JP4509430B2 - はんだバンプレベリング方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体チップ(LSI)に形成されたはんだバンプをレベリングするはんだバンプレベリング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
配線基板の上に、LSIを接続する際に、はんだバンプを用いたボールグリッドアレイ(BGA)接続が用いられることがある。しかしながら、例えば、20mm角のLSIにおいては、接続に用いられるはんだバンプの個数は、約5000個あり、多層配線基板とLSIの接続端子間の未接続による接続不良が発生する場合がある。このような接続不良が発生すると、一旦、LSIを配線基板から外した上で、再接続するリペア作業が必要となる。この際、配線基板から外されたLSIの接続面には、はんだが付着しているため、このはんだは、はんだ除去装置により除去し、改めてはんだバンプを形成するようにしている。
【0003】
ここで、従来のはんだ除去装置としては、例えば、特開2001−7509号公報に記載されたものが知られている。この装置では、窒素雰囲気中でベースヒータを加熱し、Cu板をベースヒータ上に載せる。吸着機構付きヘッドヒータでLSIを吸着し、ヘッドヒータを上昇させてLSIを保持させ、LSIを予備加熱する。次に、ヘッドヒータを下降させ、Cu板にLSIのはんだバンプが形成されている面を押し付ける。この状態が暫くの間維持されると、LSIのはんだバンプが溶けてCu板に転写される。その後、LSIを吸着した状態のままヘッドヒータを上昇させることにより、Cu板からLSIが分離され、LSIのはんだバンプを除去することができるものである。なお、ここで用いているLSIは、パッケージタイプのLSIである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
それに対して、近年、ベアチップタイプのLSIを直接、基板上に接続することが行われている。このベアチップのリペア作業において、例えば、特開2001−7509号公報に記載された装置を使用して、はんだバンプの除去を試みたところ、ベアチップをヘッドヒータによってCu板に押し付ける際にヘッドヒータによる機械的負荷がかかり、チップの欠けやクラックが発生したり、チップに形成されているパッシベーション膜やメタライズにダメージを与えるという問題が生じることが判明した。また、ベアチップに形成されているはんだバンプに対するはんだ除去が一様に行われず、除去作業後のはんだ体積がばらつき、チップに対してはんだバンプを再形成した場合の各バンプ体積もばらつき、バンプ高さが許容できる程度に均一とはならないという問題が生じることが判明した。
【0005】
本発明の目的は、ベアチップタイプのLSIに対して、はんだバンプの除去時に、ベアチップにダメージを与えることなく、また、除去後のはんだ高さが許容できる程度に均一にできるはんだレベリング方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、LSIに付着したはんだバンプを除去するはんだバンプレベリング方法において、上記LSIのはんだバンプ形成面にフラックスを供給し、ヒータ上に載置したCu板上に、フラックスの供給されたバンプ形成面を下にして上記LSIを置き、上記LSIの上に錘を載せ、窒素雰囲気中で上記ヒータを加熱し、上記Cu板及び上記LSIを加熱してはんだを溶融して上記Cu板に転写させ、吸着ヘッドを錘に対して所望の距離となるまで近づけて上記錘と上記LSIを吸着し、上記LSIを上記Cu板から分離するようにしたものである。
かかる方法により、ベアチップタイプのLSIに対して、はんだバンプの除去時に、ベアチップにダメージを与えることなく、また、除去後のはんだ高さが許容できる程度に均一にできるものとなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図1を用いて、本発明の一実施形態によるはんだレベリング方法の内容について説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるはんだレベリング方法の作業内容を示す工程図である。
【0008】
はんだレベリング作業の前提として、まず、リペア作業の必要なLSIを、このLSIが搭載されている配線基板から取り外す作業を行う。この作業は、周知の方法を用いて行われる。本実施形態においては、LSIとしてベアチップを想定している。取り外されたLSIには、配線基板との接続に使用されたはんだバンプが、凡そ不均一な状態で付着している。
【0009】
