JP4508478B2 - 画像記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は階調画像を表す多値画素の値に応じて発光素子を発光させて感光体に照射する電子写真方式の画像記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的なレーザビームプリンタのエンジンの構成を図11に示し、その動作を説明する。
【0003】
レーザチップ23はレーザーダイオードを有するものであり、そのバック光を受光するフォトダイオードを備える。レーザダイオードを発光制御する駆動電流IdはLDドライバ24より供給される。フォトダイオードからの発光量を検出したモニター電流ImはLDドライバ24に入力されレーザーダイオードの発光量のAPC(オートパワーコントロール)を行う。
【0004】
レーザーチップ23から発生した変調レーザービームは、モータ軸に固定されて、図中矢印方向への回転するポリゴンミラー18によって偏光され感光ドラム20上に変調レーザービームを走査する。f−θレンズ19は、偏光された変調レーザビームを感光ドラム20上に線速度一定に集光するために設けられる。感光ドラム20及び印画トナーを予め所定の静電帯電しておくと、感光ドラム20上における照射光量に応じて印画トナーの付着量が変わる為中間調画像の印画が可能になる。BDミラー21は感光ドラム20と機械的に位置関係が固定されており、BDミラー21からの反射レーザビームは受光ダイオード22に入力され、感光ドラム20上の情報書き込み開始位置を検出するために使用される。受光ダイオード22の出力は水平同期信号発生回路27に入力されて水平同期信号BDを発生する。BD信号は画素変調回路25に入力される。画素変調回路25は水平同期信号BDに同期した画素クロックまたはその係数倍クロックを発生する。この画素クロックをもとに画素データを読み取るためのリードクロックRKを画素データ発生部26に入力する。画素データ発生部26は画素変調回路25に対して、画素データD及びライトクロックWKを出力する。入力された画素データをもとに所望のレーザ光量変調を可能にする画素変調信号ONをLDドライバ24に出力する。
【0005】
また、上記構成を、図12に示す如く、4つの感光ドラム20a乃至20dとして設け、それぞれにレーザ走査する構造を設け、且つ、それぞれの感光ドラムにY、M、C及びBkのトナーを有する当接する現像器を設置することで、1つの記録紙28上に各色成分を重畳したカラー画像を印刷することが可能になる。
【0006】
さて、記録画像の濃度(カラーの場合には各色成分毎の濃度)を表現するためには、先に説明したように、記録すべき画像の濃度に依存した照射光量となるようにすることで実現できる。
【0007】
一般に、照射光量を制御するために有効な手段として知られているものにPWM(Pulse Width Modulation)方式がある。PWM方式を実現する構成の例を、図13に示す。
【0008】
図中、1はデジタルデータ出力装置で、コンピュータ等外部機器からの印刷情報(多値イメージデータ)を走査ラインごとの多値データ列として変換する。2は該デジタル出力装置1からの多値データ出力を入力し、所定の関数処理に相当するテーブル変換処理を実行して多値データを出力するルックアップテーブルである。3はルックアップテーブル2からの多値データを入力して、対応したアナログ電圧信号を出力するD/Aコンバータである。
【0009】
5は、先に示したBD信号に基づく水平同期信号発生器であり、6は基準周波数発生装置である。7は装置の各構成部に対するタイミング信号を生成するタイミング信号発生装置である。8はタイミング信号発生装置7から供給されるタイミング信号(クロック信号)に応じてアナログ三角波を発生する三角波生成回路である。
【0010】
4は画像データに基づくアナログ信号(D/Aコンバータ3の出力信号)と三角波生成回路7からの三角波を比較し、その比較結果を論理high/lowのパルス信号として出力する比較器である。この結果、比較器4からは、画素値に応じたパルス幅を有する信号が出力されることになる。8は、ラスタ走査プリントエンジンであり、先に図11で説明したように、パルス幅変調信号のパルス幅に応じてレーザ素子を駆動する構造を有する。従って、1画素周期について、その画素値に応じてレーザ光の発光時間が決定されることになり、発光光量が制御できるようになる。
【0011】
以上の構成により、多値入力画像データを適当な関数でγ変換した後、その結果に応じた重み付けでパルス幅変調がなされる画像変調回路が実現される。
