JP4499936B2 - 使用済耐火物を粗骨材に用いた不定形耐火物ブロックの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、製鉄所で発生する使用済耐火物を回収し、破砕してから磁選を行った後の非磁性の耐火物を骨材に活用する使用済耐火物を粗骨材に用いた不定形耐火物ブロックの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、製鉄所においては、転炉や電気炉等の精錬炉、取鍋、樋等の搬送設備やタンディッシュ、ノズル等の付帯設備に、耐火煉瓦や不定形耐火物からなる耐火物が内張りされている。これ等の耐火物は、溶鋼やスラグ等によって損耗するため、残存する耐火物の厚みが薄くなった時点で新しい耐火物に張り替えられる。
この耐火物の張り替えによって発生する使用済耐火物は、その殆どが埋め立て等に廃棄処分されている。
しかし、埋め立て場所の制限や廃棄するための回収作業や搬送作業等に高い費用を要するので、環境及び処理コストの面で問題がある。
一方、タンディッシュの堰や取鍋の底部等は、不定形耐火物ブロックが使用され、しかも、この不定形耐火物ブロックがより大型化されることで、不定形耐火物ブロックを多く用いた築造が試みられている。このように、不定形耐火物ブロックを適用する範囲の拡大を推進することで、この不定形耐火物ブロックに使用済耐火物を骨材として活用し、廃棄処理する耐火物の削減、廃棄処理コストの低減等を行うことが望まれている。
この対策として、特開平2−6373号公報に記載されているように、アルミナ質原料を主成分とするスピネル質微粉からなる流し込み用の不定形耐火物ブロックに5〜60mmのアルミナ質煉瓦屑、スピネル質煉瓦屑等(使用済耐火物)を、粗骨材として30質量%以下配合する方法が行われており、これにより、使用済耐火物の再利用を行い、廃棄耐火物の削減、廃棄処理コストの低減等を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平2−6373号公報に記載された方法では、粗骨材と微粉を一緒に混練し微粉中に粗骨材を均一に混合してから型枠に流し込む必要があり、しかも、5〜60mmの粗骨材の配合を30質量%以上にすると、粗骨材と耐火物原料中の微粒子及び微粉とが分離する現象が顕著になり、各部分が均一な組成を有する施工体(不定形耐火物ブロックの内張り)を得ることができず、耐溶損性、強度等の特性が低下してしまう。
また、気孔率の高い使用済の不定形耐火物を不定形耐火物ブロックの粗骨材に使用する際、使用済耐火物の気孔に水分が吸収され、流し込み用の耐火物原料の流動性が低下し、また、疎水性の炭素を含有する使用済耐火物を粗骨材に使用する場合、炭素を含有する使用済耐火物自体、水との濡れ性が悪く、混練時に粗骨材の流動性が悪くなって均一に混合し難く、いずれの場合においても、粗骨材と微粒子及び微粉とが分離する現象が顕著になり、良好な不定形耐火物の内張りを得ることが困難であるという問題がある。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、使用済耐火物の気孔率や組成の影響を回避するため、使用済耐火物中の非磁性物を不定形耐火物ブロックの粗骨材として多量に配合し、この粗骨材を不定形耐火物ブロック内に均一に分散させ、耐溶損、強度等の特性を高め、使用済耐火物の廃棄量を減少し、耐火物コストを低減できる使用済耐火物を粗骨材に用いた不定形耐火物ブロックの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明の使用済耐火物を粗骨材に用いた不定形耐火物ブロックの製造方法は、使用済耐火物を破砕して磁選を行った後、前記使用済耐火物中の5〜60mmの非磁性物を粗骨材として30質量%を超え55質量%未満を不定形耐火物ブロックに配合する製造方法であって、前記非磁性物からなる粗骨材を水で湿潤させた後、該粗骨材を型枠に予め装入しておき、硬化剤と分散剤とを配合した、粒子の最大粒径が3mm以下の耐火物原料に水を添加して混合した150mm以上のフロー値を有するスラリーを前記型枠に装入された前記粗骨材の隙間に充填する。
