JP4492810B2 - 減衰量調整回路、光ディスクドライブ装置、減衰量調整方法およびアドレス情報取得方法 - Google Patents

減衰量調整回路、光ディスクドライブ装置、減衰量調整方法およびアドレス情報取得方法 Download PDF

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Description

本発明は、光ディスクの反射光(戻り光)に対応する再生信号の減衰量を調整するための減衰量調整回路および減衰量調整方法、ならびに光ディスク上の物理アドレス情報を検出するための光ディスクドライブ装置およびアドレス情報取得方法に関する。
一般に、記録可能な光ディスクでは、グルーブに対してレーザ光を照射してデータの書き込みを行う際に、各半径位置における線速度や、グルーブ内の物理的な位置を精確に検出することが必要である。線速度は、例えば、光ディスクの回転制御や記録用のマスタークロックの生成などに用いられ、グルーブ内の物理的な位置は、例えば、ビット単位の正確な記録位置の決定や、光ディスク上の物理アドレス情報の取得などに用いられる。
ここで、グルーブは一般に、螺旋状のグルーブおよびランドからなり、グルーブおよびランドは光ディスクの円周方向(トラッキング方向)に対して一定周期で蛇行するパターンとなっている。また、グルーブ内には、メディアのプリフォーマットの種類に応じて、上記蛇行パターンの周期よりも短い周期の蛇行パターンや、窪み状のプリピット、グルーブを横切る切れ目状のランドプリピットなどのマーカが形成されている。
このような構成の光ディスクに対応する光ディスクドライブ装置では、回転する光ディスクのグルーブに対してレーザ光を照射して、その反射光から、グルーブに記録されている(または記録した)データや、長周期の蛇行パターンに対応した情報(線速度)、マーカに対応した情報(グルーブ内の物理アドレス情報)などを検出する。
ここで、光ディスクにデータを書き込む場合には、記録データに基づいて、読み出しの場合と比べて出力の極めて高いレーザ光(書込レベルのレーザ光)と、読み出しの場合と同等の、出力の低いレーザ光(読出レベルのレーザ光)とを交互に切り換えて照射する。これにより、書込レベルのレーザ光が照射されたときにだけグルーブ内に、反射率の相対的に低いピットが形成され、データの書き込みが行われる。
このとき、光ディスクからの反射光の光強度は、照射光の光強度が大きいほど大きくなり、照射面の反射率が大きいほど大きくなる。しかし、グルーブ内の反射率の差と比べて、書込レベルおよび読出レベルのそれぞれのレーザ光の光強度の差の方が圧倒的に大きいので、光ディスクからの反射光の光強度の大きさについては、レーザ光の光強度の大きさが支配的である。そのため、書込レベルのレーザ光が照射されることによりピットが形成された期間の反射光(書込レベルのレーザ光の反射光)の光強度が、読出レベルのレーザ光が照射されることによりピットが形成されなかった期間の反射光(読出レベルのレーザ光の反射光)の光強度よりも極めて大きくなるので、書込レベルのレーザ光の反射光に対応する再生信号が飽和する虞があった。特に、近年、光ディスクの高速化や、大容量化に起因して書込レベルのレーザ光の光強度が増大しているため、書込レベルのレーザ光の反射光に対応する再生信号が飽和する虞が極めて大きかった。
そこで、例えば、ピックアップや、ピックアップの出力信号を処理するための集積回路などのダイナミックレンジの上限を拡大することが考えられる。しかし、ピックアップや集積回路などのダイナミックレンジの上限を拡大するには、これらに電力を供給する電源の電圧を上げることが必要となり、消費電力が増大してしまうという問題があった。
また、例えば、書込レベルのレーザ光の反射光および読出レベルのレーザ光の反射光に対応する再生信号の振幅レベルを一律に減衰させることが考えられる。しかし、その場合には、書込レベルのレーザ光がマーカを照射した場合の、その反射光に含まれるマーカに対応する光(書込時のマーカの反射光)に対応する再生信号の振幅レベルが、読出レベルのレーザ光がマーカを照射した場合の、その反射光に含まれるマーカに対応する光(読出時のマーカの反射光)に対応する再生信号の振幅レベルと等しくなることはない。そのため、所定のスライスレベルと比較して、これらの再生信号を2値化することが困難となり、その結果、グルーブ内の物理アドレス情報を検出することが極めて困難となるという問題があった。
そこで、従来は、例えば、特許文献1に記載されているように、書込レベルのレーザ光の反射光に対応する再生信号に対してだけアッテネータによる減衰処理を行っていた。
特開2002−334446号公報
ところで、特許文献1では、書込レベルのレーザ光の反射光に対応する再生信号の振幅レベルを減衰させてグルーブ内の物理アドレス情報を安定して的確に検出することができる、としている。しかし、その振幅レベルをどのレベルまで減衰させればよいか、また、仮に最適なレベルがあるとした場合に、どのようにしてその最適なレベルを見つけ出すことができるか明らかにされていない。実際、現場では、その最適なレベルを見つけ出すための定性的な方策がなく、手探りでその最適なレベルを見つけ出しているのが現状である。このように、従来では、最適なレベルを容易に見つけ出すことができないために、グルーブ内の物理アドレス情報を安定して的確に検出することが困難であった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、書込レベルのレーザ光の反射光に対応する再生信号の振幅レベルの最適な減衰量を容易に選択することができ、その結果、グルーブ内の物理アドレス情報を安定して的確に検出することの可能な減衰量調整回路、光ディスクドライブ装置、減衰量調整方法およびアドレス情報取得方法を提供することにある。
本発明の減衰量調整回路は、蛇行パターンからなるグルーブ、およびグルーブ内の物理的な位置を示す複数のマーカを有する光ディスクに対応した光ディスクドライブ装置に用いられるものである。この減衰量調整回路は、上記した光ディスクに対して、書込レベルのレーザ光および読出レベルのレーザ光を交互に切り換えて照射する光照射部と、光ディスクに照射されたレーザ光の反射光を受光して再生信号に変換する受光部とを含んで構成されたピックアップを備える。減衰量調整回路はさらに、ピックアップの受光部から出力される再生信号のうち書込レベルのレーザ光の反射光に対応する書込波形の振幅レベルを、書込波形の立ち上がりからの位置に応じて減衰させる書込波形減衰部を備える。
