JP4509323B2 - リン酸モノエステルの精製方法 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明はリン酸モノエステルの精製方法に関する。さらに詳しくは、リン酸モノエステル化合物と(メタ)アクリル酸ジエステルを含む溶液に非極性有機溶剤を加えて(メタ)アクリル酸ジエステルを抽出し、高純度のリン酸モノエステル化合物を得るに際し、特定量の水及び/又は低級アルコールを存在させて抽出操作を行うリン酸モノエステルの精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
式(I)で示されるリン酸モノエステル、即ち(メタ)アクリル基とリン酸基との間が、炭素数4ないし30の炭化水素基で連結された化合物は、歯科用接着剤の接着成分として非常に有用であり、歯科用接着剤などですでに工業的に実施されている。その製造方法は、特開昭59−139392号としてすでに出願されているが、この製造方法は、先ずジオールとメタアクリル酸とのエステル化反応を行い、次いで得られたジオールの(メタ)アクリル酸モノエステルと(メタ)アクリル酸ジエステルの混合物をそのまま分離することなく混合状態のまま(メタ)アクリル酸モノエステルの水酸基をリン酸エステル化し、リン酸モノエステルとジオールの(メタ)アクリル酸ジエステルの混合物とし、該混合物に、目的のリン酸モノエステルが不溶の非極性有機溶剤を加えて、該有機溶剤に可溶なジオールの(メタ)アクリル酸ジエステルを抽出して、目的のリン酸モノエステルを高純度で製造するものである。
【0003】
以上の方法により、リン酸モノエステルを高純度で製造することができるが、この製造方法には、さらに以下に述べるような改良すべき問題がある。上記特開昭59−139392号に開示された製造方法によると、リン酸モノエステルと(メタ)アクリル酸ジエステルの混合物に非極性溶剤を加えて攪拌し、メタクリル酸ジエステルを溶剤に抽出した後、攪拌を止めて静置すると、主として溶剤層からなる上層と、主としてリン酸モノエステル層からなる下層が得られるので、清澄な上層をデカンテーションで除去し、下層を抜き出すことによってリン酸モノエステルは製造される。
【0004】
しかしながら、有機溶剤中にジエステルが抽出されるに従い、有機溶剤に不溶のリン酸モノエステルの粘度が上昇し、時には殆ど固形状となり、該リン酸モノエステルが容器側面や攪拌器に付着して、攪拌が困難になることがある。また、目的とするリン酸モノエステルが沈降せず、その結果、デカンテーションで上澄みを除去することが容易でなくなったり、また、有機溶剤を除去した後に、リン酸モノエステルを容器から容易に取り出すことができなかったりする不都合もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、リン酸モノエステル化合物と(メタ)アクリル酸ジエステルを含む溶液に非極性有機溶剤を加えて(メタ)アクリル酸ジエステルを抽出し、高純度のリン酸モノエステル化合物を得るに際し、抽出液((メタ)アクリル酸ジエステル側)と抽残液(リン酸モノエステル化合物側)とが分離しやすい抽出方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、抽出操作の時点で特定量の水及び/又は低級アルコールを存在させることにより、上記目的を達成することができることを見出し、本発明に至った。すなわち本発明は、式(I)で表されるリン酸モノエステル化合物(a)と式(II)で表される(メタ)アクリル酸ジエステル(b)を含む溶液に非極性有機溶剤を加えて(メタ)アクリル酸ジエステルを抽出し、高純度のリン酸モノエステル化合物を得るに際し、(a)及び(b)の合計に対して0.5〜2.7重量%の水及び/又は低級アルコールを存在させてデカンテーションによる抽出操作を行うことを特徴とするリン酸モノエステルの精製方法である。
H2C=C(R)−COO−X−OP(O)(OH)2 (I)
H2C=C(R)−COO−X−OOC−C(R)=CH2 (II)
式中、Rは水素またはメチル基、Xは炭素数8〜16のアルキレン基である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の精製方法の対象となるリン酸モノエステルは、有機溶剤への溶解度の差を利用して精製する観点から、メタアクリル基とリン酸基を連結する有機基Xの構造に大きく依存する。Xの炭素数が30より大きいと、リン酸モノエステルとメタクリル酸ジエステルの各種の有機溶剤に対する溶解度の差が小さくなり、本法による精製は困難であり、炭素数が4より少ないリン酸モノマーは接着性モノマーとしての有用性が低い。また、炭化水素基Xが炭素数8〜16のアルキレン基である化合物が、本発明において使用され、炭素数10のアルキレン基を有する化合物を使用するのが好ましい。
