JP2020079439A - 溶融炉におけるメタル含有物の処理方法およびその設備 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶融メタルと溶融スラブとの分離を促進させることができる、安全で且つ作業負担の低減された溶融炉におけるメタル含有物の処理方法と、かかる方法に用いられるシンプルでメンテナンス性やハンドリング性に優れたメタル含有物溶融処理設備とを提供する。【解決手段】溶融炉(12)内に投入したメタル含有物を加熱により溶融すると共に上記の溶融炉(12)内にて溶融スラグ層とその下の溶融メタル層とに分離させた溶融物(14)を、上記の溶融炉(12)の下部に設けられた排出口(12a)より抜き出す。上記の排出口(12a)より抜き出した上記の溶融物(14)を、階段状に配置された複数の鋳型(18)の最上段に注湯すると共に、オーバーフローする上記の溶融物(14)を重力に従って順次下側の鋳型(18)へと注湯して行く。【選択図】図1
Description
本発明は、メタルを含む産業廃棄物などのメタル含有物を溶融処理してメタルを回収する溶融炉におけるメタルの処理方法と、かかる方法に用いるメタル含有物溶融処理設備とに関する。
元来、メタル(金属)を含むスラッジやダストなどのメタル含有物は、その大部分が埋め立て処理されていたが、これらのメタル含有物を溶融してメタルを回収し、回収されたメタルを製鋼原料として使用すると共に、メタルを除く成分は溶融スラグとして高品質路盤材の原料などに再利用する技術が開発されている。
この種の技術として、例えば下記の特許文献1(日本国・特許第3122015号公報)に記載されたものがある。その従来技術は、次のように構成されている。
炉内に電極を有する電気抵抗式溶融炉の高さ方向中間部の炉壁に溶融スラグの出滓口を設け、前記溶融炉の底面近くの炉壁に溶融メタルの排出口を設ける。電気抵抗加熱により前記溶融炉に投入した焼却灰を溶融し、その焼却灰層内を貫通して前記焼却灰の溶融スラグに電極を挿入し、前記焼却灰を溶融スラグと溶融メタルとに分離して溶融スラグ層およびその下の溶融メタル層を形成し、前記溶融スラグを前記スラグ出滓口から、前記溶融メタルは前記メタル排出口からそれぞれ別々に出湯する。前記スラグ出滓口の外側に複数の鋳型を有する搬送コンベアを設け、前記鋳型の各々に前記スラグ出滓口から出湯した溶融スラグを順次注入して鋳込むと共に、前記メタル排出口の外側に耐火物製の樋を設け、前記メタル排出口から出湯した溶融メタルを前記樋を介して前記鋳型に順次注入することにより、メタルをスラグと同一の鋳型によって鋳込むことを特徴とする。
この種の技術として、例えば下記の特許文献1(日本国・特許第3122015号公報)に記載されたものがある。その従来技術は、次のように構成されている。
炉内に電極を有する電気抵抗式溶融炉の高さ方向中間部の炉壁に溶融スラグの出滓口を設け、前記溶融炉の底面近くの炉壁に溶融メタルの排出口を設ける。電気抵抗加熱により前記溶融炉に投入した焼却灰を溶融し、その焼却灰層内を貫通して前記焼却灰の溶融スラグに電極を挿入し、前記焼却灰を溶融スラグと溶融メタルとに分離して溶融スラグ層およびその下の溶融メタル層を形成し、前記溶融スラグを前記スラグ出滓口から、前記溶融メタルは前記メタル排出口からそれぞれ別々に出湯する。前記スラグ出滓口の外側に複数の鋳型を有する搬送コンベアを設け、前記鋳型の各々に前記スラグ出滓口から出湯した溶融スラグを順次注入して鋳込むと共に、前記メタル排出口の外側に耐火物製の樋を設け、前記メタル排出口から出湯した溶融メタルを前記樋を介して前記鋳型に順次注入することにより、メタルをスラグと同一の鋳型によって鋳込むことを特徴とする。