本実施形態によるはんだレベリング方法においては、最初に、図1(A)に示すように、配線基板から取り外されたLSI10のうち、はんだバンプ12が付着している面に、適量のフラックスFを供給する。このように、はんだレベリング作業にあたって、最初に、はんだバンプ12に付着している面に、フラックスFを供給することが、本実施形態における第1の特徴である。配線基板から取り外されたLSI10に付着しているはんだバンプ12の表面には、酸化膜が形成されているため、はんだバンプを溶融する際に溶融しにくいものである。それに対して、はんだバンプ12の付着している面にフラックスFを供給することにより、はんだバンプ12の表面の酸化膜が除去され、はんだバンプ12が溶融し易くなり、また、均一に溶融できるため、後述する工程で、Cu板に溶融したはんばを転写する際に、均一に転写して、LSIの面からのはんだバンプの除去を均一に行い、結果として、LSIの面に付着して残存するはんだバンプの高さを均一化(レベリング)できるものである。また、フラックスFを供給することにより、溶融したはんだの拡がり性を向上できるので、後述する工程で、Cu板に溶融したはんばを転写する際に、均一に転写して、LSIの面からのはんだバンプの除去を均一に行い、結果として、LSIの面に付着して残存するはんだバンプの高さを均一化(レベリング)できるものである。
【0010】
次に、図1(B)に示すように、はんだ除去装置のベースヒータ30上に、Cu板20を載せ、その上にフラックスFが供給されたバンプ付着面を下にしてLSI10を載置する。
【0011】
はんだが転写されるCu板20の表面には、Ni及びAuメッキが施されている。また、Cu板20の表面形状は、所定のピッチで形成された凹凸の平行な溝が互いに直交するように配置されたメッシュ形状としている。Cu板20の表面を凹凸のあるメッシュ形状とすることにより、Cu板20の表面積を大きくして、溶融したはんだの濡れ面積を大きくできるので、はんだ除去性が向上するものである。
【0012】
更に、LSI10の上に錘40を載せる。本実施形態においては、錘40は、中心部分に孔44が形成された薄板の円筒形状である。また、中央部下面には、円筒形状の外周を有する凸部が形成され、この凸部にシリコンゴム製のリング42が装着されている。
【0013】
錘40は、LSI10に所定の荷重を加えて、溶融したはんだのCu板20への転写性を向上するものである。従来の装置においては、吸着ヘッドによってLSIをCu板に押しつけるようにしていたが、この場合にパッケージタイプのLSIに荷重は、LSIに過度の応力を及ぼさない程度のものであったが、ベアチップタイプのLSIに対しては、応力が大きすぎるため、吸着ヘッドであるヘッドヒータによる機械的負荷がかかり、チップの欠けやクラックが発生したり、チップに形成されているパッシベーション膜やメタライズにダメージを与えるという問題が生じることが判明した。そこで、本実施形態では、図1(D)を用いて後述するように、吸着ヘッドは、ベアチップに押しつけることなく、浮かせた状態としている。しかしながら、この場合、LSIとCu板の間の溶融はんだに及ぶ力は、LSIの自重のみとなり、溶融したはんだの転写が十分に行われないことが判明したため、転写性を向上するために、錘40を用いて、溶融はんだに加わる荷重を調整するようにしている。すなわち、錘40を用いる点が、本実施形態における第2の特徴である。
【0014】
また、錘40はプラスチック製の軽量のものを用いるが、LSI表面に対する傷つけ等を防止するため、緩衝材として、シリコンゴム製のリング42を用いている。
【0015】
なお、錘40の形状としては、図示した形状に限られることはなく、その他の任意の形状にすることができる。また、錘の中心部分の孔は、吸着ヘッドにより錘とLSIを一緒に吸着する際に、吸着ヘッドの吸引力をLSIに及ぼすために形成されているが、孔は必ずしも中心部分にある必要は無く、LSI全体をバランスよく吸着できればその他の位置に孔が形成されていてもよいものである。また、その他にLSIを吸着するための手段があれば、孔は形成されていなくてもよいものである。
【0016】
次に、図1(C)に示すように、錘40をLSI10に載せた状態で、または載せる以前の状態からはんだ除去装置内部を窒素雰囲気とし、ベースヒータ30を加熱し、ベースヒータ30の上に載置されたCu板20,LSI10及び錘40を加熱する。この加熱によって、LSI10に付着しているはんだバンプ12が溶融して、Cu板20に転写される。
【0017】
