JP4504723B2 - 放電プラズマ処理装置及び放電プラズマ処理方法 - Google Patents

放電プラズマ処理装置及び放電プラズマ処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、大気圧近傍の圧力条件下でグロー放電によりプラズマを発生させて、被処理材の表面改質、エッチングまたはCVD(化学気相成長)を行う放電プラズマ処理装置及びその処理方法に係り、特に、プラズマ処理時に、異常放電を抑えることが可能な放電プラズマ処理装置及びその処理方法に関する。
近年の放電プラズマ処理は、大気圧近傍の圧力条件下でグロー放電によりプラズマを発生させて、被処理材の表面を処理している。このような表面処理としては、表面改質、エッチングまたはCVDが挙げられる。そして、これらの表面処理を行う放電プラズマ処理装置としては、主に直接(ダイレクト)方式の装置又は間接(リモート)方式の装置が挙げられる。
直接方式の放電プラズマ処理装置は、電圧の印加により放電する電源電極と、該電極に対向して接地した接地電極と、を備え、被処理材が、前記接地電極の上(電極間)に設置される。そして、この直接方式の放電プラズマ処理装置は、対向した電極間の空間に気体放電を発生させて、直接的に被処理材の表面を処理している。
一方、間接方式の放電プラズマ処理装置としては、対向した電源電極と接地電極とを備え、該電極間に励起活性種を生成して、該活性種を含むガス流を被処理材表面に噴出させて被処理材の表面を処理する表面処理装置がある(特許文献1参照)。
このような放電プラズマ処理装置は、電極間でアーク放電を抑えるべく、対向する電極の少なくとも一方の電極表面に、セラミック、石英ガラスなどの固体誘電体板を備えている。
特開平9−92493号公報(段落[0015]、[0016]参照)
しかし、このような装置構成において、電極の放電面とこの放電面に当接する固体誘電体板の当接面との間でストリーマ放電等の異常放電が発生し、固体誘電体板が破損することがある。このストリーマ放電を回避するためには、電極に投入する電力を抑える必要があり、この投入電力の抑制により処理レートが制限されてしまう。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ストリーマ放電などにより電極および電極と当接する固体誘電体板が損傷することをなく、処理能力が安定して高い放電プラズマ処理装置及びその処理方法を提供する。
本発明者らは、ストリーマ放電の発生メカニズムを解明するとともに、このストリーマ放電を抑制するための手段として安価で効率的な解決手段を見出した。すなわち、発明者らは、電極の表面温度が高い時に、電極の放電面と該放電面が当接した固体誘電体板の当接面とで形成された隙間部で、電界が集中しやすく、この電界集中によって前記隙間部にストリーマ放電が発生することがわかった。そして、加工面の精度を上げて電極と固体誘電体板との隙間部を完全に無くすよりも、前記隙間部の空気を滞留させないようにすると共に電極そのものの発熱を抑制する方が、より安価で効率的にストリーマ放電の発生を抑制できるとの着想を得た。
このような着想に基づいて、前記目的を達成すべく、本発明に係る放電プラズマ処理装置は、大気圧近傍下において対向した一対の電極の間に処理ガスを導入してプラズマを発生させて被処理材の表面処理を行う放電プラズマ処理装置であって、該処理装置は、前記少なくとも一方の電極の対向面に当接する当接面を有する固体誘電体を備え、前記当接面の上に前記一方の電極が固定されずに載せられ、前記当接面の表面粗さの凸の部分が前記対向面に当接し、前記当接面の表面粗さの凹の部分と前記対向面との間に隙間部が形成されており、前記処理ガスとは別の不活性ガスからなるパージ用ガスが、前記当接面と前記対向面との間を前記隙間部を伝って流れるようになっている。
