲率と屈折力とは比例するので最大
と最小の屈折力の差、すなわち非点収差としても表現で
きる。
【0018】図9は、非球面要因を等非点収差線で表わ
したもので、(a)は本発明によるもの、(b)は従来
例のものである。図中の矢印は最大屈折力の方向とその
大きさを示す。一方、ベースカーブ要因は、先に述べた
レンズの度数とベースカーブの組み合せによって生ずる
ものであり、レンズ凸面が球面(全ての点で全方向の曲
率が等しい)であっても光軸から離れることにより生じ
る。
したもので、(a)は本発明によるもの、(b)は従来
例のものである。図中の矢印は最大屈折力の方向とその
大きさを示す。一方、ベースカーブ要因は、先に述べた
レンズの度数とベースカーブの組み合せによって生ずる
ものであり、レンズ凸面が球面(全ての点で全方向の曲
率が等しい)であっても光軸から離れることにより生じ
る。
【0019】図10は、レンズ度数+4.5D、ベース
カーブ7.5Dのときのベースカーブ要因を遠用部領域
および近用部領域について示したもので、表現の方法は
非球面要因と同じである。同図の遠用部領域において、
光軸(実施例においては、遠用中心Aと一致する)に対
して回転対称とならないのはレンズを眼鏡フレームに入
れて使用する場合にレンズが数度傾くためである。また
近用部領域でのベースカーブ要因は微小である。この2
つの要因の複合として実際のレンズの非点収差が決まる
のであるが、複合の際に注目すべき点は非点収差の方向
である。つまり、非球面要因の最大屈折力の方向とベー
スカーブ要因のそれが直交する位置では双方の非点収差
が打ち消し合い、平行となる位置では双方の非点収差が
加算される。
カーブ7.5Dのときのベースカーブ要因を遠用部領域
および近用部領域について示したもので、表現の方法は
非球面要因と同じである。同図の遠用部領域において、
光軸(実施例においては、遠用中心Aと一致する)に対
して回転対称とならないのはレンズを眼鏡フレームに入
れて使用する場合にレンズが数度傾くためである。また
近用部領域でのベースカーブ要因は微小である。この2
つの要因の複合として実際のレンズの非点収差が決まる
のであるが、複合の際に注目すべき点は非点収差の方向
である。つまり、非球面要因の最大屈折力の方向とベー
スカーブ要因のそれが直交する位置では双方の非点収差
が打ち消し合い、平行となる位置では双方の非点収差が
加算される。
【0020】この法則から本発明の効果が説明される。
図9と図10を重ね合せてみれば、本発明のものは遠用
部領域の上方においてベースカーブ要因を打ち消す方向
に非球面要因を有しており、そのため、図8に示す如く
明視域の改善がされることが解かる。また近用部領域に
おいては、主子午線曲線近傍ではベースカーブ要因を打
ち消す方向の非点収差をもち、それから離れるに従って
図中の記号uで示す曲線上においてヘソ状となり、そこ
から外側では従来のものとほぼ同じ方向をもつが大きさ
の小さい非点収差となるため、明視域の幅が広げられ
る。
図9と図10を重ね合せてみれば、本発明のものは遠用
部領域の上方においてベースカーブ要因を打ち消す方向
に非球面要因を有しており、そのため、図8に示す如く
明視域の改善がされることが解かる。また近用部領域に
おいては、主子午線曲線近傍ではベースカーブ要因を打
ち消す方向の非点収差をもち、それから離れるに従って
図中の記号uで示す曲線上においてヘソ状となり、そこ
から外側では従来のものとほぼ同じ方向をもつが大きさ
の小さい非点収差となるため、明視域の幅が広げられ
る。
【0021】以上述べた如く、本発明はレンズの度数と
ベースカーブでの不適合による非点収差の発生を予め考
慮して、それを打ち消す如くレンズ凸側屈折面の形状を
構成するものである。その内容は、主子午線曲線に関す
るものと、主子午線に直角な断面曲線に関するものから
成る。
ベースカーブでの不適合による非点収差の発生を予め考
慮して、それを打ち消す如くレンズ凸側屈折面の形状を
構成するものである。その内容は、主子午線曲線に関す
るものと、主子午線に直角な断面曲線に関するものから
成る。
【0022】前者は、レンズ度数とベースカーブの不適
合がある場合、主子午線曲線上においてその曲線に平行
な方向の屈折力と直角方向の屈折力に差、すなわち非点
収差が生ずることに対処するもので、その非点収差を打