本発明の光ディスクドライブ装置は、上記した減衰量調整回路と、アドレス情報検出回路とを備えたものである。アドレス情報検出回路は、書込波形減衰部によって減衰された再生信号からマーカに対応した信号成分を抽出して、グルーブ内の物理アドレス情報を得るアドレス情報取得部を有している。
本発明の減衰量調整回路および光ディスクドライブ装置では、書込波形減衰部において、受光部から出力される再生信号のうち書込レベルのレーザ光の反射光に対応する書込波形の振幅レベルが書込波形の立ち上がりからの位置に応じて減衰される。
本発明の減衰量調整方法は、以下の(A)〜(D)までのステップを含むものである。
(A)蛇行パターンからなるグルーブ、およびグルーブ内の物理的な位置を示す複数のマーカを有する光ディスクを回転駆動させるステップ
(B)回転する光ディスクに対して、書込レベルのレーザ光および読出レベルのレーザ光を交互に切り換えて照射するステップ
(C)光ディスクに照射されたレーザ光の反射光を受光して再生信号に変換するステップ
(D)再生信号のうち書込レベルのレーザ光の反射光に対応する書込波形の振幅レベルを、書込波形の立ち上がりからの位置に応じて減衰させるステップ
本発明のアドレス取得方法は、上記した減衰量調整方法の(A)〜(D)までのステップを含むと共に、そのステップに引き続いて、減衰された再生信号からマーカに対応した信号成分を抽出して、グルーブ内の物理アドレス情報を得るステップを含むものである。
本発明の減衰量調整方法およびアドレス取得方法では、再生信号のうち書込レベルのレーザ光の反射光に対応する書込波形の振幅レベルを、書込波形の立ち上がりからの位置に応じて減衰させる。
本発明の減衰量調整回路および光ディスクドライブ装置によれば、書込波形減衰部において、受光部から出力される再生信号のうち書込レベルのレーザ光の反射光に対応する書込波形の振幅レベルを、書込波形の立ち上がりからの位置に応じて減衰させるようにしたので、書込波形の振幅レベルが書込波形の立ち上がり時や立ち下がり時などにおいて大きく異なる場合であっても、書込波形全体を最適なレベルに減衰させることができる。このように、書込波形の振幅レベルの最適な減衰量を容易に選択することができ、その結果、グルーブ内の物理アドレス情報を安定して的確に検出することが可能となる。
本発明の減衰量調整方法およびアドレス取得方法によれば、再生信号のうち書込レベルのレーザ光の反射光に対応する書込波形の振幅レベルを、書込波形の立ち上がりからの位置に応じて減衰させるようにしたので、書込波形の振幅レベルが書込波形の立ち上がり時や立ち下がり時などにおいて大きく異なる場合であっても、書込波形全体を最適なレベルに減衰させることができる。このように、書込波形の振幅レベルの最適な減衰量を容易に選択することができ、その結果、グルーブ内の物理アドレス情報を安定して的確に検出することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光ディスクドライブ装置を機能ブロックごとに表すものである。図2は、後述のフォトディテクタ12および信号処理部20の内部構成を表すものである。この光ディスクドライブ装置は、光ディスク100上の物理的な位置を示す物理アドレス(絶対番地)を検出しつつ、有機色素変化記録方式の追記可能型の光ディスク100 (例えば、DVD±R)に記録データを書き込んだり、光ディスク100に記録されている記録データを読み出すことの可能な装置である。
図3および図4は、後述の減衰器21の内部構成の一例を表すものである。図5(A)は、光ディスク100のうち記録データが書き込まれていない部分の径方向の断面構成(図5(B)のB−B矢視方向の断面構成)を、図5(B)は、光ディスク100のうち記録データが書き込まれている部分の円周方向(トラッキング方向)の断面構成(図5(A)のA−A矢視方向の断面構成)を、図6(A),(B)は、光ディスク100の平面構成の一例を表すものである。
光ディスク100は、図5(A)に示したように、例えば、データ面(レーザ光の照射される側の面)から順に、基板110、有機色素からなる記録層111、反射層112、保護層113により構成されている。基板110には、レーザ光を案内するための案内溝、いわゆるグルーブ114が螺旋状に形成されており、そのグルーブ114の両側に沿ってランド115が形成されている。グルーブ114およびランド115は、光ディスク100のトラッキング方向に対して一定周期で蛇行したパターンとなっている。この蛇行パターンは、例えば、レーザ光がデータ面を走査する速度(線速度)の検出に利用されるものであり、検出された線速度は、例えば、光ディスクの回転制御や記録用のマスタークロックの生成などに用いられる。
光ディスク100には、例えば、図6(A)では、上記した蛇行パターンの蛇行周期よりも短い周期の蛇行パターン(FM変調部116)が形成されており、図6(B)では、ランド115に小さな窪み(ランドプリピット117)が形成されている。これらFM変調部116およびランドプリピット117は、光ディスク100上の物理アドレスを得るためのマーカの一形態である。マーカをグルーブ114と共にレーザ光のビームスポットで走査すると、それにより得られる反射光(戻り光)には、マーカに対応した鋭いパルス状の成分が含まれるので、このパルス状の成分を抽出することにより、グルーブ114の物理アドレスを得ることが可能である。
ところで、書き込み前の光ディスク100では、グルーブ114はトラッキング方向に一様な底面を有しているが、書き込み後の光ディスク100では、図5(B)のように、グルーブ114の底面に、凹部114Aと、凸部114Bとが形成されている。ここで、凸部114Bおよび凹部114Aにおける反射層112の高低差は、例えばレーザ光の波長の1/4となっている。また、凸部114Bは、後述のピックアップ10との関係で、凸部114Bに入射した光をほとんど減衰させることなく反射させることの可能な位置に配置されるようになっている。これにより、凹部114Aは、凹部114Aで反射した光を、凹部114Aに隣り合う凸部114Bで反射した光との干渉効果により減衰させるようになっている。
光ディスクドライブ装置は、ピックアップ10、信号処理部20、制御部30およびスピンドルモータ40を備えている。
ピックアップ10は、光ディスク100にレーザ光を照射すると共に、照射したレーザ光の反射光を受光して再生信号(後述)に変換するためのものであり、例えば、レーザ11(光照射部)、フォトディテクタ12(受光部)、対物レンズ(図示せず)および光学系(図示せず)を有している。