前記のごとく構成された本発明の放電プラズマ処理装置は、電極と固体誘電体との間にガスが流れるようになっているので、電極と固体誘電体との間に空気が滞留することなく、該空気に変化(流れ)を与えることができる共に、電極の対向面も冷却することができるので、ストリーマ放電の発生を抑制することが可能となる。また、ガスが流れるために、電極は固体誘電体と拘束されることなく非接着状態で配置されるので、電極と固体誘電体との間に熱膨張差などの熱応力は発生しない。さらに、このような配置により固体誘電体の取り付け、取り外し作業が容易となり、装置のメンテナンス性が向上する。
さらに、本発明に係る放電プラズマ処理装置は、前記固体誘電体はケース状であって、前記固体誘電体はケース状であって前記当接面とそれぞれ交差する一端側の内壁及び他端側の内壁を有し、前記一方の電極は、前記対向面とそれぞれ交差する一端側の壁面及び他端側の壁面を有して前記ケース状の前記固体誘電体内に囲繞配置され、前記一端側の内壁と前記一端側の壁面との間に一端側の間隙が形成され、前記他端側の内壁と前記他端側の壁面との間に他端側の間隙が形成され、前記一方の電極の前記対向面とは反対側にパージ用ガス流路が形成され、前記パージ用ガス流路の一端には前記パージ用ガスを供給するインレットポート及び前記一端側の間隙が連なり、前記パージ用ガス流路の他端には前記パージ用ガスを排出するアウトレットポート及び前記他端側の間隙が連なっており、前記パージ用ガスが前記インレットポートから前記パージ用ガス流路に供給されて前記アウトレットポートから排出されることにより、エジェクタ効果によって前記当接面と前記対向面との間に前記流れが形成される。
前記のごとく構成された本発明の放電プラズマ処理装置は、少なくとも一方の電極が、固体誘電体のケースに囲繞配置されることで、ガス流路を形成しているので、ガスの漏れも無く、より効率的に固体誘電体の当接面と電極の対向面との間に滞留する空気(ガス雰囲気)に変化を与えやすくなり、さらに電極全体を冷却することができる。また、前記のごとく構成された本発明の放電プラズマ処理装置は、電極を固体誘電体のケースで囲繞配置しているので、電極から直接的に、被処理材にアークが立つことを抑制できる。
本発明に係る放電プラズマ処理方法は、大気圧近傍下において対向した一対の電極の間に処理ガスを導入してプラズマを発生させて被処理材の表面処理を行う放電プラズマ処理方法であって、前記少なくとも一方の電極の対向面に当接する当接面を有する固体誘電体を備え、前記当接面の上に前記一方の電極が固定されずに載せられ、前記当接面の表面粗さの凸の部分が前記対向面に当接し、前記当接面の表面粗さの凹の部分と前記対向面との間に隙間部が形成されている放電プラズマ処理装置にて前記表面処理を行うとともに、前記処理ガスとは別の不活性ガスからなるパージ用ガスを、前記当接面と前記対向面との間に前記隙間部を伝わるように流す。
前記のごとく構成された本発明の放電プラズマ処理方法は、ストリーマ放電などの異常放電は抑制され、固体誘電体の破損が防止される。電極の対向面と該対向面に当接した固体誘電体の当接面とで形成される隙間に、前記ガスを流して、前記電極の対向面を冷却するとともに電極と固体誘電体との隙間にある空気が滞留することを防止するで、局所的な電界集中を回避して、異常放電を抑制できる。
さらに、本発明に係る放電プラズマ処理方法は、前記固体誘電体は、前記当接面とそれぞれ交差する一端側の内壁及び他端側の内壁を有して前記一方の電極を囲繞配置するケースであって、前記一方の電極の一端側の壁面と前記一端側の内壁との間に一端側の間隙が形成され、前記一方の電極の他端側の壁面と前記他端側の内壁との間に他端側の間隙が形成され、前記一方の電極の前記対向面とは反対側にパージ用ガス流路が形成されており、前記パージ用ガス流路の一端に前記一端側の間隙が連なり、前記パージ用ガス流路の他端に前記他端側の間隙が連なっており、前記パージ用ガスを前記パージ用ガス流路の一端に供給して前記パージ用ガス流路の他端から排出することにより、エジェクタ効果によって前記当接面と前記対向面との間に前記流れを形成する。