ち消す方向に主子午線曲線でのレンズ屈折面の曲率の差
Δρ(曲率と屈折力とは比例するので、すなわち屈折力
の差)をもたせるものである。このレンズ度数とベース
カーブの不適合により発生する非点収差は、レンズ光軸
から離れるに従って単調に増加するもの、レンズ光軸か
ら離れるに従って一端増加したのち減少するもの等種々
のタイプがある。従って、主子午線曲線での前述の曲率
の差は、そのタイプに合わせる必要があり、正確にそれ
を行なえば主子午線曲線上におけるレンズの非点収差を
無くすことができる。ただし、レンズの眼鏡としての使
用範囲、遠用中心および近用中心から上方および下方に
最大でも15mm程度、その内使用頻度の高い部分は各中
心から5mm程度、を考慮した場合、少なくともこの範囲
において上述の主子午線曲線での曲率の差Δρの操作が
必要となる。また、この範囲では前述の不適合による非
点収差は一般に光軸から遠ざかるにつれてほぼ直線的に
増加するため、前述Δρの変化もほぼ直線的な変化とな
る。強度のプラスレンズにおいては、一般に前述の実施
例の如く、主子午線曲線上の屈折力はPt >Ps の関係
があるため、それに対する主子午線曲線上の曲率ρt <
ρs の関係となる。
合がある場合、主子午線曲線上においてその曲線に平行
な方向の屈折力と直角方向の屈折力に差、すなわち非点
収差が生ずることに対処するもので、その非点収差を打
ち消す方向に主子午線曲線でのレンズ屈折面の曲率の差
Δρ(曲率と屈折力とは比例するので、すなわち屈折力
の差)をもたせるものである。このレンズ度数とベース
カーブの不適合により発生する非点収差は、レンズ光軸
から離れるに従って単調に増加するもの、レンズ光軸か
ら離れるに従って一端増加したのち減少するもの等種々
のタイプがある。従って、主子午線曲線での前述の曲率
の差は、そのタイプに合わせる必要があり、正確にそれ
を行なえば主子午線曲線上におけるレンズの非点収差を
無くすことができる。ただし、レンズの眼鏡としての使
用範囲、遠用中心および近用中心から上方および下方に
最大でも15mm程度、その内使用頻度の高い部分は各中
心から5mm程度、を考慮した場合、少なくともこの範囲
において上述の主子午線曲線での曲率の差Δρの操作が
必要となる。また、この範囲では前述の不適合による非
点収差は一般に光軸から遠ざかるにつれてほぼ直線的に
増加するため、前述Δρの変化もほぼ直線的な変化とな
る。強度のプラスレンズにおいては、一般に前述の実施
例の如く、主子午線曲線上の屈折力はPt >Ps の関係
があるため、それに対する主子午線曲線上の曲率ρt <
ρs の関係となる。
【0023】また光軸が遠用中心およびその近傍である
場合は、遠用中心が遠用部領域での前述の曲率変化の基
点としても差し支えなく、そのときは遠用中心において
はΔρ=0となる。近用部領域においては、近用中心は
光軸から10数mm離れた位置にあるためベースカーブの
不適合の度合に応じて屈折力に換算して0.2D以下の
曲率差Δρを近用中心にもたせることが必要である。な
お、一般に屈折力と曲率との関係は、屈折力=(n−
1)×曲率(ただし、nはレンズ材料の種類によって定
まる屈折率である。)で表されるので、この式から曲率
差を求めれば良い。またΔρの増加のさせ方として、主
子午線曲線に平行な方向の曲率ρt を減少させ、直角方
向の曲率ρs を一定としたとき、主子午線曲線上におけ
る平均度数が光軸でのそれに近づくため好ましい。
場合は、遠用中心が遠用部領域での前述の曲率変化の基
点としても差し支えなく、そのときは遠用中心において
はΔρ=0となる。近用部領域においては、近用中心は
光軸から10数mm離れた位置にあるためベースカーブの
不適合の度合に応じて屈折力に換算して0.2D以下の
曲率差Δρを近用中心にもたせることが必要である。な
お、一般に屈折力と曲率との関係は、屈折力=(n−
1)×曲率(ただし、nはレンズ材料の種類によって定
まる屈折率である。)で表されるので、この式から曲率
差を求めれば良い。またΔρの増加のさせ方として、主
子午線曲線に平行な方向の曲率ρt を減少させ、直角方
向の曲率ρs を一定としたとき、主子午線曲線上におけ
る平均度数が光軸でのそれに近づくため好ましい。
【0024】一方後者は、遠用部領域あるいは近用部領
域における主子午線曲線に直角な断面曲線の形状をつぎ