レーザ11は、例えば、605nmの赤色半導体レーザや、405nmの青紫色半導体レーザであり、記録データに対応したレーザドライブ信号30Dにより、光ディスク100にレーザ光を照射するようになっている。このレーザ11は、光ディスク100への記録データの書き込みの際に、レーザドライブ信号30Dに基づいて、読出時の強度(読出レベル)よりも数倍強力な強度(書込レベル)のレーザ光と、読出レベルのレーザ光とを交互に切り換えて、基板110側からグルーブ114に照射するようになっている。これにより、レーザ11は、グルーブ114に書込レベルのレーザ光を照射して、記録層111に含まれる有機色素にレーザ光を吸収させて局所的な発熱を生じさせ、その発熱により基板110を変形させ、その結果、グルーブ114内に凹部114Aおよび凸部114Bを形成させることにより、光ディスク100に書き込みを行うようになっている。
フォトディテクタ12は、レーザ11と同様の材料系で構成された受光素子12A〜12Dを有している。このフォトディテクタ12は、光ディスク100に照射されたレーザ光の反射光を受光素子12A〜12Dで4分割して受光して、受光素子12A〜12Dごとに光電流に変換すると共にこれらの光電流から光電流の大きさに対応した電圧(再生信号10A〜10D)を生成するようになっている。
対物レンズは、ピックアップ10におけるレーザ光の出力端に設けられており、例えば、二軸機構(図示せず)によってトラッキング方向およびフォーカス方向(光ディスク100のデータ面に垂直な方向)に可動な状態で保持されている。この二軸機構は、フォーカスドライブ信号30Aおよびトラッキングドライブ信号30Bにより駆動されるようになっている。光学系は、対物レンズを介してレーザ光を光ディスク100のデータ面に照射し、また、反射光をフォトディテクタ12に導くようになっている。また、ピックアップ10全体は、例えば、スレッド機構(図示せず)によって光ディスク100の径方向に可動な状態で保持されている。このスレッド機構は、スレッドドライブ信号30Cにより駆動されるようになっている。
ところで、上記した再生信号10A〜10Dは、反射光の光強度に対応した信号波形を有している。ここで、反射光の光強度は、レーザ11から照射されたレーザ光の光強度、および照射面(データ面)の反射率の関数となっている。レーザ光の光強度はレーザドライブ信号30Dのパスル波形に対応しており、照射面の反射率はグルーブ114内の凹部114Aおよび凸部114Bの反射率に対応している。しかし、照射面の反射率の差と比べて、書込レベルおよび読出レベルのそれぞれのレーザ光の光強度の差の方が圧倒的に大きいので、再生信号10A〜10Dの大きさについては、照射光の光強度の大きさが支配的である。従って、図7(A)〜(C)に示したように、再生信号(10A+10D)において、書込レベルのレーザ光がレーザドライブ信号30Dに基づいて照射されることにより凹部114Aが形成された期間の反射光(書込レベルのレーザ光の反射光)に対応した信号波形(書込波形S1)の振幅レベルは、読出レベルのレーザ光がレーザドライブ信号30Dに基づいて照射されることにより凹部114Aが形成されなかった期間の反射光(読出レベルのレーザ光の反射光)に対応した信号波形(読出波形S2)の振幅レベルよりも極めて大きくなる。なお、光ディスク110に書込レベルのレーザ光を照射し始めた初期の段階では、記録層111から熱が直ちに発生せず、グルーブ114内に直ちに凹部114Aが形成されないので、光ディスク100の反射率は不安定に変化するが、おおむね凸部114Bと同様に高く、グルーブ114内に凹部114Aが形成されるにつれて、光ディスク100の反射率が徐々に低下していく傾向にある。そのため、再生信号(10A+10D),(10B+10C)の書込波形S1は、図7(C)に示したように、振幅レベルが最初は大きく、徐々に低下していく波形になる。
なお、図7(C)に例示したように、ランドプリピット117に対応して発生している鋭いパルス状の波形P1は、上記したグルーブ114の物理アドレスを得るためのものである。ここで、波形P1は、書込波形S1に含まれる場合もあるし、読出波形S2に含まれる場合もあるが、書込波形S1に含まれる場合には、書込レベルのレーザ光がランドプリピット117に照射されることにより生じたことになるので、そのときの波形P1の振幅は極めて高い。一方、波形P1が読出波形S2に含まれる場合には、読出レベルのレーザ光がランドプリピット117に照射されることにより生じたことになるので、そのときの波形P1の振幅は書込波形S1に含まれる場合と比べて極めて低い。このように、再生信号(10A+10D)に含まれる波形P1の振幅には大きなバラツキがあるので、後述するように、再生信号(10A+10D)から再生信号(10B+10C))を減算してプッシュプル信号20Dを得た場合に、そのプッシュプル信号20Dを単純に所定の振幅レベルで2値化しても波形P1を抽出することはできない。そこで、所定の振幅レベルで2値化することにより波形P1を抽出することができるようにするために、再生信号 (10A+10D),(10B+10C)の波形をそれぞれ適切に調整することが必要となる。
信号処理部11は、プッシュプル信号20Dを所定の振幅レベルで2値化することにより波形P1を抽出することができるようにするために、再生信号(10A+10D),(10B+10C)のそれぞれの波形を適切に調整するためのものであり、例えば、減衰器21、増幅器22、スイッチ23および利得調整器24からなるモジュールを2つ並列に有している。これら2つのモジュールの前段にフォトディテクタ12が、2つのモジュールの後段に演算器25がそれぞれ接続されている。
それぞれのモジュールにおいて、減衰器21および増幅器22のそれぞれの入力端が互いに接続され、それぞれの出力端がスイッチ23の2つの入力端に別個に接続されている。スイッチ23の出力端は利得調整器24の入力端に接続されている。それぞれのモジュールの演算器25の出力端子は、演算器25の2つの入力端子に別個に接続されている。また、一方のモジュールにおける、減衰器21および増幅器22のそれぞれの入力端は、フォトディテクタ12の受光素子12A,12Dに接続されており、他方のモジュールにおける、減衰器21および増幅器22のそれぞれの入力端は、フォトディテクタ12の受光素子12B,12Cに接続されている。
