JP4506391B2 - 液体噴射装置及び液体噴射装置のクリーニング方法 - Google Patents

液体噴射装置及び液体噴射装置のクリーニング方法 Download PDF

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本発明は、液体を噴射する液体噴射装置および液体噴射装置のクリ−ニング方法に関する。
ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射装置として、記録ヘッドから記録媒体に対してインク滴を噴射させて印刷を行うインクジェット式記録装置がある。このインクジェット式記録装置は、記録ヘッドのノズルから記録媒体に対して微小なインク滴を吐出させて、所望の文字や図形等の画像を記録する。
ところが、インクの粘度が増加したり、インクに気泡が混入する等の原因によって上述のノズルからインク滴が適切に吐出されず、画像が正しく記録されない部分(以後、ドット抜けと呼ぶ)が発生する等の吐出不良を生じる場合がある。
そこで、インクジェット式記録装置は例えば、ノズルを吸引して吐出不良を解消するためのクリーニングを実施するためのクリーニング機構を備えている。
そして、上述のクリーニングを一部のノズルについてのみ、その目詰まりの程度に応じて吸引強度を変更して実施することによって、インク消費量を節約する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2003−103804号公報(図5等)
ところが、クリーニングは吸引強度を強くすることで、かえって失敗する場合もあり、クリーニングの吸引強度を強化してもクリーニングが成功するとは限らない。このため、上述の従来技術においては、失敗するクリーニングによってインクを無駄に消費する場合があるという問題がある。
そこで本発明は上記課題を解消し、液体噴射装置が各ノズル列ごとのクリーニング能力を把握し、その結果に基づいて、各ノズル列ごとのクリーニング能力を向上したり、各ノズル列ごとのクリーニングにおける液体消費量を低減することができる液体噴射装置および液体噴射装置のクリーニング方法を提供することを目的としている。
上述の目的は、液体を噴射する複数のノズル開口からなる複数のノズル列が形成されたノズル形成面を有する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドのノズル開口から前記液体が正常に噴射されない状態である噴射不良を前記ノズル列ごとに検出する噴射不良検出手段と、前記ノズル列ごとに前記噴射不良を回復するクリーニングを行うクリーニング手段と、を有する液体噴射装置であって、前記クリーニング手段による前記クリーニングの回数、前記クリーニング手段による前記クリーニングが成功した回数、及び、前記クリーニング手段による前記クリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つを記録するクリーニング結果記録手段と、前記クリーニング結果記録手段が記録した、前記クリーニングの回数、前記クリーニングが成功した回数、及び、前記クリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つに基づいて、クリーニング成功率又はクリーニング失敗率を算出するクリーニング評価手段と、を有することを特徴とする液体噴射装置により、達成される。
このような構成によって、前記クリーニング成功率又は前記クリーニング失敗率を算出
し、前記液体噴射装置のクリーニング能力を把握することができるから、例えば、前記クリーニング成功率が低い場合には、前記液体噴射装置が前記クリーニングの条件を変更するなどの制御をするための基礎となる情報を取得することができる。
これにより、液体噴射装置が各ノズル列ごとのクリーニング能力を把握し、その結果に基づいて、各ノズル列ごとのクリーニング能力を向上したり、各ノズル列ごとのクリーニングにおける液体消費量を低減することができる。
本発明では、前記クリーニング手段は、前記クリーニング成功率又は前記クリーニング失敗率に基づいて、前記クリーニングの条件を維持又は変更するクリーニング条件設定手段を有することが望ましい。
このように構成することで、前記液体噴射装置は、前記クリーニング成功率又は前記クリーニング失敗率に基づいて、前記クリーニングを維持又は変更することによってクリーニング能力を向上したりして無駄なクリーニングを回避し、最適なクリーニングの条件を選択することができる。
本発明では、前記クリーニングの条件は、前記クリーニングにおける前記液体の吸引量を含むことが望ましい。
このように構成することで、前記液体噴射装置は、前記クリーニング成功率又は前記クリーニング失敗率に基づいて、前記クリーニングにおける前記液体の吸引量を維持又は変更することができる。
本発明では、前記クリーニングの条件は、前記クリーニングにおける前記液体の吸引速度を含むことが望ましい。
このように構成することで、前記液体噴射装置は、前記クリーニング成功率又は前記クリーニング失敗率に基づいて、前記クリーニングにおける前記液体の吸引速度を維持又は変更することができる。
本発明では、前記クリーニングの条件は、前記クリーニングにおいてワイピング部材によって前記ノズル形成面を払拭するワイピングを実施する際の、前記ワイピング部材の前記ノズル形成面に対する干渉量を含むことが望ましい。
このように構成することで、前記液体噴射装置は、前記クリーニング成功率又は前記クリーニング失敗率に基づいて、前記ワイピングを実施する際の、前記ワイピング部材の前記ノズル形成面に対する干渉量を維持又は変更することができる。
本発明では、前記クリーニングの条件は、前記ワイピングの回数を含むことが望ましい。
このように構成することで、前記液体噴射装置は、前記クリーニング成功率又は前記クリーニング失敗率に基づいて、前記ワイピングの回数を維持又は変更することができる。
本発明では、前記クリーニングの条件は、前記ワイピングにおける、前記ワイピング部材と前記ノズル形成面の相対速度を含むことが望ましい。
このように構成することで、前記液体噴射装置は、前記クリーニング成功率又は前記クリーニング失敗率に基づいて、前記ワイピングにおける、前記ワイピング部材と前記ノズル形成面の相対速度を維持又は変更することができる。
