以下、本発明の参考技術と実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の参考技術1》
本発明の参考技術1について説明する。本参考技術の調湿装置は、除湿した空気を室内へ供給する除湿運転と、加湿した空気を室内へ供給する加湿運転とを切り換えて行うように構成されている。
尚、本参考技術の説明において用いる「上」「下」「左」「右」「前」「後」「手前」「奥」は、本参考技術の調湿装置を正面側から見た場合のものを意味している。
図1及び図2に示すように、上記調湿装置は、高さの低い扁平な直方体状のケーシング(10)を備えている。このケーシング(10)には、2つの吸着素子(81,82)と冷媒回路とが収納されている。
冷媒回路には、再生用熱交換器(72)と、第1熱交換器(73)と、第2熱交換器(74)と、圧縮機(71)と、膨張弁とが設けられている。尚、図1及び図2において、膨張弁の図示は省略する。この冷媒回路では、充填された冷媒を循環させることによって冷凍サイクルが行われる。再生用熱交換器(72)は、凝縮器として機能する。また、冷媒回路では、第1熱交換器(73)が蒸発器となって第2熱交換器(74)が休止する動作と、第2熱交換器(74)が蒸発器となって第1熱交換器(73)が休止する動作とが切換可能となっている。
図6に示すように、上記吸着素子(81,82)は、平板状の平板部材(83)と波形状の波板部材(84)とを交互に積層したものであり、全体として直方体状ないし四角柱状に形成されている。吸着素子(81,82)には、平板部材(83)及び波板部材(84)の積層方向において、調湿側通路(85)と冷却側通路(86)とが平板部材(83)を挟んで交互に区画形成されている。吸着素子(81,82)では、平板部材(83)の長辺側の側面に調湿側通路(85)が開口し、平板部材(83)の短辺側の側面に冷却側通路(86)が開口している。調湿側通路(85)に臨む平板部材(83)及び波板部材(84)の表面には、ゼオライト等の吸着剤が塗布されている。この吸着素子(81,82)は、調湿用部材を構成している。
図1及び図2に示すように、上記ケーシング(10)では、正面側の第1パネル(11)に排気口(14)及び給気口(16)が設けられ、背面側の第2パネル(12)に外気吸込口(13)及び内気吸込口(15)が設けられている。第1パネル(11)では、その右側部分のやや中央寄りに排気口(14)が、その左側部分のやや中央寄りに給気口(16)がそれぞれ開口している。第2パネル(12)では、その右端寄りの下部に外気吸込口(13)が、その左端寄りの下部に内気吸込口(15)がそれぞれ開口している。
ケーシング(10)の内部は、正面側の空間と背面側の空間とに仕切られている。
ケーシング(10)内の正面側の空間は、左右に仕切られており、右側の空間が第1空間(41)を、左側の空間が第2空間(42)をそれぞれ構成している。第1空間(41)は、排気口(14)を介して室外に連通しており、その内部に圧縮機(71)と排気ファン(45)と第1熱交換器(73)とが設置されている。第2空間(42)は、給気口(16)を介して室内に連通しており、その内部に給気ファン(46)と第2熱交換器(74)とが設置されている。
ケーシング(10)内の背面側の空間には、右側仕切板(20)と左側仕切板(30)とが立設されている。この背面側の空間は、右側仕切板(20)及び左側仕切板(30)によって、左右に3つの空間に仕切られている。
ケーシング(10)の右側板と右側仕切板(20)の間の空間は、上下に仕切られている。この空間は、上側の空間が右上部流路(65)を構成し、下側の空間が右下部流路(66)を構成している。右上部流路(65)は、第1空間(41)及び排気口(14)を介して室外と連通している。右下部流路(66)は、外気吸込口(13)を介して室外と連通している。そして、右上部流路(65)及び右下部流路(66)は、室外に連通する室外側の空気流路を構成している。
ケーシング(10)の左側板と左側仕切板(30)の間の空間は、上下に仕切られている。この空間は、上側の空間が左上部流路(67)を構成し、下側の空間が左下部流路(68)を構成している。左上部流路(67)は、第2空間(42)及び給気口(16)を介して室内と連通している。左下部流路(68)は、内気吸込口(15)を介して室内と連通している。そして、左上部流路(67)及び左下部流路(68)は、室内に連通する室内側の空気流路を構成している。
ケーシング(10)内における右側仕切板(20)と左側仕切板(30)の間の空間には、2つの吸着素子(81,82)が設置されている。2つの吸着素子(81,82)は、前後に間隔をおいて並べられている。具体的には、ケーシング(10)の正面寄りに第1吸着素子(81)が配置され、その背面寄りに第2吸着素子(82)が配置されている。また、各吸着素子(81,82)は、上下の面に調湿側通路(85)が開口し、その前後の面に冷却側通路(86)が開口する姿勢となっている。
また、ケーシング(10)内における右側仕切板(20)と左側仕切板(30)の間の空間は、第1流路(51)、第2流路(52)、第1上部流路(53)、第1下部流路(54)、第2上部流路(55)、第2下部流路(56)及び中央流路(57)に区画されている。
第1流路(51)は、第1吸着素子(81)の手前側に形成され、第1吸着素子(81)の冷却側通路(86)に連通している。第2流路(52)は、第2吸着素子(82)の奥側に形成され、第2吸着素子(82)の冷却側通路(86)に連通している。
第1上部流路(53)は、第1吸着素子(81)の上側に形成され、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)に連通している。第1下部流路(54)は、第1吸着素子(81)の下側に形成され、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)に連通している。第2上部流路(55)は、第2吸着素子(82)の上側に形成され、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)に連通している。第2下部流路(56)は、第2吸着素子(82)の下側に形成され、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)に連通している。
中央流路(57)は、第1吸着素子(81)と第2吸着素子(82)の間に形成され、両吸着素子(81,82)の冷却側通路(86)に連通している。この中央流路(57)には、再生用熱交換器(72)が立設されている。この再生用熱交換器(72)は、空気を加熱するための加熱器を構成している。
中央流路(57)と第1下部流路(54)の間の仕切りには、その下部に第1中央ダンパ(61)が設けられている。第1中央ダンパ(61)は、中央流路(57)と第1下部流路(54)の間を断続する。中央流路(57)と第2下部流路(56)の間の仕切りには、その下部に第2中央ダンパ(62)が設けられている。第2中央ダンパ(62)は、中央流路(57)と第2下部流路(56)の間を断続する。
右側仕切板(20)には、第1右側ダンパ(21)、第2右側ダンパ(22)、第1右上ダンパ(23)、第1右下ダンパ(24)、第2右上ダンパ(25)、及び第2右下ダンパ(26)が設けられている。
第1右側ダンパ(21)は、右側仕切板(20)における最も手前側の下部に設けられ、第1流路(51)と右下部流路(66)の間を断続する。第2右側ダンパ(22)は、右側仕切板(20)における最も奥側の下部に設けられ、第2流路(52)と右下部流路(66)の間を断続する。
第1右上ダンパ(23)は、右側仕切板(20)のうち第1吸着素子(81)に隣接する部分の上部に設けられ、第1上部流路(53)と右上部流路(65)の間を断続する。第1右下ダンパ(24)は、右側仕切板(20)のうち第1吸着素子(81)に隣接する部分の下部に設けられ、第1下部流路(54)と右下部流路(66)の間を断続する。第2右上ダンパ(25)は、右側仕切板(20)のうち第2吸着素子(82)に隣接する部分の上部に設けられ、第2上部流路(55)と右上部流路(65)の間を断続する。第2右下ダンパ(26)は、右側仕切板(20)のうち第2吸着素子(82)に隣接する部分の下部に設けられ、第2下部流路(56)と右下部流路(66)の間を断続する。
このように、第1右側ダンパ(21)、第1右上ダンパ(23)、及び第1右下ダンパ(24)は、室外側の空気流路である右上部流路(65)や右下部流路(66)から第1吸着素子(81)へ向かう空気の流れを遮断する遮断機構を構成している。一方、第2右側ダンパ(22)、第2右上ダンパ(25)、及び第2右下ダンパ(26)は、室外側の空気流路である右上部流路(65)や右下部流路(66)から第2吸着素子(82)へ向かう空気の流れを遮断する遮断機構を構成している。
左側仕切板(30)には、第1左側ダンパ(31)、第2左側ダンパ(32)、第1左上ダンパ(33)、第1左下ダンパ(34)、第2左上ダンパ(35)、及び第2左下ダンパ(36)が設けられている。
第1左側ダンパ(31)は、左側仕切板(30)における手前側の下部に設けられ、第1流路(51)と左下部流路(68)の間を断続する。第2左側ダンパ(32)は、左側仕切板(30)における奥側の下部に設けられ、第2流路(52)と左下部流路(68)の間を断続する。
第1左上ダンパ(33)は、左側仕切板(30)のうち第1吸着素子(81)に隣接する部分の上部に設けられ、第1上部流路(53)と左上部流路(67)の間を断続する。第1左下ダンパ(34)は、左側仕切板(30)のうち第1吸着素子(81)に隣接する部分の下部に設けられ、第1下部流路(54)と左下部流路(68)の間を断続する。第2左上ダンパ(35)は、左側仕切板(30)のうち第2吸着素子(82)に隣接する部分の上部に設けられ、第2上部流路(55)と左上部流路(67)の間を断続する。第2左下ダンパ(36)は、左側仕切板(30)のうち第2吸着素子(82)に隣接する部分の下部に設けられ、第2下部流路(56)と左下部流路(68)の間を断続する。
このように、第1左側ダンパ(31)、第1左上ダンパ(33)、及び第1左下ダンパ(34)は、室内側の空気流路流路である左上部流路(67)や左下部流路(68)から第1吸着素子(81)へ向かう空気の流れを遮断する遮断機構を構成している。一方、第2左側ダンパ(32)、第2左上ダンパ(35)、及び第2左下ダンパ(36)は、室内側の空気流路流路である左上部流路(67)や左下部流路(68)から第2吸着素子(82)へ向かう空気の流れを遮断する遮断機構を構成している。
−運転動作−
上記調湿装置の運転動作について説明する。この調湿装置は、除湿運転と加湿運転とを切り換えて行う。また、この調湿装置は、第1動作と第2動作とを交互に繰り返すことによって除湿運転や加湿運転を行う。
〈除湿運転〉
図2及び図3に示すように、除湿運転時において、給気ファン(46)を駆動すると、室外空気(OA)が外気吸込口(13)からケーシング(10)内へ第1空気として取り込まれる。一方、排気ファン(45)を駆動すると、室内空気(RA)が内気吸込口(15)からケーシング(10)内へ第2空気として取り込まれる。また、除湿運転時において、冷媒回路では、再生用熱交換器(72)が凝縮器となり、第2熱交換器(74)が蒸発器となる一方、第1熱交換器(73)が休止する。
除湿運転中の第1動作について、図2を参照しながら説明する。この第1動作では、第1吸着素子(81)についての吸着動作と、第2吸着素子(82)についての再生動作とが行われる。
この第1動作において、右側仕切板(20)では、第1右下ダンパ(24)と第2右上ダンパ(25)とが開状態となり、残りのダンパ(21,22,23,26)が閉状態となる。左側仕切板(30)では、第1左側ダンパ(31)と第1左上ダンパ(33)とが開状態となり、残りのダンパ(32,34,35,36)が閉状態となる。第1中央ダンパ(61)は閉状態となり、第2中央ダンパ(62)は開状態となる。
ケーシング(10)内へ取り込まれた第1空気は、右下部流路(66)から第1右下ダンパ(24)を通って第1下部流路(54)へ流入する。第1下部流路(54)の第1空気は、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)へ流入する。この調湿側通路(85)では、第1空気中の水蒸気が吸着剤に吸着される。第1吸着素子(81)で除湿された第1空気は、第1上部流路(53)へ流入し、その後に第1左上ダンパ(33)と左上部流路(67)とを順に通過して第2空間(42)へ流入する。第2空間(42)において、第1空気は、第2熱交換器(74)を通過する間に冷媒と熱交換して冷却される。そして、除湿されて冷却された第1空気は、給気口(16)を通って室内へ供給される。
