JP4496356B2 - 導電性沈殿物を抜き出すための炉内構造物を有するガラス溶融炉及びこれを用いた高レベル放射性廃液のガラス固化処理方法 - Google Patents
導電性沈殿物を抜き出すための炉内構造物を有するガラス溶融炉及びこれを用いた高レベル放射性廃液のガラス固化処理方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4496356B2 JP4496356B2 JP2006133814A JP2006133814A JP4496356B2 JP 4496356 B2 JP4496356 B2 JP 4496356B2 JP 2006133814 A JP2006133814 A JP 2006133814A JP 2006133814 A JP2006133814 A JP 2006133814A JP 4496356 B2 JP4496356 B2 JP 4496356B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- furnace
- glass
- flow
- glass melting
- molten glass
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Glass Melting And Manufacturing (AREA)
- Furnace Charging Or Discharging (AREA)
Description
しかしながら、いずれの対策によっても十分な効果を期待することは難しく、導電性沈殿物の影響を大幅に改善することは困難な状況であった。
したがって、ガラス溶融炉内の電極間(主電極間、或いは主電極と補助電極間)に電気的な短絡が生じるのを防止して、ガラス溶融炉の運転を安定化させることができるとともに、各電極(主電極及び補助電極)の局所的な腐食を防止してガラス溶融炉の寿命(耐用年数)の長期化を図ることができる。
また、本発明に係るガラス溶融炉は、水平方向に対向する状態で溶融槽の壁部に配置された一対の主電極を有し、当該主電極間に電圧を印加することにより、溶融槽内の溶融ガラスに直接電流を流して加熱する構成を採用している。
この際に発生する導電性沈殿物は、時間の経過と共に炉底部へ向けて沈降してゆき、その多くが炉内構造物の内部(第1流路)に流入して流下ノズルの中心軸付近に集められる。その結果、炉内構造物内の溶融ガラスは、導電性沈殿物を多く含有することとなるため、粘性が高くなり流動性が低下する。
一方、炉内構造物の外周面と炉底部の傾斜面との隙間(第2流路)の溶融ガラスは、導電性沈殿物をほとんど含有しないため、粘性が低く流動性が高い状態のままとなる。
この圧力低下により、炉内構造物内の導電性沈殿物及び該導電性沈殿物を多く含有する粘性の高い溶融ガラスが炉内構造物から吸い出される。溶融ガラスの流れの状態を示すレイノルズ数は小さいため、溶融ガラスと導電性沈殿物は層流の状態を保って流れ、そのため炉内構造物から吸い出された導電性沈殿物等は、導電性沈殿物をほとんど含有しない粘性の低い溶融ガラスに取り巻かれた状態で流下ノズルを通ってガラス溶融炉から流れ出す。
本実施例においては、溶融槽4の壁が耐火レンガ2により構成されるとともに、この溶融槽4の対向する壁面に一対の主電極5が配設されて、全体が金属ケーシング3で覆われた構成となっている。また、溶融槽4の底部は、その周縁部から中心部に向けて下方に傾斜する四角錘状の傾斜面となっていて、その下端の底部中心には、溶融ガラスXを流し出すための流下ノズル12と一体となった底部電極7が配設され、この底部電極7の周囲には高周波加熱コイル10が巻装されている。
そして、この底部電極7の上方には、導電性沈殿物Yを捕集するための炉内構造物8が、複数の支柱8d(例えば4本の支柱8d)により溶融槽4内に懸架された状態で配置されている。
溶融槽4内の溶融ガラスXは、前述したように、一対の主電極5間を流れる電流によりジュール加熱される。また、本実施例では貫通孔8eを通じて電流が流れるため、炉内構造物8の内部においても、主電極5の高さにある溶融ガラスXはジュール加熱により均一に溶融される。溶融ガラスX中で生成した導電性沈殿物Y及びこれを多く含む高粘性の溶融ガラスX(以下、両者を合わせて「導電性沈殿物等」という。)は、図中の実線矢印で示すように、ガラス溶融炉1底部へ向けて沈降し、直接炉内構造物8に流入するか、又は主電極5上部にせり出した庇状構造物9に導かれて炉内構造物8に流入する。こうして炉内構造物8に集められた導電性沈殿物等は、炉内構造物8の側壁の内面に沿って沈降するが、貫通孔8eの部分においても、貫通孔8eが側壁の外側から内側に向けて少なくとも下方へ角度60°以上の傾斜を有するように設けられているため、炉内構造物8の外部へ漏洩することはなく先端の小さな開口部8bに向けてそのまま沈下してゆく。なお、これまでの経験から導電性沈殿物Yを多く含む溶融ガラスXは粘性が高いことが分かっている。
なお、炉内構造物8の内部の導電性沈殿物等が抜き出される作用については後述するが、導電性沈殿物等が抜き出された後は、炉内構造物8の外側を取り囲む経路(第2流路)だけでなく炉内構造物8の先端の小さな開口部8bを通る経路(第1流路)からも溶融ガラスXが流れ出すこととなる。
