JP4502453B2 - 水処理装置およびこれを備えた水処理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は生活排水、工業廃水または河川水等の水を処理する水処理装置およびこれを備えた水処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
生活排水や工業廃水等の汚水中に含まれる汚染物の代表的なものに、BODで表される有機性物質がある。従来から、このような有機性の汚染物を含む汚水の処理法として、微生物を使用した生物学的処理が行われている。
汚水を生物学的に処理する方法としては、まず、原水中の砂等の比較的大きな固形分をスクリーンで除去し、その後、初期沈殿槽において比較的小さな有機物などの固形分を沈殿させ、原水から分離する。
ついで、固形物がほぼ除去された原水を曝気槽に導入し、好気性細菌の作用で有機物を酸化分解する。そして、最終沈殿槽で好気性細菌を含んだフロックを分離し、放流している。特に最近では、曝気槽内に、吸引型の中空糸膜モジュール等の分離膜モジュールを浸漬させて、好気性細菌による生物学的処理とともに膜分離による固液分離を同時に行う方法も実施されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように好気性細菌の作用による生物学的処理と分離膜モジュールによる固液分離とを同時に行う曝気槽においては、分離膜に目詰まりが発生しやすく、一定時間の濾過処理後、膜面洗浄を行う必要がある。
目詰まりには、膜面へ微粒子等が堆積する物理的なものと、有機物等が膜面へ吸着する化学的なものがある。物理的な目詰まりは、空気を送って膜を振動させるエアースクラビング処理で比較的容易に取り除くことができるが、有機物の吸着、特に、微生物が排出した粘着性の細胞外物質(生体ポリマー)等が膜に吸着した場合は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液やオゾンガスを用いて有機物を酸化分解する必要があった。しかし、酸化分解による有機物の除去は手間がかかるうえ、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素含有化合物を使用すると、有機物の酸化分解時に塩素が発生し環境上好ましくないという問題があった。
【0004】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、有機物の分離膜への吸着を少なくして膜の目詰まり抑制し、効率的に膜分離を行うとともに、好気性細菌による好気処理も効率良く行うことができる水処理装置およびこれを備えた水処理システムを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の水処理装置は、原水を固液分離するととともに、原水中の汚染物を生物学的に処理する水処理装置であり、曝気槽と、曝気槽内に備えられた分離膜モジュールと、分離膜モジュールの下方の曝気槽内に備えられ、分離膜モジュールに向けて酸素含有気体を発生する散気手段とを有し、曝気槽内の分離膜モジュールの側方には、全周にわたって以下の炭素繊維ユニットが備えられていることを特徴とする水処理装置である。そして、炭素繊維ユニットは、複数本の炭素繊維がシート状に配列された炭素繊維シート状物の積層体であり、炭素繊維シート状物は、炭素繊維からなる横糸が互いに略平行にシート状に配列され、これら横糸の配列間隔が横糸の両端部に配された縦糸によって保持されたシート状物であり、前記縦糸がラッセル編みを形成していて、編み目には前記横糸が通されて固定されている。また、本発明の水処理システムは、上記の水処理装置を備えていることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の水処理システムを説明する流れ図である。この水処理システムにおいては、まず、生活排水、工業廃水または河川水等からの原水を原水池に貯水し、この原水池から原水を取水して水処理装置に導入する。この際、原水中に含まれている砂やゴミなどの大きな固形物を除去するために、原水池の前や水処理装置の前には、スクリーンを設けることが好ましい。
ついで、水処理装置において、原水中の有機性物質や窒素含有物質等の汚染物を生物学的に処理しながら、原水を汚泥等の汚濁物と濾過水に固液分離する。得られた濾過水は処理水槽を経て放流ポンプ槽に供給され、放流される。一方、汚濁物は、余剰汚泥とともに汚泥貯留槽に貯留された後、適宜処理される。なお、水処理装置内には、汚濁物の沈殿凝集を促進させるためにポリ塩化アルミニウム等の凝集剤を添加してもよい。
