JP3838468B2 - 自動車の車体構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のサイドシル部とセンターピラー部の接合部分の補強を図り得る自動車の車体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車体の側面に左右2個所ずつドア、すなわちフロントドア、リヤドアが設けられている車を4ドア車(後面にバックドアが設けられている、いわゆる5ドア車を含む)と呼んでいる。
このような4ドア車の側面構造としては、たとえば、図9に示すように、車体外面側をサイドボデイアウタパネル100で構成し、車体内面側を、ルーフサイドインナレール101、ルーフサイドインナリヤレール102、クオータインナアッパパネル103、センタピラーインナパネル104およびリヤホイールハウスアウタパネル105等で構成されている。
【0003】
そして、サイドシル部とセンタピラー部の補強を行うために、サイドボデイアウタパネル100の下端部室内側には、サイドシルストレングス106を配設し、センタピラーインナパネル104とサイドボデイアウタパネル100間には、センタピラーリーンフォースメント107が配設されている。
【0004】
図10および図11は従来のサイドシル部とセンタピラー部の接合部の構造を示したもので、サイドシルストレングス106の室内側には、サイドシルストレングス106とともにサイドシル部を構成するサイドシルインナパネル109が配設され、サイドシルインナパネル109の下部側にメインフロアパネル110が接合されている。サイドシルストレングス106とサイドボデイアウタパネル100間には、サイドシルアウタストレングス111が配設されて補強されている。
また、サイドシルアウタストレングス111は、サイドボデイアウタパネル100に沿うように設けるため、サイドボデイアウタパネル100内部の錆止めの為の電着液が流れにくい欠点があった。そこで、サイドボデイアウタパネル100に穴112を開けて、サイドボデイアウタパネル100とサイドシルアウタストレングス111間の電着液の流れを良くしていた。このため、作業後にサイドボデイアウタパネル100に開けられた穴112にキャップ113をする必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のサイドシル部とセンタピラー部の接合部の構造によると、車体側面に外力を加えると、センタピラー部がセンタピラーリーンフォースメント107によって補強されているため、サイドシル部が不規則に折れると、センタピラー部が室内側に入り込む虞があった。
また、電着液の為にサイドボデイアウタパネル100に開けられた穴112にキャップ113をする必要があることから、コストアップとなっていた。
【0006】
本発明は上記課題を解決し、センタピラー部からサイドシル部に伝わる荷重を段階的に分散して伝えて、センタピラー部とサイドシル部の接続部分の剛性を向上し得る自動車の車体構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため、閉じ断面構造に形成したサイドシル部に、センタピラーリーンフォースメントによって補強したセンタピラー部を接合した自動車の車体構造において、
上記サイドシル部の外側面に閉じ断面を形成する補強部材を接合し、上記センタピラーリーンフォースメントと上記補強部材の間に第2の補強部材を設け、上記第2の補強部材は上記センタピラーリーンフォースメントと上記補強部材の重合部に、上端部を上記補強部材より延出させて上記センタピラーリーンフォースメントに接合し、両側部を上記センタピラーリーンフォースメントよりも延出させて上記補強部材に接合し、上記第2の補強部材の上端延出部には、上下方向に湾曲部を形成したことにある。
センターピラー部に加わる荷重は、センターピラーリーンフォースメントの下端部から補強部材に伝わり、この補強部材からサイドシル部全体に分散して伝わるので、サイドシル部の一部分に荷重が集中することがない。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1ないし図3において、車体1の左右側面にそれぞれフロントドア2およびリヤドア3を設けた4ドア車では、フロントドア2とリヤドア3相互間にセンタピラー部4が設けられている。通常、センタピラー部4には、フロントドア2をロックするストライカと、リヤドア3を支持するヒンジが取り付けられている。センタピラー部4の下端部には、フロントドア2とリヤドア3の開口部下辺を構成するサイドシル部5が設けられている。
【0009】
サイドシル部5は、図4に示すように、サイドボデイアウタパネル6の下辺部6aに形成されており、サイドボデイアウタパネル6の室内側下辺部6aの上縁フランジ部6a1 と下縁フランジ部6a2 に、サイドシルストレングス7とサイドシルインナパネル8が、それぞれ上縁フランジ部7a,8aと、下縁フランジ部7b,8bを接合されて、閉じ断面S1 ,S2 を形成している。
