JP4509714B2 - 表面改質方法および表面改質装置 - Google Patents

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Description

本発明は、キャビテーション泡の崩壊時に発生する衝撃波を利用して、複雑な曲面を有する被改質材の表面を効果的にピーニングする表面改質方法および表面改質装置に関するものである。
従来、金属表面に圧縮残留応力を形成させ、材料表面の応力を緩和する表面改質手法として、鋼球や各種硬質物体を被改質材の表面に打ち付けるピーニングが知られている。このピーニングを行う際には、直径数ミリの鋼球等を圧縮空気により被改質材表面に吹付け、鋼球等が被改質材の表面に衝突するときに発生する衝撃力にて表面に圧縮応力を形成することが一般的である。
被改質材の表面に吹き付けられた鋼球等は、除塵機などにて回収容器に収納され、再び高圧空気にて被改質材の表面に吹き付けられる動作を繰り返し行う。しかし、被改質材表面の形状が複雑な場合には、吹き付けられた鋼球がコーナー部に溜まって回収不能になったり、被改質材の容器底部に滞留したりする。鋼球が狭い箇所に滞留すると、回収が困難になる場合が多い。
なお、鋼球の代わりにドライアイスの固まりや氷塊を使用する方法も提案され、一部で実用に供せられている。しかし、鋼球に比較して、衝突の際に被改質材表面に発生する衝撃力が弱い欠点がある。また、水中では、ドライアイスが昇華したり、氷塊が溶けてしまい、施工する条件が限定されてきた。
このように、被改質材が例えば歯車等のように凹凸面、曲面等の複雑な外形を有するものである場合、上述した技術では被改質面を凹部全体または凸部全体に亘って高いピーニング効果を得ることが困難である。
一方、近年では、被改質材が傾斜面を有するような場合を対象として、傾斜した複数のノズルを使用し、水中でノズルから高圧水を噴射し、キャビテーションを伴う水中水噴流を加工対象面に対して斜めに衝突させて、加工対象面の応力改善を行うウォータージェット表面改質方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この方法では、ノズルの傾斜角が予め1つの加土対象面に対して最適角度で固定されているため、加工対象面が複雑な曲面に変化しているものに対してはキャビテーションの発生がしにくく、十分な応力改善効果を行うことができなかった。
ところで、本発明の発明者は、金属または非金属からなる物質により構成された被改質材の表面に液体を介在させて振動体を近接配置し、振動体を高周波振動させることによって発生するキャビテーション作用により被改質材にピーニング効果を付与する技術を既に提案している(例えば、特許文献2参照)。
この技術では、振動体の高周波振動により液体にキャビテーション気泡を発生させ、その気泡の発生・崩壊による衝撃波を利用してピーニングを行わせることにより、特別のピーニング材を使用する必要なく、金属等の材料表面に従来技術と同等の圧縮残留応力を形成することができる。
特許第3373938号公報 特開2003−220523号公報
上述した特許文献1に記載された技術では、水中でノズルから高圧水を噴射し、キャビテーションを伴う水中水噴流を加工対象面に対して斜めに衝突させて、加工対象面の応力改善を行うウォータージェット表面改質方法で中心軸に対して傾斜した複数のノズルを有した方法について提案されているが、ノズルの傾斜角は予め1つの加土対象面に対して最適角度で固定されているため、加工対象面が複雑な曲面に変化しているものに対してはキャビテーションの発生がしにくく、十分な応力改善効果を行うことができなかった。
また、水中でノズルから高圧水を噴射し、キャビテーションを伴う水中噴流を加工対象面に対して斜めに衝突させる方法では加工対象面の形状に応じて衝突する噴流の流れ方が異なるためキャビテーションの発生を加工最適な一定条件に維持するのが難しく、複雑に変化する曲面への効果的な加工は難しく、曲面に対して均一に且つ一定の深さの圧縮残留応力を付与することができなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、曲面が複雑に変化する被改質材に対し、キャビテーション泡を面状に高密度に発生させることができ、高いピーニング効果を得ることができる表面改質方法および表面改質装置を提供することを目的とする。
