JP6928075B2 - 無線中継システム - Google Patents

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Description

本発明は、無線中継システムに関するものである。
従来、地上の固定基地局のアンテナとの間に電波の見通し伝搬の障害になる障害物が存在する災害地、不感地、山岳エリア、海上エリアなどの弱電界エリアにおいて、中継用アンテナ及び対移動局用アンテナを有する無線中継局を搭載した係留気球による無線中継を行う無線中継システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2016−002973号公報
上記従来の無線中継システムにおいて、固定基地局の圏外エリアでは固定基地局と係留気球に搭載した無線中継局との間で無線通信することが難しいため、固定基地局とユーザ装置(移動局)との間の無線通信を中継することができないおそれがある。そこで、地上を移動可能な車両に基地局(eNodeB)の機能を搭載して目的地へ移動し、その目的地に移動した車両に搭載された基地局及び周波数変換器を含む無線中継局(親機)と係留気球の無線中継局(子機)との間で無線通信することにより、その基地局とユーザ装置(移動局)との間の無線通信を中継する無線中継システムが考えられる。
しかしながら、この無線中継システムでは、次のような課題がある。親機を基地局装置(eNodeB)と周波数変換器で構成していることから、構成が複雑である。また、親機の基地局装置(eNodeB)を移動体通信網のコアネットワークに有線接続する必要があり、運用が複雑である。更に、無線中継の運用は、通信オペレータの担当者が実施する必要があるため、現地が非常に遠い場合には、通信オペレータの作業者が現地に到着し、その後、車両に搭載した親機の基地局と移動通信網のコアネットワークとを有線で接続したり、無線中継局(親機、子機)をセットアップしたりする専門の通信オペレータによる作業に時間を要し、無線中継の運用を開始するまで非常に多くの時間を要する。また、固定基地局のセルと無線中継局(親機、子機)のセルでその一部に重なりがある場合には同一周波数による干渉が発生するため、固定基地局のセルと無線中継局(親機、子機)のセルとの間で互いに異なる周波数を用意して干渉を回避する必要がある。
なお、このような課題は、ユーザ装置(移動局)と無線通信するユーザ側の無線中継局が、係留気球の無線中継局の場合だけでなく、ビルの屋上や山の頂上等に設置された無線中継局の場合や、自律制御により又は外部からの遠隔操作制御により所定の空域に滞在又は移動することができる空中移動体(ドローン等の飛行体)に搭載した無線中継局の場合でも同様に発生し得る。
本発明の一態様に係る無線中継システムは、固定基地局とユーザ装置との間の無線通信を中継する無線通信システムであって、移動可能な第1無線中継局と、前記第1無線中継局よりも高い位置に位置する第2無線中継局とを備え、前記第1無線中継局は、前記固定基地局との間で第1周波数の無線信号を送受信する第1無線通信部と、前記第2無線中継局との間で第2周波数の無線信号を送受信する第2無線通信部と、前記第1無線通信部と前記第2無線通信部との間で前記第1周波数と前記第2周波数との周波数変換を行う周波数変換部と、を有し、前記第2無線中継局は、前記第1無線中継局との間で前記第2周波数の無線信号を送受信する第1無線通信部と、ユーザ装置との間で前記第1周波数の無線信号を送受信する第2無線通信部と、前記第1無線通信部と前記第2無線通信部との間で前記第1周波数と前記第2周波数との周波数変換を行う周波数変換部と、を有する。
前記無線中継システムにおいて、前記固定基地局は、地上又は海上に設置された基地局であってもよいし、上空に滞在可能な上空滞在型の基地局であってもよい。ここで、前記上空滞在型の基地局は、自律制御により又は外部からの制御により所定の空域に滞在可能な浮揚体又は飛行体に搭載されていてもよい。また、前記上空滞在型の基地局が搭載されている浮揚体又は飛行体は、HAPSであってもよい。
前記無線中継システムにおいて、前記第1周波数及び前記第2周波数は、前記第1無線中継局における無線信号の回り込み干渉及び前記第2無線中継局における無線信号の回り込み干渉が発生しないように異なる周波数であってもよい。
