JP4507271B2 - フッ酸の回収方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ酸の回収方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、フッ酸含有排水から、効率的にフッ酸を回収するとともに、蒸留水をも回収して再利用することができるフッ酸の回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ酸含有排水は、金属表面処理業、ガラス工業、リン肥料製造業、半導体製造業などの種々の産業分野で排出される。排水中に含まれるフッ素の処理方法としては、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウムなどのカルシウム化合物との反応により、水不溶性のフッ化カルシウムとして析出させ、除去する方法が広く行われている。また、処理水中のフッ素の濃度をさらに低下させるために、カルシウム化合物とアルミニウム化合物を用いて二段凝集処理する方法や、フッ素を吸着するキレート樹脂などを用いて、排水中のフッ素を吸着除去する方法などが提案されている。例えば、ジルコニウム担持樹脂を用いて効率よくフッ化物イオンの除去を行い、しかも処理液を過不足なく中和して放流することができるフッ化物イオン除去装置として、ジルコニウム担持カチオン交換樹脂を有する吸着塔に被処理液を供給し、フッ化物イオンを選択的に吸着除去し、OH形弱塩基性アニオン交換樹脂層を有するpH調整塔に、酸性の吸着塔処理液を供給して中和的にイオン交換を行う装置が提案されている(特許文献1)。
フッ素含有排水から、フッ素を除去するのみならず、水を回収して再利用する試みもなされている。例えば、低濃度フッ素含有水と高濃度フッ素含有水が排出される系において、各々のフッ素含有水を効率的に処理して、高純度処理水を得る方法として、低濃度フッ素含有水をフッ素吸着樹脂と接触させる工程、フッ素吸着樹脂を再生処理する工程、高濃度フッ素含有水にフッ素吸着樹脂の再生廃液を添加したのち、カルシウム化合物を加えて凝集処理し、次いで固液分離する工程を備えるフッ素含有水の処理方法が提案されている(特許文献2)。また、フッ素含有排水を蒸発濃縮して大部分の水を蒸留水として回収する方法として、フッ素含有排水に苛性ソーダ水溶液又は苛性カリ水溶液を添加し、水の蒸発に伴うフッ化水素酸の気化を抑える方法が提案されている(特許文献3)。
さらに、フッ素含有排水から、フッ素を回収する試みもなされている。例えば、半導体製造工程から排出されるリンス排水をアニオン交換樹脂で処理し、樹脂の再生廃液を短時間で低コストかつ効率的に処理して高純度処理水を得るとともに、フッ素をフッ化カルシウムとして効率的に回収して有効再利用を可能とする方法として、得られる再生廃液をフッ素濃厚再生廃液とフッ素希薄再生廃液とに分別し、フッ素濃厚再生廃液は炭酸カルシウム充填塔に通液し、フッ素希薄再生廃液は凝集槽で凝集処理するリンス排水の処理方法が提案されている(特許文献4)。また、半導体製造工程などから排出されるフッ化物イオンを含有する排水を薬剤を使用することなく処理して、フッ化物イオンが除去された排水を得るとともに、フッ化物イオンをフッ化水素酸として工場内回収できる排水処理方法として、フッ化物イオンを排水を通液型コンデンサに供給し、一対の電極に直流電圧を印加して排水からフッ化物イオンを除去する脱塩工程からフッ化物イオン濃度が低減された排水を得、その後一対の電極を短絡あるいは直流電源を逆接続して、除去されたフッ化物イオン成分を通液中の排水とともに回収する濃縮工程からフッ化水素酸を得る排水処理方法が提案されている(特許文献5)。
【特許文献1】
特開平8−89949号公報(第2頁、第5頁)
【特許文献2】
特開平5−92187号公報(第2頁、第4頁)
【特許文献3】
特開平9−271785号公報(第2頁、第6頁)
【特許文献4】
特開平6−277663号公報(第2頁、第5頁)
【特許文献5】
