JP4114454B2 - 車両のサイドドア構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、センタピラーレスのドア開口を、前部が車体にヒンジを介して開閉可能に枢着されたフロントドアと、このフロントドアの後方に設けられたリヤドアとによって開閉可能に覆った所謂フリースタイル構造(観音開き構造)の車両のサイドドア構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述例の車両のサイドドア構造としては次のような構造がある。すなわち、車体側部に仕切りのない連続したドア開口を設け、このドア開口をフロントドアとリヤドアとで開閉可能に覆うが、フロントドアはその前部をフロントドアヒンジを介して車体に枢着し、リヤドアはその後部をリヤドアヒンジを介して車体に枢着し、これらフロントドアとリヤドアとからなるサイドドアを所謂観音開き構造に構成すると共に、フロントドアの後端部をリヤドアの前端部外側に重合させ、かつリヤドアの前端部内部には上下方向に延びる補強部材を設けたものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−138864号公報。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような観音開きのリヤドアにおいては、ドアパネルを比較的深く絞込み加工することが要求されるが、このように深い絞込み加工を行なうと加工時にパネルが破損する恐れがあり、特にアルミニウム等の軽金属またはアルミ合金等の軽合金を用いてドアパネルを加工する際には、このような問題点が顕著となる。
【0005】
この発明は、リヤドアが該リヤドアの上下方向にわたってリヤドア本体部の前部縦辺部とに前後に分割して構成され、該分割部とリヤドア本体部の接合部がドア開口の閉鎖時にフロントドアの後部縦辺部により覆われるように構成することで、ドア閉鎖時にフロントドアの後部縦辺部で覆われる箇所にてリヤドアを分割形成することにより、見栄えを確保しつつ、観音開きドアのような深い絞込みを必要とするドアパネルの加工性および剛性を確保することができる車両のサイドドア構造の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明による車両のサイドドア構造は、車両側部の仕切りのない連続したドア開口を、前部が車体にヒンジを介して開閉可能に枢着されたフロントドアと、該フロントドアの後方に設けられたリヤドアとによって開閉可能に覆った車両のサイドドア構造であって、上記リヤドアは該リヤドアの上下方向にわたってリヤドア本体部と前部縦辺部とに前後に分割して構成され、該分割部とリヤドア本体部の接合部がドア開口の閉鎖時にフロントドアの後部縦辺部により覆われるように構成されたものである。
【0007】
上記構成によれば、ドア開口の閉鎖時にフロントドアの後部縦辺部で覆われる特定の箇所においてリヤドアを分割形成したので、見栄えを確保しつつ、観音開きドアのような深い絞込みを必要とするドアパネルの加工性および剛性を確保することができる。
【0008】
この発明の一実施態様においては、上記リヤドア本体部と分割部の接合部には該接合部を覆うと共に、フロントドアに当接して該フロントドアとリヤドアとの間のシールを行なうシール部材が取付けられたものである。
上記構成のシール部材は、ウエザストリップに設定してもよい。
上記構成によれば、上述のシール部材にてフロントドアとリヤドアとの間のシールを行なうと共に、上記接合部を覆うので、遮音性およびシール性とドア開時の見栄え向上との両立を図ることができる。
【0009】
この発明の一実施態様においては、上記リヤドアはウインド部材により開閉されるウインド開口を備え、上記ウインド部材をリヤドアに支持する支持部材が上記リヤドア本体部と分割部との接合部を貫通して取付けられたものである。
上記構成によれば、上記支持部材を、リヤドア本体部と分割部との接合部を貫通して取付けたので、該分割部の剛性向上を図ることができると共に、上記ウインド部材は支持部材を介してリヤドア本体部と分割部との接合部つまり二重構造部にて支持されることになるので、該ウインド部材の支持剛性の向上を図ることができる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上記ウインド部材の支持部材はリヤドアに配設されたフリップウインドのヒンジ部材を該リヤドアに取付けるピン状部材に設定されたものである。