また、前記無線中継システムにおいて、前記第1無線中継局は、地上を移動可能な移動体に搭載してもよい。
また、無線中継システムにおいて、前記第2無線中継局は、気球に搭載してもよいし、自律制御により又は外部からの制御により所定の空域に滞在又は移動する飛行体に搭載してもよい。
また、前記無線中継システムにおいて、前記第1無線中継局は移動体に搭載され、その移動体に、前記気球を係留する気球係留部又は前記飛行体が離発着可能な離発着部を備えてもよい。
また、前記無線中継システムにおいて、前記第1無線中継局は、前記第2無線中継局を追尾するように向きを制御可能な指向性アンテナ、又は、前記第2無線中継局を追尾するようにビームを形成可能な複数素子からなるアンテナを備えてもよい。
また、前記無線中継システムにおいて、前記第1無線中継局は、外部からの制御情報により前記固定基地局との間の無線信号と前記第2無線中継局との間の無線信号との中継をON/OFF制御する制御部を備えてもよい。
また、前記無線中継システムにおいて、前記第2無線中継局は、前記第1周波数からなるユーザ装置との間の無線信号の送信及び受信の少なくとも一方の状況を示す情報を、外部の所定の送信先に送信する手段を備えてもよい。
本発明によれば、目標位置に移動した後、固定基地局とユーザ装置との間の無線通信の中継を速やかに開始することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る無線中継システムを含む通信システムの全体構成の一例を示す概略構成図である。 図2は、他の実施形態に係る無線中継システムを含む通信システムの全体構成の一例を示す概略構成図である。 図3は、更に他の実施形態に係る無線中継システムを含む通信システムの全体構成の一例を示す概略構成図である。 図4は、実施形態に係る無線中継システムの第1無線中継局の主要部構成の一例を示すブロック図である。 図5は、実施形態に係る無線中継システムの第2無線中継局の主要部構成の一例を示すブロック図である。 図6は、実施形態に係る無線中継システムの利点を説明する説明図である。 図7は、実施形態に係る無線中継システムの利点を説明する説明図である。 図8Aは、実施形態に係る無線中継システムの他の利点を説明する説明図である。 図8Bは、実施形態に係る無線中継システムの他の利点を説明する説明図である。 図9Aは、実施形態に係る無線中継システムの他の利点を説明する説明図である。 図9Bは、実施形態に係る無線中継システムの他の利点を説明する説明図である。 図10は、実施形態に係る無線中継システムの更に他の利点を説明する説明図である。 図11は、実施形態に係る無線中継システムの更に他の利点を説明する説明図である。 図12Aは、実施形態に係る無線中継システムの更に他の利点を説明する説明図である。 図12Bは、実施形態に係る無線中継システムの更に他の利点を説明する説明図である。 図13Aは、実施形態に係る無線中継システムの更に他の利点を説明する説明図である。 図13Bは、実施形態に係る無線中継システムの更に他の利点を説明する説明図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る無線中継システムを含む通信システムの全体構成の一例を示す概略構成図である。図1において、本実施形態に係る無線中継システムは、移動通信網80のコアネットワークに接続され地上又は海上に設置されたマクロセル基地局などの固定基地局30と、ユーザ装置としての移動局40との間の無線通信を中継する第1無線中継局(以下「親機」ともいう。)10及び第2無線中継局(以下、「子機」ともいう。)20を備える。
移動通信網80には、通信オペレータの遠隔制御装置81(制御元)を設けてもよい。遠隔制御装置81は、例えば第1無線中継局10及び第2無線中継局20の情報を保持し、第1無線中継局10及び第2無線中継局20の少なくとも一方に制御情報を送信することができる。また、遠隔制御装置81は、情報の送信先として機能し、第1無線中継局10及び第2無線中継局20の少なくとも一方から情報を受信してもよい。なお、遠隔制御装置81は、第1無線中継局10や第2無線中継局20と通信可能な場所であれば、移動通信網80以外に設けてもよい。
第1無線中継局10は、固定基地局30との間の第1周波数F1の無線信号と、第2無線中継局20との間の第2周波数F2の無線信号とを中継する周波数変換型の無線中継装置であり、車両である自動車50に搭載されることにより地上の目標位置に移動することができる。