この方法により、不定形耐火物ブロックのメタルの混入が抑制されるので、この不定形耐火物ブロックを実炉等に使用した際、メタルが酸化され、酸化鉄に変化して発生する体積膨張、スラグ等の外来成分等の増加、また、粗骨材中の低融点成分に起因する低融点物の生成を抑制でき、不定形耐火物ブロック中に粗骨材を均一に分散させることができる。
更に、型枠に粗骨材を予め装入しておき、この粗骨材の空隙をスラリーで充填するので、等圧密で、均一な組成の不定形耐火物ブロックを得ることができ、不定形耐火物ブロックの耐溶損性、強度等の低下を防止することができる。
粗骨材の大きさが5mm未満になると、不定形耐火物ブロック中のスラグ等の外来成分が増加し、粗骨材に含まれるセメント及び粘土等の成分が、添加した耐火物原料中の微粒、微粉等と反応して低融点物を形成し、耐溶損性が悪くなり、不定形耐火物ブロックの寿命が大幅に低下する。一方、粗骨材の大きさが60mmを超えると、不定形耐火物ブロック内の粗骨材の分散が不均一になり、不定形耐火物ブロックの耐溶損性や強度の低下を招く。
また、不定形耐火物ブロック中の粗骨材の配合量が30質量%以下では、粗骨材が少なくなり、粗骨材による不定形耐火物ブロックの耐溶損性、強度の向上が望めず、廃棄する耐火物が増加して廃棄処理コストの負担が増加する。一方、不定形耐火物ブロック中の粗骨材の配合量が55質量%以上では、不定形耐火物ブロックの充填嵩密度が急激に低下し、スラリーの充填量が少なくなり過ぎて強度の高い不定形耐火物ブロックを得ることができない。
【0006】
ここで、前記非磁性物からなる粗骨材を湿潤させた後、前記型枠に装入することにより、粗骨材の吸湿を抑制できるため、スラリーの流動性を良好な状態に維持でき、粗骨材の間にスラリーを均一に、且つ、十分に充填することができる。
【0007】
更に、前記スラリーに含まれる耐火物原料の粒子の最大粒径が3mm以下で、前記スラリーのフロー値を150mm以上にすることで、粗骨材の隙間をスラリーが容易に通過でき、より均一に充填することができるため、不定形耐火物ブロックの品質を向上することが可能になる。
スラリーに含まれる粒子の最大粒径が3mmを超えると、スラリー中の粗い粒子が、粗骨材の隙間に詰まってスラリーの充填されない部位が発生し易くなったり、スラリーを構成する大きい粒子と小さい粒子の分離が生じ、不均一な組成の不定形耐火物ブロックになり、耐溶損性や強度が阻害される。なお、スラリーに含まれる粒子の下限は、一般の不定形耐火物の製造に用いられている粒径であって、0.01μm程度のものを用いることができる。
また、スラリーのフロー値が150mm未満では、粗骨材の隙間を通過する時に流動抵抗が増加し、未充填部位が発生して不均一な組成の不定形耐火物ブロックになる。スラリーのフロー値の上限値としては、スラリーを構成する大きい粒子と小さい粒子の分離を考慮すると1000mm以下が好ましい。
【0008】
更に、前記型枠の底部から上方へかけて前記スラリーを充填すると良い。
粗骨材自体に存在する気孔及び粗骨材の隙間に存在する空気をスラリーによって系外に排出できるため、不定形耐火ブロックの気孔率をより低くでき、耐溶損性及び強度を安定して向上させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る使用済耐火物を粗骨材に用いた不定形耐火物ブロックの製造方法に適用される不定形耐火物ブロック製造装置の全体図、図2は本発明の第2の実施の形態に係る使用済耐火物を粗骨材に用いた不定形耐火物ブロックの製造方法に適用される不定形耐火物ブロック製造装置の全体図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る使用済耐火物を粗骨材に用いた不定形耐火物ブロックの製造方法に用いられる不定形耐火物ブロック製造装置10は、定盤11と、この定盤11の上面側に、平面視して矩形状となるように板材12を立設して型枠13を設け、しかも、型枠13の内部には、使用済耐火物から回収した5〜60mmの非磁性物である粗骨材14を装入している。