のように変化させることである。すなわち、遠用部領域
の場合は前述の実施例の如く前記断面曲線の形状を主子
午線曲線から離れるに従って曲率が増加する形状とし、
遠用中心からレンズ上方にいくに従って、その増加の割
合が漸次小さくなるようにする。また近用部領域の場合
は、前記断面曲線の形状を主子午線曲線から離れるに従
って曲率が減少する形状とし、近用中心からレンズ下方
にいくに従ってその減少の割合が漸次小さくなるように
する。近用部領域でのこのことによる効果は、本実施例
の近用部領域での効果の解説の際に出てきた近用部領域
に生ずるヘソ状曲線が、このことにより下方にいくに従
って一層レンズ側方に移動することから、近用部領域の
明視域がより広くなることである。また、遠用部領域あ
るいは近用部領域におけるこれらの断面曲線変化は、適
用ケースによっては歪曲収差にも良い影響をもつ。すな
わち、強度のプラス処方を有する遠用部領域にこれを適
要した場合、プラスレンズの特徴であるところのレンズ
上方にいくに従って横に広がるいわゆる鼓形の歪曲収差
を減ずることができる。また強度のマイナス処方を有す
る近用部領域に適用した場合は、マイナスレンズ特徴で
あるところの、レンズ下方にいくに従って横がすぼま
る、いわゆる樽形の歪曲収差を減ずることができる。
域における主子午線曲線に直角な断面曲線の形状をつぎ
のように変化させることである。すなわち、遠用部領域
の場合は前述の実施例の如く前記断面曲線の形状を主子
午線曲線から離れるに従って曲率が増加する形状とし、
遠用中心からレンズ上方にいくに従って、その増加の割
合が漸次小さくなるようにする。また近用部領域の場合
は、前記断面曲線の形状を主子午線曲線から離れるに従
って曲率が減少する形状とし、近用中心からレンズ下方
にいくに従ってその減少の割合が漸次小さくなるように
する。近用部領域でのこのことによる効果は、本実施例
の近用部領域での効果の解説の際に出てきた近用部領域
に生ずるヘソ状曲線が、このことにより下方にいくに従
って一層レンズ側方に移動することから、近用部領域の
明視域がより広くなることである。また、遠用部領域あ
るいは近用部領域におけるこれらの断面曲線変化は、適
用ケースによっては歪曲収差にも良い影響をもつ。すな
わち、強度のプラス処方を有する遠用部領域にこれを適
要した場合、プラスレンズの特徴であるところのレンズ
上方にいくに従って横に広がるいわゆる鼓形の歪曲収差
を減ずることができる。また強度のマイナス処方を有す
る近用部領域に適用した場合は、マイナスレンズ特徴で
あるところの、レンズ下方にいくに従って横がすぼま
る、いわゆる樽形の歪曲収差を減ずることができる。
【0025】図11、図12、図13は、他の従来例お
よびそれに本発明を応用した2つの例である。図11も
前述の特願昭55−171569のレンズであり、遠用
部領域および近用部領域が共に球面のものである。その
実施例と同じく、ベースカーブ7.5D、レンズ処方度
数+4.5Dである。
よびそれに本発明を応用した2つの例である。図11も
前述の特願昭55−171569のレンズであり、遠用
部領域および近用部領域が共に球面のものである。その
実施例と同じく、ベースカーブ7.5D、レンズ処方度
数+4.5Dである。
【0026】図12は、図11のものに本発明を応用し
たもので、遠用部領域の主子午線曲線に前述の実施例と
同様の2方向の曲率ρt,ρsの変化を施したものであ
る。主子午線曲線に直角な断面曲線は前遠用部領域で円
形形状である。図11の従来例に比べ遠用部領域の主子
午線曲線近傍の非点収差が減少し、明視域も広くなって
いる。
たもので、遠用部領域の主子午線曲線に前述の実施例と
同様の2方向の曲率ρt,ρsの変化を施したものであ
る。主子午線曲線に直角な断面曲線は前遠用部領域で円
形形状である。図11の従来例に比べ遠用部領域の主子
午線曲線近傍の非点収差が減少し、明視域も広くなって
いる。
【0027】図13は、図12のものに更に主子午線曲
線に直角な断面曲線の変化を加えたものである。
線に直角な断面曲線の変化を加えたものである。
【0028】すなわち遠用部領域において、その領域の
下端では前記の断面曲線は円形形状であり、遠用部領域
の上方にいくに従い主子午線から離れるに従って曲率の
減少する非円形形状に徐々に変化する。
