JP4506268B2 - 車体のリヤピラー上部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車体のリヤルーフレールに接続しているリヤピラーの上部構造に関するものである。
従来、車体後部に備えられたバックドアは、一般にバックドアの上縁部を二つのヒンジにより車体のリヤルーフレールに装着して開閉するようになっている。このバックドアの開閉操作により発生する荷重は、ヒンジが近傍に位置しているリヤピラー上部とリヤルーフレールとの連結部に集中するので、連結部の損傷を防止する必要がある。
リヤピラーの連結部の上部構造としては、ピラーアウタの内面にコーナーガセット(コーナープレート)をスポット溶接で一体接合してリヤピラー上部を補強したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−263265号公報
しかしながら、リヤピラー上部をコーナーガゼットにより補強した車体のリヤピラー上部構造においては、コーナーガセットがピラーアウタ内面に一体に接合されているため、捩り剛性に関してはコーナーガセットが効率的に補強されてなかった。従って、リヤピラー上部を補強するためには、ピラーアウタ及びコーナーガセットの板厚を厚くして剛性を確保する必要が生じてリヤピラーの重量増加、ひいては車体の重量増加を招くという問題があった。
本発明は、リヤピラーのコーナ部の剛性をリヤピラーの板厚を増すことなく確保することができる車体のリヤピラー上部構造を提供することを目的とするものである。
本発明は、上述事情に鑑みなされたものであって、請求項1に記載の発明は、車体の車室後部両側のリヤピラーが上下に延びるピラーインナーパネル及び前記ピラーインナーパネルの外側に配設されたピラーレインフォースを備え、前記ピラーインナーパネルと前記ピラーレインフォースとが第1の閉断面を形成するように接合されていると共に、前記ピラーインナーパネル及び前記ピラーレインフォースの上端部が前記車体のルーフのリヤルーフレール側に湾曲させられてコーナ部を形成している車体のリヤピラー上部構造であって、前記第1の閉断面内にブラケットが配置されていると共に、前記ブラケットは、上端部が前記コーナ部において前記リヤルーフレールと前記ピラーレインフォースとに接合され、下部が前記ピラーインナーパネルに接合されて、前記ブラケットと前記ピラーイナーパネルとの間に第2の閉断面が形成され、前記ブラケットの下部における、当該ブラケットと前記ピラーインナーパネルとの接合部に、シートベルトを固定するシートベルトアンカが取り付けられていることを特徴としている。
請求項1に係わる発明によれば、リヤピラー上部のコーナ部に位置させて第1の閉断面内にブラケットを配設すると共にさらに第2の閉断面を形成させたので、リヤピラーの板厚増加に伴う重量増加を生じることなくリヤピラーのコーナ部の剛性を増加させることができる。
以下、本発明に係わる車体のリヤピラー上部構造の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は車両1の車体2を後方から見た図を示しており、この車体2の後部には後部開口部3が形成されている。この後部開口部3は、ルーフ5の後縁部に設けられた図示しないリヤルーフレールにヒンジにより回動自在に取り付けられたバックドア4により開閉されているようになっている。
上記リヤルーフレールの両側は後述のリヤピラーにそれぞれ連結されており、このリヤルーフレールの両側のコーナ部Cにおいてバックドア4の開閉操作によって局部的に荷重が集中する。このコーナ部C、すなわち車体のリヤピラー上部構造については、図3以降の各図により後述する。
図2は車両1の後部側車室6を示している。符号7は後席8に着座している乗員の安全確保のためのシートベルトを示しており、このシートベルト7のシートベルトアンカ9は
鎖線で示すリヤピラー10の後述するブラケットに対して後述するようにして取り付けられている。
図3はルーフ5の後縁部に沿って配置されているリヤルーフレール11とこのリヤルーフレール11の両側に上下方向に延びて配設された前述のリヤピラー10(図2参照)の一方との分解斜視図を示している。
前記リヤルーフレール11は、上方へ凹状に湾曲しているレールインナ13とこのレールインナ13の外側に重合してレールインナ13と共に閉断面を形成するレールレインフォース14とを有している。なお、レールインナ13とレールレインフォース14とはスポット溶接等により互いに接合されている。
前記リヤピラー10は、ピラーインナーパネル16とこのピラーインナーパネル16の外側に配設されたピラーレインフォース17とを備えていて、前記ピラーインナーパネル16とピラーレインフォース17とが第1の閉断面18A(図4〜図6参照)を形成するように接合されている。
また、前記ピラーインナーパネル16及び前記ピラーレインフォース17の上端部16a,17aは図3の如く前記車体2のルーフ5のリヤルーフレール11側に湾曲させられてコーナ部Cを形成している。
