JP4495323B2 - シールド掘進機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シールド掘進機に関し、より詳しくは隔壁に開設された土砂取込口を開閉するゲートを備えるシールド掘進機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、切羽における掘削土砂をカッタヘッドチャンバ内に取り込んだ後、隔壁に開設された土砂取込口からスクリュコンベヤにより後流側へと排出させるように構成されるシールド掘進機において、土砂排出の際にスクリュコンベヤに大礫や異物をかみ込んだ場合にそのスクリュコンベヤに設けられた点検口からそれら大礫等の取り出しを安全に行えるように、土砂取込口を開閉するためのゲート装置を装備したものが知られている。
【0003】
このようなゲート装置として、両側に開く一対のゲート板を操作して土砂取込口の開閉を行うようにしたものが知られている(実開平1−147095号公報参照)。すなわち、このゲート装置50は、図6に示されているように、両側に開く一対のゲート板51A,51Bと、各ゲート板51A,51Bを開閉操作するロッド52a,52aを有する作動用ジャッキ52,52と、ゲート板51A,51Bの上下端部を案内するガイド溝53を有するガイド板54A,54Bとがシールド本体61の隔壁62の後方側に、配設されるものである。前記ガイド板54Aには土砂取込口55と連通してスクリュコンベヤ56が固定されている。このような構成のゲート装置50においては、作動用ジャッキ52,52の伸縮操作によりゲート板51A,51Bを摺動させて土砂取込口55の開閉操作が行なわれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のゲート装置50においては、以下のような問題点がある。すなわち、ゲート装置50を構成するガイド板54A,54Bやゲート板51A,51B、作動用ジャッキ52,52等が全て隔壁62の後方側に配設されるので、土砂取込口55を中心に後方側隔壁の半分程度のスペースはこのゲート装置50によって占有されることになって、他の装置類の配置が制限されてしまう。また、占有されるスペースの問題上、小口径シールド掘進機にはこのゲート装置50のような構造を採用することができない。さらに、ゲート遮蔽時には、図6において仮想線Xで示されるように、両ゲート板の直線状端面51Aa,51Ba同士を接触させて土砂取込口55を遮蔽するため、礫等の挟み込みによる遮蔽不良や、その接触端面におけるシール性に不安がある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、隔壁の後方側における省スペース化を実現し、礫等を挟み込むことなく、シール性にも優れ、また小口径シールド掘進機にも採用可能なゲート装置を備えるシールド掘進機を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前記目的を達成するために、本発明によるシールド掘進機は、
シールド本体の前部にカッタヘッドが回転自在に設けられ、このカッタヘッドの回転により掘削された掘削土砂を、そのカッタヘッドとシールド本体の隔壁との間に区画形成されたカッタヘッドチャンバ内に取り込んで、その隔壁に開設された土砂取込口からスクリュコンベヤにより後流側へ搬出するように構成されるシールド掘進機において、
前記土砂取込口を開閉するゲートが、前記隔壁の前記カッタヘッドチャンバ側に設けられるとともに、前記ゲートを支持する支持軸が、前記カッタヘッドの回転中心と同心となるように設けられ、
前記ゲートは、前記隔壁の土砂取込口とほぼ同一形状の穴部を有する略扇形の形状で、該ゲートを開いた状態でその穴部が前記土砂取込口と一致するよう回動自在に前記隔壁に支持されており、
前記隔壁の土砂取込口の周囲に前記隔壁と前記ゲートとの間をシールするシール部材が設けられることを特徴とするものである。
【0007】
本発明によれば、隔壁に開設された土砂取込口を開閉するゲートが、前記隔壁の前記カッタヘッドチャンバ側に設けられているので、従来この種のゲートによって占有されていた隔壁の後方側のスペースを確保することが可能となる。こうして、この隔壁後方側のスペースに他の装置・計器類を配設することができ、言い換えれば設計自由度を広げることができ、スペースの有効活用が行え、かつ小口径シールド掘進機にも適用可能なものとすることができる。
【0009】
また、ゲートを支持する支持軸が、前記カッタヘッドの回転中心と同心となるように設けられているので、隔壁にゲート支持軸用の穴を別に設ける必要がなく、より小口径のシールド掘進機にも適用することが可能となる。
【0010】
さらに、本発明によれば、隔壁の土砂取込口の周囲に隔壁とゲートとの間をシールするシール部材が設けられているので、土圧によってゲートはシール部材に押圧されるため、ゲートとシール部材との密着性を高めることができ、その結果シール性を向上させることができる。また、シール部材はゲートが開いた状態でも閉じた状態でも常にゲートと隔壁との間に挟まれた状態となり、シール面がチャンバ内の土砂と直接接触することがほとんどないため、シール部材の損傷を防止することができる。