【0007】
この水処理システムで使用される水処理装置10は、図2および図3に示すように、曝気槽11と、曝気槽11内に備えられた中空糸膜モジュール12と、中空糸膜モジュール12の下方の曝気槽11内に備えられ、中空糸膜モジュール12に向けて酸素含有気体を発生する散気管16と、曝気槽11内の中空糸膜モジュール12の側方に全周にわたって設けられた炭素繊維ユニット13から概略構成されている。また、水処理装置10には、次亜塩素酸ナトリウム水溶液などの入った薬液タンク19が備えられ、この水溶液をポンプで送液して中空糸膜モジュール12の膜面に付着した有機物を分解し除去する、いわゆる逆洗ができるようになっていてもよい。
曝気槽11は、その底部11aを傾斜した錐体状として、原水中の汚泥が底部11aに沈降しやすいようにしてもよい。
曝気槽11内に配置された中空糸膜モジュール12は、略平行にシート状に配列された複数本の中空糸膜12aと、これら中空糸膜12aの両端部を支持する管状支持体12bから構成されている。中空糸膜12aは、その両端部が開口状態を維持したまま管状支持体12bの側面と接合されていて、この管状支持体12bには吸引ポンプ14が接続されている。そして、この吸引ポンプ14を作動させて曝気槽11内の原水を中空糸膜12aを通して吸引濾過することによって、処理水槽に濾過水が溜まるようになっている。なお、この例においては、図3に示すように5体の中空糸膜モジュール12が平行に配された形態になっている。
【0008】
散気管16は、中空糸膜モジュール12の下方に配置されていて、ポンプ18から圧縮空気等の酸素含有気体を送ることによって、散気管16の側面の上部に形成されている散気孔から中空糸膜モジュール12に向けてこの気体を発生できるようになっている。このような散気管16からの酸素含有気体によって、曝気槽11内の原水に酸素を供給できるとともに、中空糸膜12aの膜面をエアースクラビング処理できるようになっている。
【0009】
曝気槽11内の中空糸膜モジュール12の側方には、中空糸膜モジュール12の全周にわたって炭素繊維ユニット13が備えられている。
この炭素繊維ユニット13は、図4に示すように、複数本の炭素繊維がシート状に配列された炭素繊維シート状物20が、支持体31に固定治具33で複数枚固定された形態の炭素繊維積層体であり、炭素繊維の有する有機物吸着能によって原水中の汚泥をその表面に吸着できるようになっている。また、炭素繊維シート状物20は水流等で揺動できるように、炭素繊維に張力がかかっておらず、撓みを有している状態で固定されている。
【0010】
このような水処理装置10で原水を処理する際には、まず、原水を曝気槽11に導入し、散気管16に接続しているポンプ18を作動させて、散気孔から上方に向けて酸素含有気体を発生させる。そして、中空糸膜モジュール12に接続している吸引ポンプ14を作動させる。
すると、散気管16からの酸素含有気体は中空糸膜モジュール12に向けて上昇するため、中空糸膜モジュール12の近傍や中空糸膜12a間の原水中の酸素濃度は高くなる。そして、この酸素含有気体の上昇にともなって、酸素含有気体近傍の原水も上昇し、外気との界面付近まで到達した後、下降する。すなわち、散気管16からの酸素含有気体の発生によって、曝気槽11内において原水が上下に循環する循環流が発生する。
ここで上昇流は、主に中空糸膜モジュール12の近傍や中空糸膜12a間を通り抜け、外気との界面付近まで到達し、その後、中空糸膜モジュール12の側方を下降する。中空糸膜モジュール12の側方には、中空糸膜モジュール12の全周にわたって炭素繊維ユニット13が備えられているため、下降流は炭素繊維ユニット13内の炭素繊維間を通り抜けていく。
【0011】
このような循環流は、散気管16から発生した酸素によって形成されたものであるため、循環流を形成している原水は酸素濃度が高い状態になっている。よって、上昇流の流路であり、直接酸素が供給される中空糸膜モジュール12の近傍および中空糸膜12間だけでなく、酸素濃度の高い下降流が流れ込む炭素繊維ユニット13内も酸素濃度が高い状態になり、好気的な雰囲気が形成される。
そして炭素繊維は、その表面に有機物を吸着する能力、すなわち有機物吸着能を有するため、炭素繊維の表面には主に好気性細菌を含む活性汚泥が吸着するようになる。