発明者においては、種々研究の結果、上述した特許文献2において開示した技術を応用することにより、加工対象面が複雑な曲面に変化している被改質材に対し、キャビテーションによる高いピーニング効果を得て応力改善を図ることができるとの知見を得た。
すなわち、高周波で振動する振動子の先端に、例えば被改質材の加工対象面を写し取った凹又は凸型の相似形状等を有する振動体を取り付け、この振動体を水中で多次元的に高周波振動させることにより、振動体と被改質材の加工対象面との狭隘な空間部にキャビテーションを安定的に発生させ、且つ、狭隘空聞部に発生する衝撃波の反射を効果的に利用することにより、キャビテーション泡の崩壊によって生じる衝撃波を加工対象面に沿って高密度に発生させることができる。
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものであり、請求項1に係る発明では、金属または非金属からなる物質により構成された被改質材の表面に液体を介在させて振動体である凹形状のコマを近接配置し、前記コマを高周波振動させることによって発生するキャビテーション作用により前記被改質材にピーニング効果を付与する表面改質方法であって、前記コマまたは前記被改質材を複数の方向から加振させて、前記被改質材の表面に残留圧縮応力を形成することを特徴とする表面改質方法。
請求項2に係る発明では、前記振動体を超音波領域にて振動させる表面改質方法を提供する。
請求項3に係る発明では、前記振動体を凹形または凸形のコマとし、このコマと前記被改質材の表面との問に発生する衝撃波を、前配コマと前記被改質材の表面とのにて反射させる表面改質方法を提供する。
請求項3に係る発明では、記コマと前記被改質材の表面との間に介在させる液体として、水もしくは水溶液を使用する表面改質方法を提供する。
請求項4に係る発明では、前記被改質材の表面とコマとの間隔を10mm以下とする表面改質方法を提供する。
請求項5に係る発明では、前記被改質材を固定し、前記コマを複数の方向から加振させ表面改質方法を提供する。
請求項6に係る発明では、前記被改質材を振動可能な台に固定し、前記コマと前記台とを高周波で加振させる表面改質方法を提供する。
請求項7に係る発明では、請求項1から6までのいずれかに記載の方法を実施するための表面改質装置であって、高周波振動を発生させる高周波振動発生装置と、この高周波振動発生装置に連結して高周波振動する凹形状のコマと、前記高周波振動発生装置および前記コマを支持して前記コマの一面を前記被改質材の表面に間隙を有して対向する位置に配置させる支持装置と、少なくとも前記コマと前記被改質材との隙間に液体を介在させる液体保持装置とを備えた表面改質装置を提供する。
請求項8に係る発明では、前記高周波振動発生装置は、超磁歪材料または圧電型セラミックス材料を用いて構成した振動部を有する表面改質装置を提供する。
請求項9に係る発明では、前記コマは、キャビテーション泡にて壊食されにくい高硬度材料により構成されている表面改質装置を提供する。
本発明によれば、曲面が複雑に変化する被改質材においても、その表面形状に沿って振動子を倣い加工と同じように一定のギャップ値を保って振動させることが可能となり、複雑な曲面に対しても、キャビテーション泡を面状に高密度に発生させることが可能となり、この結果、高いピーニング効果を得ることができる。本発明によりキャビテーション泡を高密度に発生した場合の加工硬化深さは、従来のショットピーニングの数倍に達することが実験にて確められた。
また、本発明によれば、ウォータージェットを利用した従来の表面改質方法のような高圧水による反力が発生せず、しかも平面を高密度で一度にピーニングすることができるため、ウォータージェットのように細いジェット流を施工面にトラバースして施工するトラバース装置も不要となる利点がある。