上記構成によれば、フリップウインドのヒンジ部材を上記ピン状部材にてリヤドアに確実に支持することができ、上記分割部の剛性向上を図ることができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記リヤドア本体部と上記分割部との間はスポット溶接され、該スポット溶接部の一部に上記ピン状部材が配設されたものである。
【0012】
上記構成によれば、リヤドア本体部と分割部との溶接構造により、剛性を確保することができ、しかもスポット溶接部の一部にピン状部材を配設することで、スポット溶接箇所の低減を図ることができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記リヤドアはドアインナパネルとドアアウタパネルとから構成され、上記ドアアウタパネルの前部縦辺部が分割されたものである。
上記構成によれば、ドアアウタパネルを分割したので構造的に簡単となり、かつ、ドアパネルの加工を容易と成すことができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記リヤドアのドアインナパネルおよびドアアウタパネルはアルミニウム等の軽金属またはアルミ合金等の軽合金で形成されたものである。
上記構成によれば、リヤドアの軽量化とドア成形性との両立を図ることができる。
【0015】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両のサイドドア構造を示し、図1において、車両1の車体側面には、フロントドア2とリヤドア3とで構成されるサイドドアが設けられ、フロントドア2の前端部とリヤドア3の後端部とに、それぞれヒンジ部としてのフロントドアヒンジ4とリヤドアヒンジ5が設けられてフリースタイル構造(観音開き構造)のサイドドアが構成されている。上述の各ドアヒンジ4,5はドア側ヒンジブラケット、ヒンジピン、ボディ側ヒンジブラケットを有するものである。
【0016】
上述のフロントドア2はフロントドアヒンジ4,4を介して車体剛性部材としてのヒンジピラーに開閉可能に枢着され、上述のリヤドア3はリヤドアヒンジ5,5を介してリヤボディに開閉可能に枢着され、これらの両ドア2,3により車両側部の仕切りのない連続したドア開口部15(図11参照)つまり、センタピラーレスのドア開口部を開閉可能に覆っている。
【0017】
これらサイドドアを構成するフロントドア2とリヤドア3とは、それぞれ、ドア主体部6,7とドアサッシュ部8,9とウインドガラス10(但し、樹脂製のものも含む),フリップウインド部材11とで構成され、このうちドア主体部6,7の内部には車両の前後方向に延びるインパクトバー12,13,14が設けられる。
【0018】
この実施例の観音開き構造のドアはフロントドア2が優先して開放され、リヤドア3はフロントドア2の開放後において、その開成が許容されるように構成している。
【0019】
上述の各ドア2,3はドア開口部15(図11参照)を開閉するもので、図1に示すようにフロントドア2の後端部にはリヤドア3に対して係脱可能なドアラッチ16を設け、このドアラッチ16がリヤドア3の前端部に設けられたストライカでロックされ、リヤドア3の前端部上下には車体に対して係脱可能なドアラッチ17,18を設け、これらドアラッチ17,18はドア開口部15(図11参照)の上辺部および下辺部に設けた後述するボディ側のストライカ19,20(図11参照)でそれぞれロックされるように構成している。
【0020】
図2は右側のサイドドアを車室内側から見た状態で示す側面図、図3は図2のA−A線に沿う部分断面図であって、フロントドア2とリヤドア3との閉鎖時には図3に示すようにリヤドア3の前部外側に対してフロントドア2の後部が所定量重なり合うようなオーバラップ構造となって、側突に対する剛性の向上を図るように構成している。
【0021】
上述のフロントドア2はドアアウタパネル21とドアインナパネル22とを備え、ドアインナパネル22には図2に示すように2つの開口部23,24と、これら開口部23,24間に位置して斜め方向つまり前高後低状に傾斜して上下方向に延びる仕切り部25とが形成されている。
【0022】
上述のリヤドア3は2部材に分割形成されたドアアウタパネル26,28と、ドアインナパネル27とを備え、これらの各パネル26,27,28はアルミニウムまたはアルミ合金などの軽金属や軽合金にて形成されると共に、リヤドア3の前部縦辺部を構成するドアアウタパネル28の所定部には、フロントドア2のドアラッチ16に対応してストライカ29が取付けられている。
