JP2003220523A - 表面改質方法および装置 - Google Patents

表面改質方法および装置

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JP2003220523A
JP2003220523A JP2002016768A JP2002016768A JP2003220523A JP 2003220523 A JP2003220523 A JP 2003220523A JP 2002016768 A JP2002016768 A JP 2002016768A JP 2002016768 A JP2002016768 A JP 2002016768A JP 2003220523 A JP2003220523 A JP 2003220523A
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liquid
frequency vibration
vibrating
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JP2002016768A
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Takashi Ogawara
孝 大河原
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Toshiba Engineering Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】被改質材と振動板とを非接触とした状態でピー
ニング作用を行え、振動板に加わる反力が小さく、他の
ピーニングの様に固形のショット材が不要であり、大幅
なコスト低下が図れるとともに、ピーニング材を回収す
る必要を無くし、施工性の優れたものとする。 【解決手段】高周波振動を発生させる高周波振動発生装
置1と、この高周波振動発生装置1に連結されて高周波
振動をする振動板2と、これらを支持して振動板2の一
面が被改質材3の表面に平行となる対向位置に配置させ
る支持装置4と、振動板2と被改質材3の表面3aとの
間に液体5を介在させる液体保持装置とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体にキャビテー
ション気泡を発生させ、その気泡の発生・崩壊による衝
撃波を利用してショットピーニングを行わせる表面改質
方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属表面に圧縮残留応力を形成せ
しめ、材料表面の応力を緩和する表面改質手法として、
鋼球や各種硬質物体を被改質材の表面に打ち付けるショ
ットピーニングが知られている。このショットピーニン
グを行う際には、直径数ミリの鋼球等を圧縮空気により
被改質材表面に吹付け、鋼球等が被改質材の表面に衝突
するときに発生する衝撃力にて表面に圧縮応力が形成さ
れる。
【0003】被改質材の表面に吹き付けられた鋼球等
は、除塵機などにて回収容器に収納され、再び高圧空気
にて被改質材の表面に吹き付けられる動作を繰り返し行
う。被改質材表面の形状が複雑な場合には、吹き付けら
れた鋼球がコーナー部に溜まって回収不能になったり、
被改質材の容器底部に滞留したりする。鋼球が狭い箇所
に滞留すると、回収が困難になる場合が多い。
【0004】これらの問題点を解決するために、鋼球の
代わりにドライアイスの固まりや氷塊を使用する方法も
提案され、一部では、実用に供せられているが、鋼球に
比較して、衝突の際に被改質材表面に発生する衝撃力が
弱い欠点がある。また、水中では、ドライアイスが昇華
したり、氷塊が溶けてしまい、施工する条件が限定され
てきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
のショットピーニングによる表面改質技術においては、
鋼球等のショット材を必要とし、その回収等に困難を生
じたり、これに代えてドライアイスの固まりや氷塊を利
用する場合には衝撃力が弱く、ドライアイスが昇華した
り氷塊が溶ける等により施工条件が限定される問題があ
る。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、特別のショットピーニング材を使用する