特開2001−113284号公報(第2頁、第6−7頁)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、フッ酸含有排水から、効率的にフッ酸を回収するとともに、蒸留水をも回収して再利用することができるフッ酸の回収方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、フッ酸含有排水中のフッ化水素をフッ化カリウムとしたのち、蒸発濃縮してフッ化カリウム濃度15重量%以上、溶解度濃度以下の濃縮液を生成し、得られた濃縮液からフッ酸を回収することにより、効率的なフッ酸の回収が可能となり、さらに、フッ酸含有排水の濃度が希薄な場合は、排水をフッ素キレート樹脂に接触させたのち、キレート樹脂に水酸化カリウム水溶液を脱着液として供給してフッ化カリウム含有液を得、この液を同様に濃縮して処理することにより、あるいは、得られるフッ化カリウム含有液と濃厚フッ酸含有排水とを混合したのち、同様に濃縮して処理することにより、効率的なフッ酸の回収が可能となることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)希薄フッ酸含有排水をフッ素キレート樹脂塔に通水接触させ、水中のフッ素を樹脂に吸着させ、樹脂が飽和したときに通水を停止し、フッ素を吸着したキレート樹脂塔に水酸化カリウム水溶液を脱着液として供給してフッ素を脱離して、フッ素キレート樹脂塔から出るフッ化カリウムと過剰の水酸化カリウムを含有する脱離液を得たのち、フッ化カリウム含有脱離液を蒸発缶に送り蒸発濃縮して、フッ化カリウムの溶解度濃度以下であって、且つフッ化カリウム濃度20〜50重量%の濃縮液を生成し、蒸発缶から発生する蒸気は凝縮器で冷却し、凝縮水をフッ素吸着塔に通水して微量のフッ素を除去して回収水を得て、他方、蒸発缶の濃縮液は酸発生槽において硫酸が添加され、濃縮液中のフッ化カリウムをフッ化水素に変換し、フッ化水素を含む水溶液は蒸留塔で蒸留してフッ酸を回収することを特徴とするフッ酸の回収方法、及び、
(2)希薄フッ酸含有排水をフッ素キレート樹脂塔に通水接触させ、水中のフッ素を樹脂に吸着させ、樹脂が飽和したときに通水を停止し、フッ素を吸着したキレート樹脂塔に水酸化カリウム水溶液を脱着液として供給してフッ素を脱離して、フッ素キレート樹脂塔から出るフッ化カリウムと過剰の水酸化カリウムを含有する脱離液を、混合槽において、濃厚フッ酸含有排水とを混合して、前記過剰の水酸化カリウムによって、又は、前記過剰の水酸化カリウム及び該混合槽に別に添加される水酸化カリウムによって、濃厚フッ酸含有排水中のフッ酸を中和してフッ化カリウムに変換して、混合液を、蒸発缶に送り蒸発濃縮して、フッ化カリウムの溶解度濃度以下であって、且つフッ化カリウム濃度20〜50重量%の濃縮液を生成し、蒸発缶から発生する蒸気は凝縮器で冷却し、凝縮水をフッ素吸着塔に通水して微量のフッ素を除去して回収水を得て、他方、蒸発缶の濃縮液は酸発生槽において硫酸が添加され、濃縮液中のフッ化カリウムをフッ化水素に変換し、該フッ化水素を含む水溶液を蒸留塔で蒸留してフッ酸を回収することを特徴とするフッ酸の回収方法、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明方法の第一の態様においては、フッ酸含有排水に塩基性カリウム化合物を添加してフッ化水素をフッ化カリウムとしたのち、蒸発濃縮してフッ化カリウム濃度15重量%以上、溶解度濃度以下の濃縮液を生成し、得られた濃縮液からフッ酸を回収する。
本発明方法の第二の態様においては、希薄フッ酸含有排水をフッ素キレート樹脂に接触させ、次いでフッ素を吸着したキレート樹脂に水酸化カリウム水溶液を脱着液として供給してフッ化カリウム含有液を得たのち、蒸発濃縮してフッ化カリウム濃度15重量%以上、溶解度濃度以下の濃縮液を生成し、得られた濃縮液からフッ酸を回収する。
本発明方法の第三の態様においては、希薄フッ酸含有排水をフッ素キレート樹脂に接触させ、次いでフッ素を吸着したキレート樹脂に水酸化カリウム水溶液を脱着液として供給してフッ化カリウム含有液を得、得られたフッ化カリウム含有液と濃厚フッ酸含有排水とを混合したのち、蒸発濃縮してフッ化カリウム濃度15重量%以上、溶解度濃度以下の濃縮液を生成し、得られた濃縮液からフッ酸を回収する。