以下、本発明に係る表面改質方法および表面改質装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態](図1〜図3)
図1は、本発明の第1実施形態による表面改質装置を示す構成図であり、図2は、表面改質装置の作用部の説明図である。図3は、キャビテーションによるピーニング作用を示す説明図である。
まず、図1により本実施形態の表面改質装置1の構成を概略的に説明する。この表面改質装置1は、例えば縦方向(y軸方向)の高周波振動を発生させる第1の高周波振動発生装置2と、横方向(x軸方向)の高周波振動を発生させる第2の高周波振動発生装置4とを備えている。
これら第1、第2の高周波振動発生装置2,4は、それぞれ高周波コイル2a,4aと、超磁歪材料または圧電型セラミックス材料を用いて構成した振動部としての振動子2b、4bとを有し、高周波電源装置3から電線3a,3bを介して供給される高周波電流によって高周波振動する構成とされている。
第1、第2の高周波振動発生装置2,4には、それぞれ縦方向(y軸方向)の軸2cおよび横方向(x軸方向)の軸4cがそれぞれ設けられ、これらの軸2c,4cは連結ピン2eを有する連結部2dにより互に連結され、これにより多次元動作、例えば縦横方向(x、y方向)の合成された振動、すなわち斜め方向の振動を出力できるようになっている。
また、第1、第2の高周波振動発生装置2,4には、それぞれ縦方向の軸2cおよび横方向の軸4cを介して連結されて高周波振動する振動体としてコマ5が備えられている。このコマ5は、後述するキャビテーション泡にて壊食されにくい高硬度材料により構成されている。そして、コマ5は被改質材7の表面形状に対応する平坦面、もしくは被改質材7の表面の曲率と同程度の曲率をもつ曲面を有している。
なお、高周波振動発生装置1,4およびコマ5を支持し、コマ5の一面を被改質材7の表面に間隙を有して対向する位置に配置させる支持装置14、15と、少なくともコマ5と被改質材7との隙間に液体である清水9を介在させる液体保持装置としての水槽8とが備えられている。
以下、詳述する。第1の高周波振動発生装置2には、高周波コイル2aと振動子2bとが内包されており、高周波コイル2aには高周波電源装置3から高周波電流が供給される。高周波コイル2aに供給された高周波電流は高周波コイル2aにて高周波の交番磁界に変換され、振動子2bに交番磁界が付与され、振動子2bを高周波にて上下方向(y方向)に伸縮運動させるようになっている。振動子2bには、垂直下方に伸びる縦軸2cが固接されており、振動子2bの交番振動が直接縦軸2cに伝達される。
第2の高周波振動発生装置4には、高周波コイル4aと振動子4bとが内包されており、高周波コイル4aには高周波電源装置3から高周波電流が供給される。高周波コイル4aに供給された高周波電流は高周波コイル4aにて高周波の交番磁界に変換され、振動子4bに交番磁界が付与され、振動子4bを高周波にて横方向(x方向)に伸縮運動させるようになっている。振動子4bには、横方に伸びる横軸4cが固接されており、振動子4bの交番振動が直接横軸4cに伝達される。この横軸4cの先端が、縦軸2cの中間に設けられた連結部2dにおいて、連結ピン2eを介して回転自在に連結されている。
縦軸2cの先端部(下端部)には、フランジ部2fを介してコマ5が強固に固接されている。コマ5は、例えば上半が直方体状で、かつ下半が下方に向って次第に拡径する開口部を有する断面凹形とされている。このコマ5に対し、第1の高周波振動発生装置2は上下方向の振動を印加し、第2の高周波振動発生装置4は、水平方向の振動を印加する。すなわち、コマ5は、両高周波振動発生装置2,4により、多次元振動を行う。
