JP2004071142A - 光ディスク装置および光ディスク装置における記録制御方法 - Google Patents

光ディスク装置および光ディスク装置における記録制御方法 Download PDF

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久門 裕二
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Abstract

【課題】データ記録時のサーボ制御、記録クロック制御、モータ制御、光パワー制御等の制御を適切に行うことができる信号を生成する光ディスク装置等を提供する。
【解決手段】データの記録時に光照射によって光ディスクに複数のマークを形成する光ディスク装置等を提供する。光ディスク装置100は、光源から放射されて光ディスク101で反射した光を検出し、検出光に基づいて第1再生信号を出力する光ヘッド103と、第1制御信号に応答して所定値に保持されたレベルを有する第2再生信号を出力し、第2制御信号に応答して第1再生信号のレベルに応じたレベルを有する第2再生信号を出力する処理部121等と、各マークの形成前から形成途中までの期間において第1制御信号を生成し、その期間以後の期間において第2制御信号を生成する制御部109とを備える。光ディスク装置100は第2再生信号に基づいてデータの記録動作を制御する。
【選択図】図1

Description

 本発明は、光ディスクへのデータ記録時に光ディスクからの反射光を検出し、その反射光に基づいて光ディスクへのデータ記録動作を制御する技術に関する。
 ディジタルデータを記録する様々な記録媒体として、DVD−R、CD−R等の円盤状の光ディスクが広く知られている。光ディスクでは、記録トラックに複数のピット(マーク)が形成され、マークおよびマーク間の領域(スペース)によってデータが記録される。マークとスペースとは反射率が異なっており、反射率の違いを検出することによってマークとスペースとを識別できる。
 DVD−R、CD−R等の記録トラックには、一定の周期のウォブルまたは周波数変調されたウォブルが形成されている。このような光ディスクにデータを記録する光ディスク装置は、ウォブルを用いて光ディスクの回転数を制御する基準クロックを生成する。例えば、特許文献1に記載の光ディスク装置は、レーザ光を光ディスクに照射して光ディスク上にマークを形成しつつ、光ディスクからの反射光を検出して検出信号を得る。光ディスク装置は、その検出信号に基づいて光パワー制御、サーボ制御、モータ制御および記録クロック制御等の記録時の動作を制御する。
 図10は、DVD−Rのトラック802の拡大図である。トラック802は、データ記録時に光スポット804をガイドする案内溝(グルーブ部)である。データは案内溝にしたがって記録される。図によれば、案内溝802はウォブルしていることが理解される。隣接する2つの案内溝の間の領域801はランド部またはランドトラックと呼ばれる。マークはランド部上に形成される。ランド部801の片側には、ランドプリピット803が設けられている。ランドプリピット803を設けることにより、光ディスク装置は反射光からランドプリピット信号を得ることができ、タイミングを同期させてディスクの回転を制御できる。なお、CD−Rではウォブル周波数には一定の周波数変調が施されており、これにより、アドレス情報が得られるため、プリピット803は設けられない。
 光ディスク装置は、グルーブ802に光ビームを照射して得られるプッシュプル信号を所定のスライスレベルで2値化することによってプリピット803およびウォブルの周波数を検出する。そして、光ディスク装置はウォブルの周波数に対して所定の逓倍を行い、マーク805の単位時間長さに対応した記録クロック信号を得る。一般に光ディスク装置は、ランドプリピット信号を基準として記録クロック信号に同期して光ディスク上にマークを形成する。また、光ディスク装置はウォブルの検出結果に基づいて図示しないディスク回転モータの回転数を制御する。
 次に、従来の光ディスク装置がCD−Rにマークを形成する処理を説明する。図11(a)〜(f)は、従来の第1の方法によってCD−Rへマークを形成する際のタイミング図である。まず、光ディスク装置は書き込み対象のライトデータをNRZI(Non Return to Zero Inverted)変換し、図11(a)に示すNRZI信号を生成する。そして、このNRZI信号に応じた強弱2段階のレーザ光をCD−Rに放射する。すなわち、光ディスク装置はNRZI信号がローレベルのときは弱いレーザ光を放射し、NRZI信号がハイレベルのときは強いレーザ光を放射する。図11(b)に示すように、強いレーザ光の放射に対応してCD−R上にマークが形成される。
 光ディスク装置の光ピックアップ(図示せず)は、光ディスクからのレーザ光の反射光を検出し、図11(c)に示す再生信号を出力する。マークを形成するときのレーザ光パワーは、再生時よりも大きくする必要がある。この結果、マーク形成時の再生信号のレベルも大きくなる。
 弱いレーザ光から強いレーザ光に切り換えてマークの形成を開始するとき、再生信号には一時的に振幅が大きくなるスパイク波形が現れる(例えば、図11(c)の時刻t1≦t≦t2参照)。光ピックアップのヘッドアンプ(図示せず)は、このスパイク波形も含めた再生信号のレベルがダイナミックレンジに収まるようにゲインを調整して出力する。ダイナミックレンジは、ヘッドアンプやヘッドアンプ以降に配置されたアナログ処理回路等の回路の特性に基づいて決定される。
 光ディスク装置は、上述の再生信号に基づいて種々の情報を取得する。具体的には、光ディスク装置は、サーボ制御を行うためのサーボ情報、ウォブルに関するウォブリング情報およびデータの書き込みの際に常に最適なレーザパワーに調整するためのR−OPC(Running Optimum Power Control)情報を検出する。光ディスク装置は、これらの情報に基づいてサーボ制御、モータ制御、光パワー制御および記録クロックの生成を行う。
 以下、サーボ情報、ウォブリング情報およびR−OPC情報を得る手順を説明する。なお各情報の説明に関連して、次のように用語を定義する。本明細書において「サンプル」するとは、光ディスク装置のサンプル・ホールド部(図示せず)が、入力された信号のレベルに応じたレベルを有する信号を出力することをいう。また本明細書において「ホールド」するとは、光ディスク装置のサンプル・ホールド部(図示せず)が、所定値に保持されたレベルの信号を出力することをいう。例えばサンプル・ホールド部は、再生信号をサンプルして再生信号をそのまま出力し、ホールド開始時刻の再生信号のレベルにホールドされた信号を出力する。サンプル・ホールド部は、サンプル・ホールド信号に基づいて動作する。サンプル・ホールド部は、サンプル・ホールド信号がサンプルレベル(S)のときサンプル動作し、ホールドレベル(H)のときホールド動作する。
 図11(d)は、サーボ用サンプル・ホールド信号の波形を示す図である。サーボ用サンプル・ホールド信号は、サーボ情報を得るためのサンプルおよびホールドのタイミングを示す。サーボ情報は、一定長以上のスペースのみをサンプルすることによって得られ、例えば再生信号のうち弱いレーザ光に対応する部分のみをサンプルし、強いレーザ光に対応する部分をホールドして得られる。
 図11(e)は、ウォブル検出用サンプル・ホールド信号の波形を示す図である。ウォブル検出用サンプル・ホールド信号もまた、ウォブリング情報を得るためのサンプルおよびホールドのタイミングを示す。ウォブリング情報は、マーク間の全てのスペースをサンプルすることによって得られる。
 図11(f)は、R−OPC用サンプル・ホールド信号の波形を示す図である。R−OPC用サンプル・ホールド信号は、R−OPC情報を得るためのサンプルおよびホールドのタイミングを示す。R−OPC情報は、マーク形成時の波形のうちでスパイク波形後の再生信号の値とマーク形成が行われていないときの再生信号の値とをサンプルすることによって得られる。
