JP4499964B2 - 硬貨識別装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば硬貨の金種や、硬貨の真偽、或いは径方向の中心部と周辺部とで材質が異なる、いわゆるバイメタル硬貨の種類などを、硬貨の材質の違いに基づき識別する硬貨識別装置に関し、更に詳述すると、硬貨における微小部分の材質の差異も検出することができる識別精度が高い硬貨識別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上述したように硬貨における微小部分の材質の差異を検出することができる硬貨識別装置として、以下のものが知られている。
【0003】
第1の硬貨識別装置として、バイメタル硬貨の直径よりも小さな距離をあけて2つの磁気センサを配置し、バイメタル硬貨の材質が異なる中心部と周辺部の両方の材質を同時に検出し、これら2つの磁気センサからの出力の差よりバイメタル硬貨の種類を検出する方式のものがある(例えば、USP 5,609,234)。
【0004】
第2の硬貨識別装置として、光学センサと磁気センサを組み合わせて用い、光学センサにてバイメタル硬貨の位置を検出しつつ、バイメタル硬貨の中心部が磁気センサの検出位置に到達した時の磁気センサの出力と、バイメタル硬貨の周辺部が磁気センサに到達した時の磁気センサの出力とを求め、これらの出力の差よりバイメタル硬貨の種類を識別する方式のものがある(例えば、USP 5,662,205)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の第1、第2の硬貨識別装置においては、以下のような問題があった。
【0006】
即ち、バイメタル硬貨の中心部と周辺部の材質の違いを検出する為には、第1の硬貨識別装置では2つの磁気センサが、第2の硬貨識別装置では2種類のセンサが必要であり、それ故にセンサ構成が複雑になるとともにセンサからの出力信号を処理する回路が複雑になるという欠点があった。
【0007】
また、第1、第2硬貨識別装置においては、共に、2つのセンサの配置および構成に基づき検出できるバイメタル硬貨の種類が確定してしまうため、直径やバイメタルエリア(径方向の中心部と周辺部の寸法)の異なるバイメタル硬貨を検知する場合には、センサの配置および構成を変更する必要性があり、システムの汎用性や拡張性に劣るという欠点があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の課題を解決すべくなされたものであり、センサ構成を簡潔にできるとともに汎用性および拡張性に優れ、しかも判別精度が高い硬貨識別装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の硬貨識別装置は、被識別対象硬貨を搬送する搬送通路と、磁場発生用のパルス信号が入力され、該搬送通路に前記パルス信号に応じた一定周波数の磁場を発生させる磁場発生手段と、該磁場を通る該被識別対象硬貨による磁場強度の時間的変化を検出する受信コイルと、該受信コイルにより検出された磁場強度の変化と上記一定周波数の波形との位相のずれ量を検出する位相差検出手段と、該位相差検出手段により検出された位相のずれ量の時間的変化および上記受信コイルにより検出された磁場強度の時間的変化に基づき被識別対象硬貨の種類を識別する識別手段とを具備し、前記位相差検出手段は、上記磁場強度の時間的変化を2値化信号に変換する2値化変換手段と、この2値化信号と前記パルス信号との位相差信号を得る論理回路と、該論理回路により得られた位相差信号を、該2値化信号と該パルス信号とのずれ量に比例したアナログ電圧に変換する変換手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の硬貨識別装置にあっては、1つの受信コイルで磁場強度の時間的変化を検出し、その磁場強度の時間的変化と、磁場発生手段により発生させる磁場の一定周波数の波形との間における位相のずれ量の時間的変化を検出する。このとき、位相のずれ量および磁場強度の時間的変化は、被識別対象硬貨の材質によって、それぞれ異なった特有の変化をする。よって、材質が異なる多数の硬貨について、予め特有の変化をする位相のずれ量および磁場強度の時間的変化を求めておくと、検出した位相のずれ量および磁場強度の時間的変化が、どの材質の硬貨のものかを把握することができ、これにより被識別対象硬貨の種類、つまり金額がいくらの硬貨またはバイメタル硬貨であるか、或いは偽硬貨であるか等を、高い判別精度で識別することが可能となる。したがって、本発明装置による場合には、1つの受信コイルを用いるだけでよいので、センサ構成を簡潔にできる。また、被識別対象硬貨のサイズ(バイメタル硬貨における径方向の中央部と周辺部のサイズ)や種類(バイメタル硬貨における中央部と周辺部の材質)が他のものに代わっても、2つの時間的変化のデータを処理するプログラムを変更するのみで対応することができ、汎用性および拡張性に優れたシステムを構成できるという効果を有する。
