JP4496680B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却および加熱用熱交換器を有する車両用空調装置に関するものであり、特に乗員の足元に向けて吹き出す通風系の通風路の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の車両用空調装置として、車室内に設置された複数の吹出口から空調風を吹き出すために、空気通路を形成する空調ケースを車両のインストルメントパネル内に収容し、吹出口と空調ケースとが別体の空調ダクトを介して接続されているものが知られている。
【0003】
図4および図5に示すように、車室内には窓ガラスに向けて吹き出すデフロスタ吹出口110、乗員の上半身に向けて吹き出すフェイス吹出口120およびサイドフェイス吹出口120aおよび乗員の足元に向けて吹き出すフット吹出口130がある。
【0004】
空調ケース140は、空気流れの上流側に送風機150、その下流に熱交換器160を有するとともに、その熱交換器160の空気流れの下流端に、それぞれ上述の吹出口に連通するデフロスタ吹出開口部170、フェイス吹出開口部180およびフット吹出開口部190を有している。そして、それぞれの開口部と吹出口とがそれぞれの空調ダクト200、210、220を介して接続している。
【0005】
230は車両前方に搭載されたインストルメントパネルであって、空調ケース140は、各吹出開口部170、180、190が車両幅方向に対して略中央部に位置するように設置されている。また、空調ケース140内には図示しない切替ドアが各吹出開口部170、180、190の上流側に設けられ、設定された吹出モードに応じて各吹出開口部170、180、190が開閉制御され、吹出モードに応じた吹出口から空調風が吹き出されて車室内が空調される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の構成によれば、別体の空調ダクト200、210、220を具備することで部品コストおよび組み付けコストなどが課せられているという問題がある。
【0007】
また、近年車両側から空調装置と車両側とのモジュール化(複合化)による低コストおよび軽量化を得るための要求がみられる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記点を鑑みてなされたもので、空調ケースの一部に風向案内部を形成させ、この風向案内部が車両側の内装部材と通風路を形成させることで、別体の空調ダクトをなくしてコスト低減が可能となる車両用空調装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1ないし請求項3に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、車両に搭載されたインストルメントパネル(P)内に設置され、空気通路を形成する空調ケース(12)と、この空調ケース(12)内に設置され、空気を温度調節する熱交換器(14、15)と、この熱交換器(14、15)の下流側に形成され、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すフット吹出口(17)に連通するフット吹出開口部(12c)とを備えた車両用空調装置であって、
乗員の足元に向けて風向案内をなすように形成された風向案内部(12d)がフット吹出開口部(12c)の下流側に設けられ、風向案内部(12d)と車両側の車体内装部材(18)とにより、空気流れの末端にフット吹出口(17)とフット吹出口(17)に通ずる通風路(19)とが形成され、フット吹出開口部(12c)に対して空調ケース(12)の下方端が車体内装部材(18)に当接するまで延在して平板状の風向案内部(12d)が形成され、風向案内部(12d)と車体内装部材(18)とで通風路(19)が形成され、風向案内部(12d)の車両幅方向の左右端にフット吹出口(17)が形成されたことを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、空調ケース(12)の下方端が車体内装部材(18)に当接するまで延在して平板状の風向案内部(12d)を形成するという構成により、風向案内部(12d)と車体内装部材(18)とで空調ダクトを模擬した通風路(19)が簡単に形成される。従って、別体の空調ダクトをなくしてコスト低減が可能となりながら、従来の別体の空調ダクトが有する乗員の足元に向けて吹き出す機能を確保できる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、風向案内部(12d)は、空調ケース(12)の一部から形成されたものであって一体成形されていることを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、風向案内部(12d)が空調ケース(12)と一体成形されていることにより、別体の空調ダクトを具備する従来技術と比較して部品点数が減るとともに、組み付け工数が低減できるので低コストが図れる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、平板状の風向案内部(12d)と、乗員の足元から車両の前方に延在する車体内装部材(18)とで、通風路(19)が形成され、風向案内部(12d)の車両幅方向の左右端にフット吹出口(17)形成され、乗員の足元に向けて空調風が吹き出されることを特徴としている