サイドシル部5とセンタピラー部4の接続部分は、センタピラー部4に加わる荷重を段階的に分散してサイドシル部5に伝達するように、図2および図5ないし図8に示すような構成で各構成部品が組み付けられている。
サイドボデイアウタパネル6とサイドシルストレングス7で構成される上記閉じ断面S1 の内側には、サイドシルストレングス7の外側に、車体1の前後方向に一定の長さL1 を有する横断面コ字形の、いわゆるハット型断面構造のサイドシルアウタストレングス9が第1の補強部材として上下フランジ部9a,9bを介して接合されている(図2および図5参照)。このサイドシルアウタストレングス9は、サイドボデイアウタパネル6の内面との間隙を広げるため、小さい閉じ断面S3 形状に形成されている。
このサイドシルアウタストレングス9の内側には、長手方向、すなわち車体1の前後方向に間隔をおいてコ字状をした複数(図示例では3個)のブレース10が接合されて補強されている。
【0010】
一方、上記センタピラー部4は、図2、図6および図7に示すように、ルーフパネルとサイドシル部5との間に接合されたセンタピラーインナパネル11と、サイドボデイアウタパネル6のピラー部6bと、センタピラーインナパネル11とピラー部6b相互間に内蔵されたセンタピラーリーンフォースメント12で構成されている。センタピラーリーンフォースメント12の内側には、サイドシルアウタストレングス9との間に、逆T字状のサイドシルストレングスエクステンション13が第2の補強部材として配設されている。
このサイドシルストレングスエクステンション13は、両側延出部13aをサイドシルアウタストレングス9の外面に接合し、上端延出部13bをセンタピラーリーンフォースメント12の内面12aに接合して、配設されている。このサイドシルストレングスエクステンション13の両側延出部13aの長さL2 は、サイドシルアウタストレングス9の長さL1 よりも短く、かつセンタピラーリーンフォースメント12の幅L3 よりも長く形成されている。また、上端延出部13bは上下方向に湾曲部gが形成されており、ベルトライン部への負担を軽減している。これは、センタピラーリーンフォースメント12とサイドシルストレングスエクステンション13がスポット溶接によって接合されているので、センタピラーリーンフォースメント12とサイドシルストレングスエクステンション13は一体構造となり、センタピラー部4とサイドシル部5の接続部は強固になっているため、ベルトライン部へ応力が集中するのを防ぐためである。
【0011】
上記センタピラーリーンフォースメント12の下端部は、サイドシル部5内まで延長するようにサイドシルアウタストレングス9の下面側まで延設し、該延設部12bをサイドシルアウタストレングス9の下縁側フランジ部9bとともにサイドシルストレングス7の下部側に接合している。このセンタピラーリーンフォースメント12の下端部は、サイドシルアウタストレングス9の周囲に巻き付けるようにして、サイドボデイアウタパネル6の内面との間隙fを開けるようにしている。
【0012】
サイドシルインナパネル8の室内側には、図3に示すように、車体前部側にメインフロアパネル14が、車体後部側にリヤフロアパネル15が配設されている。メインフロアパネル14には、フロアクロスメンバ16が、リヤフロアパネル15には、リヤフロアクロスメンバ17が左右のサイドシルインナパネル8間に掛け渡すようにして、それぞれ車幅方向に配設されている。
【0013】
サイドシルストレングス7とサイドシルアウタストレングス9は、車体前方側では、フロアクロスメンバ16よりも前方まで延長し、車体後方側では、リヤフロアクロスメンバ17よりも後方まで延長して配設されている。
【0014】
上記構成によると、センタピラー部4からサイドシル部5に伝わる荷重は、センタピラー部4の接続部分からサイドシル部5へと伝わる。サイドシル部5は最も荷重の加わる部分では、図6に示すように、センタピラーリーンフォースメント12と、サイドシルストレングスエクステンション13と、サイドシルアウタストレングス9とで補強されているので、充分な剛性を確保することができる。すなわち、センタピラーリーンフォースメント12の下端部を、サイドシル部5内まで延長するようにサイドシルアウタストレングス9の下面側まで延設してサイドシルアウタストレングス9の下縁側フランジ部9bとともにサイドシルストレングス7の下部側に接合し、しかも、このセンタピラーリーンフォースメント12の下端部を、サイドシルストレングスエクステンション13で補強しているので、充分な強度を得ることができる。
【0015】
そして、センタピラーリーンフォースメント12から外れた部分では、サイドシルストレングスエクステンション13とサイドシルアウタストレングス9で補強されているので、サイドシル部5の剛性を確保することができる。