 図12(a)〜(c)は、通常速度よりも高速で回転するCD−Rへマークを形成する際のタイミング図である。高速で記録する場合、強いレーザ光と弱いレーザ光とが切り替わる時間が短くなる。例えば48倍速記録の場合、図12(a)に示すように最小極性反転距離3T分だけ移動するのに要する時間はおおよそ30nsとなり、強いレーザ光が放射されたときにマークが形成される(図12(b))。しかし、レーザ光が切り替わる時間が短くなると、図12(c)の波形部分Aに示すようにマーク形成後の再生信号の立下りが波形に対して相対的になまり、セトリング時間が波形に対して相対的に延びる。そして信号がセトリングする前またはセトリングした直後に次の立ち上がりを迎えてしまい、サーボ制御およびウォブル検出のために適切なサンプルを行うことができなくなる。
 図13(a)〜(c)は、従来の第2の方法によってCD−Rへマークを形成する際のタイミング図である。先の例と同様、図13(a)に示すマークを形成する際に、図13(b)に示す再生信号が得られる。ただしこの方法では、再生信号のホールドを行わずに、それに代えて再生信号全体を平滑化(平均化)して帯域制限する。再生信号を帯域制限することによりスパイク波形の影響を低減して、フォーカストラッキング検出信号およびウォブル検出信号を得る。図13(c)および(d)は、平均化した後のフォーカストラッキング検出信号およびウォブル検出信号を示す図である。再生信号全体を平滑化することにより、高速記録によって相対的にセトリング時間が延びる場合であってもサーボ情報およびウォブル情報を検出できる。
 ただし、R−OPC情報は前述した第1の方法によって検出する必要がある。R−OPC情報は、スパイク波形後の再生信号の値とマークの形成が行われていないときの再生信号の値とをサンプルし、その他の期間は再生信号をホールドすることが必須だからである。なお、ユーザデータの再生にはサーボ制御やウォブル制御よりも高い周波数成分が必要とされるため、ピックアップ上のヘッドアンプの通過帯域は十分広く設計される。
特開平7−29179号公報
 しかしながら、従来のデータ記録方法では、得られるサーボ情報およびウォブリング情報の品質が劣化し、サーボ制御、モータ制御および記録クロック制御を適切に行うことができない。
 すなわち、スパイク波形も含めた再生信号のレベルがダイナミックレンジに収まるようにゲインが調整されると、再生信号全体のレベルが下がり、S/N比が劣化する。この結果、サーボ情報、ウォブリング情報およびR−OPC情報の品質が低下し、サーボ制御、モータ制御、記録クロック制御および光パワー制御を適切に行うことができない。仮に回路のダイナミックレンジによる制限に起因してスパイク波形がカットされても、カットされて変化した情報の影響によって正確なサーボ情報およびウォブリング情報を得ることができない。
 一方、再生信号全体を平滑化してもスパイク波形が完全にカットされることはない。よって平滑化した後の再生信号には高周波成分を多く持つスパイク波形の影響が大きく現れ、正確なサーボ情報およびウォブリング情報を得ることができない。
 これらの問題点は、特に高速でデータを記録する場合に顕著になる。マークを速く形成するためにレーザ光の強度を増加すると、再生信号のスパイク波形の影響が大きくなるからである。
 本発明の目的は、サーボ制御、記録クロック制御、モータ制御、光パワー制御等の記録時の動作の制御を適切に行うことである。
 本発明の光ディスク装置は、データの記録時に光照射によって光ディスク に複数のマークを形成する。光ディスク装置は、光を放射する光源および光を検出する検出器を有し、前記光源から放射されて前記光ディスクで反射した光を前記検出器において検出し、検出した光に基づいて第1の再生信号 を出力する光ヘッドと、前記第1の再生信号、および、第1の制御信号または第2の制御信号に基づいて第2の再生信号を生成する再生信号処理部 であって、前記第1の制御信号に応答して所定値に保持 されたレベルを有する前記第2の再生信号を出力し、前記第2の制御信号に応答して前記第1の再生信号のレベルに応じたレベルを有する前記第2の再生信号を出力する再生信号処理部と、前記第1の制御信号および前記第2の制御信号を生成する制御部であって、個々のマークの形成前から形成途中までの第1の期間において前記第1の制御信号を生成し、前記第1の期間以後の第2の期間において前記第2の制御信号を生成する制御部とを備え、前記再生信号処理部から出力された前記第2の再生信号に基づいて前記データの記録動作を制御する。
 前記第1の期間において前記第1の再生信号の波形はスパイク波形部分を含み、前記制御部は前記スパイク波形の消滅後に前記第2の制御信号を生成してもよい。
 前記制御部は、前記光源から前記マークを形成することが可能な強度で光が照射されてからの時間に基づいて、前記スパイク波形の消滅を判断してもよい。
 前記再生信号処理部は、前記所定値を前記スパイク波形部分のレベルよりも低く設定してもよい。
 前記光ヘッドは、所定のダイナミックレンジを超えるレベルの波形部分をカットして前記第1の再生信号を出力してもよい。
 前記光ヘッドは、前記スパイク波形の一部をカットして前記第1の再生信号を出力してもよい。
 前記光ヘッドは、所定のダイナミックレンジに収まるゲインを有する前記第1の再生信号を出力してもよい。
 前記再生信号処理部から出力された前記第2の再生信号を平均化して出力する平均化処理部をさらに備え、平均化された前記第2の再生信号に基づいて前記データの記録動作を制御してもよい。
 前記記録時の動作の制御は、サーボ制御、記録クロック制御、モータ制御および光パワー制御の少なくとも1つであってもよい。
 本発明によるデータ記録方法は、光照射によって光ディスクに複数のマークを形成してデータを記録する。データ記録方法は、光源から放射されて前記光ディスクで反射した光を検出するステップと、検出した前記光に基づいて第1の再生信号を出力するステップと、前記第1の再生信号、および、第1の制御信号または第2の制御信号に基づいて第2の再生信号を生成するステップであって、前記第1の制御信号に応答して所定値に保持されたレベルを有する前記第2の再生信号を出力し、前記第2の制御信号に応答して前記第1の再生信号のレベルに応じたレベルを有する前記第2の再生信号を出力するステップと、前記第1の制御信号および前記第2の制御信号を生成するステップであって、個々のマークの形成前から形成途中までの第1の期間において前記第1の制御信号を生成し、前記第1の期間以後の第2の期間において前記第2の制御信号を生成するステップと、前記第2の再生信号に基づいて前記データの記録動作を制御するステップとを包含する。
 本発明によるコンピュータプログラムは、光を放射する光源および光を検出する検出器を有する光ヘッドと、再生信号処理部と、制御部とを備えた光ディスク装置において実行可能である。光ディスク装置は、データの記録時に光照射によって光ディスクに複数のマークを形成する。コンピュータプログラムは、前記光源から光を放射するステップと、前記光ディスクで反射した光を前記検出器において検出するステップと、検出した前記光に基づいて前記光ヘッドから第1の再生信号を出力するステップと、前記再生信号処理部において、前記第1の制御信号に応答して所定値に保持されたレベルを有する前記第2の再生信号を生成し、前記第2の制御信号に応答して前記第1の再生信号のレベルに応じたレベルを有する前記第2の再生信号を生成するステップと、前記制御部において、前記第1の制御信号および前記第2の制御信号を生成するステップであって、個々のマークの形成前から形成途中までの第1の期間において前記第1の制御信号を生成し、前記第1の期間以後の第2の期間において前記第2の制御信号を生成するステップと、前記第2の再生信号に基づいて前記データの記録動作を制御するステップとを包含する。
