JP4501196B2 - ネーム印用フォント指定装置および記録媒体 - Google Patents

ネーム印用フォント指定装置および記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ネーム印用フォント指定装置および記録媒体に関し、特に所定領域内に文字が配置されるネーム印などの印面データ作成に用いて好適なネーム印用フォント指定装置および記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平11−78191号公報には、多孔性樹脂からなるスタンプ用印材を製版することによって表面にインク滲み出し部とインク非滲み出し部とが形成されたスタンプを作成するためのスタンプ作成装置が開示されている。上記公報に記載されたスタンプ作成装置で製版されるスタンプ用印材は、カーボンブラック等の光エネルギー吸収物質を分散させたウレタンなどの軟質多孔性樹脂からなる下側層と、インクを貯留可能であるとともに下側層に均一に圧力が印加されるようにする硬質多孔性樹脂からなる上側層とからなる2層構造を有しており、所定のホルダに保持される。
【0003】
この印材を製版するには、スタンプ作成装置内で透明な原稿フィルムにサーマルヘッドで文字、画像を印刷してポジ原稿を作成し、そして、このポジ原稿と印材の下側層とが対向した状態で印材が加圧されるようにホルダをスタンプ作成装置にセットする。
【0004】
この状態でスタンプ作成装置内のキセノン管を発光させると、ポジ原稿を通して光が印材の下側層に照射される。これにより、原稿の透明部分に対応して光が照射された下側層の部分は、光エネルギー吸収物質の発熱作用によって溶融後固化するので、シールされてインクを透過しない状態となる。一方、原稿の印刷部分に対応して光が照射されない下側層の部分は、原稿の文字などに対応してシールされることなくそのままの状態で残存する。このようにして、所望パターンのシール部(インク非滲み出し部)と非シール部(インク滲み出し部)とが印材の下面に混在した印判が形成される。そして、スタンプ印刷時にホルダを印刷用紙に向けて押圧すると、印材上方から供給されたインクが非シール部だけから滲み出して印刷用紙に付着し、所望の文字などがスタンプ印刷される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したスタンプ作成装置を用いてスタンプを製造しようとする場合、パーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」と略す)などを用いて入力された文字や画像を印面内の所望の位置に配置してスタンプの印面データを予め作成しておく必要がある。その際、印面データに含まれる文字データのフォントをユーザが任意に指定できるようにすることが好ましい。そのためには、フォントの名称が一覧表示されたリスト(いわゆるリストボックス)から所望のフォントをマウスクリックなどで指定するのが一般的である。
【0006】
しかしながら、パソコンに多数のフォントがインストールされている場合には、リスト内に一覧表示されたフォントから所望のものを見つけ出すのが困難となり、フォントの指定に比較的長時間を要するという問題がある。特に、ネーム印などのスタンプでは、それぞれの用途に適したフォントが指定されることが多いにも拘わらず、すべてのフォントが同列に表示されたリストから1つのフォントを指定する必要があり、フォント指定作業が非効率的に行われているという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の主たる目的は、文字データのフォントを迅速に指定することが可能なネーム印用フォント指定装置および記憶媒体を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1のネーム印用フォント指定装置は、数のフォントを記憶することが可能な第1の記憶手段と、文字データを記憶することが可能な第2の記憶手段と、前記第2の記憶手段に記憶された文字データに係る文字を、ネーム印の外形に相似したプレビュー輪郭線内に表示する文字表示手段と、フォント指定時には、前記第1の記憶手段に記憶された前記複数のフォントから任意のものを択一的に指定することができるように、前記第1の記憶手段に記憶された前記複数のフォントの名称を一覧表示することが可能であるとともに、フォント指定時以外には、指定されたフォントの名称だけを表示するリストを含む第1のフォント指定手段と、前記第1の記憶手段に記憶された前記複数のフォントから選ばれた1または複数の特定フォントから任意のものを択一的に指定することができるように、特定フォントの名称が付されたフォント指定ボタンを表示する第2のフォント指定手段とを備えている。そして、前記リストに一覧表示された前記複数のフォントの名称から一のフォントが指定されたとき及び前記フォント指定ボタンで一のフォントが指定されたときに、前記第1のフォント指定手段は、前記複数のフォントのうち当該指定された一のフォントの名称だけを当該フォントで表示し、前記文字表示手段は、前記第2の記憶手段に記憶された文字データに係る文字を当該フォントで表示する。
【0009】
また、請求項3は、数のフォントを記憶することが可能な第1の記憶手段、文字データを記憶することが可能な第2の記憶手段、前記第2の記憶手段に記憶された文字データに係る文字を、ネーム印の外形に相似したプレビュー輪郭線内に表示する文字表示手段、フォント指定時には、前記第1の記憶手段に記憶された前記複数のフォントから任意のものを択一的に指定することができるように、前記第1の記憶手段に記憶された前記複数のフォントの名称を一覧表示することが可能であるとともに、フォント指定時以外には、指定されたフォントの名称だけを表示するリストを含む第1のフォント指定手段、及び、前記第1の記憶手段に記憶された前記複数のフォントから選ばれた1または複数の特定フォントから任意のものを択一的に指定することができるように、特定フォントの名称が付されたフォント指定ボタンを表示する第2のフォント指定手段としてコンピュータを機能させるためのネーム印用フォント指定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記リストに一覧表示された前記複数のフォントの名称から一のフォントが指定されたとき及び前記フォント指定ボタンで一のフォントが指定されたときに、前記第1のフォント指定手段は、前記複数のフォントのうち当該指定された一のフォントの名称だけを当該フォントで表示し、前記文字表示手段は、前記第2の記憶手段に記憶された文字データに係る文字を当該フォントで表示することを特徴とする記録媒体である。
【0010】
請求項1、3によると、文字データが表示されるフォントを、いわゆるリストボックスなどである第1のフォント指定手段を用いてだけではなく、第2のフォント指定手段のフォント指定ボタンで指定することが可能である。そのため、使用頻度の高いフォントをフォント指定ボタンにして表示しておくことで、フォントの指定を高い作業効率で行うことが可能となる。また、フォント指定ボタンで指定することができない特定フォント以外のフォントは、第1のフォント指定手段を介して指定することが可能である。
また、リストを用いて又はフォント指定ボタンで指定されたフォントの名称が当該フォントで第1のフォント指定手段に表示されるので、どのフォントを指定したかの確認が容易である。