下端では前記の断面曲線は円形形状であり、遠用部領域
の上方にいくに従い主子午線から離れるに従って曲率の
減少する非円形形状に徐々に変化する。
【0029】この断面曲線の変化を加えることにより、
図12のものより更に明視域が広がる。この効果の説明
は、最初の実施例のところで非球面要因とベースカーブ
要因に説明したものの延長として容易に理解されるであ
ろう。
図12のものより更に明視域が広がる。この効果の説明
は、最初の実施例のところで非球面要因とベースカーブ
要因に説明したものの延長として容易に理解されるであ
ろう。
【0030】
【発明の効果】以上、実施例において詳細に説明した如
く、本発明によれば、累進多焦点レンズ特有の視覚的な
条件(遠用部領域と近用部領域の視角上、および視距離
の違い)あるいは加入度によらないベースカーブの共通
化、さらにレンズの薄型化といった諸要因によって生ず
るレンズ度数とベースカーブの不適合に基因する非点収
差の発生を減少させ使用上充分な明視域を確保するとと
もに、歪曲収差をも改善することができる。特に強度の
遠視矯正処方のものについては、薄型化・軽量化を図り
ながら、視覚的にも充分満足できる累進多焦点レンズを
供給することができる。
く、本発明によれば、累進多焦点レンズ特有の視覚的な
条件(遠用部領域と近用部領域の視角上、および視距離
の違い)あるいは加入度によらないベースカーブの共通
化、さらにレンズの薄型化といった諸要因によって生ず
るレンズ度数とベースカーブの不適合に基因する非点収
差の発生を減少させ使用上充分な明視域を確保するとと
もに、歪曲収差をも改善することができる。特に強度の
遠視矯正処方のものについては、薄型化・軽量化を図り
ながら、視覚的にも充分満足できる累進多焦点レンズを
供給することができる。
【0031】なお、本発明はレンズ度数およびベースカ
ーブの不適合の様相により、必要に応じてその内容の全
部あるいは、一部を適用するものであり、それぞれの効
果は独立して得られる。
ーブの不適合の様相により、必要に応じてその内容の全
部あるいは、一部を適用するものであり、それぞれの効
果は独立して得られる。
【図1】 累進多焦点レンズの屈折面の構造を示す図。
【図2】 累進多焦点レンズの非点収差と歪曲収差の特
徴を示す図。
徴を示す図。
【図3】 累進多焦点レンズの非点収差と歪曲収差の特
徴を示す図。
徴を示す図。
【図4】 従来の累進多焦点レンズの例で、それぞれレ
ンズの処方度数とベースカーブが適合したものと不適合
のもの、左に非点収差分布を示し、右に主子午線曲でそ
の曲線に平行および直角な2方向の屈折力を示す図。
ンズの処方度数とベースカーブが適合したものと不適合
のもの、左に非点収差分布を示し、右に主子午線曲でそ
の曲線に平行および直角な2方向の屈折力を示す図。
【図5】 従来の累進多焦点レンズの例で、それぞれレ
ンズの処方度数とベースカーブが適合したものと不適合
のもの、左に非点収差分布を示し、右に主子午線曲でそ
の曲線に平行および直角な2方向の屈折力を示す図。
ンズの処方度数とベースカーブが適合したものと不適合
のもの、左に非点収差分布を示し、右に主子午線曲でそ
の曲線に平行および直角な2方向の屈折力を示す図。
【図6】 主子午線曲線上でのそれに平行および直角な
2方向の曲率の変化を示す図。(a)は本発明によるも
のであり、(b)は従来例である。
2方向の曲率の変化を示す図。(a)は本発明によるも
のであり、(b)は従来例である。
【図7】 遠用部領域における主子午線曲線に直角な断
面曲線の曲率の変化を示す図。(a)は本発明によるも
の、(b)は従来例である。
面曲線の曲率の変化を示す図。(a)は本発明によるも
の、(b)は従来例である。
【図8】 本発明の実施例の非点収差分布と主子午線曲
線上の屈折力を示す図。
線上の屈折力を示す図。
【図9】 本発明の効果を説明するもので、レンズ凸側
の非球面曲面に基因する非点収差を示す図。(a)は本
発明によるもの、(b)は従来のもの。
の非球面曲面に基因する非点収差を示す図。(a)は本
発明によるもの、(b)は従来のもの。
【図10】 ベースカーブとレンズ処方度数の不適合に
基因する非点収差を示す図。
基因する非点収差を示す図。
【図11】 他の従来例を示す図で、ベースカーブとレ
ンズ処方度数の不適合があるもの。
ンズ処方度数の不適合があるもの。