必要なく、金属等の材料表面に従来技術と同等の圧縮残
留応力を形成することができる表面改質方法および同方
法を的確に実施することができる装置を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、請求項1に係る発明では、被改質材の表面に振動
板を対向配置するとともに、その対向間隙に液体を介在
させ、前記振動板を高周波振動させることにより前記液
体中にてキャビテーション気泡の連続的な生成と崩壊と
を繰返させ、そのキャビテーション気泡の崩壊時に発生
する衝撃波を前記被改質材の表面に連続的に与えること
によりショットピーニングを行ない、前記被改質材の表
面に圧縮残留応力を形成することを特徴とする表面改質
方法を提供する。
【0008】請求項2に係る発明では、振動板を超音波
帯域にて振動させる請求項1記載の表面改質方法を提供
する。
【0009】請求項3に係る発明では、被改質材の表面
と振動板との間に発生する衝撃波を、前記被改質材の表
面と振動板との間にて反射させる請求項1または2記載
の表面改質方法を提供する。
【0010】請求項4に係る発明では、被改質材の表面
と振動板との間に介在させる液体として、水もしくはコ
ロイド溶液体を使用する請求項1から3までのいずれか
に記載の表面改質方法を提供する。
【0011】請求項5に係る発明では、被改質材の表面
と振動板との間隔を10mm以下とする請求項1から4
までのいずれかに記載の表面改質方法を提供する。
【0012】請求項6に係る発明では、請求項1から5
までのいずれかに記載の方法を実施する表面改質装置で
あって、高周波振動を発生させる高周波振動発生装置
と、この高周波振動発生装置に連結されて高周波振動を
する振動板と、これらを支持して前記振動板の一面が被
改質材の表面に平行となる対向位置に配置させる支持装
置と、少なくとも前記振動板と前記被改質材の表面との
間隙に液体を介在させる液体保持装置とを備えたことを
特徴とする表面改質装置を提供する。
【0013】請求項7に係る発明では、高周波振動発生
装置は、超磁歪材料または圧電型セラミックッス材料を
用いて構成した振動部を有する請求項6記載の表面改質
装置を提供する。
【0014】請求項8に係る発明では、振動板は、キャ
ビテーション気泡にて壊触されにくい高硬度材料により
構成されている請求項6または7記載の表面改質装置を
提供する。
【0015】請求項9に係る発明では、振動板は、被改
質材の表面形状に対応する平坦面、もしくは前記被改質
材の表面の曲率と同程度の曲率をもつ曲面を有する請求
項6または7記載の表面改質装置を提供する。
【0016】請求項10に係る発明では、支持装置は、
高周波振動発生装置および振動板を被改質材に対して移
動させる移動機構を有する請求項6から9までのいずれ
かに記載の表面改質装置を提供する。
【0017】請求項11に係る発明では、被改質材は円
筒体であり、移動機構は前記円筒体の周囲に沿って支持
装置を移動させるものである請求項10記載の表面改質
装置を提供する。
【0018】請求項12に係る発明では、液体保持装置
は、振動板を覆うとともに被改質材の表面に接する端部
側に開口部を有する袋体である請求項6から11までの
いずれかに記載の表面改質装置を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、図面を参照して説明する。図1〜図5は一実施形態
を示し、図6および図7は他の実施形態を示している。
【0020】図1は、本発明の一実施形態における表面
改質装置の基本的な構成を示す説明図である。この図1
に示す表面改質装置は、基本的に、高周波振動を発生さ
せる高周波振動発生装置1と、この高周波振動発生装置
1に連結されて高周波振動をする振動板2と、これらを
支持して振動板2の一面が被改質材3の表面に平行とな
る対向位置に配置させる支持装置4と、振動板2と被改
質材3の表面3aとの間に液体5を介在させる図示しな
い大型容器等からなる液体保持装置とを備えて構成され
る。
【0021】高周波振動発生装置1は、超磁歪材料また
は圧電型セラミックッス材料を用いて構成した振動部6
を有するものであり、この振動部6は例えばAC100
Vの商用電源7に接続された高周波電源装置8から駆動
電源として高周波電流を高周波電源ケーブル9により供
給され、超音波領域の高周波振動をするようになってい
る。この高周波振動発生装置1のケース10が、静止部