一方、ケーシング(10)内へ取り込まれた第2空気は、左下部流路(68)から第1左側ダンパ(31)を通って第1流路(51)へ流入し、その後に第1吸着素子(81)の冷却側通路(86)へ流入する。この冷却側通路(86)を流れる間に、第2空気は、調湿側通路(85)で生じた吸着熱を吸熱する。吸着熱を奪った第2空気は、中央流路(57)へ流入して再生用熱交換器(72)を通過し、その際に冷媒と熱交換して更に加熱される。
加熱された第2空気は、中央流路(57)から第2下部流路(56)へ流入し、その後に第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)へ流入する。この調湿側通路(85)では、第2空気によって吸着剤が加熱され、吸着剤から水蒸気が脱離する。吸着剤から脱離した水蒸気は、第2空気に付与される。調湿側通路(85)で加湿された第2空気は、第2上部流路(55)へ流入し、その後に第2右上ダンパ(25)と右上部流路(65)とを順に通過して第1空間(41)へ流入する。その後、第2空気は、休止中の第1熱交換器(73)を通過し、排気口(14)を通って室外へ排出される。
除湿運転の第2動作について、図3を参照しながら説明する。この第2動作では、第2吸着素子(82)についての吸着動作と、第1吸着素子(81)についての再生動作とが行われる。
この第2動作において、右側仕切板(20)では、第1右上ダンパ(23)と第2右下ダンパ(26)とが開状態となり、残りのダンパ(21,22,24,25)が閉状態となる。左側仕切板(30)では、第2左側ダンパ(32)と第2左上ダンパ(35)とが開状態となり、残りのダンパ(31,33,34,36)が閉状態となる。第1中央ダンパ(61)は開状態となり、第2中央ダンパ(62)は閉状態となる。
ケーシング(10)内へ取り込まれた第1空気は、右下部流路(66)から第2右下ダンパ(26)を通って第2下部流路(56)へ流入する。第2下部流路(56)の第1空気は、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)へ流入する。この調湿側通路(85)では、第1空気中の水蒸気が吸着剤に吸着される。第2吸着素子(82)で除湿された第1空気は、第2上部流路(55)へ流入し、その後に第2左上ダンパ(35)と左上部流路(67)とを順に通過して第2空間(42)へ流入する。第2空間(42)において、第1空気は、第2熱交換器(74)を通過する間に冷媒と熱交換して冷却される。そして、除湿されて冷却された第1空気は、給気口(16)を通って室内へ供給される。
一方、ケーシング(10)内へ取り込まれた第2空気は、左下部流路(68)から第2左側ダンパ(32)を通って第2流路(52)へ流入し、その後に第2吸着素子(82)の冷却側通路(86)へ流入する。この冷却側通路(86)を流れる間に、第2空気は、調湿側通路(85)で生じた吸着熱を吸熱する。吸着熱を奪った第2空気は、中央流路(57)へ流入して再生用熱交換器(72)を通過し、その際に冷媒と熱交換して更に加熱される。
加熱された第2空気は、中央流路(57)から第1下部流路(54)へ流入し、その後に第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)へ流入する。この調湿側通路(85)では、第2空気によって吸着剤が加熱され、吸着剤から水蒸気が脱離する。吸着剤から脱離した水蒸気は、第2空気に付与される。調湿側通路(85)で加湿された第2空気は、第1上部流路(53)へ流入し、その後に第1右上ダンパ(23)と右上部流路(65)とを順に通過して第1空間(41)へ流入する。その後、第2空気は、休止中の第1熱交換器(73)を通過し、排気口(14)を通って室外へ排出される。
〈加湿運転〉
図4及び図5に示すように、加湿運転時において、給気ファン(46)を駆動すると、室外空気(OA)が外気吸込口(13)からケーシング(10)へ第2空気として取り込まれる。一方、排気ファン(45)を駆動すると、室内空気(RA)が内気吸込口(15)からケーシング(10)内へ第1空気として取り込まれる。また、加湿運転時において、冷媒回路では、再生用熱交換器(72)が凝縮器となり、第1熱交換器(73)が蒸発器となる一方、第2熱交換器(74)が休止する。
加湿運転の第1動作について、図4を参照しながら説明する。この第1動作では、第1吸着素子(81)についての吸着動作と、第2吸着素子(82)についての再生動作とが行われる。
この第1動作において、右側仕切板(20)では、第1右側ダンパ(21)と第1右上ダンパ(23)とが開状態となり、残りのダンパ(22,24,25,26)が閉状態となる。左側仕切板(30)では、第1左下ダンパ(34)と第2左上ダンパ(35)とが開状態となり、残りのダンパ(31,32,33,36)が閉状態となる。第1中央ダンパ(61)は閉状態となり、第2中央ダンパ(62)は開状態となる。
ケーシング(10)内へ取り込まれた第1空気は、左下部流路(68)から第1左下ダンパ(34)を通って第1下部流路(54)へ流入する。第1下部流路(54)の第1空気は、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)へ流入する。この調湿側通路(85)では、第1空気中の水蒸気が吸着剤に吸着される。第1吸着素子(81)で水分を奪われた第1空気は、第1上部流路(53)へ流入し、その後に第1右上ダンパ(23)と右上部流路(65)とを順に通過して第1空間(41)へ流入する。第1空間(41)において、第1空気は、第1熱交換器(73)を通過する間に冷媒と熱交換して冷却される。そして、水分と熱を奪われた第1空気は、排気口(14)を通って室外へ排出される。
一方、ケーシング(10)内へ取り込まれた第2空気は、右下部流路(66)から第1右側ダンパ(21)を通って第1流路(51)へ流入し、その後に第1吸着素子(81)の冷却側通路(86)へ流入する。この冷却側通路(86)を流れる間に、第2空気は、調湿側通路(85)で生じた吸着熱を吸熱する。吸着熱を奪った第2空気は、中央流路(57)へ流入して再生用熱交換器(72)を通過し、その際に冷媒と熱交換して加熱される。
加熱された第2空気は、中央流路(57)から第2下部流路(56)へ流入し、その後に第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)へ流入する。この調湿側通路(85)では、第2空気によって吸着剤が加熱され、吸着剤から水蒸気が脱離する。吸着剤から脱離した水蒸気は、第2空気に付与される。第2吸着素子(82)で加湿された第2空気は、その後に第2上部流路(55)へ流入し、第2左上ダンパ(35)と左上部流路(67)とを順に通過して第2空間(42)へ流入する。その後、第2空気は、休止中の第2熱交換器(74)を通過し、給気口(16)を通って室内へ供給される。
加湿運転の第2動作について、図5を参照しながら説明する。この第2動作では、第2吸着素子(82)についての吸着動作と、第1吸着素子(81)についての再生動作とが行われる。
この第2動作において、右側仕切板(20)では、第2右側ダンパ(22)と第2右上ダンパ(25)とが開状態となり、残りのダンパ(21,23,24,26)が閉状態となる。左側仕切板(30)では、第1左上ダンパ(33)と第2左下ダンパ(36)とが開状態となり、残りのダンパ(31,32,34,35)が閉状態となる。第1中央ダンパ(61)は開状態となり、第2中央ダンパ(62)は閉状態となる。
ケーシング(10)内へ取り込まれた第1空気は、左下部流路(68)から第2左下ダンパ(36)を通って第2下部流路(56)へ流入する。第2下部流路(56)の第1空気は、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)へ流入する。この調湿側通路(85)では、第1空気中の水蒸気が吸着剤に吸着される。第2吸着素子(82)で水分を奪われた第1空気は、第2上部流路(55)へ流入し、その後に第2右上ダンパ(25)と右上部流路(65)とを順に通過して第1空間(41)へ流入する。第1空間(41)において、第1空気は、第1熱交換器(73)を通過する間に冷媒と熱交換して冷却される。そして、水分と熱を奪われた第1空気は、排気口(14)を通って室外へ排出される。
一方、ケーシング(10)内へ取り込まれた第2空気は、右下部流路(66)から第2右側ダンパ(22)を通って第2流路(52)へ流入し、その後に第2吸着素子(82)の冷却側通路(86)へ流入する。この冷却側通路(86)を流れる間に、第2空気は、調湿側通路(85)で生じた吸着熱を吸熱する。吸着熱を奪った第2空気は、中央流路(57)へ流入して再生用熱交換器(72)を通過し、その際に冷媒と熱交換して加熱される。
加熱された第2空気は、中央流路(57)から第1下部流路(54)へ流入し、その後に第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)へ流入する。この調湿側通路(85)では、第2空気によって吸着剤が加熱され、吸着剤から水蒸気が脱離する。吸着剤から脱離した水蒸気は、第2空気に付与される。調湿側通路(85)で加湿された第2空気は、第1上部流路(53)へ流入し、その後に第1吸着素子(81)で加湿された第2空気は、第1上部流路(53)へ流入し、その後に第1左上ダンパ(33)と左上部流路(67)とを順に通過して第2空間(42)へ流入する。その後、第2空気は、休止中の第2熱交換器(74)を通過し、給気口(16)を通って室内へ供給される。
−停止する際の動作−
除湿運転又は加湿運転を停止する際に、上記調湿装置は、吸着素子(81,82)を乾燥させるための乾燥動作を予め行ってから停止する。この動作について、図7及び図8を参照しながら説明する。
第1吸着素子(81)を乾燥させる動作について、図7を参照しながら説明する。この場合、右側仕切板(20)では、第2右側ダンパ(22)及び第1右上ダンパ(23)が開かれ、第1右側ダンパ(21)、第1右下ダンパ(24)、第2右上ダンパ(25)、及び第2右下ダンパ(26)が閉じられる。左側仕切板(30)では、全てのダンパ、即ち第1左側ダンパ(31)、第2左側ダンパ(32)、第1左上ダンパ(33)、第1左下ダンパ(34)、第2左上ダンパ(35)、及び第2左下ダンパ(36)が閉じられる。また、第1中央ダンパ(61)が開かれ、第2中央ダンパ(62)が閉じられる。冷媒回路では冷凍サイクルが行われ、再生用熱交換器(72)が凝縮器となって第1熱交換器(73)が蒸発器となる。
この状態において、排気ファン(45)だけが駆動され、給気ファン(46)は休止する。外気吸込口(13)から右下部流路(66)へ流入した室外空気は、順に第2右側ダンパ(22)と第2流路(52)と第2吸着素子(82)の冷却側通路(86)とを通過して中央流路(57)へ流入する。中央流路(57)へ流入した室外空気は、再生用熱交換器(72)を通過する間に加熱され、その後、順に第1中央ダンパ(61)と第1下部流路(54)とを通過して第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)へ流入する。第1吸着素子(81)は、導入された室外空気によって加熱され、この第1吸着素子(81)から水分が脱離する。第1吸着素子(81)から脱離した水分を付与された室外空気は、順に第1上部流路(53)と第1右上ダンパ(23)と右上部流路(65)とを通過して第1空間(41)へ流入し、排気口(14)を通って室外へ排出される。
第2吸着素子(82)を乾燥させる動作について、図8を参照しながら説明する。この場合、右側仕切板(20)では、第1右側ダンパ(21)及び第2右上ダンパ(25)が開かれ、第2右側ダンパ(22)、第1右上ダンパ(23)、第1右下ダンパ(24)、及び第2右下ダンパ(26)が閉じられる。左側仕切板(30)では、全てのダンパ、即ち第1左側ダンパ(31)、第2左側ダンパ(32)、第1左上ダンパ(33)、第1左下ダンパ(34)、第2左上ダンパ(35)、及び第2左下ダンパ(36)が閉じられる。また、第2中央ダンパ(62)が開かれ、第1中央ダンパ(61)が閉じられる。冷媒回路では冷凍サイクルが行われ、再生用熱交換器(72)が凝縮器となって第1熱交換器(73)が蒸発器となる。