加えて、本発明装置にあっては、磁場発生手段には磁場発生用にパルス信号を入力して、一定周波数の磁場を発生させるようにする。そして、位相差検出手段は、受信コイルにより検出された磁場強度の時間的変化を2値化信号に変換し、この2値化信号と前記パルス信号との位相差信号を得、得られた位相差信号を、該2値化信号と該パルス信号とのずれ量に比例したアナログ電圧に変換する。よって、磁場発生手段に対し磁場発生用にパルス信号を入力するだけで、位相のずれ量と磁場強度の2種類の時間的変化を検出することが可能となる利点がある。
【0011】
本発明の硬貨識別装置において、前記磁場発生手段は、前記受信コイルとは前記搬送通路を挟んで設けられた発振コイルを有する構成とすることができる。
【0012】
この構成にあっては、1組の磁気センサ、つまり発振コイルと受信コイルを搬送通路を挟んで設ければよく、極めて簡潔なセンサを使用することができる。
【0015】
本発明の硬貨識別装置において、前記識別手段は、前記位相差検出手段により検出された位相のずれ量に関するアナログ電圧の時間的変化の第1ピーク値と、前記受信コイルにより検出された磁場強度の時間的変化の第2ピーク値とに基づいて被識別対象硬貨の種類を予備判別し、その予備判別の結果に基づき、該第1ピーク値に対応して該位相差検出手段により検出される複数のアナログ電圧値と、該第2ピーク値に対応して該受信コイルにより検出される複数の磁場強度値とを決定し、更に決定したこれらの値に基づいて位相のずれ量の時間的変化と磁場強度の時間的変化との相関を求めることで、被識別対象硬貨の種類を識別する構成とすることができる。
【0016】
この構成にあっては、上述したように位相のずれ量および磁場強度の時間的変化が、被識別対象硬貨の材質によってそれぞれ異なった特有の変化をすることを利用している。すなわち、各ピーク値と、複数のアナログ電圧値または磁場強度値とは、所定の値位置にあるので、各ピーク値に基づき被識別対象硬貨の種類を予備判別できる。そして、これらの複数の電圧値に基づき、位相のずれ量の時間的変化と磁場強度の時間的変化との相関を求めると、被識別対象硬貨の種類を識別することが可能となる。
【0017】
本発明の硬貨識別装置において、前記識別手段は、多数種類の硬貨に関して予め求めている、前記第1ピーク値および第2ピーク値のそれぞれに対応する第1ピーク値の範囲および第2ピーク値の範囲と、検出された前記第1ピーク値および第2ピーク値とを比較することにより前記予備判別を行う構成とすることができる。
【0018】
この構成にあっては、予備判別に際し、第1ピーク値の範囲および第2ピーク値の範囲と、検出された第1ピーク値および第2ピーク値とを比較すると、簡単に予備判別を行うことができるという利点がある。
【0019】
本発明の硬貨識別装置において、前記識別手段は、前記複数のアナログ電圧値における相対差と、複数の磁場強度値における相対差とを求め、両相対差に基づいて前記相関を求める構成とすることができる。
【0020】
この構成にあっては、複数のアナログ電圧値における相対差に基づき、位相のずれ量の時間的変化、例えばその時間的変化の傾き度合が判り、また、複数の磁場強度値における相対差に基づき、磁場強度の時間的変化、例えばその時間的変化の傾き度合が判るので、両相対差に基づいて位相のずれ量の時間的変化と磁場強度の時間的変化との相関が求められる。
【0021】
本発明の硬貨識別装置において、前記識別手段は、前記位相差検出手段により検出された位相のずれ量に関するアナログ電圧の時間的変化と前記受信コイルにより検出された磁場強度の時間的変化とにおける或る時間での電圧差、および予め前記或る時間に対応して求めている該電圧差の範囲に基づいて被識別対象硬貨の種類を識別する構成とすることができる。
【0022】
この構成にあっては、上述したように位相のずれ量および磁場強度の時間的変化が、被識別対象硬貨の材質によってそれぞれ異なった特有の変化をすることを利用している。すなわち、アナログ電圧値と磁場強度値との電圧差は、所定の時間位置で所定の範囲内に含まれるように変化するため、該電圧差と該電圧差の範囲とを比較することで、被識別対象硬貨の種類を識別することが可能となる。
【0023】
本発明の硬貨識別装置において、前記電圧差に、位相のずれ量および磁場強度の時間的変化がピークとなる以前のデータを用いて、被識別対象硬貨の種類を識別する構成とすることができる。
【0024】
この構成にあっては、位相のずれ量および磁場強度の時間的変化がピークとなる以前のデータを用いるため、被識別対象硬貨の種類を迅速に識別することが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態につき具体的に説明する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る硬貨識別装置の構成を示すブロック図である。