その結果、高表面積の炭素繊維表面で、効率的に活性汚泥による好気処理がなされ、好気処理済みの原水が、中空糸膜12aで濾過され濾過水となる。濾過水は処理水槽に送られ、一方、原水中の汚泥等の固形分は曝気槽内にとどまる。
【0012】
すなわち、このような水処理装置10においては、炭素繊維ユニット13内に酸素濃度の高い原水が流れ込むため、炭素繊維の表面に好気性細菌を含む活性汚泥が吸着し、その結果、炭素繊維ユニット13内で原水の好気処理を行うことができる。炭素繊維ユニット13は炭素繊維の積層体であり表面積が高いため、炭素繊維表面上にこのような活性汚泥を吸着させることによって、活性汚泥と原水との接触効率を高めることができ、効率的に好気処理を行うことができる。そして、中空糸膜モジュール12に接続している吸引ポンプ14を作動させることにより、中空糸膜モジュール12による固液分離も同時に行うことができる。
また、汚泥の少なくとも一部は炭素繊維ユニット13の炭素繊維表面に保持されるため、結果的に、吸引濾過する原水中に浮遊している汚泥濃度を比較的低い状態に保つことができる。よって、中空糸膜モジュール12に付着する汚泥量を小さく抑えることができ、中空糸膜12aに汚泥が付着することによる目詰まりを抑制できる。したがって、中空糸膜12aにかかる負担を低減でき、効率的に原水を濾過できる。
【0013】
ここで中空糸膜モジュール12に使用される中空糸膜12aとしては、セルロース系、ポリオレフィン系、ポリビニルアルコール系、PMMA系、ポリスルフォン系等の各種材料からなるものが使用でき、外径が50〜1000μm、孔径が0.01〜1.0μm、空孔率が50〜80%、膜厚が20〜300μmであることが好ましい。また、ここで、中空糸膜の孔径を0.2μm以下とすると、原水中の病原性微生物をほぼ完全に膜面で捕らえ、分離することができる。
中空糸膜モジュール12の形態には特に制限はなく、図2および図3に示した形態の他、中空糸膜12aを束にしてケーシング内やハウジングに固定した形態のもの等を使用できる。また、曝気槽11内に、図3に示したように複数の中空糸膜モジュール12を配置して、膜面積を大きくし、濾過効率を向上させてもよい。
また、この例では分離膜モジュールとして中空糸膜12aを使用した中空糸膜モジュール12を使用しているが、分離膜の種類は中空糸膜12aタイプに限らず、平膜タイプ、管状タイプ、袋状タイプ等の任意の分離膜を使用できる。分離膜の表面に親水化処理が施され、有機物の吸着を抑制できるものを使用してもよい。
【0014】
炭素繊維ユニット13は、複数枚の炭素繊維シート状物20からなる炭素繊維積層体であるが、ここで炭素繊維シート状物20に使用される炭素繊維は、PAN系、ピッチ系等の炭素繊維であり、直径1〜20μmのフィラメントが1000〜320000本集合したストランド、撚糸等であり、これらの炭素繊維がシート状に配列されたものである。
炭素繊維シート状物20の具体例としては、図5に示すように、炭素繊維が互いに略平行にシート状に配列された横糸21と、これら横糸21の配列間隔を保持するための縦糸22から構成されていて、縦糸22が、図6に示すようにラッセル編みを形成している形態が挙げられる。この例においては、縦糸22が形成しているラッセル編みの編み目内には横糸21が1列ずつ通されていて、横糸21は移動しないように編み目によって固定されている。そして、縦糸22が形成する連続した編み目によって、横糸21同士はほぼ一定の間隔を保持して配列されている。この例では横糸21には、多数の炭素繊維フィラメント21aからなるストランドが使用されている。
【0015】
この例の炭素繊維シート状物20においては、縦糸22は横糸21に対して略90°に、かつ、各縦糸22同士は適宜間隔を有して設けられている。すなわち、縦糸22は横糸21の両端部に2列ずつ、横糸21の中央部に4列、両端部の近傍に10列ずつ設けられていて、さらにこれらの10列の縦糸22と中央部の縦糸22との間に4列ずつ設けられている。
この炭素繊維シート状物20において、横糸21は、縦糸22が配されている部分は縦糸22のラッセル編みによって固定されているが、それ以外の部分には縦糸22が設けられていないため、外からの力によって容易に揺動できるようになっている。また、この例では、1本の炭素繊維ストランドが所定の長さL1 ずつn回折り返されて、(n+1)列の横糸21を形成している。
また、ここで使用されている縦糸22としては、通常の織物や編物に使用される糸を使用でき、特に制限はないが、水中で使用した場合でも酸化や加水分解等の化学反応を起こしにくく劣化しにくいものであることが好ましい。このようなものとしては、例えば、炭素繊維からなる糸や、ポリエステル、ポリエチレン等の樹脂糸等が挙げられる。