第1無線中継局10が搭載される自動車50は、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車など、第1無線中継局10に長時間にわたって電力を供給可能なバッテリーや発電機などを備えているものであってもよい。また、図1の構成例では、第1無線中継局10が自動車50に組み込まれた場合の例であるが、第1無線中継局10が組み込まれる移動体は、道路を走行する自動車以外の車両、線路上を走行する鉄道車両、航空機、又は、河川上若しくは海上の船舶などであってもよい。また、第1無線中継局10が組み込まれる移動体は、遠隔操縦可能な小型のヘリコプター(例えばドローン)など、自律制御により又は外部からの制御により所定の空域に滞在又は移動する飛行体であってもよい。
第2無線中継局20は、第1無線中継局10との間の第2周波数F2の無線信号と、移動局40との間の第2周波数F2の無線信号とを中継する周波数変換型の無線中継装置であり、係留気球などの気球60に搭載されることにより第1無線中継局10よりも高い位置に位置することができる。
気球60は、固定基地局30のアンテナ30aとの間に無線通信の電波の見通し伝搬の障害になる山や高層ビルディングなどの障害物が存在する災害地、不感地、山岳エリア、海上エリアなどの弱電界エリアの上空に設置してもよい。気球60は、例えば地上から数十m〜数百mの位置に配置されるように、地上のアンカーベースから上空に延びた係留索(主係留索)で係留されて支持される。アンカーベースは、係留索(主係留索)の下端を固定して気球60を係留できるものであればよく、形状や大きさなどは特定のものに限定されない。気球60は、アンカーベースとして第1無線中継局10が搭載される自動車50に係留してもよい。また、気球60を海上の上空に配置する場合、アンカーベースは海上のブイや船舶などに設けてもよい。
また、図2に示すように、第2無線中継局20は、自律制御により又は外部からの制御により所定の空域に滞在又は移動するドローンなどの飛行体70に搭載してもよい。この場合、第1無線中継局10が搭載される自動車50は、飛行体70が離発着可能な離発着部を備えてもよい。
また、図3に示すように、第1無線中継局10が無線通信を中継する固定基地局は、前述の地上又は海上に設置された基地局ではなく、上空に滞在可能な上空滞在型の基地局35であってもよい。上空滞在型の基地局35は、自律制御により又は外部からの遠隔操作制御により所定の空域に滞在及び移動することができる飛行体としてHAPS(「高高度疑似衛星」又は「高高度プラットフォーム局」)90に搭載されている。HAPS90に搭載された上空滞在型の基地局35は、地上又は海上に設置され移動通信網80に接続されたゲート局(「ゲートウェイ局」、「GW局」、「リピータ親機」、「フィーダ局」ともいう。)82と所定の周波数で無線通信することができる。
なお、図3において、上空滞在型の基地局35は、所定の空域に滞在することができる、HAPS以外の浮揚体又は飛行体に搭載してもよい。例えば、上空滞在型の基地局は、気球、飛行船、ドローン、人工衛星等に搭載してもよい。また、上空滞在型の基地局35を搭載する浮揚体又は飛行体は、例えば、自律制御又は外部から制御により地面又は海面から100[km]以下の高高度の空域(浮揚空域)に浮遊あるいは飛行して位置するように制御されてもよい。前記浮揚体又は飛行体の位置する空域は、例えば、高度が11[km]以上及び50[km]以下の成層圏の空域であってもよい。この空域は、気象条件が比較的安定している高度15[km]以上25[km]以下の空域であってもよく、特に高度がほぼ20[km]の空域であってもよい。
また、図3では、第2無線中継局20がドローンなどの飛行体70に搭載されている例を示しているが、第2無線中継局20は図1に示すような係留気球などの気球60に搭載してもよい。
第1無線中継局10及び第2無線中継局20それぞれで変換する第1周波数F1及び第2周波数F2は、第1無線中継局10で送受信される無線信号どうしの回り込み干渉及び第2無線中継局20で送受信される無線信号どうしの回り込み干渉が発生しないように異なる周波数である。例えば、第1周波数F1が2.1GHz帯の周波数であり、第2周波数F2が3.3GHz帯の周波数であってもよい。また、図3における上空滞在型の基地局35とゲート局82との間の無線通信の周波数は、回り込み干渉が発生しないように、上空滞在型の基地局35と第1無線中継局10との間の第1周波数F1とは異なる第2周波数F2であってもよい。
図4は、実施形態に係る無線中継システムの第1無線中継局10の主要部構成の一例を示すブロック図である。図4において、第1無線中継局10は、第1無線通信部11と第2無線通信部12と周波数変換部13と各部を制御する制御部14とを備える。第1無線通信部11は、固定基地局向けの第1アンテナ10aを介して固定基地局30との間で第1周波数F1の無線信号を送受信する。第2無線通信部12は、無線中継局向けの第2アンテナ10bを介して第2無線中継局20との間で第2周波数F2の無線信号を送受信する。第1無線通信部11及び第2無線通信部12はそれぞれ増幅器を備えてもよい。
周波数変換部13は、第1無線通信部11と第2無線通信部12との間で第1周波数F1と第2周波数F2との周波数変換を行う。第1無線中継局10で中継される無線信号は、例えば、LTE又はLTE−Advancedの標準規格に準拠したOFMDA通信方式を用いて送受信してもよい。この場合は、無線信号の遅延が異なるマルチパスが発生しても良好な通信品質を維持できる。
第1無線中継局10の第2アンテナ10bは、第2無線中継局20を追尾するように向きを制御可能な指向性アンテナであってもよいし、第2無線中継局20を追尾するようにビームを形成可能な複数素子からなるアンテナ(例えば、MassiveMIMOアンテナ)であってもよい。
制御部14は、予め組み込まれたプログラムを実行することにより各部を制御することができる。
また、移動通信網80の通信オペレータの遠隔制御装置81(制御元)からの制御情報を受信したり遠隔制御装置81に情報を送信したりする場合は、制御部14に接続されたユーザ端末(移動局)15を備えてもよい。制御部14は、例えば、遠隔制御装置81から固定基地局30を介して送信されてきた制御情報をユーザ端末(移動局)15で受信し、その制御情報に基づいて無線中継機能をON/OFFするように制御してもよい。ここで、遠隔制御装置81とユーザ端末(移動局)15との間の通信は、例えば遠隔制御装置81及びユーザ端末(移動局)15それぞれに割り当てられたIPアドレス(又は電話番号)を用いて行ってよい。
また、制御部14は、ユーザ端末(移動局)15を介して、第1周波数F1からなる固定基地局30との間の無線信号の送信及び受信の少なくとも一方の状況及び無線中継局の位置情報を示す情報や、第2周波数F2からなる第2無線中継局20との間の無線信号の送信及び受信の少なくとも一方の状況及び無線中継局の位置情報を示す無線中継情報を、移動体通信の通信オペレータの遠隔制御装置81に送信するように制御してもよい。移動体通信のオペレータ側は、例えば、受信した無線中継情報に基づいて、第1無線中継局10の無線中継機能をON/OFFすることにより、第2無線中継局20への信号をON/OFFすることが可能であり、他の固定基地局のサービスエリアに干渉を及ぼすことが予測される場合は、OFFとすることで干渉を及ぼさないように制御することができる。例えば、ドローンが中継場所に到着するまでの間、電波を送信する必要がない時などOFFにして、電波を送信しないように制御がすることが可能である。
図5は、実施形態に係る無線中継システムの第2無線中継局20の主要部構成の一例を示すブロック図である。図5において、第2無線中継局20は、第1無線通信部21と第2無線通信部22と周波数変換部23と各部を制御する制御部24とを備える。第1無線通信部21は、無線中継局向けの第1アンテナ20aを介して第1無線中継局10との間で第2周波数F2の無線信号を送受信する。第2無線通信部22は、移動局向けの第2アンテナ20bを介して移動局40との間で第1周波数F1の無線信号を送受信する。第1無線通信部21及び第2無線通信部22はそれぞれ増幅器を備えてもよい。
周波数変換部23は、第1無線通信部21と第2無線通信部22との間で第1周波数F1と第2周波数F2との周波数変換を行う。第2無線中継局20で中継される無線信号は、例えば、LTE又はLTE−Advancedの標準規格に準拠したOFMDA通信方式を用いて送受信してもよい。この場合は、固定基地局から届く無線信号と、第2無線中継局20から届く無線信号が遅延が異なるマルチパスと等価となり、複数のパスの無線信号を受信することで良好な通信品質を維持できる。
