JP4504624B2 - 細胞接着性ペプチド含有基材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞接着性ペプチド含有基材に関する。さらに詳しくは、インプラント用基材として最適な細胞接着性ペプチド含有基材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、細胞接着性ペプチド含有基材として、天然由来のコラーゲンと生体埋め込み用金属チタンとからなる細胞接着性ペプチド含有基材が知られている(特開平8−332217号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の細胞接着性ペプチド含有基材は、天然由来の蛋白質を用いるため蛋白質中にプリオンやヒト感染性のウイルス等の感染物質が含有される危険性があるという問題点がある。さらに細胞接着性が低いという問題もある。すなわち、本発明の目的は、天然由来の蛋白質を使用せず、細胞接着性の高い細胞接着性ペプチド含有基材を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意研究を重ねてきた結果、特定のペプチドを使用することにより上記目的を達成することを見いだし本発明に到達した。すなわち、本発明の細胞接着性ペプチド含有基材の特徴は、エンドトキシンの含有量が細胞接着性ペプチドの重量に基づいて0.0015EU/mg未満である遺伝子組み換え法により製造される数平均分子量が10万の、(Gly Ala Gly Ala Ser)9配列(35)とArg Gly Asp配列とそれぞれ12個ずつからなる、又は(Gly Ala Gly Ala Ser)9配列(35)とIle Lys Val Ala Val配列(7)とそれぞれ12個ずつからなる細胞接着性人工ペプチドとインプラント材料とからなる点にある。
【0005】
【発明の実施の形態】
細胞接着性人工ペプチドは、細胞接着シグナルを現わす最小アミノ酸配列(X)を含んでいる。なお、「細胞接着性」とは、特定の最小アミノ酸配列(X)が細胞のインテグリンレセプターに認識され細胞が基材に接着しやすくなる性質を意味する(大阪府立母子医療センター雑誌、第8巻 第1号、58〜66頁、1992年)。細胞接着シグナルを現わす最小アミノ酸配列(X)としては、例えば、「病態生理、第9巻 第7号、527〜535頁、1990年」や「大阪府立母子医療センター雑誌、第8巻 第1号、58〜66頁、1992年」に記載されているもの等が用いられる。
【0006】
これらの最小アミノ酸配列(X)の中で、Arg Gly Asp配列、Leu Asp Val配列、Arg Glu Asp Val配列(1)、Tyr Ile Gly Ser Arg配列(2)、Pro Asp Ser Gly Arg配列(3)、Arg Tyr Val Val Leu Pro Arg配列(4)、Leu Gly Thr Ile Pro Gly配列(5)、Arg Asn Ile Ala Glu Ile Ile Lys Asp Ile配列(6)、Ile Lys Val Ala Val配列(7)、Leu Arg Glu配列、Asp Gly Glu Ala 配列(8)、Gly Val Lys Gly Asp Lys Gly Asn Pro Gly Trp Pro Gly Ala Pro配列(9)、Gly Glu Phe Tyr Phe Asp Leu Arg Leu Lys Gly Asp Lys配列(10)、His Ala Val配列及びTyr Lys Leu Asn Val Asn Asp Ser配列(11)が好ましい。細胞接着性の観点から、さらに好ましくはArg Gly Asp配列、Tyr Ile Gly Ser Arg配列(2)及びIle Lys Val Ala Val配列(7)であり、特に好ましくはArg Gly Asp配列である。なお、アミノ酸配列は3文字表記で現し、( )内にアミノ酸配列表に対応する配列番号を記載する(以下、同じである。)。
【0007】
細胞接着性人工ペプチドは、前記最小アミノ酸配列(X)を1分子中に少なくとも1個有すればよいが、細胞接着性の観点から、1分子中に2〜50個有するものが好ましく、さらに好ましくは1分子中に3〜30個、特に好ましくは1分子中に5〜20個有するものである。また、2種以上の配列が一分子中に含まれてもよい。
【0008】
細胞接着性人工ペプチドの数平均分子量は、3,000,000以下が好ましく、さらに好ましくは1,000,000以下、特に好ましくは300,000以下であり、また300以上が好ましく、さらに好ましくは1,000以上、特に好ましくは3,000以上である。なお、細胞接着性人工ペプチドの数平均分子量は、SDS−PAGE(SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動)法で、細胞接着性人工ペプチドを分離し、泳動距離を標準物質と比較することによって求めるものである(以下、同じである。)。
【0009】
細胞接着性人工ペプチドとしては、例えば、Arg Gly Asp Ser配列(14)からなるペプチド、Gly Arg Gly Asp Ser配列(15)からなるペプチド、Gly Arg Gly Asp Ser Pro配列(16)からなるペプチド、Arg Gly Asp Ser Pro Ala Ser Ser Lys Pro配列(17)からなるペプチド、Ala Val Thr Gly Arg Gly Asp Ser Pro Ala Ser Ala(18)からなるペプチド、Pro Gly Ala Ser Ile Lys Val Ala Val Ser Ala Gly Pro Ser(19)からなるペプチド、Cys Ser Arg Ala Arg Lys Gln Ala Ala Ser Ile Lys Val Ala Val Ser Ala Asp Arg(20)からなるペプチド、Val Cys Glu Pro Gly Tyr Ile Gly Ser Arg Cys Asp(21)からなるペプチド及びこれらの少なくとも一種のペプチドからなる重合体等が例示できる。