【図12】 図10のレンズに本発明を応用した例を示
す図。
す図。
【図13】 図10のレンズに本発明を応用した例を示
す図。
す図。
M:主子午線曲線 A:遠用中心 B:近用中心 C1:遠用部領域と中間部領域の境界線 C2:近用部領域と中間部領域の境界線 P:屈折力 ρ:曲率 添字t :主子午線曲線に平行な方向の意 添字s :主子午線曲線に直角な方向の意
Claims (7)
- 【請求項1】 遠用中心を通る曲線と近用中心を通る曲
線により、レンズ曲面を遠用部領域及び近用部領域に分
割し、主子午線曲線の前記遠用部領域下端である前記遠
用中心と前記主子午曲線の前記近用部領域上端である前
記近用中心の間で所定の法則に従って屈折力が変化して
加入度を付与する累進多焦点レンズにおいて、前記遠用
部領域および前記近用部領域の少なくとも一方の領域の
一部あるいは全部における前記主子午線曲線上の該主子
午線曲線に直角な方向の曲率(ρs)と前記主子午線曲
線に沿った方向の曲率(ρt)の差Δρ=|ρs−ρt
|を零より大きくするとともに、前記遠用部領域および
前記近用部領域の少なくとも一方の前記曲率の差のΔρ
が前記遠用部領域では前記遠用中心もしくは、前記近用
部領域では前記近用中心から前記主子午線曲線に沿って
レンズ周辺方向へ少なくとも5mmの間漸次増加し、か
つ、前記主子午線曲線を含む平面に平行な任意のレンズ
断面曲線上でのレンズ曲面の法線と前記主子午線を含む
平面との成す角度の変化の仕方が、前記主子午線曲線上
の前記遠用中心と前記近用中心の間における屈折力の変
化の仕方と同じであることを特徴とする累進多焦点レン
ズ。 - 【請求項2】 前記遠用中心において、前記曲率ρ s と
前記曲率ρ t との値が等しいことを特徴とする請求項1
記載の累進多焦点レンズ。 - 【請求項3】 前記近用中心において、前記曲率ρsと
前記曲率ρt の差Δρが屈折力に換算して0.2ディオ
プトリー以下であることを特徴とする請求項1記載の累
進多焦点レンズ。 - 【請求項4】 前記曲率ρsと前記曲率ρtの差Δρの
増加の仕方が直線的であることを特徴とする請求項1記
載の累進多焦点レンズ。 - 【請求項5】 前記曲率ρs が一定であり、前記曲率ρ
s が前記遠用中心あるいは前記近用中心からレンズ周辺
方向にかけて、漸次減少することを特徴とする請求項1
記載の累進多焦点レンズ。 - 【請求項6】 前記遠用部領域において、前記主子午線
曲線に直角な断面曲線が円形形状であることを特徴とす
る請求項1記載の累進多焦点レンズ。 - 【請求項7】 前記近用部領域において、前記主子午線
曲線に直角な断面曲線が円形形状であることを特徴とす
る請求項1記載の累進多焦点レンズ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3188570A JPH081494B2 (ja) | 1991-07-29 | 1991-07-29 | 累進多焦点レンズ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3188570A JPH081494B2 (ja) | 1991-07-29 | 1991-07-29 | 累進多焦点レンズ |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP57170627A Division JPS5958415A (ja) | 1982-09-29 | 1982-09-29 | 累進多焦点レンズ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04338918A JPH04338918A (ja) | 1992-11-26 |
JPH081494B2 true JPH081494B2 (ja) | 1996-01-10 |
Family
ID=16226003
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3188570A Expired - Lifetime JPH081494B2 (ja) | 1991-07-29 | 1991-07-29 | 累進多焦点レンズ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH081494B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021005081A (ja) | 2019-06-25 | 2021-01-14 | ホヤ レンズ タイランド リミテッドHOYA Lens Thailand Ltd | 眼鏡レンズおよびその設計方法 |