【0011】
請求項2のネーム印用フォント指定装置は、前記第1の記憶手段に記憶された前記複数のフォントの名称が前記リストにおいてそれぞれのフォントで表示されることを特徴とするものである。
【0012】
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施の形態は、円形領域内の1または複数の区域にそれぞれ文字が配置されたネーム印の作成に関するものである。
【0014】
図1は、本実施の形態に係るネーム印用フォント指定装置であるパソコンと、これに接続されたスタンプ作成装置の概略的なブロック図である。また、図2は、図1に示されたスタンプ作成装置の全体斜視図、図3はその全体断面図である。
【0015】
まず、図2および図3を参照してスタンプ作成装置の構造について説明する。スタンプ作成装置1は、装置本体12に対して着脱可能であって透明の原稿フィルム8を複数枚収納可能なフィルムマガジン2と、フィルムマガジン2の近傍の装置本体12に設けられた印版識別(ID)ラベル用のカットシートCSの供給口3と、サーマルヘッド5を備えた印刷部4と、印刷された原稿フィルム8に基づいてアタッチメント37に装着されたスタンプ本体7の下面に配された印材(図示せず)に印面を形成するためのスタンプ部6と、印面形成時にスタンプ本体7を収納するスタンプ収納部70と、スタンプ部6の近傍の装置本体12に設けられたカットシートCSおよび原稿フィルム8の排出口108とを有している。
【0016】
本実施の形態において、スタンプ本体7は円柱形状をしており、その下面には作成されるネーム印の印面形状と対応した円形の印材が配されている。アタッチメント37は、スタンプ部6内の空間に比して小さいスタンプ本体7をスタンプ部6に位置ずれなく安定して、しかも位置の微調整可能に載置するために使用されるものである。
【0017】
印刷部4の上面に設けられたヘッドホルダユニット102は、その下側にサーマルヘッド5を有しているとともに、軸110を中心として上方に回動可能であり、これにより、装置内部のメンテナンスができるようになっている。また、フィルムマガジン2の最も上にある原稿フィルム8先端部は繰り出しローラ23に押圧接触し、この状態で繰り出しローラ23を駆動回転することで原稿フィルム8を印刷部4に向けて良好に搬送することができる。また、カットシートCSは、供給口3の直後に設けられた一対の送り出しローラ19、20と、送り出しローラ19、20の直後に設けられてサーマルヘッド5方向に湾曲したシートガイド21と、ガイドレール15とによって、サーマルヘッド5による印刷が可能な位置へと搬送される。
【0018】
印刷部4には、ワックス系インクが塗付された熱転写リボン9の元巻ロール13aおよび巻取ロール13bが設けられている。ヘッドホルダユニット102の下側に配設されたサーマルヘッド5の下方には、プラテン14が設けられている。また、元巻ロール13aの下方には、原稿フィルム8やカットシートCSをサーマルヘッド5とプラテン14との間に案内するガイドレール15と、搬送途中での原稿フィルム8やカットシートCSの浮き上がりを防止する押えガイド16とが配設されている。また、サーマルヘッド5の下流側には移送ガイド17と、一対の供給ローラ18が設けられている。
【0019】
スタンプ部6下方には、リフレクタボックス34で包囲されたキセノン管11を具備した発光ユニット(HU)10が着脱自在に設けられている。スタンプ本体7が載置されるステージ33を有する発光ユニット10はスライドレバー101を上方に摺動させることによってスタンプ作成装置1から取り外しが可能である。また、スタンプ部6には、スタンプ本体7を出し入れする際に開閉される上蓋36と上前蓋106とが設けられている。
【0020】
このスタンプ作成装置1は、図示しないケーブルなどによって、図1に示すパソコン150と接続されることによって、パソコン150からの制御にしたがって、原稿フィルム8に対するポジ原稿の印刷、カットシートCSへのIDラベルの印刷、ポジ原稿が印刷された原稿フィルム8に基づくスタンプの製版といった各種動作を実行するように構成されている。
【0021】
つまり、フィルムマガジン2から印刷部4に搬送された原稿フィルム8に対して、サーマルヘッド5が所定の文字などからなるポジ画像を印刷し、その印刷された原稿フィルム8がスタンプ部6に送られる。そして、発光ユニット10によってスタンプ本体7の下面に配された印材に原稿フィルム8を介して光が照射されることによって、印材が製版されスタンプ作成装置1による一連のスタンプ作成動作が完了する。
【0022】
また、カットシートCS印刷の場合には、供給口3からカットシートCSが供給され、原稿フィルム8ではなくカットシートCSに文字、図形などのポジ画像がサーマルヘッド5で印刷され、排出口108から排出される。印刷されたカットシートCSは、IDラベルとしてスタンプ本体7に貼着されてよい。
【0023】
ここで、スタンプ本体7の下面に配された印材の構造について説明する。ここで用いられる印材は、例えば本出願人による特開平11−78191号公報に開示されているような、カーボンブラックなどの光エネルギー吸収性物質を分散させた軟質多孔性樹脂(例えば、ウレタン系樹脂)からなる下側層と、インクを貯溜するとともに下側層に均一に圧力が印加されるようにする硬質多孔性樹脂(例えば、ポリビニルホルマール)からなる上側層とを具備した2層構造を有するものである。
【0024】
この印材を圧縮した状態でポジ画像が印刷された透明な原稿フィルム(ポジ原稿)を介して選択的に光を照射すると、原稿の透明部分に対応して光が照射された下側層の部分は、光エネルギー吸収物質の発熱作用によって溶融後固化されるので、シールされてインクを透過しない状態となる。一方、原稿の印刷部分に対応した下側層の部分は、光が照射されないだけでなく原稿の印刷部分からの伝導熱で溶融固化されることもなく、原稿の文字等に対応してシールされないでそのまま残存することとなる。これにより、所望パターンのシール部(非印刷部)と非シール部(印刷部)とが印材の下面に混在した印判が形成される。
【0025】
次に、本実施の形態に係るネーム印用フォント指定装置であるパソコンおよびこれに接続されたスタンプ作成装置の制御系について、図1を参照して説明する。パソコン150は、CPU(文字表示手段、第1および第2のフォント指定手段)152と、RAM(第2の記憶手段)154と、ハードディスク(第1の記憶手段)156と、入出力インターフェイス162とを有しており、これらはバス164によって相互に接続されている。また、入出力インターフェイス162には、モニタ(文字表示手段)158および入力装置160が接続されている。
【0026】
モニタ158には、後述するように、スタンプ作成装置1で製版されるべき印面画像を含んだ印面データ作成画面が表示される。入力装置160は、キーボードや入力パッドなどの文字入力が可能な装置とマウスなどのポインティングデバイスとを含むものであるが、これに加えてスキャナなどの画像取り込み装置をさらに含んでいてもよい。
【0027】
