JP4499534B2 - 模様付け材、模様付け具及び模様付け方法 - Google Patents

模様付け材、模様付け具及び模様付け方法 Download PDF

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Description

この発明は、模様付け材、模様付け具、模様付け方法に関するものであり、更に詳しくは、柔らかく繊細な天然調の柾目模様を簡単に形成できる模様付け材と、この模様付け材を用いて構成される模様付け具と、この模様付け具を利用して被加工材に柾目模様の模様付けを行う模様付け方法に関する。
柾目模様や板目模様の木目模様の塗装は、安らぎのある自然な感じを与えるため、家具や建築物の内外壁面等に好んで表現されている。従来、このような木目模様の塗装は、下記の従来技術1〜従来技術3に例示するような方法で行われていた。
従来技術1:柾目模様の模様付けを行うべき被加工材をサンドペーパー等で表面処理した後、例えば淡色木質色彩のベースカラー塗料を塗付して、柾目模様の地色層を構成する。次いで、木目刷毛を用いて、例えば濃色木質色彩の木目付け塗料を塗付し、柾目模様を形成する。この柾目模様を良く乾燥させた後、透明なラッカースプレー等を塗付して、表面に光沢を持たせることもある。
上記した従来の模様付け具である木目刷毛とは、多数の直線状剛毛を先端を揃えてブラシのように植え付けた刷毛状形態の塗装具であって、地色層上に木目付け塗料を縞模様状に塗装するためのものである。そして更に、柾目模様部と地色層との境界部をむぼかすための「ぼかし刷毛」と称する道具や、微細な柾目小模様を表現するための「木目櫛」と称する道具等も用いて、柾目模様に自然な木質感を出そうとしていた。
特開昭59−62368号公報 従来技術2:上記の特許文献1には、着色剤を吸収可能な基材の表面に、後で塗付する着色剤のの吸収を阻止する働きを有する模様層を形成した後、その表面に着色剤または着色剤添加塗料を塗付してワイピング仕上げを行い、更に上塗り塗料を塗付する化粧材の製造方法が開示されている。この方法を利用すれば、上記の模様層の形成形態によって、基材の表面に木目模様の模様付けを行うことが可能であると考えられる。
特開昭50−85637号公報 従来技術3:上記の特許文献2には、底面が円筒側面の一部を構成し且つこの底面に同心円の多数本の弧からなる模様の突起を具え且つエラストマー材料からできている塗装用具を使用し、予め塗装面の所々に供給されている塗料を、上記塗装用具を上記円筒軸と直角な方向に底面を塗装面に沿って移動せしめて擦るようにならすことにより、板目模様に類似する濃淡模様を塗装面に形成する方法が開示されている。
しかし、上記の従来技術1においては、ブラシのように直線状の剛毛を植え付けた木目刷毛を用いているので。柔らかな天然調の柾目模様を表現することは困難であった。そして、その欠点を補うために「ぼかし刷毛」や「木目櫛」を使用する場合には、工程数が多くなり煩雑な作業を強いられた。
次に、上記の従来技術2においては、例えば木目の構成する色彩帯中に微細な木目小模様が更に表現されたような、繊細な天然調の木目模様を表現することが困難であった。
更に、上記の従来技術3においては、底面に同心円の多数本の弧からなる模様の突起を具える塗装用具の使用要領が複雑微妙であり、板目模様を良好に仕上げるためには、かなりの熟練を要した。また、上記の従来技術2と同様に、板目の大模様を構成する色彩帯中に微細な板目小模様を更に表現すると言う繊細な天然調の板目模様は、塗装用具の構成上、困難であった。
そこで本発明は、簡単に、かつ熟練を要することなく、柔らかく繊細な天然調の柾目模様を表現できる模様付け手段と模様付け方法を提供し、また、その成果物たる柾目模様材を提供することを、解決すべき技術的課題とする。
上記課題を解決するため本願請求項1記載の模様付け材の発明では、被加工材に塗付した塗料の一部を拭い取ることを目的とする模様付け材であって、不織布からなり、該不織布の面上に、圧縮凹線とそれぞれの圧縮凹線を中心線として切れ目列を有することを要旨としている。
請求項2記載の模様付け材の発明では、請求項1記載の発明において、切れ目列がV字状の直線であることを要旨としている。
請求項3記載の模様付け材の発明では、請求項1記載の発明において、切れ目列がV字状に並べた略Z字状の切れ目からなることを要旨としている。
請求項4記載の模様付け材の発明では、請求項1記載の発明において、切れ目列がU字状に並べた曲線であることを要旨としている。
請求項5記載の模様付け具の発明では、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の模様付け材を利用したものであり、把持部を備え、請求項1ないし請求項4のいずれかの模様付け材が、被加工材に当接できる構造としたことを要旨としている。
請求項6記載の模様付け具の発明では、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の模様付け材を利用したものであり、請求項1ないし請求項4のいずれかの模様付け材をベルト状の構成とし、回転ローラー間に張架して被加工材に当接できる構造としたことを要旨としている。
請求項7記載の模様付け方法の発明では、請求項5または請求項6に記載の模様付け具を利用したものであり、被加工材に柾目模様を付与するための模様付け方法であって、少なくとも以下の工程を含むことを要旨としている。
(1)被加工材に対して、ベースカラー塗料を塗付したもとで、または、ベースカラー塗料を塗付することなく、木目付け塗料を一様にあるいは一定の部位に塗付する塗付工程。
(2)前記木目付け塗料が乾燥・固化する前に、被加工材の塗料塗付面に対して請求項5または請求項6に記載の模様付け具を軽く押しつけてほぼ直線状に摺動させることにより、柾目模様を形成する模様付け工程。
上記、請求項7の発明において、「木目付け塗料を一様に塗付する」とは、被加工材の表面の全面に木目付け塗料を塗付することを言い、必ずしも被加工材の表面の全面にムラなく均一に塗付することを意味しない。また、「木目付け塗料を一定の部位に塗付する」とは、被加工材の表面に、ランダムなパターンで、完成予定の柾目模様にほぼ合致するパターンで、木目付け塗料を塗付することを言う。いずれの場合にも、模様付け具の塗料吸収保持能(換言すれば吸収塗料除放能)により、結果的に良好な柾目模様が形成される。
請求項8記載の模様付け方法の発明では、請求項7記載の発明の模様付け工程の後に、木目付け塗料の乾燥を待って、透明塗料を塗付する後工程を行うことを要旨としている。
請求項1記載の模様付け材は、不織布の面上に圧縮凹線が形成された部分と切れ目列が形成された部分を有している。このため、圧縮凹線を横断する線方向に不織布の吸水能あるいは塗料の吸い込み能力を比べた時、その能力は圧縮凹線が形成された部分では小さく、その他の部分では通常の値を示すこととなる。このため、塗料の吸収保持能に差異のある模様付け材を所定の要領にて使用すれば、容易に柾目模様を形成することができる。
請求項2記載の模様付け材は、切れ目列がV字状に形成されているので、圧縮凹線部分において吸収保持されなかった塗料が方向性をもって両側に排除・吸収されることとなる。このため、塗料の吸収保持能に差異のある模様付け材を所定の要領にて使用すれば、より明瞭に柾目模様を形成することができる。
請求項3記載の模様付け材は、切れ目列がV字状に並べた略Z字状の切れ目から構成されているので、切れ目列における塗料の吸収保持能を高めることとなる。このため、塗料の吸収保持能に差異のある模様付け材を所定の要領にて使用すれば、圧縮凹線が形成された部分と切れ目列部分では、塗料の塗付量に差異が生じ、より明瞭に柾目模様を形成することができる。
請求項4記載の模様付け材は、切れ目列がU字状に並べた曲線から構成されているので、切れ目列部分における塗料の吸収が直線的変化とならないものとなる。このため、塗料の吸収保持能に差異のある模様付け材を所定の要領にて使用すれば、切れ目列部分における模様形成において、塗料の塗付量に差異が生じ、より変化のある柾目模様を形成することができる。