また、前記のごとく構成された本発明の放電プラズマ処理方法は、電極を囲繞配置した固体誘電体ケース内部にガスを流すことで、電極全体をさらに冷却することができるばかりでなく、電極のまわりにもガスが流れることで作用するエジェクタ効果もあいまって、前記隙間内にある空気により一層変化を与えることができる。また、前記のごとく構成された本発明の放電プラズマ処理方法は、大幅な装置改造をしなくてもよく、安価に実施可能である。また、前記ガスに不活性ガスを用いると、安全にプラズマ処理をすることができる。
本発明の放電プラズマ処理装置およびその処理方法によれば、電極の対向面と該対向面に当接した固体誘電体の当接面との間に形成された隙間部にある空気の滞留を防止すると共に、特に電極の当接面を冷却しているので、処理時にストリーマ放電の発生を抑制でき、その結果、固体誘電体を破損することなく安定したプラズマ処理ができる。その結果、処理時の投入電力を上げることができ、プラズマ処理の処理速度を上げることができる。
以下、本発明に係る放電プラズマ処理装置の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る放電プラズマ処理装置の全体構成を示したブロック図であり、図2には、図1の放電プラズマ処理装置の主要部を示した斜視図であり、図3及び図4は、図2のA−A線に沿う要部断面図、図2のB−B線に沿う要部断面図である。図5は、図4のC部の拡大図を示している。
図1に示すように、本実施形態の放電プラズマ処理装置Mは、対向した電極間に被処理材であるワークWを投入し、ワークWの表面を成膜処理する直接方式の装置であり、高電圧発生部2と、ガス供給部3と、これらが接続された放電処理部4と、を備えている。
高電圧発生部2は、後述する放電処理部4のホット電極41に、パルス状の電圧を印加するものであり、電源21とコントローラ22とを備えている。電源21は、パルス状の放電処理用の電圧を生成すると共に、生成したパルス電圧をコントローラ22に出力する装置であり、パルス電圧は、立ち上り時間及び立ち下り時間が10μs以下で、電界強度が10〜100kV/cm、周波数は0.5kHz以上であることが好ましい。
コントローラ22は、入力されたパルス電圧を調整する装置であり、パルス電圧のピーク電圧Vppを任意に設定することができる。このように、ピーク電圧Vppを設定することで、コントローラ22は、ホット電極41に印加する電圧を制御している。
ガス供給部3は、プラズマ処理時に必要なガスを放電処理部4に供給するためのものであり、成膜用ガス供給源31とパージ用ガス供給源32とを備えている。成膜用ガス供給源31は、ワークWの表面を成膜するためのシリコンを主成分とした成膜用ガスaを含み、供給配管33を介して放電処理部4に接続されている。成膜用ガスaは、例えばTOMS、TEOS、MTMOSなどのアルコキシ化合物、HMDSO、TMCTSなどのシクロヘキサン化合物などが用いられる。
パージ用ガス供給源32は、不活性ガスからなるパージ用ガスbを含み、供給配管34を介して放電処理部4に接続されている。パージ用ガスbは、例えば、窒素、アルゴンなどが用いられ、高温で安定したガスであれば、特に限定されない。
放電処理部4は、ワークWの上面に、アモルファスシリコンなどの薄膜を気相成長させて成膜するためのものであり、主に、3つの長尺棒状金属からなるホット電極41及び板状金属からなるアース電極(接地電極)42を備えており、この他に、ワークWを搬送する搬送装置43とワークWを加熱する加熱装置44とを備えている。
ホット電極41は、高電圧発生部2のコントローラ22から供給された電圧を印加してプラズマを発生させると共に、成膜用ガスaをワークWに吹き付けるための流路を形成するためのものである。ホット電極41は、図2に示すように、アース電極42の上方に、アース電極42と一定の距離(アース電極42の上面からホット電極41の下面までの距離)を保持して、3セット配置されている。ホット電極41とアース電極42間の距離は、印加電圧の大きさ、処理ガスの種類、プラズマを利用する目的等を考慮して設定されるが、1〜20mm程度が好ましい。1mm未満では、間隔内にワークWを設置しにくく、
20mmを超えると均一な放電プラズマを発生しにくくなる。