更に、型枠13の上方には、流し込み材となるスラリー15を貯蔵したホッパ16が配置されており、このホッパ16の下端は、先端が定盤11の上面から5〜100mm程度の粗骨材14中に埋設する位置に配置されるような注入管17が備えられている。
また、図2に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る使用済耐火物を粗骨材に用いた不定形耐火物ブロックの製造方法に用いる不定形耐火物ブロック製造装置20は、定盤21と、この定盤21の上面側に、平面視して矩形状となるように板材22を立設して型枠23を設け、型枠23の内部には、使用済耐火物から回収された5〜60mmの非磁性物である粗骨材24を装入している。
不定形耐火物ブロック製造装置10と異なる構成部分は、型枠23の上方に、流し込み材となるスラリー25を貯蔵したホッパ26を配置し、このホッパー26の下端にシュート27を備え、スラリー25を粗骨材24の上方から充填するようにしたことである。
【0010】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る使用済耐火物を粗骨材に用いた不定形耐火物ブロックの製造方法について前記した不定形耐火物ブロック製造装置10を用いて説明する。
転炉や電気炉等の精錬炉、あるいは取鍋やタンディッシュ等の搬送、貯湯付帯設備等に内張りされ、張り替えによって発生する使用済耐火物をジョウクラッシャ等の一般に用いられている破砕機で5〜60mmに破砕し、この破砕した使用済耐火物を磁選して非磁性物を選別し、更に、この使用済耐火物中の非磁性物からスラグや酸化鉄等の浸潤層の存在するものを除去して粗骨材14として用いる。
なお、使用済耐火物を破砕機で破砕した後、分級して5〜60mmの非磁性物を回収することも可能である。
この粗骨材14は、表面を予め湿潤させた後、不定形耐火物ブロックに配合するため、定盤11の上面に形成した型枠13内に、30質量%を超え55質量%未満装入される。
そして、スラリー15の一例として、粒径が3mm以下の焼結アルミナ粒83質量%と電融スピネル粒7質量%を主成分にし、硬化剤の一例であるアルミナセメント8質量%を含み、残部が結合剤の一例である塩基性乳酸アルミニウムと分散剤であるアルキルベンゼンスルホン酸塩からなるものを配合した耐火物原料に、更に、フロー値が150mm以上になるように、7〜15質量%の水を添加し、これ等を混合してフロー値の調整を行った後、ホッパ16に貯蔵する。
このスラリー15は、自重によりホッパ16から注入管17を介して型枠13内の粗骨材14の間隙に注入され、粗骨材14の隙間に充填される。
この注入管17は、塩化ビニール管、鉄パイプ等からなる直径が例えば10〜30mm程度のものである。
この注入管17を用い、型枠13の底部から上方へかけてスラリー15を充填する。型枠13に装入された粗骨材14の下方から上方に順次スラリー15を充填しているので、粗骨材14の隙間に存在する空気が施工体に巻き込まれるのを無くすことができる。
このスラリー15の充填については、図示しない振動装置を用いて型枠13を加振させた場合と、加振を行わない場合について行った。
その結果、型枠13を加振させた場合では、厚みが200mm以上の不定形耐火物ブロック(以下ブロックともいう)を製造する際、スラリー15のフロー値は、150mm以上であれば粗骨材14の隙間に十分にスラリー15を充填でき、極めて均質のブロックを製造することができる。しかし、型枠13を加振をしない場合では、スラリー15の充填を行うことはできるが、ブロックの厚み方向におけるスラリー15の充填密度に若干のバラツキが発生するので、スラリー15のフロー値を250mm以上にすることがより好ましい。
