JP4494859B2 - 木質充填樹脂パネルの製造方法 - Google Patents
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この木質充填樹脂パネルの製造方法として、押出法によるものが知られている。例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂と木質充填材とを溶融混練してペレットに造粒し、このペレットを押出機に供給してプレート状に押出し、定尺切断してパネルを製造することが開示されている。
しかしながら、この製造方法では、ペレタイザーやコンパウンダー等でペレットを得る工程において、原料をペレタイザー等のヒータで加熱して熱可塑性樹脂を溶融すると共に両原料を混練し、この混練物を押出してペレット状にカットし、更に、押出工程において、ペレットを押出機のヒータで加熱して熱可塑性樹脂を溶融すると共に両原料を混練しつつプレート状に押出しており、ヒータによる加熱温度の制御が難しく樹脂が熱分解され易い、押出機等のクローズ構造のために木質片からの蒸発水分が閉じ込められてボイドが生じ易い、押出方向の一方向に木質片が配向されるためにパネルの強度に方向性が生じる等の不具合がある。
また、ミキシング機の撹拌羽根に混練物をミキシング機チャンバーの中央に誘導させるように角度を付け、かつチャンバーを解放型とすることにより、木質片からの蒸発水分を放出でき、木質片の含水に起因するボイドの発生も排除できる。
図10の(イ)は二重床の平面図を、図10の(ロ)は図1の(イ)におけるロ−ロ断面図を示し、床スラブ面1’上に所定の前後・左右の間隔で床支持具2’を配設し、パーチクルボード等の下地パネルP’をそのコーナ部において床支持具2’で固定支持し、更に敷設下地材上にフローリング3’を施しており、施工が容易、配管等の点検が容易、フローリングの変更が容易、床下配管/配線のレイアウト変更が容易等の有利性がある。
この固定支持状態のパネルに荷重が加えられると、各固定支点に垂直方向反力と曲げモーメント反力が作用し、パネルに作用する曲げ引張り応力はパネル中心点を吹き出し点とする放射方向となる。
而るに、前記木質充填樹脂パネルの高速撹拌・冷却プレス法では、図11の(イ)に示すように木質充填樹脂ゲルの塊A’をプレスの下金型C1’上に配置し、このゲル塊A’をプレスで圧縮して図11の(ロ)に示すように展延しており、ゲルが放射方向に流動されて木質片が放射方向に配向され木質片の繊維方向と前記引っ張り応力の方向とがよく一致されるから、木質片に効果的に補強効果を発揮させることができる。
また、冷却された下金型面上に木質充填樹脂ゲル塊を配置した際の接地面積が小さく、この接地面でのゲルの急冷固化による露出木質片部への樹脂皮膜欠在に起因する製品表面の肌荒れをその接地面積の狭さに応じて軽減できるから、製品外面を充分に平滑にできる。
しかしながら、木質充填樹脂ゲルは木質材非充填のゲルに較べて流動性が悪く、格子状溝を設けた下金型面の中央に木質充填樹脂ゲル塊を配置し、これを上金型による圧縮で放射方向に展延すると、下金型面に対する木質充填樹脂ゲルの流動性が格子状溝のために一層に悪くなり、パネルコーナ部に肉欠けが生じ、そのコーナ部の厚みが設計厚みよりも薄くなることが往々に生じる。
また、溶融樹脂の粘度が低い場合は、樹脂と木質充填材とが分離しパネルコーナ部が樹脂リッチ、木質充填材プアーとなることもある。
木質充填樹脂ゲルを得るためのミキシング機としては、ヒータにより樹脂を溶融させるのではなく、撹拌中での原料の衝突や剪断による摩擦熱で樹脂を溶融させるものであれば、横型や縦型に関係なく使用でき、図1は横型のミキシング機の一例を示している。
図1において、11は架台である。12は材料供給ボックスであり、上端にホッパー121を備えている。13は撹拌チャンバーであり、材料供給ボックス12に隣接して設けられ、材料供給ボックス12に連通孔123により連通されている。14は回転軸であり、撹拌チャンバー13及び材料供給ボックス12に連通孔123を経て貫通され、両端が軸受15,15に軸支されている。120は材料供給ボックス12内の回転軸部分に取付けられたスクリュー、130は撹拌チャンバー13内の回転軸部分に取付けられた撹拌羽根である。131は撹拌チャンバー13の上方に配設された温度センサである。16はモータであり、そのモータ軸161がカップリング162を介して回転軸14に連結されている。171は撹拌チャンバー13の低所部に設けられた排出ゲート、172は排出ゲート171を開閉するゲート操作機構、173はシュートである。18はシュート173の下端からのゲル塊を受取るトレイであり、図2の(イ)または(ロ)に示すように容器本体181と蓋182とから構成され、図示されていない操作ロボットのアームに支持されている。図2において、183は後述する凸部である。