【0027】
この硬貨識別装置は、被識別対象硬貨1が搬送される搬送通路15を挟んで設けられた発振コイル2bと受信コイル3bとで構成される磁気センサを有する。搬送通路15は、非磁性材料により断面コの字状に形成された溝部材14の内部にて構成されている。溝部材14は溝の深さ方向を鉛直方向に対して傾斜させて設けられ、被識別対象硬貨1が一方の内壁面に接触するようになっており、かつ、搬送通路15の底面は、図2(図1とは直交する方向から見た図)に示すように、被識別対象硬貨1の投入部から収納部に向かって緩やかに傾斜していて、被識別対象硬貨1がこの搬送通路15に沿って矢印Aの方向に転がりながら磁気センサの間を通過する。
【0028】
発振コイル2bは、E型のコア2aの中央部のポールに巻きつけられ、一定の周波数でサイン状に変化する磁界を発生する。受信コイル3bは、I型のコア3aに巻きつけられ、I型コア3aを被識別対象硬貨1が溝部材14の内壁面と接触する側面に位置するように配置されており、受信コイル3bは発振コイル2bによって形成された発振磁界中を被識別対象硬貨1が通過する際の磁界の変化を検出する。受信コイル3bの出力は硬貨の種類によってそのピーク値や波形の形状が変化するので、この違いを検出して被識別対象硬貨1の材質を判定し識別を行う。
【0029】
この磁気センサは、被識別対象硬貨1の材質を検知するために比較的低い発振周波数で駆動されていて、対象硬貨のほぼ中心部が発振コイル2bと受信コイル3bの間を通過する様に位置決めされている。また、コア2a、3aは、その大きさを対象硬貨の直径に対して充分小さくして形成されており、その為、対象硬貨の局所的な材質の差異を検出する事が出来る。
【0030】
上記発振コイル2bは、発振コイル駆動回路4に接続されていて、例えば22.5KHzの周波数で発振され、この発振磁界と被識別対象硬貨1との相互作用による磁界の変化を受信コイル3bが受信する。なお、発振コイル2bに代えて、発振コイルとは異なる他の励磁方式の磁場発生手段で搬送通路15に磁場を発生するようにしてもよい。
【0031】
受信コイル3bの出力は、増幅器5で所定のレベルに増幅され、整流回路6で整流されて出力信号の強度変化成分が抽出され、その抽出信号がCPU11のアナログ/デジタル入カポート(A/D)11aに出力される。増幅器5の出力は、ローパスフィルター7にも与えられ、ここで高周波成分がカットされて平均値が出力される。この平均値と増幅器5の出力信号は比較器8に与えられて比較され、比較器8は増幅器5の出力が平均値を上回るときにハイとなり、下回る時にローとなる2値化信号を出力する。なお、上記ローパスフィルター7と比較器8は、2値化変換手段を構成する。
【0032】
図3に比較器8の構成を示す。この図でSAはローパスフィルターの出力を、SBは増幅器5の出力を示す。
【0033】
増幅器5の出力SBは、抵抗R1と、これと並列に接続されたコンデンサC1を介して、差動増幅回路を構成する2つのトランジスタTr1とTr2のうち、片方のトランジスタTr1のべースに入力される。一方、ローパスフィルター7の出力SAは、もう片方のトランジスタTr2のべースに入力される。トランジスタTr1のコレクタは抵抗R2を介して電源に、エミッタは抵抗R4を介してグランドに接続されている。トランジスタTr2のコレクタは抵抗R3を介して電源に、エミッタは抵抗R5を介してグランドに接続されている。
【0034】
また、トランジスタTr1のコレクタはトランジスタTr3のエミッタに、トランジスタTr2のコレクタはトランジスタTr3のべースに接続され、トランジスタTr3のコレクタは抵抗R6を介してグランドに接続されると共に、抵抗R7及びこれと並列に接続されたコンデンサC2を介して、トランジスタTr4のべースに接続されている。そして、トランジスタTr4のコレクタは、抵抗R8を介して電源に接続されると共に論理回路9の一方の入力端に入力される(図1参照)。
【0035】
図4は、このように構成された比較器8の出力信号を示す図である。図示したように、比較器8は2つの入力波形SAとSBとを比較して、SBがSAより大きいときにハイとなり、小さい時にローとなる2値化信号SCを出力する。
【0036】
図1に示すように論理回路9のもう一方の入力端には、CPU11から前記発振コイル駆動回路4に与えられる矩形波出力、例えば22.5KHzの周波数の矩形波出力が入力され、論理回路9はその矩形波出力と比較器8の出力信号SCとの位相差を検出する。
【0037】
図5に論理回路の構成を示す。図5中のSDはCPU11からの矩形波出力信号(発振信号)を、SCは比較器8からの出力信号を示す。
【0038】
