JP4498992B2 - 携帯電話中継装置 - Google Patents

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Description

本発明は、携帯電話中継装置に関する。
近年、持ち歩きながら使用可能である携帯電話は広く普及し、現在社会においては必需品とも言えるものである。
一方、成層圏に飛行船または航空機を滞空させ、通信や放送のプラットフォームとして活用する成層圏プラットフォーム構想に向けて、定点滞空試験が行われている(例えば、非特許文献1参照)。
河野 敬、佐々木 修一(宇宙航空研究開発機構)、「成層圏プラットフォーム定点滞空飛行試験における飛行制御」、ロボディクス・メカトロニクス講演会2005、講演論文集、2A1−S−062(1)〜(4)、2005年6月
携帯電話は、持ち運びが容易であるため、突発的にある一つの場所に多くの人が集まり、そのような状況でその場にいる多くの人が同時に携帯電話を使用しようとすると、既設の携帯電話用中継アンテナでは、処理しきれないほどの通信が行われることが起こりうる。
また、災害が起こって、既設の固定電話用の通信線が切断された場合には、携帯電話による通信量が急激かつ突発的に上昇するという問題がある。そのような場合においても、既設の携帯電話用中継アンテナが使用している電源が遮断される事態が起こり、携帯電話での通信も適切に行えないという問題がある。
これまで、無人飛行船に通信用の常設用電波通信用アンテナを搭載するアイデアはあったが、これは、太陽電池を電源として、成層圏の高高度を常時飛行を続けるようなものであり、地上設置されたアンテナに比べてコストが高く、信頼性に不安が残る。また、以上に述べたような災害時や、突発的通信量増大時に対応したものではない。さらに、想定している通信は衛星通信であり、携帯電話の通信ではない。携帯電話のアンテナは、一つのアンテナによる通信可能領域のカバー範囲は狭いので、超高高度に停留するアンテナをいくつも空中に設置することになり、効率が悪い。このように、無人飛行船を飛行させようとしている成層圏は、携帯電話のアンテナ中継機が設置されるべき高度ではない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、災害時や、多数の携帯電話が特定の狭い範囲内に多数存在するなど、既設の携帯電話用中継アンテナでは処理しきれない量の通信が一度に行われる状況において、携帯電話による通信の中継処理を補助することができる携帯電話中継装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は、空中を飛行可能な飛行装置と、前記飛行装置に搭載され、携帯電話との間で送信または受信される無線信号を中継する中継装置と、からなり、前記中継装置は、地上に設置された前記電源供給装置からの電力の供給に用いられる電源コードを備えており、前記電源供給装置から電力の供給を得、前記電源供給装置は、柱に備え付けられ、前記飛行装置は、前記携帯電話との間で無線信号を送信または受信可能な高さで前記柱に固定され、前記柱の先端に前記電源コードの接続口を備える、ことを特徴とする携帯電話中継装置である。
また、本発明は、上述する携帯電話中継装置であって、前記飛行装置は、滑走路を使用せずに離陸し、かつ、空中での定点保持飛行を行うことを特徴とする。
また、本発明は、上述する携帯電話中継装置であって、前記飛行装置は、飛行船または気球であることを特徴とする。
また、本発明は、上述する携帯電話中継装置であって、前記飛行装置は、電波を透過する格納庫内に係留し、前記中継装置は、前記格納庫内において地上に設置された電源装置から電力の供給を受け、携帯電話との間で送信または受信される無線信号を中継する、ことを特徴とする。
また、本発明は、上述する携帯電話中継装置であって、前記飛行装置は、遠隔操作信号を受信し、受信した該遠隔操作信号に従って飛行を行う遠隔制御手段を備えることを特徴とする。
本発明によれば、災害等により携帯電話の既設通信設備が使用不可能になったときや、携帯電話の使用者が一つの場所に多人数集まることにより通信量が突発的に増加した場合などでも、携帯電話の無線信号の中継処理を補助し、通信を確保することが可能となる。
以下、本発明の携帯電話中継装置の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、携帯電話中継装置の空中での使用例を示す図である。
空中に静止し、定点保持飛行する飛行船1には、携帯電話用の中継アンテナ2と、中継アンテナ2に電力を供給するための電源ケーブル3が備え付けられている。電源ケーブル3は、地上の電源4に接続されており、地上の電源4は、電源ケーブル3を通じて、携帯電話用の中継アンテナ2に電力を供給する。電源4は、既設の電線5もしくは、非常用に地上に設置されたバッテリ6により実現する。
電源4は、携帯電話9の使用者が多数集まることが起こりそうな場所(集会所、コンサート会場、ホール)や、災害時に避難所となる場所などに、あらかじめ設置しておく。そして、携帯電話9の使用者が多数集まることにより、携帯電話9と無線基地局などの既設通信設備との間で無線通信のための帯域が不足したり、災害発生により既設通信設備が使用不可能となったりした場合に、飛行船1を出動させ携帯電話中継装置として使用する。無線信号の中継装置としての中継アンテナ2は、電源ケーブル3を通じて電源4から供給される電力を用いて携帯電話9及び携帯電話網と無線通信し、携帯電話9と携帯電話網との間で送受信される無線信号を中継する。
飛行船1は、携帯電話9と無線信号を送受信可能なエリアが所定の広さとなる高さに定点保持飛行するものとする。なお、携帯電話のアンテナとして必要な高さは、一般的に百メートルオーダーのものであり、この高さでは、成層圏高度とは違い、太陽電池の使用が困難である。よって、電源4が必要となる。
また、飛行船1に備えられた中継アンテナ2が、携帯電話用のアンテナとして機能するためには前述した高さにその位置を保持しなければならない。そこで、飛行船1の出動後、風が強いときには、柱7に電源4を備えて電源ケーブル3の接続口を設け、飛行船1が強風に飛ばされないように、飛行船1を柱7に固定する。その際、飛行船1の固定は、その方位角、ピッチ、ロール角に自由度のある固定方式が望ましい。柱7は、飛行船1の高度を固定するため、先端に飛行船1との機械的な接続点を有していればよく、柱7に備えられる電源4の本体であるバッテリ等は地面に直に置いてもよい。また、電源ケーブル3の接続口は、地面や柱7の先端などどこにあってもよく、飛行船1との機械的接点が電気的接続点、すなわち、電源ケーブル3の接続口をかねるのものであってもよい。
図2は、携帯電話中継装置の地上での使用例を示す図である。
同図において、携帯電話中継装置を使用しない場合、飛行船1は、地上の格納庫8に戻り待機する。このとき、飛行船1は、地上に係留することでもよく、携帯電話9と無線信号を送受信可能なエリアが所定の広さとなる高さに係留することでもよい。格納庫8は、中継アンテナ2が送受信する無線信号を遮断しない材質であるものとする。飛行船1の中継アンテナ2は、電源ケーブル3を通じて、地上の電源4から電力の供給を受け、格納庫8内にて、地上に設置されている携帯電話用中継アンテナと同様に使用され、携帯電話9と携帯電話網との間で送受信される無線信号を中継する。
なお、飛行船1に、無線による遠隔操作を行うための遠隔制御手段を備えておき、飛行船1が使用される場所まで誘導されるようにすると良い。すなわち、飛行船1は、遠隔制御手段により遠隔操作信号を受信し、受信した該遠隔操作信号に従って飛行を行う。
また、飛行装置として、飛行船の替わりに気球を用いることでもよい。飛行装置に飛行船や気球を用いることにより、離陸に滑走路を要せず、かつ、エネルギーの供給なしに、空中での定点保持飛行が可能となる。また、飛行船1は、電源ケーブル3により電源4からの電力の供給を受け、定点保持飛行するものでもよい。飛行装置としてヘリコプターを用いても良いが、空中での定点保持を考慮すると、飛行船の方が消費エネルギー節約の面で有効である。
上述するように、離陸に滑走路を要せず、かつ、空中での定点保持が可能な飛行船1に携帯電話用の中継アンテナ2を搭載して携帯電話中継装置を構成し、高高度を飛行させると、飛行船1に搭載された中継アンテナ2への電源ケーブル3を用いた電力供給が簡単であり、災害や突発的な通信量の増大に対応するために自由度を持ってその位置を変えることが可能である。
上記実施の形態によれば、災害により携帯電話の既設通信設備が使用不可能になったときや、携帯電話の使用者が一つの場所に多人数集まることにより通信量が突発的に増加した場合などでも、携帯電話の無線信号の中継処理を補助し、通信を確保することが可能となる。
本発明の一実施の形態による携帯電話中継装置の空中での使用例を示す図である。 同実施の形態による携帯電話中継装置の地上での使用例を示す図である。
符号の説明
1…飛行船
2…中継アンテナ
3…電源ケーブル
4…電源
5…電線
6…バッテリ
7…柱
8…格納庫
9…携帯電話