 本発明による制御プロセッサは、データの記録時に光照射によって光ディスクに複数のマークを形成する光ディスク装置に実装されて、第1の動作モードと第2の動作モードとを切り替え可能である。前記光ディスク装置は、光を放射する光源および光を検出する検出器を有し、前記光源から放射されて前記光ディスクで反射した光を前記検出器において検出し、検出した光に基づいて第1の再生信号 を出力する光ヘッドと、前記第1の再生信号、および、第1の制御信号または第2の制御信号に基づいて第2の再生信号を生成する再生信号処理部 であって、前記第1の制御信号に応答して所定値に保持 されたレベルを有する前記第2の再生信号を出力し、前記第2の制御信号に応答して前記第1の再生信号のレベルに応じたレベルを有する前記第2の再生信号を出力する再生信号処理部とを備えている。前記制御プロセッサは、前記第1の動作モードでは、個々のマークの形成前から形成途中までの第1の期間において前記第1の制御信号を生成し、前記第1の期間以後の第2の期間において前記第2の制御信号を生成し、前記第2の動作モードでは、前記第1の期間とは異なる第3の期間において前記第1の制御信号を生成し、前記第3の期間以後の第4の期間において前記第2の制御信号を生成する。
 本発明によれば、光ヘッドから出力された再生信号は、マークの形成前から形成途中までの期間は所定レベルに保持された信号として出力され、その期間以後の期間は再生信号のレベルに応じたレベルを有する信号として出力される。出力された信号は、マーク記録時を含む期間のスパイク波形の影響を含まない。よって、この信号によれば、マーク形成時の動作の制御を適切に行うことができる。
 以下、添付の図面を参照して、本発明による光ディスク装置の実施形態を説明する。本発明による光ディスク装置は、光ディスクにデータを記録し、記録したデータを再生することができる。データの記録時は、データを記録するとともに再生して、再生信号に基づいて記録動作を制御する。
 以下、まず光ディスクを説明する。光ディスクはCD−R、DVD−R等の円盤状の記録媒体であり、複数の記録トラックを有する。例えば図10は、DVD−Rの記録トラック801を示す。記録トラック801は隣接する2つの案内溝802の間の領域として規定される。記録トラックは、相変化材料等によって形成された記録膜を有する。光ディスクが所定の波長のレーザ光によって照射されると、照射された位置の記録膜の物理的な特性が変化し、その結果マークが形成される。レーザ光は、光ディスク装置から書き込み対象のライトデータに応じたタイミングおよび強度で所定の期間放射される。マークが形成された領域と、マークが形成されていないマーク間の領域(スペース)とでは光の反射率が異なる。反射率の違いを光ディスク装置において検出することによって記録トラック上のマークとスペースとが判定され、その結果ライトデータを再生できる。
 光ディスクがDVD−R、CD−R等の場合には、記録トラックは所定の周波数で蛇行(ウォブル)して形成されている。図10によれば、記録トラックがウォブルしていることが理解される。ウォブルの周波数は、DVD−Rの場合には一定であり、CD−Rの場合には周波数変調がされている。ウォブルの周波数は、光ディスクの回転数を制御する基準クロックを生成する際に利用される。
 さらにDVD−Rでは、記録トラックにランドプリピット803が設けられている。一般に、DVD−Rへのデータの記録は、ランドプリピット803に起因するランドプリピット信号を基準として、ウォブルから得られた記録クロック信号に同期して行われる。なお光ディスクがCD−Rの場合には、ウォブル周波数には一定の周波数変調が施され、これによりアドレス情報が得られるため、プリピット803は設けられない。
 (実施形態1)
 図1は、本実施形態による光ディスク装置100の構成を示すブロック図である。光ディスク装置100は、CD−Rメディアである光ディスク101にデータを記録し、記録したデータを再生する。これらの動作は、種々の記録媒体150等から読み込まれて設定されたコンピュータプログラムに基づいて行われる。なお、説明の便宜上、図には光ディスク101および種々の記録媒体150が記載されているが、これらは必ずしも光ディスク装置100の構成要素ではなくてもよい。
 光ディスク装置100は、スピンドルモータ102と、光ピックアップ103と、フォーカストラッキングサーボ部106と、ウォブル検出部107と、R−OPC検出部108と、データ再生部110と、制御部109と、中央処理ユニット(CPU)146と、メモリ148とを有する。
 スピンドルモータ102は、制御部109の指示に基づく回転速度で光ディスク101を回転させる。データの記録時または再生時に、スピンドルモータ102が回転速度を基準となる値よりも上げることにより高速記録または高速再生が可能になる。
 光ピックアップ103は、データ記録時に所定の波長のレーザ光を用いた光照射によって光ディスクに複数のマークを形成する。上述のように個々のマークは記録トラックの記録膜の物理的な特性の変化によって形成される。さらに光ピックアップ103は、光ディスクにおいて反射されたレーザ光(反射光)を検出して再生信号として出力する。
 光ピックアップ103は、レーザドライバ104と、光源(図示せず)と、光検出器(図2)と、ヘッドアンプ105とを有する。レーザドライバ104は、制御部109から、書き込み対象のライトデータを変換して得られる2値のNRZI(Non Return to Zero Inverted)信号を受け取る。レーザドライバ104は、NRZI信号に基づいて記録パワーを駆動電流に変換して光源(レーザ素子)に与える。すると、光源から駆動電流の大きさに応じた所定のパワーのレーザ光が出力され、光ディスク101に放射される。例えば、NRZI信号がローレベルのとき光源は弱いレーザ光を放射し、NRZI信号がハイレベルのとき光源は強いレーザ光を放射する。マークは、強いパワーの光が記録トラックに放射されたときに形成される。
 光ピックアップ103の光検出器は、光ディスク101において反射したレーザ光を検出し、検出した光に応じた再生信号を出力する。図2は、光ピックアップ103に設けられた光検出器111−1〜111−4およびヘッドアンプ105の構成を示すブロック図である。ここでは光検出器とヘッドアンプとは分離して記載されているが、出力の高速化のために一体型にモノシリック化することもできる。
 各光検出器111−1〜111−4の位置は、レーザ光を照射している記録トラックと所定の位置関係を有するように制御される。具体的には、検出器111−1および111−2がレーザ光を照射している記録トラックよりも光ディスク101の外周側に位置し、検出器111−3および111−4がその記録トラックよりも光ディスク101の内周側に位置するように、光ピックアップ103の位置が制御される。理想的には、記録トラックの中心線位置からの反射光が、検出器111−1および111−2の組と検出器111−3および111−4の組とを分ける線上に入射する。データの記録処理を行う際、各光検出器111−1〜111−4は、光ディスク101からの反射光の強度を電流値により検出し、検出した電流信号k,l,m,nを出力する。
 ヘッドアンプ105は、光検出器111−1〜111−4からの出力信号k,l,m,nを受け取る。ヘッドアンプ105は、各電流信号を電圧信号に変換して出力する。この電圧信号が再生信号として後の処理に利用される。図では再生信号は単一の信号であるように描かれているが、実際には各光検出器111−1〜111−4の出力信号k,l,m,nに対応する各電圧信号が出力されている。ただし以下では、説明の便宜上、ヘッドアンプ105において変換され、出力された信号であっても、単に出力信号k,l,m,nと称することとする。なお、以下で言及する「ダイナミックレンジ」は、各光検出器111−1〜111−4、ヘッドアンプ、ヘッドアンプ以降に配置されたアナログ処理回路等の回路の特性に基づいて決定される。
 再び図1を参照しながら、光ディスク装置100の他の構成要素を説明する。フォーカストラッキングサーボ部106は、光ピックアップ103から出力された再生信号と制御部109から出力されたサンプル・ホールド信号を受け取り、サーボ制御のためのサーボ信号(サーボ情報)を生成して制御部109に出力する。サーボ情報は、トラッキング制御のためのトラッキング情報と、フォーカス制御のためのフォーカス情報とを含む。ウォブル検出部107は、光ピックアップ103から出力された再生信号と制御部109から出力されたサンプル・ホールド信号とを受け取り、ウォブルに関するウォブル検出信号(ウォブリング情報)を検出して制御部109に出力する。ウォブリング情報はウォブル周波数の情報を含む。R−OPC検出部108は、光ピックアップ103からの再生信号および制御部109からのサンプル・ホールド信号を入力し、R−OPC(Running Optimum Power Control)信号(R−OPC情報)を生成して制御部109に出力する。R−OPC情報とは、データの書き込みの際に常に最適なレーザパワーに調整するための情報である。「サンプル・ホールド信号」とは光ディスク装置の構成要素の動作を制御する制御信号であり、後述のようにサンプル信号とホールド信号とに分けて考えることができる。