ハードディスク156は、本実施の形態に係る記録媒体に記録された印面データ作成プログラム(エディタ)や、仮名・漢字変換などのための辞書データおよび多種類の文字フォントなどを磁気的に記憶している記憶媒体である。RAM154は、ハードディスク156から読み出されたプログラムや入力装置160から与えられたデータなどを一時的に記憶する。RAM154には、入力バッファ171、文字配置範囲記憶エリア172、文字配置データ記憶エリア173、区域選択状態記憶エリア174、フォント指定状態記憶エリア175、表示画像バッファ177が設けられている。
【0028】
入力バッファ171には、キーボードから入力された文字データが記憶される。文字データは、選択された印面形式のテンプレート(縦書き1行、横書き1行、縦書き2行などの印面内に文字列が配置されるパターンであって予め決められたもの)に設けられた各区域ごとに設けられた入力バッファ171内の記憶領域に記憶される。各記憶領域は、1または複数の文字データからなる文字データ列を複数記憶することが可能である。なお、以下の説明では、文字データ列のことを単に文字データということがある。
【0029】
本実施の形態では、このように、入力バッファ171に設けられた複数の記憶領域のそれぞれに各区域に対応した文字データを入力する。一方、入力バッファ171に記憶領域を1つだけ設け、各区域に対応した文字データをその1つの記憶領域内に例えばスラッシュやコロンなどの記号で区分けして記憶させることも可能である。しかし、本実施の形態のように複数の記憶領域を設けることにより、文字データの大きさが変わっても各文字データ先頭のアドレスを一定不変にすることができるので、文字データの管理が容易になり迅速な処理が可能となるという利点がある。
【0030】
文字配置範囲記憶エリア172には、内部に文字データが配置される1または複数の文字配置範囲に関するデータが、選択されたテンプレートに設けられた各区域ごとに、配置される文字数と対応させて記憶される。文字配置データ記憶エリア173には、入力バッファに記憶された各文字データが文字配置範囲内のどこに配置されるかについてのデータが記憶される。区域選択状態記憶エリア174には、選択されたテンプレートについて現在どの区域が選択されているかを示すデータが記憶される。フォント指定状態記憶エリア175には、後述するフォントリストボックス225および2つのフォント指定ボタン226、227(ともに図6参照)によって現在指定されているフォントの名称についてのデータが区域ごとに記憶される。表示画像バッファ177には、モニタ158に表示される画像に関するデータが記憶される。
【0031】
CPU152は、ハードディスク156に記憶されたプログラムにしたがって動作することによって、文字配置演算部167、フォント変更制御部168および区域変更制御部169として機能することが可能である。CPU152は、以下に詳述するように、ハードディスク156に記憶されたプログラムに基づいて、文字データの入力および操作対象となる区域の変更を制御し、入力装置160から入力された文字データの配置演算およびフォント変更を行い、その結果をRAM154および/またはハードディスク156に記憶させ、さらに文字を所望のフォントでモニタ158に表示させる。そして、CPU152は、原稿フィルム8或いはカットシートCSへの画像印刷が行われる際に、作成された印面データをスタンプ作成装置1に送る。
【0032】
本実施の形態に係る制御プログラムが記録された記録媒体は、ハードディスク156のほか例えばフロッピーディスクやCD−ROMであってもよく、図1には示されていないものの、パソコン150にはフロッピーディスクドライブおよび/またはCD−ROMドライブが装備されている。
【0033】
また、スタンプ作成装置1には、CPU180と、ROM182と、RAM184と、入出力インタフェース188とが備えられており、これらはバス190によって相互に接続されている。また、入出力インターフェイス188には、ケーブルなどを介してパソコン150の入出力インターフェイス162が接続されている。これによって、スタンプ作成装置1は、パソコン150から印面データを取り込むことが可能である。さらに、入出力インターフェイス188には、ヘッド駆動回路192およびモータ駆動回路194がそれぞれ接続されている。ヘッド駆動回路192にはサーマルヘッド5が接続されており、モータ駆動回路194にはスタンプ作成装置1の各所に配置されてサーマルヘッド5や各種ローラなどを駆動するモータ類178がそれぞれ接続されている。
【0034】
ROM182には、スタンプ作成装置1の全体の作動を制御する制御プログラムが記憶されている。RAM184には、パソコン150から与えられた印面データを記憶する印面データバッファ197が設けられている。
【0035】
CPU180は、ROM182に記憶された制御プログラムおよびRAM184の印面データバッファ197に記憶されたスタンプ画像データに基づいて、ヘッド駆動回路192およびモータ駆動回路194を制御する。これにより、原稿フィルム8或いはカットシートCSにはサーマルヘッド5で所望の印面画像が印刷され、原稿フィルム8はその後印材の製版に供される。
【0036】
次に、本実施の形態に係るネーム印用フォント指定装置であるパソコン150によって実行される印面データ作成作業について、図4以下をさらに参照して説明する。図4は、本実施の形態における印面データの作成作業過程を示すフローチャートである。図5〜図14は、本実施の形態における印面データの作成作業過程でパソコン150のモニタ158への表示画面を示す図である。図15〜図18は、本実施の形態において印面形式が縦書き1行である場合のパソコン150のモニタ158に表示されたプレビュー領域を示す図である。図19は、印面形式が縦書き1行である場合の文字配置範囲を文字数ごとに示す図である。図20は、選択された1つの区域への文字の配置手順を示すフローチャートである。図21は、区域選択ボタンの生成時の手順を示すフローチャートである。図22〜図24は、フォント指定ボタンの生成およびフォント指定に関する手順を示すフローチャートである。図25は、区域選択ボタンの形状の別の例を示す図である。
【0037】
本実施の形態のネーム印用フォント指定装置であるパソコン150により印面データを作成するには、まず、パソコン150にインストールされた印面データ作成プログラム(エディタ)を起動させる。すると、図5に示すような形式選択画面201がモニタ158に表示されるので、基本印ボタン202、オフィス印ボタン203、オリジナル印ボタン204のいずれかをマウスでクリックして、作成するネーム印の種類を選択する(ステップS1)。なお、形式選択画面201や後述する文字入力画面208および作成画面234には、作成手順インジケータ209が表示されており、印面データを作成する過程全体において現在どのような作業を行っているかが一目で分かるようになっている。
【0038】
ネーム印の種類を選択すると、クリックされたボタンが押下状態になるとともに、選択された種類に属する印面形式のテンプレートが一覧表示されるので、その中から所望のテンプレートをマウスでクリックして選択する(ステップS2)。このとき、選択されたテンプレートは、他のテンプレートとは異なる色で表示される。図5において、各テンプレート内の点線で囲まれた矩形領域は、円形をしたネーム印作成領域内に設けられた各区域のおおよその位置および大きさを代表して象徴的に示すものである。後述するように、この点線で囲まれた矩形領域は、各区域ごとに記憶された文字配置範囲を表すデータのうちでデフォルト範囲として定義されたものにしたがって描画されたものである。選択されたテンプレートで間違いがないことを確認したら、「次へ」ボタン205をクリックする(ステップS3)。