重合体としては、例えば、(Arg Gly Asp Ser)4配列(22)、(Arg Gly Asp Ser)8配列(23)、(Arg Gly Asp Ser)16配列(24)、(Gly Arg Gly Asp Ser)8(25)、(Gly Arg Gly Asp Ser Pro)8(26)、(Arg Gly Asp Ser Pro Ala Ser Ser Lys Pro)4(27)、(Ala Val Thr Gly Arg Gly Asp Ser Pro Ala Ser Ala)4(28)、(Pro Gly Ala Ser Ile Lys Val Ala Val Ser Ala Gly Pro Ser)4(29)、(Cys Ser Arg Ala Arg Lys Gln Ala Ala Ser Ile Lys Val Ala Val Ser Ala Asp Arg)4(30)、又は(Val Cys Glu Pro Gly Tyr Ile Gly Ser Arg Cys Asp)4(31)からなるペプチド等が挙げられる。該重合体の重合度は、2〜50が好ましく、さらに好ましくは3〜30、特に好ましくは4〜20、最も好ましくは4〜16である。
【0010】
細胞接着性人工ペプチドのアミノ酸配列が、細胞接着シグナルを現わす最小アミノ酸配列(X)以外のアミノ酸配列(Y)として、Gly Ala Gly Ala Gly Ser配列(12)、Gly Val Gly Val Pro配列(13)、Gly Pro Pro配列、Gly Ala Gln Gly Pro Ala Gly Pro Gly 配列(32)、Gly Ala Pro Gly Ala Pro Gly Ser Gln Gly Ala Pro Gly Leu Gln配列(33)及び/又はGly Ala Pro Gly Thr Pro Gly Pro Gln Gly Leu Pro Gly Ser Pro配列(34)をさらに有してなることは、熱に対する安定性が増し、細胞接着性人工ペプチドや細胞接着性ペプチド含有基材をオートクレーブ等の熱滅菌にかけやすくなるために好ましい。これらアミノ酸配列(Y)のうち、Gly Ala Gly Ala Gly Ser配列(12)、Gly Val Gly Val Pro配列(13)及びGly Pro Pro配列が好ましく、さらに好ましくはGly Ala Gly Ala Gly Ser配列(12)である。細胞接着性人工ペプチドがアミノ酸配列(Y)を有してなる場合、アミノ酸配列(Y)の含有量は、熱に対する安定性の観点から、細胞接着性人工ペプチドの1分子中に、3〜10,000個有するものが好ましく、さらに好ましくは1分子中に10〜3,000個、特に好ましくは1分子中に30〜1,000個有するものである。
【0011】
細胞接着性人工ペプチド中のアミノ酸配列(X)とアミノ酸配列(Y)との個数の比率[(X)/(Y)]は、0.002以上が好ましく、さらに好ましくは0.01以上、特に好ましくは0.05以上であり、また、10以下が好ましく、さらに好ましくは2以下、特に好ましくは0.5以下である。また、細胞接着性人工ペプチドがβターン構造を取りやすい観点から、アミノ酸配列(X)とアミノ酸配列(Y)とが交互に位置することが好ましい。
【0012】
アミノ酸配列(Y)を有してなる細胞接着性人工ペプチドとしては、例えば、(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列(35)とArg Gly Asp配列とをそれぞれ約12個づつ有する数平均分子量約10万のペプチド、(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列(35)とTyr Ile Gly Ser Arg配列(2)とをそれぞれ約13個づつ有する数平均分子量約10万のペプチド、(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列(35)とIle Lys Val Ala Val配列(7)とをそれぞれ約12個づつ有する数平均分子量約10万るのペプチド、(Gly Val Gly Val Pro)8配列(36)と(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)12配列(37)とArg Gly Asp配列とをそれぞれ約12個づつ有する数平均分子量約10万のペプチド、及び(Gly Ala Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro)2(38)配列とArg Gly Asp配列とをそれぞれ約6個づつ有する数平均分子量約5万のペプチド等(例えば、特表平3−502935号公報及びハンドブック オブ バイオデグラダブル ポリマーズ(アブラハム著,ハーウッド アカデミック パブリッシャーズ発行,アムステルダム1997;Abraham J. Dombら著, Handbook of Biodegradable Polymers, Harwood Academic Publishers発行, Amsterdam 1997年)等)が挙げられる。
【0013】
市場から入手できる細胞接着性人工ペプチドとしては、商品名を記載すると例えば、RGDS[Arg Gly Asp Ser配列(14)からなるペプチド、数平均分子量約400、(株)ペプチド研究所製]、GRGDS[Gly Arg Gly Asp Ser配列(15)からなるペプチド、数平均分子量約500、(株)ペプチド研究所製]、RetroNectin(リコンビナントヒトフィブロネクチンCH−296)[ヒトフィブロネクチン細胞接着シグナルであるCS1シグナルと細胞接着ドメインTypeIII及びヘパリン結合ドメインIIを1つずつ有するペプチド、数平均分子量約6万、宝酒造(株)製]、RGDS−Protein A「Arg Gly Asp配列をProtein A(IgG結合ドメイン)に挿入したペプチド、数平均分子量約3万、宝酒造(株)製]、プロネクチンF[Arg Gly Asp配列と(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列(35)とを各々約12個有し、遺伝子組み換え大腸菌により製造されるペプチド、数平均分子量約10万、三洋化成工業(株)製]、プロネクチンFプラス[プロネクチンFをジメルアミノエチルクロライドと反応させて水可溶性にしたもの、三洋化成工業(株)製]、及びプロネクチンL[Ile Lys Val Ala Val配列(7)と(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列(35)とを各々約12個有し、遺伝子組み換え大腸菌により製造されるペプチド、数平均分子量約10万、三洋化成工業(株)製]等が挙げられる。