【0016】
このような炭素繊維シート状物20は、炭素繊維からなる横糸21が互いに略平行にシート状に配列され、これら横糸21の配列間隔が縦糸22によって保持されているため、炭素繊維フィラメント21a同士がばらばらになったり、絡み合ったりすることがないうえに、炭素繊維の表面積を高く維持している。したがって、曝気槽11内で使用する場合にも交換時等の取り扱いが容易で、かつ、炭素繊維と水との接触効率も高く維持でき、活性汚泥を効率的に吸着できる。
また、炭素繊維が規則的に配列した形態であって、かつ、水中等で揺動することができるため、単位体積あたりの炭素繊維密度を高くできるうえに、より効率的に炭素繊維と水とを接触させ活性汚泥を吸着することができる。
そして、この炭素繊維シート状物20は横糸21に対して縦糸22がラッセル編みを形成している単純な構造であるため、通常のラッセル機を用いて容易に製造することができる。
さらにこの場合、使用する炭素繊維のフィラメント径、1本のストランドや撚糸を形成するフィラメント数、1列の横糸の長さL1 、横糸の列数(n+1)等を任意に変化させることによって、炭素繊維の全表面積を任意に調節でき、原水の処理量、汚濁の度合いに応じた所望の有機物吸着能力を有する炭素繊維シート状物20を簡単に得ることができる。
【0017】
また、使用する炭素繊維シート状物20の他の形態として、図7に示すように、縦糸22が横糸21の一方の端部に1列のみ配されている形態、図8に示すように、横糸21の両端部に1列ずつ配されている形態、図9に示すように、横糸21の一方の端部に1列とその近傍に数列配されている形態等が挙げられる。このように、縦糸22の列数や縦糸22の位置を変化させることによって、横糸21の水中での揺動状態を適宜設定することができ、取り扱い易さ等とのバランスを考慮して所望の形態の炭素繊維シート状物20を得ることができる。
【0018】
例えば、図6に示すように横糸21の一方の端部のみが縦糸22で固定されていると、それ以外の部分は外部からの水流等の力によって大きく揺動できるため、水中で使用する場合、高い接触効率で水と接触することができ、活性汚泥の吸着効率を高めることができる。また、図8に示すような形態では、横糸21の両端部が固定されているため、図7に示した形態例よりも横糸21の揺動幅は小さくなるが、炭素繊維フィラメント21a同士はより絡まりにくく扱い易いものとなる。
図9に示す例では、横糸21の一方の端部だけでなく、その近傍も固定されているため、横糸21の揺動が大きく炭素繊維と水との接触効率が高いうえ、より取り扱いやすい形態になっている。
【0019】
なお、これらの図示例においては、横糸21は1本のストランドが複数回折り返されて、複数の横糸21の列を形成しているが、必ずしも横糸21の各列が糸の折り返しによって連続的に形成されている必要はなく、一列の横糸21がそれぞれ1本のストランドからなっていてもよい。しかしながら、糸の折り返しによって横糸21の各列が連続的に形成される方が、炭素繊維シート状物20の製造時に横糸21を取り扱いやすい。
炭素繊維ユニット13として、このような炭素繊維シート状物20が、支持体31に複数枚固定された、図4のような形態の炭素繊維積層体を使用すると、炭素繊維の密度を高くでき、しかも、炭素繊維フィラメント21a同士を絡まりにくく取り扱い易い状態に維持できるため好ましい。また、炭素繊維シート状物20の枚数やこれらを支持体31に固定する間隔等を適宜設定することによって、曝気槽11の大きさや形状、汚泥の量に応じた所望の有機物吸着能力を有する炭素繊維ユニットを得ることができる。
しかしながら、炭素繊維ユニット13の形態は、例示したような炭素繊維積層体に限定されず、例えば、炭素繊維シート状物20を、簀巻きして支持体31に固定した図10に示す形態や、多数の炭素繊維を束ねた形態等でもよい。
また、曝気槽11内において炭素繊維ユニット13が設けられる数は、原水の汚濁の度合い等に応じて適宜設定できるが、酸素濃度の高い下降流が炭素繊維ユニット13を避けて流れずに炭素繊維ユニット13内を通り抜けるように、水流の向き等の条件に応じて決定する。
【0020】
また、このような水処理装置10に使用される散気手段としては、図2に示す例では側面に散気孔を有する散気管16を使用しているが、中空糸膜モジュール12に向けて気体を発生できる形態であれば特に制限はなく、多孔質板を利用した散気板等を使用してもよい。
【0021】