【0039】
例えば、テンプレートとしてオフィス印に属する図5の「1:苗字(縦)」が選択されたとすると、図6に示すような文字入力画面208がモニタ158に表示される。また、テンプレートとして図3の「3:苗字+名前(縦)」が選択されたとすると、図7に示すような文字入力画面208がモニタ158に表示される。図6および図7に示された文字入力画面208内には、作成手順インジケータ209と、文字入力領域210、プレビュー領域211、区域選択領域212、フォント指定領域213、テンプレートタイプ表示領域214が設けられている。
【0040】
文字入力領域210内には、入力エディットボックス216、人名辞書起動ボタン217、特殊漢字選択ボタン218が表示されている。入力エディットボックス216は、後述する区域選択ボタン224などで選択された区域に入力された文字だけを表示する。プレビュー領域211には、作成されるネーム印の外形に相似したプレビュー輪郭線220と、プレビュー輪郭線220内に設けられた各区域のおおよその位置および大きさを代表して象徴的に示す点線で描かれた矩形の枠221とが表示されている。枠221は、各区域ごとに記憶された文字配置範囲を表すデータのうちでデフォルト範囲(図19に示す文字配置範囲243)として定義されたものにしたがって描画されたものであり、或る特定の文字数(ここでは2文字)の文字が配置される範囲を示すものでもある。後述するように、プレビュー領域211には、入力バッファ171のすべての記憶領域に入力された文字が、フォント指定状態記憶エリア175に記憶された各区域について指定されたフォントで一括して表示される。
【0041】
区域選択領域212には、プレビュー輪郭線220および枠221と相似関係にある区域選択輪郭線223および区域選択ボタン224とが表示されている。区域選択ボタン224の中央には、対応する区域に定義された番号「1」或いは「2」がそれぞれ表示されている。また、区域選択ボタン224は選択されたテンプレートに設けられた区域と同数だけ設けられて、そのうちいずれかを択一的に選択可能となっている。従って、図7のように区域選択ボタン224が2つある場合には、マウスでクリックすることによりいずれか一方だけを押下された選択状態とすることができる。これにより、現在どの区域が選択されているかを一目で判断することが可能となっている。現在どの区域が選択されているかについてのデータは、RAM154の区域選択状態記憶エリア174に記憶される。
【0042】
フォント指定領域213には、入力された文字データのフォントを、パソコン150にインストールされた使用可能なすべてのフォントから択一的に指定するためのドロップダウン式のフォントリストボックス(第1のフォント指定手段)225と、入力された文字データのフォントを半古印体に指定するための半古印体指定ボタン226と、入力された文字データのフォントを正楷書体に指定するための正楷書体指定ボタン227とが表示されている。フォントリストボックス225内に一覧表示されるフォントの名称はそれぞれのフォントで表示されている。フォントリストボックス225、半古印体指定ボタン226および正楷書体指定ボタン227によって指定されたフォントの種類についてのデータは、フォント指定状態記憶エリア175に記憶される。また、テンプレートタイプ表示領域214には、ステップS2で選択されて、現在文字データの入力対象となっているテンプレートの名称およびそれが属する種類(基本印、オフィス印、オリジナル印のいずれか)が表示されている。
【0043】
図6に示した例では区域或いは枠221が1つしかないので選択の余地はないが、図7のように枠221を2つ以上もつテンプレートを選択した場合には、どの区域或いは枠221に文字を入力するかを決める必要がある。デフォルトでは番号「1」の枠221が選択された状態となっているので、この枠221への文字入力を行うかどうかを判断する(ステップS4)。もし、番号「1」の枠221に文字を入力するのであれば(S4:YES)ステップS6に進み、他の枠221に文字を入力するのであれば(S4:NO)ステップS5に進んで枠221を変更した後、ステップS6に進む。
【0044】
文字を入力する枠221の変更は、区域選択領域212に表示された区域選択ボタン224のうち所望のものをマウスでクリックすることによって簡易に行うことができる。また、枠221の変更は、キーボードを使って行うことも可能であるし、プレビュー領域211の所望の枠221内をマウスでクリックすることによっても可能である。このような操作を行うと、CPU152の区域変更制御部169からの命令によって、RAM154の区域選択状態記憶エリア174のデータが変更され、これに伴って選択された区域選択ボタン224が押下状態となり、当該区域への文字データ入力が可能となる。
【0045】
ステップS6では、入力される文字のフォントがデフォルトである正楷書体でいいかどうかを判断する。もし、選択された枠221に入力される文字のフォントとして正楷書体を用いるのであれば(S6:YES)ステップS8に進み、他のフォントに変更するのであれば(S6:NO)ステップS7に進んでフォントを変更した後、ステップS8に進む。フォントの変更は、フォント指定領域213内のフォントリストボックス225から所望のフォントをマウスで指定することによって行うか、2つのフォント指定ボタン226、227のいずれかをマウスでクリックすることによって行うことができる。フォント変更については、後で詳述する。
【0046】
そして、ステップS8では、選択された枠221或いは区域にキーボードを用いて文字を入力する。代替的には、人名辞書起動ボタン217をクリックして人名の一覧を表示させ、その中から所望の人名をマウスでクリックして選択してもよい。また、所定のコードを有しない特殊漢字については、特殊漢字選択ボタン218をクリックして一覧表示させ、その中からマウスで選択することができるようになっている。入力された文字データは、RAM154の入力バッファ171の選択された区域に対応した記憶領域に記憶される。
【0047】
そして、入力された文字データおよびフォントデータに基づいて表示画像バッファ177の内容が更新される。これにより、入力された文字は、入力エディットボックス216内に表示されるとともに、仮名漢字変換後に確定されたものはプレビュー領域211内の選択された枠221で囲まれていた範囲内に表示される(特定の区域に文字が表示されると、そこにあった外枠線221は自動的に見えなくなる)。入力エディットボックス216に表示される文字のフォントは例えば明朝体に固定されておりどのようなフォントが指定されても変わらないが、プレビュー領域211内に表示される文字のフォントは、フォント指定領域213で指定されたフォントに応じて随時変更される。図8に、テンプレートとして「3:苗字+名前(縦)」が選択されて、区域1に「鈴木」という苗字が正楷書体を指定して入力された場合の表示画面を示す。
【0048】
ここで、図6のような縦1行に文字が配置されるようなテンプレートが選択された場合を例にとって、枠221或いは区域に文字が配置される手順を説明する。
【0049】