更に、スラリー15を構成する焼結アルミナ粒や電融スピネル粒の径が3mmを超えた場合、粗骨材14と粗骨材14の間(粗骨材14の隙間)をスラリー15が通過する際、スラリー15内の粒子が粗骨材14の隙間に詰まってスラリー15の充填が不十分になったり、スラリー15が流動中にスラリー15中の大きな粒子と小さい粒子とが分離する等によって、均一な組成のブロックを製造できず、ブロックの強度や耐溶損性等が低下する。
【0011】
また、粗骨材14自体には、気孔が多数存在しているため、スラリー15を充填すると、気孔の内部にスラリー15の水分が浸透し、スラリー15のフロー値(流動性)が極端に低下して、粗骨材14の隙間にスラリー15を十分に充填できない。
従って、粗骨材14を予め水槽等に入れて粗骨材14の表面や気孔に水を含ませるか、あるいは、散水することによって、粗骨材14の表面や気孔に水を含ませたものを用いることにより、粗骨材14の隙間に充填するスラリー15の特性を維持することができ、粗骨材14の隙間にスラリー15が流入し易くなりスラリー15を均一に充填することができる。
このようにして製造したブロックは、均一な組成を備えており、実炉の内張りに使用したところブロックの強度や耐溶損性等に極めて良好な特性が得られた。
【0012】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る使用済耐火物を粗骨材に用いた不定形耐火ブロックの製造方法について前記した不定形耐火物ブロック製造装置20を用いて説明する。
定盤21及び型枠23、使用済耐火物中の5〜60mmの非磁性物の粗骨材24、スラリー25の組成及びフロー値、粗骨材24への散水等を第1の実施の形態で用いたものと同じ条件にし、スラリー25を貯蔵ホッパ26からシュート27を介して自然に落下させ、粗骨材24の上方から下方へかけて充填した。
スラリー25の充填中、型枠23を図示しない振動装置を用いて加振し、粗骨材24の隙間に存在する空気の押し出しを行うと同時に、粗骨材24の隙間にスラリー25を充填した。
その結果、型枠23を加振しているので、空気の巻き込みが少なく、かなり均一な組成を備えたブロックを製造することができ、実炉の内張りに使用したところブロックの強度や耐用損性等の特性が良好なものが得られた。
【0013】
【実施例】
次に、本発明に係る使用済耐火物を粗骨材に用いた不定形耐火物ブロックの製造方法の実施例について説明する。
粗骨材としては、溶鋼鍋用の不定形耐火物であって23%の見掛け気孔率を有するアルミナ・スピネル質の使用済の不定形耐火物を破砕し、更に、磁選して得られたものを用い、この粗骨材を水槽内に24時間放置して浸潤させた後、不定形耐火物ブロック用の幅0.5m、長さ0.5m、高さ0.3mの内寸を有する型枠を定盤上に組み、この型枠に粗骨材を装入し、型枠を振動させることなく、焼結アルミナ粒を83質量%、電融スピネルを7質量%、アルミナセメントを8質量%と、残部が乳酸アルミニウム及び分散剤であるアルキルベンゼンスルホン酸塩からなる耐火物原料に、外分で所定量の水を添加して生成したスラリーを粗骨材の下方から上方に向かって充填されるように注入した。
そして、粗骨材の粒度、粗骨材の添加量、スラリーの最大粒径、スラリーの添加水分量、スラリーのフロー値の条件を変化させ、それぞれの不定形耐火物ブロックの品質への影響を調査した。その結果を表1に示す。
【0014】
本発明例1は、5〜60mmの粒度の粗骨材31質量%を型枠に予め装入し、この粗骨材の隙間に、最大粒径が1mmの耐火物原料に8.0質量%の水を添加してフロー値を150mmにしたスラリーを充填した場合であり、鋳込んだ不定形耐火ブロックを切断して観察した不定形耐火ブロックの充填状態(施工ブロックの充填状態)及び品質(乾燥後ブロックの一般品質)はいずれも良好(○)であり、耐溶損性、耐スポール性も良好(○)な結果が得られ、総合評価として良い(○)結果が得られた。
