JP4505942B2 - 放電灯点灯装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電灯を高周波により点灯させる放電灯点灯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
省エネルギのニーズが高まるなか、照明においては放電灯の高効率点灯のため様々な方式の高周波インバータが放電灯点灯装置に用いられるようになってきた。
【0003】
インバータを用いた放電灯点灯装置の基本構成としては、例えば図26のようなものがある。
【0004】
この放電灯点灯装置は、商用電源ACをダイオードブリッジからなる整流回路1を通して全波整流した後、平滑回路2により平滑して直流にし、この直流電圧をインバータ回路3により任意の周波数、波形の高周波交流電圧を発生させ、この高周波交流電圧で放電灯4を点灯させるものである。
【0005】
インバータ回路3として、例えば1対のスイッチング素子Q1、Q2を直列に接続して、このスイッチング素子Q1、Q2を交互にオン・オフさせるハーフブリッジ型のインバータが用いられる場合、一般に電源電圧補償やランプ電流のクレストファクタ改善、調光制御のためスイッチング素子Q1,Q2をアンバランスに駆動する手段が用いられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなインバータ回路3で放電灯4を点灯するランプ電圧波形は正負サイクルが非対称となり、両サイクルの平均値が0にならない。即ち実質的に直流電圧(DCバイアス)が重畳される。
【0007】
一方放電灯4が、例えば蛍光ランプの場合には、発光に寄与する液体水銀と数百Paの希ガス(例えばアルゴン、ネオン、クリプトン等)が封入されており、水銀はランプ管壁最冷点温度に比例する蒸気圧で管内に存在する。
【0008】
また、蒸気となったもの以外の余剰水銀は、上記最冷点に液体として存在し、その位置は基本的にランプ構造によって決まるが、周囲温度分布や風の影響を受けて容易に移動する。
【0009】
このため何らかの原因で液体水銀がDCバイアスの−側に寄った場合、+イオン化した水銀は早期に−側に移動させられてしまう。
【0010】
また更に最冷点の温度が低い場合、上記水銀蒸気圧は低下するため放電灯4の照度が低下する。これが更に進行すると、水銀による発光が減少し極端にはDCバイアスの+側ランプ端では希ガス発光、−側ランプ端では水銀による白色発光という光のアンバランスを呈するカタホレシス現象を引き起こすという不都合があった。
【0011】
この欠点を回避するためには、例えばインバータ回路3のスイッチング素子Q1,Q2のスイッチングのデューティを終始アンバランスにさせないよう略50%として駆動し、ランプ電圧に重畳するDCバイアスを0Vにする手段も考えられるが、上記のインバータ点灯の利点が減じる等の不都合がある。
【0012】
そこで本発明者らはカタホレシス現象発生の要因であるインバータ出力に重畳する直流電圧と放電灯の最冷点温度を制御する方法について検討した。
【0013】
具体的には検知された直流電圧(DCバイアス)を、最冷点温度に応じて異なる複数の基準値と比較し、常にその基準値より小さくなるように制御する方法である。
【0014】
この基準値は、人間の目に認識されるカタホレシスの2つの現象、即ち直流電圧の正負極性の光のアンバランス度α及び、+側の希ガスと金属蒸気の発光スペクトル強度比βから求めることができる。
【0015】
つまり前者は輝度のムラの認識限界値を与え、後者は色の変化度合いを表したものである。
【0016】
様々な直流電圧Vdcと最冷点温度Tの組合わせのカタホレシスを発生させ、これらの値を回帰分析することで、このαとβの間には図27のような相関関係が成立することが分かった。
【0017】
この結果より、αの認識限界レベルAとなるβの値を求めることで、カタホレシス発生の境界レベルBを得ることができる。
【0018】
一方、最冷点温度Tに対するβの変化は図28に示すような曲線となり、これを直流電圧Vdc1…毎に調べることで、それぞれの条件に対してカタホレシスが境界レベルBになるときの最冷点温度T1…を知ることができる。
【0019】
これによれば最冷点温度Tと直流電圧Vdcは図29のように直線回帰でき、これが基準境界線Lを示すことになる。
【0020】
つまり、最冷点温度Tと直流電圧Vdcの組合わせが常にこの基準境界線Lより低くなるように制御されれば、いかなる形においてもカタホレシスは決して認識されることはない。
【0021】
以上の関係は基本的に全点光、調光点灯時でも関係なく用いることができる。さらに、放電灯4の金属蒸気の封入形態が液体やアマルガムのような固体においても有効であり、ロングステムなどの金属蒸気圧力制御部の有無、放電管の形状や寸法にも一切制約を受けない。
【0022】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは直流電圧が重畳したインバータ点灯においても放電灯のカタホレシス現象を抑制し、また最冷点温度によらず安定した光を出力できる放電灯点灯装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明では、電源に接続され、直流電圧成分を含む高周波出力電圧を出力するインバータ回路と、上記高周波出力電圧を受け点灯する少なくとも希ガスと金属蒸気とを含む放電灯とを備えた放電灯点灯装置において、上記高周波出力電圧に含まれる上記直流電圧成分を検出して該検出電圧に応じた信号レベルの検出信号を出力する出力状態検出部と、放電灯の最冷点温度を検出する最冷点温度検出部を備え上記最冷点温度に応じて信号レベルが変化する複数の基準信号を選択して出力する基準信号発生部と、上記検出信号の信号レベルと上記基準信号の信号レベルとを比較し、上記検出信号の信号レベルが上記基準信号の信号レベルより低くなる方向に上記インバータ回路の上記高周波出力電圧を制御する制御部とを備え、上記基準信号発生部は、上記高周波出力電圧に含まれる直流電圧成分が、上記直流電圧成分を上記最冷点温度の一次近似式により示した基準境界線より低い電圧になるように、上記基準信号を出力することを特徴とする。