【0012】
なお、ここでは、比較器としてアナログ比較器を用いているが、デジタル比較器を用い、また三角波もデジタル値として生成することにより、γ変換後の多値画像データ入力をデジタル三角波と直接比較するデジタルパルス幅変調回路も当然、構成可能である。このデジタル方式の場合はアナログ方式で問題となる温度ドリフト、部品ばらつきに起因する特性ばらつきが一般に小さくできる。
【0013】
しかし、上記のような三角波比較方式の画像変調回路をデジタル回路で構成する場合、相当の高速カウンタ、高速比較器が必要となったり、回路規模が大きくなったりする欠点がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、近年、予め画素の出力パターンを発光/非発光の2値データの列によって表現し、その出力パターンを画像入力階調値分だけ、複数種類、デジタル回路内部に予め設定し、多値画像データ入力によってこの出力パターンを選択し、読み出すと共に、読み出した2値データ列を順番にシリアル出力する画像変調回路が提案されている。
【0015】
例えば、入力データが4ビット(16階調)である場合、パターンデータとして16ビット用意しておく。そして、入力データが“3”に対しては、先頭の3ビットを“1”、後続する13ビットを“0”のパターンを格納しておき、そのデータ(値3のデータ)が入力された場合には、1110000000000000B(Bはバイナリを示す)を順に出力することで、対応するパルス幅を有する信号を生成する、というものである。
【0016】
しかしながら、かかる手法では、以下のような課題がある。
・発光パターンの分割数が入力データビット数nに対し、2n(もしくは(2n)-1)だけしかないため、入力画像データに対し、発光パターンが事実上一対一に決まってしまい、各入力データに対応した出力駆動パターンとその後に接続されるレーザドライバ、レーザの電気的、光学的特性ばらつきによる入出力関数ばらつきを補正することができない。
・出力発光パターン設定ブロックを論理ハードウェアで固定化した場合、入力画像データに対し、発光パターンが一対一に固定的に決まっているため、各入力データに対応した出力駆動パターンとその後段に接続されるレーザドライバ、レーザの電気的、光学的特性ばらつきによる入出力関数ばらつきを補正することができない。
・予め、装置の組立て調整時に上記ばらつきを個別に測定し、出力発光パターン設定ブロックを構成するROMに個別に焼き込めば、初期特性としては個別に対応が可能となるが、その後の環境変動、経時変動等には対応できない。RAM方式の場合はシステム側から装置起動時に値を初期設定することになるが、これもシステム側が予め持つ、設定データを書き込むのみであるため、解決できない。
本発明はかかる問題点に鑑みなされたものであり、デジタルデータのパターンによるパルス幅変調を行う場合において、素子或いは駆動系のバラツキに応じて、適切なパルス幅変調を行って画像を記録する電子写真方式の画像記録装置を提供しようとするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するため、例えば本発明の画像記録装置は以下の構成を備える。すなわち、
階調画像を表す多値画素データの値に応じて発光素子を発光させて感光体に照射する電子写真方式の画像記録装置であって、
各ビットが前記発光素子の発光または非発光を表す複数ビットの2値の発光パターンデータを前記多値画素データの値と対応付けて記憶する書き換え可能な記憶手段と、
入力された前記多値画素データに対応する前記発光パターンデータを読み出し、前記発光素子に対する発光駆動信号を出力する出力手段とを備え、
前記記憶手段に記憶される前記発光パターンデータのビット数は、前記多値画素データが表現できる階調数よりも多いことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、実施形態ではレーザビームプリンタについて説明する。
【0019】
レーザビームプリンタでは、階調画像を印刷する技術として、PWM(パルス幅変調)方式を採用している。PWMを実現する手段としては、多値の画像信号をアナログ信号に変換し、三角波と比較することで、画素の値に応じたパルス幅の信号を生成し、その信号でレーザ素子を駆動するものが知られている。実施形態では、かかるアナログ制御ではなく、デジタル制御を採用してPWMを実現する。
【0020】