第2無線中継局20の第1アンテナ20aは、第1無線中継局10を追尾するように向きを制御可能な指向性アンテナであってもよいし、第1無線中継局10を追尾するようにビームを形成可能な複数素子からなるアンテナ(例えば、MassiveMIMOアンテナ)であってもよい。
制御部24は、予め組み込まれたプログラムを実行することにより各部を制御することができる。
また、移動通信網80の通信オペレータの遠隔制御装置81からの制御情報を受信したり遠隔制御装置81に情報を送信したりする場合は、制御部24に接続されたユーザ端末(移動局)25を備えてもよい。制御部24は、例えば、遠隔制御装置81から固定基地局30及び無線中継システムを介して送信されてきた制御情報をユーザ端末(移動局)25で受信し、その制御情報に基づいて無線中継機能をON/OFFするように制御してもよい。ここで、遠隔制御装置81とユーザ端末(移動局)25との間の通信は、例えば遠隔制御装置81及びユーザ端末(移動局)25それぞれに割り当てられたIPアドレス(又は電話番号)を用いて行ってよい。
また、制御部24は、ユーザ端末(移動局)25を介して、第2周波数F2からなる第1無線中継局10との間の無線信号の送信及び受信の少なくとも一方の状況及び無線中継局の位置情報を示す無線中継情報や、第1周波数F1からなる移動局40との間の無線信号の送信及び受信の少なくと一方の状況及び無線中継局の位置情報を示す無線中継情報を、移動体通信の通信オペレータの遠隔制御装置81に送信するように制御してもよい。移動体通信のオペレータ側は、例えば、受信した無線中継情報に基づいて、第2無線中継局20の無線中継機能をON/OFFすることにより、複数の第2無線中継局20が互いに隣接することによる無線信号の干渉が発生しないようにすることができる。
上記構成の無線中継システムにおいて、親機10は対携帯基地局(固定基地局30)向けの第1アンテナ10aで携帯基地局(固定基地局)が送信する第1周波数F1の無線信号を受信し、周波数変換部(周波数変換器)13で第2周波数F2に変換し、対無線中継局向けの第2アンテナ10bで子機20に向けて送信する。子機20は対親機向けの第1アンテナ20aで親機10から第2周波数F2で送信された電波を受信し、周波数変換部(周波数変換器)23で第1周波数F1に周波数変換し、対移動局(ユーザ端末)向けの第2アンテナ20bで送信する。
上記周波数変換を行うことにより、子機20のアンテナ20a,20b間の同一周波数の回り込み干渉がなくなることから、子機20の送信電力を最大送信電力で送信できる。
また、無線中継システムで用いる第1周波数F1は、一般に携帯基地局(固定基地局30)が使用している周波数と同じ周波数を用いる。
また、親機10は携帯基地局(固定基地局30)と“無線接続”されているので、親機10は携帯基地局(固定基地局30)のエリア内であれば任意の場所に固定設置することもでき、また、特定の方向に走行させることも可能である。例えば子機20の方向に向かって走行させ、子機20のエリアを携帯基地局(固定基地局30)の圏外エリアまで拡張することができる。
以上、本実施形態によれば、第1無線中継局10を自動車に搭載して目標位置に移動した後、基地局を搭載した場合のようなコアネットワークへの接続作業や基地局のセットアップ作業を行う必要がないため、固定基地局30と移動局(ユーザ装置)40との間の無線通信の中継を速やかに開始することができる。
また、本実施形態によれば、親機10に基地局装置(eNodeB)が不要であり、構成が簡易である。
また、本実施形態によれば、携帯基地局(固定基地局30)の無線周波数(F1)を無線中継システムでも用いるので、新たな周波数を用意する必要がなく、無線中継システムの構成が簡易である。
また、本実施形態によれば、携帯基地局エリア(固定基地局30のセル300)と無線中継エリア(子機20のセル200)との間に一部重なりがあっても、携帯基地局(固定基地局30)と無線中継システムが同一信号を送信しているため、その重なりエリアに位置する移動局(ユーザ端末)40には干渉とはならない。むしろ、携帯基地局(固定基地局30)と無線中継システムの両方から送信された無線信号を加算して受信しているため、通信品質が向上する(図6参照)。
また、本実施形態によれば、上空滞在型の基地局(携帯基地局)35の無線通信を中継する場合、上空滞在型の基地局35によって形成される携帯基地局エリア(セル350)と無線中継エリア(子機20のセル200)との間に一部重なりがあっても、上空滞在型の基地局35と無線中継システムが同一信号を送信しているため、その重なりエリアに位置する移動局(ユーザ端末)40には干渉とはならない。むしろ、上空滞在型の基地局35と無線中継システムの両方から送信された無線信号を加算して受信しているため、通信品質が向上する(図7参照)。
また、本実施形態によれば、自動車50等に搭載した親機10は携帯基地局(固定基地局30)のサービスエリア(セル300)の端部まで移動することができる。例えば、携帯基地局のエリア(セル300)の中央付近に位置している親機10(図8A参照)を、携帯基地局のエリア端(固定基地局30のセル端)に移動させれば、そこから子機20に中継できるため、無線中継システムのサービスエリアをより遠くまで拡張できる(図8B参照)。
また、本実施形態によれば、上空滞在型の基地局(携帯基地局)35の無線通信を中継する場合、自動車50等に搭載した親機10は上空滞在型の基地局35のサービスエリア(セル350)の端部まで移動することができる。例えば、上空滞在型の基地局35のセル350(携帯基地局のエリア)の中央付近に位置している親機10(図9A参照)を、上空滞在型の基地局35のセル端に移動させれば、そこから子機20に中継できるため、無線中継システムのサービスエリアをより遠くまで拡張できる(図9B参照)。
また、本実施形態によれば、親機10を自動車50等に搭載して走行させれば、無線中継システムのサービスエリアを連続的に拡張できる。例えば、携帯基地局(固定基地局30)のサービスエリア(セル300)外での遭難者の捜索するような場合、エリアを連続的に拡張できるので探索範囲の拡張が短時間に容易に図れる(図10参照)。また例えば、上空滞在型の基地局(携帯基地局)35の無線通信を中継する場合、空滞在型の基地局35のサービスエリア(セル350)外での遭難者の捜索するような場合、エリアを連続的に拡張できるので探索範囲の拡張が短時間に容易に図れる(図11参照)。特に自動車50等の走行速度が速い程、短時間にエリアの拡張が図れる。
また、本実施形態によれば、親機10は、前述のユーザ端末(移動局)15により、遠隔制御通信のON/OFF又は電源のON/OFFの制御と装置の監視を行う制御部14と、移動通信網80の通信オペレータの遠隔制御装置81(制御元)との間で通信を行うことができる。また、子機20は、前述のユーザ端末(移動局)25により、遠隔制御通信のON/OFF、電源のON/OFF制御及び無線通信部の増幅器(AMP)の利得制御(最大送信電力制御)を行う制御部24と、移動通信網80の通信オペレータの遠隔制御装置81(制御元)との間で通信を行うことができる。
親機10の通信のON/OFF又は電源のON/OFF制御を遠隔で行うことで、無線中継システムの通信の開始及び終了を遠隔で制御することができる。例えば、親機10及び子機20を所定の場所に設置した場合、通信オペレータの遠隔制御装置81(制御元)から遠隔で親機10の通信のON/OFFまたは電源のON/OFF制御を行う。これにより、無線中継システムの通信の開始、停止を遠隔で制御できる。
同様に、親機10の通信ON後に、子機20の電源のON/OFFを遠隔で制御することで、無線中継システムの通信の開始、停止を子機20でも制御することができる。また、子機20の増幅器(AMP)の利得制御(最大送信電力制御)を遠隔で行うこともできる。
また、本実施形態によれば、無線中継システム(親機10、子機20)の設置作業は現地の作業者(装置の運用操作をできない作業者)でも行うことができ、無線中継システムの運用は遠隔で通信オペレータが実施することができる。これにより、通信オペレータの作業者が現地に赴き設置作業をする必要がないため、運用の効率化や運用開始までの時間の大幅な短縮化が期待できる。
また、本実施形態によれば、無線中継の運用は通信オペレータが制御(許可)できるため、勝手に無線中継を実行できないようにすることができる。そのため、予め災害等や捜索などに備えて様々な場所に無線中期局を置くことが可能となる。