かかる従来技術によれば、スラグ搬送コンベアで搬送される鋳型内のスラグの一部を凝固させてから溶融メタルを注入することにより前記鋳型を損傷させることなく、メタルとスラグとを同じ鋳型に同時に鋳込むことができる。その結果、従来のメタル搬送コンベアの設置を不要とすることができるので、設備投資額を大幅に減少することができ、工業上有用な効果をもたらすとされている。
しかしながら、上記の従来技術には次の問題がある。
メタルとスラグとを同じ鋳型に同時に鋳込んだ場合、溶融スラグと溶融メタルとの混合物が多く発生するようになる。このため、メタルとスラグとを分別するためには、後に粉砕〜磁選といった作業負担がかかると共に、このような粉砕〜磁選を行ったとしても固化したメタルとスラグとをきれいに分離させるのは困難であり、メタルおよびスラグそれぞれの回収率を上げることができないという問題がある。
また、従来のメタル搬送コンベアの設置が不要になったとしても、溶融メタルの排出路と溶融スラグの出滓路とをそれぞれ別個に設ける必要があるのに加え、依然として鋳型の搬送に専用のコンベアの設置が必要であることから、メタル含有物溶融処理設備が複雑でメンテナンス性も劣るものになるという問題もある。
それゆえに、本発明の目的は、溶融メタルと溶融スラグとの分離を促進させることができる、安全で且つ作業負担の低減された溶融炉におけるメタル含有物の処理方法と、かかる方法に用いられるシンプルでメンテナンス性やハンドリング性に優れたメタル含有物溶融処理設備とを提供することである。
メタルとスラグとを同じ鋳型に同時に鋳込んだ場合、溶融スラグと溶融メタルとの混合物が多く発生するようになる。このため、メタルとスラグとを分別するためには、後に粉砕〜磁選といった作業負担がかかると共に、このような粉砕〜磁選を行ったとしても固化したメタルとスラグとをきれいに分離させるのは困難であり、メタルおよびスラグそれぞれの回収率を上げることができないという問題がある。
また、従来のメタル搬送コンベアの設置が不要になったとしても、溶融メタルの排出路と溶融スラグの出滓路とをそれぞれ別個に設ける必要があるのに加え、依然として鋳型の搬送に専用のコンベアの設置が必要であることから、メタル含有物溶融処理設備が複雑でメンテナンス性も劣るものになるという問題もある。
それゆえに、本発明の目的は、溶融メタルと溶融スラグとの分離を促進させることができる、安全で且つ作業負担の低減された溶融炉におけるメタル含有物の処理方法と、かかる方法に用いられるシンプルでメンテナンス性やハンドリング性に優れたメタル含有物溶融処理設備とを提供することである。
上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、図1から図3に示すように、溶融炉におけるメタル含有物の処理方法を次のように構成した。
すなわち、溶融炉12内に投入したメタル含有物を加熱により溶融すると共に上記の溶融炉12内にて溶融スラグ層とその下の溶融メタル層とに分離させた溶融物14を、上記の溶融炉12の下部に設けられた排出口12aより抜き出す。上記の排出口12aより抜き出した上記の溶融物14を、階段状に配置された複数の鋳型18の最上段に注入すると共に、オーバーフローする上記の溶融物14を重力に従って順次下側の鋳型18へと注入して行く。
すなわち、溶融炉12内に投入したメタル含有物を加熱により溶融すると共に上記の溶融炉12内にて溶融スラグ層とその下の溶融メタル層とに分離させた溶融物14を、上記の溶融炉12の下部に設けられた排出口12aより抜き出す。上記の排出口12aより抜き出した上記の溶融物14を、階段状に配置された複数の鋳型18の最上段に注入すると共に、オーバーフローする上記の溶融物14を重力に従って順次下側の鋳型18へと注入して行く。