この状態において、排気ファン(45)だけが駆動され、給気ファン(46)は休止する。外気吸込口(13)から右下部流路(66)へ流入した室外空気は、順に第1右側ダンパ(21)と第1流路(51)と第1吸着素子(81)の冷却側通路(86)とを通過して中央流路(57)へ流入する。中央流路(57)へ流入した室外空気は、再生用熱交換器(72)を通過する間に加熱され、その後、順に第2中央ダンパ(62)と第2下部流路(56)とを通過して第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)へ流入する。第2吸着素子(82)は、導入された室外空気によって加熱され、この第2吸着素子(82)から水分が脱離する。第2吸着素子(82)から脱離した水分を付与された室外空気は、順に第2上部流路(55)と第2右上ダンパ(25)と右上部流路(65)とを通過して第1空間(41)へ流入し、排気口(14)を通って室外へ排出される。
上記調湿装置は、上述した第1吸着素子(81)を乾燥させる動作と第2吸着素子(82)を乾燥させる動作との両方を行い、その後に右側仕切板(20)及び左側仕切板(30)に設けられた全てのダンパ(21,…,31,…)を閉じてから停止する。
つまり、図9に示すように、調湿装置は、第1左側ダンパ(31)、第2左側ダンパ(32)、第1左上ダンパ(33)、第1左下ダンパ(34)、第2左上ダンパ(35)、及び第2左下ダンパ(36)を停止する際に閉状態に設定し、停止中もこれらのダンパ(31,…)を閉状態に保持する。これによって、第1吸着素子(81)及び第2吸着素子(82)は、室内側流路である左上部流路(67)及び左下部流路(68)から隔てられる。そして、閉状態に保持されたこれらのダンパ(31,…)は、左上部流路(67)や左下部流路(68)を通って吸着素子(81,82)へ向かう室内空気の流れを遮断する。
更に、調湿装置は、第1右側ダンパ(21)、第2右側ダンパ(22)、第1右上ダンパ(23)、第1右下ダンパ(24)、第2右上ダンパ(25)、及び第2右下ダンパ(26)を停止する際に閉状態に設定し、停止中もこれらのダンパ(21,…)を閉状態に保持する。これによって、第1吸着素子(81)及び第2吸着素子(82)は、室外側流路である右上部流路(65)及び右下部流路(66)から隔てられる。そして、閉状態に保持されたこれらのダンパ(21,…)は、右上部流路(65)や右下部流路(66)を通って吸着素子(81,82)へ向かう室外空気の流れを遮断する。
このように、調湿装置の停止中には、第1吸着素子(81)及び第2吸着素子(82)が室内と室外の両方から隔離された状態となる。従って、調湿装置の停止中に室内空気や室外空気が第1吸着素子(81)及び第2吸着素子(82)へ侵入することはなく、これら吸着素子(81,82)が乾燥した状態に保持される。
−参考技術1の効果−
本参考技術の調湿装置は、その運転を停止する前に予め乾燥動作を行って吸着素子(81,82)を乾燥させている。このため、調湿装置の停止中には、吸着素子(81,82)を乾燥した状態、即ちカビが生育しにくい状態に保つことができる。従って、本参考技術によれば、調湿装置の停止中における吸着素子(81,82)でのカビの発生や成長を抑制でき、カビに起因する吸着素子(81,82)の劣化を低減することができる。この結果、吸着素子(81,82)の寿命を延ばすことができ、調湿装置のランニングコストを低減できる。
また、本参考技術の調湿装置において、運転の停止中には、遮断機構を構成する各ダンパ(21,…,31,…)が閉状態に保持され、吸着素子(81,82)への室内空気や室外空気の侵入が阻止される。従って、調湿装置の停止中には、乾燥動作によって乾燥させた吸着素子(81,82)を確実に乾燥した状態に保つことができ、カビの発生を防止して吸着素子(81,82)の寿命を確実に延ばすことができる。
−参考技術1の変形例−
本参考技術の調湿装置では、吸着素子(81,82)に含まれる水分を増大させるための予備動作を、乾燥動作の直前に行うようにしてもよい。この予備動作としては、室外空気中の水分を吸着素子(81,82)に吸着させる動作を行ってもよいし、室内空気中の水分を吸着素子(81,82)に吸着させる動作を行ってもよい。
先ず、室外空気中の水分を吸着素子(81,82)に吸着させる場合の動作について、図10を参照しながら説明する。この場合、右側仕切板(20)では、第1右上ダンパ(23)、第1右下ダンパ(24)、第2右上ダンパ(25)、及び第2右下ダンパ(26)が開かれ、第1右側ダンパ(21)、第2右側ダンパ(22)が閉じられる。また、左側仕切板(30)では、全てのダンパ、即ち第1左側ダンパ(31)、第2左側ダンパ(32)、第1左上ダンパ(33)、第1左下ダンパ(34)、第2左上ダンパ(35)、及び第2左下ダンパ(36)が閉じられる。尚、第1中央ダンパ(61)及び第2中央ダンパ(62)は、開状態であってもよく、閉状態であってもよい。冷媒回路の圧縮機(71)は、停止している。
この状態において、排気ファン(45)だけが駆動され、給気ファン(46)は休止する。外気吸込口(13)から右下部流路(66)へ流入した室外空気は、その約半分が順に第1右下ダンパ(24)と第1下部流路(54)とを通過して第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)へ流入し、残りの約半分が順に第2右下ダンパ(26)と第2下部流路(56)とを通過して第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)へ流入する。第1及び第2吸着素子(81,82)では、室外空気中の水分が吸着剤に吸着される。第1吸着素子(81)で水分を奪われた室外空気は、順に第1上部流路(53)と第1右上ダンパ(23)とを通過して右上部流路(65)へ流入する。第2吸着素子(82)で水分を奪われた室外空気は、順に第2上部流路(55)と第2右上ダンパ(25)とを通過して右上部流路(65)へ流入する。そして、右上部流路(65)へ流入した室外空気は、第1空間(41)へ流入し、排気口(14)を通って室外へ排出される。
次に、室内空気中の水分を吸着素子(81,82)に吸着させる場合の動作について、図11を参照しながら説明する。この場合、右側仕切板(20)では、第1右上ダンパ(23)及び第2右上ダンパ(25)が開かれ、第1右側ダンパ(21)、第2右側ダンパ(22)、第1右下ダンパ(24)、及び第2右下ダンパ(26)が閉じられる。また、左側仕切板(30)では、第1左下ダンパ(34)及び第2左下ダンパ(36)が開かれ、第1左側ダンパ(31)、第2左側ダンパ(32)、第1左上ダンパ(33)、及び第2左上ダンパ(35)が閉じられる。尚、第1中央ダンパ(61)及び第2中央ダンパ(62)は、開状態であってもよく、閉状態であってもよい。冷媒回路の圧縮機(71)は、停止している。
この状態において、排気ファン(45)だけが駆動され、給気ファン(46)は休止する。内気吸込口(15)から左下部流路(68)へ流入した室内空気は、その約半分が順に第1左下ダンパ(34)と第1下部流路(54)とを通過して第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)へ流入し、残りの約半分が順に第2左下ダンパ(36)と第2下部流路(56)とを通過して第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)へ流入する。第1及び第2吸着素子(81,82)では、室内空気中の水分が吸着剤に吸着される。第1吸着素子(81)で水分を奪われた室内空気は、順に第1上部流路(53)と第1右上ダンパ(23)とを通過して右上部流路(65)へ流入する。第2吸着素子(82)で水分を奪われた室内空気は、順に第2上部流路(55)と第2右上ダンパ(25)とを通過して右上部流路(65)へ流入する。そして、右上部流路(65)へ流入した室内空気は、第1空間(41)へ流入し、排気口(14)を通って室外へ排出される。
ここで、カビの存在する環境の湿度を一旦高めておいてから急激に低下させると、カビの菌糸を効果的に死滅させることができる。そして、カビの菌糸を効率よく死滅させることができれば、カビの生育を確実に抑制することが可能となる。そこで、この変形例では、予備動作を行って吸着素子(81,82)に含まれる水分を一旦は増大させ、その後に乾燥動作を行って吸着素子(81,82)に含まれる水分を急激に減少させることで、カビの菌糸を効率的に死滅させてカビの生育を確実に抑制している。
この変形例では、吸着素子(81,82)の近傍に湿度センサ(91,92)を設け、その出力に基づいて乾燥動作の継続時間を調節するようにしてもよい。
図12に示すように、この場合には、第1上部流路(53)に第1湿度センサ(91)が設けられ、第2上部流路(55)に第2湿度センサ(92)が設けられる。第1湿度センサ(91)は、第1吸着素子(81)に近接した位置に配置され、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)における空気の湿度を検出する。第2湿度センサ(92)は、第2吸着素子(82)に近接した位置に配置され、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)における空気の湿度を検出する。第1湿度センサ(91)及び第2湿度センサ(92)は、それぞれが湿度検出手段を構成している。
また、この場合には、調湿装置にコントローラ(95)が設けられる。このコントローラ(95)には、乾燥時間調節部(96)が設けられている。乾燥時間調節部(96)は、第1湿度センサ(91)及び第2湿度センサ(92)の検出値に応じて乾燥動作の継続時間を調節する制御手段を構成している。具体的に、乾燥時間調節部(96)は、予備動作中における第1湿度センサ(91)及び第2湿度センサ(92)の検出値と、乾燥動作中における第1湿度センサ(91)及び第2湿度センサ(92)の検出値とを比較し、これら検出値の減少率に応じて乾燥動作の継続時間を決定する。
ここで、図13に示すように、予備動作中と乾燥動作中とで吸着素子(81,82)における空気の湿度が大きく変化するほど、短時間でカビの菌糸が死滅するという現象が知られている。例えば、予備動作中における湿度センサ(91,92)の検出値が50%であり、乾燥動作中における湿度センサ(91,92)の検出値が40%である場合には、湿度減少率が40/50=0.8となり、約27分間に亘って乾燥動作を行えばカビの菌糸が死滅する。そこで、乾燥時間調節部(96)は、乾燥動作の継続時間を27分間以上に設定する。また、予備動作中における湿度センサ(91,92)の検出値が50%であり、乾燥動作中における湿度センサ(91,92)の検出値が20%である場合には、湿度減少率が20/50=0.4となり、約2分間に亘って乾燥動作を行えばカビの菌糸が死滅する。そこで、乾燥時間調節部(96)は、乾燥動作の継続時間を2分間以上に設定する。
このように第1湿度センサ(91)及び第2湿度センサ(92)の検出値に応じて乾燥動作の継続時間を調節すれば、カビの菌糸を死滅させるために必要にして十分な時間だけ乾燥動作を行うことができ、吸着素子(81,82)におけるカビの生育を確実に抑制して調湿装置の信頼性を向上させることができる。
《発明の参考技術2》
本発明の参考技術2について説明する。本参考技術の調湿装置は、除湿した空気を室内へ供給する除湿運転と、加湿した空気を室内へ供給する加湿運転とを切り換えて行うように構成されている。
図14に示すように、本参考技術の調湿装置は、直方体状で中空のケーシング(110)を備えている。このケーシング(110)は、その内部が排気側流路(115)と給気側流路(116)とに仕切られている。このケーシング(110)では、対向する一対の側面のうちの一方に排気口(112)と外気吸込口(111)とが並んで開口し、他方に内気吸込口(113)と給気口(114)とが並んで開口している。内気吸込口(113)は排気側流路(115)の入口端に、排気口(112)は排気側流路(115)の出口端にそれぞれ接続している。一方、外気吸込口(111)は給気側流路(116)の入口端に、給気口(114)は給気側流路(116)の出口端にそれぞれ接続している。