請求項5記載の模様付け具は、請求項1ないし請求項4記載の模様付け材を最も単純な形で手作業工具として提供するものである。その為に、把持部を具え、被加工材に当接できる構造としている。このため、手作業により、柾目模様を簡単に形成することができる。
従来、シート状の布に芯材をくるみ込んだ、「タンポ」と称する手作業用模様付け具が使用されているが、タンポには請求項5に記載される模様付け具が特徴として保有する圧縮凹線部分あるいは切れ目列部分を持たない。
請求項6記載の模様付け具は、柾目模様の形成を工場塗装にて使用できる形態としたものである。請求項1ないし請求項4記載の模様付け材をベルト状に構成し、回転ローラー間に張架し、模様付け材が被加工材に当接できることとなる。このため、連続して柾目模様形成が可能となる。
請求項7記載の模様付け方法では、少なくとも木目付け塗料を一様にあるいは一定の部位に塗付した塗料塗付面に対して、模様付け具を軽く押しつけて、ほぼ直線的に摺動させると、模様付け具の圧縮凹線部分では木目付け塗料が余り吸収されず、切れ目列部分では木目付け塗料が大きく吸収されて、容易に柾目模様が形成される。
そして、模様付け具は不織布から構成されているので、圧縮凹線部分と切れ目列部分による塗料吸収量の大小による濃淡以外に、織布布の繊維密度による小さな濃淡も形成されることとなる。
請求項8記載の模様付け方法では、柾目模様形成の後、透明塗料を塗付し、柾目模様材を木材のステイン仕上げに似た仕上げとなすことができる。また、透明塗料により柾目模様材の耐久性を向上させることとなる。
以下、この発明の実施形態を示すとともに詳細に説明する。
始めに、この発明に利用される被加工材とは、窯業系サイディング、押出成形板、珪カル板、石綿スレート板、金属サイディングを含む金属板、プラスチック板、ガラス板、木板等を例示することができる。柾目模様材の用途の面からは、建築用においては外壁材、内壁材、天井材、床材、外構の部材等を例示することができ、土木構築物の仕上げ材にも利用可能である。その他の分野では、什器の部材、家具、車両の内装材にも利用可能である。
この発明の模様付け材では、不織布の面上に、圧縮凹線とそれぞれの圧縮凹線を中心線とする切れ目列を有したものとなっている。不織布の素材としては、公知の繊維材料であるポリエステル、ポリプロピレン、レーヨン、ナイロン等が利用される。中でも、板目付け塗料の吸収を大きくできる意味合いからポリエステルが好ましい。
「圧縮凹線」とは、シート状の模様付け材の厚さ方向に圧縮状態に固定された線状の凹部を意味する。例えば、不織布の長手方向の辺から一定距離において、加熱圧縮を施すことにより、辺と平行な圧縮凹線が形成される。
この圧縮凹線は、模様付け材の一部分に於いて塗料の吸収能力の小さい部分を形成し、被加工材に塗付された塗料面に対して圧縮凹線が直線状に移動する時、圧縮凹線の通過部分は被加工面に塗料の残量が大きくなり、その部分は他に比べ濃い線となって表れる。圧縮凹線は一枚の模様付け材において一本だけでもこの発明の目的である柾目模様の形成は可能であるが、被加工材に柾目模様を効率良く形成させるためには、複数本とすることが、被加工材一枚を一度に柾目模様を形成することが可能となる。
「切れ目列」は、模様付け材の圧縮凹線の原則両側に形成され、塗料の吸収能力に不均一さを発生させるために設けられたものである。この切れ目列が存在することにより、模様付け材が被加工材に接して余剰の塗料を吸収する際、吸収する以外に部分的に模様付け材の裏面側に逃がしてやることができるようになる。切れ目列は、模様付け材を完全に切断するものでなくとも良く、ミシン目のように切れ目の貫通部分と非貫通部分が破線状に並んだものであっても良い。この切れ目列が無いと、圧縮凹線によって形成される、塗料が厚く残って濃い色となって仕上がる部分以外での濃淡のコントラストの形成が小さなものとなり、平板な仕上がりとなってしまう。
切れ目列は、圧縮凹線に対してV字状に形成されていることが好ましい。このように形成することにより、圧縮凹線部分において吸収保持されなかった塗料が切れ目列に沿い、方向性をもって両側に排除・吸収される。V字状の切れ目列は、柾目模様の形成に当たって、Vの字の広がった部分が模様付け材の移動方向に於ける下流側に位置するようにするのが良い。逆の設定では、塗料の排除効果が現れ難くなってしまう。
また、このV字状の切れ目列についても、一枚の模様付け材に対して複数本設けることが好ましい。模様付け材の塗料吸収能力には限界が有り、同一箇所だけが被加工材に接していると、圧縮凹線部分も他の部分も塗料吸収の無い状態となってしまい、柾目模様の形成ができなくなってしまう。そこで、一定時間が経過したら、あるいは、連続的に模様付け材が被加工材に接する部分を移動させながら、柾目模様の形成を行うことができるようにするために、切れ目列を複数設け、連続的な加工ができるようにする。
上記の例では切れ目列をV字状としたが、V字状に並べた略Z字状の切れ目により構成することもできる。このように構成することにより、切れ目列における塗料の吸収保持能を高めたものが得られることとなる。勿論、先の例と同様にV字状に並べた略Z字状の切れ目の設定は、下流側にVの字の広がった部分が当たるようにし、複数本設けることが好ましい。そして、得られる効果は、先の例と同じものとなる。
更に、切れ目列は、U字状に並べた曲線により構成することもできる。このように構成することにより、切れ目列部分における塗料の吸収が直線的変化とならないものとなる。このため、切れ目列部分における模様形成において、塗料の塗付量に差異が生じ、より変化のある柾目模様を形成することができる。請求項における記載ではU字状としたが、半円形状としても同様の効果が得られる。また、上記記載と同様に下流側にUの字の広がった部分が当たるようにし、複数本設けることが好ましい。そして、得られる効果は、先の例と同じものとなる。
この発明では、切れ目列を圧縮凹線に対してV字状あるいはU字状に設けることを構成要素の一つとしたが、これは圧縮凹線と言う塗料吸収保持能が小さな部分と塗料吸収保持能の大きな部分が有り、その塗料吸収保持能が大きな部分における塗料の流れあるいは不均一分布を発生させる要素が有ればその目的を達成できることとなる。
上述の構成を有する模様付け材を用いて柾目模様を実際に形成するには、模様付け材と言う模様を付けるための実質的部分を道具、あるいは、装置の一部として組み込んで使用することとなる。
道具の例として一番簡単な形は、手作業工具とするものである。手作業工具では、このため、把持部を具え、被加工材に当接できる構造としている。例えば、塗装用具の一つにウールローラがあり、ローラの周りに繊維を植毛した形となっているものであるが、その繊維の代わりに模様付け材を貼り付けたり、更には軸に当たる管を網状に構成することも可能である。別法では、雑巾とか不織布を取り付けて、床面の掃除を行うモップの一種があるが、それら雑巾とか不織布の代わりに取り付けて使用することも可能である。
装置の例では、柾目模様の形成を工場塗装にて使用できる形態としたものである。上述した模様付け材をベルト状に構成し、回転ローラー間に張架し、模様付け材が被加工材に当接できるようにしたものである。ベルト状に構成するに当たっては、無端ベルトとしても良いし、一定長さのベルトを用いても良い。どちらの場合も、模様付け材が被加工材に当接できる部分が時間の経過に応じて移動し、模様付け材による塗料の吸収が一定能力のもと、効果を発揮できるようになっていることが好ましい。
この発明に係る模様付け方法は、被加工材に柾目模様を付与する方法であって、少なくとも以下の塗付工程と模様付け工程とを含む。模様付け工程の後、以下の後工程をおこなっても良い。
塗付工程においては、被加工材に対して、ベースカラー塗料を塗付したもとで、又はベースカラー塗料を塗布することなく、木目付け塗料を一様に、あるいは一定の部位に塗付する。
「ベースカラー塗料」とは、柾目模様における柾目の間隙部分の色彩を表現する所望の色彩の塗料を言い、木目付け塗料とは、柾目模様における柾目の色彩を表現する所望の色彩の塗料を言う。柾目の色彩とは、木材の成長が、春材(早材)と夏材(晩材)では異なるため成長の早い部分は色彩が薄く、成長が遅い部分が濃く表れる現象のことである。従って、ベースカラー塗料と木目付け塗料とは、異種の色彩であるか、あるいは同種の色彩であっても、少なくとも濃淡の差のある色彩である必要がある。