【0008】
本発明の精製方法において抽剤として用いられる非極性有機溶剤としては、メタクリル酸ジエステル(b)が可溶で、リン酸モノエステル(a)が難溶な溶剤が選ばれる。ここで言う非極性溶剤とは、水酸基やアミド基などの活性水素を持たず、沸点が常圧で35〜150℃の範囲にある。また、リン酸モノエステル(a)の該非極性溶剤に対する室温での溶解度は5重量%以下の範囲にある。
【0009】
かかる溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、キシレン等の炭化水素系の有機溶剤を例示することができる。リン酸モノエステル(a)とメタクリル酸ジエステル(b)とからなる混合物に、これらの非極性有機溶剤を加えて(b)を抽出する。ここで加える溶剤の量は最少抽剤量以上であればよいが、抽出効率の点から、該混合物100重量部に対して、50〜1000重量部、より好ましくは100〜500重量部の範囲で実施するのが望ましい。かかる溶剤を加えた後、容器中で十分攪拌し、混合物中のジエステル(b)を有機溶剤に抽出する。回分式の抽出の場合、抽出操作を繰り返して行うことで、リン酸モノエステル(a)の純度を可及的に上げることが出来ることは言うまでもないが、連続式で抽出を実施してもよい。
【0010】
本発明の精製方法の最大の特徴は、この抽出操作の段階で、(a)と(b)の混合物に対して0.5重量%以上の水および/または低級アルコールを共存させることにあり、水および/または低級アルコールの含有率が0.5%未満であると、攪拌して非極性溶剤で抽出を進めた時に、該溶剤に溶けずに分散しているリン酸モノマーの粘度が著しく高くなったり、時としてワックス状になり、ジエステルが溶剤に移行した後に攪拌を停止しても、リン酸モノマーが下層に沈降してクリアーな層とならず、デカンテーションによって溶剤だけを取り除くことが困難になる。
【0011】
本発明で使用する低級アルコールは、炭素数が1〜4の範囲にある1価のアルコールであり、具体的には、メタノール、エチルアルコール、プロパノール、ブタノールをあげることができる。水は予め、該混合物中に添加しておいてもよいし、有機溶剤を加えるときに併せて添加してもかまわない。また、抽出操作の途中でこれらの水やアルコールを添加してもかまわない。
【0012】
(I)式で示されるリン酸モノマーは、水やアルコール分が含まれると粘度が下がるが、本発明の方法のように、水とともに抽出操作を行うと、水やアルコールは非極性の有機溶剤に移行せず、主に極性の高いリン酸モノマーに含まれるため、ジエステルが除かれた後のリン酸モノマーの粘度が極端に上昇することを防ぐことができる。この観点から、本発明に用いる水および/またはアルコールは、組み合わせて使用する非極性の有機溶剤への溶解度が低い方が好ましく、非極性溶剤としてn−ヘキサン又はヘプタンを使用し、水および/またはメタノールを0.5重量%以上存在させて抽出を実施するのがよい。
【0013】
非極性溶剤でジエステル(b)を抽出した後、リン酸モノマー中に残存する水やアルコールは、除去する必要がない場合はそのまま使用され、必要ならば減圧蒸留などによって、実質上問題ないレベルまで除去すればよいが、あまり多いとリン酸モノマーからこれらを除去するのに時間がかかったり、抽出時の溶剤とリン酸化合物(a)分離が悪くなったりすることがあるので、通常は化合物(a)と(b)の総和に対して2.7重量%を越えない範囲の含有量とする。
【0014】
本発明の精製方法で得られる高純度のリン酸モノエステルは、その有用性が既に確立している各種の歯科材料、例えば歯科用プライマー、歯科用接着剤、歯科用セメント、歯科用充填材などの歯質との接着性を必要とする組成物の成分として使用される。またリン酸残基と重合性基を併有する機能が期待される他の歯科用材料にも使用される。さらに、各種の工業用接着剤の成分としても有用である。以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0015】
【実施例】
以下の実施例では、リン酸モノエステルの原料となるモノヒドロキシメタクリレート化合物は、対応するジオールとメタクリル酸のエステル化反応によって合成し、HPLC分析は、カラムとしてガスクロ工業製Unisil−Q C18、溶出液として水/メタノール混合溶媒、を用い、UV検出器を用いた(検出波長254nm)。また、水分は、カールフィッシャー水分計(三菱化学製電量滴定式水分測定装置CA−06型)を用いて測定した。
【0016】
実施例1
10−メタクリロイルオキシデカン−1−オールと1,10−デカンジオールジメタクリレートの混合物51.5g(10−メタクリロイルオキシデカン−1−オールを0.14モル含有)とトリエチルアミン17.1g(0.17モル)をジエチルエーテル100mlに溶解し、滴下ロートに入れて反応容器に接続した。反応容器内にオキシ塩化リン25.8g(0.17モル)をジエチルエーテル100mlに溶解して入れ、内部を−40℃まで冷却した。