ケーシング(110)の内部には、円板状に形成された吸着素子(120)が調湿用部材として設けられている。吸着素子(120)は、ハニカム状に形成されて厚み方向へ空気が通過可能に構成されており、通過する空気をゼオライト等の吸着剤と接触させる。吸着素子(120)は、排気側流路(115)と給気側流路(116)の両方を横断するように配置され、その中心軸周りに回転駆動される。
ケーシング(110)内の排気側流路(115)において、吸着素子(120)の上流側には加熱器である第1熱交換器(121)が設置され、吸着素子(120)の下流側には排気ファン(125)が設置されている。ケーシング(110)内の給気側流路(116)において、吸着素子(120)の上流側には加熱器である第2熱交換器(122)が設置され、吸着素子(120)の下流側には給気ファン(126)が設置されている。第1熱交換器(121)及び第2熱交換器(122)は、それぞれが通過する空気を温水と熱交換させるように構成されている。
−運転動作−
上記調湿装置の運転動作について、図14(A)を参照しながら説明する。この調湿装置は、除湿運転と加湿運転とを切り換えて行う。
〈除湿運転〉
除湿運転時には、第1熱交換器(121)へ温水が供給され、第2熱交換器(122)が休止する。この除湿運転では、吸着素子(120)のうち給気側流路(116)を横断する部分についての吸着動作と、吸着素子(120)のうち排気側流路(115)を横断する部分についての再生動作とが同時に並行して行われる。
給気ファン(126)を運転すると、外気吸込口(111)から給気側流路(116)へ室外空気が取り込まれる。取り込まれた室外空気は、休止中の第2熱交換器(122)を通過後に吸着素子(120)へ送られる。吸着素子(120)では、通過する室外空気中の水分が吸着剤に吸着される。吸着素子(120)で除湿された室外空気は、給気口(114)を通って室内へ供給される。
排気ファン(125)を運転すると、内気吸込口(113)から排気側流路(115)へ室内空気が取り込まれる。取り込まれた室内空気は、第1熱交換器(121)を通過する間に加熱されてから吸着素子(120)へ送られる。排気側流路(115)へは、吸着素子(120)のうち給気側流路(116)を横断する間に水分を吸着した部分が移動してくる。この吸着素子(120)の部分に担持された吸着剤は、第1熱交換器(121)から供給された室内空気によって加熱され、この吸着剤から水分が脱離する。吸着剤から脱離した水分を付与された室内空気は、排気口(112)を通って室外へ排出される。また、吸着素子(120)のうち排気側流路(115)を横断する間に再生された部分は、給気側流路(116)へと移動してゆく。
〈加湿運転〉
加湿運転時には、第2熱交換器(122)へ温水が供給され、第1熱交換器(121)が休止する。この加湿運転では、吸着素子(120)のうち排気側流路(115)を横断する部分についての吸着動作と、吸着素子(120)のうち給気側流路(116)を横断する部分についての再生動作とが同時に並行して行われる。
排気ファン(125)を運転すると、内気吸込口(113)から排気側流路(115)へ室内空気が取り込まれる。取り込まれた室内空気は、休止中の第1熱交換器(121)を通過後に吸着素子(120)へ送られる。吸着素子(120)では、通過する室内空気中の水分が吸着剤に吸着される。吸着素子(120)に水分を奪われた室内空気は、排気口(112)を通って室外へ排出される。
給気ファン(126)を運転すると、外気吸込口(111)から給気側流路(116)へ室外空気が取り込まれる。取り込まれた室外空気は、第2熱交換器(122)を通過する間に加熱されてから吸着素子(120)へ送られる。給気側流路(116)へは、吸着素子(120)のうち排気側流路(115)を横断する間に水分を吸着した部分が移動してくる。この吸着素子(120)の部分に担持された吸着剤は、第2熱交換器(122)から供給された室内空気によって加熱され、この吸着剤から水分が脱離する。吸着剤から脱離した水分を付与されて加湿された室内空気は、給気口(114)を通って室内へ供給される。また、吸着素子(120)のうち給気側流路(116)を横断する間に再生された部分は、排気側流路(115)へと移動してゆく。
−停止する際の動作−
除湿運転又は加湿運転を停止する際に、上記調湿装置は、吸着素子(120)を乾燥させるための乾燥動作を予め行ってから停止する。この動作について、図14(B)を参照しながら説明する。
乾燥動作中には、排気ファン(125)を運転して吸気ファンを停止させ、第1熱交換器(121)へ温水を供給して第2熱交換器(122)を休止させる。この状態で、吸着素子(120)へは、排気側流路(115)へ取り込まれて第1熱交換器(121)で加熱された室内空気が供給される。このため、吸着素子(120)のうち排気側流路(115)を横断する部分の吸着剤が再生される。そして、吸着素子(120)を回転駆動すると、吸着素子(120)全体の吸着剤から水分が脱離して吸着素子(120)が乾燥状態となる。
−参考技術2の効果−
本参考技術の調湿装置は、その運転を停止する前に予め乾燥動作を行って吸着素子(120)を乾燥させている。従って、本参考技術によれば、上記参考技術1と同様の効果が得られる。
−参考技術2の変形例1−
本参考技術の調湿装置では、停止状態が所定時間に亘って継続する毎に乾燥動作を行うようにしてもよい。この場合、調湿装置には、コントローラ(130)が設けられる。このコントローラ(130)には、タイマー部(131)と乾燥動作制御部(132)とが設けられている。タイマー部(131)は、調湿装置が停止した時点からの経過時間を計測するタイマー手段を構成している。乾燥動作制御部(132)は、タイマー部(131)が計測した時間、即ち停止状態の継続時間が基準時間に達する毎に乾燥動作を行う制御手段を構成している。
ここで、調湿装置の停止中には、室外空気や室内空気がケーシング(110)内へ侵入することがあり、室外空気や室内空気に含まれる水分が吸着素子(120)に吸着されるおそれがある。そこで、本変形例では、タイマー部(131)が計測した停止状態の継続時間が基準時間に達すると、乾燥動作を行って吸着素子(120)から水分を脱離させるようにしている。このため、本変形例によれば、調湿装置の停止中に室外空気や室内空気がケーシング(110)内へ侵入する場合であっても、吸着素子(120)を乾燥した状態に保持することができる。
−参考技術2の変形例2−
本参考技術の調湿装置では、調湿装置の停止中に室外空気や室内空気がケーシング(110)内へ侵入するのを防止するためのダンパ(141〜144)を設けてもよい。図16に示すように、この変形例の調湿装置では、ケーシング(110)内に4つのダンパ(141〜144)が設けられる。
第1ダンパ(141)は、排気口(112)の近傍に設けられて排気口(112)を開閉する。第2ダンパ(142)は、外気吸込口(111)の近傍に設けられて外気吸込口(111)を開閉する。第3ダンパ(143)は、内気吸込口(113)の近傍に設けられて内気吸込口(113)を開閉する。第4ダンパ(144)は、給気口(114)の近傍に設けられて給気口(114)を開閉する。
これら4つのダンパ(141〜144)は、遮断機構を構成している。この点について説明する。
排気側流路(115)は、吸着素子(120)の上流側の部分が内気吸込口(113)に接続して室内側の空気流路を構成し、吸着素子(120)の下流側の部分が排気口(112)に接続して室外側の空気流路を構成する。そして、第3ダンパ(143)を閉じると、内気吸込口(113)から排気側流路(115)を通って吸着素子(120)へ向かう空気の流れが阻止され、第1ダンパ(141)を閉じると、排気口(112)から排気側流路(115)を通って吸着素子(120)へ向かう空気の流れが阻止される。
一方、給気側流路(116)は、吸着素子(120)の上流側の部分が外気吸込口(111)に接続して室外側の空気流路を構成し、吸着素子(120)の下流側の部分が給気口(114)に接続して室内側の空気流路を構成する。そして、第2ダンパ(142)を閉じると、外気吸込口(111)から給気側流路(116)を通って吸着素子(120)へ向かう空気の流れが阻止され、第4ダンパ(144)を閉じると、給気口(114)から給気側流路(116)を通って吸着素子(120)へ向かう空気の流れが阻止される。
除湿運転中や加湿運転中には、図16(A)に示すように、4つのダンパ(141〜144)が全て開状態に設定される。乾燥動作中には、図16(B)に示すように、第1ダンパ(141)及び第3ダンパ(143)が開状態となり、第2ダンパ(142)及び第4ダンパ(144)が閉状態となる。乾燥動作が終了すると、図16(C)に示すように、排気ファン(125)が停止し、第1ダンパ(141)及び第3ダンパ(143)が閉じられる。この状態では、ケーシング(110)の内部が室外と室内の両方から隔離された状態となり、ケーシング(110)内への室外空気や室内空気の侵入が阻止される。従って、調湿装置の停止中においても、吸着素子(120)を乾燥状態に保持することができる。
《発明の参考技術3》
本発明の参考技術3について説明する。本参考技術の調湿装置は、室内の換気を行うと共に、室外へ排出される空気を利用して室内へ供給される空気の湿度を調節するように構成されている。
図17に示すように、本参考技術の調湿装置は、直方体状で中空のケーシング(210)を備えている。このケーシング(210)では、対向する一対の側面のうちの一方に排気口(212)と外気吸込口(211)とが並んで開口し、他方に内気吸込口(213)と給気口(214)とが並んで開口している。ケーシング(210)の内部には、内気吸込口(213)に連通する第1排気側流路(215)と、排気口(212)に連通する第2排気側流路(216)と、外気吸込口(211)に連通する第1給気側流路(217)と、給気口(214)に連通する第2給気側流路(218)とが形成されている。第2排気側流路(216)には排気ファン(225)が設置され、第2給気側流路(218)には給気ファン(226)が設置されている。
ケーシング(210)内には、調湿用部材である全熱交換器(220)が収納されている。この全熱交換器(220)は、室内空気の流れる空気通路と室外空気の流れる空気通路とが複数ずつ備え、室内空気と室外空気の間で熱と水分の授受を行わせるように構成されている。また、全熱交換器(220)は、全体形状が四角柱状に形成されており、その長手方向に延びる側面のうち対向する2つの側面に室内空気の流れる空気通路が、残りの2つの側面に 室外空気の流れる空気通路がそれぞれ開口している。そして、全熱交換器(220)は、室内空気の流れる空気通路が第1排気側流路(215)及び第2排気側流路(216)に連通し、室外空気の流れる空気通路が第1給気側流路(217)及び第2給気側流路(218)に連通する姿勢で設置されている。
−運転動作−
この調湿装置の運転動作について説明する。
排気ファン(225)及び給気ファン(226)を運転すると、外気吸込口(211)から取り込まれた室外空気と、内気吸込口(213)から取り込まれた室内空気とが全熱交換器(220)へ送り込まれる。全熱交換器(220)では、送り込まれた室外空気と室内空気の間で熱と水分の授受が行われる。
例えば、冬季に室内を暖房している場合は、室内空気に比べて室外空気が低温で乾燥した状態となる。従って、この場合、全熱交換器(220)では、室内空気中の熱と水分が室外空気へ移動する。そして、全熱交換器(220)で加熱されると同時に加湿された室外空気が室内へ供給される一方、全熱交換器(220)を通過した室内空気が室外へ排出される。
一方、夏季に室内を冷房している場合は、室内空気に比べて室外空気は高温で湿った状態となる。従って、この場合、全熱交換器(220)では、室外空気中の熱と水分が室内空気へ移動する。そして、全熱交換器(220)で冷却されると同時に除湿された室外空気が室内へ供給される一方、全熱交換器(220)を通過した室内空気が室外へ排出される。
−停止する際の動作−
運転を停止する際に、上記調湿装置は、全熱交換器(220)を乾燥させるための乾燥動作を予め行ってから停止する。具体的に、この調湿装置は、室外空気と室内空気の何れか一方だけを全熱交換器(220)へ供給する動作を乾燥動作として行う。
例えば、冬季に室内を暖房している場合は、室内空気に比べて室外空気が低温で絶対湿度の低い状態となる。このような場合、調湿装置は、絶対湿度の低い室外空気だけを全熱交換器(220)へ供給する動作を乾燥動作として行う。つまり、比較的乾燥した室外空気だけを全熱交換器(220)へ供給することで、全熱交換器(220)が保持する水分の量を削減する。