また、本実施形態によれば、無線中継システムが他の携帯基地局(固定基地局31)のサービスエリア310に干渉を与えるような場合(図12A参照)、子機20の増幅器(AMP)の利得(最大送信電力)を低減制御することで他の携帯基地局(固定基地局31)のサービスエリア310への予干渉を抑圧することができる(図12B参照)。
また、本実施形態によれば、上空滞在型の基地局(携帯基地局)35の無線通信を中継する無線中継システムが他の携帯基地局(固定基地局31)のサービスエリア310に干渉を与えるような場合(図13A参照)、子機20の増幅器(AMP)の利得(最大送信電力)を低減制御することで他の携帯基地局(固定基地局31)のサービスエリア310への予干渉を抑圧することができる(図13B参照)。
なお、本明細書で説明された処理工程並びに無線中継局、遠隔制御装置及び基地局における基地局装置の構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
ハードウェア実装については、実体(例えば、無線中継局、基地局装置、無線中継装置、ユーザ装置(移動局、通信端末)、遠隔制御装置、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、FLASHメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
10 第1無線中継局(親機)
10a 第1アンテナ
10b 第2アンテナ
11 第1無線通信部
12 第2無線通信部
13 周波数変換部
14 制御部
20 第2無線中継局(子機)
20a 第1アンテナ
20b 第2アンテナ
21 第1無線通信部
22 第2無線通信部
23 周波数変換部
24 制御部
30 固定基地局(携帯基地局)
30a アンテナ
31 固定基地局(携帯基地局)
35 上空滞在型の基地局
40 移動局
50 自動車
60 気球(係留気球)
70 小型飛行体(ドローン)
80 移動通信網
81 遠隔制御装置
82 ゲート局
90 HAPS

Claims (17)

  1. 固定基地局とユーザ装置との間の無線通信を中継する無線中継システムであって、
    移動可能な第1無線中継局と、前記第1無線中継局よりも高い位置に位置する第2無線中継局とを備え、
    前記第1無線中継局は、前記固定基地局との間で第1周波数の無線信号を送受信する第1無線通信部と、前記第2無線中継局との間で第2周波数の無線信号を送受信する第2無線通信部と、前記第1無線通信部と前記第2無線通信部との間で前記第1周波数と前記第2周波数との周波数変換を行う周波数変換部と、を有し、
    前記第2無線中継局は、前記第1無線中継局との間で前記第2周波数の無線信号を送受信する第1無線通信部と、ユーザ装置との間で前記第1周波数の無線信号を送受信する第2無線通信部と、前記第1無線通信部と前記第2無線通信部との間で前記第1周波数と前記第2周波数との周波数変換を行う周波数変換部と、を有し、
    前記第2無線中継局は、自律制御により又は外部からの制御により所定の空域に滞在又は移動する飛行体に搭載され
    前記第1無線中継局は移動体に搭載され、その移動体に前記飛行体が離発着可能な離発着部を備える、ことを特徴とする無線中継システム。
  2. 請求項1の無線中継システムにおいて、
    前記第1無線中継局は、移動通信網の移動局と、前記移動局を介して受信された外部からの制御情報により前記固定基地局との間の無線信号と前記第2無線中継局との間の無線信号とを中継をON/OFF制御する制御部を備えることを特徴とする無線中継システム。
  3. 固定基地局とユーザ装置との間の無線通信を中継する無線中継システムであって、
    移動可能な第1無線中継局と、前記第1無線中継局よりも高い位置に位置する第2無線中継局とを備え、
    前記第1無線中継局は、前記固定基地局との間で第1周波数の無線信号を送受信する第1無線通信部と、前記第2無線中継局との間で第2周波数の無線信号を送受信する第2無線通信部と、前記第1無線通信部と前記第2無線通信部との間で前記第1周波数と前記第2周波数との周波数変換を行う周波数変換部と、を有し、
    前記第2無線中継局は、前記第1無線中継局との間で前記第2周波数の無線信号を送受信する第1無線通信部と、ユーザ装置との間で前記第1周波数の無線信号を送受信する第2無線通信部と、前記第1無線通信部と前記第2無線通信部との間で前記第1周波数と前記第2周波数との周波数変換を行う周波数変換部と、