また、3セットのホット電極41は、ホット電極間で成膜用ガスaが流れるような流路を形成するために、ワークWの処理進行方向に対して直角方向で互いに並行に等間隔で配設されている。そして、ホット電極41は、主に電圧印加電極である供給用(第1)電極61a、放電用(第2)電極61b、及びそれらを内部に囲繞配置するケース51を備えている。
ケース51は、放電用電極61bからワークWに直接アークが立たないように固体誘電体からなり、図2〜4に示すように、供給用電極61aと放電用電極61bとを囲繞配置するボックス形状である。図3及び4に示すように、ケース51は、上から順に、上蓋51a、中間部材51b、及び電極カバー51cの3部材が連結した構成となっている。
図2〜図4に示すように、該上蓋51aは、一端にインレットポート52a、他端にアウトレットポート52bが設けられ、それぞれにパージ用ガスbをケース51の内部に流入及び排出するための供給配管34、排出配管35を接続しており、後述する放電用電極61bまわりにパージ用ガスbを送り込むために、その内部の両端にパージ用ガス流路71aを形成している。また、上蓋51aは、その上部に、コントローラ22からの配線(図示しない)を供給用電極61aに接続するために、貫通穴52cが形成されている。この貫通穴52は、後述するパージ用ガスbが漏れないように、さらにシールされている(図示しない)。
中間部材51bは、一側に供給用電極61aが配置可能な凹部を形成していると共に、中間部材51bの内部の両端には、先に示した上蓋51aのパージ用ガス流路71aと連通したパージ用ガス流路71bを形成している。
電極カバー51cは、上部に放電用電極61bを配置可能なように凹部を形成している
。この凹部の幅及び深さは、後述する間隙71c及びパージ用ガス流路72を形成するた
めに放電用電極61bの幅及び高さより大きく設定されている。また、放電用電極61b
の放電面(アース電極42と対向する対向面)が当接する電極カバー51cの当接面(ケ
ース51の内面)は、平面であることが望ましく、さらに、電極カバー51cの底部厚み
は、材質によっても異なるが、1mmから4mm程度が望ましい。
また、上蓋51a、中間部材51b、及び電極カバー51cは、固体誘電体からなり、例えば、その材質としては、セラミックス、アルミナなどが挙げられ、この他にもポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックや、ガラス、二酸化珪素、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、チタン酸バリウム等の複酸化物や、これらを複層化したもの等、種々のものを用いることができる。固体誘電体は、比誘電率が2以上であることが好ましい。そして、上蓋51a、中間部材51b、及び電極カバー51cは、高温時の熱膨張差の発生を抑えることを考慮すると、同一の材質であることが好ましい。
上蓋51a、中間部材51b、電極カバー51cは、これらの部材間にパッキン(図示しない)を挟んでボルト(図示しない)により連結されている。このような連結手段としては、パージ用ガスbが、前記部材の間から漏れないこと、及び、メンテナンス時にこれらの部材の取り付け取り外し作業が容易にできること、の条件が満たされていれば、特に制限を受けない。場合によっては、上蓋51a、中間部材51b、電極カバー51cが積み重ねられるだけであってもよい。
図1から図3に示すように、供給用電極61a及び放電用電極61bは、先に示した高
電圧発生部2のコントローラ22からの電圧cを受けて、ホット電極41とアース電極42との間に、プラズマ放電を発生させるためのものであり、これらの電極は、銅、アルミニウム等の金属単体、ステンレス、黄銅等の合金、金属間化合物等から構成されている。