一方、夏季に室内を冷房している場合は、室内空気に比べて室外空気は高温で絶対湿度の高い状態となる。このような場合、調湿装置は、絶対湿度の低い室内空気だけを全熱交換器(220)へ供給する動作を乾燥動作として行う。つまり、比較的乾燥した室内空気だけを全熱交換器(220)へ供給することで、全熱交換器(220)が保持する水分の量を削減する。
−参考技術3の効果−
本参考技術の調湿装置は、その運転を停止する前に予め乾燥動作を行って全熱交換器(220)を乾燥させている。従って、本参考技術によれば、上記参考技術1と同様の効果が得られる。つまり、全熱交換器(220)でのカビの生育を抑制することができ、調湿用部材である全熱交換器(220)の寿命を延ばすことができる。
−参考技術3の変形例1−
本参考技術の調湿装置では、調湿装置の停止中に室外空気がケーシング(210)内へ侵入するのを防止するためのダンパ(231,232)を設けてもよい。図18に示すように、この変形例の調湿装置では、ケーシング(210)内に2つのダンパ(231,232)が設けられる。
第1ダンパ(231)は、排気口(212)の近傍に設けられており、この排気口(212)を開閉する。第2ダンパ(232)は、外気吸込口(211)の近傍に設けられており、この外気吸込口(211)を開閉する。
これら2つのダンパ(231,232)は、遮断機構を構成している。つまり、第1ダンパ(231)を閉じると、室外側の空気流路である第2排気側流路(216)を通って全熱交換器(220)へ向かう空気の流れが阻止される。また、第2ダンパ(232)を閉じると、室外側の空気流路である第1給気側流路(217)を通って全熱交換器(220)へ向かう空気の流れが阻止される。
運転中には、図18(A)に示すように、第1ダンパ(231)及び第2ダンパ(232)が開状態に設定される。一方、停止中には、図18(B)に示すように、第1ダンパ(231)及び第2ダンパ(232)が閉状態となる。この状態では、ケーシング(210)の内部が室外から隔離された状態となり、ケーシング(210)内への室外空気の侵入が阻止される。従って、調湿装置の停止中においても、吸着素子(120)を乾燥状態に保持することができる。
この変形例では、図19に示すように、ケーシング(210)内にダンパ(233,234)を更に2つ追加してもよい。具体的に、第3ダンパ(233)は、内気吸込口(213)の近傍に設けられており、この内気吸込口(213)を開閉する。第4ダンパ(234)は、給気口(214)の近傍に設けられており、この給気口(214)を開閉する。
第3ダンパ(233)及び第4ダンパ(234)は、第1ダンパ(231)及び第2ダンパ(232)と共に遮断機構を構成する。つまり、第3ダンパ(233)を閉じると、室内側の空気流路である第1排気側流路(215)を通って全熱交換器(220)へ向かう空気の流れが阻止される。また、第4ダンパ(234)を閉じると、室内側の空気流路である第2給気側流路(218)を通って全熱交換器(220)へ向かう空気の流れが阻止される。
この場合、運転中には、図19(A)に示すように、4つのダンパ(231〜234)全てが開状態に設定される。一方、停止中には、図19(B)に示すように、4つのダンパ(231〜234)全てが閉状態となる。この状態では、ケーシング(210)の内部が室外と室内の両方から隔離された状態となり、ケーシング(210)内への室外空気や室内空気の侵入が阻止される。従って、調湿装置の停止中においても、吸着素子(120)を乾燥状態に保持することができる。
また、ケーシング(210)内に4つのダンパ(231〜234)を設ける場合には、図20に示すように、各ダンパ(231〜234)を全熱交換器(220)の近傍に配置してもよい。第1ダンパ(231)は、第2排気側流路(216)に面する全熱交換器(220)の側面に沿って配置され、第2排気側流路(216)と全熱交換器(220)の間を遮断する。第2ダンパ(232)は、第1給気側流路(217)に面する全熱交換器(220)の側面に沿って配置され、第1給気側流路(217)と全熱交換器(220)の間を遮断する。第3ダンパ(233)は、第1排気側流路(215)に面する全熱交換器(220)の側面に沿って配置され、第1排気側流路(215)と全熱交換器(220)の間を遮断する。第4ダンパ(234)は、第2給気側流路(218)に面する全熱交換器(220)の側面に沿って配置され、第2給気側流路(218)と全熱交換器(220)の間を遮断する。そして、運転中には、図20(A)に示すように4つのダンパ(231〜234)全てが開状態に設定され、停止中には、図20(B)に示すように4つのダンパ(231〜234)全てが閉状態に設定される。
−参考技術3の変形例2−
本参考技術の調湿装置では、調湿用部材としての加湿エレメント(221)を追加するようにしてもよい。図21に示すように、加湿エレメント(221)は、第2給気側流路(218)における給気ファン(226)の下流側に配置されている。加湿エレメント(221)は、透湿膜を介して、あるいは直接に水と空気を接触させ、通過する空気を加湿するように構成されている。
室内へ供給する空気を加湿する場合には、この加湿エレメント(221)へ水道水などを供給する。この場合、全熱交換器(220)を通過して第2給気側流路(218)を流れる空気は、加湿エレメント(221)を通過する際に加湿されてから給気口(214)を通って室内へ供給される。
この調湿装置は、全熱交換器(220)を乾燥させるための動作だけでなく、加湿エレメント(221)を乾燥させるための動作をも乾燥動作として行う。全熱交換器(220)を乾燥させるための動作は、上述の通りである。つまり、室内空気と室外空気のうち比較的湿度の低い方だけを全熱交換器(220)へ供給し、これによって全熱交換器(220)を乾燥させる。一方、加湿エレメント(221)を乾燥させるための動作としては、加湿エレメント(221)から排水すると共に給気ファン(226)だけを運転する動作が行われる。給気ファン(226)だけを運転すると、ケーシング(210)内に取り込まれた室外空気が加湿エレメント(221)を通過し、これによって加湿エレメント(221)を乾燥させる。尚、室内空気よりも室外空気の方が乾燥している状態では、給気ファン(226)を運転する動作だけで全熱交換器(220)と加湿エレメント(221)の両方を乾燥させることができる。
この変形例の調湿装置には、図22に示すように、開閉ダンパ(222)を追加してもよい。この開閉ダンパ(222)は、第1排気側流路(215)と第2排気側流路(216)を区分する仕切板に設けられ、第1排気側流路(215)と第2排気側流路(216)の間を断続する。室内の換気を行う通常動作中や全熱交換器(220)を乾燥させる乾燥動作中には、図22(A)に示すように、開閉ダンパ(222)が閉状態となり、第1排気側流路(215)と第2排気側流路(216)の間が仕切られる。一方、加湿エレメント(221)を乾燥させる乾燥動作中には、図22(B)に示すように、開閉ダンパ(222)が開状態となり、第1排気側流路(215)と第2排気側流路(216)が連通する。この状態で給気ファン(226)だけが運転され、ケーシング(210)内に取り込まれた室内空気が開閉ダンパ(222)を通過して加湿エレメント(221)へ送られ、それによって加湿エレメント(221)を乾燥させる。
また、この変形例の調湿装置には、図23に示すように、加熱用熱交換器(223)を追加してもよい。この加熱用熱交換器(223)は、第2給気側流路(218)における給気ファン(226)と加湿エレメント(221)の間に設置されている。また、加熱用熱交換器(223)は、冷凍サイクルを行う冷媒回路に接続されており、冷媒と空気を熱交換させることで凝縮器として機能する。
加熱用熱交換器(223)を備える調湿装置において、室内へ供給する空気を加湿する場合には、加湿エレメント(221)へ水道水が供給され、加熱用熱交換器(223)が凝縮器となる。この場合、全熱交換器(220)を通過して第2給気側流路(218)を流れる空気は、加熱用熱交換器(223)を通過する際に加熱され、続いて加湿エレメント(221)を通過する際に加湿されてから給気口(214)を通って室内へ供給される。
加熱用熱交換器(223)を備える調湿装置において、全熱交換器(220)を乾燥させるための動作は、上述の通りである。つまり、室内空気と室外空気のうち比較的湿度の低い方だけを全熱交換器(220)へ供給し、これによって全熱交換器(220)を乾燥させる。一方、加湿エレメント(221)を乾燥させるための動作としては、加湿エレメント(221)から排水すると共に給気ファン(226)だけを運転し且つ加熱用熱交換器(223)で冷媒を凝縮させる動作が行われる。この状態では、ケーシング(210)内に取り込まれた室外空気が加熱用熱交換器(223)で加熱されてから加湿エレメント(221)を通過し、これによって加湿エレメント(221)を乾燥させる。
また、この変形例の調湿装置には、図24に示すように、停止中に室外空気や室内空気が侵入するのを阻止するための遮断機構を設けてもよい。この遮断機構は、上記変形例1の場合と同様に、4つのダンパ(231〜234)によって構成される。第1ダンパ(231)は、排気口(212)の近傍に設けられて排気口(212)を開閉する。第2ダンパ(232)は、外気吸込口(211)の近傍に設けられて外気吸込口(211)を開閉する。第3ダンパ(233)は、内気吸込口(213)の近傍に設けられて内気吸込口(213)を開閉する。第4ダンパ(234)は、給気口(214)の近傍に設けられて給気口(214)を開閉する。そして、調湿装置の停止中は、これら4つのダンパ(231〜234)全てを閉状態に設定し、全熱交換器(220)及び加湿エレメント(221)を室外及び室内から隔離する。
《発明の参考技術4》
本発明の参考技術4について説明する。本参考技術の調湿装置は、除湿した空気を室内へ供給する除湿運転と、加湿した空気を室内へ供給する加湿運転とを切り換えて行うように構成されている。尚、ここでの説明で用いる「上」「下」「左」「右」「前」「後」「手前」「奥」は、何れも本参考技術の調湿装置を前面側から見た場合のものを意味している。
〈調湿装置の全体構成〉
図24に示すように、本参考技術の調湿装置は、ケーシング(310)を備えている。このケーシング(310)には、冷媒回路(350)が収納されている。この冷媒回路(350)には、第1吸着熱交換器(241)、第2吸着熱交換器(242)、圧縮機(240)などが設けられている。冷媒回路(350)の詳細については後述する。
上記ケーシング(310)は、高さの低い扁平な直方体状に形成されている。ケーシング(310)の前面では、右寄りの位置に排気口(314)が、左寄りの位置に給気口(312)がそれぞれ開口している。ケーシング(310)の背面では、右寄りの位置に外気吸込口(311)が、左寄りの位置に内気吸込口(313)がそれぞれ開口している。
ケーシング(310)の内部空間は、前面側と背面側の2つに仕切られている。ケーシング(310)内の前面側の空間は、更に左右に3つに仕切られている。そのうち、右側の空間は排気側流路(325)を構成し、左側の空間は給気側流路(326)を構成する一方、中央の空間は内部に圧縮機(340)が収納されている。排気側流路(325)は、内部に排気ファン(345)が収納されると共に、排気口(314)を介して室外に連通している。給気側流路(326)は、内部に給気ファン(346)が収納されると共に、給気口(312)を介して室内に連通している。
ケーシング(310)内の背面側の空間もまた、左右に3つに仕切られている。そのうち、右側の空間は、上下に仕切られており、上側の空間が右上流路(321)を、下側の空間が右下流路(322)をそれぞれ構成している。右上流路(321)は、排気側流路(325)に連通している。右下流路(322)は、外気吸込口(311)を介して室外に連通している。右上流路(321)及び右下流路(322)は、室外に連通する室外側の空気流路を構成している。一方、左側の空間は、上下に仕切られており、上側の空間が左上流路(323)を、下側の空間が左下流路(324)をそれぞれ構成している。左上流路(323)は、給気側流路(326)に連通している。左下流路(324)は、内気吸込口(313)を介して室内に連通している。左上流路(323)及び左下流路(324)は、室内に連通する室内側の空気流路を構成している。
