JP4497041B2 - ワイヤーグリッド偏光子の製造方法 - Google Patents
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液晶ライトバルブとしては、一方の基板側から入射し、液晶層を透過した後、他方の基板側から出射された光を投射手段に導入する透過型液晶装置が知られている。この透過型液晶装置においては、一対の基板の外側に一方向の振動方向を有する偏光のみを透過する偏光子をそれぞれ設けることにより、電圧無印加時、電圧印加時における液晶層内の液晶分子の配列を光学的に識別し、表示を行う構成になっている。
更に、一対の基板の内側に偏光子を配置(内蔵)した透過型液晶装置もあり、特に、内蔵した偏光子の光学特性を向上させるために、偏光子の格子間を絶縁膜等で埋めることなく、空洞化する技術が提案されている(特許文献1参照)。
第1の発明は、基板上に多数の略平行な直線状の金属突起体と、前記金属突起体を覆う保護層と、を有するワイヤーグリッド偏光子の製造方法において、前記金属突起体上に前記保護層を斜方成膜しつつ、前記金属突起体同士の間に空洞部を形成する工程を有するようにした。
この発明によれば、保護層の形成と略同時に金属突起体同士の間に空洞部が形成されるので、優れた光学特性を有するワイヤーグリッド偏光子を、煩雑な工程を経ることなく、容易に形成することできる。
また、前記保護層を誘電体材料で形成するとともに、更に前記保護層上に誘電体材料からなる誘電体層を積層させて反射防止層を形成する工程を有するものでは、反射防止層の形成も効率化される。
この発明によれば、優れた光学特性が用いられるので、高精細な表示が可能な液晶装置を得ることができる。
また、前記ワイヤーグリッド偏光子が、液晶層を駆動するための電極として用いられるものでは、装置構造を簡略化できるので、液晶装置の低コスト化を図ることができる。
この発明によれば、光変調が良好に行うことができるので、高精細で高輝度な表示が可能なプロジェクタを得ることができる。
図1は、第1実施形態に係る液晶装置の概略構成を示す断面図である。
液晶装置101は、TFTアレイ基板10と、これに対向配置される対向基板20との間に液晶層50が挟持される構成となっている。
TFTアレイ基板10は、石英等の透光性材料からなる基板本体10A、その液晶層50側に形成された画素電極9、TFT素子30、配向膜16を主体として構成されている。
対向基板20は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体20A、その液晶層50側表面に形成された共通電極21、配向膜22、及び基板本体20Aの外側に配置された光吸収型の偏光子24を主体として構成されている。
画素電極9は、光反射性の高い導電性材料、例えば、アルミニウム、銀、銀合金等により構成されている。そして、図2に示すように、各画素電極9には多数のスリット状の空間が形成されており、この空間内が後述する空洞部9bとなっている。この構成によって、各画素電極9は、略平行で直線状に配列された多数の金属突起体9aを具備する構造、つまり、ワイヤーグリッド偏光子60を備える。
なお、図面上は金属突起体9aの幅及びピッチを大きく示しているが、金属突起体9aは、液晶層50に入射する光の波長よりも小さいピッチで多数配列されており、例えば、金属突起体9aの幅は70nm程度、ピッチは140nm程度、金属突起体9aの厚さ(高さ)は100nm程度に設定されている。なお、ピッチは狭い程偏光子としての性能は高くなる。
また、各画素電極9において、上述したように金属突起体9aは微細なピッチで配列され、空間をなす部分、すなわち導電体が存在しない部分は非常に微細であるため、全体として見れば、画素電極9の電極としての機能は開口部を持たない画素電極とほとんど変わらない。
そして、保護層29aと隣接する2つの金属突起体9aにより囲まれることにより、空洞部9bが形成されている。なお、空洞部9bには、空気もしくはアルゴンや窒素等の不活性ガス等の気体が封入されている。封入される気体の量は特に限定されるものではなく、充分に真空に近い状態であってもよい。
そして、画素電極9に入射した光のうち、金属突起体9aの延在方向に対して略平行方向に振動する偏光については反射させ、金属突起体9aの延在方向に対して略垂直方向に振動する偏光については透過させる反射型偏光子として機能させることができる。
このように、多数の金属突起体9aからなるワイヤーグリッド偏光子60上に、反射防止層29を配置することで、入射する光の損失を抑制し、光の殆どをワイヤーグリッド偏光子60に入射させることができる。
金属突起体9a(空洞部9b)をこのように配列させることにより、画素電極9を、金属突起体9aの延在方向に対して略平行方向に振動するTE偏光を反射し、金属突起体9aの延在方向に対して略垂直方向に振動するTM偏光を透過するワイヤーグリッド偏光子60とすることができる。
次に、上述した液晶装置を製造する方法の一例について、図3、図4を参照して説明する。
なお、以下の説明では、基板本体10A上にTFT素子30等を形成する工程は従来例と略同一であるため説明を省略し、基板本体10A上に画素電極9を形成する工程から説明を始める。
更に、図4(A)に示すように、フォトリソグラフィー法等を用いて導電性薄膜90をパターニングし、ストライプ状に配列された金属突起体9aからなるワイヤーグリッド偏光子60を有する画素電極9、及び遮光膜23aを同時に形成する。
なお、ワイヤーグリッド偏光子60(金属突起体9a及び開口部9b)を形成する方法としては、上述の方法以外に、開口部のない画素電極9を形成した後、画素電極9に電子ビームにより開口部9bを形成してストライプ構造の金属突起体9aを形成する方法や、二光束干渉露光法等を採用することもできる。
更に、図4(C)に示すように、保護層29a上に、SiO2やMgF2等の誘電体材料を成膜して誘電体層29bを形成することにより、誘電体多層膜(保護層29a及び誘電体層29b)からなる反射防止層29を形成する。
次いで、図4(D)に示すように、保護層29a上に、例えば、ポリイミド等誘電体材料を成膜して配向膜16を形成する。
図5は、画素電極9の一部を模式的に表した図である。なお、図面を簡略化するため、層間絶縁層7、画素電極9、保護層29aのみを図示している。
次いで、図5(B)に示すように、レジスト110に対して露光光を照射してレジスト110を露光し、更にレジスト110を焼成(ベーキング)し、その後に現像することにより、ストライプ状のパターンをレジスト110に発現させる。
なお、エッチング方法としては、原理的にはウェットエッチング、ドライエッチングのいずれも採用することが可能である。特に、ICP(誘導結合プラズマ)やECR(電子サイクロトロン共鳴)等の方法でドライエッチングすることが好適である。
この際、例えばスパッタ法を用いると、スパッタ装置の成膜時の雰囲気ガスが、開口部9bに封入された状態で保護層29aによって閉塞されることになる。したがって、雰囲気ガスがアルゴンであればアルゴンが封入され、また空気が封入されることも考えられる。更に、スパッタ装置内が減圧状態であるから、開口部9b内も同様に減圧状態となる。
このようにして、隣接する金属突起体9a同士の間に、空気等の気体が封入された空洞部9bが形成される。
なお、誘電体層からなる保護層29aを斜方成膜法により形成したので、図6に示すように、保護層29aを形成する誘電体材料の柱状の結晶が斜め配向される。
以上のようにして、TFTアレイ基板10が製造される。
最後に、対向基板20の外側に偏光子24を貼付し、本実施形態の液晶装置が完成する(図1参照)。
また、ワイヤーグリッド偏光子60を画素電極9として用いることで、液晶装置101の装置構造を簡略化できるので、液晶装置101の低コスト化を図ることができる。
なお、図7において、実線はTM偏光の透過率を示し、破線はTM偏光とTE偏光のコントラスト(TM/TE)を示す。また、ワイヤーグリッド偏光子の金属突起体のピッチは140nm、金属突起体のピッチの高さは150nmである。
このように、液晶装置101は、優れた光学特性(透過率、反射率等)を有する偏光子を有するので、例えば液晶プロジェクタなどの電子機器へ適用することができる。特に、高分子を用いた偏光子を用いた場合では、高輝度ランプを長時間照射することによる特性の劣化が著しいために液晶プロジェクタの長寿命化の妨げとなっていたが、本実施形態の液晶装置101を用いることにより、液晶プロジェクタの長寿命化を図ることが可能となる。
以下、本発明の液晶装置の第2実施形態について説明する。
図8は、第2実施形態の液晶装置102の概略構成を示す断面図である。なお、上記液晶装置101と同一構成要素については、同じ符号を付して、説明を省略する。
液晶装置102の基本構造は、液晶装置101とほぼ同様であるが、液晶装置101では、基板本体20A側に外付けの偏光子24を設ける構成としたのに対して、液晶装置102では、基板本体20Aについても共通電極にワイヤーグリッド偏光子62を形成される点が異なっている。
図8では、金属突起体31aの幅及びピッチを大きく示しているが、金属突起体31aは、画素電極9を構成する金属突起体9aと同様に、液晶層50に入射する光の波長よりも小さいピッチで多数配列されている。
また、全ての金属突起体31aは、導通電極(図示略)を介して電気的に導通されており、全体として1つの共通電極31として機能するようになっている。なお、金属突起体31aは微細なピッチで配列されており、隣接する金属突起体31aの間隔は非常に微細であるため、画素電極9と同様、全体として見れば、共通電極31の電極としての機能は、第1実施形態の液晶装置における共通電極とほとんど変わらない。
そして、共通電極31に入射した光のうち、金属突起体31aの延在方向に対して略平行方向に振動する偏光については反射させ、金属突起体31aの延在方向に対して略垂直方向に振動する偏光については透過させることができる。特に本実施形態では、ワイヤーグリッド偏光子62の偏光機能が高いために対向基板20側の外付けの偏光子は設けられていない。
本発明の液晶装置の第3実施形態について説明する。
図9は、第3実施形態の液晶装置103の概略構成を示す断面図である。なお、上記液晶装置101,102と同一構成要素については、同じ符号を付して、説明を省略する。
液晶装置103の基本構造は上記液晶装置101,102と同様であるが、液晶装置101では、画素電極9によりワイヤーグリッド偏光子60を構成したのに対して、液晶装置103では、画素電極とは別個にワイヤーグリッド偏光子64を設け、かつ、TFT素子の半導体層と液晶層との間にワイヤーグリッド偏光子64を設ける構成としている。
ワイヤーグリッド偏光子64は、液晶層50に入射する光の波長よりも小さいピッチでストライプ状に配列された多数の金属突起体19aからなり、隣接する金属突起体19a間には、金属突起体19aよりも充分に屈折率の低い空洞部19bが形成されている。そして、これらを覆うように、保護層29a及び誘電体層29bからなる反射防止層29が配置されている。
また、本実施形態においても、TFTアレイ基板10側のワイヤーグリッド偏光子64をTFT30の半導体層1aよりも液晶層50側に配置する構成を採用したので、ワイヤーグリッド偏光子64により反射された光がTFT30の半導体層1aに入射することを防止することができ、光リーク電流に起因するTFT30のスイッチング特性の低下を防止することができる。
さらに、本実施形態では、ワイヤーグリッド偏光子64とデータ線6aとを同一層で形成する構成としているため、ワイヤーグリッド偏光子64とデータ線6aとを同時に形成することができ、製造工程の簡略化を図ることができる。
図10は、第4実施形態の液晶装置104の概略構成を示す断面図である。なお、上記液晶装置101〜103と同一構成要素については、同じ符号を付して、説明を省略する。
液晶装置104の基本構造は上述した液晶装置103と同様であるが、液晶装置103では、TFTを構成する半導体層と液晶層との間にワイヤーグリッド偏光子64を設ける構成としたのに対し、液晶装置104では、TFTを構成する半導体層の液晶層と反対側にワイヤーグリッド偏光子66を設ける構成としている。
そして、本実施形態によれば、第2、第3実施形態と同様、TFTアレイ基板10側、対向基板20側の偏光子の双方にワイヤーグリッド偏光子を配置したので、第2、第3実施形態と同様の効果を得ることができ、耐久性に優れた液晶装置を提供することができる。
これに対して、本実施形態では、第1〜第3実施形態と異なり、ワイヤーグリッド偏光子66をTFTアレイ基板10の基板本体10Aの直上に設ける構成としている。したがって、平坦な基板本体10A上にワイヤーグリッド偏光子66を形成し、その上に第1層間絶縁膜12を形成してその表面を平坦化した後、TFT30を形成することができる。すなわち、本実施形態では、ワイヤーグリッド偏光子66、TFT30の双方を平坦性の高い下地上に形成することができ、第1〜第3実施形態に比較して製造工程を簡略化することができる。
また、第1〜第4実施形態の液晶装置101〜104においては、TFTを用いたアクティブマトリクス型液晶装置についてのみ説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、TFD(Thin-Film Diode)素子を用いたアクティブマトリクス型液晶装置やパッシブマトリクス型液晶装置等、いかなる構造の液晶装置にも適用することができる。
以下、上記液晶装置101〜104のいずれかを光変調手段として備えたプロジェクタの構成について、図11を参照して説明する。
図11は、プロジェクタ800の要部を示す概略構成図である。
プロジェクタ(投射型表示装置)800は、光源810、ダイクロイックミラー813,814、反射ミラー815,816,817、入射レンズ818、リレーレンズ819、出射レンズ820、光変調手段822,823,824、クロスダイクロイックプリズム825、投射レンズ826を備える。
このプロジェクタ800は、上記液晶装置101〜104を光変調手段822,823,824として備えている。
合成された光は、投射光学系である投射レンズ826によってスクリーン827上に投影され、画像が拡大されて表示される。
また、その他の電子機器としては、例えばICカード、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、さらに表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイ等が挙げられる。
19b…空洞部、 19a…金属突起体、 20…対向基板、 29…反射防止層、
29a…保護層、 29b…誘電体層、 31…共通電極、 31a…金属突起体、
31b…空洞部、 39a…金属突起体、 39b…空洞部、 50…液晶層、
60〜66ワイヤーグリッド偏光子、 101〜104…液晶装置、
800…プロジェクタ、 822,823,824…光変調手段
Claims (2)
- 基板上に多数の略平行な直線状の金属突起体と、前記金属突起体を覆う保護層と、を有するワイヤーグリッド偏光子の製造方法において、
前記金属突起体上に前記保護層を斜方成膜により形成し、前記金属突起体同士の間に空洞部を形成する工程を有することを特徴とするワイヤーグリッド偏光子の製造方法。 - 前記保護層を誘電体材料で形成するとともに、更に前記保護層上に誘電体材料からなる誘電体層を積層させて反射防止層を形成する工程を有することを特徴とする請求項1に記載のワイヤーグリッド偏光子の製造方法。
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