被改質材7は凹凸表面を有する構造物、例えば歯車とされ、凹凸形状の歯部7bの両側面を被改質面である施工面7aとしている。なお、図1には、被改質材7としての歯車の凹凸表面形状を直線的に示しているが、実際にはインボリュート曲線等に沿った緩やかな曲面を有している(以下の説明で使用する図2、図4、図5および図6についても同様である)。この被改質材7は、水槽8内に図示省略の支持装置により歯部7b両面の施工面7aが上向き傾斜面となるように固定支持され、かつ水槽8内に収容された水、例えば清水9に全体的に浸漬されている。
コマ5の下面に形成した下向き凹状の表面(以下、「キャビテーション発生面」という)5aは、被改質材7の施工面7aに対応する形状、例えば被改質材7である歯車の各施工面7aに対応する相似形状とされている。
このような構成において、第1、第2の高周波振動発生装置2、4により発生する高周波振動によってコマ5がx、y方向に振動すると、被改質材7の上向き内面側の凸状の歯部7bの両側の傾斜した施工面7aと、コマ5の下部内面のキャビテーション発生面5aとの空間部において、キャビテーション泡6が発生および崩壊を繰り返して行われ、泡の崩壊時に大きな衝撃波を発生させる。この作用を、図2に示したキャビテーション泡の発生部の拡大図を参照して説明する。
図2において、キャビテーション泡6は、コマ5と被改質材7の施工面7aとの間に設けられた狭隘な空間部に発生する。すなわち、コマ5の上下方向(y方向)の振動の振幅と、水平方向(x方向)の振幅と位相とを適当な値に調整することにより、コマ5のキャビテーション発生面5aは施工面7aに対して垂直(図2に示したギャップ値aを示す矢印に沿う方向)に高周波にて振動することができる。施工面7aに対してキャビテーション発生面を垂直に振動させることにより、微細なキャビテーション泡6を狭隘な空間部に多量に発生させることができる。
なお、キャビテーション泡6の崩壊時における衝撃波の圧力は数百MPaにも達する。そこで、施工面7a以外でキャビテーション泡6による壊食を防止するため、コマ5の上下面、外周面等の非キャビテーション発生部5b,5dにはキャビテーション泡6が発生しにくい弾力性のあるゴムなどによる被覆が施されている。また、コマ5には、被改質材7に対する非施工面である箇所には大きな空間部5cが設けられ、キャビテーション泡6が発生しにくい非キャビテーション発生部とされている。次に、図3により、キャビテーション泡6とその衝撃波の作用原理図について説明する。
図3において、コマ5のキャビテーション発生部5aと被改質材7の施工面7aが清水9により満たされ、傾斜方向に一定ギャップaとしての距離を保って狭隘な空間部が形成されている。今、ギャップaが10mm以下の微少な間隙を保った状態でキャビテーション発生部5aが斜め上方に瞬時に移動すると、キャビテーション発生部5aの表面は瞬間的に負圧となり、清水9の飽和蒸気圧以下の圧力場が形成され、キャビテーション泡6としての微細な泡が発生する。
次に、キャビテーション発生部5aが斜め下方に瞬時に移動すると、発生していたキャビテーション泡6が圧力により崩壊する。この時、数百MPaに達する衝撃波6aが発生する。このとき、発生する衝撃波6aは距離が大きくなるに従って拡散、減衰されるため、数十mm離れた施工面に対しては、ほとんど衝撃波としての作用を及ぼさないが、ギャップaを10mmから数百μmの値にすると、キャビテーション泡6の崩壊によって生じた衝撃波6aは他のキャビテーション泡と相互に作用しながら衝撃波を発生し、その一部はキャビテーション発生面5aと施工面7aの間にて反射を繰り返す。すなわち、本実施形態では、コマ5と被改質材7の表面とのに発生する衝撃波6aを、コマ5と被改質材7の表面とのにて反射させ、反射波6bを発生させる。
キャビテーション泡6を狭い空間で高密度に発生させると、この傾向は顕著に表れる。これにより、キャビテーション泡6にて生じた衝撃波6aを施工面7aの表面に作用させることにより、施工面7aの表面を衝撃により塑性変形させ、硬化させることができる。すなわち、被改質材7の材質や硬さと所要の硬化深さにより、第1の高周波振動発生装置2と第2の高周波振動発生装置4の振動数、ストロークおよび位相を適度な値に調整することにより、狭隘な空間部にキャビテーション泡6を高密度に発生させ、所要の加工硬化を行わせることができる。