図1は、実施形態におけるPWMを実現するための主要構成図及びそのタイミングチャートである。なお、実施形態では入力される画素値は4ビット、すなわち、0〜15の16階調で再現できる例を説明するが、入力画素のビット数はこれに限らないのは勿論である。
【0021】
図中、1001はアドレス0〜15に対応する32ビットの発光パターンを記憶するデジタルデータ出力部であり、その内容が書き換え可能とするため、及び、電源OFF時にそのデータを保持するようにするため不揮発性メモリ(例えばEEPROMやフラッシュメモリ等)で構成されている。1002は入力データ(4ビットの画素データ)であり、アドレスとしてデジタルデータ出力部1001に供給される。1003は制御信号であり、通常はデジタルデータ出力部1001に対して読み込み信号を画素データに同期して出力することになる。なお、デジタルデータ出力部1001内のデータを書き換える場合には、この制御信号を書き換え信号に変更し、画素値をアドレスとして供給すると共に、図示のデータバスを介して32ビットのデータを供給することで内部に保持されたデータを書き換える。1004はシフトレジスタ部であって、入力データで示された位置の32ビットをロードし、基準クロック(入力データのクロックの32倍の周波数)1005に同期して1ビット単位に出力するシフトしながら、“1”となっているビットに対して1クロック周期分だけ論理highの信号を出力する。従って、“1”が連続したパターンの場合には、その個数に応じた幅のPWM信号1006が出力されることになる。1007は、PWM信号1006の後端に、更に微調整用のパルス幅信号を付加するパルス幅追加回路である(後述する肉づけ量決定処理でその詳細は説明する)。追加するパルス幅信号は制御信号1008によって変更可能とした(図1の下に示すタイミングチャートにおける斜線部分だけパルス幅が増加している)。
【0022】
次に、実施形態におけるレーザ素子の駆動部周辺のブロック構成(光量検出装置)を図2に示す。
【0023】
図中、1201はレーザ及びPD(Photo Detector)のバイアス用の電源である。1202は増幅器で、レーザの素子内部のPDで検出したレーザ光の光量を増幅する増幅器である。1203は該増幅器の出力の高周波リプルもしくはノイズ成分を減衰させるフィルタ回路である。1204は該フィルタ出力の平均値を求めるための平均化処理回路である。1205は画像形成装置のエンジンである。1206はAPC(オートパワーコントロール)光量FB(フィードバック)で、レーザの発光量を所定の値にフィードバック制御するためフィードバック信号である。1207はLD発光制御信号で、レーザに対する発光/非発光の制御をおこなう。1208はAPC制御タイミング信号で、レーザの発光量のフィードバック制御の制御ループの開閉を指示する制御信号である。これら各制御信号はLDドライバ24に供給される。
【0024】
図3はテストモードにおける動作タイミングチャートである。図中、1210はAPCタイミング、1211はビームディテクトタイミング、1212は画像区間タイミングを示す。実施形態では論理High(以下、単にH)でレーザが発光、Low(以下、単にL)で消灯を意味するものとする。なお、通常の印刷処理では、この画像区間タイミング1212において、各画素データに対応する信号が出力されるが、操作パネル(不図示)からテストモードが指示されると、図示の如く、入力データ0〜15(図示では、とびとびの値を示しているが、実際は0、1、2、…15のデータ)の信号を連続(例えば1走査ライン)して出力することを行う。なお、テストモードにおいては、発光量の検出と補正が目的であるので、記録紙の搬送や現像器によるトナー像の生成は行わない。
【0025】
1214はAPC制御タイミングを示し、Hでフィードバックループを閉じる(フィードバック制御が行われる)ことになり、Lで開放することになる。
【0026】
1215は入力データを示し、1216は画像書き込み区間における1画素周期を示している。1217は光量検出値で、該フィルタ回路の出力を示す。1218は光量平均値で、該平均値出力を示している。
【0027】
1209はBD信号で、画像書き込みエリアより所定幅だけ外側に設置されたセンサでレーザビームの通過を検知するものである。1213がビーム検知したタイミングである。
【0028】