本実施の形態にかかるパソコン150は、図6のような枠221を有するテンプレートに対して、図19に示すような4つの文字配置範囲242〜245に関する情報をハードディスク156から読み出してRAM154の文字配置範囲記憶エリア172に記憶している。これら4つの文字配置範囲242〜245は、枠221に入力された文字数が全角でそれぞれ1、2、3、4文字である場合と対応している。つまり、枠221に入力された文字数が1である場合には、文字配置範囲242内に当該1つの文字が配置され、文字数が2である場合には文字配置範囲243内に当該2つの文字が配置されるというように文字数に応じた文字配置範囲が用意されている。また、奇数個の半角文字が存在する場合には、0.5文字分の文字数を切り上げて文字配置範囲との対応が決定される。
【0050】
また、2文字に対応する文字配置範囲243は、デフォルトの文字配置範囲として、枠221や区域選択領域212内の区域選択ボタン224を描画する際にもそのデータが用いられる。さらに、文字配置範囲243は、枠221内に5文字以上の文字が入力された場合に対応している。つまり、枠221内に5文字以上の文字が入力された場合は、文字数に拘わらず文字配置範囲243内に入力されたすべての文字が配置される。
【0051】
文字配置範囲242〜245に関しては、文字数1に対応する文字配置範囲242が最も短く且つ幅が広く、以後多くの文字数に対応するものほど長く且つ幅が狭くなっている。これら文字配置範囲242〜245は、矩形であるために左上点および右下点の平面座標によってその位置が定められる。なお、文字配置範囲242〜245には、その角部がプレビュー輪郭線220からはみ出しているものもあるが、文字のパターン部分は文字配置範囲の角部近傍には存在しないため、多少のはみ出しは問題がない。なお、2以上の区域をもつテンプレートが選択された場合には、各区域ごとに、文字数と対応した文字配置範囲が記憶される。
【0052】
図20を参照して、枠221内に文字を配置する手順について、より詳細に説明する。以下の処理は、CPU152の文字配置演算部167によって行われる。まず、上述したステップS1〜S5で説明した手順によってテンプレートおよび文字入力が行われる枠221が選択されると(ステップT1)、ステップT2において、そのテンプレートおよび枠221に応じた文字配置範囲に関する位置データがロードされてRAM154の文字配置範囲記憶エリア172に記憶される。
【0053】
そして、上述したステップS8で説明したように選択された枠221に文字が入力されると(ステップT3)、ステップT4において、入力された文字数の全角に換算した文字数Nが以下の式(1)に基づいて計算される。
N=(入力文字のバイト数+1)/2 (1)
例えば、入力されたのが全角2文字(4バイト)であればN=2.5となるが、これは切り下げて2として扱われる。また、入力されたのが全角2文字(4バイト)と半角1文字(1バイト)であればN=3となる。
【0054】
次に、ステップT5において、ステップT4で計算した文字数に対応した文字配置範囲に関する位置データがあるかどうかが判断される。もしあれば(T5:YES)、ステップT6において、選択された枠221に入力された文字数に対応した文字配置範囲に関する位置データが文字配置範囲記憶エリア172から取得される。もしなければ(T5:NO)、ステップT7において、デフォルトの文字配置範囲に関する位置データが文字配置範囲記憶エリア172から取得される。
【0055】
次に、ステップT8において、ステップT6またはT7で取得した文字配置範囲内における各文字の占有範囲が、指定されたフォントが固定ピッチフォントおよびプロポーショナルフォントのいずれであるかに応じて、文字配置演算部167での演算により決定される。例えば、固定ピッチフォントを指定して2文字が入力された場合には、1文字目が文字配置範囲のちょうど上半分(または左半分)の矩形範囲を占め、2文字目が文字配置範囲のちょうど下半分(または右半分)の矩形範囲を占めることになる。しかし、プロポーショナルフォントを指定して2文字が入力された場合には、各フォントの高さ或いは幅の比率によって2つの文字の境界位置が比例配分で定められることになる。演算の結果は、各文字データの配置範囲を示すデータ(範囲の左上点および右下点の座標データ)として、RAM154の文字配置データ記憶エリア173に格納される。
【0056】
次に、ステップT9において、各文字を確定する矩形範囲がステップT8で定められた各文字の占有範囲と一致するように文字の矩形範囲を縦横それぞれ異なる比率で拡大或いは縮小し、選択された区域いっぱいに文字を描画するための演算が行われ、その結果が表示画像バッファ177に書き込まれる。そして、表示画像バッファ177の記憶内容にしたがってモニタ158に印面のプレビュー画像が表示される。
【0057】
次に、ステップT10において、選択された1つの枠221或いは区域への文字入力が終了したかどうかを判断し、終了したのであれば(T10:YES)本処理を終了し、選択された枠221にさらに文字を入力するのであれば(T10:NO)、ステップT3に戻って同様の処理を繰り返す。
【0058】
図15〜図18は、上述した手順にしたがって図6の枠221で表された区域にフォントとして正楷書体が指定された1〜4文字がそれぞれ入力された様子を示している。図15に示された「北」が描画された範囲は、文字配置範囲242と一致しており、図16に示された「鈴木」が描画された範囲は、文字配置範囲243と一致しており、図17に示された「上久保」が描画された範囲は、文字配置範囲244と一致しており、図18に示された「勅使河原」が描画された範囲は、文字配置範囲245と一致している。
【0059】
このように、本実施の形態によると、区域および文字数に応じた文字配置範囲を1つ記憶しておくだけでよく、従来のように、区域および文字数に応じて各文字ごとの位置情報を記憶しておく必要がなくなる。そのため、文字を配置する際に必要なデータ記憶量を大幅に削減することができる。また、従来のように各文字の占有範囲が予め決められていないために、プロポーショナルフォントが指定された場合にも、各文字を文字配置範囲内にフォントの高さまたは幅に応じて比例配分することで、文字のバランスがとれた見栄えのよいネーム印を自動的に得ることができ、ユーザが微調整を行わなくともよくなる。さらに、テンプレートの数が従来装置よりも少なくなり、ユーザにとって所望のテンプレートを容易に選択することができるようになる。
【0060】
次に、ステップS9において、まだ文字が入力されていない枠221があるかどうかが判断される。もしあれば(S9:YES)、ステップS10においてステップS5と同様にして枠221を変更した後ステップS6に戻り、必要とするすべての区域に文字が入力されるまで同様の手順を繰り返して行う。このようにして、入力が必要なすべての区域に文字入力が順次行われる。図9に、テンプレートとして「3:苗字+名前(縦)」が選択されて、区域1に「鈴木」という苗字が、区域2に「一郎」という名前がともに正楷書体を指定して入力された場合の表示画面を示す。
【0061】
もし文字が入力されていない枠221がなければ(S9:NO)、ステップS11において入力した文字、文字が入力された区域、および各区域に指定されたフォントを変更する必要があるかどうかを判断し、もし変更の必要があれば(S11:YES)ステップS12に進み、変更の必要がなければ(S11:NO)ステップS13に進む。
【0062】