CPU11からの発振信号SDは、ナンド回路NA1の一方の入力端子と、ナンド回路NA2の一方の入力端子に入力される。比較器8からの出力信号SCは、ナンド回路NA1の他方の入力端に入力されると共に、ナンド回路NA3の一方の入力端に入力されていて、ナンド回路NA1の出力は上記ナンド回路NA2とNA3のそれぞれ他方の入力端に入力される。ナンド回路NA2とNA3の出力端はナンド回路NA4の各入力端に入力されていて、ナンド回路NA4は発振信号SDと比較器からの2値化信号SCとに基づき、図6のタイミングチャートに示すような2つの信号の位相差に対応した信号SEを出力する。
【0039】
この論理回路9の出力は、整流回路10で両信号SDとSCの位相のずれ量に比例したアナログ電圧に変換され、CPU11のアナログ/デジタル入力ポート11bに入力され、アナログ信号をデジタル信号に変換してCPU11に取り込まれる。なお、CPU11には、ROM12とRAM13とが接続されている。なお、ローパスフィルター7、比較器8、論理回路9および整流回路10は、位相差検出手段を構成する。
【0040】
次に、本発明の硬貨識別の原理につき説明する。
【0041】
図7〜図9は、かかる構成の硬化識別装置のCPU11に入力される信号波形の一例を示す。図7は被識別対象硬貨が日本の500円硬貨の信号波形で、図8は被識別対象硬貨がロシアの100ルーブル硬貨の信号波形で、図9は被識別対象硬貨がフランスの10フラン硬貨の信号波形である。
【0042】
各図における波形Pは、硬貨が磁気センサを通過する前後の期間の整流回路6より出力される信号波形の変化を示し、波形Qは同じく整流回路10より出力される信号波形の変化の様子を示したものである。各図において、時刻T1からT2が硬貨が磁気センサの間を通過している期間である。なお、本発明の硬貨識別装置では整流回路6、10から出力される信号を監視して予め決められた基準電圧V0を超えた場合に波形PとQの信号をCPU11に取込んで識別データとして用いるようにしている。
【0043】
これら図7〜図9より理解されるように、時刻T1からT2の期間における波形Pと波形Qとが、硬貨の材質によってそれぞれ異なる変化をする。つまり、波形Pのピーク値p1が各硬貨で異なっており、また波形Qのピーク値q1が各硬貨で異なっている。より詳細には、ピーク値p1については、
日本の500円硬貨<ロシアの100ルーブル硬貨<フランスの10フラン硬貨
となっており、ピーク値q1については、
日本の500円硬貨>ロシアの100ルーブル硬貨>フランスの10フラン硬貨
となっている。
【0044】
また、波形Qに関しては、日本の500円硬貨では変曲点がなく、ロシアの100ルーブル硬貨とフランスの10フラン硬貨では共にバイメタル硬貨である故に変曲点Rが存在し、しかも変曲点Rより下の裾部分の傾きはフランスの10フラン硬貨の方がロシアの100ルーブル硬貨よりも小さくなっている。なお、変曲点Rは、バイメタル硬貨の材質が変わる部分に対応して発生している。
【0045】
本発明の硬貨識別の原理は、このような2種類の波形PおよびQの特徴を用いている。すなわち、ピーク値p1およびq1を検出し、その検出したピーク値p1およびq1の各出力値(電圧値)VpおよびVp′を、予め多数種類の硬貨を対象として求めているピーク出力値Vpの範囲およびピーク出力値Vp′の範囲と比較することで硬貨の種類の予備判定を行う。そして、予備判定が日本の500円硬貨の場合は、ピーク値p1およびq1以外に、更に波形P上の3つの点p2、p3、p4と、これらに対応する波形Q上の3つの点q2、q3、q4とに関する出力値va、vb、vc、va′、vb′、vc′を、波形認識用の参照電圧として用い、傾きに相当するK1=va−vbとK2=vb−vcとの比K1/K2、およびK1′=va′−vb′とK2′=vb′−vc′との比K1′/K2′を求め、2種類の波形PおよびQの相関度YK=(K1′/K2′)−(K1/K2)を、予め同様にして多数種類の硬貨を対象として求めている相関度YKの範囲と比較し、範囲内にあれば日本の500円硬貨と判定し、範囲外であれば偽硬貨と判定する。ここで、Vp、va、vbおよびvcにより波形Pが認識され、Vp′、va′、vb′およびvc′により波形Qが認識される。
【0046】