本実施形態によれば、曲面が複雑に変化する被改質材7においても、その被改質材7の表面形状に沿って振動子としてのコマ5を倣い加工と同じように一定のギャップ値aを保って振動させることが可能となり、複雑な曲面に対しても、キャビテーション泡6を面状に高密度に発生させることが可能となる。そして、キャビテーション泡6の崩壊時の衝撃波6aを利用して施工面7aを硬化させることができる。
すなわち、本実施形態では、以上の表面改質方法により、ウォータージェットを用いたピーニングのような高圧水による反力が発生せず、かつ一度の施工によって被改質材7の表面を硬化できるため、ウォータージェットのように細いジェット流を施工面にトラバースして施工するトラバース装置も不要となる等多くの利点がある。
しかも、本実施形態によれば、鋼球やセラミックス球を用いたショットピーニングのような前処理や後処理を必要とすることなく、極めて簡易な装置構成によって、高能率かつ高精度のピーニングを行うことができる。
なお、本実施形態において、振動体としてのコマ5の振動数については、上述した高周波振動(例えば500Hz以上)、望ましくは超音波領域(20kHz〜80kHz)とする。
また、上記の例では、コマ5と被改質材7の表面との間に介在させる液体として、清水9を適用したが、それ以外の水もしくは水溶液を使用することも可能である。
[第2実施形態](図4)
図4は、本発明の第2実施形態による表面改質装置を示す構成図である。
図4に示すように、本実施形態が第1実施形態と異なる点は、第1、第2の高周波振動発生装置2,4および軸2a,4aを傾斜した配置で設け、コマ5に対して、直接傾斜方向(α,β方向)の振動を付与するようにした点にある。すなわち、上下方向(y方向)および横方向(x方向)の合成振動を、高周波振動発生装置2,4および軸2a,4aの傾斜配置により直接、斜め方向の振動として設定し、出力することができる。その他の内容については、第1実施形態と略同様であるから、図4に図1と同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
本実施形態によれば、コマ5を斜めに傾けて振動させる事が可能となるため、被改質材7が歯車の表面など複雑な曲面形状を有するものに対し、その表面を倣って振動させる場合に特に有効なものとなる。
本実施形態においても、高周波振動発生装置2,4の振動数、ストローク、位相およびギャップを適宜制御することにより、被施工材7の曲面をなす表面にキャビテーション泡を高密度に均一に発生せしめることができ、効果的な表面硬化の施工ができる利点がある。
また、高周波振動発生装置2,4の場所と設置位置を変えて多数設置し、多自由度の加振装置とすることにより、コマ5の動きを多自由度に制御することが可能となり、例えば、6自由度、8自由度などの複雑なコマ5の動きを形成することが加工となり、複雑に変化する3次元曲面などの施工面に対する施工が容易となる。
[第3実施形態](図5)
図5は、本発明の第3実施形態による表面改質装置を示す構成図である。
図5に示すように、本実施形態が第1実施形態と異なる点は、コマ5を高周波振動させるための高周波振動発生装置を、上下方向(y方向)振動用の第1の高周波振動発生装置2のみとする一方、被改質材7を車輪10a付きの台車10にワーク保持装置10bにより移動可能に支持し、被改質材7を台車10とともに横方向(x方向)に往復動可能な移動式構成とした点にある。
そして、この台車10を横方向(x方向)振動用の第2の高周波振動発生装置4に軸4cを介して連結し、被改質材7をx方向に振動させるようになっている。なお、被改質材7は台車10にワーク保持装置10bを介し、振動などでゆるみを生じないように強固に固定される。また、軸4cは摺動可能なパッキン4dを介して水槽8を貫通し、台車10に接続されている。
すなわち、第1、第2実施形態では、被改質材7を固定し、コマ5を複数の方向から加振させる表面改質技術について説明したが、本実施形態では、被改質材7を振動可能な台車10に固定し、コマ5と被改質材7とを高周波で加振させることにより、多次元に振動させる表面改質方法を実施するものである。