【0017】
オキシ塩化リン溶液を激しく攪拌し、滴下ロート内の10−メタクリロイルオキシデカン−1−オールとトリエチルアミンの溶液をゆっくり1時間かけてオキシ塩化リン溶液に滴下した。滴下終了後、−20℃でさらに30分間反応液を攪拌した。反応液を0℃まで昇温してさらに1時間攪拌し、蒸留水15.3g (0.85モル)とトリエチルアミン28.5g(0.28モル)の混合液を滴下し、0℃に保って30分間ゆっくり加水分解を行った。
【0018】
析出してきたトリエチルアミンの塩酸塩を0.4N塩酸100mlで3回洗浄して抽出除去し、さらに2%食塩水100mlで2回、さらに蒸留水100mlで1回洗浄した。水層を除いた後の有機層に重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)を150mg添加してロータリーエバポレーターで溶剤を減圧留去(減圧度2〜5mmHg、温度20〜30℃、1時間)して、粘度の高い液体残渣約62.0gを得た。液体クロマトグラフィーで上記液体を同定した結果、該液体はリン酸モノエステルであるMDPと1,10−デカンジオールジメタクリレートの混合物で、カールフィッシャー水分計で水分を測定すると、2.7%の水分が含まれていた。
【0019】
該液体にn−ヘキサン200mlを加え、メカニカルスターラーで攪拌してジエステルを抽出した。攪拌を止めると混合物は二層に分離し、下層にMDP、上層にヘキサン層がきれいに分離した。ヘキサン層をデカンテーションで除き、下層をさらに減圧乾燥してヘキサンと水分を除去し、43.6gの液状の化合物を得た。該化合物は、液体クロマトグラフィー測定により、純度97.1%の MDPであることが確認された。
【0020】
実施例2
水分含有率が0.62%の、MDPとジエステルの混合物を用いた以外は、実施例1と同様な精製操作を行った。その結果、ヘキサンと共に30分間攪拌し、一日静置することにより、油状物(MDP)がフラスコの下部に沈降して、ヘキサンときれいに層分離した。上層のヘキサン層はデカンテーションで容易に取り除くことができ、下層に残った油状物を容易に取り出すことができた。
【0021】
比較例1
水分含有率が0.38%の、MDPとジエステルの混合物を用いた以外は、実施例1と同様な精製操作を行った。その結果、ヘキサンと共に攪拌すると、析出したMDPがフラスコ内壁にこびりつき、一日静置してもこの状態は殆ど変化しなかった。ヘキサンをデカンテーションで除いた後、そのままの状態ではMDPをフラスコから取り出すことが出来なかった。
【0022】
比較例2
実施例1と同じ方法、同じスケールで、有機層を蒸留水で洗浄する工程までを行った。同様にMEHQを添加し、水層を除いた後の有機層に重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)を150mg添加してロータリーエバポレーターで溶剤を減圧留去(減圧度1〜2mmHg、温度40〜45℃、2時間)すると、粘度の高い液体残渣約59gを得た。液体クロマトグラフィーで上記液体を同定した結果、該液体はリン酸モノエステルであるMDPと1,10−デカンジオールジメタクリレートの混合物で、カールフィッシャー水分計で水分を測定すると、0.3%の水分が含まれていた。該液体にn−ヘキサン200mlを加え、メカニカルスターラーで攪拌してジエステルを抽出した。
【0023】
攪拌を止めるとMDPが容器の壁面とメカニカルスターラーの羽根にこびりつき、ヘキサン層をデカンテーションで除いた後に残ったMDPを、そのまま容器から移すことが困難であった。本比較例では、先の実施例と比較すると、反応終了後に得た反応混合物から溶剤であるエーテルを減圧留去する際の真空度と温度が高く、水分も同時に留去されて、残ったリン酸モノエステルを含む混合物中の水分が減少し、0.5%以下になっていた。
【0024】
実施例3
比較例2と同様の方法、即ち、実施例1と同じ方法、同じスケールで、有機層を蒸留水で洗浄する工程までを行った。同様にMEHQを添加し、水層を除いた後の有機層に重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)を150mg添加してロータリーエバポレーターで溶剤を減圧留去(減圧度1〜2mmHg、温度40〜45℃、2時間)すると、粘度の高い液体残渣約59gを得た。液体クロマトグラフィーで上記液体を同定した結果、該液体はリン酸モノエステルであるMDPと1,10−デカンジオールジメタクリレートの混合物で、カールフィッシャー水分計で水分を測定すると、0.3%の水分が含まれていた。
【0025】