ここで、スイッチ23は、例えば半導体スイッチからなり、減衰器21および増幅器22のいずれか一方の出力を、切換信号30Gに基づいて時分割的に選択して利得調整器24に入力するようになっている。具体的には、スイッチ23は、書込波形S1が減衰器21に入力される期間およびその前後のわずかな期間の間、減衰器21側からの出力を利得調整器24に入力し、それ以外の期間の間、すなわち、読出波形S2のうち書込波形S1の近傍の波形を除く部分の波形が増幅器22に入力される期間の間、増幅器22側からの出力を利得調整器24に入力するようになっている。すなわち、減衰器21で減衰された信号波形と増幅器22で増幅された信号波形とを時間的に交互に結合してなるスイッチ出力23Aを利得調整器24に入力するようになっている。なお、可能であれば、書込波形S1が減衰器21に入力される期間の間だけ減衰器21側からの出力を利得調整器24に入力し、読出波形S2が増幅器22に入力される期間の間だけ増幅器22側からの出力を利得調整器24に入力するようにしてもよい。
減衰器21は、例えば、図3に示したように、アッテネータATT1〜ATT6、スイッチSW1およびカウンタ21Aを有している。アッテネータATT1〜ATT6は、例えば、末尾の数字が大きくなるにつれて減衰レベルが小さくなるアッテネータであり、互いに並列に配置されている。アッテネータATT1〜ATT6の入力端は互いに共通接続されており、出力端は互いに並列に別個にスイッチSW1に接続されている。スイッチSW1は、アッテネータATT1〜ATT6の数と同数のスイッチを有している。スイッチSW1内のスイッチの入力端はアッテネータATT1〜ATT6に互いに並列に別個に接続されており、スイッチSW1内のスイッチの出力端は互いに共通接続されている。このスイッチSW1は、例えば、カウンタ21Aからのカウント値に応じて、内蔵するいずれか1つのスイッチをオンするようになっている。カウンタ21Aは、スイッチ23Aを切り換えるために用いる切換信号30Gが”L”から”H”になったときからチャンネルクロック30Fのクロック数をカウントし、そのカウント値をスイッチSW1に入力するようになっている。また、カウンタ21Aは、切換信号30Gが”H”から”L”になったときにカウント値を0に戻すようにもなっている。
これにより、減衰器21は、例えば、チャンネルクロックの数に応じてアッテネータATT1〜ATT6を切り換えて、再生信号(10A+10D),(10B+10C)の書込波形S1の振幅レベルの大きさに応じた減衰量で、書込波形S1を減衰するようになっている(図7(C),(F),(G)参照)。つまり、減衰器21は、例えば、書込波形S1の時間幅に応じて書込波形S1の形状が変化するような場合であっても、適切な減衰量で書込波形S1を減衰させることが可能である。また、減衰器21は、チャンネルクロック30Fの周波数や、アッテネータATT1〜ATT6を切り換える際のカウント値などを適宜変更することにより、アッテネータATT1〜ATT6の切換頻度を任意に設定することができるので、減衰量をきめ細かく制御することが可能である。
なお、減衰器21は、図3の他に、例えば、図4に例示したように、アッテネータATT1〜ATT6、スイッチSW2およびカウンタ21Aを有していてもよい。ここでのアッテネータATT1〜ATT6は、例えば、末尾の数字が大きくなるにつれて減衰レベルが大きくなるアッテネータであり、この順に互いに直列に接続されている。アッテネータATT1の入力端はフォトディテクタ12の出力端に接続されており、アッテネータATT1〜ATT6のそれぞれの出力端は後段のアッテネータに接続されると共に、スイッチSW2の入力端にそれぞれ別個に接続されている。スイッチSW2は、アッテネータATT1〜ATT6の数と同数の入力端と、1つの出力端とを含む1つのスイッチを有している。スイッチSW2内のスイッチの入力端はアッテネータATT1〜ATT6に互いに並列に別個に接続されている。このスイッチSW2は、例えば、カウンタ21Aからのカウント値に応じて、内蔵するスイッチの入力端の1つとオンするようになっている。このように、減衰器21は、様々な形態を取りうる。
増幅器22は、例えば、増幅量が一定のアンプにより構成され、再生信号(10A+10D),(10B+10C)の読出波形S2を、一定の増幅量で増幅するようになっている(図7(C),(G)参照)。
利得調整器24は、例えば、AGC(Auto Gain Controller)により構成され、スイッチ23の出力(スイッチ出力23A,B:処理後再生信号)が後段の演算器25にとって最適な振幅レベル(例えば図7(G)に示した利得調整レベルG)となるように、その振幅レベルを最適なレベルまで増幅するようになっている。
演算器25は、一方のモジュールの利得調整器24からの出力(調整出力24)および他方のモジュールの利得調整器24からの出力(調整出力24B)から、記録データに相当するRF信号20Aと、対物レンズを移動させる二軸機構の制御のためのフォーカスエラー信号20Bおよびトラッキングエラー信号20Cと、グルーブ114の蛇行パターンおよびマーカについての情報を含むプッシュプル信号20Dとを生成するようになっている。
制御部30は、例えばDSP(Digital Signal Processor)などにより構成され、演算器25や他のルートからの種々の信号に対してそれぞれに適した処理を行うようになっている。具体的には、この制御部30は、演算器25からのRF信号20Aを処理して光ディスク100に記録された記録データを生成したり、演算器25からのフォーカスエラー信号20Bおよびトラッキングエラー信号20Cを処理して、ピックアップ10内の二軸機構を制御するためのフォーカスドライブ信号30Aおよびトラッキングドライブ信号30Bや、スレッド機構を制御するためのスレッドドライブ信号30Cを生成するようになっている。また、この制御部30は、演算器25からのプッシュプル信号20Dを処理して、線速度および物理アドレス情報を生成すると共に、これらの情報からスピンドルモータ40を制御するためのスピンドルドライブ信号30Eを生成するようになっている。さらに、制御部30は、他のルートからの記録データに基づいてレーザドライブ信号30Dを生成するようになっている。
スピンドルモータ40は、スピンドルドライブ信号30Eに基づいて光ディスクを回転駆動させるためのものである。
以下、本実施の形態の光ディスクドライブ装置の書込み時の動作について説明する。なお、以下では、図6(B)の光ディスク100に対して書き込む場合について説明するが、図6(A)の光ディスク100に対しても同様にして書き込みが可能である。