【0026】
請求項2の発明では、電源に接続され、直流成分を含む高周波出力電圧を出力するインバータ回路と、上記高周波出力電圧を受け点灯する少なくとも希ガスと金属蒸気とを含む放電灯とを備えた放電灯点灯装置において、上記高周波出力電圧に含まれる直流電圧成分が、使用周囲温度に対する最冷点温度の範囲内で常に、直流電圧成分を上記最冷点温度の一次近似式により示した基準境界線を越えないように設定したことを特徴とする。
【0027】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、上記希ガスがアルゴンで上記金属蒸気が水銀であって、上記インバータ回路の上記高周波出力電圧を受け点灯する4フィート放電灯において、上記直流成分Vdcとし、最冷点温度をTとする上記一次近似式が、略Vdc=0.6T−4.3と成ることを特徴とする。
【0034】
【発明の実施の形態】
上述したように一般に金属蒸気を発光させて光を得る放電灯、例えば蛍光ランプ等はその水銀蒸気圧が管壁最冷点温度により容易に変化するため、低温においては安定した良質の光を得ることが困難(例えば照度低下)になるという性質をもつ。
【0035】
これを防ぐには、器具構造での温度低下防止や使用環境の限定などをせねばならず、非常に非効率であるし、またある最悪レベルを見据えた対策になることが多いため、少しでも環境の変化があると追随できなくなる可能性もある。
【0036】
しかし、これらの問題を放電灯の設計で吸収することには限界がある。
なぜならば、放電灯のガスパラメータや発光管の形状・寸法、電極等は、基本的に標準状態で使用されたときに最大の性能及び寿命になるように設計されているからである。
【0037】
例えば蛍光ランプの場合、JIS C7601より光束は25±1℃での値が定格値となっているが実用上での使用範囲は屋内から屋外まで非常に幅広い。
【0038】
ユーザーにとってはその使用環境下でいつでも安定した光が得られることがメリットとなることはいうまでもなく、更に最近の省エネルギー化の観点から、エネルギー消費効率を高くする必然性からも、周囲環境に影響を受けない安定した放電灯点灯装置が必要になるのである。
【0039】
本発明のポイントの一つとしては、放電灯点灯装置にリアルタイムに放電灯の点灯状態をモニターする機能を持たせ、その情報を装置自身にフィードバックし、一定の判断基準に沿って点灯状態を修正することができるようにした点である。
【0040】
これによれば、放電灯自身の設計を変更することなしに、システムとして放電灯の光変化を吸収することが可能となる。
【0041】
更に別のポイントとして、インバータ回路の設計上で出力電圧に重畳する直流電圧による、放電灯内の金属イオンの−極へのドリフト現象に伴う光のアンバランス、即ちカタホレシス現象も簡単に制御できインバータの設計上の制約さえも吸収できるようにした点である。
【0042】
つまり本発明によれば、カタホレシスや照度低下を含めた放電灯の設計上必然的に起こる現象を放電灯及びインバータ回路の設計制約なしに自由に制御でき、それは器具の最適設計にも役立てることができる上、ユーザー側にとってはあらゆる環境下で安定した良質の光を提供できる放電灯点灯装置を得ることができるという相互のメリットが生じる。
【0043】
以下本発明を実施形態により詳説する。
【0044】
(実施形態1)
本実施形態は、高周波出力電圧に直流電圧を重畳したインバータ回路と蛍光ランプからなる放電灯の組合わせにおいて、最冷点温度が低下したときにカタホレシスが発生しないように直流電圧を制御する放電灯点灯装置を構成するものである。
【0045】
ここで本実施形態の放電灯点灯装置に負荷として用いる放電灯たる蛍光ランプは、バッファガスとして少なくともアルゴンが、金属蒸気として水銀が用いられており、この2つの挙動がカタホレシスに重要な影響を及ぼす。カタホレシスの基準値は、人間の目に認識される2つの現象、即ち直流電圧の正負極性の光の輝度比A+/A−及び、+側のアルゴンスペクトル強度S(λAr)と水銀蒸気の発光スペクトル強度S(λHg)の比、S(λAr)/S(λHg)から求めることができる。
【0046】
λAr及びλHgはそれぞれカタホレシス発生レベルと相関を持った一定の波長である。
【0047】
水銀発光は上述したとおり周囲温度、即ちそれと相関関係を持つランプの最冷点温度Tが低下するとともに弱くなる上に、イオン化した水銀原子は直流電圧(DCバイアス)によって−極側にドリフトしてしまうので時間とともに低下する。
【0048】
一方、希ガス圧力の温度依存性は水銀蒸気のそれと比べれば無視できる上その殆どが中性粒子であるので、アルゴン発光は直流電圧(DCバイアス)の影響を受けず、時間が経過してもほぼ一定のレベルを保つ。
【0049】
従って、このスペクトル強度比S(λAr)/S(λHg)は、大きくなればなるほど水銀発光が弱くなりアルゴン発光はほぼ一定な為に、アルゴンの赤色発光が認識されるようになるのである。
【0050】
つまり以上説明した輝度比A+/A−は輝度のムラの認識限界値を与え、スペクトル比S(λAr)/S(λHg)は色の変化度合いを表したものである。
【0051】
上述の蛍光ランプを用いて、様々な直流電圧Vdcと最冷点温度Tの組合わせのカタホレシスを発生させ、これらの値を回帰分析することで、A+/A−と、S(λAr)/S(λHg)との間には図2のような相関関係が成立することが分かった。この結果より、輝度比A+/A−の認識限界レベルaとなるスペクトル比S(λAr)/S(λHg)の値を求めると、カタホレシス発生の境界レベルS(λAr)/S(λHg)=1を得ることができた。