また、予備判定がロシアの100ルーブル硬貨またはフランスの10フラン硬貨である場合には、ピーク値p1およびq1以外に、更に波形P上の4つの点p2、p3、p4、p5と、これらに対応する波形Q上の4つの点q2、q3、q4、q5とに関する出力値va、vb、vc、vd、va′、vb′、vc′、vd′を波形認識用の参照電圧として用い、傾きに相当するK1=va−vbとK2=vc−vdとの比K1/K2、およびK1′=va′−vb′とK2′=vc′−vd′との比K1′/K2′を求め、2種類の波形PおよびQの相関度YK=(K1′/K2′)−(K1/K2)を、予めロシアの100ルーブル硬貨またはフランスの10フラン硬貨に対して前同様にして求めている相関度YKの範囲と比較する。そして、ロシアの100ルーブル硬貨の範囲内にあればロシアの100ルーブル硬貨と判定し、範囲外であれば偽硬貨と判定する。一方、フランスの10フラン硬貨の範囲内にあればフランスの10フラン硬貨と判定し、範囲外であれば偽硬貨と判定する。なお、点p2とp3、点q2とq3は、変曲点Rよりも上の位置に、点p4とp5、点q4とq5は、変曲点Rよりも下の位置になるように選定することで、Vp、va、vb、vcおよびvdにより波形Pが認識され、Vp′、va′、vb′、vc′およびvd′により波形Qが認識される。また、このような波形認識を可能と設定すべく、日本の500円硬貨の場合よりもp2等やq2等の点(つまりp5とq5)を1つずつ増加させている。
【0047】
また、本実施形態では、波形Pから3つの出力値va〜vcまたは4つの出力値va〜vdと、波形Qから3つの出力値va′〜vc′または4つの出力値va′〜vd′とは、以下のようにして求めている。すなわち、図10に示すVpと、Vp/Vp′を変数とする二次元テーブルから、実検出データに基づくVpとVp/Vp′に応じて各出力値va等を読み取り、整流回路6の出力を監視してその出力値が読み取った値に一致した時点で、整流回路10の出力値をva′等として求めている。
【0048】
ここで、二次元テーブルにおけるva〜vdは、下記(1)〜(4)により表される値であり、各式中の定数x、y、z、wは、Vp、va〜vdの多数の実測値に基づき定まる値である。
va=x×Vp …(1)
vb=y×Vp …(2)
vc=z×Vp …(3)
vd=w×Vp …(4)
【0049】
なお、上述したピーク出力値Vpの範囲およびピーク出力値Vp′の範囲、相関度YKの範囲および二次元テーブル等は、多数の種類の硬貨毎に前記ROM12に格納されている。
【0050】
次に、第1実施形態に係る硬貨識別装置による識別処理の内容を、図11に示すフローチャートに基づき説明する。この識別処理は、図1に示すCPU11の硬貨識別部11cにおいて実行される。
【0051】
まず、ステップS0で硬貨識別装置の動作を開始すると、ステップS1でCPU11はROM12に格納されているプログラムを実行し、各種のカウンタ、レジスタ及びフラグを初期化する。
【0052】
次に、ステップS2で磁気センサの出力を監視して硬貨が投入されたか否かを検知する。即ち、CPU11は整流回路6の出力を監視してその値が一定の基準電圧V0を超えたか否かを判別し、超えた場合はステップS3へ、超えていない場合はステップS2を繰り返し実行する。
【0053】
ステップS3では、CPU11は整流回路6の出力と整流回路10の出力とからそれらの出力のピーク出力値Vp,Vp′を検知して前記RAM13へ格納する。
【0054】
次いで、ステップS4に進み、検知したピーク出力値VpとVp′の値を予めROM12に記憶されたピーク出力値Vpの範囲およびピーク出力値Vp′の範囲と対比し、ピーク出力値Vp及びVp′が含まれる範囲を検出して投入硬貨の種類を予備的に検知する。なお、ピーク出力値Vp及びVp′が含まれる範囲が存在しない時には偽貨として処理を行い、ステップS10へ進む。一方、ステップS4で正貨と判定された時には、ステップS5へ進む。
【0055】
ステップS5では、ステップS4で予備的に検出された金種データを基に、波形データを識別する為の参照電圧va,vb、…を求める。即ち、図10に示す二次元テーブルからVpとVp/Vp′に基づき上記参照電圧va,vb、…を読みとる。
【0056】
次いで、ステップS6では整流回路6の出力を監視してその出力値が上記読みとられた参照電圧va,vb、…になった時点での整流回路10の出力値va′、vb′、…をCPU11に取り込んでRAM13へと格納し、ステップS7でこれらの出力値データva,vb、…とva′、vb′、…を前述した計算式に当てはめて波形の傾きに相当するK1、K1′、K2及びK2′を算出し、ステップS8へと移行する。
【0057】
ステップS8では、算出されたK1、K1′、K2及びK2′値より相関度YK値を算出し、そのYK値を、予備判定で判定された金種に相当するYK値の範囲と比較して、範囲内にある場合には正貨と判定してステップS9へ進み、範囲外と判定された場合にはステップS10へ進む。ステップS9へ移行した場合には、投入硬貨を識別された金種に対応した硬貨収納部に導く。一方、ステップS10へ移行した場合は、偽貨としてリジェクト通路等の別の通路に振り分ける処理を行う。
【0058】
