JP4506374B2 - 高速ドライ切削用歯車素材の製造方法及びその歯車素材を用いた歯車の製造方法 - Google Patents
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Description
従来多数出願されている成分最適化により機械加工性を改善したことを特徴とする肌焼鋼は、通常良く行われている機械加工であるドリル加工や旋削加工等では、確かにある程度改善効果を得ることができており、大きな効果を挙げてきた。しかし、本発明で工具寿命改善を図ろうとしている対象となる機械加工は、200m/分以上の極めて高速のドライ切削加工を、現状あまり実施が進んでいないハイポイドギヤ等の等高歯の製造に対して実施しようとするものであり、非常に特殊な機械加工に該当するものである。
(1)組織の影響が大きく、ベイナイト組織が最もドライ切削時の工具寿命が優れる。また、若干量のフェライトが混在した組織でも同様に優れた寿命が得られる。
(2)鍛造後冷却してベイナイト単相又はベイナイト+フェライトの混合組織を得て、これを低温焼鈍により硬度を若干低下させた状態が最も工具寿命が優れる。
(3)鍛造後冷却途中で温度保持したり、鍛造後変態点以上の温度に加熱する焼鈍処理によって組織をフェライトパーライトとしたものは、本発明のベイナイト組織からなる素材に比べ、硬さを低くした場合であっても、工具寿命は劣る。
(4)歯切工具としては、超硬合金の中でもK種が他のP種を用いた場合に比べ優れており、(1)〜(3)の素材面での対策だけでは優れた寿命を得ることが難しい。(請求項3)
C:0.15〜0.30%
Cは侵入型元素として知られており、固溶強化により鋼の強度を高める効果のある元素である。従って、最低でも0.15%以上の含有が必要である。しかし、多量に含有させると加工性が低下し、高速ドライ切削が困難となるため、上限を0.30%とした。
Siは、製鋼時に脱酸剤として必要な元素であるが、多量に存在すると浸炭時に雰囲気中の酸素と反応して酸化物を形成するため、いわゆる浸炭異常層と呼ばれる焼入性の低下した層が生成しやすくなる。また、Siの多量含有は、浸炭性が低下して、浸炭後の表面炭素濃度がばらつきやすくなり、安定して目的とする表面炭素濃度が得られにくくなる。従って、Siの含有は、脱酸のために必要な最低限の量に抑えることが望ましく、上限を0.50%とした。
Mnは、焼入性を高め、部品の内部まで強度を確保するのに必要な元素であり、そのためには最低でも0.20%以上含有させる必要がある。しかしながら、多量に含有させると、残留オ−ステナイトが増加して、内部の硬さ、靭性が低下するとともに、高速ドライ切削による歯切加工性が低下して、本発明で目的としている加工が困難となるので、上限を1.50%とした。
Pは製造時に少量の混入が避けられない不純物であるが、鋼中に多量に含有されると、粒界の強度が低下し、疲労特性を悪化させる原因となる元素であるので、その上限を0.03%とした。
Sは、Pと同様に製造時に少量の混入が避けられない不純物であり、MnS等の硫化物系介在物として鋼中に存在している。そしてその含有により、歯切加工性を改善する効果がある。しかしながら、前記硫化物系介在物は、衝撃強度、曲げ強度、面圧強度を低下させる原因となるため、極端な増量は望ましくなく、上限を0.035%とした。また、本発明では、Sの添加よりも後述する組織の最適化や熱処理条件の限定等によって必要とする歯切加工性を確保しているため、Sの添加を抑制しても必要とする歯切加工性を得ることができる。
Crは、焼入性を向上させ、必要な強度を確保するために不可欠となる元素であり、最低でも0.30%以上の含有が必要である。しかしながら、多量に含有させると、靭性が劣化するとともに、歯切加工性も低下するため、上限を2.00%とした。
Alは、Siと同様に脱酸に必要な元素であるとともに、AlNとして存在し、浸炭処理により生じる可能性のある結晶粒異常成長を防止する効果のある元素である。従って、前記効果を得るために、下限を0.010%とした。特に、本発明では歯切加工性の低下を防止するために、Al以外に炭窒化物の形成によって結晶粒異常成長防止効果のあるV、Ti、Nbの積極添加をしていないので、異常粒成長防止効果を十分に得るためには、少なくとも0.015%以上含有させることが望ましい。しかしながら、多量に含有させるとAl2O3等の硬質な酸化物系介在物が増加し、歯切加工性が低下するため、上限を0.060%とした。