本発明方法においては、フッ化カリウム濃度15重量%以上、溶解度濃度以下の濃縮液に硫酸を添加して、フッ化カリウムからフッ酸を生成し、生成したフッ酸を回収することができる。
【0006】
本発明方法を適用するフッ酸含有排水に特に制限はなく、例えば、半導体製造工場において発生するエッチング排液やリンス排水、金属表面処理工場、ガラス工場などの排水などを挙げることができる。本発明方法は、濃厚なフッ酸含有排水と、希薄なフッ酸含有排水がともに排出される工場に特に好適に適用することができる。濃厚フッ酸含有排水とは、フッ化水素濃度50mg/L以上の排水であり、希薄フッ酸含有排水とは、フッ化水素濃度50mg/L未満の排水である。
本発明方法においては、フッ酸含有排水に塩基性カリウム化合物を添加して、フッ化水素をフッ化カリウムとしたのち蒸発濃縮する。使用する塩基性カリウム化合物としては、例えば、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなどを挙げることができる。水酸化カリウムを用いると、フッ化水素は、次式にしたがってフッ化カリウムとなる。
HF + KOH → KF + H2O
フッ酸含有排水はpHが低いので、直接排水を蒸発濃縮すると、装置の腐食、フッ化水素の蒸気側への移行などの問題が生ずる。排水中のフッ化水素をフッ化カリウムとしたのち、蒸発濃縮することにより、フッ化水素による悪影響を防止することができる。
フッ酸の中和剤としては、水酸化カリウムなどのカリウム化合物のほかに、水酸化ナトリウムなどのナトリウム化合物も考えられる。水酸化ナトリウムで中和すると、フッ化水素はフッ化ナトリウムとなり、水酸化カリウムで中和すると、フッ化水素はフッ化カリウムとなる。中和後の排水から水を蒸発させると、排水中のフッ化ナトリウム又はフッ化カリウムが濃縮され、溶解度を超えると塩が析出する。塩が析出すると、蒸発装置の効率の低下や、スケール化などの障害が発生するので、蒸発濃縮は塩の溶解度濃度以下にとどめる必要がある。水酸化ナトリウムの水に対する溶解度は60℃において4.5重量%であるのに対して、フッ化カリウムの水に対する溶解度は60℃において58.7重量%である。したがって、フッ化水素をフッ化カリウムにして蒸発すると、フッ化ナトリウムにした場合に比べて大幅に濃縮度を上げることができ、高濃度のフッ化カリウムを含有する液として、効率的にフッ酸を回収することができる。
【0007】
本発明方法においては、蒸発濃縮により、フッ化カリウム濃度15重量%以上、溶解度濃度以下の濃縮液を生成し、より好ましくはフッ化カリウム濃度20〜50重量%の濃縮液を生成する。フッ化カリウム濃度15重量%未満であると、フッ酸の回収効率が低下するおそれがある。本発明方法においては、蒸発温度におけるフッ化カリウムの溶解度まで濃縮することができる。しかし、濃縮液のフッ化カリウム濃度を50重量%以下とすると、濃縮液の温度が25℃まで低下しても塩が析出しないので操作が容易である。
本発明方法に用いる蒸発装置に特に制限はなく、例えば、液中燃焼方式、自然循環式浸管型、自然循環式水平管型、垂直短管型、垂直長管上昇膜型、水平管下降膜型、垂直長管下降膜型、強制循環式水平管型、強制循環式垂直管型、コイル型、攪拌膜型、遠心式薄膜型、プレート型、フラッシュ蒸発方式などの蒸発装置を挙げることができる。本発明方法において、蒸発装置の配列と操作方式に特に制限はなく、例えば、単一缶、蒸気圧縮法、多重効用法、多段フラッシュ蒸発法などを挙げることができる。
本発明方法において、フッ化カリウム水溶液の蒸発装置から発生する蒸気は、冷却して凝縮水として排出することができる。排水中のフッ酸はフッ化カリウムとなっているので、フッ化水素のように蒸気側にはほとんど移行せず、凝縮水に含まれるフッ素はごくわずかである。必要に応じて、さらに凝縮水中のフッ素を、フッ素吸着樹脂、炭酸カルシウム充填塔、逆浸透膜装置、連続式脱イオン装置などを用いて完全に除去することができる。凝縮水は、再利用することができ、あるいは、放流することもできる。