供給用電極61a及び放電用電極61bは、先に示した中間部材51b及び電極カバー51cの各凹部に配置されている。そして、供給用電極61aは、コントローラ22から電圧cが供給されるべく、コントローラ22から貫通穴52cを通した配線(図示しない)と、ピン部材61cで接続されている。また、供給用電極61aと放電用電極61bとは、ピン部材61dで接続されており、このピン部材61dを介して、放電用電極61bは、コントローラ22からの電圧を印加することができる。
さらに、放電用電極61bは、メンテナンス時の電極カバー51cの取け外し作業が容
易となるように、ケース51の電極カバー51cに固定されず、電極カバー51の凹部内
に配置されている。そして、図3及び4に示すように、放電用電極61bの壁面とケース
51の内壁との間に間隙71c及びパージ用ガス流路72を形成している。具体的には、
間隙71cは、放電用電極61bの端面と電極カバー51cの内側端面との間(図3参照
)に所定間隙を設けることで形成され、パージ用ガス流路72は、放電用電極61bの上
面と中間部材51bの下面との間(図3参照)と、放電用電極61bの側面と電極カバー
51cの内側側面との間(図4参照)とに、所定間隙を設けることで形成されている。そ
して、パージ用ガス流路72は、両端の間隙71cと連通している。
さらに、図5に示すように、放電用電極61bのエッジ部は、印加時に、電界が集中しないように半径1mm程度のR加工がされている。また、放電用電極61bの放電面と、該放電面が接触する電極カバー51cの内面とは、加工精度上、完全に面接触させることが困難(特に、固体誘電体からなる電極カバー51cの平面精度を出すのが困難)であるため、図5で模式的に示すごく僅かな空間である隙間部73が複数形成される。なお、図5は説明の都合上、隙間部73の大きさを強調している。
アース電極42は、先に示したようにホット電極41と一定の距離を保った平板であり、その一端で接地されている。そして、アース電極42は、放電用電極61bと同様に、銅、アルミニウム等の金属単体、ステンレス、黄銅等の合金、金属間化合物等から構成されている。
搬送装置43は、ホット電極41とアース電極42との間(アース電極42上面)で、3セットのホット電極41の並びに対して垂直方向にワークWを搬送する装置であり、一定の搬送速度でワークWを搬送して、ワークWの表面を均一に処理することができる。搬送装置43としては、例えば機械的な直動機構、エアーシリンダ、油圧シリンダ、ベルトコンベア、ローラコンベア等などが挙げられる。搬送装置43はワークWを搬送する構成であるが、この他にも、ワークWを固定して、ホット電極41を移動させるような構成にしてもよい。
また、加熱装置44は、表面処理前のワークWを加熱するためのものであり、例えば成膜処理の場合には、200〜500度程度の範囲で設定され、好ましくは350度程度の温度で加熱調整し、この温度調整により成膜される膜の膜質の管理を行っている。
前記のように構成されたプラズマ処理装置Mによる放電プラズマ処理の動作について、以下に説明する。まず、図1に示すように、成膜用ガスa及びパージ用ガスbは、ガス供給部3内のバルブ(図示していない)を操作することで、成膜用ガス供給源31及びパージ用ガス供給源32から、それぞれ供給配管33及び供給配管34を介して、放電処理部4に供給される。
図1に示すように、成膜用ガスaは、3セットあるホット電極41の各電極間を通過し
、ホット電極41とアース電極42の間に流れ込む。また、図2から図4に示すように、
パージ用ガスbは、供給配管34を介して、ホット電極41に供給され、ホット電極41
内に形成されたパージ用ガス流路71a〜71、72及び間隙71cを流れる。すなわ
ち、図3及び4に示すように、放電用電極61bまわりにパージ用ガスbが流れ、排出配
管35から排出される。
さらに、図5に示すように、パージ用ガスbの流量を増大させることによって、放電用電極61bの放電面と該放電面に接触した電極カバー51cの内面とで形成された隙間部73に、パージ用ガスbが流入する。また、パージ用ガス流路72内のパージ用ガスbが所定流量を超えると、エジェクタ効果により前記隙間部73に滞留していた空気が吸引され、その代わりにパージ用ガスbが隙間部73に流れ込む。このように、パージ用ガスbの流量等を適切に調整することで、放電用電極61bの放電面近傍に滞留したガス(空気)を入れ替えることができる。