まず、制御部30は、レーザドライブ信号30Dを生成して、レーザ11に出力する( 図7(A)参照) 。すると、レーザ11は、制御部30からのレーザドライブ信号30Dに基づいて発光駆動されて、読出レベルよりも数倍強力な書込レベルのレーザ光と、読出レベルのレーザ光とが交互に切り換えられて、基板110側からグルーブ114に照射される。これにより、記録層111に含まれる有機色素にレーザ光が吸収されて局所的な発熱が生じ、その発熱により基板110が変形して、その結果、グルーブ114内に凹部114Aおよび凸部114Bが形成される( 図7(B)参照) 。このようにして、光ディスク100に記録データの書き込みが行われる。このとき、反射光はフォトディテクタ12に吸収され、再生信号(10A+10D),(10B+10C)に変換される( 図7(C)参照) 。
次に、切替信号30Gに基づくスイッチ23のスイッチング動作によって、再生信号(10A+10D),(10B+10C)の経路が時分割的に切り替えられる( 図7(C),(D)参照) 。具体的には、書込波形S1に対応する期間およびその前後のわずかな期間は減衰器21側の経路が選択され、それ以外の期間、すなわち、読出波形S2のうち書込波形S1に隣接する部分の波形を除く部分の波形に対応する期間は増幅器22側の経路が選択される。
このとき、減衰器21では、アッテネータATT1〜ATT6が切換信号30Gおよびチャンネルクロック30Fに基づいて、書込波形S1の振幅レベルに応じた大きさに連続的に切り換わる( 図7(C)〜(F)参照) 。これにより、書込波形S1、および読出波形S2のうち書込波形S1に隣接する部分の波形が減衰器21によって各アッテネータATT1〜ATT6の減衰レベルに対応した減衰量だけ減衰され、他方、読出波形S2のうち書込波形S1に隣接する部分の波形を除く部分の波形が増幅器22によって一定量だけ増幅される( 図7(G)参照) 。
次に、スイッチ出力23A,23Bは利得調整器24によって利得調整レベルGまで増幅され、増幅された調整出力24A,24Bが演算器25に入力される( 図7(H)参照) 。演算器25は、調整出力24A,24Bに基づいて、RF信号20A、フォーカスエラー信号20B、トラッキングエラー信号20Cおよびプッシュプル信号20Dを生成して、これらを制御部30へ出力する。
制御部30は、演算器25からのRF信号20Aを処理して、光ディスク100に記録された記録データを生成し、演算器25からのフォーカスエラー信号20Bおよびトラッキングエラー信号20Cを処理して、フォーカスドライブ信号30A、トラッキングドライブ信号30Bおよびスレッドドライブ信号30Cを生成する。
さらに、制御部30は、プッシュプル信号20Dを処理して、線速度および物理アドレス情報を生成すると共に、これらの情報からスピンドルモータ40を制御するためのスピンドルドライブ信号30Eを生成する。具体的には、プッシュプル信号20Dの基本周波数を検出して、その基本周波数に基づいて線速度を算出する。また、プッシュプル信号20Dを所定の振幅レベル(例えば、図7(H)のスライスレベルS)で2値化することにより波形P1を抽出したのち、波形P1から所定のアルゴリズムに基づいて物理アドレス情報を算出する。
以上のことから、本実施の形態では、減衰器21において、フォトディテクタ12から出力される再生信号(10A+10D),(10B+10C)のうち書込波形S1の振幅レベルを減衰させる際に、チャンネルクロックの数に応じてアッテネータATT1〜ATT6を切り換えて、再生信号(10A+10D)、(10B+10C)の書込波形S1の振幅レベルの大きさに応じた減衰量で、書込波形S1を減衰するようにしたので、書込波形S1の振幅レベルが書込波形S1の立ち上がり時や立ち下がり時などにおいて大きく異なる場合であっても、書込波形S1を最適なレベルに減衰させることができる。特に、書込波形S1の立ち上がり時の不安定な部分の減衰量を大きくしているので、安定した波形を利得調整器24に入力することができ、その結果、アドレス取得性能を向上させることができる。
このように、本実施の形態では、書込波形S1の振幅レベルの最適な減衰量を容易に選択することができ、その結果、グルーブ114内の物理アドレス情報を安定して的確に検出することが可能となる。
また、書込波形S1を減衰させる際に、読出波形S2を増幅することにより、スイッチ出力23A,23Cの信号レベルをノイズレベルから遠ざけることが可能となる。これにより、グルーブ114内の物理アドレス情報をより一層安定して的確に検出することが可能となる。
[第2の実施の形態]
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る光ディスクドライブ装置を機能ブロックごとに表すものである。本実施の形態は、上記実施の形態と比べて、減衰器41とローパスフィルタ26とを備えている点で主に相違する。そこで、以下、上記実施の形態と異なる点について主に説明し、共通する点については適宜省略する。
減衰器41は、上記実施の形態の減衰器21と同様、アッテネータATT1〜ATT6等を含んで構成されているが、例えば、図9に示したように、アッテネータATT7〜ATT10と、スイッチSW3をさらに備えている。
スイッチSW3は、アッテネータATT1〜ATT6およびスイッチSW1を用いて減衰処理された書込波形S1を、減衰量制御信号30Iに基づいて選択された一のアッテネータによりさらに減衰するようになっている(図10(A),図10(C)〜(F)参照)。このように、これらアッテネータATT7〜ATT10およびスイッチSW3は、書込波形S1全体としての振幅レベルを調整するためのものである点で、個々の書込波形S1の振幅レベルを調整するアッテネータATT1〜ATT6およびスイッチSW1と機能の点で相違する。
ここで、図10(C)〜(F)は、ATT7〜ATT10の末尾の数字が大きくなるにつれて減衰量が大きくなっていくアッテネータを用いたときのスイッチ出力23Aの波形を示したものである。図10(C)は、ATT7を用いたときのスイッチ出力23Aの波形を示しており、減衰器41によって減衰された書込波形S1の振幅レベルが増幅器22によって増幅された読出波形S2の振幅レベルよりもかなり大きくなっている。図10(D)は、ATT8を用いたときのスイッチ出力23Aの波形を示しており、減衰器41によって減衰された書込波形S1の振幅レベルが増幅器22によって増幅された読出波形S2の振幅レベルよりも少し大きくなっている。図10(E)は、ATT9を用いたときのスイッチ出力23Aの波形を示しており、減衰器41によって減衰された書込波形S1の振幅レベルが増幅器22によって増幅された読出波形S2の振幅レベルとほぼ等しくなっている。図10(F)は、ATT10を用いたときのスイッチ出力23Aの波形を示しており、減衰器41によって減衰された書込波形S1の振幅レベルが増幅器22によって増幅された読出波形S2の振幅レベルよりも少し小さくなっている。