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、乗員の足元から車両の前方に延在する車体内装部材(18)を利用しており、風向案内部(12d)の車両幅方向の左右端にフット吹出口(17)が形成され、乗員の足元に向けて空調風が吹き出されたときに、乗員の足元から車両の前方に延在する車体内装部材(18)の沿面を流れて足元に空調風を導くことができる。
【0015】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の車両用空調装置の一実施形態を図1および図2に基づいて説明する。まず、図1に示すように、本実施形態の車両用空調装置の通風系においては、空気通路を形成するとともに、温度調節された空調風を送風する空調ユニット10と、車両に搭載され車室内に空調風を吹き出す複数の吹出口17、21、22a、22bと、車室内のインストルメントパネルP内に配設され一端が空調ユニット10に接続され他端が吹出口21、22a、22bに接続されて空調ユニット10から送風される空調風を吹出口21、22a、22bに搬送する空調ダクト31、32とを備えている。
【0017】
空調ユニット10は、送風ユニット11と空調ケース12とから構成されている。送風ユニット11は、車室内のインストルメントパネルPの中央部から車両幅方向にオフセット(右ハンドル車では車両幅方向の左側にオフセット)して配置されている。この送風ユニット11には、その上方部に車室内空気と車室外空気を切替導入する内外気切替箱(図示せず)と空気を送風する送風機13とが収容されて、車室内空気または車室外空気のいずれかを取り入れて空調ケース12に送風されるようになっている。
【0018】
空調ケース12は、インストルメントパネルPのほぼ中央部に配置されている。そして、空調ケース12には、冷却用熱交換器(エバポレータ)14および加熱用熱交換器(ヒータコア)15などが配設されて、送風機ユニット11から送風される空気を温度調節するものである。
【0019】
また、加熱用熱交換器(ヒータコア)15の空気流れの下流側に吹出モード切替部16が設けられている。この吹出モード切替部16は、車室内への吹出モードを切替えるためのもので、窓ガラスに向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出口21に連通するデフロスタ吹出開口部12aと、車室内の乗員の上半身に向けて温度調節された空調風を吹き出すセンタフェイス吹出口22aおよびサイドフェイス吹出口22bに連通するフェイス吹出開口部12bと、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すフット吹出口17(後述する)に連通するフット吹出開口部12cとを有するとともに、これらの吹出開口部12a、12b、12cを切替える複数の切替ドア16a、16b、16cがその吹出開口部12a、12b、12cの上流側に設けられ、複数の吹出モードを選択できるようにしてある。
【0020】
また、空調ダクト31は、一端がデフロスタ吹出口21に接続され、他端が吹出開口部12aに接続されて空調風を搬送するデフロスタ空調ダクトである。また、空調ダクト32は、一端がセンタフェイス吹出口22aおよびサイドフェイス吹出口22bに接続され、他端がフェイス吹出開口部12bに接続されて空調風を搬送するフェイス空調ダクトである。なお、これらの空調ダクト31、32は、インストルメントパネルP内に配設されている。
【0021】
次に、本発明の要部であるフット吹出開口部12cからフット吹出口17に至る通風路について説明する。空調ケース12の下方側には、フット吹出開口部12cが設けられるとともに、空調ケース12の下方端側にこのフット吹出開口部12cから吹き出される空調風が前席の左右席に着座する乗員の足元に向けて吹き出されるように風向案内部12dが形成されている。
【0022】
具体的には、図1および図2に示すように、フット吹出開口部12cに対して車両の前後方向に、それぞれ空調ケース12の下方端を車体内装部材18に当接するまで平板状の風向案内部12dを形成させる。これにより、この風向案内部12dと車体内装部材18とで通風路19が形成されるとともに、風向案内部12dの車両幅方向に対して左右端にフット吹出口17が形成されるものである。
【0023】
従って、フット吹出開口部12cから吹き出された空調風は、風向案内部12dをガイドとして通風路19を経由し左右端のフット吹出口17から乗員の足元に向けて吹き出される。また、風向案内部12dを車体内装部材18に当接させることにより通風路19の気密を保つことができる。
【0024】
なお、吹出モードは、デフロスタモード、フットデフロスタモード、フットモード、バイレベルモードおよびフェイスモードのいずれかを乗員またはオート運転モードによって選択するように構成されている。そして、これらの吹出モードのうち、フット吹出口17とデフロスタ吹出口21から吹き出されるフットデフロスタモードと、フット吹出口17のみから吹き出されるフットモードと、フット吹出口17とフェイス吹出口22aおよびサイドフェイス吹出口22bから吹き出されるバイレベルモードとがフット吹出口17から乗員の足元に向けて空調風が吹き出されるようになっている。