本発明例2は、不定形耐火物ブロック中での配合量50質量%の粗骨材を型枠に予め装入し、この粗骨材の隙間に、最大粒径が1mmの耐火物原料に、13.0質量%の水を添加してフロー値を330mmとしたスラリーを充填した場合であり、施工ブロックの充填状態を極めて良好(○)にでき、一般品質も良好(○)であり、耐溶損性、耐スポール性も良好(○)な結果が得られ、総合評価として良い(○)結果が得られた。
本発明例3は、耐火物原料の最大粒径を3mmにし、この耐火物原料に13.0質量%の水を添加してフロー値を270mmにしたスラリーを、本発明例2と同じ粗骨材の隙間に充填した場合であり、施工ブロックの充填状態と一般品質が共に良好(○)であり、耐溶損性、耐スポール性も良好(○)な結果が得られ、総合評価として良い(○)結果が得られた。
【0015】
【表1】
【0016】
これに対し、比較例1は、3mm以上5mm未満の粒度の粗骨材50質量%を型枠に予め装入し、この粗骨材の隙間に、最大粒径が1mmの耐火物原料に13.0質量%の水を添加してフロー値を330mmとしたスラリーを充填した場合であり、施工ブロックの充填状態はやや低下(△)し、見掛け気孔率、曲げ強度等の一般品質及び耐溶損性が低下(△)し、また、粗骨材としての機能が低下して耐スポール性が悪く(×)なり、総合評価としてやや悪い(△)結果となった。
比較例2は、61〜100mmの粒度の粗骨材50質量%を型枠に予め装入し、この粗骨材の隙間に、比較例1で用いたものと同じスラリーを充填した場合であり、施工ブロックの充填状態は良好(○)であったが、見掛け気孔率及び粗骨材の分散性が低下したため、曲げ強度等の一般品質が悪く(×)、耐溶損性が低下(△)し、また、耐スポール性が低下(△)し、総合評価としてやや悪い(△)結果となった。
【0017】
比較例3は、5〜60mmの粒度の粗骨材の配合量を20質量%と少なくし、この粗骨材の隙間に比較例1で使用したものと同じスラリーを充填した場合であり、施工ブロックの充填状態は良好(○)であったが、見掛け気孔率及び曲げ強度等の一般品質と、スラリー分の増加に起因した耐スポール性が悪く(×)、耐溶損性が低下(△)し、総合評価として悪い(×)結果となった。
比較例4は、5〜60mmの粒度の粗骨材の配合量を70質量%と多くし、この粗骨材の隙間に最大粒径が4mmの耐火物原料を用いたスラリーを、型枠に予め充填した場合であり、施工ブロックの充填状態がやや悪く(△)、見掛け気孔率及び曲げ強度等の一般品質が悪く(×)、また、スラリー分が少なくなり過ぎて耐溶損性も悪く(×)なり、耐スポール性も低下(△)し、総合評価として悪い(×)結果となった。
比較例5は、5〜60mmの粒度の粗骨材の配合量を50質量%とし、この粗骨材の隙間にフロー値を130mmとしたスラリーを充填した場合であり、スラリーの粒子が分離し、施工ブロックの未充填部が発生して充填状態が悪く(×)なり、見掛け気孔率及び曲げ強度等の一般品質と耐溶損性が悪く(×)、総合評価として悪い(×)結果となった。
なお、粗骨材の条件を本発明例1から本発明例3と同じ条件にして、スラリーのフロー値を150mmにし、型枠を加振しながら、スラリーを粗骨材の上方から充填した場合について実施したが、施工ブロックの充填状態、一般品質、耐溶損性、耐スポール性等、いずれも良い結果が得られた。
【0018】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、スラリーを充填する際の加振は、型枠の他に定盤を加振することができる。
更に、粗骨材として用いる使用済の耐火物としては、取鍋のアルミナ・スピネル質耐火物の他に、樋のアルミナ・炭化珪素(SiC)・炭素質耐火物、ランディッシュ等の高アルミナ質耐火物、脱ガス精錬炉等のアルミナ・マグネシア質耐火物等を用いることができる。