次に、図1(D)に示すように、吸着ヘッド50の先端部分を、錘40の上面に対して所望の距離Hとなるまで近づけて、吸引を開始する。すると、錘40と、錘40に形成された孔44を通してLSI10が吸引され、錘40とLSI10とが一緒に吸着ヘッド50に吸着される。このとき、吸着ヘッド50の先端部分を錘40の上面に接触させると、錘40を介してLSI10に機械的負荷を与える可能性があるため、吸着ヘッド50と錘40の上面の間を距離Hだけ離した状態で吸引を行うようにしている。すなわち、吸着ヘッド50を、錘40から離した状態で、LSI10を吸引するようにしていることが、本実施形態の第3の特徴である。このように吸着を行うことによって、LSIに不要な荷重やダメージを与えることなく、また、LSIから溶融したはんだを適度に分離することができる。その後、吸着ヘッド50を上昇させて、LSI10をCu板20から完全に離して、はんだ除去作業を終了する。
【0018】
ここで、本実施形態によるはんだバンプのレベリング時の種々の条件について検討した。
【0019】
最初に、供給するフラックスの供給量Wについて、供給量を種々変えながら、そのときのはんだバンプの除去状態について検討した結果、フラックス供給量W=0.5×Q〜Q〔g〕の範囲が好適であることが判明した。ここで、Q=(バンプエリア面積S×バンプ平均高さh−全バンプ体積V)×フラックス比重k)である。Qは、はんだバンプが付着しているLSIの面からはんだバンプの高さまでの範囲に、フラックスを充填する充填量に相当する。即ち、フラックス供給量W=Qとは、はんだバンプが付着しているLSIの面からはんだバンプの高さまでの空間を、フラックスで満たした場合である。
【0020】
フラックス供給量W<0.5×Qの場合には、はんだバンプの除去性が悪く、均一に除去できないものであった。すなわち、フラックス供給量W<0.5×Qの場合には、フラックスの供給量が相対的に少ないため、はんだバンプの酸化膜の除去が均一かつ十分に行えず、また、溶融したはんだが十分に広がらないためである。一方、フラックス供給量W>Qの場合には、はんだバンプの除去が均一に除去できないものであった。図1(D)に示したように、はんだバンプの除去したLSI10は、吸着ヘッドで吸引され、Cu板から離されるが、この際、多量にあるフラックスの表面張力により、吸引がバランスよく行われないためである。
【0021】
次に、Cu板20の表面に形成されている凹凸のメッシュ形状のピッチp1について検討を行った。結果としては、例えば、LSI10に固着したはんだバンプ12の配列ピッチp2以下のピッチで、凹凸が縦横に有り、メッシュ形状になっているものが望ましいことが判明した。例えば、はんだバンプ12のピッチp2が0.3mmの場合、Cu板20の表面に形成された凹凸のピッチp1は、0.3mm以下とする。具体的には、凹部の幅を0.15mmとし、凸部の幅を0.15mmとする。例えば、はんだバンプ12のピッチp2よりも、Cu板20の表面に形成された凹凸のピッチp1を大きく、すなわち、p1>p2とすると、溶融したはんだがCu板20とヌレる所とヌレないところがあるため、溶融したはんだのCu板20への転写が不均一となり、LSI10に残存するはんだバンプの高さが不均一となる。
【0022】
また、Cu板20の表面に形成されている凹凸の深さh1は、はんだバンプの高さh2以下が望ましいことが判明した。例えば、はんだバンプの高さh2が0.2mmの場合、Cu板20の表面に形成されている凹凸の深さh1は、0.05mmとしている。
【0023】
次に、錘40によってLSI10に掛かる荷重について検討を行った。LSI10に掛かる荷重は、LSIの自重も含めて1つのはんだバンプあたり、0.52×10−3〔gf〕〜2.2×10−3〔gf〕であることが好適である。錘40を用いない場合、ベアチップタイプのLSI10の自重は、0.55gであった。このとき、LSI10に形成されているはんだバンプ12の個数は、4086個であったため、1つのはんだバンプあたりの荷重は、0.13×10−3〔gf〕であった。この状態で、上述の図1(A)〜(D)の工程ではんだレベリングをしたところ、溶融したはんだのCu板20への転写が十分に行われず、LSI10に残存するはんだバンプ12の高さが高くなりすぎたものである。はんだバンプのレベリング後、新しいはんだバンプが供給されるため、はんだバンプの残存量が多いと、LSIを再接続するリペア作業時の接続不良が生じることになる。また、1つのはんだバンプあたりの荷重が大きくなると、Cu板20側への溶融はんだの転写が多くなり、結果的に、残存するはんだ量が少なくなる。
【0024】