ローパスフィルタ26は、スイッチ23の出力(スイッチ出力23A,23B)に含まれる高周波成分を減衰させると共に低周波成分を透過させる機能を、オンオフ信号30Hに基づいてオンオフすることの可能な回路からなる。具体的には、オンオフ信号30Hがオンのとき、ローパスフィルタ26は、スイッチ出力23A,23Bのうち、光ディスク110に書込レベルのレーザ光を照射し始めた時の反射光に対応する信号波形に含まれる高周波成分と、波形P1に含まれる高周波成分とを共に減衰させるようになっている(図11(A)〜(D)参照)。一方、オンオフ信号30Hがオフのとき、ローパスフィルタ26は、スイッチ出力23A,23Bを減衰させることなく透過するようになっている。このように、ローパスフィルタ26はオンオフ信号30Hがオンのときに、波形P1に含まれる高周波成分をも減衰させるようになっているので、減衰器41の減衰レベルを調整する場合にだけローパスフィルタ26の機能をオンし、後述するように、演算器25においてプッシュプル信号20Dから波形P1を抽出する場合にはローパスフィルタ26の機能をオフすることが必要となる。
利得調整器24は、上記実施の形態と同様、例えば、AGC(Auto Gain Controller)により構成され、ローパスフィルタ26の出力(フィルタ出力26A,26B:処理後再生信号)が後段の演算器25にとって最適な振幅レベル(例えば図11(A)〜(D)に示した利得調整レベルG)となるように、その振幅レベルを最適なレベルまで増幅するようになっている。この利得調整器24では、利得調整器24に入力されたフィルタ出力26A,26Bの振幅レベルが最適な振幅レベルから遠ければ遠い程、増幅量ΔGが大きくなり、逆に、利得調整器24に入力されたフィルタ出力26A,26Bの振幅レベルが最適な振幅レベル近ければ近い程、増幅量ΔGが小さくなる。従って、例えば図11(A)〜(D)に例示したフィルタ出力26Aでは、図11(A)のフィルタ出力26Aはわずかな増幅量(ΔG1)で、図11(B)のフィルタ出力26AはΔG1よりも少し大きな増幅量(ΔG2)で、図11(C)のフィルタ出力26AはΔG2よりも少し大きな増幅量(ΔG3)で、それぞれ最適なレベルにまで増幅することができる。ところが、図11(D)のフィルタ出力26Aは、上記したΔG3とほぼ等しい増幅量(ΔG4)で最適なレベルにまで増幅することができる。つまり、減衰器41によって減衰された書込波形S1の振幅レベルが増幅器22によって増幅された読出波形S2の振幅レベルにほぼ等しいか、それよりも小さいときは、利得調整器24における増幅量ΔGが飽和することがわかる(図12参照)。
以下、本実施の形態の光ディスクドライブ装置の書込み時の動作について説明する。なお、以下では、図6(B)の光ディスク100に対して書き込む場合について説明するが、図6(A)の光ディスク100に対しても同様にして書き込みが可能である。また、上記実施の形態で説明した、アッテネータATT1〜ATT6およびスイッチSW1を用いた減衰処理の手順についてはその説明を省略する。
まず、記録データを光ディスク100に書き込む前に、減衰器41の後段の減衰量を設定する。具体的には、制御部30は、まず、テスト用のレーザドライブ信号30Dを生成して、レーザ11に出力する( 図13(A)参照) 。すると、レーザ11は、制御部30からのテスト用のレーザドライブ信号30Dに基づいて発光駆動されて、読出レベルよりも数倍強力な書込レベルのレーザ光と、読出レベルのレーザ光とが交互に切り換えられて、基板110側からテスト用のグルーブ114に照射される。これにより、記録層111に含まれる有機色素にレーザ光が吸収されて局所的な発熱が生じ、その発熱により基板110が変形して、その結果、グルーブ114内に凹部114Aおよび凸部114Bが形成される( 図13(B)参照) 。このようにして、光ディスク100にテスト用の記録データの書き込みが行われる。
このとき、反射光はフォトディテクタ12に吸収され、再生信号(10A+10D),(10B+10C)に変換される( 図13(C)参照) 。
次に、切替信号30Gに基づくスイッチSWのスイッチング動作によって、再生信号(10A+10D),(10B+10C)の経路が時分割的に切り替えられる( 図13(D)参照) 。具体的には、書込波形S1に対応する期間およびその前後のわずかな期間は減衰器41側の経路が選択され、それ以外の期間、すなわち、読出波形S2のうち書込波形S1に隣接する部分の波形を除く部分の波形に対応する期間は増幅器22側の経路が選択される。このとき、減衰器41は、減衰量制御信号30Iによって減衰量の最も小さなアッテネータ(ATT7)から、減衰量の大きなアッテネータ(ATT8,9,10)へと、書込波形S1ごとに徐々に切り替えられるので、書込波形S1,および読出波形S2のうち書込波形S1に隣接する部分の波形が減衰器41によって各減衰レベルに対応した減衰量だけ減衰され、他方、読出波形S2のうち書込波形S1に隣接する部分の波形を除く部分の波形が増幅器22によって一定量だけ増幅される( 図10(C)〜(F)参照) 。
続いて、スイッチ出力23A,23Bはローパスフィルタ26で高周波成分が減衰されたのち(図11(A)〜(D)参照)、利得調整器24によって利得調整レベルGまで増幅される。このとき、演算器25は、調整出力24A,24Bに基づいて、フィルタ出力26A,26Bを利得調整レベルGにまで増幅するのに要した増幅量ΔGが飽和し始めたときの減衰量(下限減衰量)と、飽和しきったときの減衰量(上限減衰量)とを算出すると共に、下限減衰量から上限減衰量までの間の一の減衰量(例えばATT9のときの減衰量)となるような減衰量制御信号30Iを生成して、その減衰量制御信号30Iを減衰器41に入力する。すると、減衰器41のアッテネータはATT9のアッテネータに固定される。
ここで、「飽和し始めたとき」とは、図12において、減衰レベルを徐々に大きくしていったときに、減衰レベルと増幅量ΔGとの正比例関係が崩れ始めたとき(図12のATT8のとき)のことであり、「飽和しきったとき」とは、図12において、減衰レベルを徐々に大きくしていったときに、増幅量ΔGがほとんど変化しなくなったとき(図12のATT10のとき)のことである。
次に、減衰器41のアッテネータをATT9のアッテネータに固定すると共に、ローパスフィルタ26の機能をオフした状態で、実際の記録データを光ディスク100に書き込む。具体的には、制御部30は、まず、記録データに対応したレーザドライブ信号30Dを生成して、レーザ11に出力する( 図13(A)参照) 。すると、レーザ11は、制御部30からのレーザドライブ信号30Dに基づいて発光駆動されて、読出レベルよりも数倍強力な書込レベルのレーザ光と、読出レベルのレーザ光とが交互に切り換えられて、基板110側から記録用のグルーブ114に照射されるので、記録層111に含まれる有機色素にレーザ光が吸収されて局所的な発熱が生じ、その発熱により基板110が変形して、その結果、グルーブ114内に凹部114Aおよび凸部114Bが形成される( 図12(B)参照) 。このようにして、光ディスク100に実際の記録データの書き込みが行われる。