ステップS12では、各区域に入力された文字などに間違いがある場合に、その修正が行われる。そのためには、修正したい文字がある区域と対応する区域選択ボタン224またはその区域を直接マウスでクリックし、当該区域を選択状態にする。そして、入力する文字を変更する場合には既に入力されている文字を一部或いは全部削除してから新たに文字を入力する。また、フォントを訂正する場合には、その文字に対応した区域を選択してから、フォントリストボックス225、半古印体指定ボタン226または正楷書体指定ボタン227を操作して所望のフォントを指定する。
【0063】
例えば、テンプレートとして「3:苗字+名前(縦)」が選択されており、正楷書体が指定された区域1の「鈴木」を半古印体に変更したいという場合には、図10に示すように、区域1に該当する区域選択ボタン224をクリックしてから、半古印体指定ボタン226をマウスでクリックする。半古印体指定ボタン226がクリックされたことを受けて、CPU152のフォント変更制御部168は、RAM154のフォント指定状態記憶エリア175の内容を区域1が半古印体に指定された旨に書き換える。そして、これに応じて、表示画像バッファの内容も変更される。これにより、プレビュー領域211内の区域1に正楷書体で表示されていた「鈴木」が半古印体で表示されるようになり、半古印体指定ボタン226が押下状態となり、フォントリストボックス225にも指定されたフォントとして半古印体が表示される。
【0064】
続けて、区域2の「一郎」を半古印体に変更したいという場合には、図11に示すように、区域2に該当する区域選択ボタン224をクリックしてから、半古印体指定ボタン226をマウスでクリックする。すると、同様にして、「一郎」が半古印体で表示されるようになり、正楷書体が表示されていたフォントリストボックス225にも指定されたフォントとして半古印体が表示される。半古印体で表示されていた文字を正楷書体に変更する場合も同様の手順を行えばよい。このように、本実施の形態では、ネーム印の書体として使用頻度の高い半古印体および正楷書体をマウスクリックの一動作により高い作業効率で指定できるように、半古印体指定ボタン226および正楷書体指定ボタン227が設けられているので、ネーム印の印面データを迅速に作成することができる。また、半古印体指定ボタン226または正楷書体指定ボタン227をクリックしてフォントを指定した場合に、そのフォントの名称がフォントリストボックス225に当該フォントで表示されるので、どのフォントを指定したかの確認が容易に行えるという利点がある。
【0065】
また、入力された文字を半古印体および正楷書体以外のフォントに変更したい場合には、図12に示すように、フォントリストボックス225をクリックし、使用可能なフォントをフォント指定プルダウンメニュー251内に一覧表示させる。この際、多数のフォントがインストールされていてプルダウンメニュー251の表示範囲内にすべてのフォントが同時に表示されない場合には垂直スクロールバーが現れるので、そのスライダー252をマウスで移動させることによって使用可能なすべてのフォントを表示させることが可能である。そして、表示されたフォントのうち所望のものをマウスでクリックすれば、フォント指定プルダウンメニュー251が閉じられてフォントリストボックス225には、指定されたフォントの名称だけが当該フォントで表示されるようになる。
【0066】
この際、入力された文字がコード指定されていない特殊漢字である場合などで、当該文字データが指定されたフォントに存在しない場合には、その旨の警告をモニタ158に表示することが好ましい。
【0067】
このようにして、フォントリストボックス225から適当なフォントを指定することによっても選択された区域のフォントを変更することが可能である。例えば、図13に示すように、「鈴木」および「一郎」の両方をゴシック体に変更することも可能である。
【0068】
そして、ステップS13において、文字やフォントに間違いがないかどうかをプレビュー領域211を観察することにより確認し、間違いがなければ「次へ」ボタン230をクリックする。もし、選択したテンプレート自体が間違っていた場合には、「戻る」ボタン231をクリックして図5に示した形式選択画面201に戻ることも可能である。
【0069】
「次へ」ボタン230をクリックすると、図14に示すような作成画面234がモニタ158に表示される。図14に示された作成画面234内には、図6と同様のプレビュー領域211、小サイズプレビュー領域236、微調整モードを選択するための微調整ボタン237、印面データの作成を終了してスタンプ作成装置1による印材の製版を開始するための「作成」ボタン238、図6の文字入力画面208に戻るための「戻る」ボタン239が表示されている。
【0070】
もし文字の大きさや位置などの微調整を行う必要があれば、ステップS12で微調整ボタンをクリックして微調整を行った後、ステップS13で「作成」ボタン238をクリックする。これにより、スタンプ作成装置1でネーム印の製版が行われる。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態によると、ネーム印の外形と同じく円形をした区域選択輪郭線223がモニタ158に表示されるとともに、テンプレートに設けられた各区域と対応する位置に区域と同数の区域選択ボタン224が区域選択輪郭線223と関連づけて表示されるので、ユーザは区域選択ボタン224によって入力やフォント変更などの処理を希望する区域を直感的に間違うことなく選択することができる。また、クリックされて選択された区域選択ボタン224は窪んでほかの区域選択ボタン224とは区別されて表示されるので、選択された区域に文字が入力されていない状態であっても、選択された区域が一目で分かる。そのため、間違った区域に文字が入力されるのを極力防止することができる。
【0072】
また、区域選択領域212を設けてそこに区域選択輪郭線223および区域選択ボタン224を設けるようにしたので、プレビュー領域211内に各区域を識別する番号を表示する必要がなくなり、プレビュー輪郭線220内には入力された文字だけを表示することが可能となる。これにより、プレビュー領域211に表示される印面のプレビュー画面が見やすくなるという利点がある。
【0073】
また、区域選択ボタン224にはそれぞれ異なる数字が表示されるので、数字が区域選択ボタン224を選択する際の目印となって区域選択ボタン224を選択する際に操作ミスを起こすことが少なくなる。
【0074】
次に、図6または図7のような文字入力画面208において、区域選択領域212に区域選択輪郭線223および区域選択ボタン224を描画する処理について、図21を参照して説明する。
【0075】
まず、上述したステップS1〜S5で説明した手順によってテンプレートおよび文字入力が行われる枠221が選択されると(ステップP1)、ステップP2において、そのテンプレートに設けられるすべての区域のデフォルトの文字配置範囲に関する位置データがロードされてRAM154の文字配置範囲記憶エリア172に記憶される。
【0076】
次に、ステップP3において、RAM154に記憶されたネーム印の輪郭形状に基づいて、区域選択領域212内の所定位置に区域選択輪郭線223を描画する。そして、ステップP4において、RAM154の所定領域に設けられた枠カウンタを1に初期化する。
【0077】