このような状態で、ホット電極41とアース電極と42の間に、加熱装置44で予熱されたワークWが、搬送装置43を用いて搬送される。そして、プラズマ処理の前工程として、放電処理電圧より低く放電の立たない電圧を、ホット電極41とアース電極42との間に印加する。このとき、ホット電極41とワークWとの間に放電が立たず、電子が飛びやすい状態、すなわちチャネルが形成された状態となる。この状態は待機状態であり、安定したプラズマを発生させるために、0.1〜5秒程度、継続させることが好ましい。
この待機状態の後、電極間に放電処理電圧を印加すると、ワークWとホット電極41との間に放電が立ち、ワーク上面に、a−Si膜やSiNx膜などの薄膜を成膜することができる。また、処理を途中で終了する場合、処理が完了した場合には、先に示した待機状態で、ワークWを搬送するようにしてもよい。
放電用電極61bの表面にパージ用ガスbを流すことで、プラズマ処理時に発生する放電用電極61bの温度上昇を抑制することができる。さらに、ケース51内に流すパージ用ガスbの流量をさらに増加させて、隙間部73にパージ用ガスを流すことにより、隙間部73に滞留した空気に変化(流れ)を与えると共に、放電用電極61bの放電面も冷却することで電界の局所的な集中を抑制することができる。その結果、放電用電極61bの対向面と、放電用電極に当接するケース51の当接面(ケース内面)と、の間に発生するストリーマ放電が抑制され、ケース51の破損が防止される。
(実施例)
上記の実施形態において、以下の実験を行った。ホット電極の大きさは、幅230mm、厚み(ワークW進行方向)12mm、高さ、10mmであり、ケース材質はセラミックスケースを使用しており、放電用電極の周りには、1mm程度の幅のパージ用ガス流路が形成されるように放電用電極を配置し、パージ用ガスとして常温の窒素を毎分5リットル流し、高電圧発生部のコントローラを調整して、ピーク電圧及び電流値を増加させる試験を行った。
(比較例)
前記装置構成と同じ装置で、パージ用ガス(窒素)を流さない他は同じ内容の試験を行った。
実施例では、少なくともピーク電圧Vppを13kV、電流値を2.5Aまで上げるこ
とができ、セラミックケースに損傷が無く、連続して使用することができた。また、比較例では、ピーク電圧を11kV、電流値を1.8Aまで上げたときに、放電用電極が接触しているセラミックケースの面に、ストリーマ放電による損傷が見られた。
このことから実施例の如く、固体誘電体であるセラミックケース内に窒素ガスを流すと、放電用電極が冷却されると共に、放電用電極の放電面とケース内面に形成された隙間部の空気に変化を与え、局所的な電界集中を抑制できるので、放電処理可能なピーク電圧を上げることができた。その結果、処理材であるワークの処理速度を上げることができ、生産性を向上することができる。この他にも、高電圧を維持することができるので、表面処理の利用範囲が拡張される。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
例えば、本実施形態では、直接方式の放電プラズマ処理装置を示したが、間接方式の放電プラズマ処理装置であっても、同じ構成又は方法をとることで、同様の効果が得られる。
また、本実施形態では、固体誘電体のケースを用いたが、放電する電極の対向面(放電面)と、該対向面に当接した固体誘電体の当接面と、の間にガスが流れるような装置構成であれば、構造的に限定されるものではなく、例えば、固体誘電体は、板状であってもよい。
また、電源は、パルス電圧に限らず、連続波の電圧でもよい。パルス電圧は、インパルス型や矩形波型等の各種の波形のものを用いることができる。電源を複数使用するときは、パルス状電圧は同期がとれていることが好ましいが、必ずしも同期していることを要しない。また、ホット電極を、3セット設けてプラズマ処理を行ったが、これらは適宜印加されてもよく、さらに、これらホット電極の数は、特に制限されるものではない。