11に固定された支持装置4としての架台4aに取付け
ボルト12を介して例えば吊下げ状態で固定支持されて
いる。
【0022】被改質材3は例えば水平に設置された平板
状のものであり、高周波振動発生装置1は、この被改質
材3の上方に配置されている。そして、高周波振動発生
装置1の振動部6は被改質材3の表面(上面)に相対す
る方向、すなわち上下方向(矢印a方向)に往復振動を
する。高周波振動発生装置1の振動部6には、下向きに
垂下するステム13が設けられており、このステム13
の下端に振動板2が振動板緩み防止用ナット14により
一体振動可能に連結されている。
【0023】振動板2は、超硬合金またはセラミックス
等の高硬度材料によって構成され、後述するキャビテー
ション気泡にて壊触されにくいものとされている。この
振動板2は、被改質材3の表面形状に対応する水平板状
のキャビテーション発生部15と、このキャビテーショ
ン発生部15の上面中央部に設けたボス部16とを有
し、このボス部16が上述した高周波振動発生装置1の
ステム13に連結されている。キャビテーション発生部
15の下面は一定以上の表面積を有する平坦面とされ、
被改質材3の表面3aと平行に配置されている。そし
て、キャビテーション発生部15の下面と被改質材3の
表面3aとの間には、10mm以下、望ましくは0.1
〜数mmの間隔(ギャップ)δが設定されている。
【0024】液体5は、この間隔δを十分に覆う範囲、
例えば振動板2の上側に液面を有する量だけ容器等の液
体保持装置によって保持されている。これにより、振動
板2と被改質材3の表面3aとは、液体5に浸漬された
状態となっている。なお、液体5としては例えば清浄水
が適用される。なお、液体5としては、水以外の他の種
類の液体を適宜利用することもできる。特に、グリセン
リンまたはコロイド溶液体などの適用が有効である。
【0025】ここで、図2によって高周波振動発生装置
1の構成例を説明する。図2は、超磁歪材料を用いた高
周波振動発生装置1を示す拡大図であるこの図2に示す
ように、高周波振動発生装置1は、縦筒状のケース10
の略中心位置に振動部6を構成する超磁歪材料ロッド1
7を配置し、その周囲に励磁用のコイル18を配置し、
さらにその周囲にバイアスマグネット19を配置して構
成されている。超磁歪材料ロッド17の下端部には振動
伝達用の水平な鍔20が接合され、この鍔20の中心部
から下方に上述したステム13が一体的に垂下してい
る。ステム13はケース10の下端に設けた下蓋21を
貫通し、その貫通部において軸受22に支持され、安定
した上下往復動作が可能となっている。このステム13
の上端部の周囲には皿バネ23が装着され、この皿バネ
23は下蓋21上に支持されて鍔20の下面中心部に当
接し、鍔20に上向きの付勢力を与えるようになってい
る。また、ステム13の下端には振動板取付けねじ24
が形成され、この振動板取付けねじ24に上述した振動
板2のボス部16が螺合されるとともに、振動板緩み防
止用ナット14が締着されるようになっている。
【0026】また、ケース10内の上部には、超磁歪材
料ロッド17を上方から固定保持する水平な固定板25
が配置されるとともに、その上方には上蓋26が設けら
れている。上蓋の上面中央位置には、ねじ穴27が形成
してあり、このねじ穴27に支持装置4の取付けボルト
12が螺合される。そして、ケース10の内部は、下蓋
21、上蓋26および軸受22等に設けた図示しないシ
ール材によって液体密状態に密封され、液体5のケース
10内への侵入防止が図られている。
【0027】このような構成の高周波振動発生装置1に
おいて、図1に示した高周波電源からコイル18に高周
波電流が供給されると、この電流によってコイル13に
磁場が発生し、発生した磁場の作用により、ケース10
の中心部に位置する超磁歪材ロッド17が歪により上下
方向に高周波振動する。この場合、超磁歪材ロッド17
の上端が固定板25に保持されているので、超磁歪材ロ
ッド17の振動はその下端に接している鍔20に伝達さ
れ、さらにこの鍔20と一体のステム13を介して振動
板2に伝達される。この場合、鍔20は皿バネ23によ
って上方に付勢されているので、この鍔と一体のステム
13ひいては振動板2は常時、超磁歪材料ロッド17の
振動に追随した同量の振動を行う。なお、ステム13と
振動板2とは振動板緩み防止用ナット14によって、確