また、スラリーを構成する耐火原料としては、焼結アルミナと電融スピネルを主成分にしたものの他に電融アルミナ、焼結ムライト、炭化珪素、焼結マグネシア等を用い、更に、分散剤としては、クエン酸ソーダ、蓚酸ソーダ、タンニン酸塩、硫酸エステル等を用い、硬化剤も燐酸類、珪酸ソーダ、セメント、シリカゾル等を用いることができる。
【0019】
【発明の効果】
請求項1及び2記載の使用済耐火物を粗骨材に用いた不定形耐火物ブロックの製造方法は、使用済耐火物を破砕して磁選を行った後、使用済耐火物中の5〜60mmの非磁性物を粗骨材として30質量%を超え55質量%未満を型枠に予め装入しておき、型枠に装入された粗骨材の隙間に、硬化剤と分散剤とを配合した耐火物原料に水を添加して混合したスラリーを充填するので、気孔率や組成の影響を回避して不定形耐火物ブロックの粗骨材として多量に使用することができ、製造した不定形耐火物ブロックの耐溶損、強度等の特性を高めることができ、耐火物コストの低減と、使用済耐火物の廃棄量を減少することができる。しかも、廃棄するものを再利用するので埋め立て等の環境上の問題を解消することができる。
【0020】
特に、請求項1記載の使用済耐火物を粗骨材に用いた不定形耐火物ブロックの製造方法は、非磁性物からなる粗骨材を湿潤させた後、型枠に装入するので、スラリーの流動性を良好な状態に維持して粗骨材の隙間にスラリーを均一に充填することができ、不定形耐火物ブロックの耐溶損、強度等の品質を向上することができる。
【0021】
また、請求項1記載の使用済耐火物を粗骨材に用いた不定形耐火物ブロックの製造方法は、耐火物原料の粒子の最大粒径が3mm以下で、スラリーのフロー値を150mm以上にするため、最大粒径及びフロー値を所定の値にでき、スラリーが粗骨材の隙間を通過するのを促進してより均一な組成の不定形耐火物ブロックを製造することができる。
【0022】
請求項2記載の使用済耐火物を粗骨材に用いた不定形耐火物ブロックの製造方法は、型枠の底部から上方へかけてスラリーを注入するので、粗骨材と粗骨材の間隙に存在する空気を確実に系外に排出して不定形耐火ブロックの気孔率をより低くでき、耐溶損性及び強度をより安定して向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る使用済耐火物を粗骨材に用いた不定形耐火物ブロックの製造方法に適用される不定形耐火物ブロック製造装置の全体図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る使用済耐火物を粗骨材に用いた不定形耐火物ブロックの製造方法に適用される不定形耐火物ブロック製造装置の全体図である。
【符号の説明】
10:不定形耐火物ブロック製造装置、11:定盤、12:板材、13:型枠、14:粗骨材、15:スラリー、16:ホッパ、17:注入管、20:不定形耐火物ブロック製造装置、21:定盤、22:板材、23:型枠、24:粗骨材、25:スラリー、26:ホッパ、27:シュート
Claims (2)
- 使用済耐火物を破砕して磁選を行った後、前記使用済耐火物中の5〜60mmの非磁性物を粗骨材として30質量%を超え55質量%未満を不定形耐火物ブロックに配合する製造方法であって、前記非磁性物からなる粗骨材を水で湿潤させた後、該粗骨材を型枠に予め装入しておき、硬化剤と分散剤とを配合した、粒子の最大粒径が3mm以下の耐火物原料に水を添加して混合した150mm以上のフロー値を有するスラリーを前記型枠に装入された前記粗骨材の隙間に充填することを特徴とする使用済耐火物を粗骨材に用いた不定形耐火物ブロックの製造方法。
- 請求項1記載の使用済耐火物を粗骨材に用いた不定形耐火物ブロックの製造方法において、前記型枠の底部から上方へかけて前記スラリーを充填することを特徴とする使用済耐火物を粗骨材に用いた不定形耐火物ブロックの製造方法。
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