この発明では、溶融炉12内で2層分離した溶融物14を、溶融炉12の下部に設けられた排出口12aより抜き出すと、先ず始めに比較的低温で高比重の溶融メタルが吐出された後、比較的高温で低比重の溶融スラグが吐出されるようになる。このため、階段状に配置された鋳型18の上段側では、オーバーフローを繰り返しながら、上から順に鋳型18内が溶融メタルで満たされた後、溶融スラグが流入するようになる。ここで、先に溶融メタルが満たされた鋳型18内に後から溶融スラグが流入すると、鋳型18内では溶融メタルと溶融スラグとの比重差による比重分離が発生する。この際、上熱気味の溶融炉12内での溶融物14の温度勾配により、溶融物14は流湯するほど溶融物14の温度が高まるようになる。このため、鋳型18内では凝固によって上記の比重分離が阻害されることなく、鋳型18内に後から流入して来た溶融スラグが選択的に浮上して下流側へとオーバーフローして行く。その結果、溶融物14中のメタル分とスラグ分とを好適に且つ簡単な作業で安全に分離させることができる。
本発明においては、上記の排出口12aより抜き出した前記の溶融物14を、樋16で受けて整流すると共に、その樋16の先端に設けられた溶湯吐出口16bより流速を落としつつ真下へ落下させ、前記の最上段の鋳型18に注湯するのが好ましい。
この場合、上述した溶融メタルと溶融スラグとの比重分離をより一層効率的に行うことができるようになる。
この場合、上述した溶融メタルと溶融スラグとの比重分離をより一層効率的に行うことができるようになる。
また、第2の発明にかかるメタル含有物溶融処理設備は、上述した溶融炉におけるメタル含有物の処理方法を実行するための装置であって、例えば、図1から図3に示すように、当該装置を次のように構成した。
炉内に投入したメタル含有物を加熱により溶融し、得られた溶融物14をその下部に設けられた排出口12aより抜き出す溶融炉12と、その後端が上記の排出口12aに連設され、当該排出口12aより抜き出された上記の溶融物14を一旦溜めて整流する樋本体16a、および、その樋本体16aの先端側にて下向きに開口された溶湯吐出口16bに装着され、内部に下方へ向けて縮径するテーパー状の流路が形成された円筒ブロック20を有する樋16と、上記の溶融物14を収容する鋳型本体22、および、その鋳型本体22からオーバーフローする上記の溶融物14の流れを案内する鋳型樋口部24からなる鋳型18であって、オーバーフローする上記の溶融物14が階段状に鋳型本体22内へと注湯されるよう上下に複数配設されると共に、最上段のものが上記の溶湯吐出口16bの直下に配設される鋳型18とを備えることを特徴とする。
炉内に投入したメタル含有物を加熱により溶融し、得られた溶融物14をその下部に設けられた排出口12aより抜き出す溶融炉12と、その後端が上記の排出口12aに連設され、当該排出口12aより抜き出された上記の溶融物14を一旦溜めて整流する樋本体16a、および、その樋本体16aの先端側にて下向きに開口された溶湯吐出口16bに装着され、内部に下方へ向けて縮径するテーパー状の流路が形成された円筒ブロック20を有する樋16と、上記の溶融物14を収容する鋳型本体22、および、その鋳型本体22からオーバーフローする上記の溶融物14の流れを案内する鋳型樋口部24からなる鋳型18であって、オーバーフローする上記の溶融物14が階段状に鋳型本体22内へと注湯されるよう上下に複数配設されると共に、最上段のものが上記の溶湯吐出口16bの直下に配設される鋳型18とを備えることを特徴とする。
本発明においては、上記の鋳型18が、その内部底面とこれに隣接する内部側面とのなす角θが100°〜135°であって、水平方向の内部断面積が上面開口へ向けて拡大するテーパー状に形成されるのが好ましい。
この場合、鋳型18内で溶融メタルや溶融スラグを冷却させて得た鋳造凝固物を、当該鋳型18から簡単に抜き出すことができるようになる。
この場合、鋳型18内で溶融メタルや溶融スラグを冷却させて得た鋳造凝固物を、当該鋳型18から簡単に抜き出すことができるようになる。
さらに、本発明は、後述する実施形態に記載された特有の構成を付加することが好ましい。