Nは、Alと結合してAlNとなって鋼中に存在し、結晶粒の異常粒成長を防止する効果のある元素であり、その効果を十分に得るために含有率の下限を0.0080%とした。しかしながら、多量に含有させても効果が飽和するとともに、N含有率を0.0250%を超えて添加しようとしても、製鋼時に添加したNがガス化して製造自体が困難になるため、上限を0.0250%とした。
Oは、脱酸処理しても少量の含有が避けられない元素であり、鋼中でAl2O3等の硬質の酸化物系介在物となって存在する。先願特許の中には、不純物であるとして、特にその範囲を明確にしていない特許も多くみられるが、Oの含有によって生成される硬質の介在物は、優れた強度が得られなくなる原因となるため、極力低減する必要がある。従って、本発明ではその上限を明確に規定する必要があり、上限を0.0015%とした。
Moは、Mn、Crと同様に焼入性を向上する効果があるとともに、浸炭異常層の生成を抑制して強度を改善する効果のある元素である。しかし、添加しなくても目的とする性能が得られる場合もあるので、必要に応じ少量添加して使用することができることとした。但し、Moは多量に添加すると、600℃以上の高温度域での硬さが高くなって歯切加工性に対し不利となる。また、Moの増量は残留オ−ステナイトが増加し、浸炭硬さが低下する原因になるとともに、内部の靭性低下の原因となるため、その添加は0.80%以下の範囲内でできるだけ少量に抑えることが好ましい。
Caは添加すると、酸化物となって存在し、これがベラーグとなって機械加工時に使用する工具を保護し、工具寿命を改善することができる元素である。従って、請求項1に記載の鋼に加えて添加することによって、工具寿命を改善することができる。添加量は要求される歯切加工性に合わせて量を調整すれば良いので、下限は特に設定していない。また、上限を200ppmとしたのは、200ppmを超えて含有させても、効果が飽和し、増量に見合う効果が得られないからである。
本発明では、前記した成分からなる圧延鋼材を用い、これを1100〜1350℃(表面温度)に加熱し、熱間鍛造し、後述のドライ切削をする上で都合の良い粗形状に加工される。ここで、鍛造時の加熱温度の範囲を1100〜1350℃としたのは、加熱温度が1100℃未満になると、鋼中に存在するAlNが十分に固溶せず、後述の鍛造後の加熱保持時に微細析出させることができなくなるため、浸炭時に結晶粒粗大化を防止することが難しくなることと、成形荷重が高くなって、金型への負担が大きくなるためであり、上限を1350℃としたのは、それ以上温度を高くしてもエネルギーが無駄になるだけであるからである。
なお、試験No.1〜5の鍛伸直後の硬さは、Hv231〜238であったが、熱処理後においてはこれがHv189〜202へとHvで40程度低下していた。この熱処理による硬さ低下とベイナイト主体の組織を選択したことが、ドライ切削に適していたため、工具寿命が改善されたものと考えられる。
Claims (3)
- 質量%で、C:0.15〜0.30%、Si:0.5%以下、Mn:0.20〜1.50%、P:0.03%以下、S:0.035%以下、Cr:0.30〜2.00%、Al:0.010〜0.060%、N:0.0080〜0.0250%、O:0.0015%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物元素からなる熱間圧延鋼材からなる鍛造用素材を1100〜1350℃に加熱して熱間鍛造することにより粗形状に加工し、その後冷却してベイナイト変態を終了させ、次に620〜750℃に加熱し、20分〜3hr保持することにより、ベイナイト単相又はベイナイト+フェライトの混合組織とすることを特徴とする高速ドライ切削用歯車素材の製造方法。
- 請求項1に記載の鋼にさらにMo:0.8%以下、Ca:0.0100%以下のうちの1種又は2種を含有する熱間圧延鋼材を用い、請求項1記載の方法を施すことを特徴とする高速ドライ切削用歯車素材の製造方法。
- 請求項1又は請求項2からなる歯車素材を用い、歯切り工具の材質として超硬合金のK種を選択し、クーラントを使用せず、ドライで高速切削により歯切加工を行うことを特徴とする歯車の製造方法。
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