【0052】
一方、最冷点温度Tに対するS(λAr)/S(λHg)の変化は図3に示すような曲線となり、これを直流電圧Vdc毎に調べることで、それぞれの条件に対してカタホレシスが境界レベルS(λAr)/S(λHg)=1になるときの最冷点温度を知ることができた。
【0053】
最冷点温度Tと直流電圧Vdcは図4のようにVdc(V)=0.6T(℃)−4.3という関係に直線回帰できるので、これが蛍光ランプのカタホレシスを認識するための基準境界線Lを示すことになる。
【0054】
つまり、最冷点温度Tと直流電圧Vdcの組合わせが常にこの基準境界線より低くなるようにインバータ回路の出力に重畳される直流電圧が制御されれば、いかなる形においてもカタホレシスは決して認識されることはない。
【0055】
また以上の関係は、最冷点温度Tで相関付けられているため、基本的に全点灯時、調光点灯時でも関係なく用いることができる。
【0056】
さらに、蛍光ランプの水銀蒸気の封入形態が液体やアマルガムのような固体においても有効であり、ロングステムなどの水銀蒸気圧力制御部の有無、放電管の形状や寸法にも一切制約を受けない。
【0057】
上記のような点を考慮して本実施形態の放電灯点灯装置は図1に示すように商用電源ACにヒューズFを介して接続されるダイオードブリッジからなる整流回路1と、この整流回路1の脈流出力を平滑する平滑回路2と、平滑された直流電圧をチャージする大型の電解コンデンサからなるコンデンサCと、平滑回路2を制御する制御回路5と、コンデンサCの直流電圧を高周波の交流電圧に変換し、その出力電圧波形に直流電圧Dの成分が含まれるインバータ回路3と、インバータ回路3を制御する制御回路6と、負荷の蛍光ランプからなる放電灯4と、インバータ回路3の出力電圧波形に含まれる直流電圧Dを検出する出力状態検出部7と、放電灯表面温度Tを検出する検出部8と、両検出部7,8の検出に基づいてインバータ回路3を制御して上記直流電圧Dを制御する制御信号を出力する検知回路9とより構成される。
【0058】
より具体的には平滑回路2には昇圧チョッパ回路が、制御回路5としては、昇圧チョッパ回路を制御する回路が、また放電灯4としては直管蛍光ランプ(FHF32)が、また商用電源ACとして100V、60Hzが用いられ、検出部8には熱電対が、インバータ回路3としては他励式ハーフブリッジインバーからなるインバータ回路が、更に制御回路6としてはスイッチング素子Q1、Q2を制御するインバータスイッチ制御回路が夫々用いられる。
【0059】
また検知回路9は、上記検出部8の検出温度Tに応じた信号レベルの基準信号を出力する基準信号発生部を内蔵するとともに、この基準信号発生部の基準信号の信号レベルと出力状態検出部7の検出信号のレベルとを比較して検出信号の信号レベルが基準信号のレベルより低くなるようにインバータ回路3の動作を制御する制御信号を出力する機能を備え、制御部を構成している。
【0060】
本実施形態の放電灯点灯装置の動作を、図5を用いて説明すると以下のようになる。
【0061】
当初蛍光ランプたる放電灯4は、図5に示す最冷点温度の高い状態(a)で動作しているが、冬季や突発的なクーラーからの風の存在などにより急激な最冷点温度の低下(T1→T2)が起こると、その動作点はインバータ回路3の出力に重畳した直流電圧D1が一定な場合、動作点(b)に移動しようとする。
【0062】
しかし、検知回路9にて、出力状態検出部7により検出された直流電圧に対応する検出信号のレベル(ここでは説明を簡単にするため検出信号のレベルを検出した直流電圧D1で示す)と、検出部8で検出した最冷点温度T2に対応する上記カタホレシス認識の基準境界線Lに基づく基準信号の信号レベルと比較することで、インバータ回路3の高周波出力電圧に含まれる直流電圧D1を降下させるように、制御回路6に制御信号を送る。
【0063】
この制御信号を受けて、制御回路6はインバータ回路3のスイッチング素子Q1,Q2のオン−オフのデューティをアンバランスに動作させることで出力波形を非対称度を変化させ、検出される直流電圧をD2まで降下させることにより動作点を(c)として、カタホレシス発生を未然に防止する。
【0064】
検出される直流電圧D2は基準境界線L以下で且つ0Vより大きい点ならばどこでも任意に設定できる。
【0065】
尚インバータ回路3としてはの高周波出力に直流電圧成分が重畳された電圧を該放電灯4に印加させるものであれば良いため、図1に示すようなスイッチング素子Q1,Q2を用いた他励式ハーフブリッジのインバータ回路に特に限定されるものではなく、一石式や一石兼用方式、Push−Pull方式、高周波充電方式、高周波重畳方式、フルブリッジ方式など各種インバータ方式のインバータ回路を用いてもよい。
【0066】
(実施形態2)
本実施形態は、高周波出力電圧に直流電圧を重畳したインバータ回路と蛍光ランプからなる放電灯との組合わせにおいて、最冷点温度が低下したときにカタホレシスが発生しないように最冷点温度を制御する放電灯点灯装置を構成するものである。
【0067】
実施形態1と同様に、本実施形態の放電灯点灯装置に接続される放電灯たる蛍光ランプもそのバッファガスとして少なくともアルゴンが、金属蒸気として水銀が用いられており、そのカタホレシスの基準境界線Lは、最冷点温度Tと直流電圧Vdcの関係でVdc(V)=0.6T(℃)−4.3と表すことができる。
【0068】
つまり、最冷点温度Tと直流電圧Vdcの組合わせが常にこの基準境界線Lより低くなるように最冷点温度が制御されれば、いかなる形においてもカタホレシスは決して認識されることはない。
【0069】
また以上の関係は、最冷点温度Tで相関付けられているため、基本的に全点灯時、調光点灯時でも関係なく用いることができる。
【0070】
さらに、蛍光ランプの水銀蒸気の封入形態が液体やアマルガムのような固体においても有効であり、ロングステムなどの水銀蒸気圧力制御部の有無、放電管の形状や寸法にも一切制約を受けない。