【0011】
本発明において、前記ゲートの両側端部が面取り加工されるのが好ましい。このようにすれば、ゲートが揺動しても掘削土砂を払い除け、掘削土砂のかみ込みを防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明によるシールド掘進機の具体的な実施の形態につき、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1には、本発明の一実施例に係るシールド掘進機の要部縦断面図が示され、図2には、本発明の一実施例に係るゲート装置の概略構成図が示されている。また、図3には、カッタヘッドチャンバ側から見たゲート装置の概略構成図で、ゲート開時の状態(a)およびゲート閉時の状態(b)がそれぞれ示されている。さらに、図4には、隔壁の後方側から見たゲート装置の概略構成図が示されている。
【0014】
本実施例に係るシード掘進機1においては、図1に示されるように、シールド本体2の前部にカッタヘッド3が軸受4を介して回転自在に設けられ、このカッタヘッド3とシールド本体2の隔壁6との間にカッタヘッドチャンバ5が区画形成されている。また、この隔壁6にはカッタヘッドチャンバ5内から掘削土砂を排出するための土砂取込口7が開設されるとともに、この土砂取込口7に連設して土砂排出用のスクリュコンベヤ40がシールド本体2内に設置されている。こうして、カッタヘッド3の回転により掘削された掘削土砂は、カッタヘッドチャンバ5内に取り込まれた後、土砂取込口7からスクリュコンベヤ40によってシールド本体後流側へと搬出される。
【0015】
前記スクリュコンベヤ40は、その外殻41が円筒状ケーシング43に接続固定された継手環状ホルダ42に摺動可能に保持されて、継手環状ホルダ42と外殻41とを連結するスクリュスライドジャッキ44の伸縮により摺動されるように構成されている。こうして、スクリュ羽根軸45が土砂取込口7に対して出没自在とされている。なお、このスクリュコンベヤ40の前端部には、点検および礫取出しのための点検口46が設けられている。
【0016】
そして、このシールド掘進機1には、土砂取込口7を開閉するゲート装置20が備えられている。このゲート装置20は、図2〜4に示されているように、隔壁6のカッタヘッドチャンバ5側に設けられるゲート21と、隔壁6の後方側に配されそのゲート21を回動させる駆動装置25とを備えている。すなわち、隔壁6の中心部を貫通してこの隔壁6に締着固定される軸受部23にゲート21を支持する支持軸22が回動自在に支持されており、この支持軸22の一側端部には略扇形平板状に形成されたゲート21の中心角部が固定されるとともに、支持軸22の他の側端部にはアームプレート28が複数のボルト29で締着固定され、このアームプレート28が隔壁6の後方側に支持された作動用ジャッキ26とピン27を介して連結されている。なお、前記隔壁6には、支持軸22の軸線に沿って貫通孔部24が形成されるとともに、その貫通孔部24に、カッタヘッド3の中心部に支持された軸部8が回転自在に挿通されている。また、カッタヘッドチャンバ5内における水、土砂等のシールド本体2内への漏れ防止のために、支持軸22および軸部8の周辺には周知のシール手段(図示省略)が施されている。
【0017】
前記ゲート21には、ゲート開状態における土砂取込口7の形状に合致するように所要位置に略円形状の開口部21aが設けられている。このゲート21の裏面(摺接面)には、前記開口部21aの周辺からゲート21の揺動に伴う後述する止水用シール37との摺動範囲において、その止水用シール37に応じた面肌に仕上げ加工が施されている。さらに、前記ゲート21の両側端部21b,21bは面取り加工され、断面ヘラ形状に形成されている。こうすることで、ゲート21が揺動しても掘削土砂を払い除け、掘削土砂のかみ込みを防止することができる。また、前記アームプレート28には前記作動用ジャッキ26のピストンロッド26aと連結される腕部28aが形成されるとともに、この腕部28aと反対側の位置に、隔壁6に設けられたゲート21の固定兼位置決め用ストッパ30と係合する突設部28bが形成されている。
【0018】
前記ゲート21と土砂取込口7のカッタヘッドチャンバ側隔壁との間には、シール部材35が介在されている。すなわち、図5に示されるように、土砂取込口7のカッタヘッドチャンバ側隔壁には凹状の装着部38が形成され、この装着部38に前記シール部材35が複数の六角穴付きボルト39によって締着固定されている。ここで、このシール部材35は、外周縁に段付き部36aを有するリング状プレート36と、このリング状プレート36の段付き部36aに固着される止水用シール37とを備え、この止水用シール37がゲート21の裏面に当接されることで、シール効果を発揮するように構成されている。このような構成によれば、カッタヘッドチャンバ5内の土圧によってゲート21は止水用シール37に押圧されて両者の密着性が高められ、シール性が向上するとともに、止水用シール37はゲート21によってその開閉状態に関わらず常に掘削土砂等から保護されるので、止水用シール37の損傷防止を図ることができる。また、シール性をより一層向上させるために、止水用シール37に対して押圧力を付与しつつゲート21を揺動させるように、ゲート21の円周端部の軌跡に沿ってガイド31が所要数(本実施例では2個)設けられている。こうして、ゲート21による土砂取込口7の遮蔽時に、カッタヘッドチャンバ5内における水、土砂等のスクリュコンベヤ40内への漏れを確実に防止することができる。