 制御部109は、書き込み対象のライトデータをNRZI変換し、NRZI信号(後述の図6(a))を光ピックアップ103に出力する。制御部109は、サンプル・ホールドを制御するサンプル・ホールド信号(S/H信号)をフォーカストラッキングサーボ部106,ウォブル検出部107およびR−OPC検出部108にそれぞれ出力し、サーボ信号、ウォブル検出信号およびR−OPC信号を受け取る。これらの信号に基づいて、制御部109は、記録クロック信号の生成および制御,光ディスク101に照射する光パワーの制御,光ピックアップ103のサーボ制御、スピンドルモータ102の制御等のデータの記録動作制御を行う。
 本実施形態では、制御部109から出力されるサンプル・ホールド信号のレベルは、ハイレベルとローレベルとに交互に切り替わる。制御部109は、CPU146から設定されたS/Hタイミングパラメータに基づいて、サンプル・ホールド信号のレベルを切り替えるタイミングを出力先に応じて調整する。
 CPU146は、光ディスク装置100の全体の動作を総合的に管理するコンピュータである。CPU146は、メモリ148に格納されたコンピュータプログラムを実行し、このコンピュータプログラムに規定された処理手順に従って制御部109を動作させる。またこのコンピュータプログラムは、制御部109がサンプル・ホールド信号をハイレベルおよびローレベルに交互に切り替えるタイミングを示すS/Hタイミングパラメータを出力する。
 コンピュータプログラムは、光ディスクに代表される光記録媒体、SDメモリカードに代表される半導体記録媒体、フレキシブルディスクに代表される磁気記録媒体等の記録媒体150に記録することができる。記録媒体150は光ディスク装置100に挿入されて、CPU146の制御に基づいて読み出されてメモリ148に格納される。メモリ148は、例えばEEPROM等の不揮発性メモリである。なお光ディスク装置100は、記録媒体150を介してのみならず、インターネット等の電気通信回線を介してもコンピュータプログラムを取得できる。
 データ再生部110は、データが記録された光ディスク101から記録されたユーザデータを再生する。
 次に、図3〜5を参照しながら、フォーカストラッキングサーボ部106、ウォブル検出部107およびR-OPC検出部108の具体的な構成を説明する。
 図3は、フォーカストラッキングサーボ部106の構成を示すブロック図である。フォーカストラッキングサーボ部106は、再生信号k,l,m,nに基づいて、トラッキング制御に必要なトラッキング信号およびフォーカス制御に必要なフォーカス信号を生成する。
 フォーカストラッキングサーボ部106は、サンプル・ホールド処理部121と、加減算部122と、平滑化部123とを有する。サンプル・ホールド部121は、光ピックアップ103から出力された再生信号k〜nと制御部109から出力されたサンプル・ホールド信号とを受け取り、サンプル・ホールド信号に基づいて再生信号k〜nをサンプル・ホールドして出力する。サンプル・ホールド部121は受け取った再生信号に所定の処理を施し、処理後の信号を出力しているといえる。「サンプル」および「ホールド」という語の解釈は、従来の技術の欄において定義したとおりとする。例えばサンプル・ホールド部121は、再生信号をサンプルすることにより再生信号をそのまま出力し、ホールドすることにより所定の時刻における再生信号のレベルに保持されたレベルを有する信号を出力する。
 本発明の主要な特徴の一つは、サンプルおよびホールドのタイミングを調整することにより、再生信号から不要な波形を含まない信号を得ることにある。得られた信号からは高品質のトラッキング信号およびフォーカス信号を得ることができ、それにより好適な記録制御を実現できる。サンプル・ホールド信号のサンプルおよびホールドのタイミングについては、図6〜8を参照しながら後述する。
 加減算部122は、サンプル・ホールドされた再生信号に所定の演算を行ってその結果を出力する。平滑化部133は、加減算部132から出力された信号を平滑化(平均化)し、平滑化した信号をトラッキング信号およびフォーカス信号として制御部109に出力する。
 以下、より詳細に説明する。サンプル・ホールド処理部121は、再生信号k〜nをそれぞれ受け取ってサンプル・ホールドするサンプル・ホールド部121a〜121dを有する。各サンプル・ホールド部は、制御部109からのサンプル・ホールド信号に基づいてサンプル・ホールド処理を行う。
 加減算部122は、加算部122a〜122dと、減算回路122eおよび122fとを有する。加算部122aおよび122bはそれぞれ、サンプル・ホールドした再生信号k〜nを外周側および内周側ごとに加算する。加算部122aは外周側の再生信号の和信号aを出力し、加算部122bは内周側の再生信号の和信号bを出力する。一方、加算部122cおよび122dはそれぞれ、サンプル・ホールドした再生信号k〜nを対角位置の関係にある2つの組ごとに加算する。加算部122cは再生信号kおよびnの和信号cを出力し、加算部122dは内周側の再生信号lおよびmの和信号dを出力する。減算回路122eは加算部122aの出力信号aから加算部122bの出力信号bを減算し、減算回路122fは加算部122cの出力信号cから加算部122dの出力信号dを減算する。
 上述の処理の結果、減算回路122eは、反射光が内周側または外周側のどちら側に偏っているかを表す信号、すなわち光ディスク101に放射されたレーザ光が内周側または外周側のどちら側に偏っているかを表す信号を出力する。出力された信号が概ね0であれば、レーザ光の放射位置は偏っていないことを表す。逆に出力された信号が0から所定値以上正または負に振れている場合には、レーザ光の放射位置が、外周側または内周側に偏っていることを表す。一方、減算回路122fは、反射光の投射形状を特定できる信号を出力する。例えば、出力された信号が概ね0であれば、反射光の投射形状はほぼ真円でありレーザ光の焦点が記録トラック上に合っていることを表す。逆に出力された信号が0から所定値以上正または負に振れている場合には、反射光の投射形状が楕円形であり、焦点が合っていないことを表す。なお、出力された信号が正であるか負であるかに基づいて、記録トラックよりも奥に焦点が合っているか、手前に焦点が合っているかも特定できる。
 平滑化部123はいわゆるローパスフィルタであり、光ディスク101がCD−Rの場合には、例えば100kHz程度の周波数を通過させるフィルタであればよい。平滑化部123は、減算回路122eおよび122fから出力された信号をそれぞれ平滑化し、その結果、平滑化したトラッキング信号およびフォーカス信号を出力する。
 上述の原理によれば、トラッキング信号およびフォーカス信号を利用して、光ディスク101の半径方向に関するレーザ光の放射位置の制御(トラッキング制御)および光ディスク101の記録面に垂直な方向に関するレーザ光の焦点位置の制御(フォーカス制御)が可能となる。
 図4は、ウォブル検出部107の構成を示すブロック図である。ウォブル検出部107は、再生信号k,l,m,nに基づいて記録トラックのウォブル周波数を特定するウォブル検出信号を生成する。これにより光ディスクの回転数を制御する基準クロックを生成できる。
 ウォブル検出部107は、サンプル・ホールド部131と、加減算部132と、平滑化部133と、検出部134とを有する。サンプル・ホールド部131は、光ピックアップ103から出力された再生信号k〜nと制御部109から出力されたサンプル・ホールド信号とを受け取り、サンプル・ホールド信号に基づいて再生信号k〜nをサンプル・ホールドする。サンプル・ホールド部131は受け取った再生信号に所定の処理を施し、異なる再生信号として出力しているといえる。加減算部132は、サンプル・ホールドされた再生信号に所定の演算を行ってその結果を出力する。平滑化部123は、加減算部122から出力された信号を平滑化(平均化)する。検出部134は、平滑化された再生信号からウォブル検出信号を検出して出力する。