【0071】
上記のような点を考慮して本実施形態の放電灯点灯装置は、図6に示すように構成される。図示するように本実施形態の構成は、例えば100V、60Hzの商用電源ACにヒューズFを介して接続されるダイオードブリッジからなる整流回路1と、この整流回路1の脈流出力を平滑する平滑回路2と、平滑された直流電圧をチャージする大型の電解コンデンサからなるコンデンサCと、平滑回路2を制御する制御回路5と、コンデンサCの直流電圧を高周波の交流電圧に変換する出力電圧波形に直流電圧Dの成分を含んでいる他励式ハーフブリッジインバータからなるインバータ回路3と、インバータ回路3を制御する制御回路6と、直感型蛍光ランプFHF32からなる放電灯4と、インバータ回路3の出力電圧波形に含まれる直流電圧Dを検出する出力状態検出部7と、放電灯表面温度Tを検出する検出部8とを備えるとともに、両検出部7,8の検出に基づいて最冷点温度を制御部を構成する検知回路9と、放電灯4の管壁を加熱するヒーター11と、該ヒーター11の通電を制御する制御回路10とを備えている。そして具体的にはヒーター11としてリボンヒーターが用いられている。また検知回路9は実施形態1のようにインバータ回路3の制御回路6には制御信号を出力するようにはなっていない。
【0072】
次に本実施形態の放電灯点灯装置の動作を、図7を用いて説明すると以下のようになる。
【0073】
当初蛍光ランプたる放電灯4は、最冷点温度の高い状態(a)で動作しているが、冬季や突発的なクーラーの風の存在などにより急激な最冷点温度の低下(T1→T2)が起こると、その動作点はインバータ回路3の出力に重畳した直流電圧D1が一定な場合、動作点(b)に移動しようとする。
【0074】
しかし、検知回路9は、実施形態1の場合と同様に出力状態検出部7で検出された直流電圧D1と、検出部8で検出された放電灯表面温度たる最冷点温度T2に対応した上記カタホレシス基準境界線Lに基づく基準信号とを比較することで、最冷点温度を上昇させるように、ヒーター制御回路10に制御信号を送る。この制御信号を受けたヒーター制御回路10はヒーター11の通電を制御して発熱温度を変化させ、放電灯4の管壁温度を上昇させ最冷点温度をT2からT3まで上昇させて動作点を(c)に移動させることにより、カタホレシス発生を未然に防止する。
【0075】
なお、最冷点温度T3は基準境界線L以下になる点ならばどこでも任意に設定できる。
【0076】
尚、本実施形態のインバータ回路3としては高周波出力に直流電圧成分が重畳された電圧を該放電灯4に印加させるインバータ回路であればよいので、図6に示すようなスイッチング素子Q1,Q2を用いた他励式ハーフブリッジのインバータ回路に特に限定されるものではなく、一石式や一石兼用方式、Push−Pull方式、高周波充電方式、高周波重畳方式、フルブリッジ方式など各種インバータ方式のインバータ回路を用いてもよい。
【0077】
(実施形態3)
本実施形態は、高周波出力電圧に直流電圧を重畳したインバータ回路と蛍光ランプからなる放電灯の組合わせにおいて、最冷点温度が低下してもカタホレシスが発生しないように器具構造で最冷点温度を一定以上にする放電灯点灯装置を構成する。
【0078】
つまり実施形態1と同様に、本実施形態で用いる放電灯たる蛍光ランプもそのバッファガスとして少なくともアルゴン、金属蒸気として水銀が用いられており、上述したそのカタホレシスの基準境界線は、最冷点温度Tと直流電圧Vdcの関係でVdc(V)=0.6T(℃)−4.3と表すことができる。
【0079】
つまり、最冷点温度Tと直流電圧Vdcの組合わせが常にこの基準境界線より低くなるような最冷点温度になっていれば、いかなる形においてもカタホレシスは決して認識されることはない。
【0080】
また以上の関係は、最冷点温度で相関付けられているため、基本的に全点灯時、調光点灯時でも関係なく用いることができる。
【0081】
さらに、蛍光ランプの水銀蒸気の封入形態が液体やアマルガムのような固体においても有効であり、ロングステムなどの水銀蒸気圧力制御部の有無、放電管の形状や寸法にも一切制約を受けない。
【0082】
本実施形態はこのような点に鑑みてなされたもので、図8は本実施形態の動作概念を示す図である。
【0083】
つまりオフィスなどのように一年の気温変化が少ない場所に対して、屋外では図9に示すように四季の変化に対して気温が周期的に変化する。
【0084】
そのような場所に設置する放電灯点灯装置を含む照明器具の設計をする時点で、組み合わされるインバータ回路の出力電圧波形に含まれる直流電圧Dは分かるから、そのカタホレシス発生範囲の予測ができ、例えばそれが図8におけるT1−T2間でカタホレシスを認識する基準境界を上回るとする。
【0085】
しかし、図9のように四季を通じて気温はT1−T3の間を振動するのみであるから、T1を基準境界線Lより低くなるように高い点、例えばT4にすればT5は自然に決まりT5=T4+(T3−T1)となりその範囲は全て基準境界線Lより下になる。
【0086】
即ち本実施形態の放電灯点灯装置であれば、四季を通じてカタホレシスを起こすことは決してない。
【0087】
具体的な構成例としては、図10(a)(b)に示すように蛍光ランプからなる放電灯4の外周をスリーブ12で覆い、管端をパッキン13でシールする方法や、図11(a)(b)のように器具本体14に光透過性樹脂等のカバー15を付け、放電灯4を密閉する手段を用いて最冷点温度が上記のT4−T5の範囲となるようにするのである。
【0088】
本実施形態の放電灯点灯装置に使用するインバータ回路は高周波出力に直流電圧成分が重畳された電圧を放電灯に印加させるものであれば良いため、ハーフブリッジ式、一石式や一石兼用方式、Push−Pull方式、高周波充電方式、高周波重畳方式、フルブリッジ方式など、何れの回路方式でもよく、ここでは回路構成については特に図示しない。
【0089】
(実施形態4)