【0023】
ここで、上述のドアアウタパネルはその前部縦辺部においてリヤドア3の上下方向にわたってリヤドア本体部(ドアアウタパネル26参照)と前部縦辺部(ドアアウタパネル28参照)とに前後に分割して構成されたものである。
【0024】
図4は右側のフロントドア2を車室内側から見た状態で示す側面図、図5は図4のB−B線矢視断面図であって、ドアアウタパネル21とドアインナパネル22とを接合して構成されるフロントドア2の前部縦辺部には該前部縦辺部に沿って上下方向に延びる剛性部材としてのヒンジレインフォースメント30が設けられており、このヒンジレインフォースメント30によりドア剛性の向上を図っている。
【0025】
このヒンジレインフォースメント30は車外側において車両の前後方向に延びる前部片30aと、車内側において車両の前後方向に延びる後部片30bと、これら両片30a,30bを接続して車幅方向に延びる接続片30cとを有するように厚板部材にて断面略Z字状に形成されている。
【0026】
またフロントドア2の後部縦辺部には該後部縦辺部に沿って上下方向に延びる剛性部材としてのフロントドアリヤレインフォースメント31が設けられており、このフロントドアリヤレインフォースメント31によりドア剛性の向上を図ると共に、側突に対する剛性を向上させて、車両の側突時のドア2の車室内への侵入量を軽減すべく構成している。
【0027】
このフロントドアリヤレインフォースメント31は図3、図5、図6、図7に示すように、車外側において車両の前後方向に延びる後部片31aと、車内側において車両の前後方向に延びる前部片31bと、これら両片31a,31bを接続して車幅方向に延びる接続片31cとを有するように厚板部材にて断面略Z字状に形成されている。
【0028】
さらに図4に示すように上述のフロントドアリヤレインフォースメント31の上端部はドアサッシュ部8の後部縦辺部8a内に連続して延びる延出部32を備え、サッシュ剛性の向上を図り、高速走行時の負圧により、シール部材が車外側へ吸い出されるのを防止すべく構成している。
【0029】
しかも、図4に示すように上述のフロントドアリヤレインフォースメント31の下端部にはフロントドア2の下部の前後辺に沿って前方に延びる延長部33を備えて、フロントドアリヤレインフォースメント31それ自体の剛性向上を図ると共に、フロントドア下部の剛性向上を図るように構成している。
【0030】
また上下両端に延出部32および延長部33を備えたフロントドアリヤレインフォースメント31の全体には図6に示すように複数の凹凸部を形成して、該フロントドアリヤレインフォースメント31の強度向上を図っている。
【0031】
図4、図5、図8に示すように前述のインパクトバー12はヒンジレインフォースメント30の前部片30aと、フロントドアリヤレインフォースメント31の後部片31aとの間、すなわち剛性部材相互間に車両の前後方向に延びるように接合固定されている。換言すれば、インパクトバー12の前端部および後端部はヒンジレインフォースメント30、フロントドアリヤレインフォースメント31と重合するように設けられ、強固な構造を確保すべく構成している。
【0032】
上述のインパクトバー12に対して上下方向に離間する下側のインパクトバー13も図4に示すように、ヒンジレインフォースメント30の前部片30aと、フロントドアリヤレインフォースメント31の後部片31aとの間、すなわち剛性部材相互間に車両の前後方向に延びるように接合固定されている。換言すれば、インパクトバー13の前端部および後端部はヒンジレインフォースメント30、フロントドアリヤレインフォースメント31と重合するように設けられ、強固な構造を確保すべく構成している。
【0033】
また図8に示すように上下方向に離間する複数のインパクトバー12,13は車外側に突出するような横向き凸状の断面形状を有し、この断面構造により、インパクトバー12,13それ自体の剛性向上を図ると共に、インパクトバー12,13を上下に離間して複数設けることにより、側突時の荷重入力に対して上下方向で広範囲において対応すべく構成している。
【0034】
図9は図4のE−E線に沿う要部拡大断面図であって、フロントドア2の後部側の下端部には該フロントドア2から車体側のサイドシル34のサイドシルアウタ35に向けて凸状に突出したキャッチャーピン36を設けている。
【0035】