該液体にn−ヘキサン200mlとメタノール1.5mlを加え、メカニカルスターラーで攪拌してジエステルを抽出した。攪拌を止めると混合物は二層に分離し、下層にMDP、上層にヘキサン層がきれいに分離した。ヘキサン層をデカンテーションで除き、残ったMDPさらに減圧乾燥してヘキサンと水分を除去し、41.8gの液状の化合物を得た。液体クロマトグラフィーによる測定を行った結果、MDPの純度は96.8%であった。
【0026】
実施例4
実施例3において、10−メタクリロイルオキシデシル−1−オールに対するリン酸エステル化反応時の溶剤として、ジエチルエーテルのかわりにジイソプロピルエーテルを用いた以外は同様の操作を行い、MDP、ジエステル、ジイソプロピルエーテルからなる混合物(有機層)を得た。エバポレーターでエーテルを減圧留去すると、水分含有量が0.33%の、MDPとジエステルの混合物55gが得られた。該混合物にn−ヘキサンを200ml加えて攪拌すると粘稠な油状物が析出し、容器の壁面に付着した。ここに水0.5gを添加しさらに1時間攪拌を続け、再び静置すると、実施例3と同様にヘキサン層が上層にきれいに分離した。
【0027】
実施例5
10−メタクリロイルオキシデカン−1−オールと1,10−デカンジオールジメタクリレートの混合物800g(10−メタクリロイルオキシデカン−1−オールを2モル含有)とトリエチルアミン202g(2モル)をメチル−t−ブチルエーテル2800mlに溶解し、滴下ロートに入れて反応容器に接続した。一方、反応容器内にオキシ塩化リン306g(2モル)をメチル−t−ブチルエーテル800mlに溶解して入れ、内部温度−30℃まで冷却した。
【0028】
オキシ塩化リン溶液を激しく攪拌し、滴下ロートから10−メタクリロイルオキシデカン−1−オールとトリエチルアミンの溶液をオキシ塩化リン溶液に徐々に滴下した。滴下終了まで3時間を要した。滴下後−20℃でさらに2時間反応液を攪拌し、さらに反応液を0℃まで昇温してさらに2時間攪拌した。引き続きここに、蒸留水108g (6モル)とトリエチルアミン415g(4.1モル)の混合液を2時間かけて滴下し、0℃に保って12時間攪拌して加水分解を行った。析出してきたトリエチルアミンの塩酸塩を吸引濾過で除き、さらに濾液を0.4N塩酸1500mlで2回、2%食塩水800mlで2回、さらに蒸留水1000mlで2回洗浄した。
【0029】
水層を除いた後の有機層に、活性炭素2gを添加し、室温で10分間攪拌して脱色処理を行った。活性炭素を濾過で除いた後の有機層に、重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)を1g添加して、ロータリーエバポレーターで溶剤を減圧留去(減圧度1〜10mmHg、温度25〜30℃)して、粘度の高い液体残渣約980gを得た。液体クロマトグラフィーで上記液体を同定した結果、該液体は主に、リン酸モノエステルであるMDPと1,10−デカンジオールジメタクリレートの混合物で、カールフィッシャー水分計で水分を測定すると、1.1%の水分が含まれていた。
【0030】
該液体にn−ヘキサン2000mlを加え、メカニカルスターラーで攪拌してジエステルを抽出した。攪拌を止めると混合物は二層に分離し、下層にMDP、上層にヘキサン層がきれいに分離した。ヘキサン層をデカンテーションで除き、残った液体にさらにヘキサンを1000ml加えて1,10−デカンジオールジメタクリレートをヘキサンにさらに抽出し、同様にヘキサン層をデカンテーションで取り除いた。このヘキサン抽出操作をさらにもう1回繰り返した。残った油状物をを減圧乾燥してヘキサンと水分を除去し、587gの液状の化合物を得た。液体クロマトグラフィーによる測定を行った結果、目的のMDPの純度は96.5%であった。
【0031】
【発明の効果】
本発明の方法で得られたリン酸エステル化合物を配合した組成物は、歯や骨等の生体硬組織、金属、セラミックスに対して優れた接着力と高度の耐水性を示す接着剤として有用である。
Claims (1)
- 式(I)で表されるリン酸モノエステル化合物(a)と式(II)で表される(メタ)アクリル酸ジエステル(b)を含む溶液に非極性有機溶剤を加えて(メタ)アクリル酸ジエステルを抽出し、高純度のリン酸モノエステル化合物を得るに際し、(a)及び(b)の合計に対して0.5〜2.7重量%の水及び/又は低級アルコールを存在させてデカンテーションによる抽出操作を行うことを特徴とするリン酸モノエステルの精製方法。
H2C=C(R)−COO−X−OP(O)(OH)2 (I)
H2C=C(R)−COO−X−OOC−C(R)=CH2 (II)
(式中、Rは水素またはメチル基、Xは炭素数8〜16のアルキレン基を表す。)
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