 フォーカストラッキングサーボ部106と同様、ウォブル検出部107においても、サンプルおよびホールドのタイミングが調整されたサンプル・ホールド信号を利用して、高品質のウォブル検出信号を出力することにある。サンプル・ホールド信号のサンプルおよびホールドのタイミングについては、図6〜8を参照しながら後述する。
 以下、より詳細に説明する。サンプル・ホールド部131は、再生信号k〜nをそれぞれ受け取ってサンプル・ホールドするサンプル・ホールド部131a〜131dを有する。各サンプル・ホールド部は、制御部109からのサンプル・ホールド信号に基づいてサンプル・ホールド処理を行う。
 加減算部132は、加算部132aおよび132bと、減算部132cとを有する。加算部132aは、サンプル・ホールドされた再生信号k,lを加算し、信号aを出力する。加算部132bは、サンプル・ホールドされた再生信号m,nを加算し、信号bを出力する。減算部132cは、信号a,bの差分信号を出力する。記録トラックのウォブルに起因して、外周側の光検出器111−1、111−2に入る反射光の光量が増加すると、内周側の光検出器111−3、111−4に入る反射光の光量が減少する。逆に外周側の光検出器111−1、111−2に入る反射光の光量が減少すると、内周側の光検出器111−3、111−4に入る反射光の光量が増加する。この増減の周波数はウォブルの周波数を表す。減算部132cから出力された差分信号は、記録トラックのウォブルを表す信号となり、その信号の周波数がウォブル周波数となる。
 平滑化部133はいわゆるバンドパスフィルタであり、光ディスク101がCD−Rの場合で、かつ基準速度で回転している場合には、20kHz周辺の周波数を通過させるフィルタであればよい。平滑化部133は、減算部132cからの差分信号を平滑化する。検出部134は、平滑化された信号を所定のスライスレベルで2値化して2値化信号を得て、2値化信号の周波数に基づいてウォブル検出信号を出力する。ウォブル検出信号を利用することにより、光ディスク101の記録トラックのウォブル周波数を特定できる。
 図5は、R−OPC検出部108の構成を示すブロック図である。R−OPC検出部108は、再生信号k,l,m,nに基づいて、データの書き込みの際に常に最適なレーザパワーに調整するための制御に必要なR−OPC信号を生成する。
 R−OPC検出部108は、加算部141とサンプル・ホールド処理部142とを有する。加算部141は、再生信号k〜nを加算して出力する。すべての再生信号を加算しているため、加算部141の出力信号は、検出された全ての光を表す信号になる。サンプル・ホールド処理部142は、Bレベルサンプル・ホールド部142aとAレベルサンプル・ホールド部142bとを有する。Bレベルサンプル・ホールド部142aおよびAレベルサンプル・ホールド部142bは、それぞれ、加算部141において加算された再生信号と制御部109から出力されたサンプル・ホールド信号とを受け取り、加算された再生信号をサンプル・ホールド信号に基づいてサンプル・ホールドする。
 Bレベルサンプル・ホールド部142aは、データの記録動作中であって強いレーザ光が放射されているときの再生信号の値をサンプルして、その結果得られたBレベル検出信号を制御部109に出力する。例えば、Bレベルサンプル・ホールド部142aは、強いレーザ光が放射されている期間中であって、さらにスパイク波形が消滅した後の再生信号の値をサンプルする。なおスパイク波形は図6(a)〜(c)を参照して後述する。また、Aレベルサンプル・ホールド部142bは、データの記録動作中であって弱いレーザ光が放射されているときの再生信号の値をサンプルして、その結果得られたAレベル検出信号を制御部109に出力する。例えば、Aレベルサンプル・ホールド部142bは、弱いレーザ光が放射されている記録トラック上のスペース部分の再生信号の値をサンプルする。制御部109は、サンプル・ホールド処理部142から出力されたBレベル検出信号とAレベル検出信号を受け取り、それらの信号値の比が記録中に一定レベルになるようにレーザ記録パワーを制御する。なおR−OPC信号に基づく制御はこの手法に限られることはなく、例えば、Bレベル検出信号のみを一定にするようにレーザ光の強さを調整することもできる。
 上述のように、制御部109は、フォーカストラッキングサーボ部106、ウォブル検出部107およびR−OPC検出部108から得られた各種の情報を利用して、データの記録動作を制御する。各種の情報は、再生信号に所定のサンプル・ホールド処理を行い、さらに所定の演算を行って得られるため、サンプル・ホールド処理を行うタイミングが、得られる信号の質(すなわち情報の質)に直接に影響する。
 そこで、以下図6(a)〜(c)を参照しながら、信号の質を低下させるスパイク波形を説明し、その後図7および8を参照しながら、品質の高い情報を得るための光ディスク装置100のサンプル・ホールド処理を説明する。
 図6(a)〜(c)は、光ディスク101の記録トラックにマークを形成する際の信号のタイミング図である。光ピックアップ103は、制御部109が生成したNRZI信号(図6(a))に基づいてレーザ光を放射し、光ディスクの記録トラック上にマークを形成する。ここでは、図6(b)に示すようにNRZI信号がハイレベルのとき強いレーザ光が放射され、マークが形成される。一方NRZI信号がローレベルのとき弱いレーザ光が放射される。弱いレーザ光の時はマークは形成されない。
 図6(b)から明らかなように、NRZI信号がハイレベルになり強いレーザ光が放射されても、その位置から所定の区間xだけずれた位置からマークの形成が開始される。位置がずれる理由は、記録トラックが強いレーザ光によって物理的に変化するまでに所定の時間を要し、その間に光ディスク101が回転するからである。区間xは反射率が比較的高いため、強いレーザが放射されると再生信号のレベルが大きくなる。その結果、再生信号にスパイク波形が現れる。例えば最小極性反転距離を3Tとしたとき、区間xは約1.5Tである。
 図6(c)は、スパイク波形Kを含む再生信号の波形を示す。時刻t=t1において強いレーザ光の放射が開始され、時刻t=t2においてマークの形成が始まったとする。すると、区間xに対応する期間L(=t2−t1)において再生信号のレベルが大きくなり、スパイク波形Kが現れる。期間Lは、一般的には数十〜数百nsecのオーダである。例えばCD−Rの場合には、期間Lは通常の記録速度では300nsec、2倍の記録速度では150nsecである。なおDVD−Rの場合には通常の記録速度では50nsec、2倍の記録速度では25nsecである。
 本実施形態の光ピックアップ103は、マークの形成を開始するときに発生するスパイク波形のうち、ダイナミックレンジを超えるスパイク波形(以下、「飽和スパイク波形」と称する)Kを検出できない。よって光ピックアップ103は、結果として、飽和スパイク波形をカット(「マスク」ともいう)した再生信号を出力する。さらに光ピックアップ103は、飽和スパイク波形部分以外の波形部分をダイナミックレンジに収めるようにゲイン設定して、再生信号を出力する。ダイナミックレンジは、例えば図6(c)の0からDまでの範囲である。なお飽和スパイク波形が存在しない場合には、スパイク波形を含む再生信号が出力される。
 飽和スパイク波形がカットされた後の再生信号のレベルはダイナミックレンジの上限に近いため、比較的レベルが高い。また飽和スパイク波形がカットされなかった後の再生信号のレベルもスパイク波形を含むので、局所的にレベルが高い。よってこれらの再生信号に基づく記録動作の制御は適切といえない場合がある。
 そこで本実施形態の光ディスク装置100では、以下に説明するサンプル・ホールド処理を行い、データの記録動作を制御するために必要な情報(サーボ情報、ウォブリング情報等)を得ることができる。以下に説明する動作によれば、スパイク波形をカットすることにより再生信号に含まれる情報が変化し、その影響でサーボ情報およびウォブリング情報の品質が劣化することを防止できる。