左右に仕切られたケーシング(310)内の背面側の空間のうち、中央の空間は、前後に仕切られている。この前後に仕切られた中央の空間のうち、前面側の空間には第1吸着熱交換器(341)が、背面側の空間には第2吸着熱交換器(342)がそれぞれ収納されている。第1吸着熱交換器(341)及び第2吸着熱交換器(342)は、収納された空間を上下に仕切るように、ほぼ水平姿勢で設置されている。
ケーシング(310)内の背面側を左右に仕切る2枚の仕切板には、それぞれに開閉式のダンパ(331〜338)が4つずつ設けられている。
右側の仕切板において、その上部には第1右上ダンパ(331)と第2右上ダンパ(332)が並んで設置され、その下部には第1右下ダンパ(333)と第2右下ダンパ(334)が並んで設置される。第1右上ダンパ(331)は、第1吸着熱交換器(341)の上側の空間と右上流路(321)の間を断続する。第2右上ダンパ(332)は、第2吸着熱交換器(342)の上側の空間と右上流路(321)の間を断続する。第1右下ダンパ(333)は、第1吸着熱交換器(341)の下側の空間と右下流路(322)の間を断続する。第2右下ダンパ(334)は、第2吸着熱交換器(342)の下側の空間と右下流路(322)の間を断続する。
第1右上ダンパ(331)、第2右上ダンパ(332)、第1右下ダンパ(333)、及び第2右下ダンパ(334)は、室外側の空気流路である右上流路(321)及び右下流路(322)から第1,第2吸着熱交換器(341,342)への空気の流入を遮断する遮断機構を構成している。
左側の仕切板において、その上部には第1左上ダンパ(335)と第2左上ダンパ(336)が並んで設置され、その下部には第1左下ダンパ(337)と第2左下ダンパ(338)が並んで設置される。第1左上ダンパ(335)を開くと左上流路(323)が第1吸着熱交換器(341)の上側の空間と連通し、第2左上ダンパ(336)を開くと左上流路(323)が第2吸着熱交換器(342)の上側の空間と連通する。第1左下ダンパ(337)を開くと左下流路(324)が第1吸着熱交換器(341)の下側の空間と連通し、第2左下ダンパ(338)を開くと左下流路(324)が第2吸着熱交換器(342)の下側の空間と連通する。
第1左上ダンパ(335)、第2左上ダンパ(336)、第1左下ダンパ(337)、及び第2左下ダンパ(338)は、室内側流路である左上流路(323)及び左下流路(324)から第1,第2吸着熱交換器(341,342)への空気の流入を遮断する遮断機構を構成している。
〈冷媒回路の構成〉
図25に示すように、上記冷媒回路(350)には、圧縮機(340)と、第1吸着熱交換器(341)と、第2吸着熱交換器(342)とが設けられている。また、冷媒回路(350)には、電動膨張弁(352)と四方切換弁(351)とが設けられている。
上記冷媒回路(350)において、圧縮機(340)は、その吐出側が四方切換弁(351)の第1のポートに、その吸入側が四方切換弁(351)の第2のポートにそれぞれ接続されている。また、この冷媒回路(350)では、四方切換弁(351)の第3のポートから第4のポートへ向かって順に、第1吸着熱交換器(341)と電動膨張弁(352)と第2吸着熱交換器(342)とが直列に配置されている。
第1吸着熱交換器(341)及び第2吸着熱交換器(342)は、何れも伝熱管と多数のフィンとで構成されたクロスフィン形のフィン・アンド・チューブ熱交換器である。第1,第2吸着熱交換器(341,342)では、そのフィンの表面に吸着剤が担持されている。これら吸着熱交換器(341,342)では、フィンの間を通過する空気がフィン表面の吸着剤と接触する。尚、吸着剤としては、ゼオライトやシリカゲル等が用いられる。第1吸着熱交換器(341)及び第2吸着熱交換器(342)は、何れも吸着剤から脱離した水分を空気へ付与可能な調湿用部材を構成している。
上記四方切換弁(351)は、第1のポートと第3のポートが互いに連通して第2のポートと第4のポートが互いに連通する第1状態(図25(A)に示す状態)と、第1のポートと第4のポートが互いに連通して第2のポートと第3ポートが互いに連通する第2状態(図25(B)に示す状態)とに切り換わる。
−運転動作−
本参考技術の調湿装置では、除湿運転と加湿運転とが行われる。
〈除湿運転〉
除湿運転時の動作について、図25,図26,図27を参照しながら説明する。除湿運転中には、第1動作と第2動作とが交互に繰り返される。
除湿運転時において、給気ファン(346)を運転すると、室外空気が外気吸込口(311)からケーシング(310)内へ第1空気として取り込まれる。また、排気ファン(345)を運転すると、室内空気が内気吸込口(313)からケーシング(310)内へ第2空気として取り込まれる。
除湿運転時の第1動作について説明する。この第1動作では、第2吸着熱交換器(342)についての吸着動作と、第1吸着熱交換器(341)についての再生動作とが行われる。
この第1動作中において、冷媒回路(350)では、図25(A)に示すように、四方切換弁(351)が第1状態に設定され、電動膨張弁(352)の開度が適宜調節される。この状態で圧縮機(340)を運転すると、冷媒回路(350)では冷媒が循環して冷凍サイクルが行われ、第1吸着熱交換器(341)が凝縮器となって第2吸着熱交換器(342)が蒸発器となる。つまり、圧縮機(340)から吐出された冷媒は、第1吸着熱交換器(341)で放熱して凝縮し、電動膨張弁(352)で減圧されてから第2吸着熱交換器(342)で吸熱して蒸発し、続いて圧縮機(340)へ吸入されて圧縮される。
また、この第1動作中には、図26に示すように、第1右上ダンパ(331)及び第2右下ダンパ(334)が開状態となり、第1右下ダンパ(333)及び第2右上ダンパ(332)が閉状態となる。また、第1左下ダンパ(337)及び第2左上ダンパ(336)が開状態となり、第1左上ダンパ(335)及び第2左下ダンパ(338)が閉状態となる。
外気吸込口(311)から右下流路(322)へ流入した第1空気は、第2右下ダンパ(334)を通って第2吸着熱交換器(342)の下側へ流入し、第2吸着熱交換器(342)を下から上へ向かって通過する。第2吸着熱交換器(342)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着されて第1空気が除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(342)で除湿された第1空気は、第2左上ダンパ(336)を通って左上流路(323)へ流入し、給気側流路(326)を通過後に給気口(312)から室内へ供給される。
内気吸込口(313)から左下流路(324)へ流入した第2空気は、第1左下ダンパ(337)を通って第1吸着熱交換器(341)の下側へ流入し、第1吸着熱交換器(341)を下から上へ向かって通過する。第1吸着熱交換器(341)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(341)から脱離した水分は、第2空気と共に第1右上ダンパ(331)を通って右上流路(321)へ流入し、排気側流路(325)を通過後に排気口(314)から室外へ排出される。
除湿運転時の第2動作について説明する。この第2動作では、第1吸着熱交換器(341)についての吸着動作と、第2吸着熱交換器(342)についての再生動作とが行われる。
この第2動作中において、冷媒回路(350)では、図25(B)に示すように、四方切換弁(351)が第2状態に設定され、電動膨張弁(352)の開度が適宜調節される。この状態で圧縮機(340)を運転すると、冷媒回路(350)では冷媒が循環して冷凍サイクルが行われ、第2吸着熱交換器(342)が凝縮器となって第1吸着熱交換器(341)が蒸発器となる。つまり、圧縮機(340)から吐出された冷媒は、第2吸着熱交換器(342)で放熱して凝縮し、電動膨張弁(352)で減圧されてから第1吸着熱交換器(341)で吸熱して蒸発し、続いて圧縮機(340)へ吸入されて圧縮される。
また、この第2動作中には、図27に示すように、第1右下ダンパ(333)及び第2右上ダンパ(332)が開状態となり、第1右上ダンパ(331)及び第2右下ダンパ(334)が閉状態となる。また、第1左上ダンパ(335)及び第2左下ダンパ(338)が開状態となり、第1左下ダンパ(337)及び第2左上ダンパ(336)が閉状態となる。
外気吸込口(311)から右下流路(322)へ流入した第1空気は、第1右下ダンパ(333)を通って第1吸着熱交換器(341)の下側へ流入し、第1吸着熱交換器(341)を下から上へ向かって通過する。第1吸着熱交換器(341)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着されて第1空気が除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(341)で除湿された第1空気は、第1左上ダンパ(335)を通って左上流路(323)へ流入し、給気側流路(326)を通過後に給気口(312)から室内へ供給される。
内気吸込口(313)から左下流路(324)へ流入した第2空気は、第2左下ダンパ(338)を通って第2吸着熱交換器(342)の下側へ流入し、第2吸着熱交換器(342)を下から上へ向かって通過する。第2吸着熱交換器(342)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(342)から脱離した水分は、第2空気と共に第2右上ダンパ(332)を通って右上流路(321)へ流入し、排気側流路(325)を通過後に排気口(314)から室外へ排出される。
〈加湿運転〉
加湿運転時の動作について、図25,図28,図29を参照しながら説明する。加湿運転中には、第1動作と第2動作とが交互に繰り返される。
加湿運転時において、給気ファン(346)を運転すると、室外空気が外気吸込口(311)からケーシング(310)内へ第2空気として取り込まれる。また、排気ファン(345)を運転すると、室内空気が内気吸込口(313)からケーシング(310)内へ第1空気として取り込まれる。
加湿運転時の第1動作について説明する。この第1動作では、第2吸着熱交換器(342)についての吸着動作と、第1吸着熱交換器(341)についての再生動作とが行われる。
この第1動作中において、冷媒回路(350)では、図25(A)に示すように、四方切換弁(351)が第1状態に設定され、電動膨張弁(352)の開度が適宜調節される。この状態で圧縮機(340)を運転すると、冷媒回路(350)では冷媒が循環して冷凍サイクルが行われ、除湿運転時の第1動作中と同様に、第1吸着熱交換器(341)が凝縮器となって第2吸着熱交換器(342)が蒸発器となる。
また、この第1動作中には、図28に示すように、第1右下ダンパ(333)及び第2右上ダンパ(332)が開状態となり、第1右上ダンパ(331)及び第2右下ダンパ(334)が閉状態となる。また、第1左上ダンパ(335)及び第2左下ダンパ(338)が開状態となり、第1左下ダンパ(337)及び第2左上ダンパ(336)が閉状態となる。
内気吸込口(313)から左下流路(324)へ流入した第1空気は、第2左下ダンパ(338)を通って第2吸着熱交換器(342)の下側へ流入し、第2吸着熱交換器(342)を下から上へ向かって通過する。第2吸着熱交換器(342)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着されて第1空気が除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(342)で水分を奪われた第1空気は、第2右上ダンパ(332)を通って右上流路(321)へ流入し、排気側流路(325)を通過後に排気口(314)から室外へ排出される。
外気吸込口(311)から右下流路(322)へ流入した第2空気は、第1右下ダンパ(333)を通って第1吸着熱交換器(341)の下側へ流入し、第1吸着熱交換器(341)を下から上へ向かって通過する。第1吸着熱交換器(341)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(341)で加湿された第2空気は、第1左上ダンパ(335)を通って左上流路(323)へ流入し、給気側流路(326)を通過後に給気口(312)から室内へ供給される。