以下、同図を用い、テストモードにおけるシーケンスについて説明する。まず、LD発光制御信号をHにして、レーザを発光させる(タイミング1210)。その後、APC制御タイミング信号をHにし、レーザ光量フィードバック制御を閉じ、制御状態にする(タイミング1214)。このとき、該フィルタ出力であるAPC光量FB信号がLDドライバ24の内部にてサンプリングされ、レーザの光量が認識される。予め定められた目標値(図示せず)に対し、このサンプリングされたレーザ光量が比較され、目標値よりも低い場合にはレーザの駆動電流を増加する。目標値より高い場合には低減する。これにより、所定の制動時間後にレーザ光量が目標値と一致するように制御される。
【0029】
所定の制動時間後、APC制御タイミング信号がLに戻る。LDドライバ24はこれを認識し、フィードバックループを開放(切断)する。同時に、制御状態をその状態で保存し、レーザへの駆動をその時の値に固定する。
【0030】
次に、通常のビームディテクト動作(水平同期信号として扱われる)について説明する。上記のAPC動作にて、所定の光量レベルに調整された後、ビームディテクトセンサをレーザビームが通過するより適当時間前のタイミングでレーザ発光制御信号を再び、Hにしてレーザを点灯する(タイミング1211)。レーザがビームディテクトセンサを通過したところで、ビームディテクト信号が信号反転して、通過を知らせるビーム検知が成されたことを確認して(タイミング1213)、レーザ発光制御信号をLに戻し、レーザを消灯させる。
【0031】
次にパルス幅追加機能(図1におけるパルス幅追加回路1007に与える信号1008の決定処理)を説明する。
【0032】
レーザの発光立ち上がり特性及びその前段のレーザ駆動素子の電流立ち上がり特性等により、一般に所定のパルス幅以下のパルス信号ではレーザの発光はしない。このため、最低発光に相当する入力データ値(通常0)において、それらの遅延時間(レーザ発光となる最低パルス幅)を合算したパルスを該シフトレジスタからのPWM出力に合算する機能を持たせる。このパルス幅付加は構成にもよるが、本例では先に説明したように、パルス1006(図1)の最終エッジに入力データによらず、一律に付加されるとする(これについては、図6を用いて後述する)。
【0033】
次に本実施形態の特徴の一つである、1画素の発光パターンの2値ドット数を、多値入力画素データの種類数(4ビット=24=16種類)よりも多くする(具体的には2倍以上が望ましい)点について説明する。
【0034】
図4(a)(b)は、入力データに対する出力駆動パターンの設定テーブルである。図示で2つ存在するのは、レーザ発光素子A,Bのバラツキによるものであり、それぞれについて適切な補正を行うことを示している。
【0035】
実施形態では、1画素の入力データは4ビットとしているので、入力データ値は0〜15が存在する。出力パターンは32ビットである。図示において、「ONになる数」として示されているのが、図1におけるデジタルデータ出力部1001に格納されるドット数(左詰め)を示し、斜線部分がパルス幅付加回路1007による付加される部分を示している。
【0036】
以下、この補正データを生成する過程を説明する。
【0037】
図5はレーザー駆動素子A,Bへのパルス信号のデューティに対するレーザの平均光量を示す図である。横軸は最低値0%を0、最大値100%を255として表している。縦軸は最低値を0、APC制御光量を255として表している。上述したパルス幅付加をおこなう以前の素子A、Bの裸特性を示したものが、図示の符号50、51である。
【0038】
一般に、レーザ光が得られる最小側パルス幅入力であっても、レーザに対し一定のバイアス電流が供給される駆動系を想定しているため、所定のオフセットLED発光成分が存在している。一方、パルス幅が最大側でAPC光量に張り付いてしまうのは、最小側とは逆にレーザ及びレーザドライバの消灯側の遅延特性に基づくものである。実施形態では、この最小光量を30として説明する。
【0039】
素子A,Bについて、データ入力0において、光量30が得られるようなパルス幅付加が行われるためには、データ0におけるPWMを大きくなるようにすることが必要である。そこで、実施形態では素子A(裸特性50)を図示の特性52、素子B(裸特性51)を図示の特性53に示す如く、入力データ0について付加的なパルス幅を追加する(実質的に水平方向にシフトする)。
【0040】
このパルス幅付加(シフト量)の設定方法を図6のフローチャートに従って説明する。
【0041】
なお、この処理は、装置組立て時の調整工程でおこなうものとするが、ユーザー側で定期的に行うようにしてもよい。
【0042】
