JP4613707B2 - 液晶装置の製造方法、液晶装置、プロジェクタ - Google Patents
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Description
液晶ライトバルブとしては、一方の基板側から入射し、液晶層を透過した後、他方の基板側から出射された光を投射手段に導入する透過型液晶装置が知られている。この透過型液晶装置においては、一対の基板の外側に一方向の振動方向を有する偏光のみを透過する偏光子をそれぞれ設けることにより、電圧無印加時、電圧印加時における液晶層内の液晶分子の配列を光学的に識別し、表示を行う構成になっている。
更に、一対の基板の内側に偏光子を配置(内蔵)した透過型液晶装置もあり、特に、内蔵した偏光子の光学特性を向上させるために、偏光子の格子間を絶縁膜等で埋めることなく、空洞化する技術が提案されている(特許文献1参照)。
第1の発明は、一対の基板の間に液晶層が挟持された液晶装置の製造方法において、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板の製造工程は、前記基板上に多数の略平行な直線状の金属突起体からなるワイヤーグリッド偏光子を形成する工程と、前記金属突起体上に誘電体層を斜方成膜しつつ、前記金属突起体同士の間に空洞部を形成する工程と、を有するようにした。
この発明によれば、液晶装置の一対の基板に、優れた光学特性を有する偏光子を、煩雑な工程を経ることなく、容易に形成することできる。
この発明によれば、優れた光学特性を有する偏光子が基板内に形成されているので、高品質で低コストの液晶装置を実現できる。
また、前記金属突起体が、前記液晶層を駆動するための電極として用いられるものでは、電極と偏光子とを一体化できるので、構成が簡単になり、製造工程の簡略化、低コスト化を図ることができる。
この発明によれば、高品質で安価なプロジェクタを実現することができる。
図1は、第1実施形態に係る液晶装置の概略構成を示す断面図である。
液晶装置101は、TFTアレイ基板10と、これに対向配置される対向基板20との間に液晶層50が挟持される構成となっている。
TFTアレイ基板10は、石英等の透光性材料からなる基板本体10A、その液晶層50側に形成された画素電極9、TFT素子30、配向膜16を主体として構成されている。
対向基板20は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体20A、その液晶層50側表面に形成された共通電極21、配向膜22、及び基板本体20Aの外側に配置された光吸収型の偏光子24を主体として構成されている。
画素電極9は、光反射性の高い導電性材料、例えば、アルミニウム、銀、銀合金等により構成されている。そして、図2に示すように、各画素電極9には多数のスリット状の空間が形成されており、この空間内が後述する空洞部9bとなっている。この構成によって、各画素電極9は、略平行で直線状に配列された多数の金属突起体9aを具備する構造、つまり、ワイヤーグリッド偏光子60を具備する。
なお、図面上は金属突起体9aの幅及びピッチを大きく示しているが、金属突起体9aは、液晶層50に入射する光の波長よりも小さいピッチで多数配列されており、例えば、金属突起体9aの幅は70nm程度、ピッチは140nm程度、金属突起体9aの厚さ(高さ)は100nm程度に設定されている。なお、ピッチが狭い程、偏光子としての性能は高くなる。
また、各画素電極9において、上述したように金属突起体9aは微細なピッチで配列され、空間をなす部分、すなわち導電体が存在しない部分は非常に微細であるため、全体として見れば、画素電極9の電極としての機能は開口部を持たない画素電極とほとんど変わらない。
そして、配向膜16と隣接する2つの金属突起体9aにより囲まれることにより、空洞部9bが形成されている。なお、空洞部9bには、空気もしくはアルゴンや窒素等の不活性ガス等の気体が封入されている。封入される気体の量は特に限定されるものではなく、充分に真空に近い状態であってもよい。
そして、画素電極9に入射した光のうち、金属突起体9aの延在方向に対して略平行方向に振動する偏光については反射させ、金属突起体9aの延在方向に対して略垂直方向に振動する偏光については透過させる反射型偏光子として機能させることができる。
金属突起体9a(空洞部9b)をこのように配列させることにより、画素電極9を、金属突起体9aの延在方向に対して略平行方向に振動するTE偏光を反射し、金属突起体9aの延在方向に対して略垂直方向に振動するTM偏光を透過するワイヤーグリッド偏光子60とすることができる。
次に、上述した液晶装置を製造する方法の一例について、図3、図4を参照して説明する。
なお、以下の説明では、基板本体10A上にTFT素子30等を形成する工程は従来例と略同一であるため説明を省略し、基板本体10A上に画素電極9を形成する工程から説明を始める。
更に、図4(A)に示すように、フォトリソグラフィー法等を用いて導電性薄膜90をパターニングし、ストライプ状に配列された金属突起体9aを有する画素電極9および遮光膜23aを同時に形成する。
なお、ストライプ構造の金属突起体9aを形成する方法としては、上述の方法以外に、開口部のない画素電極9を形成した後、画素電極9に電子ビームにより開口部9bを形成してストライプ構造の金属突起体9aを形成する方法や、二光束干渉露光法等を採用することもできる。
図5は、画素電極9の一部を模式的に表した図である。なお、図面を簡略化するため、層間絶縁層7、画素電極9、配向膜16のみを図示している。
次いで、図5(B)に示すように、レジスト110に対して露光光を照射してレジスト110を露光し、更にレジスト110を焼成(ベーキング)し、その後に現像することにより、ストライプ状のパターンをレジスト110に発現させる。
なお、エッチング方法としては、原理的にはウェットエッチング、ドライエッチングのいずれも採用することが可能である。特に、ICP(誘導結合プラズマ)やECR(電子サイクロトロン共鳴)等の方法でドライエッチングすることが好適である。