このとき、光ディスク100の所定の領域に記録データが正確に書き込まれているか否かをリアルタイムに検出する。具体的には、まず、反射光はフォトディテクタ12に吸収され、再生信号(10A+10D),(10B+10C)に変換される(( 図9(C)) 参照)。
次に、切替信号30Gに基づくスイッチSWのスイッチング動作によって、再生信号(10A+10D),(10B+10C)の経路が時分割的に切り替えられる( 図9(D)参照) 。具体的には、書込波形S1に対応する期間およびその前後のわずかな期間は減衰器41側の経路が選択され、それ以外の期間、すなわち、読出波形S2のうち書込波形S1に隣接する部分の波形を除く部分の波形に対応する期間は増幅器22側の経路が選択される。このとき、減衰器41は減衰レベル3のアッテネータに固定されているので、書込波形S1および読出波形S2のうち書込波形S1に隣接する部分の波形は、その減衰レベル3のアッテネータによって減衰され、他方、読出波形S2のうち書込波形S1に隣接する部分の波形を除く部分の波形が増幅器22によって一定量だけ増幅される( 12(E)参照) 。その結果、減衰器41によって減衰された書込波形S1の振幅レベルが増幅器22によって増幅された読出波形S2の振幅レベルとほぼ等しくなる。
続いて、スイッチ出力23A,23Bは、オフ状態のローパスフィルタ26を透過して、フィルタ出力26A,26Bとして、利得調整器24に入力される( 図12(F)参照) 。フィルタ出力26A,26Bは、利得調整器24によって利得調整レベルGまで増幅され( 図12(G)参照) 、増幅された調整出力24A,24Bが演算器25に入力される。
次に、演算器25は、調整出力24A,24Bに基づいて、RF信号20A、フォーカスエラー信号20B、トラッキングエラー信号20Cおよびプッシュプル信号20Dを生成して、これらを制御部30へ出力する。
制御部30は、演算器25からのRF信号20Aを処理して、光ディスク100に記録された記録データを生成し、演算器25からのフォーカスエラー信号20Bおよびトラッキングエラー信号20Cを処理して、フォーカスドライブ信号30A、トラッキングドライブ信号30Bおよびスレッドドライブ信号30Cを生成する。
さらに、制御部30は、プッシュプル信号20Dを処理して、線速度および物理アドレス情報を生成すると共に、これらの情報からスピンドルモータ40を制御するためのスピンドルドライブ信号30Eを生成する。具体的には、プッシュプル信号20Dの基本周波数を検出して、その基本周波数に基づいて線速度を算出する。また、プッシュプル信号20Dを所定の振幅レベル(例えば、図12(G)のスライスレベルS)で2値化することにより波形P1を抽出したのち、波形P1から所定のアルゴリズムに基づいて物理アドレス情報を算出する。
以上より、本実施の形態では、減衰器41において、フォトディテクタ12から出力される再生信号(10A+10D),(10B+10C)のうち、書込波形S1の振幅レベルを減衰させる際に、アッテネータATT1〜ATT6およびスイッチSW1を用いて書込波形S1を減衰処理すると共に、減衰量を設定するために用いる減衰量制御信号30Iとして、減衰器41の減衰量を徐々に大きくしていったときに、フィルタ出力23B,23Dを利得調整レベルGにまで増幅するのに必要な増幅量が飽和し始めたときの下限減衰量から、飽和しきったときの上限減衰量までの間の一の減衰量となるような制御信号を用いて、減衰処理した書込波形S1をさらに減衰処理するようにしたので、書込波形S1をより一層最適なレベルに減衰させることができる。特に、書込波形S1の立ち上がり時の不安定な部分の減衰量を大きくしているので、安定した波形を利得調整器24に入力することができ、その結果、アドレス取得性能を向上させることができる。
このように、本実施の形態では、書込波形S1の振幅レベルの最適な減衰量を極めて容易に選択することができ、その結果、グルーブ114内の物理アドレス情報を極めて安定して的確に検出することが可能となる。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。
例えば、上記実施の形態では、減衰器21の前段に含まれるアッテネータの数を6つに、減衰器21の後段に含まれるアッテネータの数を4つに設定していたが、再生信号(10A+10D)の波形に応じてアッテネータの数をそれよりも増やしたり、減らすなど、適宜調節することが好ましい。
また、上記実施の形態では、増幅器22を減衰器21に並列に設けていたが、ノイズレベルが読出波形の振幅レベルよりも十分低い場合には、増幅器22をなくして、増幅のない配線を減衰器21に並列に設けるようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、フォトディテクタ12の出力(再生信号)を、10A+10D、10B+10Cと合成した上で減衰器21や増幅器22に入力するようにしていたが、図14および図15に示したように、10A、10B、10Cおよび10Dをそれぞれ別個に減衰器21や増幅器22に入力するようにしてもよい。
本発明の第1の実施の形態に係る光ディスクドライブ装置の機能ブロック図である。 図1のフォトディテクタおよび信号処理部の内部構成図である。 減衰器の内部構成の一例を表すものである。 減衰器の内部構成の他の例を表すものである。 光ディスクのトラッキング方向および径方向の断面図である。 光ディスクの平面構成図である。 光ディスクドライブ装置の動作を説明するための波形図である。 本発明の第2の実施の形態に係る光ディスクドライブ装置の機能ブロック図である。 図8の減衰器の内部構成の一例を表すものである。 減衰器の機能を説明するための波形図である。 ローパスフィルタの機能を説明するための波形図である。 減衰レベルと増幅量との関係を説明するための関係図である。 光ディスクドライブ装置の動作を説明するための波形図である。 図1の光ディスクドライブ装置の変形例を表すものである。 図8の光ディスクドライブ装置の変形例を表すものである。
符号の説明