以上説明したように、第1実施形態による場合には、1つの受信コイル3bで磁場強度の時間的変化を検出し、その磁場強度の時間的変化と、磁場発生手段としての発振コイル2bにより発生させる磁場の一定周波数の波形との間における位相のずれ量の時間的変化を検出する。このとき、位相のずれ量および磁場強度の時間的変化は、被識別対象硬貨1の材質によって、それぞれ異なった特有の変化をするので、材質が異なる多数の硬貨について、予め特有の変化をする位相のずれ量および磁場強度の時間的変化を求めておくと、検出した位相のずれ量および磁場強度の時間的変化が、どの材質の硬貨のものかを把握することができ、これにより被識別対象硬貨1の種類、つまり金額がいくらの硬貨またはバイメタル硬貨であるか、或いは偽硬貨であるか等を、高い判別精度で識別することが可能となる。したがって、1つの受信コイル3bを用いるだけでよいので、センサ構成を簡潔にできる。また、被識別対象硬貨1のサイズ(バイメタル硬貨における径方向の中央部と周辺部のサイズ)や種類(バイメタル硬貨における中央部と周辺部の材質)が他のものに代わっても、2つの時間的変化のデータを処理するプログラムを変更するのみで対応することができ、汎用性および拡張性に優れたシステムを構成できるという効果を有する。
【0059】
また、第1実施形態においては、磁場発生手段としては、受信コイル3bとは搬送通路15を挟んで設けられた発振コイル2bを有する構成であるので、1組の磁気センサ、つまり発振コイル2bと受信コイル3bを搬送通路15を挟んで設ければよく、極めて簡潔なセンサを使用することができる。
【0060】
また、第1実施形態においては、磁場発生手段としての発振コイル2bには磁場発生用にパルス信号を入力して、一定周波数の磁場を発生させるようにし、位相差検出手段(7、8、9及び10)は、受信コイル3bにより検出された磁場強度の時間的変化を2値化信号に変換し、この2値化信号と前記パルス信号との位相差信号を得、得られた位相差信号を、該2値化信号と該パルス信号とのずれ量に比例したアナログ電圧に変換する構成となっているので、発振コイル2bに対し磁場発生用にパルス信号を入力するだけで、位相のずれ量と磁場強度の2種類の時間的変化を検出することが可能となる利点がある。
【0061】
また、第1実施形態においては、位相のずれ量および磁場強度の時間的変化が、被識別対象硬貨1の材質によってそれぞれ異なった特有の変化をすることを利用し、すなわち各ピーク値Vp、Vp′と、複数のアナログ電圧値va、vb等または磁場強度値va′、vb′等とは、所定の値位置にあることを利用しているので、各ピーク値Vp、Vp′に基づき被識別対象硬貨1の種類を予備判別できる。そして、これらの複数の電圧値va、vb等およびva′、vb′等に基づき、位相のずれ量の時間的変化と磁場強度の時間的変化との相関を求めると、被識別対象硬貨1の種類を識別することが可能となる。
【0062】
また、第1実施形態においては、予備判別に際し、各ピーク値の範囲と、検出されたピーク値Vp、Vp′とを比較しているので、簡単に予備判別を行うことができるという利点がある。
【0063】
なお、上述した第1実施形態では、日本の500円硬貨に関しては、参照電圧va等を3つ、va′も3つとし、ロシアの100ルーブル硬貨およびフランスの10フラン硬貨に関しては、参照電圧va等を4つ、va′も4つとしているが、本発明はこれに限らず、波形の形状の違いを特定できれば、2以上の任意の数としてもよいことは勿論である。
【0064】
また、上述した第1実施形態では、日本の500円硬貨、ロシアの100ルーブル硬貨およびフランスの10フラン硬貨を被識別対象硬貨として用いているが、本発明はこれに限らず、他の種類の硬貨を被識別対象硬貨として用いてもよく、また、被識別対象硬貨の数も3つに限らず、任意の数としてもよい。
【0065】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図12を参照して説明する。なお、本発明の硬貨識別装置の構成は図1と同様である。
【0066】
図12は整流回路6より出力される波形Pと整流回路10より出力される波形Qの一例を示すグラフである。なお、横軸に時間軸を、縦軸に電圧をそれぞれとっている。
【0067】
図12中において、p0,p1,p2,p3、…、pn、…、ppは波形P上にプロットした点を、q0,q1,q2,q3、…、qn、…、qpは波形Q上にプロットした各点を表している。なお、p0,p1,p2,p3、…、pn、…、ppおよびq0,q1,q2,q3、…、qn、…、qpの位置は、波形の特徴を特定できる波形上の位置に対応して決められている。また、p0とq0は基準電圧v0における点で、ppとqpは各波形のピーク位置の点を示す。
【0068】
ここで、p0,p1,p2,p3、…、pn、…は、整流回路6の出力値が、予め波形の特徴を特定できる波形上の位置に対応して決められた所定数の参照電圧va,vb,vc、…、vn、…、Vpになった時点における波形P上の各点を、参照電圧va′、vb′、vc′、…、vn′、…、Vp′はその各時点における波形Q上のそれぞれ対応する点における整流回路10の出力値を示す。