次に、はんだの溶融条件について検討を行った。ベースヒータ30による加熱温度は、例えば、はんだ融点温度+10℃以上が望ましいものであった。ベースヒータ30の表面上の温度ムラは極力少なくなるようにしているが、それでも、多少存在する。また、LSI10に付着しているはんだバンプは、LSI10を配線基板から離すときに、一旦溶融した後、再固化しているため、高さの不均一があり、はんだバンプ12とCu板20の接触状態も必ずしも、均一でないものである。それらの点を考慮して、複数のはんだバンプをもれなく溶融するには、はんだ融点温度+10℃以上としている。本実施形態では、ヌレ性改善のため、フラックスを使用しているため、加熱温度を極端に高温にすることなく、全てのはんだバンプを溶融することが可能である。
【0025】
また、はんだを溶融させてCu板に転写させる為の時間は、30秒以上が望ましいものであった。転写に要する時間が短いと、例えば、時間を10秒としたときは、転写されるはんだ量が不均一となり、LSI10に残存したはんだバンプの高さの不均一のバラツキが大きくなったものである。
【0026】
次に、吸着ヘッド50と錘40との間の距離Hについて検討を行った。吸着ヘッド50と錘40との間に距離がありすぎると、吸着ヘッド50によってLSI10を吸着した時に、錘40を介してLSI10が吸着ヘッド50に衝突する際の衝撃が大きくなり、LSIにダメージを与えることになる。一方、ベースヒータを加熱したまま、即ち、はんだが溶融している状態でLSIを吸着するため、吸着後のLSIとCu板との間の距離が短いと、溶融したはんだがLSIから離れずに引っ張られて、Cu板への転写が不十分になる。
【0027】
吸着ヘッド50と錘40との間の距離Hを、0.3mm,0.5mm,0.7mm,0.9mm,1.1mmと変えて実験したところ、0.3mmでは、LSIに残存したはんだバンプの高さのバラツキが大きくなっている。また、1.1mmでは、LSIを吸引するとき、LSIがばたつくため、LSIが傾いて吸引されることもあり、バンプ間ショートが生じ、LSIに残存したはんだバンプの高さのバラツキが大きくなっている。結果的に、0.5mm〜0.9mmの範囲が好適で、0.7mmのとき、はんだバンプの高さのバラツキが最も小さくなっている。レベリング作業前に、LSIに残存しているはんだバンプの高さの平均は、130μmであり、高さの最大値は、210μmであった。すなわち、吸着ヘッド50と錘40との間の距離Hは、残存しているはんだバンプの高さの最大値の2.4倍〜4.3倍の範囲内のときが好適であった。
【0028】
また、吸着ヘッド50により吸引する圧力としては、0.5MPa以上が望ましいことが判明した。吸引する圧力が0.5MPaより小さい場合には、LSIの吸引時のばたつきが発生し、LSIが傾くため、残存しているはんだバンプの高さの不均一が発生した。
【0029】
以上説明したような条件で吸着を行うことによって、LSIに不要な荷重やダメージを与えることなく、また、LSIから溶融したはんだを適度に分離することができる。具体的には、作業後にLSIに付着したバンプ高さのばらつきを平均±25μmとでき、はんだバンプの高さを凡そ均一にすることができた。
【0030】
以上説明したように、本実施形態によれば、ベアチップタイプのLSIに対して、はんだバンプの除去時に、ベアチップにダメージを与えることなく、また、除去後のはんだ高さが許容できる程度に均一にできる。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、ベアチップタイプのLSIに対して、はんだバンプの除去時に、ベアチップにダメージを与えることなく、また、除去後のはんだ高さが許容できる程度に均一にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるはんだレベリング方法の作業内容を示す工程図である。
【符号の説明】
10…LSI
20…Cu板
30…ベースヒータ
40…錘
42…リング
44…孔
Claims (2)
- LSIに付着したはんだバンプを除去するはんだバンプレベリング方法において、
上記LSIのはんだバンプ形成面にフラックスを供給し、
ヒータ上に載置したCu板上に、フラックスの供給されたバンプ形成面を下にして上記LSIを置き、
上記LSIの上に錘を載せ、
窒素雰囲気中で上記ヒータを加熱し、
上記Cu板及び上記LSIを加熱してはんだを溶融して上記Cu板に転写させ、
吸着ヘッドを錘に対して所望の距離となるまで近づけて上記錘と上記LSIを吸着し、上記LSIを上記Cu板から分離することを特徴とするはんだバンプレベリング方法。 - 請求項1記載のはんだバンプレベリング方法において、
上記Cu板の表面に凹凸形状を形成するとともに、この凹凸形状のピッチを、上記はんだバンプのピッチ以下としたことを特徴とするはんだバンプレベリング方法。
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