上記において、チャンバーの中央に撹拌物を誘導させるように撹拌羽根を所定の角度を持たせて取付け、かつチャンバーに蒸気放出口を設け、木質片からの蒸発水分を放出することができる。
硬化性樹脂も添加剤として使用でき、かかる硬化性樹脂としては不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリフェノール、ポリエポキシ等を挙げることができる。
樹脂と木質片との界面接着強度を増すために接着剤成分を添加することができ、ポリオレフィン等の非極性樹脂においては、酸変性ポリオレフィン若しくは酸変性オレフィンオリゴマー等の変性樹脂を添加することが好ましい。また、プラスチック廃材を利用してリサイクルを図ることが好ましい。
樹脂はチップ状乃至はペレット状で使用され、廃材プラスチックは粉砕して使用される。
樹脂が溶融し始めると回転軸14の負荷が減少され、また摩擦熱エルネルギーが樹脂の固相から液相への相変態に費やされて温度上昇が停止されるから、これらの負荷変動時や昇温停止時を検出し、この検出時から一定の時間経過後にチャンバー内のゲルを自動的に取出すようにすれば、樹脂の熱分解を確実に排除して成形性に優れた適度の粘度の餅状の木質充填樹脂ゲルを得ることができる。
図3において、pは成形した方形パネルを示し、図4に示すように天板部aの裏面に格子状リブbが設けられている。格子状リブは天板部裏面を囲む外周リブと天板部の各辺に平行な平行リブとから構成されている。
図3において、Aは木質充填樹脂ゲル塊であり、方形パネルpの重量に実質的に同重量とされている。
Bは木質充填樹脂ゲルの中間成形体であり、外郭が方形パネルpの外郭よりもやや小さい中抜け形状とされている。18は前記したトレイであり、容器本体181に前記の木質充填樹脂ゲル塊Aを入れ、蓋182を閉じれば木質充填樹脂ゲル塊Aがトレイ内の凸部183により中間形状Bに塑性変形されるようになっている。
C1は下金型であり、パネル天板部aの外郭に一致した内郭のキャビティの底面に図5に示すように格子状溝が設けられている。D1は下金型C1を冷却するための冷却水配管を示している。C2は上金型であり、外郭が前記のキャビティ内郭に実質的に一致されている。D2は上金型C2を冷却するための冷却水配管を示している。
トレイによる移送中、中間形状ゲルの温度を保持するように、トレイを加熱することが望ましい。
而るに、請求項1に係る木質充填樹脂パネルの製造方法によれば、キャビティの外周部から中心部に向けゲルが流動され、中心部に至るほど流束が増して流速が速くなるから、キャビティ内での樹脂の展延を充分に短い時間(この時間をtaとする)で終結させ得、1サイクルの短縮化のために金型温度T2を短くしそれに伴い成形下限温度T1に対応する時間t1が短くなっても、時間taを時間t1以内にとどめることができ、充分に短いサイクル時間で欠肉のない寸法精度に優れた木質充填樹脂製方形パネルを製造できる。
また、上記ゲルの流動方向がパネル外周部から中心部に向かう放射方向であり、方形パネルを床材として使用するときに曲げ引っ張り応力の方向とゲルの流動により配向された木質充填材の方向とが実質的に同方向となるから、木質充填材がある程度のアスペクト比を有する細長い木質片の場合、その木質片が踏み荷重や積載荷重に対し優れた補強効果をを発揮する床パネルを提供できる。
更に、木質充填樹脂ゲルの中間形状を中抜け形状とすれば、中間成形木質充填樹脂ゲルと冷却金型との接地面積を比較的小さくでき、従って、この接地面でのゲルの急冷固化による露出木質片部への樹脂皮膜欠在に起因する製品表面の肌荒れをその接地面積の狭さに応じて軽減できるから、製品外面を充分に平滑にできる。
中心部側や外周部側の単位面積当たりのゲル量は必ずしも一様とする必要はない。(単位面積当たりのゲル量が少なくされる中心部側の面積)/(キャビティの底面積)の比は、30〜70%とすることが好ましい。30%未満を排除する理由は、ゲルを充分な距離で流動させることが難しくなり、木質片がある程度のアスペクト比を有していてもその木質片に補強効果を満足に発揮させ難いことや、ゲルの中間形状を中抜け形状にしても露出木質片に対する被覆膜欠在の低減による平滑外観性の向上を満足に達成し難いことにあり、70%超を排除する理由は、ゲルの流動距離が長くなり、パネルコーナ部での欠肉が生じ易くなることにある。
図8において、p’は成形した方形パネルを示し、天板部a’の裏面に格子状リブb’が設けられている。格子状リブは天板部裏面を囲む外周リブと天板部の各対角線に平行な斜めリブとから構成されている。
Aは木質充填樹脂ゲル塊であり、方形パネルp’の重量に実質的に同重量とされている。
Bは木質充填樹脂ゲルAの中間成形体であり、金型の方形パネル成形面の両対角線部の単位面積当たりのゲル量を他の部分の単位面積当たりのゲル量よりも多くするように交差対角線パターンとされている。18はトレイであり、容器本体181に前記の木質充填樹脂ゲル塊Aを入れ、蓋182を閉じれば木質充填樹脂ゲル塊Aが前記の中間形状Bに塑性変形される。
C1は下金型であり、天板部の外郭に一致した内郭のキャビティの底面に前記格子状リブに対応する格子状溝が設けられている。D1は下金型C1を冷却するための冷却水配管である。C2は上金型であり、外郭が前記のキャビティ内郭に実質的に一致されている。D2は上金型C2を冷却するための冷却水配管である。
本発明において、方形パネルの裏面に成形する格子状リブの形状は、前記したものに限定されず、縦及び横の何れの方向に対しても同様に曲げ剛性を高めて曲げ強度を高め得るものであれば適宜のパターンにできる。
木質充填材にはアスペクト比3以上の細長片の含有量が50重量%以上のホワイトウッド切削体(平均厚み約0.4mm)を、熱可塑性樹脂にはポリプロピレンをそれぞれ使用し、木質充填材50重量部、熱可塑性樹脂50重量部とした。
ミキシング機には図に示した構成のコーハン株式会社製K−ミキサーを使用した。
上記原料をミキシング機のホッパーに投入し、撹拌羽根の先端速度をほぼ40m/秒とするようにモータを駆動し、温度センサーが170℃を検出したときに撹拌を停止し、ゲートを開き、ゲル塊をシュートを経て170℃〜190℃に加熱したトレイに収容し、トレイの蓋を閉じて外郭寸法450mm×450mm、内郭寸法200mm×200mmの中抜け方形に中間成形し、操作ロボットによりトレイをプレスに向け移行し、下金型のキャビティ底面温度30℃、上金型の内面温度15℃とするように冷却条件を設定した金型のキャビティ底面上に中間成形ゲルを前記トレイを開いて移載し、この中間成形ゲルをプレスを動作させて圧力ほぼ50kg/cm2で冷却プレス成形した。
実施例1に対し、ミキシング機から取り出した木質充填樹脂ゲル塊を中間成形することなく塊のままで下金型のキャビティに移載した以外実施例1に同じとした。
実施例1に対し、ミキシング機から取り出した木質充填樹脂ゲル塊を中抜けのない外郭寸法450mm×450mmの均一厚みの平板状に中間成形して下金型のキャビティに移載した以外実施例1に同じとした。
また、実施例1及び比較例1,2で得た方形パネルにつき、裏面の四隅を固定支持し、パネル上面中央に荷重を載置して曲げ強度を測定したところ、実施例品1と比較例品1とでは優劣の評価は困難であったが、実施例品1は比較例品2に較べて大なる曲げ強度を呈していた。
更に、表面平滑性については、比較例品1、実施例品1、比較例品2の順であった。
これらの検査結果から、実施例品が総合的に優れていることが確認でき、かかる有利性がトレイの構造を改変のみで得られることからして本発明の有用性は充分に評価できる。
a,a’ 天板部
b,b’ 格子状リブ
A 木質充填樹脂ゲル塊
B 中間形状ゲル体
C1 上金型
C2 下金型
12 原料供給ボックス
13 撹拌チャンバー
14 回転軸
120 スクリュー
130 撹拌羽根
171 ゲート
18 トレイ
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂と木質充填材とを高速撹拌して摩擦熱で熱可塑性樹脂を溶融させることにより木質充填樹脂ゲルを得、この木質充填樹脂ゲルをプレスの冷却金型に配置し、圧縮展延すると共に冷却して天板部の裏面に格子状リブを有する方形パネルを製造する方法において、前記ゲルを金型に、金型の方形パネル成形面の中心部よりも外周部側の単位面積当たりのゲル量を多くするように配置することを特徴とする木質充填樹脂パネルの製造方法。
- 熱可塑性樹脂と木質充填材とを高速撹拌して摩擦熱で熱可塑性樹脂を溶融させることにより木質充填樹脂ゲルを得、この木質充填樹脂ゲルをプレスの冷却金型に配置し、圧縮展延すると共に冷却して天板部の裏面に格子状リブを有する方形パネルを製造する方法において、前記ゲルを金型に、金型の方形パネル成形面の両対角線部上の単位面積当たりのゲル量を他の部分の単位面積当たりのゲル量よりも多くするように配置することを特徴とする木質充填樹脂パネルの製造方法。
- チャンバー内の回転軸に撹拌羽根を取付けたミキシング機に熱可塑性樹脂と木質充填材とを投入し、撹拌羽根の高速回転による摩擦熱で熱可塑性樹脂を溶融させて得た木質充填樹脂ゲルを使用することを特徴とする請求項1または2記載の木質充填樹脂パネルの製造方法。
- 木質充填樹脂ゲルを、金型内に配置する形状に成形する容器に収容してプレスに移送することを特徴とする請求項1〜3何れか記載の木質充填樹脂パネルの製造方法。
- 方形パネルの天板部側を成形する金型面の温度を、格子状リブ側を成形する金型面の温度よりも高くすることを特徴とする請求項1〜4何れか記載の木質充填樹脂パネルの製造方法。
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