この際、例えばスパッタ法を用いると、スパッタ装置の成膜時の雰囲気ガスが、開口部9bに封入された状態で配向膜16によって閉塞されることになる。したがって、雰囲気ガスがアルゴンであればアルゴンが封入され、また空気が封入されることも考えられる。更に、スパッタ装置内が減圧状態であるから、開口部9b内も同様に減圧状態となる。このようにして、隣接する金属突起体9a同士の間に、空気等の気体が封入された空洞部9bが形成される。
以上のようにして、TFTアレイ基板10が製造される。
最後に、対向基板20の外側に偏光子24を貼付し、本実施形態の液晶装置が完成する(図1参照)。
また、ワイヤーグリッド偏光子60を画素電極9として用いることで、液晶装置101の装置構造を簡略化できるので、液晶装置101の低コスト化を図ることができる。
また、図5(E)に示したように、空洞部9b上に形成された配向膜16は、金属突起体9a上に形成された配向膜16に対して傾斜するように形成されるので、これによっても、良好に液晶分子をプレチルトさせることが可能となる。
なお、図7において、実線はTM偏光の透過率を示し、破線はTM偏光とTE偏光のコントラスト(TM/TE)を示す。また、ワイヤーグリッド偏光子の金属突起体のピッチは140nm、金属突起体のピッチの高さは150nmである。
このように、液晶装置101は、優れた光学特性(透過率、反射率等)を有する偏光子を有するので、例えば液晶プロジェクタなどの電子機器へ適用することができる。特に、高分子を用いた偏光子を用いた場合では、高輝度ランプを長時間照射することによる特性の劣化が著しいために液晶プロジェクタの長寿命化の妨げとなっていたが、本実施形態の液晶装置101を用いることにより、液晶プロジェクタの長寿命化を図ることが可能となる。
以下、本発明の液晶装置の第2実施形態について説明する。
図8は、第2実施形態の液晶装置102の概略構成を示す断面図である。なお、第1実施形態の液晶装置101と同一構成要素については、同じ符号を付して、説明を省略する。
液晶装置102の基本構造は、第1実施形態の液晶装置101とほぼ同様であるが、液晶装置101では、基板本体20A側に外付けの偏光子24を設ける構成としたのに対して、液晶装置102では、基板本体20Aについても共通電極にワイヤーグリッド偏光子62が形成される点が異なっている。
図面上は金属突起体31aの幅及びピッチを大きく図示しているが、金属突起体31aは、画素電極9を構成する金属突起体9aと同様に、液晶層50に入射する光の波長よりも小さいピッチで多数配列されている。
また、全ての金属突起体31aは、導通電極(図示略)を介して電気的に導通されており、全体として1つの共通電極31として機能するようになっている。なお、金属突起体31aは微細なピッチで配列されており、隣接する金属突起体31aの間隔は非常に微細であるため、画素電極9と同様、全体として見れば、共通電極31の電極としての機能は、第1実施形態の液晶装置における共通電極とほとんど変わらない。
そして、共通電極31に入射した光のうち、金属突起体31aの延在方向に対して略平行方向に振動する偏光については反射させ、金属突起体31aの延在方向に対して略垂直方向に振動する偏光については透過させることができる。特に本実施形態では、ワイヤーグリッド偏光子62の偏光機能が高いために対向基板20側の外付けの偏光子は設けられていない。
以下、上記液晶装置101,102のいずれかを光変調手段として備えたプロジェクタの構成について、図9を参照して説明する。
図9は、プロジェクタ800の要部を示す概略構成図である。
プロジェクタ(投射型表示装置)800は、光源810、ダイクロイックミラー813,814、反射ミラー815,816,817、入射レンズ818、リレーレンズ819、出射レンズ820、光変調手段822,823,824、クロスダイクロイックプリズム825、投射レンズ826を備える。
このプロジェクタ800は、上記液晶装置101,102を光変調手段822,823,824として備えている。
合成された光は、投射光学系である投射レンズ826によってスクリーン827上に投影され、画像が拡大されて表示される。
また、その他の電子機器としては、例えばICカード、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、さらに表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイ等が挙げられる。
10…アレイ基板、 16,22…配向膜(誘電体層、斜め配向誘電体層)、
20…対向基板、 21…共通電極、 50…液晶層、 60,62…ワイヤーグリッド偏光子、 101,102…液晶装置、 800…プロジェクタ
Claims (6)
- 一対の基板の間に液晶層が挟持された液晶装置の製造方法において、
前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板の製造工程は、
前記基板上に多数の略平行な直線状の金属突起体からなるワイヤーグリッド偏光子を形成する工程と、
前記金属突起体上に誘電体層を斜方成膜しつつ、前記金属突起体同士の間に空洞部を形成する工程と、
を有することを特徴とする液晶装置の製造方法。 - 前記誘電体層が前記液晶層に接触するように前記基板を配置する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 一対の対向基板の間に液晶層が挟持された液晶装置において、
前記対向基板うちの少なくとも一方は、
多数の略平行な直線状の金属突起体からなるワイヤーグリッド偏光子と、
前記金属突起体同士の間に配置された空洞部と、
前記金属突起体及び前記空洞部を覆う斜め配向誘電体層と、
を備えることを特徴とする液晶装置。 - 前記斜め配向誘電体層は、前記液晶層に接触配置される配向膜として用いられることを特徴とする請求項3に記載の液晶装置。
- 前記金属突起体は、前記液晶層を駆動するための電極として用いられることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の液晶装置。
- 請求項1又は請求項2に記載の方法により製造された液晶装置、又は請求項3から請求項5のうちいずれか一項に記載の液晶装置を、光変調手段として備えることを特徴とするプロジェクタ。
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