すなわち、上述のフロントドアリヤレインフォースメント31における下端部の延長部33にナット37を予め溶接固定し、このナット37と対向する延長部33およびドアインナパネル22にはキャッチャーピン36のネジ部を挿通する孔部を形成して、上述のキャッチャーピン36をドアインナパネル22の車室内側から上記ナット37に締付け固定したものである。
【0036】
また上述のキャッチャーピン36は車両の側突時においてフロントドア2の侵入を規制するものであって、このキャッチャーピン36と対応する位置においてサイドシルアウタ35には合成樹脂製で、かつ凹状のキャッチャーピン受け部38を設け、フロントドア2の閉時に上述のキャッチャーピン36がキャッチャーピン受け部38に挿入されるように構成している。
【0037】
図9はフロントドア2の全閉時の断面図であって、キャッチャーピン36の外径に対して、キャッチャーピン受け部38の内径は比較的大きく設定されている。また上述のキャッチャーピン36は車両の側突時においてフロントドア2の侵入を規制するためのドア侵入規制部材である。
【0038】
キャッチャーピンはフロントドア2のみならず図1、図2に示すようにリヤドア3の下部にも設けられており、各キャッチャーピン36,39,40が略等間隔で前後方向に並ぶように構成されいてる。
【0039】
一方、図9においてサイドシルアウタ35の上端部外面には、車体とフロントドア2との間をシールするシール部材41を設け、またフロントドア2のドアインナパネル22の下部には、該フロントドア2と車体としてのサイドシル34との間をシールするシール部材42を設けている。
【0040】
図10は右側のリヤドア3を車室内側から見た状態で示す側面図、図11は図10のG−G線矢視断面図であって、図10、図11に示すようにリヤドア3下部におけるドアインナパネル27の所定部にはシートベルトリトラクタ43のブラケット44を取付けるための開口部45が形成されている。
【0041】
また図3、図10、図11に示すようにリヤドア3の前部縦辺部には該リヤドア3のドアサッシュ部9を含む略全高にわたって上下方向に沿って延びるバーチカルレインフォースメント46が配設されている。
【0042】
このバーチカルレインフォースメント46はアルミニウムまたはアルミ合金などの軽金属や軽合金の厚板部材にて形成されると共に、図3に示すように車内側前部において車両の前後方向に延びる前部片46aと、この前部片46aの後端から車幅方向に延びる前面片46bと、この前面片46bの外端から車両前後方向後方に延びる側面片46cと、この側面片46cの後端から車両の前後方向後方で、かつ車幅方向内方に延びる後面片46dと、この後面片46dの内端から車両の前後方向後方に延びる後部片46eとを有するように断面略ハット状に形成されている。
【0043】
そして、上述の前部片46aはドアインナパネル27と、ドアアウタパネル28との間にサンドイッチ状に挟持固定され、前面片46bとドアアウタパネル28とが重合する部分には前述のストライカ29が取付けられ、後部片46eはドアインナパネル27の前後方向中間部内面に接合されている。
【0044】
さらに図3に示すように、リヤドア3の後部縦辺部には該リヤドア3の上下方向に沿って延びる剛性部材としてのヒンジレインフォースメント47が配設されている。
【0045】
このヒンジレインフォースメント47は車内側において車両の前後方向に延びる前部片47aと、車外側において車両の前後方向に延びる後部片47bと、これら両片47a,47bを接続して車幅方向に延びる接続片47cとを有するように、アルミニウムまたはアルミ合金などの軽金属や軽合金の厚板部材にて、断面略Z字状に形成されている。
【0046】
図3、図10、図11に示すように前述の横インパクトバー14はバーチカルレインフォースメント46の側面片46cと、ヒンジレインフォースメント47の後部片47bとの間、すなわち剛性部材相互間に車両の前後方向に延びるように接合固定されている。換言すれば、この横インパクトバー14はその前後両端部がバーチカルレインフォースメント46、ヒンジレインフォースメント47と重合するように設けられており、この重合構造により、リヤドア3の側突に対する剛性の向上を図るように構成している。
【0047】
また上述の横インパクトバー14は図11に断面形状にて示すように凹凸状に形成されていて、この凹凸構造により横インパクトバー14それ自体の剛性向上を図るように構成している。
【0048】