 以下、図7および8を参照しながら、サンプル・ホールド処理を説明する。 図7は、マークの形成に伴って生成される再生信号のサンプル・ホールド処理の手順を示すフローチャートである。この図は、個々のマークを形成する際に主に制御部109によって、または制御部109からの指示に基づいて実行される手順である。また図8(a)〜(g)は、光ディスク装置100における信号のタイミング図である。
 以下説明するサンプル・ホールド処理は、制御部109からのサンプル・ホールド信号に基づいて、図3のフォーカストラッキングサーボ部106内のサンプル・ホールド処理部121、図4のウォブル検出部107内のサンプル・ホールド部131および図5のR−OPC検出部108内のサンプル・ホールド処理部142において実行される。以下ではハイレベルのサンプル・ホールド信号をホールド信号と称し、ローレベルのサンプル・ホールド信号をサンプル信号と称する。また、サンプル・ホールド処理部121等から出力された信号を「処理信号」と称する。処理信号は、光ピックアップ103から出力された再生信号に所定の処理を施して得られた信号であり、このような処理を行う上述のサンプル・ホールド部は、再生信号処理部とも称される。
 まずステップ701において、光ピックアップ103は、図8(a)に示すNRZI信号に基づいて、所定の強度のレーザ光を光ディスク101に放射する。このNRZI信号に基づいて、図8(b)のようにマークが形成されるとする。次いでステップ702において、光ピックアップ103は反射光を検出して、図8(c)に示す再生信号を生成する。図8(c)から明らかなように、点線によって示すダイナミックレンジの上限を超える飽和スパイク波形部分がカットされている。
 次にステップ703において、制御部109は、CPU146によって設定されたパラメータに基づくタイミングでホールド信号を生成して、フォーカストラッキングサーボ部106、ウォブル検出部107およびR−OPC検出部108に出力する。図8(d)は、フォーカストラッキングサーボ部106に出力されるサーボ用サンプル・ホールド信号の波形を示す。図8(e)は、ウォブル検出部107に出力されるウォブル検出用サンプル・ホールド信号の波形を示す。図8(f)は、R−OPC検出部108に出力されるR−OPC用サンプル・ホールド信号の波形を示す。
 図8(d)および(e)に示すように、制御部109は記号“H”によって示すホールド信号を生成している。ホールド信号はハイレベルの信号とする。ホールド信号の立ち上がりタイミングは、マークの形成を開始する前の時点であり、飽和スパイク波形が検出される期間Lの開始前である。制御部109がNRZI信号を生成することから、期間Lの開始前であることを認識できる。
 ステップ704において、フォーカストラッキングサーボ部106等は、ホールド信号を受け取った時点の再生信号のレベルと同じレベルを保持した処理信号を出力する。保持されているレベルは、スパイク波形部分のレベルよりも低い。
 ステップ705において、制御部109は、再生信号の波形にはスパイク波形部分または飽和スパイク波形部分が存在するか否かを判断する。この判断は、例えば強いレーザ光が光源から放射されてからの時間が、上述したCD−Rの場合の期間Lだけ経過しているか否かに基づいて行うことができる。まだ期間Lが経過しておらず、飽和スパイク波形部分が存在すると判断した場合にはステップ706に進み、期間Lが経過して飽和スパイク波形部分が存在しないと判断した場合にはステップ707に進む。
 ステップ706では、制御部109はホールド信号の出力を継続しており、フォーカストラッキングサーボ部106内のサンプル・ホールド処理部121およびウォブル検出部107内のサンプル・ホールド処理部131は、上述のレベルを保持した処理信号の出力を継続する。
 次にステップ707を説明する。ステップ707の処理は、期間Lの経過以後(すなわちスパイク波形の消滅後)でマークが形成されている途中の時点で行われる。このタイミングにおいて、制御部109は記号“S”によって示すサンプル信号を生成する。サンプル信号はホールド信号の立ち下がりと同義であり、ローレベルの信号とする。サンプル信号の生成を開始するとステップ708に進む。
 ステップ708では、サンプル・ホールド処理部121およびサンプル・ホールド処理部131は、サンプル信号に基づいて再生信号のレベルに応じたレベルの処理信号を出力する。例えば処理信号は、再生信号がそのまま出力される。
 以上説明した処理の結果、サンプル・ホールド処理部121およびサンプル・ホールド処理部131は、図8(g)に示す処理信号を出力する。図に示すように、処理信号は、サンプル・ホールド信号がハイレベルのとき(ホールド信号のとき)それまでのレベルを維持し、サンプル・ホールド信号がローレベルのとき(サンプル信号のとき)再生信号をそのまま出力している。
 以上説明したように、マークを形成する際に検出される再生信号とサンプル・ホールド信号とに基づいて、スパイク波形の影響がない処理信号が生成される。得られた処理信号は、既に説明したとおり平滑化部123、133において平滑化され、適切なサーボ情報およびウォブリング情報を得ることができる。
 なお、R−OPC用サンプルホールド信号のサンプル・ホールドタイミングは、R−OPC検出部108に関連して説明したタイミングでよい。ただし、R−OPC検出部108のサンプル・ホールド処理部142はスパイク波形が消滅した後の再生信号の値をサンプルする必要があるため、制御部109は、少なくとも上述の期間Lが経過した後にサンプル信号を生成する。またサンプル・ホールド処理部142は弱いレーザ光が放射されているスペース部分の再生信号の値をサンプルする必要もあるため、制御部109は、少なくとも次のマークについての期間Lの開始前にサンプル信号を生成する。
 上述のように図7のフローチャートは個々のマークを形成する際の処理であるため、さらに次のマークを形成する際には同じ処理を繰り返して行うこととなる。制御部109は、サンプル信号の出力を継続し、次のマークに起因するスパイク波形の発生前に再びホールド信号を出力すればよい。
 本実施形態では、マークの形成を開始する前の再生信号を、スパイク波形が発生する期間ホールドし、その他の期間はサンプルして処理信号を生成する。処理信号にはスパイク波形の影響がないため、処理信号に基づいて生成した制御信号にもスパイク波形の影響がなく、よってサーボ制御、モータ制御、記録クロック制御および光パワー制御のいずれもを適切に行うことができる。
 スパイク波形をカットしつつ、その後の波形はダイナミックレンジに収めるようにゲイン設定することにより、スパイク波形も含めた再生信号全体をダイナミックレンジに収める場合に比してS/N比を改善することができる。
 なお光ディスク装置100は、上述のサンプル・ホールド処理と従来のサンプル・ホールド処理とを切り替えて実行できるように構成することもできる。
 (実施形態2)
 図9は、本実施形態による光ディスク装置200の構成を示すブロック図である。光ディスク装置200は、図1に示す光ディスク装置100にさらにカット判定部201を追加して構成されている。さらに光ディスク装置200の制御部203は、速度切替部202として示す新たな機能ブロックを含む。以下、これらの構成および動作を説明する。なお図1に示す光ディスク装置100の構成要素の機能と同じ機能を有する光ディスク装置200の構成要素には同じ参照符号を付し、各々の説明は省略する。光ディスク装置200の制御部203に対しては異なる符号を付しているが、速度切替部202以外の機能は光ディスク装置100の制御部109の機能と同じである。
 速度切替部202は、光ディスク101にデータを記録する際の記録速度を切り換え、切り換えた速度に応じた制御信号を光ディスク装置200の各部に出力する。すなわち、速度切替部202はスピンドルモータ102の回転速度を変化させ、回転速度に応じたマーク記録時のレーザ光のパワーを設定する。さらに、速度切替部202はレーザ光のパワーに応じて再生信号の検出感度も変化させる。