次に、ステップP5において、選択されたテンプレート内に設けられる枠の総数と枠カウンタのカウント値とを比較して、未処理の枠が存在しているかどうかを判断する。もし未処理枠があれば(P5:YES)ステップ6に進み、なければ(P5:NO)本処理を終了する。
【0078】
ステップP6では、枠カウンタのカウント値に対応したデフォルトの文字配置範囲の位置データを文字配置範囲記憶エリア172から取得して、ステップP3で描画した区域選択輪郭線223に合わせて、ほぼこの輪郭線223内に収まるように且つ対応する区域の概略的な大きさおよび位置が表されるように文字配置範囲の矩形の大きさを調節する。
【0079】
次に、ステップP7において、現在のカウント値に対応した区域の区域選択ボタン224を描画するために、ステップP6での演算結果に基づいて表示画像バッファ177の内容を変更する。このとき、区域選択ボタン224の表面中央には、その区域の番号としてカウンタ値が表示されるようにする。そして、ステップP8において、枠カウンタを1だけインクリメントしてステップP5に戻り、同様の処理を繰り返す。このようにして、区域選択領域212に、区域選択輪郭線223を表示できるとともに、選択されたテンプレートに設けられた区域と同数の区域選択ボタン224を区域選択輪郭線223と関連づけて表示することができる。
【0080】
なお、区域選択ボタン224の形状は常に矩形にする必要はなく、区域選択輪郭線223から大幅にはみ出すことがなく各区域の相対的な位置関係が保たれているという条件で、任意に形状を変更することが可能である。例えば、図25に示すように、区域選択ボタン224を区域選択輪郭線223内に収まるような半円形状にしてもよい。
【0081】
次に、図6または図7のような文字入力画面208において、フォント指定領域212にフォントリストボックス225、半古印体指定ボタン226、正楷書体指定ボタン227を描画する際の処理について、図22を参照して説明する。
【0082】
まず、ステップQ1において、パソコンにインストールされているフォントから使用可能なもの(例えば和文フォントだけでもよい)をリストアップし、RAM154内にフォントリストとして登録する。ここで登録されたフォントがフォントリストボックス225に表示される。
【0083】
次に、ステップQ2において、ステップQ1でリストアップされたフォント内に半古印体が含まれているかどうかを判断し、含まれていなければ半古印体指定ボタン226を無効化する処理を行う。
【0084】
次に、ステップQ3において、ステップQ1でリストアップされたフォント内に正楷書体が含まれているかどうかを判断し、含まれていなければ正楷書体指定ボタン227を無効化する処理を行う。
【0085】
次に、ステップQ4において、ステップQ1〜Q3で行われた処理を受けて、フォントリストボックス225、半古印体指定ボタン226、正楷書体指定ボタン227をモニタ158に描画するために表示画像バッファ177の内容を更新する。この際、半古印体指定ボタン226または正楷書体指定ボタン227が無効化されていれば、そのボタンをグレー表示してこれが指定できないようにする。
【0086】
なお、半古印体および正楷書体以外のフォントをボタン化して表示するフォントとして選択することも可能である。そのためには、例えばフォントリストボックス225内に表示された1つのフォントをマウスで選択すると共に設定したい指定ボタンをマウスで選択しつつマウスボタンを長時間(例えば5秒間以上)押下した状態にしておいたり、1つのフォントをマウスで選択してキーボードのシフトキーを押しながら設定したい指定ボタンをマウスで選択しつつマウスボタンを押下するなどの作業を行えばよい。
【0087】
次に、半古印体指定ボタン226がマウスでクリックされたときの処理について、図23を参照して説明する。以下の処理は、CPU152のフォント変更制御部168の制御によって行われる。
【0088】
まず、ステップR1において、選択された区域のフォントとして正楷書体が指定されていたかどうかをフォント指定状態記憶エリア175の対応する区域の記憶内容に基づいて判断し、もし正楷書体が指定されていたならば、CPU152のフォント変更制御部168の命令によって正楷書体の指定を解除する。つまり、フォント指定状態記憶エリア175の記憶内容を半古印体が指定された状態に変更する。これにより、正楷書体指定ボタン227の押下状態が解除されて平常状態(押下されていない状態)に戻る。それにとともに、ステップR2において、フォントリストボックス225に表示されるフォントが半古印体に変更され、半古印体指定ボタン226が押下状態になる。
【0089】
そして、ステップR3において、表示画像バッファ177の内容をフォント指定状態記憶エリア175の記憶内容に基づいて更新することにより、プレビュー領域211に表示される文字のフォントをそれに応じて変更する。正楷書体指定ボタン227がマウスで指定された場合の処理も同様である。
【0090】
次に、フォントリストボックス225でフォントが変更された場合の処理について、図24を参照して説明する。以下の処理は、CPU152のフォント変更制御部168の制御によって行われる。
【0091】
まず、ステップV1において、フォントリストボックス225で指定されたフォントが半古印体かどうかが判断される。もし半古印体であれば(V1:YES)ステップV2に進み、対応するフォント指定状態記憶エリア175のフォントデータ内容を半古印体に書き換え、半古印体指定ボタン226を押下状態にするとともに、もし正楷書体指定ボタン227が押下状態であったならばそれを解除した後ステップV6に進む。
【0092】
もし半古印体でなければ(V1:NO)ステップV3に進み、指定されたフォントが正楷書体かどうかが判断される。もし正楷書体であれば(V3:YES)ステップV4に進み、対応するフォント指定状態記憶エリア175のフォントデータ内容を正楷書体に書き換え、正楷書体指定ボタン227を押下状態にするとともに、もし半古印体指定ボタン226が押下状態であったならばそれを解除した後ステップV6に進む。
【0093】
もし正楷書体でなければ(V3:NO)ステップV5に進み、対応するフォント指定状態記憶エリア175のフォントデータ内容を指定されたフォントに書き換え、もし半古印体指定ボタン226または正楷書体指定ボタン227が押下状態であったならばそれを解除する。そして、ステップV6において、表示画像バッファ177の内容をフォント指定状態記憶エリア175の記憶内容に基づいて更新することにより、プレビュー領域211に表示される文字のフォントをそれに応じて変更する。
【0094】
以上、本発明の好適な一実施の形態について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、スタンプ作成装置としては、上述したものに限らず、印面データに基づいて多孔性樹脂や孔版原紙などの印材に印面を形成することができるものであればどのようなものを用いてもよい。また、ネーム印用フォント指定装置としての機能は、パソコンではなく、スタンプ作成装置などの作成されたデータが使用される機器に組み込まれていてもよい。さらに、上述の実施の形態では、本発明のフォント指定技術をネーム印の印面データ作成に適用したが、本発明はこれに限らず文字データのフォント指定に広く用いることが可能である。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1、3によると、使用頻度の高いフォントをフォント指定ボタンにして表示しておくことで、フォントの指定を高い作業効率で行うことが可能となる。また、フォント指定ボタンで指定することができない特定フォント以外のフォントは、第1のフォント指定手段を介して指定することが可能である。