【0014】
細胞接着性人工ペプチドは、人工的に製造されるものであり、例えば、有機合成法(酵素法、固相合成法及び液相合成法等)、及び遺伝子組み換え法によって容易に製造できる。すなわち、細胞接着性人工ペプチドは、コラーゲンやフィブロネクチン等の天然の細胞接着性ペプチドを含まず、また天然の細胞接着性ペプチドの一部をポリ−L−リジン等で修飾したものも含まない。有機合成法に関しては、例えば、生化学実験講座1、タンパク質の化学IV(1981年7月1日、日本生化学会編、株式会社東京化学同人発行)又は続生化学実験講座2、タンパク質の化学(下)(昭和62年5月20日、日本生化学会編、株式会社東京化学同人発行)に記載されている方法等が適用できる。遺伝子組み換え法に関しては、例えば、特表平3−502935号公報に記載されている方法等が適用できる。なお、遺伝子組み換え法による場合、組み換え微生物由来の不純物を含むことがあるため、抗ペプチド抗体等を用いたアフィニティ精製等によって精製し、ペプチドの純度を80重量%以上にすることが好ましく、さらに好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上である。これらのうち、細胞接着性人工ペプチドのアミノ酸配列を容易に設計・製造できるという観点から、遺伝子組み換え法が好ましい。
【0015】
有機合成法による細胞接着性人工ペプチドとしては、例えば、Arg Gly Asp Ser配列(14)、Gly Arg Gly Asp Ser配列(15)、Gly Arg Gly Asp Ser Pro配列(16)及びArg Gly Asp Ser Pro Ala Ser Ser Lys Pro配列(17)からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミノ酸配列を有するペプチド等が挙げられる。
【0016】
遺伝子組み換え法による細胞接着性人工ペプチドとしては、例えば、(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列(35)とArg Gly Asp配列とをそれぞれ約12個づつ有する数平均分子量約10万のペプチド、(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列(35)とTyr Ile Gly Ser Arg配列(2)とをそれぞれ約13個づつ有する数平均分子量約10万のペプチド、(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列(35)とIle Lys Val Ala Val配列(7)とをそれぞれ約12個づつ有する数平均分子量約10万るペプチド、(Gly Val Gly Val Pro)8配列(36)と(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)12配列(37)とArg Gly Asp配列とをそれぞれ約12個づつ有する数平均分子量約10万のペプチド、及び(Gly Ala Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro)2(38)配列とArg Gly Asp配列とをそれぞれ約6個づつ有する数平均分子量約5万のペプチド等が挙げられる。
【0017】
細胞接着性ペプチド中のエンドトキシンの含有量(EU/mg)は、細胞接着性ペプチドの重量に基づいて、安全性の観点から、0.15未満が好ましく、さらに好ましくは0.015未満、特に好ましくは0.0015未満である。エンドトキシン含有量の測定方法としては、カブトガニの血球抽出液がエンドトキシンに反応し凝固することを利用したリムルステスト方法等が適用できる。市場から容易に入手できるリムルステスト用試薬キットとして商品名で示すと、例えば、リムルスFシングルテストワコー(和光純薬工業株式会社製)及びリムルスES−2シングルテストワコー(和光純薬工業株式会社製)等が挙げられる。試薬キットに用いる検体液の調製は、細胞接着性ペプチドをエンドトキシン試験用水又は局方注射用水に溶解することにより行われる。また、標準物質としては、日本薬局方で定められたエンドトキシン標準品、及びこのエンドトキシン標準品で検定された標準物質が使用できる。
【0018】
市販のリムルステスト試薬キットを用いたエンドトキシン含有量の測定方法としては、例えば、1.00mgの測定試料(細胞接着性ペプチド)をエンドトキシン試験用水(蒸留水等)の1.00mLに溶解した検体液0.200mLを、LAL試薬(米国産カブトガニ(Limulus polyphemus)の血球抽出物を凍結乾燥したもの)の1本に投入して混合し、37℃で1時間静置後、水不溶性のゲルを形成するか否かを目視判定する。ゲルが形成されるとエンドトキシン含有量が0.015EU/mg以上であると判定でき、ゲルが形成されないとエンドトキシン含有量が0.015EU/mg未満であると判定できる。また、1.00mgの測定試料に替えて0.100mgの測定試料を用いると、同様に含有量が0.15EU/mg以上か未満かの判定ができる。また、同様に10.0mgの測定試料を用いることにより、0.0015EU/mg以上か未満かの判定ができる。尚、ゲル形成が微妙なときなどは、日本薬局方で定められたエンドトキシン標準品、またはそのエンドトキシン標準品で検定された標準物質を対照として、目視判定、濁度測定、またはゲル未形成部分の液量測定等によって判定することができる。すなわち、0.15未満とは、細胞接着性人工ペプチドのエンドトキシン試験用水溶液(濃度:1mg/mL)とLAL試薬(本)とを混合比0.200mL/本で混合したときゲルを生じないことを意味する。
【0019】
インプラント材料に結合している細胞接着性人工ペプチドのエンドトキシン含有量を測定する方法としては、特に限定されないが、例えば、細胞接着性人工ペプチドがインプラント材料に化学結合している場合、インプラント材料をプロテアーゼ等の酵素溶液に投入し解離する細胞接着性人工ペプチドを、アフィニティクロマト等で酵素を除去して精製し凍結乾燥(例えば、−30℃で凍結後、0.05Paの減圧下、12時間かけて25℃に昇温し、さらに25℃で12時間減圧乾燥する。)させることにより細胞接着性人工ペプチドの粉末品を得て、上記エンドトキシン含有量の測定方法に従って測定することができる。細胞接着性人工ペプチドがインプラント材料に物理吸着している場合、インプラント材料を過塩素酸リチウム等の溶液に投入し解離する細胞接着性人工ペプチドを、透析膜を用いた透析等で過塩素酸リチウムを除去して精製し凍結乾燥(例えば、−30℃で凍結後、0.05Paの減圧下、12時間かけて25℃に昇温し、さらに25℃で12時間減圧乾燥する。)させることにより細胞接着性人工ペプチドの粉末品を得て、上記エンドトキシン含有量の測定方法に従って測定することができる。
【0020】
エンドトキシンはグラム陰性菌の細胞壁に含まれるため、細胞接着性ペプチドをグラム陰性菌による遺伝子組み換え法で製造した場合や、細胞接着性ペプチドを無菌環境以外で取り扱った場合に、エンドトキシンが細胞接着性ペプチドに混入されることがある。このような場合、細胞接着性ペプチドに混入したエンドトキシンを除去する方法としては、例えば、ゲル濾過カラム又は疎水性クロマトグラフィー用カラムを用いてエンドトキシンを分離するカラム法、オートクレーブ又は乾熱滅菌器等を用いて熱によってエンドトキシンを失活させる加熱法、及びこれらの方法の組合せ等が適用できる。これらのうち、滅菌操作が簡便でエンドトキシンの除去が確実な、加熱法である。加熱温度としては、40℃以上が好ましく、さらに好ましくは60℃以上、特に好ましくは80℃以上であり、また、180℃以下が好ましく、さらに好ましくは160℃以下、特に好ましくは140℃以下である。加熱時間は、1秒以上が好ましく、さらに好ましくは10秒以上、特に好ましくは1分以上であり、また、5000分以下が好ましく、さらに好ましくは500分以下、特に好ましくは100分以下である。
【0021】
インプラント材料としては、例えば、セラミックス材料、金属材料及び有機高分子材料、及びこれらの二種以上を有する複合材料等が使用できる。
セラミックス材料としては、例えば、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム{リン酸三カルシウム(TCP)[β−リン酸三カルシウム(β−TCP)等]等}、バイオガラス(SiO2−CaO−Na2O−P2O5 )[セラビタール(SiO2−CaO−Na2 O−P2O5−K2O−MgO)等]、CPSA[CaO−P2 O5−SiO2−Al2O3]ガラス線維複合材、アパタイト−ウォラストナイト(A−W)ガラスセラミックス[SiO2−CaO−MgO−P2O5]、アルミナ、ジルコニア、カーボン、チタニア、サファイア、炭化珪素、窒化珪素、及びこれらの二種以上有する複合材料等(移植と人工臓器、岩波講座 現代医学の基礎14、株式会社岩波書店発行及び特開平7−88174号公報等)が挙げられる。これらのうち、ヒドロキシアパタイト、TCP、β−TCP、バイオガラス、セラビタール、CPSAガラス線維複合材、A−Wガラスセラミックス、アルミナ、及びジルコニアが好ましく、さらに好ましくはヒドロキシアパタイトである。
【0022】
金属材料としては、例えば、チタン、アルミニウム、コバルト、クロム、モリブデン、鉄、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、タンタル及びこれらを二種以上有する複合材料等が挙げられる(移植と人工臓器、岩波講座 現代医学の基礎14、株式会社岩波書店発行及び特開平7−88174号公報等)。複合材料としては、チタン合金(Ti−6Al−4V及びTi−6Al−2Nb−1Ta等)及びコバルトクロム合金等が挙げられる。これらのうち、チタン及びチタン合金が好ましい。
【0023】
有機高分子材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びこれらを二種以上有する複合材料等が挙げられる(移植と人工臓器、岩波講座 現代医学の基礎14、株式会社岩波書店発行及び特開平7−88174号公報等)。これらのうち、ポリメチルメタクリレート及びポリエチレンが好ましい。有機高分子材料の重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法)は、25000万以下が好ましく、さらに好ましくは5000万以下、特に好ましくは1000万以下、また0.5万以上が好ましく、さらに好ましくは2万以上、特に好ましくは10万以上である。
【0024】
これらの二種以上を有する複合材料としては、例えば、セラミック材料と金属材料との複合材料(例えば、ヒドロキシアパタイトとチタンとの複合材料、β−TCPとチタンとの複合材料、及びA−Wガラスセラミックスとチタンとの複合材料等)、金属材料と有機高分子材料との複合材料(例えば、チタンとポリメチルメタクリレートとの複合材料、及びチタンとポリエチレンとの複合材料等)及びセラミック材料と金属材料と有機高分子材料との複合材料(例えば、ヒドロキシアパタイトとチタンとポリエチレンとの複合材料等)等が挙げられる(移植と人工臓器、岩波講座 現代医学の基礎14、株式会社岩波書店発行及び特開平7−88174号公報等)。
【0025】
これらのうち、セラミックス材料、金属材料、及びセラミックス材料と金属材料との複合材料が好ましく、さらに好ましくは金属材料、及びセラミックス材料と金属材料との複合材料、特に好ましくはチタン、ヒドロキシアパタイトとチタンとの複合材料、β−TCPとチタンとの複合材料及びA−Wガラスセラミックスとチタンとの複合材料である。これらの二種以上を有する複合材料の形態としては、セラミック材料を金属材料にコーティングしたもの、金属材料に有機高分子材料をネジ等で装着したもの、セラミック材料を金属材料にコーティングしたものに有機高分子材料をネジ等で装着したもの等が挙げられる(移植と人工臓器、岩波講座 現代医学の基礎14、株式会社岩波書店発行、及び特開平7−88174号公報等)。
【0026】
インプラント材料の形状としては、特に制限が無く、例えば、人工股関節の形状、人工膝関節の形状、人工歯根の形状、及び骨補・材料の形状など「移植と人工臓器(岩波講座 現代医学の基礎14)、株式会社岩波書店発行」等に記載の形状が挙げられる。
【0027】
本発明の細胞接着性ペプチド含有基材は、公知の方法により製造することができ、例えば、細胞接着性ペプチドをインプラント材料に物理吸着及び/又は化学結合させること等により製造することができる。細胞接着性ペプチドをインプラント材料に物理吸着させる方法としては、例えば、細胞接着性ペプチドを溶剤(例えば、水、エタノール、ジメチルスルホキシド又は過塩素酸リチウム水溶液等)等に溶解又は分散させた溶液又は分散液を、インプラント材料に接触(塗工、含浸又は混合等)させる方法等が適用できる。その後、インプラント材料から細胞接着性ペプチドの溶液又は分散液を水等で洗い流して、自然乾燥等で水分を除去させることによって、インプラント材料に吸着させることができる。細胞接着性ペプチドを含有する溶液又は分散液中の該ペプチドの濃度は、該溶液又は該分散液の重量に基づいて、1000mg/g以下が好ましく、さらに好ましくは100mg/g以下、特に好ましくは10mg/g以下、最も好ましくは1mg/g以下であり、また0.001μg/g以上が好ましく、さらに好ましくは0.01μg/g以上、特に好ましくは0.1μg/g以上、最も好ましくは1μg/g以上である。
【0028】
細胞接着性ペプチドをインプラント材料に化学結合させる方法としては、インプラント材料がプラスチック材料の場合、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド又はカルボジイミド等の存在下で、インプラント材料に細胞接着性ペプチドを接触させることによりエステル化又はアミド化させ、洗浄乾燥させる方法等が適用できる。インプラント材料がセラミックス材料や金属材料の場合、シランカップリング剤又はチタンカップリング剤等をインプラント材料に反応させた後、このシランカップリング剤又はチタンカップリング剤と細胞接着性ペプチドとをグルタルアルデヒドで架橋させ、洗浄乾燥させる方法等が適用できる。なお、これらの場合、反応溶媒を使用してもよく、反応溶媒としては公知のものが使用でき、例えば、水、臭化リチウム水溶液、過塩素酸リチウム水溶液、アセトン、ジメチルアセトアミド及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。また、使用したすべての細胞接着性ペプチドが化学結合する必要はなく、その一部分が物理吸着していてもよい。細胞接着性ペプチドを化学的に結合させる場合、化学反応に関与する官能基としては、カルボキシル基、アミノ基及び水酸基等が挙げられる。
【0029】
反応溶媒を使用する場合、細胞接着性ペプチドの濃度は、細胞接着性ペプチドと反応溶媒との合計重量に基づいて、1000mg/g以下が好ましく、さらに好ましくは100mg/g以下、特に好ましくは10mg/g以下、最も好ましくは1mg/g以下であり、また、0.001μg/g以上が好ましく、さらに好ましくは0.01μg/g以上、特に好ましくは0.1μg/g以上、最も好ましくは1μg/g以上である。
【0030】
本発明の基材中の細胞接着性ペプチドの含有量は、インプラント材料の単位表面積あたり、0.1ng/cm2以上が好ましく、さらに好ましくは1ng/cm2以上、特に好ましくは10ng/cm2以上、最も好ましくは100ng/cm2以上であり、また、100mg/cm2以下が好ましく、さらに好ましくは10mg/cm2以下、特に好ましくは1mg/cm2以下、最も好ましくは100μg/cm2以下である。単位表面積あたりの細胞接着性ペプチドの含有量の測定方法は特に限定されないが、例えば、免疫学的測定法が利用できる。例えば、インプラント材料の表面の一部(例えば、0.5cm×0.5cmの正方形状又は直径0.6cmの円形状)のみに(他の部分はビニールテープ等で覆う)、細胞接着性ペプチドと結合する抗体に酵素を標識したもの(以下、酵素標識抗体)を反応させ、この反応した酵素標識抗体の酵素量を測定することにより、単位表面積あたりの細胞接着性ペプチドの含有量を測定することができる。また、酵素の代わりにアイソトープ、色素、蛍光物質又は発光物質等を用いて抗体に標識し、酵素量の代わりに放射線量、色素量、蛍光強度又は発光強度等を測定することにより、単位表面積あたりの細胞接着性ペプチドの含有量を測定することもできる。また、細胞接着性ペプチドのインプラント材料への化学結合又は物理吸着時の細胞接着性ペプチド溶液において、化学結合前又は物理吸着前の細胞接着性ペプチド量から、化学結合後又は物理吸着後の細胞接着性ペプチド量を差し引いたものを細胞接着性ペプチドの含有量とし、それを単位表面積で除することで、単位表面積あたりの細胞接着性ペプチドの含有量を求めることもできる。なお、単位表面積は、基材(B)の表面のうち、培養される細胞が接着し得る表面の表面積を意味する。ここで、細胞が入り込まないような微小な凹凸(例えば、1μm以下)は平坦な表面として取扱うが、培養面積を高める目的でリブ(畝)等が設けてあるものについてはそのリブの表面積を単位表面積に含める。
【0031】
本発明の細胞接着性ペプチド含有基材は、必要に応じて滅菌処理を施してもよい。滅菌方法としては、例えば、放射線滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌、プラズマ滅菌、γ線滅菌、アルコール滅菌、オートクレーブ滅菌、及び乾熱滅菌等が挙げられる。これらのうち、滅菌操作が簡便な点で、オートクレーブ滅菌及び乾熱滅菌が好ましい。オートクレーブ滅菌及び乾熱滅菌する場合の加熱温度としては、40℃以上が好ましく、さらに好ましくは60℃以上、特に好ましくは80℃以上であり、また、180℃以下が好ましく、さらに好ましくは160℃以下、特に好ましくは140℃以下である。オートクレーブ滅菌及び乾熱滅菌する場合の加熱時間としては、1秒以上が好ましく、さらに好ましくは10秒以上、特に好ましくは1分以上であり、また、5000分以下が好ましく、さらに好ましくは500分以下、特に好ましくは100分以下である。オートクレーブ滅菌する場合の槽内圧力としては、0.002MPa以上が好ましく、さらに好ましくは0.01MPa以上、特に好ましくは0.05MPa以上であり、また、5MPa以下が好ましく、さらに好ましくは1MPa以下、特に好ましくは0.2MPa以下である。
【0032】
本発明の細胞接着性ペプチド含有基材に接着できる細胞としては、哺乳動物細胞が特に適している。哺乳動物としては、有袋目(カンガルー等)、霊長目(サル、チンパンジー及びヒト等)、齧歯目(リス、ネズミ及びヤマアラシ等)、鯨目(イルカ、シャチ及びクジラ等)、食肉目(イヌ、キツネ、クマ、ネコ、ライオン及びトラ等)、奇蹄目(ウマ、ロバ及びサイ等)及び偶蹄目(イノシシ、ブタ、ラクダ、シカ、ウシ、ヤギ及びヒツジ等)等の生物学辞典[岩波書店発行、1969年]に記載されている哺乳動物が挙げられる。哺乳動物のうち、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ及びブタが好ましく、さらに好ましくはヒトである。哺乳動物細胞としては、例えば、血管に関与する細胞(血管内皮細胞、平滑筋細胞及び線維芽細胞等)、筋肉に関与する細胞(筋肉細胞等)、脂肪に関与する細胞(脂肪細胞等)、神経に関与する細胞(神経細胞等)、肝臓に関与する細胞(肝実質細胞等)、膵臓に関与する細胞(膵ラ島細胞等)、腎臓に関与する細胞(腎上皮細胞、近位尿細管上皮細胞及びメサンギウム細胞等)、肺・気管支に関与する細胞(上皮細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞及び平滑筋細胞)、目に関与する細胞(視細胞、角膜上皮細胞及び角膜内皮細胞等)、前立腺に関与する細胞(上皮細胞、間質細胞及び平滑筋細胞)、骨に関与する細胞(骨芽細胞、骨細胞及び破骨細胞等)、軟骨に関与する細胞(軟骨芽細胞及び軟骨細胞等)、歯に関与する細胞(歯根膜細胞及び骨芽細胞)、及びこれらの幹細胞が挙げられる。これらの細胞のうち、骨に関与する細胞(骨芽細胞、骨細胞及び破骨細胞等)、軟骨に関与する細胞(軟骨芽細胞及び軟骨細胞等)、歯に関与する細胞(歯根膜細胞及び骨芽細胞)、及びこれらの幹細胞(間葉系幹細胞及び胚性幹細胞等)が好ましい。
【0033】
本発明の細胞接着性ペプチド含有基材は、通常のインプラント材料と同様にそのまま生体内の欠損部に装着(埋め込む等)することができる他、体外において細胞を接着させてから生体内の欠損部に装着することもできる。体外において細胞を接着させる方法としては、常法により接着させることができ、例えば、本発明の細胞接着性ペプチド含有基材、細胞及び培地等を用いて細胞培養する方法等が適用できる。細胞接着性ペプチド含有基材と細胞とを接着させた後の細胞含有量(cells/cm2)は、細胞接着性ペプチド含有基材の単位表面積当たり、10以上が好ましく、さらに好ましくは100以上、特に好ましくは1000以上であり、また109以下が好ましく、さらに好ましくは108以下、特に好ましくは107以下である。なお、cellsは細胞の個数を表し、血球計数板等によって容易に測定される。
【0034】
細胞接着性ペプチド含有基材と細胞とを接着させる際の細胞培養に用いられる培地としては、特に限定されず、細胞培養に使用される公知のもの等が使用でき、例えば、MEM培地、BME培地、DME培地、αMEM培地、IMEM培地、ES培地、DM−160培地、Fisher培地、F12培地、WE培地及びRPMI培地等の朝倉書店発行「日本組織培養学会編 組織培養の技術 第三版」に記載の培地や、味の素(株)製ASF103、同ASF104、同ASF301や、ギブコ社製CHO−SFM、同VP−SFM、同Opti−Pro等の市販の培地等が用いられる。これらの培地には、細胞増殖因子(BMP、IGF、EGF及びFGF等)、抗菌剤(アンホテリシンB、ゲンタマイシン、ペニシリン及びストレプトマイシン等)、血清(ヒト血清、ウシ血清、ウマ血清及びヒツジ血清等)等公知の添加剤を含有させることができる。
【0035】
細胞増殖因子を使用する場合、細胞増殖因子の濃度は、培地の全容量(細胞増殖因子、抗菌剤及び血清を含む。以下同様。)当たり、10pg/L以上が好ましく、さらに好ましくは30pg/L以上、特に好ましくは100pg/L以上であり、また1,000μg/L以下が好ましく、さらに好ましくは300μg/L以下、特に好ましくは100μg/L以下である。抗菌剤を使用する場合、抗菌剤の濃度は、培地の全容量当たり、1ng/L以上が好ましく、さらに好ましくは3ng/L以上、特に好ましくは10ng/L以上であり、また100g/L以下が好ましく、さらに好ましくは30g/L以下、特に好ましくは10g/L以下である。血清を使用する場合、血清の濃度は、ウイルス等の感染症の危険性等の観点から、培地の全容量に基づいて、1×10-6以上が好ましく、さらに好ましくは1×10-5以上、特に好ましくは1×10-4以上であり、また50以下が好ましく、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは2以下である。細胞培養の温度は、細胞が良好に生育できる温度であれば特に限定されず、通常15〜45℃程度である。細胞培養の期間は、細胞が良好に生育できる期間であれば特に限定されず、通常1〜30日程度である。
【0036】