溶融ガラスXの流下を開始すると、溶融槽4内には、図5及び図6の点線矢印で示すように、炉内構造物8と炉底傾斜面6との隙間を通って流下ノズル12に向かう溶融ガラスXの流れが形成される。この溶融ガラスXの流れは、ノズル効果により底部電極7に近づくにつれて流速が大きくなる。このときベルヌーイの定理によって示される圧力低下が生じるが、特に、底部電極7直上に位置する炉内構造物8の先端の小さい開口部8b付近の圧力低下は著しくなる。この圧力低下により、図5及び図6に示すように、炉内構造物8内の導電性沈殿物等には炉内構造物8から吸い出そうとする力F1が働く。同時に、導電性沈殿物Yの上面には、溶融ガラスXのヘッド圧により炉内構造物8から押し出そうとする力F2が働く。その結果、炉内構造物8内の導電性沈殿物等は、それらの力の相互作用により下方向の強い力が加わって、炉内構造物8から強制的に抜き出されることとなる。
なお、圧力低下により導電性沈殿物等に働く力F1は、溶融ガラスXの流速に比例して大きくなるので、本発明のガラス溶融炉1においては、流下開始からできるだけ速やかに最大の流下速度に達するように運転することが、導電性沈殿物等の抜き出しの観点からは好ましい。
2 炉本体(耐火レンガ)
3 金属ケーシング
4 溶融槽
5 主電極
6 炉底傾斜面
7 底部電極
8 炉内構造物
8a,8b 開口部
8c 支柱
8d 脚部
8e 貫通孔
9 庇状構造物
10 高周波加熱コイル
11 流下孔
12 流下ノズル
13 くず受け
X 溶融ガラス
Y 導電性沈殿物
Z 耐火レンガ片
Claims (6)
- 下端に流下ノズルが設けられ、この流下ノズルに向けて内径が漸次狭まるよう傾斜する炉底部を有する溶融槽と、該溶融槽内の被溶融物に接触し得る状態で配置された少なくとも一対の電極とを備え、該電極間に電圧を印加して上記溶融槽内の被溶融物に電流を流すことにより、上記被溶融物を発熱・溶融させて溶融ガラスとするガラス溶融炉において、
上記溶融槽内に、略円錐状または角錐状でその先端及び底面に開口部を有する中空の炉内構造物を、その先端を下向きにして上記流下ノズルの上方に配置することにより、上記流下ノズルの上方位置に、上記溶融ガラスの流路として、上記炉内構造物の内部及び先端開口部を通って上記流下ノズルに至る第1流路と、上記炉内構造物の外周面と上記炉底部の傾斜面との間隙を通って上記流下ノズルに至る第2流路とをそれぞれ形成し、上記溶融ガラスに含まれる導電性沈殿物を上記炉内構造物内の上記第1流路に集める構成としたことを特徴とするガラス溶融炉。 - 上記第2流路に溶融ガラスが流れる際にベルヌーイの定理により上記炉内構造物の先端開口部において圧力低下が生じるのを利用して、上記炉内構造物内の導電性沈殿物を上記炉内構造物の先端開口部から吸い出す構成としたことを特徴とする請求項1に記載のガラス溶融炉。
- 上記一対の電極には、水平方向に対向する状態で上記溶融槽の壁部に配置された一対の主電極を含み、
上記炉内構造物は、その側壁の外側から内側に60度以上の傾斜角度で斜め下方に向かって貫通する複数の貫通孔を有し、それら貫通孔の側壁外側の開口が上記主電極の下端位置よりも上方に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のガラス溶融炉。 - 上記炉内構造物の内部には、その先端の開口部よりも大きい固形物による当該開口部の閉塞を防止するための紡錘状の閉塞防止用くず受けが配設されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のガラス溶融炉。
- 上記炉内構造物の上方には、当該炉内構造物の外周面と上記炉底部の傾斜面との間隙に固形物または導電性沈殿物が落下して流入するのを阻止するための庇状構造物が配設されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のガラス溶融炉。
- 請求項1〜5の何れかに記載のガラス溶融炉を用いたガラス固化処理方法であって、上記溶融槽内に高レベル放射性廃液とガラス原料とを投入して両者を混合・溶融し、その溶融物を上記流下ノズルから所定の容器に注入して固化させることを特徴とする高レベル放射性廃液のガラス固化処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006133814A JP4496356B2 (ja) | 2006-05-12 | 2006-05-12 | 導電性沈殿物を抜き出すための炉内構造物を有するガラス溶融炉及びこれを用いた高レベル放射性廃液のガラス固化処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006133814A JP4496356B2 (ja) | 2006-05-12 | 2006-05-12 | 導電性沈殿物を抜き出すための炉内構造物を有するガラス溶融炉及びこれを用いた高レベル放射性廃液のガラス固化処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007302525A JP2007302525A (ja) | 2007-11-22 |
JP4496356B2 true JP4496356B2 (ja) | 2010-07-07 |
Family
ID=38836790