図4は図3の各部材が接合されている状態におけるリヤピラー10のA−A線断面矢視図、図5は同じくB−B線断面矢視図、そして図6はD−D線断面矢視図をそれぞれ示している。
しかも、図4〜図6に示したようにリヤピラー10の第1の閉断面18A内には上部が前記コーナ部Cまで延びているシートベルトアンカブラケットとして用いられる補強用のブラケット20が配設されている。このブラケット20の下部は図6に示すようにピラーインナーパネル16に対して接合部21,22においてスポット溶接により接合されている。
図3におけるレールレインフォース14の端部の取付位置14a,14bには、図4及び図4Aに示すようにナット24,26(図3では図省略)がそれぞれ溶接固定されている。
また、図3及び図4A(a)に示すように、ブラケット20の上端部20aには取付穴20bが穿設され、ピラーレインフォース17の上端部17aには取付穴17bが穿設されている。前記取付穴20b、取付穴17bを挿通して前記ナット24に螺合するボルト23によりブラケット20及びピラーレインフォース17はレールレインフォース14と締結されている。
さらに、図3及び図4A(b)に示すように、ピラーインナーパネル16の上端部16aには取付穴16bが穿設され、ピラーレインフォース17の上端部17aには別の取付穴17cが穿設されている。前記取付穴16b及び取付穴17cを挿通して前記ナット26に螺合するボルト25により、ピラーインナーパネル16及びピラーレインフォース17はレールレインフォース14と締結されている。
このように、前記ブラケット20とピラーレインフォース17との接合を前記のようにボルト23及びナット24により接合させることで、第1の閉断面18Aの内部での接合(締結)も可能になっている。
また、図4に示すように前記レールレインフォース14のナット24の近傍(図3における取付位置14b)にはナット26が溶接固定されている。
図3に示すピラーインナーパネル16の取付穴16bと、ピラーレインフォース17の取付穴17cを貫通するボルト25(図4、図4A(b)参照)を前記ナット26に螺合させることにより、前記ピラーインナーパネル16、ピラーレインフォース17及びレールレインフォース14は重ねられて締結されている。
上述のようにリヤピラー10の第1の閉断面18A内に配設したブラケット20の下部をピラーインナーパネル16に取り付け、上部をピラーレインフォース17に取り付けることにより、リヤピラー10の上部側、すなわち図5の如く第1の閉断面18A内の上部側には第2の閉断面18Bを形成することができる。
これにより、リヤピラー10のコーナ部Cにおける断面剛性が増大すると共に、車体2の後部開口部3の剛性も増大されて、バックドア4の荷重とバックドア4の開閉操作による荷重とがコーナ部Cに集中しても、リヤピラー10のピラーインナーパネル16及びピラーレインフォース17の板厚を増大させることなく上記加重に充分耐える得る強度を確保することができる。
また、図6に示すようにブラケット20の基部及びこれに重合されたピラーインナーパネル16には、これらを貫通するアンカーボルト27が設けられている。このアンカーボルト27には、図2に示すシートベルトアンカ9が固定されている。
シートベルトアンカ9が取り付けられているブラケット(シートベルトアンカブラケット)20は、従来構造ではピラーインナーパネル16のインナー面にのみ取り付けられていたが、本実施の形態では先述したように、ブラケット20がピラーインナーパネル16とピラーレインフォース17とに取り付けられて組み立てられているので、従来構造に比してシートベルトアンカ9の取り付け部の剛性を増大させることができる。
このように、ブラケット20は、リヤピラー10のコーナ部Cの剛性を増大させることができると共に、シートベルトアンカ9の取り付け部の剛性も増大させることができる。
次に、ブラケット20を内蔵しているリヤピラー10には、図6に示すようにアウターパネル28が接合部29,30でスポット溶接されて取り付けられている。
ピラーインナーパネル16、ピラーレインフォース17、ブラケット20及び前記アウターパネル28を用いてリヤピラー10及びリヤピラー10の廻りを構成する場合、予め
接合部21,22によりスポット溶接されて組み付けられたリヤピラー10に対し、アウターパネル28が接合部29,30においてスポット溶接されて取り付けられる。
このように、アウターパネル28を予め構成されたリヤピラー10に対して取り付けるようにすることにより、前記接合部29,30において4枚打ちすることなくリヤピラー10廻りを組み付けすることができる。
以上説明した発明の実施の形態の車体のリヤピラー上部構造は、車体(1)の車室(6)後部両側のリヤピラー(10)が上下に延びるピラーインナーパネル(16)及び前記ピラーインナーパネル(16)の外側に配設されたピラーレインフォース(17)を備え、前記ピラーインナーパネル(16)と前記ピラーレインフォース(17)とが第1の閉断面(18A)を形成するように接合されていると共に、前記ピラーインナーパネル(16)及び前記ピラーレインフォース(17)の上端部(16a,17a)が前記車体(1)のルーフ(5)のリヤルーフレール(11)側に湾曲させられてコーナ部(C)を形成している車体のリヤピラー上部構造であって、前記第1の閉断面内(18A)にブラケット(20)が配置されていると共に、前記ブラケット(20)は、上端部(20a)が前記コーナ部(C)において前記リヤルーフレール(11)と前記ピラーレインフォース(17)とに接合され、下部が前記ピラーインナーパネル(16)に接合されて、前記ブラケット(20)と前記ピラーインナーパネル(16)との間に第2の閉断面(18B)が形成され、前記ブラケット(20)の下部における、当該ブラケット(20)と前記ピラーインナーパネル(16)との接合部に、シートベルト(7)を固定するシートベルトアンカ(9)が取り付けられている
この構成によれば、リヤピラー(10)上部のコーナ部(C)に位置させて第1の閉断面(18A)内にブラケット(20)を配設すると共にさらに第2の閉断面(18B) を形成させたので、リヤピラー(20)の板厚増加に伴う重量増加を生じることなくリヤピラー(20)のコーナ部(C)の剛性を増加させることができる。
また、この構成によれば、ブラケット(20)の下部における、ブラケット(20)とピラーインナーパネル(16)との接合部に、シートベルト(7)を固定するシートベルトアンカ(9)が取り付けられているので、ブラケット(20)の板厚を増すことなくシートベルトアンカ(9)の取り付け強度を増すことができる。
また、この発明の実施の形態の車体のリヤピラー上部構造は、前記ピラーインナーパネル(16)、前記ピラーレインフォース(17)及び前記ブラケット(20)を予めそれぞれ接合して形成した前記リヤピラー(10)にアウターパネル(28)を接合してある。
この構成によれば、ピラーインナーパネル(16)、ピラーレインフォース(17)及びブラケット(20)を予め接合してリヤピラー(10)を構成し、このリヤピラー(10)にアウターパネル(28)を接合したので、ピラーインナーパネル(16)、ピラーレインフォース(17)及びブラケット(20)に対してアウターパネル(28)をさらに重ね状態の4枚打ちでスポット溶接をする必要がなくなって、リヤピラー(10)に対するアウターパネル(28)のスポット溶接を容易に行うことができる。
本発明の車体のリヤピラー上部構造が適用されている車両の車体の背面図である。 車両の後部側車室を示す斜視図である。 本発明の車体のリヤピラー上部構造に係わるリヤルーフレール及びリヤピラーの分解斜視図である。 図3におけるA−A線断面矢視図である。 (a)は図4におけるブラケット側の締結部の拡大断面図、(b)は図4におけるピラーインナーパネル側の締結部の拡大断面図である。 図3におけるB−B線断面矢視図である。 図3におけるD−D線断面矢視図である。
符号の説明
C リヤピラーのコーナ部
2 車体
5 ルーフ
6 後部側車室(車室)
10 リヤピラー
11 リヤルーフレール
16 ピラーインナーパネル
17 ピラーレインフォース
18A リヤピラーの第1の閉断面
18B リヤピラーの第2の閉断面
20 ブラケット(シートベルトアンカブラケット)
28 アウターパネル

Claims (2)

  1. 車体の車室後部両側のリヤピラーが上下に延びるピラーインナーパネル及び前記ピラーインナーパネルの外側に配設されたピラーレインフォースを備え、前記ピラーインナーパネルと前記ピラーレインフォースとが第1の閉断面を形成するように接合されていると共に、前記ピラーインナーパネル及び前記ピラーレインフォースの上端部が前記車体のルーフのリヤルーフレール側に湾曲させられてコーナ部を形成している車体のリヤピラー上部構造であって、
    記第1の閉断面内にブラケットが配置されていると共に、
    前記ブラケットは、上端部が前記コーナ部において前記リヤルーフレールと前記ピラーレインフォースとに接合され、下部が前記ピラーインナーパネルに接合されて、前記ブラケットと前記ピラーインナーパネルとの間に第2の閉断面が形成され、
    前記ブラケットの下部における、当該ブラケットと前記ピラーインナーパネルとの接合部に、シートベルトを固定するシートベルトアンカが取り付けられていることを特徴とする車体のリヤピラー上部構造。
  2. 前記ピラーインナーパネル、前記ピラーレインフォース及び前記ブラケットを予めそれぞれ接合して形成した前記リヤピラーに、アウターパネルを接合したことを特徴とする請求項1に記載の車体のリヤピラー上部構造。
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