 例えば、記録速度を上げる場合、マークをより速く形成する必要がある。そこで、速度切替部202は光ピックアップ103に制御信号を出力して、マーク記録時のレーザ光のパワーを強くさせる。しかし、レーザ光のパワーを強くすると反射光の光量が増加して再生信号のレベルが大きくなる。そこで、速度切替部202はさらに光ピックアップ103に制御信号を出力して、マークの記録を開始したときに再生信号の波形に現れるスパイク波形部分をカットしつつ、その後の波形部分をダイナミックレンジに収めるようにゲインを設定させる。
 カット判定部201は、光ピックアップ103で再生信号のスパイク波形部分がカットされたか否かを判定する。例えばカット判定部201は、得られた再生信号のレベルがダイナミックレンジの上限に達している場合にはスパイク波形がカットされたと判定し、上限に達していない場合にはスパイク波形がカットされていないと判定する。カット判定部201により、スパイク波形部分がカットされたと判定された場合、制御部203は、サンプル・ホールド信号をフォーカストラッキングサーボ部106およびウォブル検出部107に出力する。このサンプル・ホールド信号は、スパイク波形部分がカットされた期間ではその期間開始前の再生信号のレベルを保持させるホールド信号と、その期間の経過後は再生信号をサンプルさせるサンプル信号とを含む。なおカット判定部201は、図2に示す光ピックアップの光検出器から出力される各再生信号に対して、スパイク波形部分がカットされたか否かを判定することができる。
 以下、光ディスク装置200の動作を説明する。光ディスク装置200は、記録速度に応じて記録動作の制御を行うための処理を切り替える。記録速度が速い場合には、マーク形成の周波数および光強度が高く、スパイク波形のレベルが高いため、光ピックアップ103においてスパイク波形部分はカットされる。よって、光ディスク装置200は光ディスク装置100と同じサンプル・ホールド動作を行って処理信号を生成し、サーボ信号等を生成する。一方、記録速度が遅い場合には、マーク記録の周波数および光強度が低く、スパイク波形のレベルが低いため、光ピックアップ103においてスパイク波形部分はカットされない。このとき、光ディスク装置200は再生信号全体をサンプルして平滑化処理を行い、サーボ信号等を生成する。記録速度が遅い場合には、光ディスク装置100のサンプル・ホールド動作は行われない。記録速度が遅い場合には、結果として図12(a)〜(c)に示す処理と同じであるが、スパイク波形のレベルが低いため特に問題は生じない。なお「記録速度が遅い」とは、データを記録する際の回転速度が基準となる値よりも遅い場合のみならず、基準となる値よりも速いがその程度が比較的小さい場合を含む。例えば、48倍速記録が可能な光ディスク装置において2倍または3倍速記録を行う場合には、「記録速度が遅い」といえる。
 なお、光ピックアップ103は、光ディスクの外周側の再生信号(図2の再生信号k,l)のスパイク波形部分および内周側の信号(図2の再生信号m,n)のスパイク波形部分のいずれか一方のみをカットすることもできる。光学的なバランスのずれにより、レーザ光の放射位置と記録トラックとが大きくずれた場合には、外周側の再生信号のレベル(振幅)と内周側の再生信号のレベル(振幅)とが大きく異なるからである。カット判定部201は、外周側の再生信号または内周側の再生信号のいずれのスパイク波形部分がカットされたかを判定できる。このような場合には、光ディスク装置200は、スパイク波形がカットされた再生信号に対しては光ディスク装置100において行われるサンプル・ホールド処理を行い、カットされなかった再生信号に対しては信号全体のサンプル処理を行う。ダイナミックレンジを超えるスパイク波形部分を有する再生信号のみを検出して、その再生信号のスパイク波形部分のみをカットすることにより、誤差量を低減することができる。
 以上、本発明による光ディスク装置の実施形態を説明した。第1および第2の実施形態では、フォーカストラッキングサーボ部106、ウォブル検出部107およびR−OPC検出部108が再生信号の加減算を行うとして説明したが、加減算の一部または全部を光ピックアップ103で行ってもよい。また、加減算とサンプル・ホールドおよび平滑化との順序を入れ替えてもよい。
 また図8(d)および(e)では、ホールド信号はスパイク波形の発生に完全に対応して生成されているが、対応している必要はなく、同図のサンプル信号によるサンプル期間中に1以上のホールド信号を生成してホールド処理をしてもよい。例えば、マークの形成終了直前から直後までの間ホールド信号を生成すると、サンプル信号への切り替わりの時点において再生信号の立下りが急峻になり、データの高速記録時のサーボ信号およびウォブル検出信号の生成が容易になる。
 第1および第2の実施形態では、光ディスク101はCD−Rであるとしたが、DVD−Rその他の光ディスクであってもよい。DVD−Rにマークを形成する際にはレーザ光の出力波形は櫛状になるため、再生信号の波形も櫛状になる。この櫛状波形を平滑化するためには、図5に示すR−OPC検出部108のサンプル・ホールド処理部142の前段または加算部141の前段に、新たに平滑化部(図示せず)を設ければよい。新たに設ける平滑化部は、いわゆるローパスフィルタであり、例えば10MHz以下の周波数を通過させるフィルタであればよい。平滑化部は、櫛状の信号を平滑化した信号を出力する。更に、サンプル・ホールド処理部142の前段には、櫛状波形の上側のレベルを検波するためのピーク検波部を設けてもよい。本発明は、マークの記録時にスパイク波形が発生する記録媒体に対して有効である。
 また、第1および第2の実施形態では、マーク部分の再生信号およびマークとマークとの間のスペース部分の再生信号を利用してサーボ信号およびウォブル検出信号を生成した。しかし、スペース部分の再生信号のみをサンプリングしてサーボ情報およびウォブリング情報を抽出することもできる。この場合には、スペース部分の直後に生じる再生信号のスパイク波形をカットしつつ、その後の波形はダイナミックレンジに収めるように、光ピックアップのゲインを設定する。これにより、S/N比を改善することができる。また、光ピックアップにおいてスパイク波形をカットしない場合も、サンプル・ホールド信号を用いて再生信号のスパイク波形の部分をホールドし、その他の部分をサンプルするようにしてもよい。これにより、スパイク波形の影響を除去することができる。なお、実施形態ではサーボ制御、記録クロック制御および光パワー制御を行う例を説明したが、本発明は他の制御に対しても適用できる。
 上述の実施形態による光ディスク装置では、メモリ、CPUおよび制御部は光ディスク装置を構成する要素であるとして説明した。しかし、これらの構成要素をDSP(Digital Signal Processor)チップとして構成することができる。第1の実施形態に対応するDSPチップは、スパイク波形をカットするサンプル・ホールド信号を生成するので、実施形態1の光ディスク装置と同じ利点が得られる。なおDSPチップに、本発明によるサンプル・ホールド処理を行う動作モードと、従来のサンプル・ホールド処理を行う動作モードとを切り替えて実行できるスイッチ等を設けることもできる。これにより、光ディスク装置の製造メーカーは、DSPチップを従来の仕様のフォーカストラッキングサーボ部等を有する装置に組み込むときは従来のサンプル・ホールド処理を行うようにスイッチを設定し、本発明によるサンプル・ホールド処理に対応できるフォーカストラッキングサーボ部等を有する装置に組み込むときは本発明による処理を行うようにスイッチを設定できる。一方、第2の実施形態に対応するDSPチップは、記録速度に応じて再生信号のスパイク波形部分がカットされているか否かに応じて、異なるサンプル・ホールド信号を生成する。よって実施形態2の光ディスク装置と同じ利点が得られる。
 本発明にかかる光ディスク装置および光ディスク装置における記録制御方法では、光ヘッドから出力された再生信号は、マークの形成前から形成途中までの期間は所定レベルに保持された信号として出力され、その期間以後の期間は再生信号のレベルに応じたレベルを有する信号として出力される。出力された信号は、マーク記録時を含む期間のスパイク波形の影響を含まない。よって、この信号によれば、マーク形成時の動作の制御を適切に行うことができる。本発明は、光ディスクへのデータ記録動作を制御する場合等において有用である。