さらに、成膜用ガスを処理ガスとして用いたが、処理内容にあわせて、適宜ガスを選定してもよい。また、放電用電極を冷却するために常温の不活性ガスを設けたが、これらは予め冷却されてもよく、高温時に化学的に安定したガスであれば、特に限定されるものではない。
本発明に係る放電プラズマ処理装置の全体構成を示したブロック図。 図1の放電プラズマ処理装置の主要部を示した斜視図。 図2のA−A線に沿う要部断面図。 図2のB−B線に沿う要部断面図。 図3のC部の拡大図。
符号の説明
2…高電圧発生部、3…ガス供給部、4…放電処理部、41…ホット電極、42…アー
ス電極、51…固体誘電体のケース、61a…供給用電極、61b…放電用電極、71c
間隙72…パージ用ガス流路、M…放電プラズマ処理装置、W…ワーク

Claims (2)

  1. 大気圧近傍下において対向した一対の電極の間に処理ガスを導入してプラズマを発生させて被処理材の表面処理を行う放電プラズマ処理装置であって、
    該処理装置は、前記少なくとも一方の電極の対向面に当接する当接面を有する固体誘電体を備え、前記当接面の上に前記一方の電極が固定されずに載せられ、前記当接面の表面粗さの凸の部分が前記対向面に当接し、前記当接面の表面粗さの凹の部分と前記対向面との間に隙間部が形成されており、前記処理ガスとは別の不活性ガスからなるパージ用ガスが、前記当接面と前記対向面との間を前記隙間部を伝って流れるようになっており、
    前記固体誘電体はケース状であって前記当接面とそれぞれ交差する一端側の内壁及び他端側の内壁を有し、前記一方の電極は、前記対向面とそれぞれ交差する一端側の壁面及び他端側の壁面を有して前記ケース状の前記固体誘電体内に囲繞配置され、前記一端側の内壁と前記一端側の壁面との間に一端側の間隙が形成され、前記他端側の内壁と前記他端側の壁面との間に他端側の間隙が形成され、前記一方の電極の前記対向面とは反対側にパージ用ガス流路が形成され、前記パージ用ガス流路の一端には前記パージ用ガスを供給するインレットポート及び前記一端側の間隙が連なり、前記パージ用ガス流路の他端には前記パージ用ガスを排出するアウトレットポート及び前記他端側の間隙が連なっており、前記パージ用ガスが前記インレットポートから前記パージ用ガス流路に供給されて前記アウトレットポートから排出されることにより、エジェクタ効果によって前記当接面と前記対向面との間に前記流れが形成されることを特徴とする放電プラズマ処理装置。
  2. 大気圧近傍下において対向した一対の電極の間に処理ガスを導入してプラズマを発生させて被処理材の表面処理を行う放電プラズマ処理方法であって、
    前記少なくとも一方の電極の対向面に当接する当接面を有する固体誘電体を備え、前記当接面の上に前記一方の電極が固定されずに載せられ、前記当接面の表面粗さの凸の部分が前記対向面に当接し、前記当接面の表面粗さの凹の部分と前記対向面との間に隙間部が形成されている放電プラズマ処理装置にて前記表面処理を行うとともに、前記処理ガスとは別の不活性ガスからなるパージ用ガスを、前記当接面と前記対向面との間に前記隙間部を伝わるように流し、
    前記固体誘電体は、前記当接面とそれぞれ交差する一端側の内壁及び他端側の内壁を有して前記一方の電極を囲繞配置するケースであって、前記一方の電極の一端側の壁面と前記一端側の内壁との間に一端側の間隙が形成され、前記一方の電極の他端側の壁面と前記他端側の内壁との間に他端側の間隙が形成され、前記一方の電極の前記対向面とは反対側にパージ用ガス流路が形成されており、前記パージ用ガス流路の一端に前記一端側の間隙が連なり、前記パージ用ガス流路の他端に前記他端側の間隙が連なっており、前記パージ用ガスを前記パージ用ガス流路の一端に供給して前記パージ用ガス流路の他端から排出することにより、エジェクタ効果によって前記当接面と前記対向面との間に前記流れを形成することを特徴とする放電プラズマ処理方法。
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