本発明では、前記クリーニングの条件は、前記クリーニングに際して、前記液体を液体吸引手段によって前記ノズル開口から吸引した後における、前記液体吸引手段内部の負圧解除時間を含むことが望ましい。
このように構成することで、前記液体噴射装置は、前記クリーニング成功率又は前記クリーニング失敗率に基づいて、前記液体吸引手段内部の負圧解除時間を維持又は変更することとができる。
本発明では、前記クリーニングの条件の変更前の前記クリーニング成功率と、前記クリーニングの条件の変更後の前記クリーニング成功率を比較するクリーニング成功率比較手段を有し、前記クリーニング手段は、前記クリーニング成功率比較手段の比較結果に基づいて、前記クリーニングの条件の変更後の前記クリーニングの条件を維持する、又は、前記クリーニングの条件を再度変更する構成となっていることが望ましい。
このように構成することで、前記クリーニングの条件の変更の妥当性を検証し、前記クリーニングの成功率が低下した場合には、前記クリーニングの条件を再度変更することができる。
本発明では、前記クリーニングの条件の変更前の前記クリーニング失敗率と、前記クリーニングの条件の変更後の前記クリーニング失敗率を比較するクリーニング失敗率比較手段を有し、前記クリーニング手段は、前記クリーニング失敗率比較手段の比較結果に基づいて、前記クリーニングの条件の変更後の前記クリーニングの条件を維持する、又は、前記クリーニングの条件を再度変更する構成となっていることが望ましい。
このように構成することで、前記クリーニングの条件の変更の妥当性を検証し、前記クリーニングの失敗率が上昇した場合には、前記クリーニングの条件を再度変更することができる。
上記目的は、本発明によれば、液体を噴射する複数のノズル開口からなる複数のノズル列が形成されたノズル形成面を有する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドのノズル開口から前記液体が正常に噴射されない状態である噴射不良を前記ノズル列ごとに検出する噴射不良検出手段と、前記ノズル列ごとに前記噴射不良を回復するクリーニングを行うクリーニング手段と、を有する液体噴射装置が、前記クリーニング手段による前記クリーニングの回数、前記クリーニング手段による前記クリーニングが成功した回数、及び、前記クリーニング手段による前記クリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つを記録するクリーニング結果記録ステップと、前記液体噴射装置が、前記クリーニング結果記録ステップにおいて記録した、前記クリーニングの回数、前記クリーニングが成功した回数、及び、前記クリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つに基づいて、クリーニング成功率又はクリーニング失敗率を算出するクリーニング評価ステップと、前記液体噴射装置が、前記クリーニング成功率又は前記クリーニング失敗率に基づいて、前記クリーニングの条件を変更するクリーニング条件変更ステップと、を有することを特徴とする液体噴射装置のクリーニング方法によって達成される。
このように構成することで、前記液体噴射装置は、液体噴射装置が各ノズル列ごとのクリーニング能力を把握し、その結果に基づいて、各ノズル列ごとのクリーニング能力を向上したり、各ノズル列ごとのクリーニングにおける液体消費量を低減することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の液体噴射装置の実施形態であるインクジェット式記録装置10を示す概略図である。
図2は、記録ヘッド30等の一例を示す概略図である。
図1に示すインクジェット式記録装置10は、インクジェットプリンタとも呼んでいる。インクジェット式記録装置10は、本体部1を有している。この本体部1は、ガイドレール17、プラテン12、キャリッジ14、インク吸引装置20、記録ヘッド30を備えている。記録ヘッド30は、液体を噴射する液体噴射ヘッドの一例であり、印刷ヘッドとも言う。
図2に示すように、記録ヘッド30は、インクを噴射(以後、吐出とも呼ぶ)する複数のノズル開口からなる複数のノズル列31a乃至31dが形成されたノズルプレート面30aを有する。ノズル列31a乃至31dはノズル列の一例であり、ノズルプレート面30aはノズル形成面の一例である。
図1に示すインクジェット式記録装置10は、いわゆるオンキャリッジ型の記録装置であり、キャリッジ14の上部には、複数のインクカートリッジ2,3,4及び5が着脱可能に装着されている。インクカートリッジ2等には、液体の一例であるインクが格納されている。キャリッジ14の下部には、記録ヘッド30が設けられている。各インクカートリッジ2等には、異なる種類のインクが格納されており、それらのインクは例えば、色や粘度が異なる。例えば、インクカートリッジ3には、インクカートリッジ2に格納されているよりも粘度が大きいインクが格納されている。
そして、上述のノズル列31a乃至31dは、それぞれ、インクカートリッジ2乃至5に対応している。例えば、ノズル列31aはインクカートリッジ2から供給されたインクを吐出し、ノズル列31bはインクカートリッジ3から供給されたインクを吐出するようになっている。
キャリッジ14は、ベルト15を介してモータ16に接続されている。モータ16が作動することによって、キャリッジ14はガイドレール17に沿ってプラテン12の軸方向である主走査方向Tに往復走行する。記録ヘッド30からインクを吐出しつつ、キャリッジ14が主走査方向Tに往復走行することで、記録媒体の一例である用紙29上に画像が記録される。
ガイドレール17の一方の端部には、ホームポジション18が位置している。このホームポジション18は、キャリッジの走行経路の末端にある非印刷領域である。このホームポジション18には、本体部1の上にインク吸引装置20が配置されている。このインク吸引装置20は、キャッピングシステムもしくはキャッピング手段とも呼んでいる。図1のキャリッジ14に配置された記録ヘッド30は、T1方向に沿ってホームポジション18に移動することで、図2(a)に示すように、インク吸引装置20のキャップ本体21に対面する。そして、キャップ本体21は、図2(b)に示すように、記録ヘッド30のノズルプレート面30aにおいて、吐出不良が発生しているノズル列である例えば、ノズル列31aに対応する部分に密着する。
インク吸引装置20は、図2(b)に示すように、記録ヘッド30に密着した状態で、記録ヘッド30のノズル開口のインクの乾燥を防止する機能と、吸引ポンプ19からの負圧をノズル開口に作用させてノズル列31a等ごとに、ノズル開口からインクを強制的に吸引して排出させ、インクをチューブ22を通過させて廃インクタンク32に収納する機能を備える。このように、インク吸引装置20は、記録ヘッド30のノズル開口からインクを吸引することによって、ノズル列31a等ごとに、記録ヘッド30のノズル開口からインクが正常に噴射されない状態である噴射不良を回復するクリーニングを行う。吸引ポンプ19は、インク吸引装置20を構成する一構成要素である。
なお、図2において、キャップ本体21、吸引ポンプ19はそれぞれ1つずつであるが、本実施の形態とは異なり、キャップ本体31と吸引ポンプ19は、それぞれノズル列31a乃至31dの数に相当する数ずつあってもよい。この場合、1ノズル列ごとのクリーニングのみならず、複数列の同時クリーニングも可能である。
この他に、インク吸引装置20の横には、ワイパー23が設けられている。このワイパ23は、クリーニングにおいて、インクを排出したノズルプレート面30aのインクを払拭する。
上述の、インク吸引装置20及びワイパー23は、クリーニング手段の一例である。
なお、本実施の形態とは異なり、上述の吸引ポンプによるインクの吸引ではなく、ノズル開口からインクを吐出して、その後にワイパー23によってノズルプレート面30aを払拭するようにしてもよい。この場合、インクの吐出動作を行う記録ヘッド30も、クリーニング手段の一例を構成する。
図3は、記録ヘッド30とワイパー23との位置関係等を示す概略図である。
図3(a)は、ワイパー23が、ノズルプレート面30aを払拭していない状態を示す図である。このとき、ワイパー23の高さはD1である。
図3(b)は、ワイパー23が、ノズルプレート面30aを払拭している状態を示す図である。このとき、ワイパー23は弾性変形しており、高さはD2である。
ここで、高さD1とD2との差分G1(図3(a)参照)を、ワイパー23のノズルプレート面30aに対する干渉量G1と呼ぶ。なお、差分G1を単に、干渉量G1とも呼ぶ。
干渉量G1は、拭き取り効率を確保し、クリーニングの成功率を上昇させるために、適正な数値に調整する必要がある。
この干渉量G1は、ワイピング条件の一例である。干渉量G1は例えば、1ミリメートル(mm)で、誤差がプラスマイナス(±)0.5ミリメートル(mm)が基本設定であり、変更する場合の変更幅は0.1ミリメートル(mm)である。
また、ワイピング時におけるワイパー23とノズルプレート面30aとの相対速度、及び、一度のクリーニングにおけるワイピングの回数もまた、クリーニングの条件の一例である。
ワイパー23とノズルプレート面30aとの相対速度は例えば、毎秒100ミリメートル(mm/s)が基本設定であり、変更する場合の変更幅は毎秒10ミリメートル(mm/s)である。
一度のクリーニングにおけるワイピングの回数は例えば、1回が基本設定であり、変更する場合の変更幅は、1回である。
図1に示すように、キャリッジ14には吐出不良検出装置8が配置されている。この吐出不良検出装置8は、ノズル列31a等ごとに、記録ヘッド30からインクが正常に噴射されない状態である噴射不良を検出する噴射不良検出手段の一例である。
図4は、吐出不良検出装置8の構成の一例を示す概略断面図である。
図5は、テストパターン等の一例を示す図である。図5(a)は、テストパターンを示し、図5(b)及び図5(c)は用紙29に印刷された記録パターン像を示している。
吐出不良検出の指令を受けたインクジェット式記録装置10は、記録ヘッド30からインクを吐出して、用紙29上に、図5(a)に示す、あらかじめ定められたテストパターンPT1に基づく印刷を行う。
次に、吐出不良検出装置8で、用紙29上に実際に印刷されたテストパターン像を読み取る。具体的には、図4に示す、光源8aからの照明光をレンズ8bで略平行光にして用紙29を照明し、印刷されたテストパターン像PT11の像はレンズ8cによってCCD素子8dに投影される。
CCD素子8dに投影されたテストパターン像を図示しないテストパターン像解析部で解析し、図5(b)のPT2のように、図5(a)のテストパターンPT1と同じであれば、吐出不良はないと判断する。テストパターン解析部は、図5(c)のPT3のように、図5(a)のテストパターンと比較して、欠落部116があれば、その欠落部116に対応するノズル開口においてドット抜け等の吐出不良があると判断する。そして、ドット抜け等の吐出不良が発生しているノズル開口に対応するノズル列31a等を特定する。
なお、本実施の形態とは異なり、吐出不良検出装置として、記録ヘッド30の各ノズル開口から吐出されるインクにそれぞれ、直接に赤外線等の光を照射し、インクがその光をさえぎるか否かを検出することによって、吐出不良を検出する構成としてもよい。すなわち、光がさえぎられれば、検出対象のノズル開口からインクが正常に吐出されていると判断し、光がさえぎられなければ、検出対象のノズル開口からインクが正常に吐出されておらず、ドット抜け等の吐出不良があると判断する構成としてもよい。
なお、図1の実施形態では、複数のインクカートリッジ2,3,4及び5が、キャリッジ14の上に直接搭載されているが、これに限らずインクカートリッジ2等がキャリッジ14とは別の位置に搭載されている、いわゆるオフキャリッジ型のインクジェット式記録装置を採用しても勿論構わない。
図6は、インクジェット式記録装置10の電気的な接続例を示す図である。
インクジェット式記録装置10の制御装置7は、ローカルプリンタケーブルまたは通信ネットワークを介してホストコンピュータ80のプリンタドライバ81に接続されている。プリンタドライバ81は、インクジェット式記録装置10に対して印刷やクリーニング動作あるいはインク吸引動作を実行させるためのコマンドを送るソフトウェアを搭載している。
図6に示すインクジェット式記録装置10は、制御装置7の他に、吐出不良検出装置8、インク吸引装置20、インクカートリッジ2,3,4及び5、記録ヘッド30、キャリッジ駆動装置25を含んでいる。キャリッジ駆動装置25は、図1のモータ16である。
図6に示すように、制御装置7は、各種情報を記憶する記憶部72、各種演算を実施する計算部74及び、クリーニングを制御するCL制御部76を含む。
図7は、インクジェット式記録装置10がインク吸引装置20によって実施するクリーニングの条件を示すクリーニングテーブルの一例を示す図である。
図7に示すように、インクジェット式記録装置10の記憶部72は、複数種類のクリーニングモードである例えば、CLl,CL2及びCL3を示すクリーニングテーブルを記憶している。そして、CL制御部76は記憶部72に格納されているクリーニングテーブルに従って、インク吸引装置20を制御して、各種クリーニングモードを選択的に実施することができるように構成されている。
CL1等のクリーニングモードは、クリーニングの条件の一例である。また、CL1等におけるインク吸引量及び吸引速度もまた、クリーニングの条件の一例である。
なお、インク吸引量及び吸引速度等のクリーニングの条件を、クリーニングのパラメータとも呼ぶ。
CL1は、図7に示すように、インク吸引量がノズル列1列あたり0.1グラム(g)であり、CL2及びCL3に比べてインク吸引量が少ない。また、吸引速度は例えば、ノズル列1列あたり毎秒0.1グラム(g/s)であり、後述のCL2及びCL3よりも遅い。CL1は、記録ヘッド30の図示しないノズル開口近傍で発生した、インクの粘度増加、用紙29から発生した紙粉のインクへの混入、メニスカスの破壊等によって生じる吐出不良を解消するためのクリーニングである。
CL2は、図7に示すように、インク吸引量がノズル列1列あたり0.25グラム(g)であり、CL1に比べてインク吸引量が多い。また、図1の吸引ポンプ19の回転速度がCL1よりも早く、吸引速度が例えば、ノズル列1列あたり毎秒0.2グラム(g/s)である。CL2は、CL1でも解消できなかった図1の記録ヘッド30内の気泡等によって生じる吐出不良を解消するためのクリーニングである。
CL3は、図7に示すように、インク吸引量がノズル列1列あたり0.4グラム(g)であり、CL2よりも吸引量が多い。また、CL2と、図1の吸引ポンプ19の回転速度は同じであるため吸引速度が同じであるが、回転数(又は、回転時間)がCL2よりも長い。CL3は、CL2でも除去できない記録ヘッド30内の気泡等によって生じる吐出不良を解消するためのクリーニングである。
次に、インクジェット式記録装置10の動作例について説明する。
図8、図9、図10、図11、図12及び図13は、インクジェット式記録装置10の動作例を示す概略フローチャートである。
記録ヘッド30のノズル列31a等ごとのクリーニングに際して、インクジェット式記録装置10は、まず、クリーニング前設定を行う(図8のステップST1)。
このステップST1の詳細を図9を使用して説明する。クリーニング前設定として、インクジェット式記録装置10は、まず、クリーニングの種類(クリーニングモード)を選択する(ステップST101)。このステップST101の詳細を図10を使用して説明する。
インクジェット式記録装置10は、前回のクリーニングからの累積印字時間が2時間以下か否かを判断する(図10のステップST201)。
インクジェット式記録装置10は、上述の累積印字時間が2時間以下ではないと判断すると、CL1を選択し(ステップST202)、図7に示すCL1のパラメータをセットする(ステップST203)。
図7を使用して上述したように、CL1は、CL2及びCL3に比べてインク吸引量が少ないクリーニングである。累積印字時間が例えば、2時間を超えていれば、前回のクリーニングは成功したとみなすことができ、また、印字中に記録ヘッド30の内部に気泡が混入している等の現象はないと推測され、CL2又はCL3を使用する必要はないから、インクジェット式記録装置10は、CL1を選択するのである。
これに対して、インクジェット式記録装置10は、上述の累積印字時間が2時間以下であると判断すると、続いて、現在設定されているクリーニングの種類を判断する(ステップST211)。
インクジェット式記録装置10は、現在設定されているクリーニングがCL3であると判断すると、CL1を選択し(ステップST202)、CL1のパラメータをセットする(ステップST203)。現在設定されているクリーニングがCL3であれば、2時間以内に実施された前回のクリーニングはCL3であったということを意味する。
CL3は、図7を使用して上述したように、CL1及びCL2よりもインク吸引量が多いクリーニングであるが、吸引量が多すぎてクリーニングが失敗することもあるから、インクジェット式記録装置10は、吸引量の少ないCL1を選択するのである。
上述のステップST211において、インクジェット式記録装置10は、現在設定されているクリーニングがCL1であると判断すると、CL2を選択し(ステップST212)、CL2のパラメータをセットする(ステップST213)。
また、インクジェット式記録装置10は、現在設定されているクリーニングがCL2であると判断すると、CL3を選択し(ステップST214)、CL3のパラメータをセットする(ステップST215)。
図7に示すように、CL2はCL1よりインク吸引量が多く、より強力なクリーニングである。そして、CL3はCL2よりインク吸引量が多く、より強力なクリーニングである。
現在設定されているクリーニングがCL1であれば、2時間以内に実施された前回のクリーニングはCL1であり、それでもクリーニングが失敗したということは、インク吸引量が不十分であった、あるいは、吸引速度が不十分であったということが考えられる。
そこで、インクジェット式記録装置10は、より吸引量が多く、吸引速度が速いCL2を選択するのである。
また、現在設定されているクリーニングがCL2であれば、2時間以内に実施された前回のクリーニングはCL2であり、それでもクリーニングが失敗したということは、インク吸引量が不十分であったということが考えられる。
そこで、インクジェット式記録装置10は、より吸引量が多いCL3を選択するのである。
上述の方法によって、ノズル列31a等ごとのクリーニングの種類を選択すると(図9のステップST101)、インクジェット式記録装置10は、ノズル列31a等ごとのクリーニング成功率を計算する(ステップST102)。このステップST102の詳細を図11を使用して説明する。
インクジェット式記録装置10は、まず、新たに設定されたクリーニングの種類を判断する(図11のステップST301)。ここで、クリーニングの種類は例えば、CL1であるとする。
続いて、インクジェット式記録装置10は、ノズル列31a等ごとのクリーニング回数Nclnが5回以上か否かを判断する(ステップST302)。なお、Nclnのnは、CL1であれば、1が適用され、CL2であれば、2が適用され、CL3であれば、3が適用される。後述の、Fcln及びRclnにおける、nについても同様である。
上述のように、クリーニングの種類はCL1であるから、Ncl1が例えば、5回以上か否かを判断する。クリーニングの種類である、CL1,CL2及びCL3のクリーニング回数Nclnは、記憶部72に記憶されている。
クリーニング回数Nclnが5回以上であれば、算出したクリーニング成功率の信頼性が十分あるが、5回未満であれば、基礎データの数としては不足であり、クリーニング成功率の信頼性は不十分であるから、インクジェット式記録装置10は、クリーニング成功率を計算しない。すなわち、5回というクリーニング回数Nclnは、信頼性が十分なクリーニング成功率Rclnを算出するための必要回数の一例である。
なお、この5回という回数は、インクジェット式記録装置の性能によって変更可能であり例えば、ほとんどクリーニングを失敗しないインクジェット式記録装置においては、1回失敗したら変更してもよいので、クリーニング回数が1回であっても、クリーニング成功率を算出するようにしてもよい。
続いて、インクジェット式記録装置10は、クリーニング成功率Rclnを計算する(ステップST303)。ステップST303は、クリーニング成功回数記録ステップの一例である。
なお、クリーニング成功回数Fclnは、クリーニング終了後に吐出不良検出装置8によって、CL1,CL2及びCL3ごとにクリーニングが成功したと判断された場合に、記憶部72に記憶されている。
上述のように、記憶部72は、インク吸引装置20によるクリーニングの回数等を記録し、また、吸引装置20によるクリーニングが成功した回数を記録する。すなわち、記憶部72は、クリーニング結果記録手段の一例である。
計算部74は、記憶部72に記憶されている例えば、CL1のクリーニング回数Ncl1とCL1のクリーニング成功回数Fcl1に基づいて、CL1のクリーニング成功率Rcl1を算出する。具体的には、例えば、計算部74は、クリーニング成功回数Fcl1をクリーニング回数Ncl1で除する(割り算をする)ことによって、クリーニング成功率Rcl1を算出する。すなわち、計算部74は、クリーニング評価手段の一例である。
計算部74が算出したCL1のクリーニング成功率Rcl1は、記憶部72に記憶される。
なお、上述のように、各ノズル列31a等から吐出されるインクの種類は異なるから、このクリーニング成功率Rcl1は各ノズル列31a等ごとに異なる場合がある。インクジェット式記録装置10は、以下に説明するように、各ノズル列31a等とごとに異なり得るクリーニング成功率Rclnに基づいて、各クリーニングモードCl1等のパラメータを変更するのである。
続いて、インクジェット式記録装置10は、クリーニング成功率Rclnが80パーセント(%)未満であるか否かを判断する(ステップST304)。
具体的には、計算部74は、CL1のクリーニング成功率Rcl1が80パーセント(%)未満であるか否かを判断する。
そして、計算部74は、CL1のクリーニング成功率Rcl1が80パーセント(%)未満であれば、パラメータ変更フラグを1に設定する(ステップST305)。
これに対して、計算部74は、CL1のクリーニング成功率Rcl1が80パーセント(%)以上であれば、記憶部72のパラメータ変更フラグは変更せず、もともとの設定である0に維持する。
インクジェット式記録装置10は、上述のようにしてクリーニング成功率Rclnを計算すると(図9のステップST102)、ノズル列31a等ごとのクリーニングのパラメータの変更が必要か否かを判断する(ステップST103)。
具体的には、パラメータ変更フラグが1になっていれば、クリーニングの回復能力が劣っているとみなし、パラメータの変更が必要であると判断し、パラメータ変更フラグが0になっていれば、パラメータの変更が不要であると判断する。
パラメータ変更フラグが0になっていれば、クリーニング成功率Rclnが、80パーセント(%)以上であるから、現在設定されている例えば、CL1のパラメータによるクリーニング成功率は十分高く、次回も成功すると考えられる許容範囲であるから、インクジェット式記録装置10は、CL1のパラメータを変更する必要はないと判断し、ステップST2に進む。
これに対して、パラメータ変更フラグが1になっていれば、クリーニング成功率Rclnが、80パーセント(%)未満であるから、現在設定されている例えば、CL1のパラメータによるクリーニング成功率は不十分であり、次回も成功するとは考えられない範囲、すなわち、許容範囲外であるから、インクジェット式記録装置10は、CL1のパラメータを変更する必要があると判断し、図9のステップST104に進む。
ステップST104において、インクジェット式記録装置10の記憶部72は、パラメータ変更前のパラメータを記憶する。また、ステップST104においては、記憶部72は、パラメータ変更前のクリーング成功率Rclnを記憶する。
そして、CL制御部76は、クリーニング成功率Fclnに基づいて、パラメータを変更する(ステップST105)。このステップST105は、クリーニング条件変更ステップの一例である。
例えば、CL1におけるインク吸引量を現在の設定である基本設定から10%増加し、ノズル列1列あたり0.11グラム(g)に変更する。これにより、CL1において、変更前よりも多量のインクを吸引するから、次回のクリーニングがより有効になると考えられる。
なお、上述のように、例えば、CL1等のインク吸引量は例えば、ノズル列1列あたり0.01グラム(g)の幅で変更する。これは、インク吸引装置20によるインク吸引量の誤差がノズル列1列あたり約0.01グラム(g)であるからである。すなわち、インク吸引量の設定は、インク吸引量の誤差に基づいて、インク吸引装置20が有効に実現し得る最小幅で変更する。このため、インクジェット式記録装置10は、有効に実現し得る最小幅で、最適なインク吸引量を設定することができる。
続いて、インクジェット式記録装置10のCL制御部76は、記憶部72のパラメータ変更フラグを0に設定し(ステップST106)、クリーニング回数Ncl1を0、クリーニング成功回数Fcl1を0に設定する(ステップST107)。
ステップST106及びステップST107は、新たなクリーニングのパラメータによるクリーニングを開始するための初期設定をするステップである。
インクジェット式記録装置10は、上述のようにしてクリーニング前設定を行うと(図8のステップST1)、新たに設定した例えばCL1のパラメータでクリーニングを実施する(ステップST2)。
このステップST2の詳細を図12を使用して、説明する。
まず、インクジェット式記録装置10のCL制御部76は、図1の記録ヘッド30にキャップ本体21を密接させ、キャップ本体21を閉鎖する(図12のステップST401)。
続いて、CL制御部76は、図1の吸引ポンプ19を駆動し、記録ヘッド30のノズル開口からインクを吸引する(ステップST402)。
続いて、CL制御部76は、吸引ポンプ19の駆動を停止し(ステップST403)、負圧解除時間である例えば、3秒(s)の経過を待つ(ステップST404)。この負圧解除時間は、吸引ポンプ19の駆動停止直後は負圧になっているキャップ本体21内の気圧が、大気圧とほぼ等しくなるまでの時間であり、例えば、3秒(s)である。
続いて、CL制御部76は、キャップ本体21を開放し(ステップST405)、吸引ポンプ19を駆動してキャップ本体21内のインクを排出する(ステップST406)。続いて、CL制御部76は、ワイパー23によってワイピングを行い、記録ヘッド30のノズルプレート面30aを払拭する(ステップST407)。
インクジェット式記録装置10は、上述のようにしてクリーニングを実施すると(図8のステップST2)、ノズル列31a等ごとのクリーニング回数Nclnをクリーニングの種類ごとに加算する(ステップST3)。例えば、CL1でクリーニングを一度実施した場合には、CL1のクリーニング回数Ncl1を1回加算し、加算後のクリーニング回数Ncl1を記憶部72に記憶する。
なお、記憶部72が記憶しているノズル列31a等ごとのクリーニング回数Nclnは、CL1,CL2及びCL3によって区別されている。そして、CL1のクリーニング回数Ncl1は、現在設定されているパラメータのクリーニング回数だけを示している。
続いて、インクジェット式記録装置10は、ノズル列31a等ごとに、記録ヘッド30のノズル開口からの吐出不良を検出する(ステップST4)。
続いて、インクジェット式記録装置10は、吐出不良があるか否かを判断し(ステップST5),吐出不良がなければ、クリーニング成功回数Fclnをクリーニングの種類ごとに加算する(ステップST6)。例えば、CL1のクリーニングを1回実施してそのクリーニングが成功した場合には、CL1のクリーニング成功回数Fcl1を1回加算し、加算後のクリーニング成功回数Fcl1を記憶部72に記憶する。上述のように、この記憶部72はクリーニング成功回数記録手段の一例である。そして、このステップST6及び上述のステップST3は、クリーニング結果記録ステップの一例である。
なお、ステップST5において、吐出不良があると判断した場合には、ステップST1乃至ステップST4を再度実施する。
続いて、インクジェット式記録装置10は、上述のステップST2におけるクリーニングを実施する前にクリーニングのパラメータを変更したか否かを判断し(ステップST7)、パラメータを変更したと判断した場合には、ステップST71に進む。ステップST71においては、インクジェット式記録装置10は、クリーニングのパラメータの変更前のクリーニング成功率と、クリーニングのパラメータの変更後のクリーニング成功率とを比較して、クリーニングのパラメータを維持又は変更する。
このステップST71の詳細を図13を使用して説明する。
インクジェット式記録装置10の計算部74は、まず、記憶部72に記憶されている、クリーニングのパラメータの変更後の例えば、CL1によるクリーニング回数Ncl1が、5回以上であるか否かを判断する(図13のステップST501)。
計算部74は、CL1によるクリーニング回数Ncl1が5回以上であると判断すると、クリーニングのパラメータ変更後のクリーニング成功率Rcl1を計算する(ステップST502)。計算部74が算出したクリーニングのパラメータ変更後のクリーニング成功率Rcl1は、記憶部72に記憶される。
続いて、計算部74は、記憶部72に記憶されているクリーニングのパラメータ変更後のクリーニング成功率Rcl1が、クリーニングのパラメータ変更前のクリーニング成功率Rcl1以上か否かを判断する(ステップST503)。
計算部74は、記憶部72に記憶されているクリーニングのパラメータ変更後のクリーニング成功率Rcl1が、クリーニングのパラメータ変更前のクリーニング成功率Rcl1以上であると判断した場合には、パラメータ変更後の例えば、CL1のパラメータを維持する。
これに対して、計算部74は、記憶部72に記憶されているクリーニングのパラメータ変更後のクリーニング成功率Rcl1が、クリーニングのパラメータ変更前のクリーニング成功率Rcl1以上ではないと判断した場合には、クリーニングのパラメータを変更前に戻す(ステップST504)。
そして、計算部74は、記憶部72に記憶されているNcl1を0、Fcl1を0に設定する(ステップST505)。このステップST505は、新たなクリーニングのパラメータにおける、今後のNcl1及びFcl1を算出するための初期設定である。
インクジェット式記録装置10は、上述のステップST1等を継続的に実施する。
上述のような構成によって、インクジェット式記録装置10は、前回の吐出不良検出結果との比較だけではなくて、複数回のクリーニングによる吐出不良検出結果に基づいて、ノズル列31a等ごとのクリーニング成功率Rclnを算出することができる。このためインクジェット式記録装置10はその装置のノズル列31a等ゴとのクリーニング能力の状況を把握することができる。そして、例えば、クリーニング成功率Rclnが低い場合には、成功率が高いクリーニングのパラメータに変更することができる。
これにより、インクジェット式記録装置10は、無駄なクリーニングを回避し、最適なクリーニングのパラメータを選択することができる。
また、成功率が高いクリーニングのパラメータを選択するから、その結果として、クリーニング回数を最小限度に低減させることができ、インク消費量を低減させることができる。
さらに、インクジェット式記録装置10は、クリーニングのパラメータ変更後のクリーニング成功率Rclnとクリーニングのパラメータ変更前のクリーニング成功率Rclnを比較することによって、クリーニングのパラメータの変更が適切であったか否かを検証することができ、クリーニングのパラメータ変更後のクリーニング成功率Rclnが、クリーニングのパラメータ変更前のクリーニング成功率Rcln以上ではないと判断した場合には、クリーニングのパラメータを元に戻すことができる。
しかも、インクジェット式記録装置10は、上述の各ステップST1等を継続的に実施するから、クリーニング成功率Rclnを許容範囲である例えば、80パーセント(%)以上にする処理を継続して実施することができる。
なお、本実施の形態とは異なり、上述の図9のステップST105においては、例えば、CL1における吸引速度を10%増加し、ノズル列1列あたり毎秒0.11グラム(g/s)に変更するようにしてもよい。吸引速度を早くすることによって、記録ヘッド30内部の気泡等をより効率的に排出することができるから、次回のクリーニングがより有効になると考えられる。
また、本実施の形態とは異なり、インクジェット式記録装置10は、記録ヘッド30に記録ヘッド昇降計装置配置し、干渉量G1を適正な数値に調整することができるように構成してもよい。そして、上述のステップST105においては、例えば、干渉量G1を例えば、基本設定の1ミリメートル(mm)から、0.1ミリメートル(mm)増加して、1.1ミリメートル(mm)に設定してもよい。
これにより、干渉量G1が不十分であることによる、クリーニングの失敗回数を減少させることができる。
また、本実施の形態とは異なり、上述のステップST105においては、ワイパー23とノズルプレート面30aとの相対速度を例えば、基本設定の毎秒100ミリメートル(mm/s)から10ミリメートル(mm/s)早くして、毎秒100ミリメートル(mm/s)に設定してもよい。
これにより、ワイパー23とノズルプレート面30aとの相対速度が不十分であることによる、クリーニングの失敗回数を減少させることができる。
また、本実施の形態とは異なり、上述のステップST105においては、一度のクリーニングにおけるワイピングの回数は例えば、基本設定の1回を増加して、2回に設定してもよい。
これにより、ワイピングの回数が不十分であることによる、クリーニングの失敗回数を減少させることができる。
また、本実施の形態とは異なり、上述のステップST105においては、キャップ本体21の負圧解除時間を、基本設定の3秒(s)回から1秒(s)増加して、4秒に設定してもよい。
これにより、負圧解除時間が不十分であることによる、クリーニングの失敗回数を減少させることができる。
なお、本実施の形態と異なり、記憶部72は、ノズル列31a等ごとのクリーニング回数Nclnとクリーニング成功回数Fcln及び、クリーニングの失敗回数のうち、少なくとも2つの情報を記録し、計算部74は、これらの情報のうち少なくとも2つの情報を使用して、クリーニング成功率Rcln又はクリーニングの失敗率を算出するようにしてもよい。そして、クリーニングのパラメータの変更は、クリーニング成功率Rcln又はクリーニングの失敗率に基づいて実施してもよい。また、クリーニングのパラメータ変更前後のクリーニングの失敗率を比較して、クリーニングのパラメータを維持又は再度変更するようにしてもよい。
また、本実施の形態とは異なり、ノズル列31a等のうち1列だけのクリーニングする場合だけではなくて、複数のノズル列である例えば、2列同時クリーニング又は3列同時クリーニングをして、2列又は3列のノズル列の組ごとのクリーニング成功率を算出し、インクの吸引量の変更等の制御をするようにしてもよい。
また、本実施の形態とは異なり、複数のノズル列である例えば、2列同時クリーニング
を実施する場合には、各ノズル列31a等のクリーニング成功率を参照し、低い方のクリーニング成功率に基づいて、インクのインクの吸引量の変更等の制御をするようにしてもよい。例えば、ノズル列31aとノズル列31bを同時にクリーニングする場合において、ノズル列31aのクリーニング成功率が70パーセント(%)であって、ノズル列31bのクリーニング成功率が80パーセント(%)であれば、低い方のクリーニング成功率である70パーセント(%)に基づいて、インクの吸引量の変更等を実施するのである。
本発明は、インクジェット式記録装置としての上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。さらに、上述の各実施形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。また、本発明は、インクジェット式記録装置に限らず、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等の液体を吐出する液体噴射ヘッドを用いた液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置等にも適用できる。
上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
例えば、インクジェット式記録装置10の記憶部72、計算部74及びCL制御部76の機能を、ホストコンピュータ80が有していてもよい。この場合、インクジェット式記録装置10及びホストコンピュータ80が、液体噴射装置の一例である。
本発明の実施形態であるインクジェット式記録装置を示す概略図である。 記録ヘッド等の一例を示す概略図である。 記録ヘッドとワイパーとの位置関係等を示す概略図である。 吐出不良検出装置の構成の一例を示す概略断面図である。 テストパターン等の一例を示す図である。 インクジェット式記録装置の電気的な接続例を示す図である。 クリーニングテーブルの一例を示す図である。 インクジェット式記録装置の動作例を示す概略フローチャートである。 インクジェット式記録装置の動作例を示す概略フローチャートである。 インクジェット式記録装置の動作例を示す概略フローチャートである。 インクジェット式記録装置の動作例を示す概略フローチャートである。 インクジェット式記録装置の動作例を示す概略フローチャートである。 インクジェット式記録装置の動作例を示す概略フローチャートである。
符号の説明
8・・・吐出不良検出装置、10・・・インクジェット式記録装置、20・・・インク吸引装置、21・・・キャップ本体、30・・・記録ヘッド、30a・・・ノズルプレート面、72・・・記憶部、74・・・計算部、76・・・CL制御部

Claims (10)

  1. 液体を噴射する複数のノズル開口からなる複数のノズル列が形成されたノズル形成面を有する液体噴射ヘッドと、
    前記液体噴射ヘッドのノズル開口から前記液体が正常に噴射されない状態である噴射不良を前記ノズル列ごとに検出する噴射不良検出手段と、
    前記ノズル列ごとに前記噴射不良を回復するクリーニングを行うクリーニング手段と、
    を有する液体噴射装置であって、
    前記クリーニング手段による前記クリーニングの回数、前記クリーニング手段による前記クリーニングを実施した後に前記噴射不良検出手段による検出で噴射不良がないときに加算する前記クリーニングが成功した回数、及び、前記クリーニング手段による前記クリーニングを実施した後に前記噴射不良検出手段による検出で噴射不良があるときに加算する前記クリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つを記録するクリーニング結果記録手段と、
    前記クリーニング結果記録手段が記録した、前記クリーニングの回数、前記クリーニングが成功した回数、及び、前記クリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つに基づいて、クリーニング成功率又はクリーニング失敗率を算出するクリーニング評価手段と、を有し、
    前記クリーニング手段は、前記クリーニング成功率又は前記クリーニング失敗率に基づいて、前記クリーニングの条件を維持又は変更するクリーニング条件設定手段を有することを特徴とする液体噴射装置。
  2. 前記クリーニングの条件は、前記クリーニングにおける前記液体の吸引量を含むことを特徴とする請求項に記載の液体噴射装置。
  3. 前記クリーニングの条件は、前記クリーニングにおける前記液体の吸引速度を含むことを特徴とする請求項又は請求項2に記載の液体噴射装置。
  4. 前記クリーニングの条件は、前記クリーニングにおいてワイピング部材によって前記ノズル形成面を払拭するワイピングを実施する際の、前記ワイピング部材の前記ノズル形成面に対する干渉量を含むことを特徴とする請求項乃至請求項のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
  5. 前記クリーニングの条件は、前記ワイピングの回数を含むことを特徴とする請求項乃至請求項のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
  6. 前記クリーニングの条件は、前記ワイピングにおける、前記ワイピング部材と前記ノズル形成面の相対速度を含むことを特徴とする請求項乃至請求項のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
  7. 前記クリーニングの条件は、前記クリーニングに際して、前記液体を液体吸引手段によって前記ノズル開口から吸引した後における、前記液体吸引手段内部の負圧解除時間を含むことを特徴とする請求項乃至請求項のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
  8. 前記クリーニングの条件の変更前の前記クリーニング成功率と、前記クリーニングの条件の変更後の前記クリーニング成功率を比較するクリーニング成功率比較手段を有し、
    前記クリーニング手段は、前記クリーニング成功率比較手段の比較結果に基づいて、前記クリーニングの条件の変更後の前記クリーニングの条件を維持する、又は、前記クリーニングの条件を再度変更する構成となっていることを特徴とする請求項乃至請求項のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
  9. 前記クリーニングの条件の変更前の前記クリーニング失敗率と、前記クリーニングの条件の変更後の前記クリーニング失敗率を比較するクリーニング失敗率比較手段を有し、
    前記クリーニング手段は、前記クリーニング失敗率比較手段の比較結果に基づいて、前記クリーニングの条件の変更後の前記クリーニングの条件を維持する、又は、前記クリーニングの条件を再度変更する構成となっていることを特徴とする請求項乃至請求項のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
  10. 液体を噴射する複数のノズル開口からなる複数のノズル列が形成されたノズル形成面を有する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドのノズル開口から前記液体が正常に噴射されない状態である噴射不良を前記ノズル列ごとに検出する噴射不良検出手段と、前記ノズル列ごとに前記噴射不良を回復するクリーニングを行うクリーニング手段と、を有する液体噴射装置が、前記クリーニング手段による前記クリーニングの回数、前記クリーニング手段による前記クリーニングを実施した後に前記噴射不良検出手段による検出で噴射不良がないときに加算する前記クリーニングが成功した回数、及び、前記クリーニング手段による前記クリーニングを実施した後に前記噴射不良検出手段による検出で噴射不良があるときに加算する前記クリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つを記録するクリーニング結果記録ステップと、
    前記液体噴射装置が、前記クリーニング結果記録ステップにおいて記録した、前記クリーニングの回数、前記クリーニングが成功した回数、及び、前記クリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つに基づいて、クリーニング成功率又はクリーニング失敗率を算出するクリーニング評価ステップと、
    前記液体噴射装置が、前記クリーニング成功率又は前記クリーニング失敗率に基づいて、前記クリーニングの条件を変更するクリーニング条件変更ステップと、
    を有することを特徴とする液体噴射装置のクリーニング方法。
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