【0069】
第2実施形態における識別方式は、前記参照電圧va、vb、vc、…、vn、…、Vpが予め一義的に決められていて、整流回路6の出力(電圧)がその値になった時点を監視し、各時点での整流回路10の出力値(電圧値)va′、vb′、vc′、…、vn′、…、Vp′を検出する。そして、該当する同時点での対応する2つの電圧差を、全時点に関して、下記(5)、(6)、(7)…(8)…(9)により算出する。なお、この例では、電圧差の算出は、整流回路6の出力値がピーク出力値Vpに達するまでの期間としている。
Da=va−va′ …(5)
Db=vb−vb′ …(6)
Dc=vc−vc′ …(7)
…
Dn=vn−vn′ …(8)
…
Dp=Vp−Vp′ …(9)
【0070】
その後、算出した電圧差Da〜Dpの各値と、予めROM12に記憶されている差電圧の範囲、つまりDaの範囲〜Dpの範囲とを、全ての算出電圧差Da〜Dpに関して各電圧差Da等毎に比較する。前記差電圧の範囲は、同様にして多数種類の硬貨を対象としかつ多数の参照電圧毎(電圧差Da〜Dpの数と同数)に求められていて、ROM12に記憶されている。そして、比較の結果、算出した電圧差Da等が上記ROM12に記憶されている電圧差と一致しないとき、またはその不一致度が予め定めた値以下のときには偽貨として処理し、対応する範囲が存在するときはその範囲に関する金種の硬貨と識別する。
【0071】
したがって、第2実施形態による場合には、上述したように位相のずれ量および磁場強度の時間的変化が、被識別対象硬貨1の材質によってそれぞれ異なった特有の変化をすることを利用し、すなわちアナログ電圧値と磁場強度値との電圧差va−va′等が、所定の時間位置で所定の範囲内に含まれるように変化することを利用しているため、該電圧差va−va′等と該電圧差の範囲Da等とを比較することで、被識別対象硬貨1の種類を識別することが可能となる。また、位相のずれ量および磁場強度の時間的変化がピークとなる以前のデータを用いるため、被識別対象硬貨1の種類を迅速に識別することが可能となる。
【0072】
なお、上述した第2実施形態では、ピーク出力値VpおよびVp′が検出されるまでの全期間において、電圧差Da〜Dpを算出するようにしているが、本発明はこれに限らない。例えば、ピーク出力値VpおよびVp′が検出される以前の波形に特徴がある場合は、その特徴部分を含む範囲内で、電圧差を算出するとともに、その算出電圧差と該当する電圧差の範囲とを比較して識別するようにしてもよいことは勿論である。また、ピーク出力値VpおよびVp′よりも後に波形の特徴がある場合には、ピーク出力値VpおよびVp′が検出された以降の範囲内で、電圧差を算出するとともに、その算出電圧差と該当する電圧差の範囲とを比較して識別するようにしてもよいことは勿論である。
【0073】
また、上述した第2実施形態では、電圧差Da〜Dpを算出する数については明言していないが、波形の特徴により波形の種類、つまり金種の特定が可能であれば、任意の数としてもよい。
【0074】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明による場合には、1つの受信コイルで磁場強度の時間的変化を検出し、その磁場強度の時間的変化と、磁場発生手段により発生させる磁場の一定周波数の波形との間における位相のずれ量の時間的変化を検出する。このとき、位相のずれ量および磁場強度の時間的変化は、被識別対象硬貨の材質によって、それぞれ異なった特有の変化をする。よって、材質が異なる多数の硬貨について、予め特有の変化をする位相のずれ量および磁場強度の時間的変化を求めておくと、検出した位相のずれ量および磁場強度の時間的変化が、どの材質の硬貨のものかを把握することができ、これにより被識別対象硬貨の種類、つまり金額がいくらの硬貨またはバイメタル硬貨であるか、或いは偽硬貨であるか等を、高い判別精度で識別することが可能となる。したがって、本発明装置による場合には、1つの受信コイルを用いるだけでよいので、センサ構成を簡潔にできる。また、被識別対象硬貨のサイズ(バイメタル硬貨における径方向の中央部と周辺部のサイズ)や種類(バイメタル硬貨における中央部と周辺部の材質)が他のものに代わっても、2つの時間的変化のデータを処理するプログラムを変更するのみで対応することができ、汎用性および拡張性に優れたシステムを構成できるという効果を有する。