【0019】
このように構成されるシールド掘進機1においては、作動用ジャッキ26を作動させると、アームプレート28を介して支持軸22が回動されるに伴いゲート21が揺動されて土砂取込口7の開閉が行われる。そして、作動用ジャッキ26が伸長してその終端に至った際には図3(b)に示されるように土砂取込口7はゲート21によって閉じられる。一方、作動用ジャッキ26が縮んでその終端に至った際には図3(a)に示されるようにゲート21の開口部21aと土砂取込口7とが一致して土砂取込口7が開かれた状態となる。なお、この作動用ジャッキ26の収縮端では、アームプレート28の突設部28bが固定兼位置決め用ストッパ30と当接する。また、アームプレート28の突設部28bと固定兼位置決め用ストッパ30とはボルトにより係合可能であり、後述するゲート開の状態を保持できるようになっている。
【0020】
そして、通常掘進時には、ゲート21は図3(a)に示されているように、開状態すなわち、ゲート21の開口部21aが土砂取込口7と一致した状態とされ、カッタヘッドチャンバ5内へスクリュー羽根軸45の先端部を突出させておく。こうして、掘削土砂の取込み・排土性を向上させることができる。また、点検時やスクリュコンベヤ40内に礫等をかみ込んだ時には、カッタヘッドチャンバ5内へ突出させたスクリュー羽根軸45の先端部を機内側に引き込んだ後、図3(b)に示されるようにゲート21で土砂取込口7を遮蔽して、スクリュコンベヤ40内への掘削土砂等の流入を遮断し、点検口46にて安全かつ容易に点検作業やその礫等の除去作業を行うことができる。
【0021】
本実施例によれば、隔壁6に回動自在に支持された支持軸22の回動に伴うゲート21の揺動により土砂取込口7の開閉を行うように構成されているので、ゲート21を隔壁6のカッタヘッドチャンバ5側に配設して駆動装置のみを隔壁6の後方側に配設することが比較的容易にでき、また駆動装置としては主に作動用ジャッキ26(1本のみ)とアームプレート28とで構成されるコンパクトなものなので、隔壁6の後方側のスペース確保を図ることができ、また小口径シールド掘進機にも適用可能なものとすることができる。さらに、ゲート21を揺動して土砂取込口7の開閉を行うので、土砂等の挟み込みによる遮蔽不良を回避することができる。
【0022】
本実施例においては、支持軸22が隔壁6の中心部において回動自在に支持されているものについて述べた。しかしながら、これに限定されるものではなく、この支持軸22が隔壁6の中心部以外で回動自在に支持されていても良い。
【0023】
本実施例においては、ゲートとの干渉を回避するのに十分な位置にまでスクリュ羽根軸を後方に移動させてからでないとゲートの開閉操作が行なわれないような電気的なインタロックが設けられても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の一実施例に係るシールド掘進機の要部縦断面図である。
【図2】 図2は、本発明の一実施例に係るゲート装置の概略構成図である。
【図3】 図3は、カッタヘッドチャンバ側から見たゲート装置の概略構成図で、ゲート開時の状態(a)およびゲート閉時の状態(b)である。
【図4】 図4は、隔壁の後方側から見たゲート装置の概略構成図である。
【図5】 図5は、図2のP部拡大図である。
【図6】 図6は、従来のゲート装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 シールド掘進機
2 シールド本体
3 カッタヘッド
4 軸受
5 カッタヘッドチャンバ
6 隔壁
7 土砂取込口
20 ゲート装置
21 ゲート
22 支持軸
23 軸受部
25 駆動装置
35 シール部材
40 スクリュコンベヤ
44 スクリュスライドジャッキ
Claims (2)
- シールド本体の前部にカッタヘッドが回転自在に設けられ、このカッタヘッドの回転により掘削された掘削土砂を、そのカッタヘッドとシールド本体の隔壁との間に区画形成されたカッタヘッドチャンバ内に取り込んで、その隔壁に開設された土砂取込口からスクリュコンベヤにより後流側へ搬出するように構成されるシールド掘進機において、
前記土砂取込口を開閉するゲートが、前記隔壁の前記カッタヘッドチャンバ側に設けられるとともに、前記ゲートを支持する支持軸が、前記カッタヘッドの回転中心と同心となるように設けられ、
前記ゲートは、前記隔壁の土砂取込口とほぼ同一形状の穴部を有する略扇形の形状で、該ゲートを開いた状態でその穴部が前記土砂取込口と一致するよう回動自在に前記隔壁に支持されており、
前記隔壁の土砂取込口の周囲に前記隔壁と前記ゲートとの間をシールするシール部材が設けられることを特徴とするシールド掘進機。 - 前記ゲートの両側端部が面取り加工される請求項1に記載のシールド掘進機。
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