本発明方法においては、蒸発濃縮により得られたフッ化カリウムを15重量%以上含有する濃縮液からフッ酸を回収する。フッ酸を回収する方法に特に制限はなく、例えば、濃縮液に硫酸を添加し、次式にしたがってフッ化カリウムをフッ化水素に変換することができる。
2KF + H2SO4 → 2HF + K2SO4
硫酸の添加量は、濃縮液中のフッ化カリウムに対して反応当量以上であることが好ましく、1.2〜2当量倍であることがより好ましい。硫酸が添加され、フッ化水素と硫酸カリウムを含む濃縮液は、例えば、60〜100℃に加温して、液中のフッ化水素を気化し、次いで、フッ化水素を含むガスを吸収塔に導き、水と気液接触させてフッ化水素を水に吸収させることができる。フッ化水素の吸収液は、回収して再利用することができる。
【0008】
本発明方法の第二の態様においては、希薄フッ酸含有排水をフッ素キレート樹脂に接触させ、次いでフッ素を吸着したキレート樹脂に水酸化カリウム水溶液を脱着液として供給して、フッ化カリウム含有液を得る。希薄フッ酸含有排水をキレート樹脂と接触させてフッ素を吸着させ、水酸化カリウム水溶液を用いて脱着させることにより、濃厚なフッ化カリウム水溶液を得ることができる。希薄フッ酸含有排水に水酸化カリウムを加えて得られる希薄フッ化カリウム水溶液を蒸発濃縮する場合と比べて、多量の水を蒸発するための熱エネルギーを節減することができる。使用するフッ素キレート樹脂に特に制限はなく、例えば、セリウム、ハフニウム、チタン、ジルコニウム、鉄、アルミニウムなどのフッ素イオンと錯化合物を形成する金属イオンを吸着した樹脂、ホスホメチルアミノ基を有するキレート樹脂などを挙げることができる。
希薄フッ酸含有排水をフッ素キレート樹脂と接触させる方法に特に制限はなく、例えば、フッ素キレート樹脂を充填した充填塔に希薄フッ酸含有排水を通水することができる。フッ素イオンをフッ素キレート樹脂に吸着させ、樹脂の吸着能が飽和したとき、脱着液を充填塔に通液して、樹脂に吸着したフッ素を脱離させることが好ましい。脱離液のフッ素は、原排水に比べて濃縮されている。脱着液として水酸化カリウム水溶液を使用することにより、脱離液中のフッ素はフッ化カリウムとなる。脱離液を蒸発濃縮することにより、フッ化カリウム濃度15重量%以上、溶解度濃度以下の濃縮液とし、この濃縮液からフッ酸を回収する。
【0009】
本発明の第三の態様においては、希薄フッ酸含有排水をフッ素キレート樹脂に接触させ、次いでフッ素を吸着したキレート樹脂に水酸化カリウム水溶液を脱着液として供給してフッ化カリウム含有液を得、得られたフッ化カリウム含有液と濃厚フッ酸含有排水とを混合したのち、蒸発濃縮する。半導体製造工場などのように、エッチング排液などの濃厚フッ酸含有排水と、リンス排水などの希薄フッ酸含有排水が同一個所で発生する場合には、本態様の方法を好適に用いることができる。希薄フッ酸含有排水をキレート樹脂と接触させてフッ素を吸着させ、水酸化カリウム水溶液を用いて脱着させることにより、濃厚なフッ化カリウム水溶液を得ることができる。使用するフッ素キレート樹脂に特に制限はなく、例えば、セリウム、ハフニウム、チタン、ジルコニウム、鉄、アルミニウムなどのフッ素イオンと錯化合物を形成する金属イオンを吸着した樹脂、ホスホメチルアミノ基を有するキレート樹脂などを挙げることができる。吸着されたフッ素の脱着には、通常はフッ素に対して当量以上の水酸化カリウムが用いられるので、脱着により得られるフッ化カリウム含有液中には過剰の水酸化カリウムが含まれる。このフッ化カリウム含有液を濃厚フッ酸含有排水と混合することにより、フッ化カリウム含有液中に含まれる水酸化カリウムを濃厚フッ酸含有排水中のフッ酸の中和に利用することができる。
【0010】