【0096】
また、リストを用いて又はフォント指定ボタンで指定されたフォントの名称が当該フォントで第1のフォント指定手段に表示されるので、どのフォントを指定したかの確認が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係るネーム印用フォント指定装置であるパソコンと、これに接続されたスタンプ作成装置との概略的なブロック図である。
【図2】 図1に示されたスタンプ作成装置の全体斜視図である。
【図3】 図1に示されたスタンプ作成装置の全体断面図である。
【図4】 本発明の一実施の形態における印面データの作成作業過程を示すフローチャートである。
【図5】 本発明の一実施の形態における印面データの作成作業過程でパソコンのモニタへの表示画面を示す図である。
【図6】 本発明の一実施の形態における印面データの作成作業過程でパソコンのモニタへの表示画面を示す図である。
【図7】 本発明の一実施の形態における印面データの作成作業過程でパソコンのモニタへの表示画面を示す図である。
【図8】 本発明の一実施の形態における印面データの作成作業過程でパソコンのモニタへの表示画面を示す図である。
【図9】 本発明の一実施の形態における印面データの作成作業過程でパソコンのモニタへの表示画面を示す図である。
【図10】 本発明の一実施の形態における印面データの作成作業過程でパソコンのモニタへの表示画面を示す図である。
【図11】 本発明の一実施の形態における印面データの作成作業過程でパソコンのモニタへの表示画面を示す図である。
【図12】 本発明の一実施の形態における印面データの作成作業過程でパソコンのモニタへの表示画面を示す図である。
【図13】 本発明の一実施の形態における印面データの作成作業過程でパソコンのモニタへの表示画面を示す図である。
【図14】 本発明の一実施の形態における印面データの作成作業過程でパソコンのモニタへの表示画面を示す図である。
【図15】 本発明の一実施の形態において、印面形式が縦書き1行である場合のパソコンのモニタに表示されたプレビュー領域を示す図である。
【図16】 本発明の一実施の形態において、印面形式が縦書き1行である場合のパソコンのモニタに表示されたプレビュー領域を示す図である。
【図17】 本発明の一実施の形態において、印面形式が縦書き1行である場合のパソコンのモニタに表示されたプレビュー領域を示す図である。
【図18】 本発明の一実施の形態において、印面形式が縦書き1行である場合のパソコンのモニタに表示されたプレビュー領域を示す図である。
【図19】 本発明の一実施の形態において、印面形式が縦書き1行である場合の文字配置範囲を文字数ごとに示す図である。
【図20】 本発明の一実施の形態において、1つの入力枠への文字の配置手順を示すフローチャートである。
【図21】 本発明の一実施の形態において、区域選択ボタンの生成時の手順を示すフローチャートである。
【図22】 本発明の一実施の形態において、フォント指定ボタンの生成に関する手順を示すフローチャートである。
【図23】 本発明の一実施の形態において、フォント指定に関する手順を示すフローチャートである。
【図24】 本発明の一実施の形態において、フォント指定に関する手順を示すフローチャートである。
【図25】 区域選択ボタンの形状の別の例を示す図である。
【符号の説明】
1 スタンプ作成装置
150 パソコン
152 CPU
154 RAM
156 ハードディスク
158 モニタ
167 文字配置演算部
168 フォント変更制御部
169 区域変更制御部
171 入力バッファ
172 文字配置範囲記憶エリア
173 文字配置データ記憶エリア
174 区域選択状態記憶エリア
175 フォント指定状態記憶エリア
177 表示画像バッファ

Claims (3)

  1. 数のフォントを記憶することが可能な第1の記憶手段と、
    文字データを記憶することが可能な第2の記憶手段と、
    前記第2の記憶手段に記憶された文字データに係る文字を、ネーム印の外形に相似したプレビュー輪郭線内に表示する文字表示手段と、
    フォント指定時には、前記第1の記憶手段に記憶された前記複数のフォントから任意のものを択一的に指定することができるように、前記第1の記憶手段に記憶された前記複数のフォントの名称を一覧表示することが可能であるとともに、フォント指定時以外には、指定されたフォントの名称だけを表示するリストを含む第1のフォント指定手段と、
    前記第1の記憶手段に記憶された前記複数のフォントから選ばれた1または複数の特定フォントから任意のものを択一的に指定することができるように、特定フォントの名称が付されたフォント指定ボタンを表示する第2のフォント指定手段とを備えており、
    前記リストに一覧表示された前記複数のフォントの名称から一のフォントが指定されたとき及び前記フォント指定ボタンで一のフォントが指定されたときのいずれにおいても、前記第1のフォント指定手段は、前記複数のフォントのうち当該指定された一のフォントの名称だけを当該フォントで表示し、前記文字表示手段は、前記第2の記憶手段に記憶された文字データに係る文字を当該フォントで表示することを特徴とするネーム印用フォント指定装置。
  2. 前記第1の記憶手段に記憶された前記複数のフォントの名称が前記リストにおいてそれぞれのフォントで表示されることを特徴とする請求項1に記載のネーム印用フォント指定装置。
  3. 数のフォントを記憶することが可能な第1の記憶手段、
    文字データを記憶することが可能な第2の記憶手段、
    前記第2の記憶手段に記憶された文字データに係る文字を、ネーム印の外形に相似したプレビュー輪郭線内に表示する文字表示手段、
    フォント指定時には、前記第1の記憶手段に記憶された前記複数のフォントから任意のものを択一的に指定することができるように、前記第1の記憶手段に記憶された前記複数のフォントの名称を一覧表示することが可能であるとともに、フォント指定時以外には、指定されたフォントの名称だけを表示するリストを含む第1のフォント指定手段、及び、
    前記第1の記憶手段に記憶された前記複数のフォントから選ばれた1または複数の特定フォントから任意のものを択一的に指定することができるように、特定フォントの名称が付されたフォント指定ボタンを表示する第2のフォント指定手段としてコンピュータを機能させるためのネーム印用フォント指定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
    前記リストに一覧表示された前記複数のフォントの名称から一のフォントが指定されたとき及び前記フォント指定ボタンで一のフォントが指定されたときのいずれにおいても、前記第1のフォント指定手段は、前記複数のフォントのうち当該指定された一のフォントの名称だけを当該フォントで表示し、前記文字表示手段は、前記第2の記憶手段に記憶された文字データに係る文字を当該フォントで表示することを特徴とする記録媒体
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