ベースカラー塗料と木目付け塗料の色彩としては、いわゆる木質感のある茶色〜褐色系統の色彩も好ましいが、必ずしもこのような色彩に限定されず、グレーないし黒色系統、赤色系統、青色系統、緑色系統等の任意の系統にある色彩を採用することができる。木質感のある系統の色彩でなくても、ある意味で、天然調の優れた柾目模様を表現することは可能である。
模様付けに用いるベースカラー塗料と木目付け塗料は、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料、シリコン樹脂塗料等の公知の塗料を用いることができ、それらは溶剤系塗料であっても水系塗料であっても可能である。それら塗料の選択に当たっては、被加工材の種類、表面処理の状態に応じて取捨選択される。柾目と言う木目模様の一つであることからすると、つや消しの塗料を利用することが望ましい。
但し、下地にベースカラーとなる色を付けるためには、塗料の隠ぺい率が80%以上であることが良く、より好ましくは隠ぺい率が90%以上であることが良く、ベースカラー塗料層を薄膜で形成する場合には隠ぺい率が95%以上であることが良い。ここで言う隠ぺい率は、JIS K5600−4−1またはJIS K5600−4−2の測定方法(厚み100μmにて測定)での隠ぺい率である。
「木目付け塗料」に関しては、平滑塗料にあっては塗付厚みに依って濃淡が現れる塗料であることが必要である。木目付け塗料は、例えば、厚い部分で200μm(最大で500μm程度)、薄い部分で10μm程度に塗られる。塗料の性状としては、木目付け塗料を塗布した際の厚い塗付部分の隠ぺい率が50〜90%程度になるのが良い。
この隠ぺい率が中程度となる塗料を組成するためには、塗料中の顔料成分の重量を示すPWCが0.1〜1.0%程度であることが好ましい。例えば、固形分が50%のクリヤー塗料(樹脂だけ)100重量部に対して顔料成分を20%含むエナメル塗料を2〜4重量部混合することができる。この場合、PWCの計算値は0.39〜0.77%である。
なお、塗付工程においては、前処理として被加工材の表面にサンドペーパー処理等を行っても良い。また、ベースカラー塗料を塗付する場合は、塗布したベースカラー塗料を乾燥させてから、木目付け塗料を塗付することが好ましい。
模様付け工程においては、被加工材の塗料塗付面に対して前記の模様付け具を軽く押しつけて、ほぼ直線状に摺動させることにより、被加工材の表面に柾目模様を形成する。この工程は、塗付工程で塗付した木目付け塗料が乾燥・固化する前に行う必要がある。その際、模様付け具は、前述のとおり圧縮凹線が摺動方向と平行になるように保持する必要がある。
上記の「摺動させる」とは、被加工材に対して模様付け具を相対的に摺動させることを言う。従って、模様付け具が、模様付け材をそのまま手作業用具として用いるものである場合や、把持部を備える模様付け具である場合等には、定置されまたはコンベア上を連続的に搬送される被加工材に対して、手作業により模様付け具を摺動させることができる。
模様付け具が回転ローラー間に張架したベルトである場合には、例えば、コンベア上を連続的に搬送される被加工材に対して、回転ローラーによって被加工材の搬送方向とは逆方向へ循環駆動されるベルト状の模様付け具を、軽く押しつける位置で摺動させることができる。被加工材の搬送方向とベルト状の模様付け具の循環駆動方向が同一方向であっても、両者の搬送速度と駆動速度が異なっていれば模様付けをなすことができる。
上記した「ほぼ直線的に摺動」とは、模様付け具と被加工材が摺動方向に対する公差方向へのある程度のランダムな位置ズレを連続的に伴いながら摺動しても良いことを意味する。天然調の柾目模様が直線的なストライプ模様ではない点を考慮すれば、このような「ほぼ直線的」な摺動により、緩やかな曲がりの繰り返しを伴う縞模様状の柾目模様を形成することが、むしろ好ましい。