本実施形態は、高周波出力電圧に直流電圧を重畳したインバータ回路と蛍光ランプからなる放電灯の組合わせにおいて、最冷点温度が低下してもカタホレシスが発生しないように常に直流電圧を一定以下にする放電灯点灯装置を構成する。
【0090】
実施形態1と同様に、本蛍光ランプもそのバッファガスとして少なくともアルゴンが、また金属蒸気として水銀が用いられており、そのカタホレシスの基準境界線は、最冷点温度Tと直流電圧Vdcの関係でVdc(V)=0.6T(℃)−4.3と表すことができる。
【0091】
つまり、最冷点温度Tと直流電圧Vdcの組合わせが常にこの基準境界線より低くなるような最冷点温度になっていれば、いかなる形においてもカタホレシスは決して認識されることはない。
【0092】
また以上の関係は、最冷点温度で相関付けられているため、基本的に全点灯時、調光点灯時でも関係なく用いることができる。
【0093】
さらに、蛍光ランプの水銀蒸気の封入形態が液体やアマルガムのような固体においても有効であり、ロングステムなどの水銀蒸気圧力制御部の有無、放電管の形状や寸法にも一切制約を受けない。
【0094】
本実施形態はこのような点に鑑みて為されたもので、図12は本実施形態の動作概念的に示す図である。
【0095】
まず蛍光ランプたる放電灯の使用温度範囲は、光出力の他に始動という観点からも決められねばならない。一般に、蛍光ランプの最冷点温度に対する始動電圧Vignの変化は図13のようになり、その下限温度は接地等の実用状況を考えあわせ、あるマージンを見込んでT0に決めることができる。
【0096】
即ち、この温度T0と上記カタホレシス基準境界線から、実用上で全くカタホレシスの発生しないエリアは、図12のハッチングで示された部分(I)となり、直流電圧Dが0<D≦1(V)であれば放電灯はカタホレシスを起こしようがないのである。
【0097】
従って本実施形態の放電灯点灯装置はインバータ回路の高周波出力に重畳される直流電圧Dを上記の範囲に設定した回路構成を用いる。
【0098】
尚本実施形態の放電灯点灯装置に使用するインバータ回路は高周波出力に直流電圧成分が重畳された電圧を放電灯に印加させるものであれば良いため、ハーフブリッジ式、一石式や一石兼用方式、Push−Pull方式、高周波充電方式、高周波重畳方式、フルブリッジ方式など、何れの回路方式でもよく、ここでは回路構成については特に図示しない。
【0099】
(実施形態5)
本実施形態は、インバータ回路の高周波出力電圧に直流電圧を重畳したインバータと蛍光ランプの組合わせにおいて、最冷点温度が低下あるいは上昇したときにカタホレシス及び照度の低下が発生しないように、直流電圧と最冷点温度を同時に制御する放電灯点灯装置を構成する。
【0100】
まず本実施形態に放電灯として用いる蛍光ランプは実施形態1と同様にそのバッファガスとして少なくともアルゴンが、また金属蒸気として水銀が用いられており、そのカタホレシスの基準境界線は、最冷点温度Tと直流電圧Vdcの関係でVdc(V)=0.6T(℃)−4.3と表すことができる。
【0101】
つまり、最冷点温度Tと直流電圧Vdcの組合わせが常にこの基準境界線より低くなるように最冷点温度及び直流電圧が制御されれば、いかなる形においてもカタホレシスは決して認識されることはない。
【0102】
また以上の関係は、最冷点温度で相関付けられているため、基本的に全点灯時、調光点灯時でも関係なく用いることができる。
【0103】
さらに、蛍光ランプの水銀蒸気の封入形態が液体やアマルガムのような固体においても有効であり、ロングステムなどの水銀蒸気圧力制御部の有無、放電管の形状や寸法にも一切制約を受けない。
【0104】
このような点に鑑みて為された本実施形態の放電灯点灯装置の回路構成を図14に示す。本実施形態の回路構成は、例えば100V、60Hzの商用電源ACにヒューズFを介して接続されるダイオードブリッジからなる整流回路1と、この整流回路1の脈流出力を平滑する平滑回路2と、平滑された直流電圧をチャージする大型の電解コンデンサからなるコンデンサCと、平滑回路2を制御する制御回路5と、コンデンサCの直流電圧を高周波の交流電圧に変換し、その出力電圧波形に直流電圧Dの成分が含まれている、他励式ハーフブリッジインバータからなるインバータ回路3と、インバータ回路3を制御する制御回路6と、負荷の蛍光ランプからなる放電灯4と、インバータ回路3の出力電圧波形に含まれる直流電圧Dを検出する出力状態検出部7と、放電灯表面温度Tを検出する検出部8とを備えるとともに、両検出部7,8の検出に基づいて最冷点温度T及び直流電圧Dを制御する制御部を構成する検知回路9と、放電灯4の管壁を加熱するリボンヒーターからなるヒーター11及び該ヒーター11の通電を制御する制御回路10とを備えるとともに、放電灯4の管壁を冷却するクーラー16及びクーラー16を制御する制御回路17とを備えている。そして具体的にはクーラー16としてペルチェ素子が用いられる。本実施形態の検知回路9は実施形態1と同じようにインバータ回路3の制御回路6に対して制御信号を出力する機能が備わっている。
【0105】
次に本実施形態の放電灯点灯装置の動作を、図15を用いて説明すると以下のようになる。
【0106】
蛍光ランプたる放電灯4は、前述したように水銀の蒸気圧によってその光の量が決まるが、水銀蒸気圧は放電灯4の最冷点温度の上昇に伴い図15の(イ)曲線で示すように指数関数的に上昇する。
【0107】
一方放電灯4の発光効率(図15の(ロ)曲線で示す)は水銀蒸気圧略0.6Paでピークとなるため、この前後ではいずれも光が低下し、最冷点温度に対する光の出力特性は略40℃に効率ピークを持った山形になる。
【0108】
これが蛍光ランプの温度特性の所以であるが、本実施形態では図15に示すようにこの発光効率ピークを100%とした場合に、それが少なくとも90%以上になるTL≦T≦THの範囲で、最冷点温度Tおよび直流電圧Dを制御することを特徴とする。
【0109】
