JP4503191B2 - 配管継手構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば車両用空調装置の熱交換器の熱交換媒体の流路を形成する配管継手構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、たとえば内部を冷媒が流通する冷媒配管の配管継手構造としては、図14、図15に示すようなものが知られている。図14、図15において、70はフランジを示しており、フランジ70は一つの部材を切削加工したブロック状の部材から構成されている。フランジ70には、接続対象物(たとえば、車両用空調装置の冷媒配管のフランジであれば車両等)に接続するためのボルト(図示略)が挿通される孔71が穿設されている。また、フランジ70には、直管状の配管72または曲がり部74を有する配管73が挿通される挿通孔75が穿設されている。配管72、73の端部には、拡径部76および縮径部77(シール溝)が設けられている。そして、拡径部76を形成し配管72、73をフランジ70にかしめることにより、配管72、73がフランジ70に固定されるようになっている。
【0003】
しかし、上記のような配管継手構造においては、フランジ70はブロック状の部材により構成されているので、材料費、加工費が嵩む。このため、配管継手構造の製造コストが増大する。さらに、フランジ70の厚み寸法Aが大きいため、フランジ70の底面から配管73の曲がり部74の終点までの寸法Bも大きくなる。このため、配管の設置部等において配管73と他部材との干渉が避けられない事態を招くおそれもある。
【0004】
このため、図16、図17に示すように、ブロック状のフランジ70 に代えて板状フランジ78を用いた配管継手構造も提案されている(たとえば、特開平7−305793号公報)。このような配管継手構造においては、板状フランジ78を用いることにより材料費、加工費を削減しコストダウンを達成しつつ、寸法Aを小さくできるため寸法Bも小さく設計できるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、板状フランジ78を用いる場合においては、ブロック状のフランジ70を用いる場合に比べて配管72、73の挿通される挿通孔75が浅くなる。このため、フランジ78による配管72、73の固定強度が低下し、配管に振動の加わり易い車両用空調装置の熱交換器の配管継手に使用すると図18、図19に示すように配管72、73にぶれが発生するおそれがある。つまり、配管72、73がフランジ78に正しい位置で固定された際の中心軸lに対して、配管72、73がぶれるおそれがある。なお、このような問題を解決するために、ブロック状のフランジ内部に配管の曲がり部を保持させる提案(たとえば、特開平7−12283号公報)もなされているが、ブロック状のフランジを用いたのではコストダウンが図れない。また、構造が複雑化するおそれがある。さらに、曲がり部の形状によっては上記提案は適用できなくなるおそれもある。
【0006】
本発明の課題は、板状フランジによる配管の固定強度を向上し、配管のぶれを防止でき、しかも製造コストを大幅に低減できる配管継手構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の配管継手構造は、挿通孔に挿通された配管の端部を固定するとともに、接合対象物に接合される板状フランジを有する配管継手構造において、前記板状フランジに、板状フランジに固定される配管のぶれを抑止する保持部を延設しており、前記保持部が、さらに配管挿通孔を有し、あるいは前記配管にかしめられ、もしくはろう付けされ、あるいは板状フランジの端部から略垂直に立ち上げられた後に前記板状フランジに略平行になるように折り曲げられていることを特徴とするものからなる。
【0008】
上記保持部は板状フランジに一体に形成されることが好ましい。保持部を板状フランジに一体に形成すれば部品点数の増加を防止できる。保持部は板状フランジをプレス加工等により成形する際に、同時にしかも容易に成形することができる。
【0009】
上記保持部を、配管にかしめれば保持部による保持構造を簡単に構成することができる。たとえば保持部に配管外面に挟持可能な腕部を設け、該腕部を配管にかしめる構造。あるいは保持部に配管挿通孔を形成し該配管挿通孔の周縁で配管をかしめる構造を挙げることができる。また、上記保持部、たとえば、前記腕部あるいは配管挿通孔を配管にろう付けすることもできる。
【0010】