後工程においては、模様付け工程の後、柾目模様が乾燥してから、透明塗料を塗布する。透明塗料としては、光沢のあるもの、あるいは無いものを使用できるが、後者の方が好ましい。透明な塗料の光沢を無くするために、例えば実施例で示すように、つや消し剤を添加することもあり得る。つや消し剤として、ステアリン酸アルミニウム、微粉シリカ等を例示することができる。
透明塗料は、固形分として樹脂分だけを含むクリヤー塗料や、少量の顔料を含む(5重量%以内が好ましい)ものを利用できる。その塗付量は40〜70g/m程度が適当である。
この発明に係る柾目模様材は、被加工材に対する上記模様付け方法の実施によって得られるものである点、柾目の大模様の境界部がぼかし状態にある点、柾目の大模様を構成する色彩帯中に、微細な柾目小模様が更に表現された天然調の柾目模様を有する点、等を特徴とする。
(実施例1)
図1に、この発明の実施例1による模様付け材の平面図を示し、図2にそのX−X断面の部分拡大図を示している。図中、符号1が圧縮凹線、符号2が切れ目列、符号2aはそれぞれの切れ目、符号10が全体としての模様付け材である。この模様付け材は長方形のポリエステル製の不織布からなり、その大きさは縦約15cm、横約25cmである。厚みに相当する目付量は、70g/mである。圧縮凹線は長辺方向に2本設けられ、圧縮凹線を中心線として、それぞれ両側に9本の切れ目列を有している。外観としては、圧縮凹線1本づつに対して、9個のV字状の切れ目を持つこととなる。
(実施例2)
図3には、この発明の実施例2による模様付け材の平面図を示している。この実施例2では、切れ目列(符号4)を略Z字状の小裂孔(符号4a)を並べたものにより構成している。この模様付け材は長方形のポリエステル製の不織布からなり、その大きさは縦約30cm、横約55cmである。厚みに相当する目付量は、100g/mである。圧縮凹線3は長辺方向に2本設けられ、圧縮凹線を中心線として、それぞれ両側に5本の切れ目列を有している。外観としては、圧縮凹線1本づつに対して、略Z字状の小裂孔である切れ目の並びをV字状にした5本の切れ目列を持つこととなる。
図4に、切れ目が略Z字状の線を並べたものであるもののうち、Z字状の配置を変更した例の部分平面図を示す。
(実施例3)
図5には、この発明の実施例3による模様付け材の平面図を示している。この実施例3では、切れ目列(符号6)をU字状の切れ目(符号6a)を並べたものにより構成している。この模様付け材は長方形のポリエステル製の不織布からなり、その大きさは縦約30cm、横約55cmである。厚みに相当する目付量は、70g/mである。圧縮凹線5は長辺方向に2本設けられ、圧縮凹線を中心線として、それぞれ両側に5本の切れ目列を有している。外観としては、圧縮凹線1本づつに対して、5個のU字状の切れ目列を持つこととなる。
(実施例4)
上記した実施例1〜実施例3の模様付け材を用いて、以下の模様付け方法を実施した。即ち、柾目模様を付与するための被加工材として押出成形板を選び、まずその表面をワイヤーブラシにより清掃処理した後、下塗りとして反応硬化型の溶剤系プライマーを40〜60g/mとなるように被加工材表面の全面に塗装した。
次に、その上に、下記組成の淡色木質色彩のベースカラー塗料を、50〜60g/mとなるように塗布した。下記添加剤には、湿潤剤、分散剤、消泡剤、造膜助剤及び防腐・防黴剤を含んでいる。
〔ベースカラー塗料の組成〕
アクリルウレタン樹脂系の合成樹脂エマルション 70重量%
(固形分 50%)
顔料 20重量%
添加剤 10重量%
次に、塗布したベースカラー塗料を十分に乾燥させた後、濃色木質色彩で下記の組成を持つ木目付け塗料を被加工材表面の全面に、30〜50g/mとなるように、ほぼ一様に塗布(配り塗り)した。下記添加剤には、湿潤剤、分散剤、消泡剤、造膜助剤及び防腐・防黴剤を含んでいる。
〔木目付け塗料の組成〕
アクリルウレタン樹脂系の合成樹脂エマルション 96重量%
(固形分 50%)
顔料 1重量%
添加剤 3重量%