実に連結されているので、振動によって緩んだり脱落す
ることはない。
【0028】次に、以上のように構成された高周波振動
発生装置1を有する本実施形態の表面改質装置の作用に
ついて、図3も使用して説明する。図3は、振動板2が
高周波の往復振動を行う場合のキャビテーションの現
象、すなわち液体5中に発生する気泡の発生と崩壊の様
子を模式的に示す説明図である。
【0029】高周波電源装置8からの高周波電流の供給
によって高周波振動発生装置1が振動すると、これに連
動してステム13が軸方向に振動し、ステム13の先端
部に取付けられた振動板2が高周波の往復振動を行う。
振動板2が高周波の往復振動を行うと、被改質材3の表
面3aと振動板2の表面2aとの間隙に介在している液
体5に微細なキャビテーション気泡28が連続的に発生
する一方、振動板2の高周波往復振動によってその気泡
28が次々に潰されるため、この気泡28は発生と崩壊
とを連続的に繰り返す。すなわち、振動板2が瞬間的に
上方に移動すると微少な間隙に周囲から液体が入り込み
難いために、振動板2の表面2aが液体の飽和蒸気圧以
下となり、キャビテーション気泡28が生成される。振
動板2の表面2aに対向する相手面である被改質材3の
表面3aも同様に液体の飽和蒸気圧以下となり、キャビ
テーション気泡28が生成される。次に振動板2が瞬間
的に下方に移動すると、キャビテーション気泡28が押
し潰される。キャビテーション気泡28が押し潰される
際には、数百メガパスカルの超高圧が瞬間的に発生し、
衝撃波となって周囲に伝搬する。この衝撃波は、振動板
2の表面2aと被改質材3の表面3aとに達し、各々に
表面に対して大きな衝撃カを作用させることになる。
【0030】振動板2の表面2aと被改質材3の表面3
aとの間に平行かつ充分小さなギャップδを形成し、振
動板2の接液体面積がギャップδに比較して充分に大き
いと、キャビテーション気泡28の崩壊時に発生する衝
撃波は、振動板2の表面2aと被改質材3の表面3aと
の間を往復する度合いが大きくなるとともに、振動板2
の外へ逃げ難くなる。このため、振動板2の表面2aと
被改質材3の表面3aとの狭隘な間隙部は、あたかも高
密度の衝撃波発生領域となり、相対する互いの面を高衝
撃波にて打撃することになり、被改質材3の表面3aに
高密度で圧縮応力を形成せしめるものである。
【0031】振動板2の表面2aにも被改質材3の表面
3aと同じく高衝撃波が発生するが、超硬合金である炭
化タングステンや硬質セラミックスなどの材料を使用す
ることにより、高衝撃波による材料の壊触を防止するこ
とができる。振動板2が高周波で振動することにより、
キャビテーション気泡の発生が多くなり、発生する衝撃
波の密度も高めることができる。
【0032】以上のキャビテーションによる改質作用
を、図4に示す実験結果に基づいて説明する。図4は、
横軸に振動板2の中心位置からの距離(mm)を表し、
縦軸に被改質材3としての試料に発生した残留応力(上
半分は引張応力(+表示)、下半分は圧縮応力(−表
示):MPa)を表したものである。
【0033】試験条件としては、被改質材3としての試
料をSUS304とし、液体を清浄水として、振動板2
の高周波振動によるキャビテーション気泡発生・崩壊時
の圧力を20MPaとした場合についてのものである。
この試験の結果、図4の上部に特性線領域A1で示すよ
うに、表面改質前には200〜700MPaの引張残留
応力が存在していた試料表面が、本実施形態による表面
改質後には、図4の下部に特性線領域A2で示すよう
に、100〜800MPaの圧縮残留応力に転換される
ことが認められた。
【0034】以上のように、本実施形態によれば、被改
質材3と高周波で振動する振動板2とを水などの液体に
浸漬することにより、被改質材3の表面3aにキャビテ
ーション気泡28の生成と崩壊とを繰り返させることが
でき、それによりキャビテーション気泡28の崩壊時に
発生する衝撃波を被改質材3の表面に作用させ、表面に
圧縮応力を作用させることができる。そして、被改質材
3と振動板2とを非接触とした状態でピーニング作用を
行えるため、従来行われている他のピーニングに比較し
て、高速の噴流を使用しないため、振動板2に加わる反
力が小さい。また、他のピーニングの様に固形のショッ
ト材が不要であるため従来に比して大幅なコスト低下が
図れるとともに、ピーニング材を回収する必要も無いこ
とから、施工性も極めて優れたものとなる。