先ず、ステップS1で、データ入力0の発光パターンのドット数設定を1ドット(“1”に続いて31個の0のパターン)とし、パルス幅付加設定をゼロとする。本例ではパルス幅付加値として、粗調設定値、微調設定値を具えるので、その両方をゼロとする。その状態で、データ入力0を連続入力し(ステップS2)、その際のレーザ発光量を平均値として光量検出装置(図2の符号1204)で測定する。
【0043】
次に、ステップS3乃至S5において、粗調の設定値(図1に示すパルス幅付加回路1007に設定する値)を1ステップづつ増加させていき、そのたびにレーザ光量が目標値を超えたかを確認する。本例では30を目標光量としているので、30を超えたところで、この繰り返しルーチンを抜ける。越えたと判断した場合には、その直前の状態に戻すため、ステップS6で1ステップ戻すことになる。
【0044】
次に、ステップS7乃至S9において、微調の設定値を1ステップづつ増加させていき、そのたびにレーザ光量が再度目標値30を超えることを確認する。超えたところで、調整ルーチンを重量する。超えた際の光量値とその前の微調ステップの光量値とで、より目標値に近い光量微調ステップにするのも勿論可能であるが、本例では割愛する。
【0045】
以上により、データ入力0において、光量30にもっとも近い状態になるような付加パルス幅が決定された。
【0046】
パルス幅付加は全ての入力データの発光パターンに一律に付加されるため、パルス幅付加される前のパルス信号のデューティと発光光量の関係は図5の52、53に示すように、並行移動したものとなる。
【0047】
実施形態では、1出力パターンを32ドットで形成しているので、その1ドット分であるX座標8(=32/256)の位置に光量30が来るようにパルス幅調整されることとなる。微調ステップ分解能によっては調整残渣が残るが、本図では簡単のため、完全に調整された状態で示している。
【0048】
次に、入力データと出力光量の関係について考える。
【0049】
従来では入力データビット数nに対し、パターンのドット数は2nとなっていたため、入力データと出力光量はほぼ1対1に決まってしまう。例えば、入力データ4ビットで16種類のデータ入力がある場合、パターンのドット数は16であるので、ドット数1から16もしくは0から15を16種類の入力データに割り付けることしか事実上できない。それに対し、本実施形態では、図1に示したように、入力データの取り得る種類の2倍(或いはそれ以上)のドット数を設定することが可能となるので、より細かな設定が可能となる。つまり、32ドットを16種類の入力データに割り付けられるようになり、予め定めた、入力データと発光量の関係が得られるように、調整することが可能になる。
【0050】
例えば,入力データ1で光量50、入力データ14で光量200、入力データ15で光量255が得られるようにしたいとする。
【0051】
図5において、横軸8(=256/32)ステップのポイントで各々の光量が最も近く得られるポイントを決定することになる。この際、255が得られるステップは複数存在する場合があるが、この時は例えば、そのうちの最も小さいステップというルールによって決定する。また、光量50と200の間を13均等分割し、その光量が横軸8ステップのポイントで12光量値各々について最も近く得られるポイントを入力データ2から13に割り付ける。そのように決められた各ステップは8ステップの単位でドット数として、発光パターンテーブルに割り付けられる。
【0052】
この結果のドット数を発光パターンテーブルの左側に寄せて設定したのが、先に示した図4(a),(b)である。図示における「ONになる数」で示した数が、図1のデジタルデータ出力部1001に格納されるデータの“1”のビット数を示しており、斜線部はパルス幅付加回路1007に設定内容に対応するものである。
【0053】
以上のように、1画素の発光パターンの2値ドット数を多値入力画像データの種類数の2倍以上具えることにより、1画素の発光パターンを発光、非発光の2値ドット列として、多値入力画像データに対応付け、複数種類、記憶手段に記憶させ、時系列的に入力される多値入力画像データに応じ、該記憶手段から対応する発光パターンを読み出し、発光素子に対する発光駆動信号を出力するような発光変調手段においても、レーザ駆動素子、レーザの伝達特性ばらつきを吸収して、入力データと出力光量の関係を予め定めた所定の特性に個別調整することが可能となる。
【0054】
さて、入力データ0〜15(0については、パルス幅付加処理で決定しているので、0を除く1乃至15)に対するドット数を設定する処理を以下に説明する。
【0055】