その動作を図16を用いて説明する。
【0110】
まず上述したような光の出力が一定レベル以内に収まり、且つカタホレシスが起きない領域はカタホレシスを認識する基準境界線L(Vdc(V)=0.6T(℃)−4.3)とTL≦T≦THで囲まれた網点のエリアで示すことができ、本実施形態の放電灯点灯装置の動作点は全てこの部分に含まれる。例えば、当初放電灯4がカタホレシス発生ポイント(a)の動作状態に設置されたとする。
【0111】
しかし、検知回路9は出力状態検出部7で検出された直流電圧Dと、検出部8で検出した最冷点温度Tに対応する上記基準境界線Lで示される基準信号とを比較し、比較結果に基づいて制御回路6を通じてインバータ回路3を制御し、高周波出力電圧に含まれる直流電圧Dを制御することができるとともに、制御回路10,17を通じてヒーター11及びクーラー16を制御し、放電灯4の最冷点温度Tを制御することができるので、ヒーター11を昇温するように制御回路10を通じて制御し、動作点を(a)’のポイントへ移動させることもできるし、又は直流電圧Dが降下するように、制御回路6を通じてインバータ回路3のスイッチング素子Q1,Q2のオン−オフのデューティを制御してアンバランスに動作させることで出力波形の非対称度を変化させ、(a)”のポイントへ移動させることもできる。
【0112】
またこれらを同時に行うことで、(a)'''のポイントへの移動も可能である。
【0113】
更に、最初から蛍光ランプたる放電灯4の動作ポイントが上記カタホレシスの認識の基準境界線Lより下にある場合でも、例えばポイント(b)の状態は、ヒーター11による昇温でポイント(b)’に移動させることができるし、ポイント(c)のように高すぎる場合でも、クーラー16による冷却でポイント(c)’に移動することが可能になる。
【0114】
以上の本実施形態の放電灯点灯装置によれば、施工場所や環境の変化に全く左右されず一定以上の光出力を出すことができ、その上カタホレシスの発生も抑止できるために、エネルギー消費効率の高い、常に安定した良質の光を提供できる。
【0115】
尚、本実施形態に用いるインバータ回路3としては高周波出力に直流電圧成分が重畳された電圧を該放電灯4に印加させるインバータ回路であればよいので、図14に示すようなスイッチング素子Q1,Q2を用いた他励式ハーフブリッジのインバータ回路に特に限定されるものではなく、一石式や一石兼用方式、Push−Pull方式、高周波充電方式、高周波重畳方式、フルブリッジ方式など各種インバータ方式のインバータ回路を用いてもよい。
【0116】
(実施形態6)
本実施形態は、高周波出力電圧に直流電圧を重畳したインバータ回路と蛍光ランプからなる放電灯の組合わせにおいて、直流電圧及び最冷点温度を常に一定の範囲に保つことで、カタホレシスが発生しないようにした上に、光出力を一定の範囲内に収めることができる放電灯点灯装置を構成する。
【0117】
実施形態1と同様に、本蛍光ランプもそのバッファガスとして少なくともアルゴン、金属蒸気として水銀が用いられており、そのカタホレシスの基準境界線は、最冷点温度Tと直流電圧Vdcの関係でVdc(V)=0.6T(℃)−4.3と表すことができる。
【0118】
つまり、最冷点温度Tと直流電圧Vdcの組合わせが常にこの基準境界線より低くなるように最冷点温度及び直流電圧が制御されれば、いかなる形においてもカタホレシスは決して認識されることはない。
【0119】
図17は、本実施形態の放電灯点灯装置における、蛍光ランプからなるの光出力−最冷点温度の関係を示している。
【0120】
この図から、蛍光ランプの光出力は最冷点温度が略40℃でピークを持ち、それより高くても低くてもそれは低下する。
【0121】
しかしエネルギー消費効率から考えると、その変動範囲は極力小さくすることが望ましい。
【0122】
そこで本実施形態では、この温度範囲をピーク時の光出力を100%としたときに、図17で示すようにその両側で90%以内に収まる温度範囲25℃以上、50℃以下になるよう照明器具構造を密閉にし保温効果を持たせた上、蛍光ランプの調光機能をインバータ回路に付加することにより最冷点温度の制御をするようにし、いかなる環境下でもその光出力を安定させることができ、且つその照明器具効率を最適化するように放電灯点灯装置を構成する。
【0123】
図18、図19は、本実施形態の放電灯点灯装置の照明器具の概略構成図及び回路構成図である。
【0124】
本実施形態では密閉型の照明器具18と、点灯装置ブロック19、調光信号発生ブロック20からなる。
【0125】
点灯装置ブロック19は、例えば100V,60Hzの商用電源ACにヒューズFを介して接続されたダイオードブリッジからなる整流回路1と、この整流回路1の脈流出力を平滑する昇圧チョッパ回路からなる平滑回路2と、この平滑回路2により平滑された直流電圧をチャージする大型の電解コンデンサからなるコンデンサCと、平滑回路2を制御する制御回路5と、コンデンサCの直流電圧を高周波の交流電圧に変化し、その出力電圧波形に直流電圧Dの成分が含まれる他励式ハーフブリッジインバータからなるインバータ回路3と、インバータ回路3のスイッチング素子Q1,Q2のスイッチングを制御する制御回路6と、負荷の直管蛍光ランプFHF32からなる放電灯4と、インバータ回路3の高周波出力電圧に含まれる直流電圧Dを検出する出力状態検出部7と、放電灯最冷点温度Tを検出する検出部8’とを備えるとともに、両検出部7、検出部8’の検出に基づいて直流電圧D及び最冷点温度Tを一定に保つように制御動作を行う制御部を構成する検知回路9と、調光信号発生ブロック20を構成する調光信号制御回路21とより構成される。
【0126】
本実施形態の放電灯点灯装置の特徴を、図20の直流電圧Vdcと最冷点温度Tの関係を用いて説明する。
【0127】
図中直線Lはカタホレシスの認識の基準境界線を示し、基準境界線LとT=25℃及びT=50℃で囲まれる網点の領域(I)が本実施形態の放電灯点灯装置の動作範囲となる。