実施形態1による光ディスク装置の構成を示すブロック図である。 光ピックアップに設けられた光検出器およびヘッドアンプの構成を示すブロック図である。 フォーカストラッキングサーボ部の構成を示すブロック図である。 ウォブル検出部の構成を示すブロック図である。 R−OPC検出部の構成を示すブロック図である。 光ディスクの記録トラックにマークを形成する際の信号のタイミング図である。 マークの形成に伴って生成される再生信号のサンプル・ホールド処理の手順を示すフローチャートである。 光ディスク装置における信号のタイミング図である。 実施形態2による光ディスク装置の構成を示すブロック図である。 DVD−Rの記録トラックの拡大図である。 従来の第1の方法によってCD−Rへマークを形成する際のタイミング図である。 通常速度よりも高速で回転するCD−Rへマークを形成する際のタイミング図である。 従来の第2の方法によってCD−Rへマークを形成する際のタイミング図である。
符号の説明
 100 光ディスク装置
 101 光ディスク
 102 スピンドルモータ
 103 光ピックアップ
 104 レーザドライバ
 105 ヘッドアンプ
 106 フォーカストラッキングサーボ部
 107 ウォブル検出部
 108 R−OPC検出部
 109 制御部
 110 データ再生部
 146 CPU
 148 メモリ
 150 記録媒体
 121、131、142 サンプル・ホールド処理部(再生信号処理部)

Claims (12)

  1.  データの記録時に光照射によって光ディスクに複数のマークを形成する光ディスク装置であって、
     光を放射する光源および光を検出する検出器を有し、前記光源から放射されて前記光ディスクで反射した光を前記検出器において検出し、検出した光に基づいて第1の再生信号を出力する光ヘッドと、
     前記第1の再生信号、および、第1の制御信号または第2の制御信号に基づいて第2の再生信号を生成する再生信号処理部であって、前記第1の制御信号に応答して所定値に保持されたレベルを有する前記第2の再生信号を出力し、前記第2の制御信号に応答して前記第1の再生信号のレベルに応じたレベルを有する前記第2の再生信号を出力する再生信号処理部と、
     前記第1の制御信号および前記第2の制御信号を生成する制御部であって、個々のマークの形成前から形成途中までの第1の期間において前記第1の制御信号を生成し、前記第1の期間以後の第2の期間において前記第2の制御信号を生成する制御部と
     を備え、前記再生信号処理部から出力された前記第2の再生信号に基づいて前記データの記録動作を制御する、光ディスク装置。
  2.  前記第1の期間において前記第1の再生信号の波形はスパイク波形部分を含み、前記制御部は前記スパイク波形の消滅後に前記第2の制御信号を生成する、請求項1に記載の光ディスク装置。
  3.  前記制御部は、前記光源から前記マークを形成することが可能な強度で光が照射されてからの時間に基づいて、前記スパイク波形の消滅を判断する、請求項2に記載の光ディスク装置。
  4.  前記再生信号処理部は、前記所定値を前記スパイク波形部分のレベルよりも低く設定する、請求項3に記載の光ディスク装置。
  5.  前記光ヘッドは、所定のダイナミックレンジを超えるレベルの波形部分をカットして前記第1の再生信号を出力する、請求項1に記載の光ディスク装置。
  6.  前記光ヘッドは、前記スパイク波形の一部をカットして前記第1の再生信号を出力する、請求項5に記載の光ディスク装置。
  7.  前記光ヘッドは、所定のダイナミックレンジに収まるゲインを有する前記第1の再生信号を出力する、請求項6に記載の光ディスク装置。
  8.  前記再生信号処理部から出力された前記第2の再生信号を平均化して出力する平均化処理部をさらに備え、平均化された前記第2の再生信号に基づいて前記データの記録動作を制御する、請求項1に記載の光ディスク装置。
  9.  前記記録時の動作の制御は、サーボ制御、記録クロック制御、モータ制御および光パワー制御の少なくとも1つである、請求項1〜8のいずれかに記載の光ディスク装置。
  10.  光照射によって光ディスクに複数のマークを形成してデータを記録する方法であって、
     光源から放射されて前記光ディスクで反射した光を検出するステップと、
     検出した前記光に基づいて第1の再生信号を出力するステップと、
     前記第1の再生信号、および、第1の制御信号または第2の制御信号に基づいて第2の再生信号を生成するステップであって、前記第1の制御信号に応答して所定値に保持されたレベルを有する前記第2の再生信号を出力し、前記第2の制御信号に応答して前記第1の再生信号のレベルに応じたレベルを有する前記第2の再生信号を出力するステップと、
     前記第1の制御信号および前記第2の制御信号を生成するステップであって、個々のマークの形成前から形成途中までの第1の期間において前記第1の制御信号を生成し、前記第1の期間以後の第2の期間において前記第2の制御信号を生成するステップと
     前記第2の再生信号に基づいて前記データの記録動作を制御するステップと
     を包含するデータ記録方法。
  11.  光を放射する光源および光を検出する検出器を有する光ヘッドと、再生信号処理部と、制御部とを備え、データの記録時に光照射によって光ディスクに複数のマークを形成する光ディスク装置において実行可能なコンピュータプログラムであって、
     前記光源から光を放射するステップと、
     前記光ディスクで反射した光を前記検出器において検出するステップと、
     検出した前記光に基づいて前記光ヘッドから第1の再生信号を出力するステップと、
     前記再生信号処理部において、前記第1の制御信号に応答して所定値に保持されたレベルを有する前記第2の再生信号を生成し、前記第2の制御信号に応答して前記第1の再生信号のレベルに応じたレベルを有する前記第2の再生信号を生成するステップと、
     前記制御部において、前記第1の制御信号および前記第2の制御信号を生成するステップであって、個々のマークの形成前から形成途中までの第1の期間において前記第1の制御信号を生成し、前記第1の期間以後の第2の期間において前記第2の制御信号を生成するステップと、
     前記第2の再生信号に基づいて前記データの記録動作を制御するステップと
     を包含するコンピュータプログラム。
  12.  データの記録時に光照射によって光ディスクに複数のマークを形成する光ディスク装置に実装されて、第1の動作モードと第2の動作モードとを切り替え可能な制御プロセッサであって、
     前記光ディスク装置は、
     光を放射する光源および光を検出する検出器を有し、前記光源から放射されて前記光ディスクで反射した光を前記検出器において検出し、検出した光に基づいて第1の再生信号を出力する光ヘッドと、
     前記第1の再生信号、および、第1の制御信号または第2の制御信号に基づいて第2の再生信号を生成する再生信号処理部であって、前記第1の制御信号に応答して所定値に保持されたレベルを有する前記第2の再生信号を出力し、前記第2の制御信号に応答して前記第1の再生信号のレベルに応じたレベルを有する前記第2の再生信号を出力する再生信号処理部と
     を備えており、
     前記制御プロセッサは、
     前記第1の動作モードでは、個々のマークの形成前から形成途中までの第1の期間において前記第1の制御信号を生成し、前記第1の期間以後の第2の期間において前記第2の制御信号を生成し、
     前記第2の動作モードでは、前記第1の期間とは異なる第3の期間において前記第1の制御信号を生成し、前記第3の期間以後の第4の期間において前記第2の制御信号を生成する、制御プロセッサ。
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