【0035】図5は、被改質材3の表面3aが曲面の場
合に対応する変形例を示す構成図である。この変形例で
は、振動板2の表面2aが、被改質材3の表面3aの曲
率と同程度の曲率をもつ曲面を有する構成としている。
【0036】すなわち、図5に示すように、被改質材3
の表面3aは一定の曲率で凸形に湾曲しており、これに
対応して振動板2の表面2aは、被改質材3の表面3a
の曲率と同一の曲率を有する凹形状に湾曲している。こ
の振動板2が高周波振動発生装置1のステム13の先端
部に連結され、凹形状曲面が被改質材3の表面3aの曲
面と全体的に一定のギャップδを保って対向している。
この凹型の振動板2は例えば円板状とされており、その
表面2aの直径dはギャップδに比較して充分に大きい
値となっている。他の構成については、図1に示した基
本例の構成と同一であるから、図5の対応部位に図1と
同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】このような変形例の構成によっても、図1
に示した構成の場合と略同様の作用が行われるが、凹型
振動板2の表面2aと被改質材3の表面3aとが同一曲
率の曲面にすることにより、キャビテーション気泡28
の崩壊時に発生する衝撃波が曲面と凹型振動板2の表面
2aの間で繰返し反射するため、凹型振動板2の開口部
から外部に逃げにくくなる。したがって、被改質材3の
表面3aが曲面となっている場合においても、平板時と
同様の効果を奏することができる。
【0038】次に、図6および図7を参照して、本発明
の他の実施形態について説明する。この他の実施形態
は、液体保持装置をコンパクトな構成として、室内外に
配置される各種設備等に対し、大気に晒されている状態
で表面改質を簡便に行えるようにしたものである。
【0039】図6は、基本構成例を示す説明図である。
この図6に示す表面改質装置も、高周波振動を発生させ
る高周波振動発生装置1と、この高周波振動発生装置1
に連結されて高周波振動をする振動板2と、これらを支
持して振動板2の一面が被改質材3の表面に平行となる
対向位置に配置させる支持装置4とを備え、支持装置4
としての架台4aは静止部11に固定されている。ただ
し、振動板2と被改質材3の表面3aとの間に液体5を
介在させる液体保持装置29が袋体31として構成さ
れ、この袋体31は、振動板2を覆うとともに被改質材
3の表面3a側が開口した開口部30を有するものとさ
れている。
【0040】詳述すると、図6に示すように、液体保持
装置29は、比較的少量の清浄水等の液体5を貯留する
ことができる液体保持用の袋体31として構成され、こ
の袋体31は高周波振動発生装置1の胴体部に取付バン
ド32等によって取付けられている。この袋体31の下
端部側に開口部30が形成され、この開口部30の端部
が被改質材3の表面に接触して袋体31内が閉じた空間
を形成するようになっている。また、袋体31の側部に
は液体供給口33が設けられ、図示しない液体供給タン
クから、液体供給ポンプ34および液体供給配管35を
介して、清浄水等の液体5が必要に応じて供給されるよ
うになっている。液体5は、例えばステム13部分から
振動板2下方の被改質材3の表面3aまでの一定範囲を
覆う状態で、袋体31内に貯留される。そして、改質作
業中に、袋体31の開口部30側の端部と被改質材3の
表面3aとの接触部位から液体洩れ等が生じた場合等に
おいて、液体保持量の減少分に対応して液体供給ポンプ
34により液体5が補給されるようになっている。な
お、高周波振動発生装置1等の構成については、図1〜
図5に示した一実施形態と同様であるから、図6の対応
する部位に、図1〜図5と同一の符号を付して説明を省
略する。
【0041】このような他の実施形態の基本的構成例に
おいては、液体保持装置29として一定容量の袋体31
を備えた構成としたことにより、キャビテーション気泡
発生に必要な液体5の使用量が少なくて済むとともに、
構成がコンパクトになり、改質作業も容易に行える。ま
た、改質作業が効率よく行え、室内外に配置される各種
設備等に対して、大気に晒されている状態で表面改質に
簡便に適用することができる。なお、本実施形態の構成
では、ショットピーニングによる表面改質作業を長時間
に亘って行った場合、袋体31と被改質材3の表面3a
との接触部隙間から漏出が生じ、貯留している液体5の
液体面レベルが暫時に低下するが、上述したように、液