また、上記保持部は板状フランジの端部から略垂直に立ち上がるように設けることができる。このように保持部を延設すれば、管端の近傍に曲がり部を有する配管の曲がり部の一端を板状フランジにより、他端を保持部により支持することができるので、曲がり部を有する配管のぶれを効果的に防止でき、強固な配管継手構造を実現できる。
【0011】
また、上記保持部は板状フランジの端部から立ち上げられた後板状フランジに略平行になるように折り曲げて延設することができる。このように保持部を延設すれば、直管状の配管の長手方向を板状フランジと保持部により支持することができるので、直管状の配管のぶれを効果的に防止でき、強固な配管継手構造を実現できる。
【0012】
本発明の配管継手構造は、種々の配管の継手構造として広く適用することができるが、とくに配管の振動の加わる車両用空調装置の熱交換器の熱交換媒体配管の継手構造に用いて最適なものである。
【0013】
上記のような配管継手構造においては、配管端部は板状フランジの挿通孔と保持部との2箇所で強固に固定されるので、配管のぶれ、つまり板状フランジに配管が正しい位置関係に固定された際の配管の中心軸に対するぶれを効果的に防止することができる。したがって、振動の加わり易い車両用空調装置の熱交換器の配管の配管継手構造として最適である。また、板状フランジの使用により材料コストを低減できる。さらに、保持部は、板状フランジをプレス加工等により成形する際に同時にしかも容易に成形できるので、加工コストを低減することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の配管継手構造の望ましい実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施態様においては、配管は自動車等の車両用空調装置の熱交換器の熱交換媒体用(たとえば、冷媒用)の配管を示している。
図1ないし図3は、本発明の第1実施態様に係る配管継手構造を示している。図において、1は配管継手構造を示している。配管2は端部に曲がり部3を有する曲がり管になっており、管端末部には、拡径部4とOリング等のシール材(図示略)が嵌め込まれる縮径部5(シール溝)が形成されている。なお、拡径部4、縮径部5は、パンチ加工等を施すことにより簡単に形成できる。
【0015】
配管2の端部は、板状フランジ6の配管用の挿通孔7に挿通されている。そして、配管2の端末部に拡径部4を形成することにより、挿通孔7の周縁に拡径部4をかしめて配管2が板状フランジ6に固定されるようになっている。
【0016】
板状フランジ6には、該フランジ6を接続対象物(たとえば車両本体)に接続するためのボルト(図示略)が挿通される孔8が穿設されている。また、板状フランジ6の端部には、保持部が一体に延設されている。保持部9は、板状フランジ6の端部から略垂直に立ち上げられており、配管2の外面にかしめ可能な一対の腕部10、11を有している。そして、図3に示すように一対の腕部10、11の付け根で配管2を挟持した状態で腕部10、11を配管2の外面にかしめることにより保持部9により配管2が保持されるようになっている。該保持構造により、配管2が板状フランジ6に正しい位置関係に固定された際の配管2の中心軸lに対するぶれが防止されるようになっている。なお、図3においては、一対の腕部10、11を有する態様について示しているが、図4に示すように一つの腕部12を配管2の外周に巻きつけるようにかしめることもできる。
【0017】
図5ないし図7は、本発明の第2実施態様に係る配管継手構造13を示している。該配管継手構造13の配管は上記第1実施態様と同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。配管2の端部は板状フランジ14の配管用の挿通孔15に挿通されている。そして、配管2の端末部に拡径部4を形成することにより、挿通孔15の周縁に拡径部4をかしめて配管2が板状フランジ14に固定されるようになっている。
【0018】
板状フランジ14には、該フランジ14を接続対象物に接続するためのボルトが挿通される孔16が穿設されている。また、板状フランジ14の端部には、保持部17が一体に延設されている。保持部17は、板状フランジ14の端部から略垂直に立ち上げられている。保持部17には、配管2の外径よりも若干大径の配管挿通孔18が穿設されている。そして、図7に示すように、配管挿通孔18に配管2を挿通した状態で該配管挿通孔18の外縁を配管2の外周にかしめることにより、保持部17に配管2が保持されるようになっている。該保持構造により、配管2が板状フランジ14に正しい位置関係に固定された際の配管2の中心軸lに対する配管2のぶれが防止されるようになっている。