Claims (5)

  1. 空中を飛行可能な飛行装置と、
    前記飛行装置に搭載され、携帯電話との間で送信または受信される無線信号を中継する中継装置と、
    からなり、
    前記中継装置は、地上に設置された前記電源供給装置からの電力の供給に用いられる電源コードを備えており、前記電源供給装置から電力の供給を得、
    前記電源供給装置は、柱に備え付けられ、
    前記飛行装置は、前記携帯電話との間で無線信号を送信または受信可能な高さで前記柱に固定され、
    前記柱の先端に前記電源コードの接続口を備える、
    ことを特徴とする携帯電話中継装置。
  2. 前記飛行装置は、滑走路を使用せずに離陸し、かつ、空中での定点保持飛行を行うことを特徴とする請求項1に記載の携帯電話中継装置。
  3. 前記飛行装置は、飛行船または気球であることを特徴とする請求項2に記載の携帯電話中継装置。
  4. 前記飛行装置は、電波を透過する格納庫内に係留し、
    前記中継装置は、前記格納庫内において地上に設置された電源装置から電力の供給を受け、携帯電話との間で送信または受信される無線信号を中継する、
    ことを特徴とする請求項から請求項のいずれかの項に記載の携帯電話中継装置。
  5. 前記飛行装置は、遠隔操作信号を受信し、受信した該遠隔操作信号に従って飛行を行う遠隔制御手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかの項に記載の携帯電話中継装置。
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