加えて、本発明装置にあっては、磁場発生手段には磁場発生用にパルス信号を入力して、一定周波数の磁場を発生させるようにする。そして、位相差検出手段は、受信コイルにより検出された磁場強度の時間的変化を2値化信号に変換し、この2値化信号と前記パルス信号との位相差信号を得、得られた位相差信号を、該2値化信号と該パルス信号とのずれ量に比例したアナログ電圧に変換する。よって、磁場発生手段に対し磁場発生用にパルス信号を入力するだけで、位相のずれ量と磁場強度の2種類の時間的変化を検出することが可能となる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る硬貨識別装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す硬貨識別装置における磁気センサの配置および構成を示す側面図である。
【図3】図1に示す硬貨識別装置に備わった比較器の回路構成を示す図である。
【図4】図3の比較器において入出力される信号波形を示す図である。
【図5】図1に示す硬貨識別装置に備わった論理回路の構成を示す図である。
【図6】図5に示す論理回路において入出力される信号波形を示す図である。
【図7】図1に示す硬貨識別装置における500円硬貨の識別原理を説明するための信号波形図である。
【図8】図1に示す硬貨識別装置におけるロシア100ルーブル硬貨の識別原理を説明するための信号波形図である。
【図9】図1に示す硬貨識別装置におけるフランス10フラン硬貨の識別原理を説明するための信号波形図である。
【図10】図1に示す硬貨識別装置による識別に際し用いる参照電圧を読みとるための二次元テーブルを示す図である。
【図11】図1に示す硬貨識別装置による識別内容を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の他の実施例による硬貨識別方式を説明するための図である。
【符号の説明】
1 被識別対象硬貨
2b 発振コイル
3b 受信コイル
4 発振コイル駆動回路
5 増幅器
6 整流回路
7 ローパスフィルター
8 比較器
9 論理回路
10 整流回路
11 CPU
12 ROM
13 RAM
15 搬送通路
Claims (7)
- 被識別対象硬貨を搬送する搬送通路と、
磁場発生用のパルス信号が入力され、該搬送通路に前記パルス信号に応じた一定周波数の磁場を発生させる磁場発生手段と、
該磁場を通る該被識別対象硬貨による磁場強度の時間的変化を検出する受信コイルと、
該受信コイルにより検出された磁場強度の変化と上記一定周波数の波形との位相のずれ量を検出する位相差検出手段と、
該位相差検出手段により検出された位相のずれ量の時間的変化および上記受信コイルにより検出された磁場強度の時間的変化に基づき被識別対象硬貨の種類を識別する識別手段とを具備し、
前記位相差検出手段は、上記磁場強度の時間的変化を2値化信号に変換する2値化変換手段と、この2値化信号と前記パルス信号との位相差信号を得る論理回路と、該論理回路により得られた位相差信号を、該2値化信号と該パルス信号とのずれ量に比例したアナログ電圧に変換する変換手段とを備えることを特徴とする硬貨識別装置。 - 前記磁場発生手段は、前記受信コイルとは前記搬送通路を挟んで設けられた発振コイルを有することを特徴とする請求項1に記載の硬貨識別装置。
- 前記識別手段は、前記位相差検出手段により検出された位相のずれ量に関するアナログ電圧の時間的変化の第1ピーク値と、前記受信コイルにより検出された磁場強度の時間的変化の第2ピーク値とに基づいて被識別対象硬貨の種類を予備判別し、その予備判別の結果に基づき、該第1ピーク値に対応して該位相差検出手段により検出される複数のアナログ電圧値と、該第2ピーク値に対応して該受信コイルにより検出される複数の磁場強度値とを決定し、更に決定したこれらの値に基づいて位相のずれ量の時間的変化と磁場強度の時間的変化との相関を求めることで、被識別対象硬貨の種類を識別することを特徴とする請求項1または2に記載の硬貨識別装置。
- 前記識別手段は、多数種類の硬貨に関して予め求めている、前記第1ピーク値および第2ピーク値のそれぞれに対応する第1ピーク値の範囲および第2ピーク値の範囲と、検出された前記第1ピーク値および第2ピーク値とを比較することにより前記予備判別を行うことを特徴とする請求項3に記載の硬貨識別装置。
- 前記識別手段は、前記複数のアナログ電圧値における相対差と、複数の磁場強度値における相対差とを求め、両相対差に基づいて前記相関を求めることを特徴とする請求項4に記載の硬貨識別装置。
- 前記識別手段は、前記位相差検出手段により検出された位相のずれ量に関するアナログ電圧の時間的変化と前記受信コイルにより検出された磁場強度の時間的変化とにおける或る時間での電圧差、および予め前記或る時間に対応して求めている該電圧差の範囲に基づいて被識別対象硬貨の種類を識別することを特徴とする請求項1または2に記載の硬貨識別装置。
- 前記電圧差に、位相のずれ量および磁場強度の時間的変化がピークとなる以前のデータを用いて、被識別対象硬貨の種類を識別することを特徴とする請求項6に記載の硬貨識別装置。
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