【0128】
ここでオフィス空間のような一年を通じて温度変動の少ない環境下を考える。
【0129】
本実施形態の照明器具構造により最冷点温度Tは動作範囲(I)内で自然調整されるので、後は直流電圧Vdcの上限を超えない範囲でインバータ回路3の電源電圧補償やランプ電流のクレストファクタ改善、調光制御等のためスイッチング素子Q1,Q2をアンバランス駆動しても構わない。
【0130】
例えば、全点灯時においては図21に示すような0≦Vdc(V)≦5の範囲(II)に収めれば、インバータ回路3の設計の自由度を確保しつつ、放電灯点灯装置を設計できる。
【0131】
しかし、本実施形態の放電灯点灯装置が比較的温度変動の大きい環境下に設置される場合、急激な温度低下に対しては密閉器具18の保温構造により対策できても、夏期の温度上昇に対してはむしろ最冷点温度上昇を回避せねばならない。
【0132】
これに対して、本実施形態の放電灯点灯装置は放電灯4を最冷点温度の上昇に伴って調光することで、実質的に最冷点温度Tを降下させるクーラー効果を持たせている。
【0133】
放電灯4の光出力変動は最冷点温度Tに比例するが、これはインバータ回路3の出力にも相関関係をもっているので、インバータ回路3の出力に比例する回路構成部品の温度、例えばチョークコイルやスイッチング素子の温度と最冷点温度の相関をとれば、放電灯4に非接触で最冷点温度Tを知ることができる。本実施形態では、インバータ回路3の回路構成部品であるチョークコイル近傍に温度を検出するために設置したシリコンダイオードの順方向電圧VFの周囲温度特性を利用して最冷点温度Tを検出するようになっている。つまり当該シリコンダイオードが検出部8’を構成する。
【0134】
本実施形態の放電灯点灯装置では、図20の動作範囲(I)内で放電灯4を動作させるために、図22(b)に示すハッチングした範囲(III)になるように調光信号を調光信号制御回路21で制御する。図22(a)は年間の温度変化を示す。
【0135】
なお、最冷点温度T−調光信号(%)の直線関係は周囲温度によって矢印で示すように平行移動するので、季節による気温変動に従って、その調光下限レベルも自ずから決まる。例えば、全点灯時に図22(b)において最冷点温度Tがポイントa(Δ5℃)になったとする。
【0136】
これに対して、この温度上昇を検知した検知回路9は、最冷点温度Tを5℃下げるために調光信号制御回路21に対して、調光度が40%となる調光信号を調光信号制御回路21より出力するように制御信号を出力すればよいのである。
【0137】
ここで調光の手段としては、インバータ回路3のスイッチングの周波数あるいはデューティ比を変える方法のどちらでも構わない。
【0138】
例えば、インバータ回路3が図23(a)の等価回路で示すような典型的なLC共振回路を用いている場合、その共振カーブは図23(b)のようになり、図中f1、f2は予熱時及び始動時の周波数、f3は全点灯時の周波数、f4は調光時の動作周波数というように、調光時の放電灯4の等価インピーダンスRになるように、動作周波数を変えてやればよい。このインバータ動作は遅相で説明してあるが、もちろん進相でも同様な考え方ができる。尚iはランプ電流を示す。
【0139】
この方法であれば、スイッチングのデューティ比を変えず、動作周波数を変えるため、高周波出力電圧に含まれる直流電圧成分を基本的に小さくすることができ、図24のような0≦Vdc(V)≦1の範囲で、且つT=25℃〜T=50℃の範囲である網点で示す領域(X)で最適制御できる。
【0140】
なお、図中のシンボルは調光信号毎の従来の調光動作ポイントであり、□は全点灯、△は20%、×は40%、*は60%、○は80%、+は95%を示している。
【0141】
また、デューティ比を変える方法においては、スイッチングの正負のアンバランスが大きくなるために直流電圧成分が必然的に大きくなるが、図25に示すような5≦Vdc(V)≦26の範囲で、且つT=25℃〜T=50℃の範囲である網点で示す領域(X)’であれば最適制御できる。
【0142】
本実施形態の放電灯点灯装置によれば、インバータ回路3の高周波出力電圧に重畳する直流電圧の制御と、最冷点温度の調光による制御とを同時に行うことにより、施工場所や環境の変化に全く左右されず一定以上の光出力を出すことができ、その上カタホレシスの発生も抑止できるために、エネルギー消費効率の高い、常に安定した良質の光を提供できる。
【0143】
尚インバータ回路3は、直流電圧成分が重畳された高周波出力電圧を該ランプに印加させる放電灯点灯装置であればよいため、上述の他励式ハーフブリッジインバータに特に限定されるものではなく、一石式や一石兼用方式、Push−Pull方式、高周波充電方式、高周波重畳方式、フルブリッジ方式などのインバータで構成しても良い。
【0144】
尚上記実施形態の構成以外に、放電灯4の両端の光強度を検出する検出部を備え、検出する光強度比に応じて信号レベルが変化する複数の基準信号を出力するように検知回路9を構成しても良い。また放電灯4の少なくとも一端の発光スペクトル或いは希ガス輝線或いは金属蒸気輝線を検出する検出部を備え、上記信号強度若しく強度比に応じて信号レベルが変化する複数の基準信号を出力するように検知回路9を構成しても良い。これらは放電灯4の周囲温度に相関する光強度や発光スペクトル或いは希ガス輝線或いは金属蒸気輝線の信号強度若しくは強度比により、周囲温度(最冷点温度)を検知することと等価的に基準信号を作り出すことができるようにしたものである。
【0145】
【発明の効果】
請求項1の発明の構成によれば、放電灯の周囲温度とインバータ回路の高周波出力電圧に含まれる現在の直流電圧とを監視することで、カタホレシス現象の発生を抑制する方向に自動的にインバータ回路の高周波出力電圧を制御することができるものであって、放電灯自身の設計を変更することなしに、カタホレシス現象の抑制が図れ、しかも安定した良質な光を出力できるためエネルギー消費効率も高くなるという効果がある。