10…ピックアップ、10A〜10D…再生信号、11…レーザ、12…フォトディテクタ、12A〜12D…受光素子、20…信号処理部、20A…RF信号、20B…フォーカスエラー信号、20C…トラッキングエラー信号、20D…プッシュプル信号、21,41…減衰器、22…増幅器、23…スイッチ、23A,23B…スイッチ出力、24…利得調整器、24A,24C…調整出力、25…演算器、26…ローパスフィルタ、26A,26B…フィルタ出力、30…制御部、30A…フォーカスドライブ信号、30B…トラッキングドライブ信号、30C…スレッドドライブ信号、30D…レーザドライブ信号、30E…スピンドルモータドライブ信号、30F…チャンネルクロック、30G…切換信号、30H…オンオフ信号、30I…減衰量制御信号、40…スピンドルモータ、100…光ディスク、110…基板、111…記録層、112…反射層、113…保護層、114…グルーブ、114A…凹部、114B…凸部、115…ランド、116…FM変調部、117…ランドプリピット、S1…書込波形、S2…読出波形。

Claims (9)

  1. 蛇行パターンからなるグルーブ、および前記グルーブ内の物理的な位置を示す複数のマーカを有する光ディスクに対して、書込レベルのレーザ光および読出レベルのレーザ光を交互に切り換えて照射する光照射部と、
    前記光ディスクに照射されたレーザ光の反射光を受光して再生信号に変換する受光部と、
    前記再生信号のうち前記書込レベルのレーザ光の反射光に対応する書込波形の振幅レベルを、前記書込波形の立ち上がりからの位置に応じて減衰させる書込波形減衰部と
    を備えたことを特徴とする減衰量調整回路。
  2. 前記書込波形減衰部は、前記書込波形の振幅レベルを、前記書込波形の立ち上がりからの位置に応じて減衰量を経時的に徐々に減じながら減衰させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の減衰量調整回路。
  3. 前記書込波形減衰部はさらに、前記減衰させた書込波形の振幅レベルを減衰量制御信号に基づいて減衰させ、
    前記書込波形が減衰された再生信号の高周波成分を減衰させる高周波減衰部と、
    前記高周波成分が減衰された再生信号の振幅レベルを所定のレベルにまで増幅する増幅部と、
    前記書込波形減衰部の減衰量を徐々に大きくしていったときに前記増幅部の増幅量が飽和し始めたときの減衰量から飽和しきったときの減衰量までの間の一の減衰量となるような減衰量制御信号を生成する減衰量制御信号生成部と
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の減衰量調整回路。
  4. 前記高周波減衰部は、前記受光部によって前記レーザ光の反射光から変換された再生信号に含まれる書込波形の高周波成分を減衰させる
    ことを特徴とする請求項3に記載の減衰量調整回路。
  5. 前記再生信号のうち前記読出レベルのレーザ光の反射光に対応する読出波形の振幅レベルを増幅させる読出波形増幅部をさらに備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の減衰量調整回路。
  6. 減衰量調整回路およびアドレス情報検出回路を備えた光ディスクドライブ装置であって、
    前記減衰量調整回路は、
    蛇行パターンからなるグルーブ、および前記グルーブ内の物理的な位置を示す複数のマーカを有する光ディスクに対して、書込レベルのレーザ光および読出レベルのレーザ光を交互に切り換えて照射する光照射部と、
    前記光ディスクに照射されたレーザ光の反射光を受光して再生信号に変換する受光部と、
    前記再生信号のうち前記書込レベルのレーザ光の反射光に対応する書込波形の振幅レベルを、前記書込波形の立ち上がりからの位置に応じて減衰させる書込波形減衰部と
    を有し、
    前記アドレス情報検出回路は、
    前記書込波形減衰部によって減衰された再生信号から前記マーカに対応した信号成分を抽出して、前記グルーブ内の物理アドレス情報を得るアドレス情報取得部
    を有する
    ことを特徴とする光ディスクドライブ装置。
  7. 前記減衰量調整回路は、
    前記書込波形が減衰された再生信号の高周波成分を減衰させる高周波減衰部と、
    前記高周波成分が減衰された再生信号の振幅レベルを所定のレベルにまで増幅する増幅部と
    をさらに有し、
    前記アドレス情報検出回路は、
    前記書込波形減衰部の減衰量を徐々に大きくしていったときに前記増幅部の増幅量が飽和し始めたときの減衰量から飽和しきったときの減衰量までの間の一の減衰量となるような減衰量制御信号を生成する減衰量制御信号生成部と、
    前記アドレス情報取得部において前記マーカに対応した信号成分を抽出する際に、前記高周波減衰部の機能をオンオフするための駆動制御信号を生成する駆動制御信号生成部と
    をさらに有し、
    前記アドレス情報取得部は、前記増幅部によって増幅された再生信号から前記マーカに対応した信号成分を抽出して、前記グルーブ内の物理アドレス情報を得る
    ことを特徴とする請求項6に記載の光ディスクドライブ装置。
  8. 蛇行パターンからなるグルーブ、および前記グルーブ内の物理的な位置を示す複数のマーカを有する光ディスクを回転駆動させるステップと、
    前記回転する光ディスクに対して、書込レベルのレーザ光および読出レベルのレーザ光を交互に切り換えて照射するステップと、
    前記光ディスクに照射されたレーザ光の反射光を受光して再生信号に変換するステップと、
    前記再生信号のうち前記書込レベルのレーザ光の反射光に対応する書込波形の振幅レベルを、前記書込波形の立ち上がりからの位置に応じて減衰量を減衰させるステップと
    を含むことを特徴とする減衰量調整方法。
  9. 蛇行パターンからなるグルーブ、および前記グルーブ内の物理的な位置を示す複数のマーカを有する光ディスクを回転駆動させるステップと、
    前記回転する光ディスクに対して、書込レベルのレーザ光および読出レベルのレーザ光を交互に切り換えて照射するステップと、
    前記光ディスクに照射されたレーザ光の反射光を受光して再生信号に変換するステップと、
    前記再生信号のうち前記書込レベルのレーザ光の反射光に対応する書込波形の振幅レベルを、前記書込波形の立ち上がりからの位置に応じて減衰させるステップと、
    前記減衰された再生信号から前記マーカに対応した信号成分を抽出して、前記グルーブ内の物理アドレス情報を得るステップと
    を含むことを特徴とするアドレス情報取得方法。
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