加湿運転時の第2動作について説明する。この第2動作では、第1吸着熱交換器(341)についての吸着動作と、第2吸着熱交換器(342)についての再生動作とが行われる。
この第2動作中において、冷媒回路(350)では、図25(B)に示すように、四方切換弁(351)が第2状態に設定され、電動膨張弁(352)の開度が適宜調節される。この状態で圧縮機(340)を運転すると、冷媒回路(350)では冷媒が循環して冷凍サイクルが行われ、除湿運転時の第2動作中と同様に、第2吸着熱交換器(342)が凝縮器となって第1吸着熱交換器(341)が蒸発器となる。
また、この第2動作中には、図29に示すように、第1右上ダンパ(331)及び第2右下ダンパ(334)が開状態となり、第1右下ダンパ(333)及び第2右上ダンパ(332)が閉状態となる。また、第1左下ダンパ(337)及び第2左上ダンパ(336)が開状態となり、第1左上ダンパ(335)及び第2左下ダンパ(338)が閉状態となる。
内気吸込口(313)から左下流路(324)へ流入した第1空気は、第1左下ダンパ(337)を通って第1吸着熱交換器(341)の下側へ流入し、第1吸着熱交換器(341)を下から上へ向かって通過する。第1吸着熱交換器(341)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着されて第1空気が除湿され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(341)で水分を奪われた第1空気は、第1右上ダンパ(331)を通って右上流路(321)へ流入し、排気側流路(325)を通過後に排気口(314)から室外へ排出される。
外気吸込口(311)から右下流路(322)へ流入した第2空気は、第2右下ダンパ(334)を通って第2吸着熱交換器(342)の下側へ流入し、第2吸着熱交換器(342)を下から上へ向かって通過する。第2吸着熱交換器(342)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(342)で加湿された第2空気は、第2左上ダンパ(336)を通って左上流路(323)へ流入し、給気側流路(326)を通過後に給気口(312)から室内へ供給される。
−停止する際の動作−
除湿運転又は加湿運転を停止する際に、上記調湿装置は、吸着熱交換器(341,342)を乾燥させるための乾燥動作を予め行ってから停止する。この乾燥動作について、除湿運転又は加湿運転の第1動作中の状態から乾燥動作が開始される場合を例に説明する。
この場合の乾燥動作中には、圧縮機(340)が停止して冷媒回路(350)での冷媒循環が停止する。また、図30に示すように、この乾燥動作中には、第2右上ダンパ(332)及び第2右下ダンパ(334)が開状態となり、第1右上ダンパ(331)、第1右下ダンパ(333)、第1左上ダンパ(335)、第2左上ダンパ(336)、第1左下ダンパ(337)、及び第2左下ダンパ(338)が閉状態となる。また、この乾燥動作中には、給気ファン(346)が停止し、排気ファン(345)の運転が継続される。
この乾燥動作中には、冷媒回路(350)での冷凍サイクルが停止した状態で、第2吸着熱交換器(342)へ室外空気が供給される。ここで、第1動作中に蒸発器となっていた第2吸着熱交換器(342)には比較的多量の水分が吸着されており、また、この第2吸着熱交換器(342)には空気中の水分が凝縮して付着しているおそれもある。そこで、乾燥動作中には、第2吸着熱交換器(342)における吸着剤の冷却を停止した状態で、第2吸着熱交換器(342)へ室外空気を供給する。第2吸着熱交換器(342)に吸着されたていた水分は、吸着剤から脱離して室外空気と共に室外へ排出される。また、第2吸着熱交換器(342)に凝縮水が付着している場合、この凝縮水は蒸発して室外空気と共に室外へ排出される。
この乾燥動作中には、第1吸着熱交換器(341)への空気の流入が遮断された状態となる。第1動作中に凝縮器となっていた第1吸着熱交換器(341)は、既に充分に乾燥した状態になっている。そこで、この第1吸着熱交換器(341)への空気の流入を遮断することで、乾燥動作中も第1吸着熱交換器(341)を乾燥状態に保持する。
この乾燥動作が終了すると、調湿装置では、排気ファン(345)が停止され、第2右上ダンパ(332)及び第2右下ダンパ(334)が閉じられる。つまり、全てのダンパ(331〜334,335〜338)が閉状態となる。そして、調湿装置の停止中も第1吸着熱交換器(341)及び第2吸着熱交換器(342)への空気の流入が遮断され、第1吸着熱交換器(341)及び第2吸着熱交換器(342)が乾燥状態に保持される。
このように、上記乾燥動作では、冷媒回路(350)での冷凍サイクルを停止させると共に、乾燥動作の開始直前に蒸発器となっていた第1吸着熱交換器(341)へ室外空気を送っている。このため、乾燥動作の開始前に凝縮器となっていて既に乾燥している第2吸着熱交換器(342)だけでなく、第1吸着熱交換器(341)も乾燥させることができ、カビの発生等に起因する吸着熱交換器(341,342)の劣化を抑制することができる。
尚、第2動作中の状態から開始された乾燥動作では、第1右上ダンパ(331)及び第1右下ダンパ(333)だけが開かれて残りのダンパ(332,334,335〜338)を閉鎖され、第1吸着熱交換器(341)だけへ室外空気が供給される。
《発明の実施形態1》
本実施形態の調湿装置は、上記参考技術4の調湿装置において、乾燥動作として次のような動作を行うようにしたものである。
本実施形態の乾燥動作中には、前段動作と後段動作とが順に行われる。この乾燥動作について、除湿運転又は加湿運転の第1動作中の状態から乾燥動作が開始される場合を例に説明する。
この前段動作では、四方切換弁(351)が第1状態(図25(A)に示す状態)から第2状態(図25(B)に示す状態)に切り換わり、冷媒回路(350)での冷媒循環方向が反転する。また、冷媒回路(350)では、電動膨張弁(352)がほぼ全開状態となり、乾燥動作の開始前に比べて冷凍サイクルの低圧、即ち冷媒蒸発温度が高く設定される。更に、冷媒回路(350)では、圧縮機(340)の容量が最小に設定される。
この前段動作中の調湿装置における空気の流通経路は、除湿運転又は加湿運転の第2動作中と同じ状態に設定される。つまり、除湿運転を行っていた場合には、各ダンパ(331〜338)が除湿運転時の第2動作と同じ状態に設定され、室外空気が第1吸着熱交換器(341)へ、室内空気が第2吸着熱交換器(342)へそれぞれ供給される(図27参照)。また、加湿運転を行っていた場合には、各ダンパ(331〜338)が加湿運転時の第2動作と同じ状態に設定され、室内空気が第1吸着熱交換器(341)へ、室外空気が第2吸着熱交換器(342)へそれぞれ供給される(図29参照)。
この前段動作中には、圧縮機(340)から吐出された冷媒が第2吸着熱交換器(342)へ送り込まれ、第2吸着熱交換器(342)を通過後に電動膨張弁(352)で僅かに減圧された冷媒が第1吸着熱交換器(341)へ送り込まれる。蒸発器から凝縮器に切り換わった第2吸着熱交換器(342)で吸着剤が冷媒によって加熱され、第2吸着熱交換器(342)から水分が脱離してゆく。その間、凝縮器から蒸発器に切り換わった第1吸着熱交換器(341)には、空気中の水蒸気が吸着されてゆく。ただし、前段動作中は冷媒蒸発温度が比較的高く設定されているため、第1吸着熱交換器(341)に吸着される水分の量はそれ程多くならない。前段動作が終了すると、後段動作が開始される。
後段動作では、圧縮機(340)が停止し、冷媒回路(350)での冷凍サイクルが停止する。また、図31に示すように、この後段動作中には、第1右上ダンパ(331)及び第1右下ダンパ(333)が開状態となり、第2右上ダンパ(332)、第2右下ダンパ(334)、第1左上ダンパ(335)、第2左上ダンパ(336)、第1左下ダンパ(337)、及び第2左下ダンパ(338)が閉状態となる。また、この後段動作中には、給気ファン(346)が停止し、排気ファン(345)の運転が継続される。
この後段動作中には、冷媒回路(350)での冷凍サイクルが停止した状態で、第1吸着熱交換器(341)へ室外空気が供給される。上述のように、前段動作中に蒸発器となっていた第1吸着熱交換器(341)は、水分を多少吸着した状態となっている。そこで、後段動作中には、第1吸着熱交換器(341)で吸着剤の冷却が行われない状態で、第1吸着熱交換器(341)へ室外空気を供給する。そして、第1吸着熱交換器(341)に吸着されていた水分は、吸着剤から脱離して室外空気と共に室外へ排出される。
また、この後段動作中には、第2吸着熱交換器(342)への空気の流入が遮断された状態となる。つまり、前段動作中に凝縮器となっていた第2吸着熱交換器(342)は、既に充分に乾燥した状態になっている。そこで、この第2吸着熱交換器(342)への空気の流入を遮断することで、後段動作中も第2吸着熱交換器(342)を乾燥状態に保持する。
この後段動作が終了すると、調湿装置では、排気ファン(345)が停止され、第1右上ダンパ(331)及び第1右下ダンパ(333)が閉じられる。つまり、全てのダンパ(331〜334,335〜338)が閉状態となる。そして、調湿装置の停止中も第1吸着熱交換器(341)及び第2吸着熱交換器(342)への空気の流入が遮断され、第1吸着熱交換器(341)及び第2吸着熱交換器(342)が乾燥状態に保持される。
上述したように、本実施形態の乾燥動作中には、乾燥動作の開始前に蒸発器となっていた第2吸着熱交換器(342)の乾燥を前段動作において行い、前段動作中に蒸発器となっていた第1吸着熱交換器(341)の乾燥を後段動作において行っている。従って、この乾燥動作を行うことによっても、両方の吸着熱交換器(341,342)に残存する水分量を削減することが可能である。
除湿運転又は加湿運転の第2動作中の状態から乾燥動作が開始される場合、前段動作では、それまで蒸発器となっていた第1吸着熱交換器(341)が凝縮器に切り換わり、第1吸着熱交換器(341)の吸着剤から水分が脱離してゆく。また、後段動作では、圧縮機(340)を停止させると共に、前段動作中に蒸発器となっていた第2吸着熱交換器(342)へ室外空気を供給し、第2吸着熱交換器(342)を乾燥させる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。本実施形態の調湿装置は、上記参考技術4において冷媒回路(350)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態の調湿装置について、上記参考技術4と異なる点を説明する。
図33に示すように、本実施形態の冷媒回路(350)には、補助熱交換器(360)、第1電動膨張弁(361)、及び第2電動膨張弁(362)が追加されている。この冷媒回路(350)では、四方切換弁(351)の第3のポートから第4のポートへ向かって順に、第1吸着熱交換器(341)と第1電動膨張弁(361)と補助熱交換器(360)と第2電動膨張弁(362)と第2吸着熱交換器(342)とが直列に配置されている。
補助熱交換器(360)は、伝熱管と多数のフィンとで構成されたクロスフィン形のフィン・アンド・チューブ熱交換器である。ただし、補助熱交換器(360)の表面には、吸着熱交換器(341,342)のような吸着剤は担持されていない。この補助熱交換器(360)は、空気と冷媒の熱交換を行う空気熱交換器を構成している。
図32に示すように、補助熱交換器(360)は、ケーシング(310)内の排気側流路(325)に立設されている。補助熱交換器(360)において、冷媒回路(350)を循環する冷媒は、排気側流路(325)へ流入して室外へ排出される空気と熱交換する。
−運転動作−
本実施形態の調湿装置においても、除湿運転と加湿運転とが行われる。
〈除湿運転〉
除湿運転中における調湿装置の動作を説明する。本実施形態の調湿装置においても、除湿運転中は第1動作と第2動作が交互に繰り返される。
除湿運転時の第1動作について説明する。この第1動作では、第1吸着熱交換器(341)についての再生動作と、第2吸着熱交換器(342)についての吸着動作とが行われる。