【0146】
さらに、放電灯の最冷点温度と、インバータ回路の高周波出力電圧に含まれる現在の直流電圧成分とで監視することで、上記効果が得られる放電灯点灯装置を実現できる。
【0147】
すなわち、最冷点温度とインバータ回路の高周波出力電圧に含まれる現在の直流電圧成分との現在の組み合わせがカタホレシスの認識の基準境界線より低い電圧になるようにすることで上記効果が得られる放電灯点灯装置を実現できる。
【0148】
請求項2の発明の構成によれば、使用周囲温度範囲とインバータ回路の出力の組合わせでそれが常にカタホレシス発生限界レベルより低くなるよう設計することにより、インバータ回路に対するフィードバック系の回路を備えることなく、また放電灯自身の設計を変更することなしに、カタホレシス現象の抑制が図れ、しかも安定した良質な光を出力できるためエネルギー消費効率も高くなるという効果がある。
【0149】
請求項3の発明の構成によれば、蛍光ランプを負荷とする放電灯点灯装置において、請求項1又は2の発明の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の回路構成図である。
【図2】同上の実施形態2のカタホレシスの認識の基準値の説明図である。
【図3】同上に用いる蛍光ランプの最冷点温度とスペクトル比との関係説明図である。
【図4】同上の同上に用いる蛍光ランプのカタホレシス認識に対応する基準境界線の説明図である。
【図5】同上の動作説明図である。
【図6】本発明の実施形態2の回路構成図である。
【図7】同上の動作説明図である。
【図8】本発明の実施形態3の動作説明用概念図である。
【図9】同上の動作説明図である。
【図10】(a)は同上の照明器具の一例の概略構成を示す断面図である。
(b)は同上の照明器具の一例の概略構成を示す正面図である。
【図11】(a)は同上の照明器具の他例の概略構成を示す断面図である。
(b)は同上の照明器具の他例の概略構成を示す正面図である。
【図12】同上に用いる蛍光ランプのスペクトル比と最冷点温度との関係説明図である。
【図13】同上に用いる蛍光ランプの始動電圧と、最冷点温度の関係説明図である。
【図14】本発明の実施形態4の回路構成図である。
【図15】同上に用いる蛍光ランプの水銀蒸気圧及び発光効率と最冷点温度との関係説明図である。
【図16】同上の動作説明図である。
【図17】本発明の実施形態6における蛍光ランプの光出力と最冷点温度との関係説明図である。
【図18】同上に用いる照明器具の概略構成図である。
【図19】同上の回路構成図である。
【図20】同上のインバータ回路の高周波出力電圧に含まれる直流電圧と最冷点温度の関係説明図である。
【図21】同上の全点灯時のインバータ回路の高周波出力電圧に含まれる直流電圧と最冷点温度の関係説明図である。
【図22】同上における調光信号の制御に対応する調光信号と最冷点温度との関係説明図である。
【図23】同上のインバータ回路の動作説明図である。
【図24】同上の調光時のインバータ回路の高周波出力電圧に含まれる直流電圧と最冷点温度の関係説明図である。
【図25】同上の調光時のインバータ回路の高周波出力電圧に含まれる直流電圧と最冷点温度の関係説明図である。
【図26】従来例の回路構成図である。
【図27】光のアンバランス度と、希ガスと金属蒸気の発光スペクトル強度との関係説明図である。
【図28】希ガスと金属蒸気の発光スペクトル強度と最冷点温度との関係説明図である。
【図29】カタホレシスの認識の基準境界線の説明図である。
【符号の説明】
1 整流回路
2 平滑回路
3 インバータ回路
4 放電灯
5 制御回路
6 制御回路
7 出力状態検出部
8 検出部
9 検知回路
AC 商用電源
F ヒューズ
Q1,Q2 スイッチング素子

Claims (3)

  1. 電源に接続され、直流電圧成分を含む高周波出力電圧を出力するインバータ回路と、
    上記高周波出力電圧を受け点灯する少なくとも希ガスと金属蒸気とを含む放電灯とを備えた放電灯点灯装置において、
    上記高周波出力電圧に含まれる上記直流電圧成分を検出して該検出電圧に応じた信号レベルの検出信号を出力する出力状態検出部と、
    放電灯の最冷点温度を検出する最冷点温度検出部を備え上記最冷点温度に応じて信号レベルが変化する複数の基準信号を選択して出力する基準信号発生部と、
    上記検出信号の信号レベルと上記基準信号の信号レベルとを比較し、上記検出信号の信号レベルが上記基準信号の信号レベルより低くなる方向に上記インバータ回路の上記高周波出力電圧を制御する制御部とを備え、
    上記基準信号発生部は、上記高周波出力電圧に含まれる直流電圧成分が、上記直流電圧成分を上記最冷点温度の一次近似式により示した基準境界線より低い電圧になるように、上記基準信号を出力することを特徴とする放電灯点灯装置。
  2. 電源に接続され、直流成分を含む高周波出力電圧を出力するインバータ回路と、
    上記高周波出力電圧を受け点灯する少なくとも希ガスと金属蒸気とを含む放電灯とを備えた放電灯点灯装置において、
    上記高周波出力電圧に含まれる直流電圧成分が、使用周囲温度に対する最冷点温度の範囲内で常に、直流電圧成分を上記最冷点温度の一次近似式により示した基準境界線を越えないように設定したことを特徴とする放電灯点灯装置。
  3. 上記希ガスがアルゴンで上記金属蒸気が水銀であって、上記インバータ回路の上記高周波出力電圧を受け点灯する4フィート放電灯において、上記直流成分をVdcとし、最冷点温度をTとする上記一次近似式が、略Vdc=0.6T−4.3と成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の放電灯点灯装置。
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