本発明によれば、階段状に配置した鋳型に溶融物をオーバーフローさせながら流すだけで溶融メタルと溶融スラブとの分離を促進させることができる、安全で且つ作業負担の低減された溶融炉におけるメタル含有物の処理方法と、かかる方法に用いられるシンプルでメンテナンス性やハンドリング性に優れたメタル含有物溶融処理設備とを提供することができる。
以下、本発明の溶融炉におけるメタルの処理方法と、かかる方法に用いる廃棄物溶融処理設備について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の廃棄物溶融処理設備10の一例を表す概略図で、図1Aはその平面図を表わし、図1Bはその正面図を表わす。これらの図が示すように、本発明の廃棄物溶融処理設備10は、溶融炉12と、樋16と、鋳型18とで大略構成される。
なお、本明細書においては、各部位に付される符号に関し、各部位を上位概念で示す場合にはアルファベットの枝番をつけずアラビア数字のみで示し、各部位を区別する必要がある場合(すなわち下位概念で示す場合)にはアルファベット小文字の枝番をアラビア数字に付して区別する。
図1は、本発明の廃棄物溶融処理設備10の一例を表す概略図で、図1Aはその平面図を表わし、図1Bはその正面図を表わす。これらの図が示すように、本発明の廃棄物溶融処理設備10は、溶融炉12と、樋16と、鋳型18とで大略構成される。
なお、本明細書においては、各部位に付される符号に関し、各部位を上位概念で示す場合にはアルファベットの枝番をつけずアラビア数字のみで示し、各部位を区別する必要がある場合(すなわち下位概念で示す場合)にはアルファベット小文字の枝番をアラビア数字に付して区別する。
溶融炉12は、メタルを含むスラッジやダストなどのメタル含有物に、必要に応じてコークスや石灰石などを加え、電気抵抗加熱により上記のメタル含有物を溶融して保持する炉であり、サブマージドアーク炉(強還元型電気炉)などがこれに該当する。この溶融炉12の下部(図示実施態様では、下部の側壁)には、炉内で調製した溶融物14を炉内から抜き出すための排出口12aが設けられる。
なお、この溶融炉12は、炉内の電極(図示せず)に交流電圧をかけてメタル含有物を溶融し、溶融スラグを抵抗体にしてその抵抗熱(ジュール熱)により、順次投入されるメタル含有物を溶融するものであり、炉内で溶融された溶融物14、すなわち溶融メタルおよび溶融スラグは、比重差によって溶融スラグ層とその下の溶融メタル層とに分離された状態で炉内にて保持される。また、この溶融炉12では、炉内が上熱気味になることから溶融メタル層は比較的低温であるのに対し、溶融スラグ層は比較的高温となる。
なお、この溶融炉12は、炉内の電極(図示せず)に交流電圧をかけてメタル含有物を溶融し、溶融スラグを抵抗体にしてその抵抗熱(ジュール熱)により、順次投入されるメタル含有物を溶融するものであり、炉内で溶融された溶融物14、すなわち溶融メタルおよび溶融スラグは、比重差によって溶融スラグ層とその下の溶融メタル層とに分離された状態で炉内にて保持される。また、この溶融炉12では、炉内が上熱気味になることから溶融メタル層は比較的低温であるのに対し、溶融スラグ層は比較的高温となる。
樋16は、溶融炉12の排出口12aから抜き出される溶融物14を、後述する鋳型18の最上段のものへと案内するための部材で、その後端が上記の排出口12aに連設され、当該排出口12aより抜き出された溶融物14を一旦溜めて整流する樋本体16aを有する(図1Bおよび図2A参照)。この樋本体16aは上面が開口された長箱状の容器体で、鋼鉄などからなる樋外枠26と、その樋外枠26の内面に設けられた黒鉛質のブロックからなる耐火物層28とで構成される。また、この樋本体16aの先端側には、下向きに開口する溶湯吐出口16bが穿設されると共に、この溶湯吐出口16bには、黒鉛で構成され、その内部に下方へ向けて縮径するテーパー状の流路20aが形成された円筒ブロック20が装着されている(図2AおよびB参照)。溶湯吐出口16bにこのような円筒ブロック20を装着することによって、溶湯吐出口16bから吐出される溶融物14の流速を落としつつ真下へと落下させることができるようになる。
鋳型18は、溶融炉12より抜き出された溶融物14を流し込んで所定の形状にて固化させるための型であり、図1に示すように、溶融炉12の近傍にて堀設されたピット30内にて階段状に複数(図1の実施形態では6台)配設され、上の鋳型18からオーバーフローした溶融物14が順次下側のものへと流下して行くようになっている。なお、図1中の符号32は、ピット30内へ出入りするための階段である。
図1で示す実施形態では、ピット30内にて階段状に配設された鋳型18のうち、上側の3段は溶融メタルを鋳込むための鋳型18a〜18cが配設され、下側の3段は溶融スラグを鋳込むための鋳型18d〜fが配設されている。
図1で示す実施形態では、ピット30内にて階段状に配設された鋳型18のうち、上側の3段は溶融メタルを鋳込むための鋳型18a〜18cが配設され、下側の3段は溶融スラグを鋳込むための鋳型18d〜fが配設されている。
以上のように配設される鋳型18のうち、特に溶融メタルを鋳込むための鋳型18a〜18cを中心にその構造を説明すると、この鋳型18は、図3に示すように、上面が開口した逆四角錘台状の鋳型本体22を有する。鋳型本体22は、鋼鉄などからなる型外枠34と、その型外枠34の内面に設けられた不定形耐火物などからなる50mm〜85mm厚程度の耐火物層36とで構成される。この鋳型本体22の底部には、図示しないフォークリフトの爪が挿入される左右一対のフォーク差込部38が、そのフォーク差込方向が互いに直交するように上下方向に2段設けられている。また、鋳型本体22の外周面上部の四隅には、玉掛け用のフック40が取付けられている。
ここで、この鋳型本体22は、その内部底面とこれに隣接する内部側面とのなす角θが100°〜135°の範囲で形成されており(図3(g)および(h)参照)、水平方向の内部断面積が上面の開口側へ向けて拡大するテーパー状に形成される。かかる構成により、鋳型18内で溶融物14を冷却させて得た鋳造凝固物を、当該鋳型18から簡単に抜き出すことができるようになっている。
そして、この鋳型本体22の上端部には、鋳型本体22からオーバーフローする溶融物14の流れを案内する、つまり、鋳型本体22内からオーバーフローする溶融物14の流出経路となる鋳型樋口部24が1カ所設けられている。
ここで、この鋳型本体22は、その内部底面とこれに隣接する内部側面とのなす角θが100°〜135°の範囲で形成されており(図3(g)および(h)参照)、水平方向の内部断面積が上面の開口側へ向けて拡大するテーパー状に形成される。かかる構成により、鋳型18内で溶融物14を冷却させて得た鋳造凝固物を、当該鋳型18から簡単に抜き出すことができるようになっている。
そして、この鋳型本体22の上端部には、鋳型本体22からオーバーフローする溶融物14の流れを案内する、つまり、鋳型本体22内からオーバーフローする溶融物14の流出経路となる鋳型樋口部24が1カ所設けられている。
なお、上述の鋳型18の説明では、溶融メタルを鋳込むための鋳型18a〜18cを中心に行ってきたが、溶融スラグを鋳込むための鋳型18d〜18fについても、鋳型本体22のサイズや耐火物層36を構成する材料や厚さなどに若干の違いはあるものの、基本的には溶融メタルを鋳込むための鋳型18a〜18cと同様の構造である。
また、上述の説明では、鋳型本体22の形状を上面が開口した逆四角錘台状のものとしたが、この鋳型本体22の形状は、水平方向の内部断面積が上面開口へ向けて拡大するテーパー状に形成されるものであれば如何なる形状であってもよく、例えば、逆円錐台状などでもよい。
また、上述の説明では、鋳型本体22の形状を上面が開口した逆四角錘台状のものとしたが、この鋳型本体22の形状は、水平方向の内部断面積が上面開口へ向けて拡大するテーパー状に形成されるものであれば如何なる形状であってもよく、例えば、逆円錐台状などでもよい。
以上のように構成されたメタル含有物溶融処理設備10を用いてメタル含有物からメタルと溶融スラグとを回収する、すなわち、本発明のメタル含有物の処理方法を実行する際には、先ず始めに、溶融炉12内で電気抵抗加熱によって上記のメタル含有物を溶融して溶融物14を得る。この溶融物14は溶融炉12内で比重差による分離が促進され、溶融スラグ層とその下の溶融メタル層とに分離した状態で溶融炉12内にて保持される。ここで、溶融炉12内は上熱気味になっていることから、溶融メタル層は比較的低温であり、溶融スラグ層は比較的高温となっている。
そして、その溶融物14は、溶融炉12の下部に設けられた排出口12aを開口することによって当該排出口12aから抜き出され、樋16へと供給される。その際、排出口12aからは、先に比較的低温で高比重の溶融メタルが吐出された後、比較的高温で低比重の溶融スラグが吐出される。
そして、その溶融物14は、溶融炉12の下部に設けられた排出口12aを開口することによって当該排出口12aから抜き出され、樋16へと供給される。その際、排出口12aからは、先に比較的低温で高比重の溶融メタルが吐出された後、比較的高温で低比重の溶融スラグが吐出される。
排出口12aから抜き出される溶融物14は、その原料となるメタル含有物の種類(組成)や量などによって、排出口12aから吐出される際の勢いや流速が異なる。このため、樋16では、排出口12aから抜き出された溶融物14の流れが整流されると共に、整流された溶融物14は、その先端に設けられた溶湯吐出口16bより、流速を落としつつ真下へと落下して最上段の鋳型18aへと注湯される。
樋16より鋳型18へと注湯される溶融物14は、重力に従ってそれぞれの鋳型18をオーバーフローしながら自動的に最上段の鋳型18aから最下段の鋳型18fまで流れ続ける。その際、鋳型18内では、溶融メタルと溶融スラグとの比重差による比重分離が行われるが、上述したように、溶融炉12内での溶融物14の温度勾配により、溶融物14は流湯するほど溶融物14の出湯温度が高まるようになる。このため、鋳型18内では凝固によって上記の比重分離が阻害されることなく、鋳型18内に後から流入して来た溶融スラグが選択的に浮上して下流側へとオーバーフローして行く。その結果、溶融物14中のメタル分とスラグ分とを効率よく分離させることができる。
また、溶融物14は重力に従って自動的に下側の鋳型18へとオーバーフローして行くので、従来のように作業員が溶融物14を一旦取鍋で受け、その取鍋を傾動させて鋳型へ注湯する方法とは異なり、鋳型18へ溶融物14を注湯する際のスプラッシュ飛散の危険性を著しく低減させることができる。
また、溶融物14は重力に従って自動的に下側の鋳型18へとオーバーフローして行くので、従来のように作業員が溶融物14を一旦取鍋で受け、その取鍋を傾動させて鋳型へ注湯する方法とは異なり、鋳型18へ溶融物14を注湯する際のスプラッシュ飛散の危険性を著しく低減させることができる。
以上のようにオーバーフローならびに比重分離を繰り返しながら各鋳型18へと注湯された溶融物14は、冷却・固化した後、鋳型18から抜き取られ、メタル分として回収された物は製鋼原料として使用される。
ここで、特に溶融メタルを鋳込むための鋳型18a〜18cに関しては、1回の使用ごとに、鋳型本体22内の耐火物層36の保護と鋳造したメタル分の剥離性向上のため、石灰乳やMgO系のモルタル乳を吹き付けて保護層を形成しながら使用するのが好ましい。
なお、上述の実施形態では、所定の樋16を介して鋳型18に溶融物14を注湯する場合を示したが、かかる樋16が不要な場合には、溶融炉12の排出口12aから直接、鋳型18に溶融物14を注湯するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、鋳型18として上から順に3台のメタル回収用の鋳型18a〜18cと3台のスラグ回収用の鋳型18d〜18fとを階段状に配置する場合を示しているが、この鋳型18の構成は、オーバーフローする溶融物14が階段状に鋳型本体22内へと注湯されるよう上下に複数配設されるのであれば如何なるものであってもよく、溶融物14の原料となる産業廃棄物の種類(組成)や量などに応じて、適宜変更可能である。
さらに、上述の実施形態では、メタル含有物を電気抵抗加熱により溶融して溶融物14を得る場合を示しているが、溶融物14を得るためのメタル含有物の加熱方法は、これに限定されるものではなく、例えば、高周波アーク状放電などの他の公知の方法を用いることもできる。
また、本発明は、当業者が想定できる範囲でその他の変更を行えることは勿論である。
10:廃棄物溶融処理設備,12:溶融炉,12a:排出口,14:溶融物,16:樋,16a:樋本体,16b:溶湯吐出口,18:鋳型,20:円筒ブロック,22:鋳型本体,24:鋳型樋口部.
Claims (4)
- 溶融炉内に投入したメタル含有物を加熱により溶融すると共に上記の溶融炉内にて溶融スラグ層とその下の溶融メタル層とに分離させた溶融物を、上記の溶融炉の下部に設けられた排出口より抜き出し、
上記の排出口より抜き出した上記の溶融物を、階段状に配置された複数の鋳型の最上段に注湯すると共に、オーバーフローする上記の溶融物を重力に従って順次下側の鋳型へと注湯して行く、
ことを特徴とする溶融炉におけるメタル含有物の処理方法。 - 請求項1の溶融炉におけるメタルの処理方法において、
前記の排出口より抜き出した前記の溶融物を、樋で受けて整流すると共に、その樋の先端に設けられた溶湯吐出口より流速を落としつつ真下へ落下させ、前記の最上段の鋳型に注湯する、ことを特徴とする溶融炉におけるメタルの処理方法。 - 炉内に投入したメタル含有物を加熱により溶融し、得られた溶融物をその下部に設けられた排出口より抜き出す溶融炉と、
その後端が上記の排出口に連設され、当該排出口より抜き出された上記の溶融物を一旦溜めて整流する樋本体、および、その樋本体の先端側にて下向きに開口された溶湯吐出口に装着され、内部に下方へ向けて縮径するテーパー状の流路が形成された円筒ブロックを有する樋と、
上記の溶融物を収容する鋳型本体、および、その鋳型本体からオーバーフローする上記の溶融物の流れを案内する鋳型樋口部からなる鋳型であって、オーバーフローする上記の溶融物が階段状に鋳型本体内へと注湯されるよう上下に複数配設されると共に、最上段のものが上記の溶湯吐出口の直下に配設される鋳型とを備える、
ことを特徴とするメタル含有物溶融処理設備。 - 請求項3のメタル含有物溶融処理設備において、
前記の鋳型は、その内部底面とこれに隣接する内部側面とのなす角が100°〜135°であって、水平方向の内部断面積が上面開口へ向けて拡大するテーパー状に形成されている、ことを特徴とするメタル含有物溶融処理設備。
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JP2018213583A Pending JP2020079439A (ja) | 2018-11-14 | 2018-11-14 | 溶融炉におけるメタル含有物の処理方法およびその設備 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2020079439A (ja) |
-
2018
- 2018-11-14 JP JP2018213583A patent/JP2020079439A/ja active Pending
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