図10に示すように上述のリヤドア3はその前部縦辺部が後傾するように形成されており、この前部縦辺部の前上角部3U(前側上部コーナ部)と前下角部3D(前側下部コーナ部)より離間した部位との間を上下方向に略垂直に延びる縦インパクトバー48を設けている。
【0049】
この縦インパクトバー48は高張力鋼のパイプ部材(剛性パイプ部材)にて形成されている。
また図10に示すように上述のバーチカルレインフォースメント46は側面視において縦インパクトバー48と車両の前後方向にオーバラップするように配設されている。さらに詳しくは、図3に示すように上述のバーチカルレインフォースメント46とリヤドア3のドアインナパネル27との間には閉断面49が形成され、縦インパクトバー48はこの閉断面49内部に配設されたものである。
【0050】
さらに上述の横インパクトバー14は図3、図10に示すように、その前部が縦インパクトバー48と車両の前後方向にてオーバラップすべく配設されている。
しかも、図3にフロントドア2およびリヤドア3をそれぞれ閉鎖状態で示すように、両ドア2,3の閉鎖時にはフロントドアリヤレインフォースメント31がリヤドア3の前部縦辺部に設けられたバーチカルレインフォースメント46と重なり合うように配設されており、この重合構造により、該重合部の剛性向上を図って、側突時のサイドドアの車室内への侵入量を軽減すべく構成している。
【0051】
ところで、図11に示すように、リヤドア3内の下部には断面凹状のドアラッチレインフォースメント50を設けている。
このドアラッチレインフォースメント50の車外側立上り片はリベット51(取付け部材)を用いてバーチカルレインフォースメント46の下部に固定する一方、車内側立上り片はボルト、ナットおよびリベット等の取付け部材52を用いて、ブラケット44および後述する縦インパクトバー48の下端ブラケット55と共にドアインナパネル27に共締め固定している。
【0052】
上述の縦インパクトバー48は図11、図12に示すように上端ブラケット53、中間ブラケット54、下端ブラケット55を用いて、バーチカルレインフォースメント46およびドアインナパネル27に固定されている。
【0053】
ここで、上端ブラケット53は断面略半円形状の保持部56を有する外部ブラケット57と、断面略半円形状の保持部58を有する内部ブラケット59との2部材から成り、これら両ブラケット57,59を接合して、縦インパクトバー48の上端部を保持すると共に、外部ブラケット57はリベット60(取付け部材)を用いてバーチカルレインフォースメント46の上部に固定し、内部ブラケット59はボルト、ナット等の取付け部材61…を用いて、ドアラッチ17およびショルダベルトアンカ用のアンカブラケット62と共にドアインナパネル27に共締め固定している。
【0054】
また中間ブラケット54は断面略半円形状の保持部63と、上部取付け片64と、下部取付け片65とを備え、図3にも示すように、保持部63で縦インパクトバー48の中間部を保持すると共に、上部取付け片64はボルト、ナット等の取付け部材66を用いて、ブラケット44と共にドアインナパネル27に共締め固定し、下部取付け片65はリベット67(取付け部材)を用いて横インパクトバー14と共にバーチカルレインフォースメント46に共締め固定している。
【0055】
すなわち、縦インパクトバー48の上下方向の中間部は、バーチカルレインフォースメント46とドアインナパネル27との双方に接続される中間ブラケット54によって支持されたものである。また横インパクトバー14と、バーチカルレインフォースメント46と、中間ブラケット54との三者が上述のリベット67にて共締め固定されたものである。
【0056】
さらに下端ブラケット55は断面略半円形状の保持部68と前後の取付け片69,70とを備え、保持部68で縦インパクトバー48の下端部を保持すると共に、前後の取付け片69,70はボルト、ナットおよびリベット等の取付け部材52を用いて、ドアラッチレインフォースメント50およびブラケット44と共にドアインナパネル27に共締め固定している。
なお、上述の上端ブラケット53、中間ブラケット54、下端ブラケット55の所定部は縦インパクトバー48の外周部に溶接固定されている。
【0057】
ここで、図11に示すようにリヤドア3のロック機構つまり上部のドアラッチ17と下部のドアラッチ18とは縦インパクトバー48の上下両端部に取付けられている。詳しくは、上部のドアラッチ17は縦インパクトバー48の上端部に内部ブラケット59を介して取付けられており、下部のドアラッチ18は縦インパクトバー48の下端部に下端ブラケット55およびドアラッチレインフォースメント50を介して取付けられている。
【0058】
図11において車体側上部のルーフパネル71の側部にはルーフレールアウタ72とルーフレールインナ73とを接合すると共に、このルーフレールインナ73には前述のストライカ19を取付けている。
【0059】
また車体側下部のフロアパネル74の側部には、サイドシルインナ75とサイドシルアウタ35とから成るサイドシル34を接合すると共に、上述のサイドシルアウタ35の所定部には前述のストライカ20を取付けていて、車体側のこれらの各ストライカ19,20にリヤドア3の縦インパクトバー48の上下両端部に取付けたドアラッチ17,18が係合するように構成している。
【0060】
図13は右側のリヤドア3を車外側から見た状態で示す側面図、図14は図13のH−H線矢視断面図、図15は図13のJ−J線矢視断面図であって、このリヤドア3はドア主体部7とドアサッシュ部9との上下方向のほぼ全高にわたってドアアウタパネルの前部縦辺部がリヤドア本体部(ドアアウタパネル26参照)と前部縦辺部(ドアアウタパネル28参照)とに前後に2分割されて、図13に示すようなリヤドア3のほぼ全高にわたる分割部80が形成されている。
【0061】
上述のドアアウタパネル26と分割されたドアアウタパネル28とは分割してそれぞれ別々に形成された後に、図14に示す接合部81においてスポット溶接(図13の×印参照)にて互に溶接一体化されるものであるが、図14に示すように、この接合部81および上記分割部80はドア開口部15の閉鎖時にフロントドア2の後部縦辺部によって覆われるように構成している。
つまり、分割部80の箇所を、フロントドア2の閉成時に該フロントドア2で隠れる特定部位に設定したものである。
【0062】
また図14に示すように、リヤドア本体部としてのドアアウタパネル26と分割部80の接合部81には、該接合部81および分割部80を車外側から覆うようなシール部材としてのウエザストリップ82を上下方向にわたって取付けている。
【0063】
このウエザストリップ82はフロントドア2における後部縦辺部のドアインナパネル22に当接して、該フロントドア2とリヤドア3との間のシールを行なうと共に、遮音作用を奏するものである。
【0064】
さらに図14に示すように、リヤドア3の車内側の前端部においてドアアウタパネル28、バーチカルレインフォースメント46、ドアインナパネル27の三者が接合された部位の外面にもシール部材としてのウエザストリップ83を上下方向にわたって取付けている。
【0065】
このウエザストリップ83もフロントドア2における後部縦辺部車内側のドアインナパネル22に当接して、該フロントドア2とリヤドア3との間のシールを行なうと共に、遮音作用を奏するものである。
【0066】
図13、図15に示すようにリヤドア3はドアウインドパネルとしてのフリップウインド部材11により開閉されウインド開口84(ドアウインド)を備えている。
【0067】
このフリップウインド部材11は強化ガラスまたは強化プラスチックにより透明に構成され、このフリップウインド部材11の周囲にはモール85が一体的に取付けられるが、該モール85の前部片には予めステンレス製のヒンジ部材86がインサート成形手段にてモール85と一体的に組付けられている。
【0068】
上述のヒンジ部材86の上下複数箇所にはドアサッシュ部9に対する取付け部86a,86bが一体形成されていて、これらの取付け部86a,86bは支持部材87,87を用いて上述の接合部81に取付けられている。
【0069】
上述の支持部材87は図15に示すようにリベット構造のナット88と、このナット88に螺合するボルト89とを有すピン状部材に設定され、該支持部材87は同図に示すようにリヤドア本体部(ドアアウタパネル26参照)と分割部80との接合部81を貫通して取付けられると共に、ドアアウタパネル26,28のスポット溶接部(図13の×印参照)の一部に上述の支持部材87が配設されている。
またこの実施例では上述のナット88の先端はバーチカルレインフォースメント46の開口部46fを通ってその車内側へ延びている。
【0070】
なお、以上の説明においては主として右側のフロントドア2およびリヤドア3の構造について述べたが、左側のフロントドア2およびリヤドア3は右側のそれと対称に構成されている。また図中、Fは車両前方を示し、Rは車両後方を示し、INは車両内方を示し、OUTは車両外方を示すものである。
【0071】
このように図1〜図15で示した実施例の車両のサイドドア構造は、車両側部の仕切りのない連続したドア開口部15を、前部が車体にヒンジ4を介して開閉可能に枢着されたフロントドア2と、該フロントドア2の後方に設けられたリヤドア3とによって開閉可能に覆った車両のサイドドア構造であって、上記リヤドア3は該リヤドア3の上下方向にわたってリヤドア本体(ドアアウタパネル26参照)と前部縦辺部(ドアアウタパネル28参照)とに前後に分割(分割部80参照)して構成され、該分割部80とリヤドア本体(ドアアウタパネル28参照)の接合部81がドア開口部15の閉鎖時にフロントドア2の後部縦辺部により覆われるように構成されたものである。
【0072】
この構成によれば、ドア開口部15の閉鎖時にフロントドア2の後部縦辺部で覆われる特定の箇所においてリヤドア3を分割形成したので、見栄えを確保しつつ、観音開きドアのような深い絞込みを必要とするドアパネルの加工性および剛性を確保することができる。
【0073】
また、上記リヤドア本体(ドアアウタパネル26参照)と分割部80の接合部81には該接合部81を覆うと共に、フロントドア2に当接して該フロントドア2とリヤドア3との間のシールを行なうシール部材(ウエザストリップ82参照)が取付けられたものである。
【0074】
この構成によれば、上述のシール部材(ウエザストリップ82参照)にてフロントドア2とリヤドア3との間のシールを行なうと共に、上記接合部81を覆うので、遮音性およびシール性とドア開時の見栄え向上との両立を図ることができる。
【0075】
さらに、上記リヤドア3はフリップウインド部材11により開閉されるウインド開口84を備え、上記フリップウインド部材11をリヤドア3に支持する支持部材87が上記リヤドア本体(ドアアウタパネル26参照)と分割部80との接合部81を貫通して取付けられたものである。
この構成によれば、上記支持部材87を、リヤドア本体(ドアアウタパネル26参照)と分割部80との接合部81を貫通して取付けたので、該分割部80の剛性向上を図ることができると共に、上記フリップウインド部材11は支持部材87を介してリヤドア本体(ドアアウタパネル26参照)と分割部80との接合部81つまり二重構造部にて支持されることになるので、該フリップウインド部材11の支持剛性の向上を図ることができる。
【0076】
加えて、上記フリップウインド部材11の支持部材87はリヤドア3に配設されたフリップウインド部材11のヒンジ部材86を該リヤドア3に取付けるピン状部材に設定されたものである。
この構成によれば、フリップウインド部材11のヒンジ部材86を上記ピン状部材(支持部材87参照)にてリヤドア3に確実に支持することができ、上記分割部80の剛性向上を図ることができる。
【0077】
また、上記リヤドア本体(ドアアウタパネル26参照)と上記分割部80との間はスポット溶接され、該スポット溶接部の一部(図13の×印参照)に上記ピン状部材(支持部材87参照)が配設されたものである。
【0078】
この構成によれば、リヤドア本体(ドアアウタパネル26参照)と分割部80との溶接構造により、剛性を確保することができ、しかもスポット溶接部の一部にピン状部材(支持部材87参照)を配設することで、スポット溶接箇所の低減を図ることができる。
【0079】
さらに、上記リヤドア3はドアインナパネル27とドアアウタ26,28パネルとから構成され、上記ドアアウタパネル26,28の前部縦辺部が分割されたものである。
この構成によれば、ドアアウタパネル26,28を分割したので構造的に簡単となり、かつ、ドアパネルの加工を容易と成すことができる。
【0080】
しかも、上記リヤドア3のドアインナパネル27およびドアアウタパネル26,28はアルミニウム等の軽金属またはアルミ合金等の軽合金で形成されたものである。
この構成によれば、リヤドア3の軽量化とドア成形性との両立を図ることができる。
【0081】
図16は車両のサイドドア構造の他の実施例を示し、図15の実施例ではバーチカルレインフォースメント46に開口部46fを形成して、支持部材87の先端をこの開口部46fに挿通させたが、図16に示すこの実施例ではリベット構造のナット88の長さと、ボルト89のネジ部の長さを短く設定して、バーチカルレインフォースメント46に開口部46fを形成することなく、該支持部材87でヒンジ部材86、ドアアウタパネル26、分割されたドアアウタパネル28の三者を共締め固定したものである。
【0082】
図16に示すこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例とほぼ同様であるから、図16において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0083】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の車両側部の仕切りのない連続したドア開口は、実施例のセンタピラーレスの開口部15に対応し、
以下同様に、
リヤドア本体部は、ドアアウタパネル26に対応し、
前部縦辺部は、ドアアウタパネル28に対応し、
シール部材は、ウエザストリップ82に対応し、
ウインド部材は、フリップウインド部材11に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0084】
【発明の効果】
この発明によれば、リヤドアが該リヤドアの上下方向にわたってリヤドア本体部の前部縦辺部とに前後に分割して構成され、該分割部とリヤドア本体部の接合部がドア開口の閉鎖時にフロントドアの後部縦辺部により覆われるように構成することで、ドア閉鎖時にフロントドアの後部縦辺部で覆われる箇所にてリヤドアを分割形成することにより、見栄えを確保しつつ、観音開きドアのような深い絞込みを必要とするドアパネルの加工性および剛性を確保することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の車両のサイドドア構造を示す側面図。
【図2】 サイドドアを車室内側から見た状態で示す側面図。
【図3】 図2のA−A線矢視断面図。
【図4】 フロントドアの側面図。
【図5】 図4のB−B線矢視断面図。
【図6】 フロントドアリヤレインフォースメントの斜視図。
【図7】 図6のD−D線矢視断面図。
【図8】 図4のC−C線矢視断面図。
【図9】 図4のE−E線に沿う要部拡大断面図。
【図10】 リヤドアの側面図。
【図11】 図10のG−G線矢視断面図。
【図12】 縦インパクトバーおよびその取付けブラケットの分解斜視図。
【図13】 リヤドアを車外側から見た状態で示す側面図。
【図14】 図13のH−H線矢視断面図。
【図15】 図13のJ−J線矢視断面図。
【図16】 車両のサイドドア構造の他の実施例を示す断面図。
【符号の説明】
2…フロントドア
3…リヤドア
4,5…ヒンジ
11…フリップウインド部材(ウインド部材)
26…ドアアウタパネル(リヤドア本体部)
27…ドアインナパネル
28…ドアアウタパネル(前部縦辺部)
80…分割部
81…接合部
82…ウエザストリップ(シール部材)
84…ウインド開口
86…ヒンジ部材
87…支持部材
Claims (7)
- 車両側部の仕切りのない連続したドア開口を、前部が車体にヒンジを介して開閉可能に枢着されたフロントドアと、該フロントドアの後方に設けられたリヤドアとによって開閉可能に覆った車両のサイドドア構造であって、
上記リヤドアは該リヤドアの上下方向にわたってリヤドア本体部と前部縦辺部とに前後に分割して構成され、
該分割部とリヤドア本体部の接合部がドア開口の閉鎖時にフロントドアの後部縦辺部により覆われるように構成された
車両のサイドドア構造。 - 上記リヤドア本体部と分割部の接合部には該接合部を覆うと共に、フロントドアに当接して該フロントドアとリヤドアとの間のシールを行なうシール部材が取付けられた
請求項1記載の車両のサイドドア構造。 - 上記リヤドアはウインド部材により開閉されるウインド開口を備え、
上記ウインド部材をリヤドアに支持する支持部材が上記リヤドア本体部と分割部との接合部を貫通して取付けられた
請求項1記載の車両のサイドドア構造。 - 上記ウインド部材の支持部材はリヤドアに配設されたフリップウインドのヒンジ部材を該リヤドアに取付けるピン状部材に設定された
請求項3記載の車両のサイドドア構造。 - 上記リヤドア本体部と上記分割部との間はスポット溶接され、該スポット溶接部の一部に上記ピン状部材が配設された
請求項4記載の車両のサイドドア構造。 - 上記リヤドアはドアインナパネルとドアアウタパネルとから構成され、
上記ドアアウタパネルの前部縦辺部が分割された
請求項1〜5のうちの1に記載の車両のサイドドア構造。 - 上記リヤドアのドアインナパネルおよびドアアウタパネルはアルミニウム等の軽金属またはアルミ合金等の軽合金で形成された
請求項6記載の車両のサイドドア構造。
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