説明を簡単にするため、各入力データに対する目標(平均)光量は、先に説明した内容を反映させて、図7に示すようにしたとする。図示において、入力データ0〜15に対する目標光量の数値が最終的な目標である。
【0056】
実施形態では、テストモード時に、図3のタイミング1212において、データ0を連続して出力することで、データ0について30となるように付加すべきパルス幅の決定を行う。この結果、パルス幅付加回路1007に設定するパラメータが決定されることになるので、後はデータ1、2、…、15に対する32ビットのパターンを決定する処理を行えば良いことになる。
【0057】
そこで、データ1(2〜15も同様)について、初期ドット数を決めておき、目標光量に最も近いパターンを、そのデータ1におけるドットパターンとして決定し、デジタルデータ出力部1001に格納する。以下はその詳細である。
【0058】
図8は入力データ1乃至14についての処理内容を示している。
【0059】
先ず、ステップS11で、データアドレスSに1をセットする。このデータアドレスSは、図1におけるデジタルデータ出力部1001における入力データ1をアドレスするように設定することと等価である。
【0060】
次いで、そのアドレスSに最初の1ビットが1で、残りの31ビットが0(最初のビットをMSBとして16進数Hで表記すると80000000Hとなる)をセットする。
【0061】
次いで、ステップS13に置いて、データ1を連続して供給することでLD駆動を行う。このときの駆動結果は、先に設定したパルス幅付加が行われた結果となる。次いで、ステップS14に進み、平均光量を取得する。
【0062】
ステップS15では、この光量が目標光量よりも大きくなったか否かを判断する。目標光量に到達していない場合には、ステップS16で、その時の目標光量との差(絶対値)を算出し、ステップS17でデジタルデータ出力部1001に格納されたパターン中の“1”のビットを1つ増やし(連続するように増やす)、ステップS13に戻る。
【0063】
こうして、目標光量よりも大きくなったと判断した場合には、ステップS18に進み、目標光量よりも大きくなったと判断した場合の、目標光量との差(絶対値)を算出し、直前(目標光量に到達していないと判断した最大光量を検出したタイミング)における差とを比較し、目標光量との差分が小さい方を選択し、その選択された値でもってデジタルデータ出力部1001に格納する(ステップS19、20)。
【0064】
ステップS14では、注目しているデータの値が14であるか否かを判断する。否の場合には、ステップS23に進み、次のデータに対するパターン決定処理に備えて、アドレスSを次のアドレス位置にすると共に、初期パターンとして従前に決定されたパターンを設定する。これ以降上記処理を繰り返すことになる。
【0065】
次に、図9に従って、テーブルアドレスS=15についての設定処理について説明する。
【0066】
先ず、ステップS31で、テーブルアドレスSを最終データである15にセットし、その初期データとしてデータ14で決定したパターンに1ドットを追加したパターンを設定する。
【0067】
次いで、ステップS32にいて設定したパターンで駆動し、ステップS33でその時の光量を取得する。そして、ステップS34において、目標光量(L’(15))を越えないと判断した場合には、パターン中の“1”のビットを追加し、ステップS32以降の処理を繰り返す。こうして、目標光量になったと判断した場合には、そのデータで決定するため、本処理を終える。
【0068】
以上の結果、図7に示す如く、素子A、Bそれぞれに適した各入力データに対するONにする数(ビット数)が確定することになる。
【0069】
図10は、素子A,Bに対して決定した32ビットのパターンと、付加したパルス幅による光量を、目標線上のプロットして示したものである。図示の如く、異なる特性の素子について、上記処理を行うことで、概ね一致させることが可能となる。
【0070】
以上説明したように本実施形態によれば、発光素子及び発光駆動素子の初期特性ばらつきのみならず、環境変動、経時変動も含めた外乱による、入力データと出力光量の関係のばらつき、変動を補正することが可能となり、形成される画像もより高い画質を維持することが可能となる。
【0071】
なお、上記実施形態では、工場における処理を説明したが、プリンタが通常備える操作パネルより、所定の操作を行った時に実行されるようにしても良い。
【0072】
また、実施形態では、入力する多値画素データが4ビットであるとして説明したが、このビット数によって本発明が限定されるものではない。
【0073】