こうして、サイドシルストレングスエクステンション13に伝わる荷重は、サイドシルアウタストレングス9に伝達されるので、徐々に分散して受けることができる。このサイドシルアウタストレングス9は、ブレース10によっても補強されているので、充分な強度を得ることができる。
このように、センタピラー部4に加わる荷重は、段階的に分散されてサイドシル部5の両側へと伝わるので、サイドシル部5の一部に荷重が集中することがなく、サイドシル部5の折れを防ぐことができる。
【0016】
また、サイドボデイアウタパネル6の内面とセンタピラーリーンフォースメント12の間隙が広がるので、電着液の流れがよくなり、従来の電着液を流すための穴と、穴を塞ぐキャップを必要としない。よって、コスト削減となる。
【0017】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、たとえば、サイドシルストレングスエクステンション13の両側延出部13aの長さL2 は必要に応じて任意に設定することができ、また、上端延出部13bの長さも必要に応じて長さを設定することができる。さらに、サイドシルアウタストレングス9の内部に設けるブレース10の数および板厚は、必要に応じて適宜選定することができる。
【0018】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明による自動車の車体構造によれば、以下のような効果を奏する。
請求項1において、閉じ断面構造に形成したサイドシル部に、センタピラーリーンフォースメントによって補強したセンタピラー部を接合した自動車の車体構造において、
上記サイドシル部の外側面に閉じ断面を形成する補強部材を接合し、上記センタピラーリーンフォースメントと上記補強部材の間に第2の補強部材を設け、上記第2の補強部材は上記センタピラーリーンフォースメントと上記補強部材の重合部に、上端部を上記補強部材より延出させて上記センタピラーリーンフォースメントに接合し、両側部を上記センタピラーリーンフォースメントよりも延出させて上記補強部材に接合し、上記第2の補強部材の上端延出部には、上下方向に湾曲部を形成したので、センタピラー部とサイドシル部の接続部分の剛性を向上することができる。また、電着液が流れやすくなり、従来の電着液を流すための穴と、穴を塞ぐキャップが不要になり、コストダウンを図ることができる。センタピラー部に加わる荷重は、段階的に分散されてサイドシル部へと伝わることから、サイドシル部の一部に荷重が集中することがない。さらに、サイドシル部全体を補強するのに比べて軽量化が図れ、コストダウンを図ることができる。
請求項2において、補強部材の内側に補強ブレースを配設したので、サイドシル部の強度を上げることができる。また、センタピラー部に上向きの力が加わった場合に、補強部材が、上方に向かって折れ曲がるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】4ドア車の車体を示す側面図である。
【図2】本発明の自動車の車体構造における実施の形態を示す図1のZ部をサイドボデイアウタパネルを外して示す拡大図である。
【図3】本発明の自動車の車体構造を室内側から見た状態を示す分解斜視図である。
【図4】図2のA−A線断面図である。
【図5】図2のB−B線断面図である。
【図6】図2のC−C線断面図である。
【図7】図2のD−D線断面図である。
【図8】図2のE−E線断面図である。
【図9】従来の4ドア車の車体側面構造を示す分解斜視図である。
【図10】図9のF−F線断面図である。
【図11】図9のG−G線断面図である。
【符号の説明】
1 車体
4 センタピラー部
5 サイドシル部
6 サイドボデイアウタパネル
7 サイドシルストレングス
8 サイドシルインナパネル
9 サイドシルアウタストレングス(補強部材)
10 ブレース
11 センタピラーインナパネル
12 センタピラーリーンフォースメント
13 サイドシルストレングスエクステンション(第2の補強部材)
14 メインフロアパネル
15 リヤフロアパネル
16 フロアクロスメンバ
17 リヤフロアクロスメンバ
S1 ,S2 ,S3 閉じ断面
Claims (2)
- 閉じ断面構造に形成したサイドシル部に、センタピラーリーンフォースメントによって補強したセンタピラー部を接合した自動車の車体構造において、
上記サイドシル部の外側面に閉じ断面を形成する補強部材を接合し、上記センタピラーリーンフォースメントと上記補強部材の間に第2の補強部材を設け、上記第2の補強部材は上記センタピラーリーンフォースメントと上記補強部材の重合部に、上端部を上記補強部材より延出させて上記センタピラーリーンフォースメントに接合し、両側部を上記センタピラーリーンフォースメントよりも延出させて上記補強部材に接合し、上記第2の補強部材の上端延出部には、上下方向に湾曲部を形成したことを特徴とする自動車の車体構造。 - 上記補強部材の内側に補強ブレースを配設したことを特徴とする請求項1に記載の自動車の車体構造。
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