体5の漏出分については必要に応じて液体供給ポンプ3
4を駆動して液体補充が行えるので、作業を支障なく円
滑に継続することができる。
【0042】図7は、図6に示した構成の応用例を示す
説明図である。この応用例は、被改質材3として円筒体
等を適用する場合についてのものであり、図7では、水
平な配管36の突合せ溶接部37を全周に亘って改質す
る場合を例示している。すなわち、配管36は屋内外の
大気中に設置されるものであり、突合せ溶接部37には
溶接熱によって引張残留応力が存在しているので、この
溶接部37の表面に圧縮残留応力を形成するものであ
る。
【0043】図7に示すように、配管36の溶接部37
近傍に、全周に亘ってガイド用のレール38が設けら
れ、このレール38に沿って表面改質装置の装置本体3
9が走行可能に設置される。レール38は、例えば分割
リング式に構成されており、配管36に着脱可能に据え
付けられる。このレール38は、配管36の外周面に固
定されるリング状基部38aと、その外周面に周方向全
体に亘って凸状に起立するレール主部38bとからなっ
ている。
【0044】一方、装置本体39を支持する支持装置4
は、レール38上に沿って移動する移動機構40を有す
る。この移動機構40は、支持装置4としての架台4a
に連結具41を介して取付けた走行用モータ42と、こ
の走行用モータ42の水平な回転軸43に支軸44aが
連結されて回転駆動しレール主部38bの外周面上を走
行する走行用タイヤ44を有する。走行用モータ42は
制御装置48からの制御信号によって走行制御され、走
行用タイヤ44は、架台4aに取付けられている装置本
体39を走行させるための駆動トルクを有する。
【0045】また、架台4aには別の連結具45を介し
て、垂直な支軸46a,47aを有する自由回転用の1
対のガイド用タイヤ46,47が設けられている。これ
らのガイド用タイヤ46,47は、レール主部38bの
両側面にそれぞれ転接し、配管36の軸方向における装
置本体39の位置決めを行うようになっている。その他
の構成については、図6に示した基本構成と同様である
から、図7の対応する部位に、図6と同一の符号を付し
て説明を省略する。
【0046】このような構成によると、走行用モータ4
2を適宜制御して、装置本体39を配管36の全周に亘
って走行させながら、突合せ溶接部37にショットピー
ニンクを施すことができ、これにより突合せ溶接部37
の表面に圧縮残留応力を形成することが可能となる。こ
の場合、液体保持装置29として一定容量の袋体31を
備えているので、キャビテーション気泡発生に必要な液
体5の使用量が少なくて済み、改質作業も円滑かつ容易
に行える。特に、室内外に配置される配管設備等に対し
て、大気に晒されている状態で溶接部の表面改質が容易
に行える利点が得られる。
【0047】なお、図7の例では配管溶接部の表面改質
への適用例を示したが、配管自体あるいはその他各種の
曲面を有する金属設備等を対象とする表面改質に適宜応
用することができることは勿論である。
【0048】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、被改質
材と高周波で振動する振動板とを液体に浸漬することに
より、被改質材の表面にキャビテーション気泡の生成と
崩壊とを繰り返させることができ、それによりキャビテ
ーション気泡の崩壊時に発生する衝撃波を被改質材の表
面に作用させ、表面に圧縮応力を作用させることができ
る。そして、被改質材と振動板とを非接触とした状態で
ピーニング作用を行えるため、従来行われている他のピ
ーニングに比較して、振動板に加わる反力が小さい。ま
た、他のピーニングの様に固形のショット材が不要であ
るため、従来に比して大幅なコスト低下が図れるととも
に、ピーニング材を回収する必要も無いことから、施工
性も極めて優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による表面改質装置の基本
例を示す全体構成図。
【図2】図1に示した表面改質装置の高周波振動発生装
置の構成を示す拡大断面図。
【図3】本発明の一実施形態による表面改質装置の表面
改質作用を示す説明図。
【図4】本発明の一実施形態による表面改質装置の作用
効果を示すグラフ。
【図5】本発明の一実施形態による表面改質装置の変形
例を示す全体構成図。