また、上記実施形態では、1つのレーザ光がドラム上を走査する例を示したが、図14に示す如く、2つのレーザ光を発生するようにし、それぞれに対して上記実施形態における構造を追加しても構わない。この場合、2つの素子a,bが上記実施形態で説明した2つの素子A,Bに対応するものとすれば分かりやすいであろう。
【0074】
図示において、図1と同様のものには説明を簡略化するため同符号を付加した。
【0075】
レーザチップ23はレーザーダイオードa、bを有する2ビームタイプのものであり各バック光を受光するフォトダイオードcから構成されている。
各レーザダイオードを発光制御する駆動電流Id1,Id2はLDドライバ24より供給される。フォトダイオードからの発光量を検出したモニター電流ImはLDドライバ24に入力されレーザーダイオードa、bの発光量のAPC(オートパワーコントロール)を行う。レーザチップ23は、2つのレーザ発光点間隔を1画素間隔(600dpiで約42um)に素子特性上できない。このため、図14のようにレーザ走査方向に例えば16画素(記録画素)離れた位置に2つのビームが発生する様に斜め配置しておく。レーザーチップ23から発生した変調レーザービームは、モータ軸に固定されて図中矢印方向への回転するポリゴンミラー18によって偏光され感光ドラム20上に変調レーザービームを走査する。fーθレンズ19は偏光された変調レーザビームを感光ドラム20上に線速度一定に集光するためのものである。感光ドラム20及び印画トナーを予め所定の静電帯電しておくと、感光ドラム20上における照射光量に応じて印画トナーの付着量が変わる為中間調画像の印画が可能になる。BDミラー21は感光ドラム20と機械的に位置関係が固定されており、 BDミラー21からの反射レーザビームは受光ダイオード22に入力され、感光ドラム20上の情報書き込み開始位置を検出するために使用される。受光ダイオード22の出力は水平同期信号発生回路27に入力されて水平同期信号BDを発生する。 BD信号は画素変調回路25に入力される。画素変調回路25は水平同期信号BDに同期した画素クロックまたはその係数倍クロックを発生する。この画素クロックをもとに画素データを読み取るためのリードクロックRK1、RK2を画素データ発生部26に入力する。画素データ発生部26は画素変調回路25に対して、画素データD1,D2及び各々のライトクロックWK1、WK2を出力する。入力された画素データをもとに所望のレーザ光量変調を可能にする画素変調信号ON1、ON2をLDドライバ24に出力する。
【0076】
上記構成において、カラー画像を記録する場合には、YMCKの4つのドラムに毎に2ビーム構造を採用すれば良い。
【0077】
かかる構造のプリンタエンジンにおいて、実施形態で説明した構造を採用することで、画像書込み部におけるBD信号のタイミング誤差による画像の位置ズレ補正である。これは画素変調回路25において絶対画素位置設定データRGにより画素クロックの位相(遅延)制御で1/32画素程度には電気的には実現できる。
【0078】
また、2ビームレーザチップ23は前述したように角度の浅い斜め配置のため取り付け角度誤差、変動によって図示するようにビーム間隔が変動し画素位置補正が必要になるが、これも画素変調回路25において相対画素位置設定データRPによって画素クロックの位相(遅延)制御で1/32画素程度には電気的には実現できる。
【0079】
また、レーザチップ23、ポリゴンミラー18、f−θレンズ19、感光ドラム20までの光学的機械精度バラツキによる画像サイズの誤差を補正する必要がある。これは、画素クロック周波数を変化させるための周波数シンセサイザを画素変調回路に搭載して画素周波数設定データDFによって実現する。このため、図14の画像書込み部における画素変調回路には、画素位置合わせ用の画素位置設定データDSが入力されている。
【0080】
また、実施形態ではレーザビームを感光ドラム上を走査露光するプリンタに適用した例を示したが、これによって本発明が限定されるものではない。例えば、1値列に並んだLEDアレイを用い、各LEDの点灯/消灯により感光ドラム上に静電潜像を形成させる装置に適用するようにしてもよい。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、デジタルデータのパターンによるパルス幅変調を行う場合において、素子或いは駆動系のバラツキに応じて、適切なパルス幅変調を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態におけるプリンタの主要部のブロック構成図である。