そして、上記の木目付け塗料の塗布後、木目付け塗料が十分な流動状態を保っているうちに、作業者が実施例1に係る模様付け材を、圧縮凹線が形成された面を下側にした状態で木鏝に巻き付けて、被加工材表面に軽く押しつけ、前記した要領でほぼ直線的に摺動させた。
その結果、被加工材表面のうち、模様付け材の圧縮凹線部以外の部分が摺動したライン上の部分では、木目付け塗料の大部分が模様付け材に吸収され、ベースカラー塗料がほぼ露出した。一方、模様付け材の圧縮凹線部が摺動したライン上の部分では、木目付け塗料が余り吸収されずに被加工材表面に残り、濃色木質色彩の柾目を構成した。そのため、ベースカラー塗料の露出部と柾目部とが縞模様状に形成され、全体として柾目模様の模様付けが行われた。上記のように30〜50g/m木目付け塗料の内、模様付け後に被加工材表面に残留した木目付け塗料は10〜20g/mであった。
なお、上記した所定の要領での「ほぼ直線的な摺動」のために、緩やかな曲がりの繰り返しを伴う柾目模様が形成された。また、模様付け材は不織布からなるものであるためおよび切れ目を設けてあるため、柾目模様におけるベースカラー塗料の露出部と柾目部との境界部は自ずからぼかし状態となっており、更に、不織布繊維の毛羽立ちにより、柾目の大模様を構成する帯状のベースカラー塗料の露出部と柾目部との各々の内部においては微細な柾目小模様がさらに表現されていた。
(比較例)
比較例では、実施例1における圧縮凹線および切れ目列を持たない不織布を用いて、実施例4の方法と同様にして、塗装を行った。その結果は、模様付け材への塗料の吸収がほぼ均一なものとなり、明瞭な柾目模様の発現が得られなかった。
この発明の実施例1による模様付け材の平面図を示したものである。 図1のX−X断面の部分拡大断面図を示したものである。 この発明の実施例2による模様付け材の平面図を示したものである。 切れ目が略Z字状の線を並べたものであるもののうち、Z字状の配置を変更した例の部分平面図を示したものである。 この発明の実施例3による模様付け材の平面図を示したものである。
符号の説明
1…圧縮凹線、2…切れ目列、2a…切れ目、3…圧縮凹線、4…切れ目列、4a…略Z字状の切れ目、5…圧縮凹線、6…切れ目列、6a…切れ目、10…模様付け材

Claims (8)

  1. 被加工材に塗付した塗料の一部を拭い取ることを目的とする模様付け材であって、不織布からなり、該不織布の面上に、圧縮凹線とそれぞれの圧縮凹線を中心線として切れ目列を有することを特徴とする模様付け材。
  2. 切れ目列がV字状の直線であることを特徴とする請求項1に記載の模様付け材。
  3. 切れ目列がV字状に並べた略Z字状の切れ目からなることを特徴とする請求項1に記載の模様付け材。
  4. 切れ目列がU字状に並べた曲線であることを特徴とする請求項1に記載の模様付け材。
  5. 把持部を備え、請求項1ないし請求項4のいずれかの模様付け材が、被加工材に当接できる構造としたことを特徴とする柾目模様の模様付けを行うための模様付け具。
  6. 請求項1ないし請求項4のいずれかの模様付け材をベルト状の構成とし、回転ローラー間に張架して被加工材に当接できる構造としたことを特徴とする柾目模様の模様付けを行うための模様付け具。
  7. 被加工材に柾目模様を付与するための模様付け方法であって、少なくとも以下の工程を含むことを特徴とする模様付け方法。
    (1)被加工材に対して、ベースカラー塗料を塗付したもとで、または、ベースカラー塗料を塗付することなく、木目付け塗料を一様にあるいは一定の部位に塗付する塗付工程。
    (2)前記木目付け塗料が乾燥・固化する前に、被加工材の塗料塗付面に対して請求項5または請求項6に記載の模様付け具を軽く押しつけてほぼ直線状に摺動させることにより、柾目模様を形成する模様付け工程。
  8. 請求項7記載の模様付け工程の後に、木目付け塗料の乾燥を待って、透明塗料を塗付する後工程を行うことを特徴とする模様付け方法。
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