図1は、本発明方法の第一の態様の工程系統図である。中和槽1において、フッ酸含有排水に水酸化カリウム水溶液が添加され、フッ化水素がフッ化カリウムに変換される。フッ化カリウム水溶液は、蒸発缶2において蒸発濃縮される。発生する蒸気は凝縮器3で冷却され、得られる凝縮水はフッ素吸着塔4に通水されて含有する微量のフッ素が除去され、回収水として利用される。蒸発缶の濃縮液は、酸発生槽5において硫酸が添加され、液中のフッ化カリウムがフッ化水素に変換される。フッ化水素を含む水溶液は、蒸留塔6において蒸留され、フッ酸が回収される。
図2は、本発明方法の第二の態様の工程系統図である。希薄フッ酸含有排水がフッ素キレート樹脂塔7に通水され、水中のフッ素が樹脂に吸着される。樹脂が飽和したとき通水を停止し、水酸化カリウム水溶液を塔に供給してフッ素を脱離する。フッ化カリウムを含有する脱離液は、蒸発缶2に送られ蒸発濃縮される。発生する蒸気は凝縮器3で冷却され、得られる凝縮水はフッ素吸着塔4に通水されて含有する微量のフッ素が除去され、回収水として利用される。蒸発缶の濃縮液は、酸発生槽5において硫酸が添加され、液中のフッ化カリウムがフッ化水素に変換される。フッ化水素を含む水溶液は、蒸留塔6において蒸留され、フッ酸が回収される。
図3は、本発明方法の第三の態様の工程系統図である。希薄フッ酸含有排水がフッ素キレート樹脂塔7に通水され、水中のフッ素が樹脂に吸着される。樹脂が飽和したとき通水を停止し、水酸化カリウム水溶液を塔に供給してフッ素を脱離する。フッ化カリウムと過剰の水酸化カリウムを含有する脱離液は、混合槽8において濃厚フッ酸含有排水と混合され、濃厚フッ酸含有排水中のフッ酸が水酸化カリウムにより中和されて、フッ化カリウムに変換される。必要に応じて、混合槽にさらに水酸化カリウム水溶液を添加することができる。混合槽で調製された混合液は、蒸発缶2において蒸発濃縮される。発生する蒸気は凝縮器3で冷却され、得られる凝縮水はフッ素吸着塔4に通水されて含有する微量のフッ素が除去され、回収水として利用される。蒸発缶の濃縮液は、酸発生槽5において硫酸が添加され、液中のフッ化カリウムがフッ化水素に変換される。フッ化水素を含む水溶液は、蒸留塔6において蒸留され、フッ酸が回収される。
【0011】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
参考例1
フッ化水素酸[濃度46.0重量%、試薬、JIS K 8819]を水で希釈して、フッ化水素濃度8,400mg/Lの試験水を調製した。
この試験水10Lに25重量%水酸化カリウム水溶液1,000gを添加して撹拌し、フッ酸を中和してフッ化カリウム水溶液とした。このフッ化カリウム水溶液から、常圧で水10,390gを留去し、釜残として少量の水酸化カリウムを含む40重量%フッ化カリウム水溶液610gを得た。
留去された水10,390gのフッ素濃度は、30mg/Lであった。この水をフッ素キレート樹脂[旭エンジニアリング(株)、Read−F]にSV15h-1で通水処理することにより、フッ素濃度0.5mg/Lの処理水が得られた。
得られた40重量%フッ化カリウム水溶液に、撹拌しながら98重量%硫酸268gを徐々に添加した。このフッ化水素を含む混合液を常圧で蒸留し、共沸混合物として濃度35重量%のフッ酸170g(回収率71%)を得た。
実施例2
半導体製造工場で発生するフッ素35mg/Lを含む希薄フッ酸含有排水の処理を行った。
フッ素キレート樹脂[旭エンジニアリング(株)、Read−F]50mLを充填したカラムに、上記の希薄フッ酸含有排水を750mL/hで25h通水した。カラムから流出した処理水のフッ素濃度は、0.5mg/Lであった。
25hの通水終了後、カラムに0.21重量%水酸化カリウム水溶液1Lを脱着液としてSV5h-1で供給し、フッ素キレート樹脂を再生した。再生廃液として、水酸化カリウム0.16g、フッ化カリウム2.0gを含む水溶液1Lが得られた。
この水溶液から常圧で水を留去し、釜残として水酸化カリウム0.16g、フッ化カリウム2.0g及び水8.0gを含む混合物を得た。このフッ化カリウムを含む混合物に、撹拌しながら98重量%硫酸2.3gを徐々に添加したのち、常圧で蒸留し、共沸混合物として濃度35重量%のフッ酸1.3g(回収率66%)を得た。
実施例3