【図2】実施形態における光量検出装置のブロック構成図である。
【図3】図2における構成のタイミングチャートである。
【図4】素子A,Bそれぞれにおけるデジタルパルス幅と付加パルス幅との関係を示す図である。
【図5】素子A,Bのパルス幅と光量の裸特性と、0値光量補正後の特性を示す図である。
【図6】図5における0値光量のパルス幅付加量の決定処理手順を示すフローチャートである。
【図7】実施形態における入力データに対応する目標光量と、各素子のPWM幅との関係を示す図である。
【図8】PWMの決定処理手順を示すフローチャートである。
【図9】PWMの決定処理手順を示すフローチャートである。
【図10】実施形態における入力データと補正後のPWMによる光量をプロットして示す図である。
【図11】レーザビームプリンタのエンジン部の構成図である。
【図12】4ドラムを用いたカラープリンタの構造を示す図である。
【図13】アナログPWMの装置構成を示す図である。
【図14】実施形態が適用する2ビーム方式のプリンタエンジン部の構成を示す図である。
Claims (8)
- 階調画像を表す多値画素データの値に応じて発光素子を発光させて感光体に照射する電子写真方式の画像記録装置であって、
各ビットが前記発光素子の発光または非発光を表す複数ビットの2値の発光パターンデータを前記多値画素データの値と対応付けて記憶する書き換え可能な記憶手段と、
入力された前記多値画素データに対応する前記発光パターンデータを読み出し、前記発光素子に対する発光駆動信号を出力する出力手段とを備え、
前記記憶手段に記憶される前記発光パターンデータのビット数は、前記多値画素データが表現できる階調数よりも多いことを特徴とする画像記録装置。 - 前記記憶手段に記憶される前記発光パターンデータのビット数は、前記多値画素データが表現できる階調数の2倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
- 更に、前記発光素子の特性に応じて、前記記憶手段に記憶される前記発光パターンデータを書き換える書き換え手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
- 前記発光素子の発光光量の平均値を検出する発光量検出手段を備え、
前記書き換え手段は、多値画素データのテストデータを順次発生させることで、各テストデータによる前記発光量検出手段で平均発光量を検出させ、当該検出した平均発光量と目標とする発光量とに基づいて、書き込むべきパターンを決定し、前記記憶手段に格納することを特徴とする請求項3に記載の画像記録装置。 - 更に、前記発光素子の発光光量の平均値を検出する発光量検出手段と、前記発光パターンデータのビットで再現されるパルス幅よりも細かいパルス幅信号を生成し、前記出力手段で出力された発光駆動信号に付加する付加手段を備え
前記付加手段は、前記多値画素データが0のときに前記発光量検出手段により検出される平均発光量が目標とする発光量に最も近くなるようなパルス幅信号を全ての前記多値画素データに対応する前記パルス幅信号に付加することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。 - 前記発光素子はレーザ素子であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
- 前記発光素子を2つ設け、夫々毎に前記記憶手段及び出力手段を設けることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
- 階調画像を表す多値画素データの値に応じて発光手段を発光させて感光体に照射する電子写真方式の画像記録装置であって、
各ビットが前記発光手段の発光または非発光を表す複数ビットの2値の発光パターンデータを前記多値画素データの値と対応付けて記憶する書き換え可能な記憶手段と、
入力された前記多値画素データに対応する前記発光パターンデータを読み出し、前記発光手段に対する発光駆動信号を出力する出力手段とを備え、
前記記憶手段に記憶される前記発光パターンデータのビット数は、前記多値画素データが表現できる階調数よりも多く、
前記発光手段は、第1発光素子及び第2発光素子を有し、
前記記憶手段は、前記第1発光素子に対応する前記発光パターンデータと、前記第2発光素子に対応する前記発光パターンデータを記憶することを特徴とする画像記録装置。
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