本発明の細胞接着性ペプチド含有基材は、人工臓器(例えば、人工心臓、人工肺、人工腎臓及び人工肝臓等)用基材、歯科用基材、整形外科用基材、及び眼科用基材等の医療用基材等として適している。すなわち、本発明の細胞接着性ペプチド含有材料は通常、生体欠損部の代替品として、生体の内外で一時的又は半永久的に使用される。また、この基材の少なくとも一部が生体内に留置されて用いられる方法に特に適しており、例えば、人工歯根、歯冠、人工骨、人工頭蓋骨、人工耳小骨、人工顎骨、骨置換材料、人工関節、人工軟骨、骨析固定用材料、人工弁、人工血管、透析用シャントなどの経皮埋入機器、ペースメーカーなどの生体内埋め込み機器、生体内留置機器などの医療機器等の用途に適している。これらのうち、人工歯根及び人工骨により適している。
【0037】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
参考例1>
(1)細胞接着性人工ペプチド(SLPF)の準備
特表平3−502935号公報中の実施例記載の方法に準じて、Arg Gly Asp配列と(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列(35)とを各々約12個有し、数平均分子量約10万のペプチド”SLPF”を遺伝子組み換え大腸菌により製造した。SLPFの1.00mg又は0.100mgをエンドトキシン試験用水(蒸留水)の1.00mLに溶解して調製した検体液と、リムルスES−2シングルテストワコー(リムルステスト用試薬キット、和光純薬工業株式会社製)とを用い、リムルステスト用試薬キットの使用説明書に従ってSLPFのエンドトキシン含有量を測定した。その結果、0.015EU/mg以上かつ0.15EU/mg未満であった。
【0038】
(2)SLPFのインプラント材料への吸着
SLPFの1mgを4.5M過塩素酸リチウム水溶液の1mLに溶解し、さらに、99.5重量%の塩化ナトリウムを0.85重量%で含有する0.02M,pH7.2のリン酸緩衝液(以下、PBS)で100倍希釈して、SLPF水溶液(10μg/mL)を作製した。このSLPF水溶液(10μg/mL)の50mLと人工歯根(商品名:AQBインプラント、直径4mmのヒドロキシアパタイトコーティング純チタン、株式会社アドバンス製)の1本とをガラスビーカーに投入し25℃で2時間静置させ、人工歯根にSLPFを吸着させた。その後、人工歯根をガラスビーカーから取り出し、100mLの蒸留水で5回洗浄し、37℃の順風乾燥機の中で12時間乾燥させ、SLPF吸着人工歯根(基材A)を作製した(SLPF付着量:約1μg/cm2)。
【0039】
<実施例
参考例1の基材Aを、オートクレーブ滅菌(120℃、20分)することにより滅菌SLPF吸着人工歯根(基材B)を作製した。なお、SLPFの10mgをオートクレーブ滅菌(120℃、20分)した後、これをエンドトキシン試験用水の1.00mLに溶解して検体液とした。この検体液を用いて参考例1と同様にしてSLPFのエンドトキシン含有量を測定した結果、0.0015EU/mg未満であった。
【0040】
参考例2
(1)細胞接着性人工ペプチド(SLPL)の準備
特表平3−502935号公報中の実施例記載の方法に準じて、Ile Lys Val Ala Val配列(7)と(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列(35)とを各々約12個有し、数平均分子量約10万のペプチド”SLPL”を遺伝子組み換え大腸菌により製造した。SLPLの1.00mg又は0.100mgをエンドトキシン試験用水(蒸留水)の1.00mLに溶解して検体液とした。この検体液を用いて参考例1と同様にしてSLPLのエンドトキシン含有量を測定した。その結果、0.015EU/mg以上かつ0.15EU/mg未満であった。
【0041】
(2)SLPLのインプラント材料への吸着
SLPLの1mgを4.5M過塩素酸リチウム水溶液の1mLに溶解し、さらに、99.5重量%の塩化ナトリウムを0.85重量%で含有する0.02M,pH7.2のリン酸緩衝液(以下、PBS)で100倍希釈して、SLPL水溶液(10μg/mL)を作製した。このSLPL水溶液(10μg/mL)の50mLと人工歯根(商品名:AQBインプラント、直径4mmのヒドロキシアパタイトコーティング純チタン、株式会社アドバンス製)の1本とをガラスビーカーに投入し25℃で2時間静置させ、人工歯根にSLPLを吸着させた。その後、人工歯根をガラスビーカーから取り出し、100mLの蒸留水で5回洗浄し、37℃の順風乾燥機の中で12時間乾燥させ、SLPL吸着人工歯根(基材C)を作製した(SLPL付着量:約1μg/cm2)。
【0042】
<実施例
参考例2の基材Cを、オートクレーブ滅菌(120℃、20分)することにより滅菌SLPL吸着人工歯根(基材D)を作製した。なお、SLPLの10mgをオートクレーブ滅菌(120℃、20分)した後、これをエンドトキシン試験用水の1.00mLに溶解して検体液とした。この検体液を用いて参考例1と同様にしてSLPLのエンドトキシン含有量を測定した結果、0.0015EU/mg未満であった。
【0043】
<比較例1>
(1)コラーゲンの準備
ウシ由来コラーゲン(商品名:コラーゲンタイプ1,ウシ、日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製、COL)をそのまま使用した。COLの1.00mg又は0.100mgをエンドトキシン試験用水の1.00mLに溶解して検体液とした。この検体液を用いて参考例1と同様にしてCOLのエンドトキシン含有量を測定した結果、0.015EU/mg以上かつ0.15EU/mg未満であった。
【0044】
(2)COLのインプラント材料への吸着
COLの1mgを0.05N塩酸水溶液の100mLに溶解し、COL水溶液(10μg/mL)を作製した。このCOL水溶液の50mLと人工歯根(商品名:AQBインプラント、直径4mmのヒドロキシアパタイトコーティング純チタン、株式会社アドバンス製)の1本とをガラスビーカーに投入し25℃で2時間静置させ、人工歯根にCOLを吸着させた。その後、人工歯根をガラスビーカーから取り出し、100mLの蒸留水で5回洗浄し、37℃の順風乾燥機の中で12時間乾燥させ、COL吸着人工歯根(基材E)を作製した(COL付着量:約1μg/cm2)。