半導体製造工場で発生するフッ素35mg/L含む希薄フッ酸含有排水の処理を行った。
フッ素キレート樹脂[旭エンジニアリング(株)、Read−F]50mLを充填したカラムに、上記の希薄フッ酸含有排水を750mL/hで25h通水した。カラムから流出した処理水のフッ素濃度は、0.5mg/Lであった。
25hの通水終了後、カラムに2.2重量%水酸化カリウム水溶液1Lを脱着液としてSV5h-1で供給し、フッ素キレート樹脂を再生した。再生廃液として、水酸化カリウム20g、フッ化カリウム2.0gを含む水溶液1Lが得られた。
得られた水溶液1Lと、参考例1で調製した試験水0.76Lを混合し、試験水に含まれるフッ酸を中和してフッ化カリウムとした。このフッ化カリウム水溶液から、常圧で水1,710gを留去し、釜残として少量の水酸化カリウムを含む40重量%フッ化カリウム水溶液54gを得た。
留去された水1,710gのフッ素濃度は、30mg/Lであった。この水をフッ素キレート樹脂[旭エンジニアリング(株)、Read−F]にSV15h-1で通水処理することにより、フッ素濃度0.5mg/Lの処理水が得られた。
得られた40重量%フッ化カリウム水溶液に、撹拌しながら98重量%硫酸23.5gを徐々に添加した。このフッ化水素を含む混合液を常圧で蒸留し、共沸混合物として濃度35重量%のフッ酸14.8g(回収率70%)を得た。
【0012】
【発明の効果】
本発明のフッ酸の回収方法によれば、フッ化カルシウムを経由することなく、効率的にフッ酸を回収し、さらに水も蒸留水として回収して再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明方法の第一の態様の工程系統図である。
【図2】図2は、本発明方法の第二の態様の工程系統図である。
【図3】図3は、本発明方法の第三の態様の工程系統図である。
【符号の説明】
1 中和槽
2 蒸発缶
3 凝縮器
4 フッ素吸着塔
5 酸発生槽
6 蒸留塔
7 フッ素キレート樹脂塔
8 混合槽
Claims (2)
- 希薄フッ酸含有排水をフッ素キレート樹脂塔に通水接触させ、水中のフッ素を樹脂に吸着させ、樹脂が飽和したときに通水を停止し、フッ素を吸着したキレート樹脂塔に水酸化カリウム水溶液を脱着液として供給してフッ素を脱離して、フッ素キレート樹脂塔から出るフッ化カリウムと過剰の水酸化カリウムを含有する脱離液を得たのち、フッ化カリウム含有脱離液を蒸発缶に送り蒸発濃縮して、フッ化カリウムの溶解度濃度以下であって、且つフッ化カリウム濃度20〜50重量%の濃縮液を生成し、蒸発缶から発生する蒸気は凝縮器で冷却し、凝縮水をフッ素吸着塔に通水して微量のフッ素を除去して回収水を得て、他方、蒸発缶の濃縮液は酸発生槽において硫酸が添加され、濃縮液中のフッ化カリウムをフッ化水素に変換し、フッ化水素を含む水溶液は蒸留塔で蒸留してフッ酸を回収することを特徴とするフッ酸の回収方法。
- 希薄フッ酸含有排水をフッ素キレート樹脂塔に通水接触させ、水中のフッ素を樹脂に吸着させ、樹脂が飽和したときに通水を停止し、フッ素を吸着したキレート樹脂塔に水酸化カリウム水溶液を脱着液として供給してフッ素を脱離して、フッ素キレート樹脂塔から出るフッ化カリウムと過剰の水酸化カリウムを含有する脱離液を、混合槽において、濃厚フッ酸含有排水とを混合して、前記過剰の水酸化カリウムによって、又は、前記過剰の水酸化カリウム及び該混合槽に別に添加される水酸化カリウムによって、濃厚フッ酸含有排水中のフッ酸を中和してフッ化カリウムに変換して、混合液を、蒸発缶に送り蒸発濃縮して、フッ化カリウムの溶解度濃度以下であって、且つフッ化カリウム濃度20〜50重量%の濃縮液を生成し、蒸発缶から発生する蒸気は凝縮器で冷却し、凝縮水をフッ素吸着塔に通水して微量のフッ素を除去して回収水を得て、他方、蒸発缶の濃縮液は酸発生槽において硫酸が添加され、濃縮液中のフッ化カリウムをフッ化水素に変換し、該フッ化水素を含む水溶液を蒸留塔で蒸留してフッ酸を回収することを特徴とするフッ酸の回収方法。
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