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006133814A Expired - Fee Related JP4496356B2 (ja) | 2006-05-12 | 2006-05-12 | 導電性沈殿物を抜き出すための炉内構造物を有するガラス溶融炉及びこれを用いた高レベル放射性廃液のガラス固化処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4496356B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101238800B1 (ko) * | 2011-09-19 | 2013-03-04 | 한국수력원자력 주식회사 | 비대칭 경사형 바닥을 갖는 유도가열식 용융로 |
CN106123588B (zh) * | 2016-06-27 | 2019-04-19 | 中国原子能科学研究院 | 一种用于冷坩埚的高温熔体卸料装置 |
JP7429486B2 (ja) | 2021-02-03 | 2024-02-08 | 株式会社モトヤマ | ガラス溶融炉 |
CN113800748A (zh) * | 2021-10-09 | 2021-12-17 | 清远南玻节能新材料有限公司 | 玻璃窑炉 |
-
2006
- 2006-05-12 JP JP2006133814A patent/JP4496356B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007302525A (ja) | 2007-11-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4248798B2 (ja) | インライン脱ガス装置 | |
KR101207674B1 (ko) | 디스플레이 유리 제조 장치 및 방법 | |
JP6010178B2 (ja) | ガラス溶融物からガラス製品を生産する方法および装置 | |
JP4496356B2 (ja) | 導電性沈殿物を抜き出すための炉内構造物を有するガラス溶融炉及びこれを用いた高レベル放射性廃液のガラス固化処理方法 | |
RU2696731C2 (ru) | Устройство для плавления стекла, включающее печь, канал и перегородку | |
EP1484770A1 (en) | Glass melter and method for operating the same | |
JP4556804B2 (ja) | 溶融金属の注入管および注入方法 | |
JP5772349B2 (ja) | ガラス溶融炉の運転方法 | |
JP2005131661A (ja) | タンディッシュによる高清浄度鋼の連続鋳造方法と装置 | |
JP6603670B2 (ja) | 溶融物を浄化するための装置及び方法並びに溶融めっきシステム | |
JP5691917B2 (ja) | ガラス溶融炉の炉底ノズル部構造 | |
JP5776178B2 (ja) | ガラス溶融炉の堆積物除去方法 | |
KR20100127329A (ko) | 버블링플러그 | |
JP3377503B2 (ja) | 高レベル放射性廃液のガラス溶融炉 | |
JP4529302B2 (ja) | ガラス溶融炉の底部電極 | |
JP6451466B2 (ja) | 溶融金属中の非金属介在物の捕捉装置および除去方法 | |
JP2007302531A (ja) | ガラス溶融炉 | |
JP3766828B2 (ja) | ガラス溶融炉の底部電極 | |
JP2011202985A (ja) | 溶融炉およびその運転方法 | |
JP4243711B2 (ja) | 坩堝炉 | |
JP2005055017A (ja) | 金属溶湯の出湯装置 | |
RU1781526C (ru) | Индукционна печь с донным разливом | |
JP2005076071A (ja) | 脱ガス装置 | |
JP2006062903A (ja) | ガラス溶融炉 | |
JP2020079439A (ja) | 溶融炉におけるメタル含有物の処理方法およびその設備 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080110 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100129 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100216 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100317 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130423 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130423 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140423 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |