JP4495649B2 - ワイパモータ - Google Patents

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本発明は、車両等に設けられるワイパアームを揺動駆動するためのワイパモータに関し、特に、電動モータの出力を揺動運動に変換して出力軸から出力する動力変換機構を有するものに関する。
車両のリヤウインドガラスを払拭するリヤワイパ装置等では、電動モータの回転運動を揺動運動に変換して出力軸から出力する動力変換機構を備えたワイパモータを用いて、ワイパアームを直接出力軸に固定するようにしている。このようなワイパモータは、バスタブ状に形成されたケース本体とケース本体を閉塞するカバーから成るギヤケースを有し、このギヤケースは電動モータに固定され、動力変換機構はこのギヤケース内に収容されている。動力変換機構は電動モータの回転軸の外周面に形成されるウォームとウォームに噛み合うウォームホイルとを有し、ウォームホイルには回転中心軸から離れて連結軸が設けられ、この連結軸には動力伝達部材が回動自在に連結されている。動力伝達部材にはセクタギヤ部が設けられ、このセクタギヤ部は出力軸に固定される出力ギヤに噛み合い、セクタギヤ部の軸心に設けられる歯車軸と出力軸とは揺動プレートにより互いに揺動自在に連結されている。このような構成により、電動モータが作動してウォームホイルが回転すると、その回転運動は動力変換部材を介して出力ギヤの揺動運動に変換され、出力軸に固定されたワイパアームを所定の揺動範囲で払拭動作させることができる。
払拭動作するワイパアームがその揺動範囲の両端にある反転位置において移動方向を反転させるときには、出力ギヤとセクタギヤ部との噛み合い部分に回転方向の大きな荷重が加わり、この荷重によりセクタギヤ部は出力ギヤから引き離される方向の荷重を受けることになる。そして、この荷重によりギヤケースに支持される出力軸に対して歯車軸や連結軸が傾きを生じ、セクタギヤ部と出力ギヤとの噛み合いがずれ、出力軸の回転方向のガタが大きくなる。これにより、ウインドガラスが濡れた状態のときと乾いた状態のときとでは、出力軸に加わる荷重が相違することにより出力軸の回転方向のガタが増減し、ワイパアームの払拭範囲が相違するという問題を生じることになる。
出力ギヤとセクタギヤとの噛み合い部分に回転方向の荷重が加わったときに各軸が傾斜する構造的な原因としては、出力軸や歯車軸あるいは連結軸がギヤケース内で軸方向にガタを有していることが大きく寄与している。そのため、例えば特許文献1に示されるワイパモータでは、ギヤケースのカバーの内面に樹脂材料により板状に形成されたパットを装着し、このパットに出力軸や歯車軸、連結軸の先端部を摺接させることにより各軸の軸方向への移動を規制するようにしている。これにより、出力ギヤとセクタギヤ部との間に噛み合いを引き離す方向の荷重が加わっても、各軸は軸方向の移動が規制されることによりその傾動が抑制され、出力ギヤの回転方向のガタを減少させることができる。
特開平4−292244号公報
しかしながら、特許文献1に示されるワイパモータのようにカバーに樹脂製のパットを装着するようにすると、部品点数が増加するとともにパットをカバーに装着する作業つまり組み付け工数が増加することになるので、このワイパモータのコストは増加することになる。
また、特許文献1に示されるワイパモータでは、出力ギヤとセクタギヤ部とを挟み込む一対の揺動プレートによって出力軸と歯車軸とを連結し、これにより出力ギヤとセクタギヤ部との噛み合いを保持させるようにしているが、このような構造では、各ギヤの噛み合いを確保するためには揺動プレートを厚く形成する必要があり、ワイパモータが大型化してしまうという問題がある。
本発明の目的は、出力軸の回転方向のガタを減少させ得るワイパモータを低コストで提供することにある。
本発明のワイパモータは、電動モータと該電動モータの回転力を揺動運動に変換して出力軸から出力する動力変換機構とを備え、前記出力軸に取り付けられるワイパアームを予め定められた反転位置の間で揺動駆動するワイパモータであって、前記動力変換機構を収容するギヤケースと、前記出力軸に一体回転可能に設けられ、前記ギヤケース内に収容される出力ギヤと、前記ギヤケースに収容され、前記電動モータによって回転駆動されるウォームと、前記ギヤケース内に回転自在に収容され、前記ウォームに噛み合うウォームホイルと、前記ウォームホイルの回転中心軸から離れた連結軸において前記ウォームホイルに回動自在に連結され、前記出力ギヤと噛み合うセクタギヤ部を有する動力変換部材と、前記セクタギヤ部の軸心に設けられる歯車軸と前記出力軸とを揺動自在に連結する揺動プレートと、前記出力軸の先端に装着され、前記ギヤケースの内面に摺接する第1摺接部材と、前記連結軸の先端に装着され、前記ギヤケースの内面に摺接する第2摺接部材と、前記歯車軸の先端に装着され、前記ギヤケースの内面に摺接する第3摺接部材と、それぞれ前記ギヤケースの内面に該ギヤケースの内側に突出して形成され、前記ワイパアームが両反転位置となったときに前記第2摺接部材に摺接する一対の摺接凸部とを有し、前記第3摺接部材には、前記第3摺接部材から前記セクタギヤ部に向けて延びる延出部と、前記動力変換部材の揺動に伴う全移動範囲において前記摺接凸部を避けて前記ギヤケースの内面に摺接する第4摺接部材とが一体に形成されていることを特徴とする。
本発明のワイパモータは、前記動力変換機構を収容するケース本体と前記ケース本体を閉塞するカバーとにより前記ギヤケースを構成し、前記第1〜第4摺接部材をそれぞれ前記カバーに摺接させることを特徴とする。
本発明のワイパモータは、前記延出部の外周は前記セクタギヤ部と前記出力ギヤとの噛み合い部分にまで延びており、前記延出部上に前記第4摺接部材が一体に形成されていることを特徴とする。
本発明のワイパモータは、前記歯車軸を中心とした円弧状に前記第4摺接部材を形成することを特徴とする。
本発明によれば、出力ギヤとセクタギヤ部とに噛み合いを引き離す方向の荷重が加わっても、それぞれギヤケースの内面に摺接する第1〜第3摺接部材により出力軸、連結軸、歯車軸の軸方向の移動が規制され、これらの軸の傾動が抑制される。これにより出力ギヤとセクタギヤ部との噛み合いが保持され、出力軸の回転方向のガタを低減させることができる。また、ワイパアームが両反転位置となったときにはギヤケースに形成される摺接凸部に第2摺接部材を摺接させて連結軸の軸方向の移動を強く規制するようにしたので、ワイパアームの両反転位置における反転動作により出力ギヤとセクタギヤ部との間に噛み合いを切り離す方向の荷重が生じても各軸の傾動を抑制することができる。これにより、出力軸の回転方向のガタを低減させ、ウインドガラスの表面の状態に拘わらずワイパアームの払拭範囲を一定にすることができる。第3摺接部材に設けられる第4摺接部材を動力変換部材の揺動に伴う全範囲において摺接凸部を避けてギヤケースに摺接させるようにしたので、電動モータの負担を低減させることができる。
また、本発明によれば、第4摺接部材をセクタギヤ部の先端部分を覆う位置に形成するようにしたので、第4摺接部材を介してセクタギヤ部をギヤケースに支持させて動力変換部材の傾動を抑制することができる。これにより、出力ギヤとセクタギヤ部との噛み合いは保持され、出力軸の回転方向のガタを低減させることができる。歯車軸を中心とした円弧状に第4摺接部材を形成することにより、出力ギヤとセクタギヤ部との噛み合い位置が移動しても、第4摺接部材を介して確実にセクタギヤ部をギヤケースに支持させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態であるワイパモータを示す正面図であり、このワイパモータ11は、図示しない車両に設けられるリヤワイパ装置に用いられるものであり、電動モータ12とギヤユニット13とを有している。
図2は図1に示すワイパモータの内部構造を示す一部切り欠き断面図であり、図3は図2におけるA−A線に沿う断面図であり、電動モータ12は回転軸12aを備えた所謂ブラシ付き直流モータとなっており、カプラ14を介して車両に搭載されるバッテリ等の図示しない電源に接続されている。図示しないワイパスイッチが操作されると電源から電動モータ12に直流電流が供給され、回転軸12aは所定の方向に回転する。図示する場合には、電動モータ12はブラシ付き直流モータとされているが、これに限らず、たとえばブラシレスモータなど他の形式の電動モータを用いるようにしてもよい。
一方、ギヤユニット13は、締結部材15により電動モータ12に固定されるバスタブ状のケース本体16とケース本体16を閉塞するカバー17とで構成されるギヤケース18を有しており、ケース本体16の内部には、電動モータ12の出力を揺動運動に変換して出力軸21から出力する動力変換機構22が収容されている。カバー17は、鋼板をプレス加工して形成され、ワイパモータ11を車体に固定するためのブラケットを兼ねており、図1に示すようにワイパモータ11はカバー17に設けられる3箇所の取付部23において図示しないボルト等の締結部材により車体に固定される。
図2に示すように、動力変換機構22はウォームギヤ機構24を有し、ウォームギヤ機構24はウォーム25とウォーム25に噛み合うウォームホイル26とを備え、ウォーム25はケース本体16の内部に突出する回転軸12aの外周に一体的に形成されて電動モータ12に回転駆動されるようになっている。ウォームホイル26はケース本体16に設けられた回転中心軸としての支持軸27に支持されてケース本体16の内部に回転自在に収容されており、ウォーム25に噛み合わされることにより回転軸12aの回転が所定の回転数にまで減速されて伝達されるようになっている。つまり、ウォームホイル26は電動モータ12により駆動されて所定の方向に回転するようになっている。
図3に示すように、ケース本体16には支持軸27と平行な方向に突出するボス部16aが形成されており、出力軸21は支持軸27に対して平行となってボス部16aに回転自在に支持されている。出力軸21の一端はボス部16aから外部に突出し、その先端にはリヤワイパ装置を構成するリヤワイパアーム28(図3に一点鎖線で示す)が取り付けられている。また、出力軸21の他端はケース本体16の内部に位置しており、その先端には出力ギヤ31が設けられている。この場合、出力ギヤ31は焼結により形成された平歯車となっており、その軸心に出力軸21が圧入されることにより出力軸21と一体回転自在とされている。つまり、出力ギヤ31はケース本体16の内部に出力軸21とともに回転自在に収容されている。
図4は図1に示す動力変換機構の詳細を示す分解斜視図であり、動力変換機構22はウォームホイル26と出力ギヤ31とを連結する動力変換部材32を有し、この動力変換部材32によりウォームホイル26の回転運動が揺動運動に変換されて出力軸21に伝達されるようになっている。つまり、電動モータ12の動力である回転軸12aの回転運動はウォームギヤ機構24により減速されるとともに動力変換部材32により揺動運動に変換されて出力軸21から出力される。これにより、出力軸21に取り付けられたリヤワイパアーム28はワイパモータ11により予め定められた反転位置の間、つまり上反転位置と下反転位置との間で揺動駆動され、これによりリヤワイパ装置の払拭動作が行われることになる。
動力変換部材32はプレス機械を用いて鋼板を所定の形状に打ち抜き加工することによりアーム部32aとアーム部32aの長手方向の一端に設けられるセクタギヤ部32bとを有する板状に形成され、アーム部32aのセクタギヤ部32bとは反対側の先端側には貫通孔32cが形成され、この貫通孔32cには支持軸27と平行に連結軸33が圧入により固定されている。一方、セクタギヤ部32bの軸心つまりピッチ円の中心には貫通孔32dが形成され、この貫通孔32dには連結軸33と平行に歯車軸34が圧入により固定されている。
一方、ウォームホイル26には回転中心軸つまり支持軸27から離れて連結穴26aが形成されており、連結軸33はこの連結穴26aに回転自在に係合されている。つまり、アーム部32aは支持軸27から離れた連結軸33においてウォームホイル26に回転自在に連結されている。一方、セクタギヤ部32bは出力ギヤ31に噛み合わされており、その噛み合いを保持するために、歯車軸34と出力軸21とは揺動プレート35により揺動自在に連結されている。
図4に示すように、揺動プレート35は出力ギヤ31やセクタギヤ部32bに対してケース本体16側に配置され、その一方の貫通孔35aに出力軸21が挿通されるとともに他方の貫通孔35bに歯車軸34が挿通され、これにより出力軸21と歯車軸34とを揺動自在に連結している。したがって、セクタギヤ部32bは揺動プレート35により出力ギヤ31との噛み合いが保持された状態で出力軸21の周りに揺動自在に支持される。
このような構造により、電動モータ12が作動してウォームホイル26が回転すると、その回転によりアーム部32aが往復動されるとともにセクタギヤ部32bが出力ギヤ31に対して揺動運動し、ウォームホイル26の回転運動が揺動運動に変換されて出力軸21から出力される。これにより、出力軸21に取り付けられたリヤワイパアーム28はワイパモータ11により所定の揺動範囲で揺動駆動され、リヤワイパ装置の払拭動作が行われる。
図5はカバーの詳細を示す正面図であり、図6は出力軸の先端に装着された第1摺接部材とカバーとの接触部分の詳細を示す断面図である。図5に示すように、カバー17のケース本体16を閉塞する部分の内面には、出力軸21の先端に対向するように、ギヤケース18の内側に向けて突出する円形の突出部41が形成されている。一方、出力軸21のカバー17の内面に対向する側の先端には、図6に示すように、樹脂材料によりキャップ状に形成された第1摺接部材42が装着されている。第1摺接部材42はカバー17の突出部41に摺接しており、これにより、出力軸21や出力ギヤ31はボス部16aとカバー17との間に挟み込まれてその軸方向の移動が規制され、その軸方向のガタが抑制される。
図2に示すように、動力変換部材32のカバー17と対向する側の表面には樹脂材料により形成された摺接プレート43が装着されている。図4に示すように、この摺接プレート43は第2摺接部材43aと第3摺接部材43bとを備え、これらの摺接部材43a,43bはプレート部43cを介して一体に形成されている。第2摺接部材43aはプレート部43cに対してカバー17側に突出するキャップ状に形成され、動力変換部材32の表面から突出する連結軸33の先端を覆うように連結軸33の先端に装着されている。そして、図3に示すように、第2摺接部材43aは第1摺接部材42と同一側においてギヤケース18つまりカバー17の内面に摺接しており、これにより連結軸33は第2摺接部材43aを介してカバー17に支持されて軸方向への移動が規制されている。同様に、第3摺接部材43bはプレート部43cに対してカバー17側に突出するキャップ状に形成され、動力変換部材32の表面から突出する歯車軸34の先端部分を覆うように歯車軸34の先端に装着されている。そして、図3に示すように、第3摺接部材43bも第2摺接部材43aと同様に第1摺接部材42と同一側においてカバー17の内面に摺接しており、これにより歯車軸34は第3摺接部材43bを介してカバー17に支持されて軸方向への移動が規制されている。
このように、このワイパモータ11では、出力軸21の先端に装着される第1摺接部材42と連結軸33の先端に装着される第2摺接部材43aと歯車軸34の先端に装着される第3摺接部材43bとをカバー17の内面に摺接させて各軸の軸方向への移動を規制するようにしたので、各軸や動力変換部材32等をギヤケース18内でがたつかせること無く、滑らかに作動させることができる。
図7はカバーの内面における各摺接部と第4摺接部材の移動経路を示す説明図であり、図8(a)〜(d)はワイパアームの払拭動作に伴う第2摺接部の位置変化を示す断面図である。
図5に示すように、カバー17の内面には一対の摺接凸部51,52が設けられている。これらの摺接凸部51,52はカバー17をプレス加工する際にケース本体16の内側に向けて突出するようにカバー17と一体に形成されており、図7に示すように、それぞれの摺接凸部51,52は図中一点鎖線で示す第2摺接部材43aの移動経路上に設けられ、それぞれリヤワイパアーム28が両反転位置となったときに第2摺接部材43aと摺接するようになっている。つまり、図8(a)に示すように、揺動運動するリヤワイパアーム28がその移動方向を反転させる一方の反転位置となったときには第2摺接部材43aは摺接凸部51に摺接し、そこからリヤワイパアーム28が反対側の反転位置に向けて移動すると、図8(b)に示すように、第2摺接部材43aはカバー17の内面に摺接し、リヤワイパアーム28が他方の反転位置となったときには、図8(c)に示すように、第2摺接部材43aは摺接凸部52に摺接する。そして、再度リヤワイパアーム28が他方の反転位置に向けて移動すると、図8(d)に示すように、第2摺接部材43aは摺接凸部51に向けてカバー17の内面に摺接しながら移動する。なお、摺接凸部51,52の周方向の両側部には傾斜面51a,52aが形成され、摺接凸部51,52に第2摺接部材43aを滑らかに摺接させるようにしている。したがって、リヤワイパアーム28が反転位置において反転動作することにより、出力ギヤ31とセクタギヤ部32bとの噛み合い部分に回転方向の大きな荷重が加わり、この荷重により出力ギヤ31とセクタギヤ部32bとを引き離す方向の荷重が加えられても、リヤワイパアーム28が反転位置となったときには第2摺接部材43aは摺接凸部51,52に摺接して軸方向の移動が強く規制されるので、連結軸33の傾動を抑制し、つまりは動力変換部材32の傾動を抑制して、出力ギヤ31とセクタギヤ部32bとの噛み合いずれを抑制することができる。そして、出力ギヤ31とセクタギヤ部32bとの噛み合いずれを抑制することにより、出力軸21の回転方向のガタを減少させることができる。
このように、このワイパモータ11では、リヤワイパアーム28が両反転位置となったときにはカバー17に形成される摺接凸部51,52に第2摺接部材43aが摺接して連結軸33の軸方向の移動は強く規制されるので、出力軸21の回転方向のガタを減少させることができる。また、出力軸21の回転方向のガタを抑制することにより、ウインドガラスの表面の状態に拘わらずリヤワイパアーム28の払拭範囲を一定にすることができる。さらに、リヤワイパアーム28が反転位置以外の位置にあるときには、第2摺接部材43aは摺接凸部51,52以外の部分においてカバー17に摺接するので、その摺接による抵抗が抑制され、電動モータ12の負担を低減させることができる。さらに、摺接凸部51,52はカバーをプレス加工する際にカバー17と一体に形成されるので、部品点数や製造工数等を抑制して、ワイパモータ11のコストを低減させることができる。
図9は摺接プレートに設けられる第4摺接部材とカバーとの接触部分の詳細を示す断面図である。
図2に示すように、摺接プレート43には動力変換部材32上に配置される延出部53が第3摺接部材43bと一体に設けられている。この延出部53は扇形状に形成され、その外周はセクタギヤ部32bと出力ギヤ31との噛み合い部分にまで延びており、セクタギヤ部32bのカバー17と対向する側の表面を覆っている。延出部53上にはカバー17側に向けて突出する第4摺接部材54が一体に設けられ、この第4摺接部材54は歯車軸34を中心とした円弧状となって形成されており、ウォームホイル26から離れた側の約半分の範囲においてセクタギヤ部32bの先端部分はこの第4摺接部材54により覆われている。そして、図9に示すように、第4摺接部材54は第1摺接部材42と同一側においてカバー17の内面に摺接し、これにより第4摺接部材54を介してセクタギヤ部32bはカバー17に支持されている。また、第4摺接部材54は、図7に破線で示すように、動力変換部材32が揺動しても、その揺動に伴う全移動範囲において摺接凸部51,52を避けてカバー17に摺接するようになっている。
このように、このワイパモータ11では、第3摺接部材43bと一体に形成されてカバー17に摺接する第4摺接部材54を動力変換部材32上に設けるようにしたので、動力変換部材32の傾動を抑制して、出力ギヤ31とセクタギヤ部32bとの噛み合いのずれを抑制することができる。これにより、出力ギヤ31とセクタギヤ部32bとの噛み合いは保持され、出力軸21の回転方向のガタを低減させることができる。また、第4摺接部材54を動力変換部材32の揺動に伴う全範囲において摺接凸部51,52を避けてカバー17に摺接させるようにしたので、第4摺接部材54が摺接凸部51,52に接触して電動モータ12の負担が増加することが無く、電動モータ12の負担を低減させることができる。
さらに、このワイパモータ11では、第4摺接部材54をセクタギヤ部32bの先端部分を覆う位置に形成するようにしたので、第4摺接部材54を介してセクタギヤ部32bをカバー17に支持させて出力ギヤ31とセクタギヤ部32bとの噛み合いのずれを効率よく抑制することができる。歯車軸34を中心とした円弧状に第4摺接部材54を形成することにより、出力ギヤ31とセクタギヤ部32bとの噛み合い位置が移動しても、第4摺接部材54を介して確実にセクタギヤ部32bをカバー17に支持させることができる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、前記実施の形態においては、ワイパモータ11は車両のリヤワイパアーム28を駆動するために用いられているが、これに限らず、フロントワイパアームであってもよい。
また、前記実施の形態においては、第3摺接部材43bは第2摺接部材43aと一体に形成されているが、これに限らず、これらを別体に形成するようにしてもよい。
本発明の一実施の形態であるワイパモータを示す正面図である。 図1に示すワイパモータの内部構造を示す一部切り欠き断面図である。 図2におけるA−A線に沿う断面図である。 図1に示す動力変換機構の詳細を示す分解斜視図である。 カバーの詳細を示す正面図である。 出力軸の先端に装着された第1摺接部材とカバーとの接触部分の詳細を示す断面図ある。 カバーの内面における各摺接部と第4摺接部材の移動経路を示す説明図である。 (a)〜(d)はワイパアームの払拭動作に伴う第2摺接部の位置変化を示す断面図である。 摺接プレートに設けられる第4摺接部材とカバーとの接触部分の詳細を示す断面図である。
符号の説明
11 ワイパモータ
12 電動モータ
12a 回転軸
13 ギヤユニット
14 カプラ
15 締結部材
16 ケース本体
16a ボス部
17 カバー
18 ギヤケース
21 出力軸
22 動力変換機構
23 取付部
24 ウォームギヤ機構
25 ウォーム
26 ウォームホイル
26a 連結穴
27 支持軸
28 リヤワイパアーム
31 出力ギヤ
32 動力変換部材
32a アーム部
32b セクタギヤ部
32c,32d 貫通孔
33 連結軸
34 歯車軸
35 揺動プレート
35a,35b 貫通孔
41 突出部
42 第1摺接部材
43 摺接プレート
43a 第2摺接部材
43b 第3摺接部材
43c プレート部
51,52 摺接凸部
51a,52a 傾斜面
53 延出部
54 第4摺接部材

Claims (4)

  1. 電動モータと該電動モータの回転力を揺動運動に変換して出力軸から出力する動力変換機構とを備え、前記出力軸に取り付けられるワイパアームを予め定められた反転位置の間で揺動駆動するワイパモータであって、
    前記動力変換機構を収容するギヤケースと、
    前記出力軸に一体回転可能に設けられ、前記ギヤケース内に収容される出力ギヤと、
    前記ギヤケースに収容され、前記電動モータによって回転駆動されるウォームと、
    前記ギヤケース内に回転自在に収容され、前記ウォームに噛み合うウォームホイルと、
    前記ウォームホイルの回転中心軸から離れた連結軸において前記ウォームホイルに回動自在に連結され、前記出力ギヤと噛み合うセクタギヤ部を有する動力変換部材と、
    前記セクタギヤ部の軸心に設けられる歯車軸と前記出力軸とを揺動自在に連結する揺動プレートと、
    前記出力軸の先端に装着され、前記ギヤケースの内面に摺接する第1摺接部材と、
    前記連結軸の先端に装着され、前記ギヤケースの内面に摺接する第2摺接部材と、
    前記歯車軸の先端に装着され、前記ギヤケースの内面に摺接する第3摺接部材と、
    それぞれ前記ギヤケースの内面に該ギヤケースの内側に突出して形成され、前記ワイパアームが両反転位置となったときに前記第2摺接部材に摺接する一対の摺接凸部とを有し、
    前記第3摺接部材には、前記第3摺接部材から前記セクタギヤ部に向けて延びる延出部と、前記動力変換部材の揺動に伴う全移動範囲において前記摺接凸部を避けて前記ギヤケースの内面に摺接する第4摺接部材とが一体に形成されていることを特徴とするワイパモータ。
  2. 請求項1記載のワイパモータにおいて、前記動力変換機構を収容するケース本体と前記ケース本体を閉塞するカバーとにより前記ギヤケースを構成し、前記第1〜第4摺接部材をそれぞれ前記カバーに摺接させることを特徴とするワイパモータ。
  3. 請求項1または2記載のワイパモータにおいて、前記延出部の外周は前記セクタギヤ部と前記出力ギヤとの噛み合い部分にまで延びており、前記延出部上に前記第4摺接部材が一体に形成されていることを特徴とするワイパモータ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のワイパモータにおいて、前記歯車軸を中心とした円弧状に前記第4摺接部材を形成することを特徴とするワイパモータ。
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