【0045】
<比較例2>
比較例1の基材Eを、オートクレーブ滅菌(120℃、20分)することにより滅菌SLPF吸着人工歯根(基材F)を作製した。COLの10.0mg又は1.00mgをエンドトキシン試験用水の1mLに溶解して検体液とした。この検体液を用いて参考例1と同様にしてCOLのエンドトキシン含有量を測定した結果、0.0015EU/mg以上かつ0.015EU/mg未満であった。
【0046】
<評価1>
参考例1の基材A、実施例の基材B、参考例2の基材C、実施例の基材D、比較例1の基材E及び比較例2の基材Fについて、骨芽細胞の細胞接着性を以下の方法で評価した。15mL容量遠沈管(旭テクノグラス株式会社製)に、基材の1個、骨芽細胞増殖培地(三光純薬株式会社製)の5mL、及び正常ヒト骨芽細胞(三光純薬株式会社製)の20万個を投入し、フタをしてゆるやかに攪拌後、CO2インキュベーター内に静置し、CO2濃度5%(v/v)、37℃の条件で2時間培養した。2時間の培養後、15mL容量遠沈管から基材を取り出し、その基材と5mLのトリプシン/EDTA溶液(倉敷紡績株式会社製)とを別の15mL容量遠沈管に投入し、骨芽細胞の剥離処理を行った。処理後、15mL容量遠沈管から基材を取り出し、15mL容量遠沈管に残存した溶液を1000rpmで5分間の条件で遠心分離した。遠心分離後、遠心上清をアスピレーターで吸引除去した。上清除去後の15mL容量遠沈管に、0.5mLのPBS及び0.1mLのテトラカラーワン(生化学工業株式会社製)を投入し、25℃で4時間静置させた。その後、分光光度計を用いて450nm(対照波長630nm)の吸光度を測定し、この値を細胞接着性とした。これらの結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
<評価2>
参考例1の基材A、実施例の基材B、比較例1の基材E及び比較例2の基材Fについて、微小血管内皮細胞の細胞接着性を以下の方法で評価した。15mL容量遠沈管(旭テクノグラス株式会社製)に、基材の1個、微小血管内皮細胞増殖培地(倉敷紡績株式会社製)の5mL、及び正常ヒト微小血管内皮細胞(倉敷紡績株式会社製)の20万個を投入し、フタをしてゆるやかに攪拌後、CO2インキュベーター内に静置し、CO2濃度5%(v/v)、37℃の条件で2時間培養した。2時間の培養後、15mL容量遠沈管から基材を取り出し、その基材と5mLのトリプシン/EDTA溶液(倉敷紡績株式会社製)とを別の15mL容量遠沈管に投入し、微小血管内皮細胞の剥離処理を行った。処理後、15mL容量遠沈管から基材を取り出し、15mL容量遠沈管に残存した溶液を1000rpmで5分間の条件で遠心分離した。遠心分離後、遠心上清をアスピレーターで吸引除去した。上清除去後の15mL容量遠沈管に、0.5mLのPBS及び0.1mLのテトラカラーワン(生化学工業株式会社製)を投入し、25℃で4時間静置させた。その後、分光光度計を用いて450nm(対照波長630nm)の吸光度を測定し、この値を細胞接着性とした。これらの結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
表1及び表2の結果から、本発明の細胞接着性ペプチド含有基材は、比較例の基材に比べて接着活性が極めて高いことが判る。さらに、本発明の基材は、オートクレーブ滅菌を行っても接着活性が変化しないことが分かる。
【0051】
【発明の効果】
本発明の細胞接着性ペプチド含有基材は、天然由来のコラーゲン等を使用しなくても、細胞を極めて効率良く基材に接着できる。さらに、本発明の基材は、オートクレーブ滅菌等の加熱滅菌が可能である。従って、本発明の細胞接着性ペプチド含有基材は、プリオンやヒト感染性のウイルス等の感染物質が含有される危険性がある天然由来の蛋白質等を含まず、さらに、微生物の混入が生じたとしても容易に加熱滅菌できるため、極めて安全性が高い。また、細胞が基材に接着しやすいため、基材と体内細胞との親和性が極めて高くなる。
【0052】
【配列表】

Claims (5)

  1. エンドトキシンの含有量が細胞接着性ペプチドの重量に基づいて0.0015EU/mg未満である遺伝子組み換え法により製造される数平均分子量が10万の、(Gly Ala Gly Ala Ser)9配列(35)とArg Gly Asp配列とそれぞれ12個ずつからなる、又は(Gly Ala Gly Ala Ser)9配列(35)とIle Lys Val Ala Val配列(7)とそれぞれ12個ずつからなる細胞接着性人工ペプチドとインプラント材料とからなることを特徴とする細胞接着性ペプチド含有基材。
  2. 加熱温度が40℃〜180℃である加熱法によりエンドトキシンを失活させたものである請求項1記載の基材。
  3. インプラント材料がチタン原子を有してなる請求項1又は2記載の基材。
  4. 血管内皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞、筋肉細胞、脂肪細胞、神経細胞、肝実質細胞、膵ラ島細胞、腎上皮細胞、近位尿細管上皮細胞、メサンギウム細胞、上皮細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞、平滑筋細胞、視細胞、角膜上皮細胞、角膜内皮細胞、間質細胞、平滑筋細胞、骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞、軟骨芽細胞、軟骨細胞、歯根膜細胞、骨芽細胞及びこれらの幹細胞からなる群より選ばれる少なくとも1種の細胞を接着させるための請求項1〜3いずれかに記載の基材。
  5. 人工臓器用基材、歯科用基材、整形外科用基材又は眼科用基材に用いる請求項1〜4いずれかに記載の基材。
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