このような表面改質装置の構成および表面改質方法によっても、第1実施形態と同様に、予め試験により求めておき、求められた施工条件により施工することにより、所定硬度のピーニング処理を行うことができる。
そして、曲面が複雑に変化する被改質材7においても、被改質材7の表面形状に沿ってコマ5を倣い加工と同じように一定のギャップ値を保って振動させることが可能となり、複雑な曲面に対しても、前述したキャビテーション泡6を面状に高密度に発生させることができ、キャビテーション泡6の崩壊時の衝撃波6aを利用して、ピーニングによる所定の表面硬化処理を施すことができる。
なお、本実施形態においては、第1の高周波振動発生装置2の軸2cと、第2の高周波振動発生装置4の軸4cとが連結されていないので、相互の軸力による力の相互干渉がない。したがって、軸のたわみや連結ピンでの摺動による摩擦熟の発生を防ぐことができる。特に、被処理物7が軽量で小さい場合には、台車10を高周波にて振動せしめることが可能であり、加工時のエネルギー損失を低く抑えることができる利点がある。
[第4実施形態](図6)
図6は、本発明の第4実施形態による表面改質装置を示す構成図である。
図6に示すように、本実施形態は、第3実施形態で示した台車10をy方向に駆動するための第2の高周波振動発生装置4および軸4cに加え、y方向と直交する方向(z方向)の振動を発生させるための第3の高周波振動発生装置11および軸11aを設けたものである。
この第3の高周波振動発生装置11を、高周波電源装置3から供給される高周波電流によって高周波振動させ、被改質材7を例えば水平面上で二次元方向に駆動させるとともに、第1の高周波振動発生装置2および軸2cによりコマ5を上下方向(y方向)に高周波振動させ、全体として三次元方向の高周波振動を行わせることができるようになっている。
第3の高周波振動発生装置11は、振動子に固接された軸11aの先端部を台車10の側面に接続され、軸11aは図示省略の摺動可能なパッキンを介して水槽8を貫通し、台車10に接続されている。第3の高周波振動発生装置11も図示省略の支持台を介して静止部に固定されている。
他の内容については、第1実施形態または第2実施形態と略同様であるから、図6に図1および図5と同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
このような表面改質装置の構成および表面改質方法によっても、第1、第3実施形態と同様に、予め試験により求めておき、求められた施工条件により施工することにより、ピーニングによる所定の表面硬化処理を施すことができる。
特に本実施形態によれば、コマ5および被改質材7間に、三次元方向の高周波振動を行わせることにより、さらにきめ細かなピーニング処理を行うことができる。
また、本実施形態においても、第1の高周波振動発生装置2の軸2cと、第2、第3の高周波振動発生装置4,10の軸4c,10aとが連結されていないので、第1の高周波振動発生装置2と、第2および第3の高周波振動発生装置4,10との間で軸力による力の相互干渉がない。したがって、軸のたわみや連結ピンでの摺動による摩擦熟の発生を防ぐことができる。特に、被処理物7が軽量で小さい場合には、台車10を高周波にて振動せしめることが可能であり、加工時のエネルギー損失を低く抑えることができる利点がある。
[第5実施形態](図7)
図7は、本発明の第5実施形態による表面改質装置を示す構成図である。
図7に示すように、本実施形態は、図4に示した第2実施形態のコマ5を、下面凹形状から下面凸形状に変更し、ピーニング処理すべき被改質材7の施工面7aを、凸面から湾曲した凹面に変更して実施する場合についてのものである。その他の内容については、第2実施形態と略同様であるから、図7に図4と同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