    前記第1無線中継局は、移動通信網の移動局と、前記移動局を介して受信された制御情報により、前記固定基地局との間の無線信号と前記第2無線中継局との間の無線信号とを中継する無線中継機能をON/OFF制御する制御部と、を備える、ことを特徴とする無線中継システム。
  4. 請求項3の無線中継システムにおいて、
    前記第2無線中継局は、気球に搭載されていることを特徴とする無線中継システム。
  5. 請求項4の無線中継システムにおいて、
    前記第1無線中継局は移動体に搭載され、前記第2無線中継局が搭載されている気球は前記移動体とは異なる他の移動体に係留されていることを特徴とする無線中継システム。
  6. 請求項3の無線中継システムにおいて、
    前記第2無線中継局は、自律制御により又は外部からの制御により所定の空域に滞在又は移動する飛行体に搭載されていることを特徴とする無線中継システム
  7. 請求項6の無線中継システムにおいて、
    前記第1無線中継局は移動体に搭載され、その移動体に前記飛行体が離発着可能な離発着部を備えることを特徴とする無線中継システム。
  8. 請求項1、2、6又は7の無線中継システムにおいて、
    前記第2無線中継局が搭載された飛行体は、ドローンであることを特徴とする無線中継システム。
  9. 請求項2乃至7のいずれかの無線中継システムにおいて、
    前記第1無線中継局は、当該無線中継局の位置情報を示す情報、前記固定基地局との間の無線信号の送信及び受信の少なくとも一方の状況を示す情報、前記第2無線中継局との間の無線信号の送信及び受信の少なくとも一方の状況を示す情報を、前記移動局を介して遠隔制御装置に送信する、ことを特徴とする無線中継システム。
  10. 請求項1乃至9のいずれかの無線中継システムにおいて、
    前記固定基地局は、地上又は海上に設置された基地局であることを特徴とする無線中継システム。
  11. 請求項1乃至9のいずれかの無線中継システムにおいて、
    前記固定基地局は、上空滞在型の基地局であることを特徴とする無線中継システム。
  12. 請求項11の無線中継システムにおいて、
    前記上空滞在型の基地局は、自律制御により又は外部からの制御により所定の空域に滞在可能な浮揚体又は飛行体に搭載されていることを特徴とする無線中継システム。
  13. 請求項12の無線中継システムにおいて、
    前記上空滞在型の基地局が搭載されている浮揚体又は飛行体は、HAPS、気球、飛行船、ドローン又は人工衛星であることを特徴とする無線中継システム。
  14. 請求項1乃至13のいずれかの無線中継システムにおいて、
    前記第1周波数及び前記第2周波数は、前記第1無線中継局における無線信号の回り込み干渉及び前記第2無線中継局における無線信号の回り込み干渉が発生しないように異なる周波数であることを特徴とする無線中継システム。
  15. 請求項1乃至14のいずれかの無線中継システムにおいて、
    前記第1無線中継局は、前記第2無線中継局を追尾するように向きを制御可能な指向性アンテナ、又は、前記第2無線中継局を追尾するようにビームを形成可能な複数素子からなるアンテナを備えていることを特徴とする無線中継システム
  16. 請求項1乃至15のいずれかの無線中継システムにおいて、
    前記第2無線中継局は、移動通信網の移動局を備え、当該無線中継局の位置情報を示す情報、前記第1無線中継局との間の無線信号の送信及び受信の少なくとも一方の状況を示す情報、又は、前記ユーザ装置との間の無線信号の送信及び受信の少なくとも一方の状況を示す情報を、前記移動局を介して遠隔制御装置に送信する、ことを特徴とする無線中継システム。
  17. 請求項1乃至14のいずれかの無線中継システムにおいて、
    前記第2無線中継局は、移動通信網の移動局と、前記移動局を介して受信された制御情報により、前記第1無線中継局との間の無線信号と前記ユーザ装置との間の無線信号とを中継する無線中継機能をON/OFF制御する制御部を備える、ことを特徴とする無線中継システム。
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