【0019】
上記第1、第2実施態様においては、板状フランジ6(板状フランジ14)および保持部9(保持部17)により、配管2の曲がり部3の両端の2箇所が強固に固定されているので、車両等から振動が加わっても、板状フランジ6(板状フランジ14)に配管2が正しい位置関係に固定された際の配管2の中心軸lに対するぶれを効果的に防止することができる。また、板状フランジ6(板状フランジ14)を使用することにより材料コストを低減できる。また、保持部9(保持部17)は板状フランジ6(板状フランジ14)に一体に形成されており、このような板状フランジ6(板状フランジ14)はプレス加工等により容易に成形することができるので、加工コストを低減することができる。さらに、板状フランジ6(板状フランジ14)の使用により、フランジの厚み寸法A、フランジ6(フランジ14)の底面から曲がり部3の終点までの寸法Bも小さくできる。
【0020】
図8ないし図10は、本発明の第3実施態様に係る配管継手構造19を示している。本実施態様においては、配管20の端部は直管になっており、管端末部には拡径部21とOリング等のシール材(図示略)が嵌め込まれる縮径部22が形成されている。
【0021】
配管20の端部は、板状フランジ23の配管用の挿通孔24に挿通されている。そして、配管20の端末部に拡径部21を形成することにより、挿通孔24の周縁に拡径部21をかしめて配管20が板状フランジ23に固定されるようになっている。
【0022】
板状フランジ23には、該フランジ23を接続対象物(たとえば、車両本体)に接続するためのボルト(図示略)が挿通される孔25が穿設されている。また、板状フランジ23の端部には、保持部26が一体に延設されている。保持部26は、板状フランジ23の端部から略垂直に立ち上がった後該板状フランジ23に略平行になるように折り曲げられた一対の腕部27、28を有している。そして、図10に示すように一対の腕部27、28の付け根で配管20を挟持した状態で腕部27、28を配管20の外面にかしめることにより配管20が保持されるようになっている。該保持構造により、配管20が板状フランジ23に正しい位置関係に固定された際の配管20の中心軸lに対するぶれが防止されるようになっている。なお、本実施態様においては、一対の腕部27、28を有する態様について示しているが、図4に示しように一つの腕部を配管20の外面に巻きつけるようにかしめることもできる。
【0023】
図11ないし図13は、本発明の第4実施態様に係る配管継手構造29を示している。該配管継手構造29の配管は上記第3実施態様と同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。配管20の端部は、板状フランジ30の配管用の挿通孔31に挿通されている。そして、配管20の端部に拡径部21を形成することにより、挿通孔31の周縁に拡径部21をかしめて配管20が板状フランジ30に固定されるようになっている。
【0024】
板状フランジ30には、該フランジ30を接続対象物に接続するためのボルトが挿通される孔32が穿設されている。また、板状フランジ30の端部には、保持部33が一体に延設されている。保持部33は、板状フランジ30の端部から略垂直に立ち上げられた後板状フランジ30に略平行に折り曲げられている。保持部30には、配管20の外径よりも若干大径の配管挿通孔34が穿設されている。そして、図13に示すように、配管挿通孔34に配管20を挿通した状態で該配管挿通孔34の外縁を配管20の外周にかしめることにより、保持部33に配管20が保持されるようになっている。該保持構造により、配管20が板状フランジ30に正しい位置関係に固定された際の配管20の中心軸lに対するぶれが防止されるようになっている。
【0025】
上記第3、第4実施態様においては、板状フランジ23(板状フランジ30)、および保持部26(保持部33)により配管20の端部の2箇所が固定されているので、車両等から振動が加わっても、板状フランジ23(板状フランジ30)に配管20が正しい位置関係に固定された際の配管20の中心軸lに対するぶれを効果的に防止することができる。また、板状フランジ23(板状フランジ30)を使用することにより、材料コストを低減できる。また、保持部26(保持部33)は板状フランジ23(板状フランジ30)に一体に形成されており、このような板状フランジ23(板状フランジ30)はプレス加工等により容易に成形することができるので、加工コストを低減できる。