このような構成のもとで、今、コマ5が上下運動(y方向運動)のみ行う場合には、キャビテーション泡は施工面7aである凹部底面に発生するが、両側の側面部bはコマ5とは平行動作となり、コマ5の振動によって負圧が形成されにくいため、キャビテーション泡の発生がほとんど無い。この時、コマ5に水平操作(x方向操作)を加えると、側面部bもコマ5の面と対向して振動が加えられるため、負圧が形成されキャビテーション泡を発生させることができる。そして、高周波振動発生装置2,4の振動数、ストローク、位相を適宜制御することにより、凹部を有した施工面7aにも均一にピーニング効果を付与することが可能となる。
なお、本実施形態では、振動体としてのコマ5を湾曲した下面凸形状としたが、湾曲した下面凹形状のものとしてもよい。その場合には、湾曲した上面凸形の被改質材へのピーニングを行うことができる。
本発明の第1実施形態による表面改質装置を示す構成図。 本発明の第1実施形態による表面改質装置の作用部の説明図。 本発明の第1実施形態によるピーニング効果作用説明図。 本発明の第2実施形態による表面改質装置を示す構成図。 本発明の第3実施形態による表面改質装置を示す構成図。 本発明の第4実施形態による表面改質装置を示す構成図。 本発明の第5実施形態による表面改質装置を示す構成図。
符号の説明
1 表面改質装置
2 第1の高周波振動発生装置
2a 高周波コイル
2b 振動子
2c 軸
2d 連結部
2e 連結ピン
2f フランジ部
3 高周波電源装置
4 第2の高周波振動発生装置
4a 高周波コイル
4b 振動子
4c 軸
5 コマ
5a キャビテーション発生面
5b 非キャビテーション発生部
5c 非キャビテーション発生部
5d 非キャビテーション発生部
6 キャビテーション泡
6a 衝撃波
6b 反射波
7 被処理材
7a 施工面
7b 歯部
7c 凹型加工面
8 水槽
9 清水
10 台車
10a 車輪
11 第3の高周波振動発生装置
11a 軸
14 支持装置
15 支持装置
a ギャップ

Claims (9)

  1. 金属または非金属からなる物質により構成された被改質材の表面に液体を介在させて振動体である凹形状のコマを近接配置し、前記コマを高周波振動させることによって発生するキャビテーション作用により前記被改質材にピーニング効果を付与する表面改質方法であって、前記コマまたは前記被改質材を複数の方向から加振させて、前記被改質材の表面に残留圧縮応力を形成することを特徴とする表面改質方法。
  2. 前記コマを超音波領域にて振動させる請求項1記載の表面改質方法。
  3. 前記コマと前記被改質材の表面との間に介在させる液体として、水もしくは水溶液を使用する請求項1または2のいずれかに記載の表面改質方法。
  4. 前記被改質材の表面とコマとの間隔を10mm以下とする請求項1から3までのいずれかに記載の表面改質方法。
  5. 前記被改質材を固定し、前記コマを複数の方向から加振させる請求項1から4までのいずれかに記載の表面改質方法。
  6. 前記被改質材を振動可能な台に固定し、前記コマと前記台とを高周波で加振させる請求項1から5までのいずれかに記載の表面改質方法。
  7. 請求項1から6までのいずれかに記載の方法を実施するための表面改質装置であって、高周波振動を発生させる高周波振動発生装置と、この高周波振動発生装置に連結して高周波振動する凹形状のコマと、前記高周波振動発生装置および前記コマを支持して前記コマの一面を前記被改質材の表面に間隙を有して対向する位置に配置させる支持装置と、少なくとも前記コマと前記被改質材との隙間に液体を介在させる液体保持装置とを備えたことを特徴とする表面改質装置。
  8. 前記高周波振動発生装置は、超磁歪材料または圧電型セラミックス材料を用いて構成した振動部を有する請求項7記載の表面改質装置。
  9. 前記コマは、キャビテーション泡にて壊食されにくい高硬度材料により構成されている請求項7または8記載の表面改質装置。
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