このような水処理装置10によれば、曝気槽11と、曝気槽11内に備えられた分離膜モジュールと、分離膜モジュールの下方の曝気槽11内に備えられ、分離膜モジュールに向けて酸素含有気体を発生する散気手段とを有し、曝気槽11内の分離膜モジュールの側方には、全周にわたって炭素繊維ユニット13が備えられているので、好気性細菌等を含む活性汚泥の少なくとも一部は炭素繊維ユニット13に吸着して、炭素繊維上にとどまって好気処理を行う。炭素繊維ユニット13は炭素繊維の積層体であり表面積が高いため、炭素繊維表面上に活性汚泥を吸着させることによって、活性汚泥と原水との接触効率を高めることができ、効率的に好気処理を行うことができる。
汚泥の少なくとも一部を炭素繊維表面に保持できるため、原水中に浮遊する汚泥濃度を比較的低い状態に保つことができ、分離膜にかかる負担を低減でき、効率的に原水を濾過できるとともに、膜面の逆洗等のメンテナンスを行う頻度を少なくできる。
【0022】
さらに、炭素繊維ユニット13として、複数本の炭素繊維がシート状に配列された炭素繊維シート状物20から構成されるものを使用することによって、炭素繊維フィラメント21a同士がばらばらになったり、絡み合ったりすることを防ぎ、かつ、炭素繊維の表面積を高く維持できる。よって、交換等の取り扱いが容易であるうえに、炭素繊維と水との接触効率も高く維持でき原水中の活性汚泥を効率的に吸着できる。
さらに、炭素繊維シート状物20として、炭素繊維からなる横糸21が互いに略平行にシート状に配列され、これら横糸21の配列間隔が1列以上の縦糸22によって保持されたシート状物であり、さらに、この縦糸22がラッセル編みを形成していて、編み目には横糸21が通されて固定されているものを使用すると、この炭素繊維シート状物20は、炭素繊維が規則的に配列した形態であって、かつ、水中で揺動することができるため、単位体積あたりの炭素繊維密度を高くできコンパクトであり、より効率的に活性汚泥を吸着することができる。
したがって、このような水処理装置10を備えた浄水システムによれば、分離膜の目詰まりを抑制しながら、効率的な膜分離が行え、かつ、好気性細菌による好気処理も効率良く行うことができる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の水処理装置によれば、有機物の分離膜への吸着を少なくして膜の目詰まり抑制し、効率的に膜分離を行うとともに、好気性細菌による好気処理も効率良く行うことができる。したがって、この水処理装置を用いた本発明の水処理システムによれば、簡単な装置で非常に効率的に水処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 水処理システムを説明する流れ図である。
【図2】 水処理装置の一形態を示す概略構成図である。
【図3】 図2中のA−A’線に沿う断面図である。
【図4】 炭素繊維ユニットの一形態を示す斜視図である。
【図5】 炭素繊維シート状物の一形態を示す平面図である。
【図6】 図4の炭素繊維シート状物の端部を示す拡大平面図である。
【図7】 炭素繊維シート状物の他の形態を示す平面図(参考図)である。
【図8】 炭素繊維シート状物の他の形態を示す平面図である。
【図9】 炭素繊維シート状物の他の形態を示す平面図(参考図)である。
【図10】 炭素繊維ユニットの他の形態を示す斜視図(参考図)である。
【符号の説明】
10・・・水処理装置、11・・・曝気槽、13・・・炭素繊維ユニット、20・・・炭素繊維シート状物、21・・・横糸、22・・・縦糸
Claims (2)
- 原水を固液分離するととともに、原水中の汚染物を生物学的に処理する水処理装置であり、曝気槽と、曝気槽内に備えられた分離膜モジュールと、分離膜モジュールの下方の曝気槽内に備えられ、分離膜モジュールに向けて酸素含有気体を発生する散気手段とを有し、曝気槽内の分離膜モジュールの側方には、全周にわたって以下の炭素繊維ユニットが備えられていることを特徴とする水処理装置。
炭素繊維ユニットは、複数本の炭素繊維がシート状に配列された炭素繊維シート状物の積層体であり、前記炭素繊維シート状物は、炭素繊維からなる横糸が互いに略平行にシート状に配列され、前記横糸の配列間隔が横糸の両端部に配された縦糸によって保持されたシート状物であり、前記縦糸がラッセル編みを形成していて、編み目には前記横糸が通されて固定されている。 - 請求項1に記載の水処理装置を備えていることを特徴とする水処理システム。
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