【0026】
なお、上記第1〜第4の実施態様においては、保持部を配管にかしめて固定したが、保持部を配管にろう付け等により固定してもよい。該ろう付けは、熱交換器等をろう付けする際に一つの工程で同時に行うこともできる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の配管継手構造によるときは、板状フランジの配管のぶれを防止する保持部が延設されているので、配管の固定強度を向上し配管のぶれを効果的に防止できる。また、板状フランジの使用により、材料コスト等を低減することができるので、コストダウンに寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施態様に係る配管継手構造の側面図である。
【図2】図1の配管継手構造のII−II方向からの矢視図である。
【図3】図1の配管継手構造のIII−III線に沿う拡大断面図である。
【図4】図1とは別の態様の腕部を有する配管継手構造の断面図である。
【図5】本発明の第2実施態様に係る配管継手構造の側面図である。
【図6】図5の配管継手構造のVI−VI方向からの矢視図である。
【図7】図5の配管継手構造のVII−VII線に沿う拡大断面図である。
【図8】本発明の第3実施態様に係る配管継手構造の側面図である。
【図9】図8の配管継手構造のIX−IX方向からの矢視図である。
【図10】図8の配管継手構造のX−X線に沿う拡大断面図である。
【図11】本発明の第4実施態様に係る配管継手構造の側面図である。
【図12】図11の配管継手構造のXII−XII方向からの矢視図である。
【図13】図11の配管継手構造のXIII−XIII線に沿う拡大断面図である。
【図14】直管状の配管を固定する従来の配管継手構造の側面図である。
【図15】曲がり部を有する配管を固定する従来の配管継手構造の側面図である。
【図16】直管状の配管を固定する、図14とは別の態様の配管継手構造の側面図である。
【図17】曲がり部を有する配管を固定する、図15とは別の態様の配管継手構造の側面図である。
【図18】図16の配管継手構造に振動が加わった際の配管のぶれの状態を示す側面図である。
【図19】図17の配管継手構造に振動が加わった際の配管のぶれの状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1、13、19、29 配管継手構造
2、20 配管
3 曲がり部
4、21 拡径部
5、22 縮径部
6、14、23、30 板状フランジ
7、15、24、31 挿通孔
8、16、25、32 孔
9、17、26、33 保持部
10、11、12、27、28 腕部
18、34 配管挿通孔

Claims (8)

  1. 挿通孔に挿通された配管の端部を固定するとともに、接合対象物に接合される板状フランジを有する配管継手構造において、前記板状フランジに、板状フランジに固定される配管のぶれを抑止する保持部を延設し、前記保持部が、さらに配管挿通孔を有していることを特徴とする配管継手構造。
  2. 挿通孔に挿通された配管の端部を固定するとともに、接合対象物に接合される板状フランジを有する配管継手構造において、前記板状フランジに、板状フランジに固定される配管のぶれを抑止する保持部を延設し、前記配管に前記保持部がかしめられ、またはろう付けされていることを特徴とする配管継手構造。
  3. 前記保持部が板状フランジの端部から略垂直に立ち上がっている、請求項1または2に記載の配管継手構造。
  4. 挿通孔に挿通された配管の端部を固定するとともに、接合対象物に接合される板状フランジを有する配管継手構造において、前記板状フランジに、板状フランジに固定される配管のぶれを抑止する保持部を延設し、前記保持部が板状フランジの端部から略垂直に立ち上げられた後に前記板状フランジに略平行になるように折り曲げられていることを特徴とする配管継手構造。
  5. 前記保持部が配管に挟持可能な腕部を有している、請求項2または4に記載の配管継手構造。
  6. 前記保持部が板状フランジの端部から略垂直に立ち上がっている、請求項に記載の配管継手構造。
  7. 前記保持部が板状フランジに一体に形成されている、請求項1ないし6のいずれかに記載の配管継手構造。
  8. 前記配管が車両用空調装置の熱交換器の熱交換媒体用の配管である、請求項1ないしのいずれかに記載の配管継手構造。
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