JP7217676B2 (ja) | 2019-06-25 | 2023-02-03 | ホヤ レンズ タイランド リミテッド | 眼鏡レンズおよびその設計方法 |
EP3889674A1 (en) | 2020-03-30 | 2021-10-06 | Hoya Lens Thailand Ltd. | Pair of progressive power lenses and design method for the same |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5485742A (en) * | 1977-12-20 | 1979-07-07 | Seiko Epson Corp | Spectacle lens |
JPS5794714A (en) * | 1980-12-05 | 1982-06-12 | Seiko Epson Corp | Progressive multifocus lens |
-
1991
- 1991-07-29 JP JP3188570A patent/JPH081494B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04338918A (ja) | 1992-11-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH0239768B2 (ja) | ||
JP2618622B2 (ja) | プログレシブ眼鏡レンズ | |
US8162478B2 (en) | Pair of progressive power lens and method for designing same | |
US6086203A (en) | Progressive addition lenses | |
JPH0690368B2 (ja) | 累進多焦点レンズ及び眼鏡 | |
US7364292B2 (en) | Method of designing progressive power lens group | |
US5864380A (en) | Progressive power lens | |
US5777716A (en) | Progressive power presbyopia-correcting ophthalmic lenses | |
JP4618656B2 (ja) | 累進多焦点レンズシリーズ | |
US4988182A (en) | Ophthalmic lenses having a progressively variable focal power | |
EP0408067A2 (en) | Progressive power lens | |
JP4380887B2 (ja) | 累進多焦点レンズ | |
US5892565A (en) | Progressive multifocal lens | |
EP0627647B1 (en) | Progressive multifocal lens | |
EP1429172A1 (en) | Progressive addition power lens | |
JP3611155B2 (ja) | 累進多焦点レンズ | |
JPH081494B2 (ja) | 累進多焦点レンズ | |
JP6126772B2 (ja) | 累進屈折力レンズ | |
JP4450480B2 (ja) | 累進多焦点レンズシリーズ | |
JP3611153B2 (ja) | 累進多焦点レンズ | |
US8092012B2 (en) | Single vision spectacle lens | |
JPH081493B2 (ja) | 累進多焦点レンズ | |
JP6038224B2 (ja) | 累進屈折力レンズの製造方法 | |
JPH04338920A (ja) | 累進多焦点レンズ | |
JPH04338919A (ja) | 累進多焦点レンズ |