この第1動作中の冷媒回路(350)では、図33(A)に示すように、四方切換弁(351)が第1状態に設定され、第1電動膨張弁(361)が全開状態に設定され、第2電動膨張弁(362)の開度が適宜調節される。冷媒回路(350)において、圧縮機(340)から吐出された冷媒は、第1吸着熱交換器(341)で凝縮した後に第1電動膨張弁(361)を通過して補助熱交換器(360)へ流入する。補助熱交換器(360)では、流入した冷媒が更に放熱して過冷却状態となる。補助熱交換器(360)から流出した冷媒は、第2電動膨張弁(362)を通過する際に減圧されてから第2吸着熱交換器(342)で吸熱して蒸発し、その後に圧縮機(340)へ吸入されて圧縮される。このように、第1動作中の冷媒回路(350)では、第1吸着熱交換器(341)が凝縮器となり、第2吸着熱交換器(342)が蒸発器となり、補助熱交換器(360)が過冷却器となる。
また、この第1動作中において、各ダンパ(331〜338)の状態と空気の流通経路は、上記実施形態1における除湿運転時の第1動作と同様に設定される(図26を参照)。第1空気として取り込まれた室外空気は、第1吸着熱交換器(341)を通過する間に除湿され、その後に室内へ供給される。第2空気として取り込まれた室内空気は、第2吸着熱交換器(342)から脱離した水分を付与され、続いて補助熱交換器(360)で冷媒から吸熱した後に室外へ排出される。
除湿運転時の第2動作について説明する。この第2動作では、第1吸着熱交換器(341)についての吸着動作と、第2吸着熱交換器(342)についての再生動作とが行われる。
この第2動作中の冷媒回路(350)では、図33(B)に示すように、四方切換弁(351)が第2状態に設定され、第2電動膨張弁(362)が全開状態に設定され、第1電動膨張弁(361)の開度が適宜調節される。冷媒回路(350)において、圧縮機(340)から吐出された冷媒は、第2吸着熱交換器(342)で凝縮した後に第2電動膨張弁(362)を通過して補助熱交換器(360)へ流入する。補助熱交換器(360)では、流入した冷媒が更に放熱して過冷却状態となる。補助熱交換器(360)から流出した冷媒は、第1電動膨張弁(361)を通過する際に減圧されてから第1吸着熱交換器(341)で吸熱して蒸発し、その後に圧縮機(340)へ吸入されて圧縮される。このように、第2動作中の冷媒回路(350)では、第2吸着熱交換器(342)が凝縮器となり、第1吸着熱交換器(341)が蒸発器となり、補助熱交換器(360)が過冷却器となる。
また、この第2動作中において、各ダンパ(331〜338)の状態と空気の流通経路は、上記実施形態1における除湿運転時の第2動作と同様に設定される(図27を参照)。第1空気として取り込まれた室外空気は、第2吸着熱交換器(342)を通過する間に除湿され、その後に室内へ供給される。第2空気として取り込まれた室内空気は、第1吸着熱交換器(341)から脱離した水分を付与され、続いて補助熱交換器(360)で冷媒から吸熱した後に室外へ排出される。
尚、図33に白抜きの矢印とハッチングを付した矢印とで示した空気の流れは、後述する加湿運転中のものを表している。従って、同図に示す空気の流れは、ここで説明した除湿運転時の空気の流れと異なっている。
〈加湿運転〉
加湿運転中における調湿装置の動作を説明する。本実施形態の調湿装置においても、加湿運転中は第1動作と第2動作が交互に繰り返される。
加湿運転時の第1動作について説明する。この第1動作では、第1吸着熱交換器(341)についての再生動作と、第2吸着熱交換器(342)についての吸着動作とが行われる。
この第1動作中の冷媒回路(350)では、図33(A)に示すように、四方切換弁(351)が第1状態に設定され、第2電動膨張弁(362)が全開状態に設定され、第1電動膨張弁(361)の開度が適宜調節される。冷媒回路(350)において、圧縮機(340)から吐出された冷媒は、第1吸着熱交換器(341)で凝縮してから第1電動膨張弁(361)を通過する際に減圧され、その後に補助熱交換器(360)へ流入する。補助熱交換器(360)では、流入した冷媒が吸熱してその一部が蒸発する。補助熱交換器(360)から流出した冷媒は、第2電動膨張弁(362)を通過して第2吸着熱交換器(342)へ流入し、第2吸着熱交換器(342)で吸熱して蒸発した後に圧縮機(340)へ吸入されて圧縮される。このように、第1動作中の冷媒回路(350)では、第1吸着熱交換器(341)が凝縮器となり、第2吸着熱交換器(342)及び補助熱交換器(360)が蒸発器となる。
また、この第1動作中において、各ダンパ(331〜338)の状態と空気の流通経路は、上記実施形態1における加湿運転時の第1動作と同様に設定される(図28を参照)。第1空気として取り込まれた室内空気は、第1吸着熱交換器(341)を通過する間に水分を奪われ、続いて補助熱交換器(360)で冷媒へ放熱した後に室外へ排出される。第2空気として取り込まれた室外空気は、第2吸着熱交換器(342)から脱離した水分を付与され、その後に室内へ供給される。
加湿運転時の第2動作について説明する。この第2動作では、第1吸着熱交換器(341)についての吸着動作と、第2吸着熱交換器(342)についての再生動作とが行われる。
この第2動作中の冷媒回路(350)では、図33(B)に示すように、四方切換弁(351)が第2状態に設定され、第1電動膨張弁(361)が全開状態に設定され、第2電動膨張弁(362)の開度が適宜調節される。冷媒回路(350)において、圧縮機(340)から吐出された冷媒は、第2吸着熱交換器(342)で凝縮してから第2電動膨張弁(362)を通過する際に減圧され、その後に補助熱交換器(360)へ流入する。補助熱交換器(360)では、流入した冷媒が吸熱してその一部が蒸発する。補助熱交換器(360)から流出した冷媒は、第1電動膨張弁(361)を通過して第1吸着熱交換器(341)へ流入し、第1吸着熱交換器(341)で吸熱して蒸発した後に圧縮機(340)へ吸入されて圧縮される。このように、第2動作中の冷媒回路(350)では、第2吸着熱交換器(342)が凝縮器となり、第1吸着熱交換器(341)及び補助熱交換器(360)が蒸発器となる。
また、この第2動作中において、各ダンパ(331〜338)の状態と空気の流通経路は、上記実施形態1における加湿運転時の第2動作と同様に設定される(図29を参照)。第1空気として取り込まれた室内空気は、第2吸着熱交換器(342)を通過する間に水分を奪われ、続いて補助熱交換器(360)で冷媒へ放熱した後に室外へ排出される。第2空気として取り込まれた室外空気は、第1吸着熱交換器(341)から脱離した水分を付与され、その後に室内へ供給される。
−停止する際の動作−
本実施形態の調湿装置における乾燥動作について説明する。この乾燥動作について、除湿運転又は加湿運転の第1動作中の状態から乾燥動作が開始される場合を例に説明する。
図34に示すように、この乾燥動作中には、第2右上ダンパ(332)及び第2右下ダンパ(334)が開状態となり、第1右上ダンパ(331)、第1右下ダンパ(333)、第1左上ダンパ(335)、第2左上ダンパ(336)、第1左下ダンパ(337)、及び第2左下ダンパ(338)が閉状態となる。また、この乾燥動作中には、給気ファン(346)が停止される一方、排気ファン(345)の運転が継続される。
乾燥動作中にケーシング(310)内へ取り込まれた室外空気は、第2吸着熱交換器(342)と補助熱交換器(360)を順に通過し、その後に室外へ排出される。また、この乾燥動作中には、第1吸着熱交換器(341)への空気の流入が遮断された状態となる。
この乾燥動作では、四方切換弁(351)が第1状態(図33(A)に示す状態)から第2状態(図33(B),図35に示す状態)に切り換わり、冷媒回路(350)での冷媒循環方向が反転する。また、冷媒回路(350)では、第1電動膨張弁(361)が全開状態に設定され、第2電動膨張弁(362)の開度が適宜調節される。
この乾燥動作中の冷媒回路(350)において、圧縮機(340)から吐出された冷媒は、第2吸着熱交換器(342)で放熱して凝縮し、その後に第2電動膨張弁(362)で減圧されてから補助熱交換器(360)で吸熱して蒸発する。補助熱交換器(360)で蒸発した冷媒は、第1電動膨張弁(361)と第1吸着熱交換器(341)を順に通過してから圧縮機(340)へ吸入されて圧縮される。
蒸発器から凝縮器に切り換わった第2吸着熱交換器(342)では、吸着剤が冷媒によって加熱され、第2吸着熱交換器(342)から水分が脱離してゆく。第2吸着熱交換器(342)から脱離した水分は、この第2吸着熱交換器(342)を通過した空気と共に室外へ排出されてゆく。この状態を暫く続けると、第2吸着熱交換器(342)に残存する水分量が減少してゆく。
その間、第1動作中に凝縮器となっていた第1吸着熱交換器(341)へは、補助熱交換器(360)を通過した冷媒が流入している。ここで、補助熱交換器(360)では、第2吸着熱交換器(342)を通過した空気が冷媒と熱交換している。このため、補助熱交換器(360)での冷媒蒸発温度は比較的高くなり、それに伴って第2吸着熱交換器(342)における冷媒蒸発温度も比較的高くなる。更に、乾燥動作中において、第1吸着熱交換器(341)は、空気が通過しない状態となっている。従って、第1動作中に凝縮器となっていて既に乾燥状態にある第1吸着熱交換器(341)は、この乾燥動作中も乾燥した状態に保たれる。
この乾燥動作が終了すると、調湿装置では、排気ファン(345)が停止され、第2右上ダンパ(332)及び第2右下ダンパ(334)が閉じられる。つまり、全てのダンパ(331〜334,335〜338)が閉状態となる。そして、調湿装置の停止中も第1吸着熱交換器(341)及び第2吸着熱交換器(342)への空気の流入が遮断され、第1吸着熱交換器(341)及び第2吸着熱交換器(342)が乾燥状態に保持される。
上述したように、本実施形態の乾燥動作中には、乾燥動作の開始前に蒸発器となっていた第2吸着熱交換器(342)の乾燥を行う一方、乾燥動作の開始前に凝縮器となっていて乾燥状態にある第1吸着熱交換器(341)が乾燥状態に保持される。従って、この乾燥動作を行うことによって、両方の吸着熱交換器(341,342)に残存する水分量を削減することが可能となる。
除湿運転又は加湿運転の第2動作中の状態から乾燥動作が開始される場合には、それまで蒸発器となっていた第1吸着熱交換器(341)が凝縮器に切り換わると共に、補助熱交換器(360)が蒸発器となる。この状態において、第1吸着熱交換器(341)では、吸着剤から水分が脱離してゆく。また、それまで凝縮器となっていた第2吸着熱交換器(342)へは、補助熱交換器(360)を通過した冷媒が流入することになる。しかしながら、第2吸着熱交換器(342)への空気の流入は遮断されており、しかも補助熱交換器(360)や第2吸着熱交換器(342)では冷媒蒸発温度が比較的高くなっているため、第2吸着熱交換器(342)は乾燥状態に保たれる。
−実施形態2の変形例−
本実施形態の調湿装置では、乾燥動作中にケーシング(310)内へ室内空気を取り込むようにしてもよい。この乾燥動作について、除湿運転又は加湿運転の第1動作中の状態から乾燥動作が開始される場合を例に説明する。
図36に示すように、この乾燥動作中には、第2右上ダンパ(332)及び第2左下ダンパ(338)が開状態となり、第1右上ダンパ(331)、第1右下ダンパ(333)、第2右下ダンパ(334)、第1左上ダンパ(335)、第2左上ダンパ(336)、及び第1左下ダンパ(337)が閉状態となる。また、この乾燥動作中には、給気ファン(346)が停止される一方、排気ファン(345)の運転が継続される。
乾燥動作中にケーシング(310)内へ取り込まれた室内空気は、第2吸着熱交換器(342)と補助熱交換器(360)を順に通過し、その後に室外へ排出される。また、この乾燥動作中には、第1吸着熱交換器(341)への空気の流入が遮断された状態となる。尚、この乾燥動作中における冷媒回路(350)の動作は、ケーシング(310)内へ室外空気を取り込む乾燥動作の場合と同様である。
《その他の参考技術》
上記参考技術1及び2では、調湿装置が室内の除湿や加湿と共に室内の換気を行うように構成されているが、この調湿装置は、次のような構成のものであってもよい。つまり、これら参考技術1及び2の調湿装置は、室内空気を取り込んで除湿し又は加湿した後に室内へ送り返すように構成されていてもよい。また、この調湿装置は、室内からの排気は行わずに、取り込んだ室外空気を調湿後に室内へ供給する動作だけを行うように構成されていてもよい。また、この調湿装置は、取り込んだ室内空気を調湿後に室内へ送り返すと同時に、取り込んだ別の室内空気を室外へ排出するように構成されていてもよい。