【0025】
次に、以上の構成による車両用空調装置の通風系の作動について説明する。上述の吹出モードのときにフット吹出口17から吹き出される空調風は、おもに冷却用熱交換器(エバポレータ)14によって冷却された後、加熱用熱交換器(ヒータコア)15にて加熱された温かい温風が吹き出され乗員に対して頭寒足熱が得られるように構成されている。従って、車両前方の車両幅方向に渡って設置されているインストルメントパネルPの略中央部に空調ケース12が設置され、空調ケース12の下方端の左右にフット吹出口17が形成されることにより、前席左右に着席する乗員の足元に向けて吹出ができる。
【0026】
以上の一実施形態によれば、従来は、フット吹出開口部12cの下流側に別体の空調ダクトを具備していたが、本発明では、空調ケース12の下方側に一体成形により風向案内部12dを形成し、風向案内部12dと車体内装部材18とでフット吹出口17と通風路19とが形成されることにより、空調ダクトを模擬した通風路19が形成されることで、従来の空調ダクトが有する乗員の足元に向けて吹き出す機能を確保できる。
【0027】
また、別体の空調ダクトを具備する従来技術と比較して部品点数が減るとともに、組み付け工数が低減できるので低コストが図れる。
【0028】
また、空調ケース12の下方側の左右端に形成されることにより、車室内の左右の下方部から乗員の左右の足元に向けて均等に吹き出すことが可能である。
【0029】
(他の実施形態)
以上の一実施形態では、冷却用熱交換器(エバポレータ)14および加熱用熱交換器(ヒータコア)15が配設された空調ケース12について説明したが、加熱用熱交換器(ヒータコア)15のみが配設された暖房向けの空調ケースでも良い。
【0030】
また、以上の実施形態では、風向案内部12dを車両の前後方向に、それぞれ空調ケース12の下方端を車体内装部材18に当接するまで平板状の風向案内部12dを形成させたが、前後方向のうち、車両前方側の風向案内部12dを車体内装部材を車内側に突き出させて通風路19を形成させても良い。
【0031】
具体的には、図3に示すように、空調ケース12に設けられたフェイス吹出開口部12c近傍まで車体内装部材18を車両後方側に突き出させるように形成させることで、車両前方側の風向案内部12dの下方への突き出しが小さくすることで空調ケース12の成形性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における車両用空調装置の全体構成を示す摸式図である。
【図2】図1におけるA矢視による空調ケース12、空調ダクト21、31の装着状態を示す正面図である。
【図3】他の実施形態における車両用空調装置の全体構成を示す摸式図である。
【図4】従来技術における車両用空調装置の全体構成を示す摸式図である。
【図5】図4におけるA矢視による空調ケースおよび空調ダクトの装着状態を示す正面図である。
【符号の説明】
12…空調ケース
12c…フット吹出開口部
12d…風向案内部
14…冷却用熱交換器(熱交換器)
15…加熱用熱交換器(熱交換器)
17…フット吹出口
18…車体内装部材
19…通風路
P…インストルメントパネル

Claims (3)

  1. 車両に搭載されたインストルメントパネル(P)内に設置され、空気通路を形成する空調ケース(12)と、
    前記空調ケース(12)内に設置され、空気を温度調節する熱交換器(14、15)と、
    前記熱交換器(14、15)の下流側に形成され、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すフット吹出口(17)に連通するフット吹出開口部(12c)とを備えた車両用空調装置であって、
    乗員の足元に向けて風向案内をなすように形成された風向案内部(12d)が前記フット吹出開口部(12c)の下流側に設けられ、前記風向案内部(12d)と車両側の車体内装部材(18)とにより、空気流れの末端に前記フット吹出口(17)と前記フット吹出口(17)に通ずる通風路(19)とが形成され、
    前記フット吹出開口部(12c)に対して前記空調ケース(12)の下方端が前記車体内装部材(18)に当接するまで延在して平板状の前記風向案内部(12d)が形成され、前記風向案内部(12d)と前記車体内装部材(18)とで前記通風路(19)が形成され、前記風向案内部(12d)の車両幅方向の左右端に前記フット吹出口(17)が形成されたことを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記風向案内部(12d)は、前記空調ケース(12)の一部から形成されたものであって前記空調ケース(12)と一体成形されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記平板状の風向案内部(12d)と、前記乗員の足元から前記車両の前方に延在する前記車体内装部材(18)とで、前記通風路(19)が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用空調装置。
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