【図6】本発明の他の実施形態による表面改質装置を示
す全体構成図。
【図7】図6に示した表面改質装置の応用例を示す構成
図。
【符号の説明】
1 高周波振動発生装置 2 振動板 3 被改質材 3a 表面 4 支持装置 4a 架台 5 液体 6 振動部 7 商用電源 8 高周波電源装置 9 高周波電源ケーブル 10 ケース 11 静止部 12 取付けボルト 13 ステム 14 振動板緩み防止用ナット 15 キャビテーション発生部 16 ボス部 17 超磁歪材料ロッド 18 コイル 19 バイアスマグネット 20 鍔 21 下蓋 22 軸受 23 皿バネ 24 振動板取付けねじ 25 固定板 26 上蓋 27 ねじ穴 28 キャビテーション気泡 29 液体保持装置 30 開口部 31 袋体 32 取付バンド 33 液体供給口 34 液体供給ポンプ 35 液体供給配管 36 配管 37 溶接部 38 レール 38a リング状基部 38b レール主部 39 装置本体 40 移動機構 41 連結具 42 走行用モータ 43 回転軸 44 走行用タイヤ 44a 支軸 45 連結具 46,47 ガイド用タイヤ 46a,47a 支軸 48 制御装置 δ ギャップ

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被改質材の表面に振動板を対向配置する
    とともに、その対向間隙に液体を介在させ、前記振動板
    を高周波振動させることにより前記液体中にてキャビテ
    ーション気泡の連続的な生成と崩壊とを繰返させ、その
    キャビテーション気泡の崩壊時に発生する衝撃波を前記
    被改質材の表面に連続的に与えることによりショットピ
    ーニングを行ない、前記被改質材の表面に圧縮残留応力
    を形成することを特徴とする表面改質方法。
  2. 【請求項2】 振動板を超音波帯域にて振動させる請求
    項1記載の表面改質方法。
  3. 【請求項3】 被改質材の表面と振動板との間に発生す
    る衝撃波を、前記被改質材の表面と振動板との間にて反
    射させる請求項1または2記載の表面改質方法。
  4. 【請求項4】 被改質材の表面と振動板との間に介在さ
    せる液体として、水もしくはコロイド溶液体を使用する
    請求項1から3までのいずれかに記載の表面改質方法。
  5. 【請求項5】 被改質材の表面と振動板との間隔を10
    mm以下とする請求項1から4までのいずれかに記載の
    表面改質方法。
  6. 【請求項6】 請求項1から5までのいずれかに記載の
    方法を実施する表面改質装置であって、高周波振動を発
    生させる高周波振動発生装置と、この高周波振動発生装
    置に連結されて高周波振動をする振動板と、これらを支
    持して前記振動板の一面が被改質材の表面に平行となる
    対向位置に配置させる支持装置と、少なくとも前記振動
    板と前記被改質材の表面との間隙に液体を介在させる液
    体保持装置とを備えたことを特徴とする表面改質装置。
  7. 【請求項7】 高周波振動発生装置は、超磁歪材料また
    は圧電型セラミックッス材料を用いて構成した振動部を
    有する請求項6記載の表面改質装置。
  8. 【請求項8】 振動板は、キャビテーション気泡にて壊
    触されにくい高硬度材料により構成されている請求項6
    または7記載の表面改質装置。
  9. 【請求項9】 振動板は、被改質材の表面形状に対応す
    る平坦面、もしくは前記被改質材の表面の曲率と同程度
    の曲率をもつ曲面を有する請求項6または7記載の表面
    改質装置。
  10. 【請求項10】 支持装置は、高周波振動発生装置およ
    び振動板を被改質材に対して移動させる移動機構を有す
    る請求項6から9までのいずれかに記載の表面改質装
    置。
  11. 【請求項11】 被改質材は円筒体であり、移動機構は
    前記円筒体の周囲に沿って支持装置を移動させるもので
    ある請求項10記載の表面改質装置。
  12. 【請求項12】 液体保持装置は、振動板を覆うととも
    に被改質材の表面に接する端部側に開口部を有する袋体
    である請求項6から11までのいずれかに記載の表面改
    質装置。
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