以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態である複合機10の外観斜視図である。複合機10は、記録媒体の一例である記録用紙の両面に画像を記録可能なインクジェット方式のプリンタ部11を搭載し、画像が記録済である記録用紙の表面にローラが当接したとしても、その記録済の画像が乱されたり、ローラが汚れるのを抑制することができるものである。
複合機10は、通話機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能、スキャナ機能、及び、コピー機能などの各種の機能を有しており、プリンタ機能としては、記録用紙の両面に画像を記録する両面印刷機能を有している。
複合機10には、主に、下部に設けられるプリンタ部11と、上部に設けられるスキャナ部12と、正面上部に設けられる操作パネル40と、正面に設けられるスロット部43とが設けられている。
プリンタ部11は、正面に開口13が形成されており、この開口13から一部が露呈するようにして給紙トレイ20及び排紙トレイ21が上下2段に設けられている。給紙トレイ20は、記録用紙を積載するためのものである。この給紙トレイ20に積載された記録用紙は、プリンタ部11の内部へ給送され、所望の画像が記録された後に排紙トレイ21へ排出されるようになっている。
スキャナ部12は、いわゆるフラットベッドスキャナとして構成されている。原稿カバー30は、複合機10の天板として設けられており、その原稿カバー30の下には、図示しないプラテンガラスが配置されている。原稿は、プラテンガラス上に載置され、原稿カバー30に覆われた状態でスキャナ部12に読み取られる。
操作パネル40は、プリンタ部11やスキャナ部12を操作するためのものであって、各種操作ボタンや液晶表示部が設けられている。ユーザは、操作パネル40を操作することで、各種機能の設定や動作を実行することができる。例えば、記録媒体としての記録用紙の種類(普通紙又は葉書)の設定や、記録用紙の表面のみに画像を記録する片面記録モードの設定、表裏両面に画像を記録する両面記録モードの設定、解像度(ドラフトモード又はフォトモード)の設定を、操作パネル40を介して指示することができる。
スロット部43は、記憶媒体である各種小型メモリカードが装填され得るように構成されている。例えば、スロット部43に小型メモリカードが装填された状態でユーザーが操作パネル40の操作を行うことにより、小型メモリカードに記憶された画像データを読み出し、その読み出した画像データを記録用紙に記録することができる。
次に、図2を参照して、プリンタ部11の構成について概略する。図2は、プリンタ部11の構造を示す縦断面図である。プリンタ部11には、主に、記録用紙を搬送路23に給紙する給送部15と、給送部15から給紙される記録用紙を搬送する搬送路23と、搬送路23を介して搬送される記録用紙にインク滴を吐出することで記録用紙に画像を記録する記録部24と、記録用紙が排紙される排紙トレイ21と、排紙トレイ21と記録部24との間に配置され、裏面に画像を記録するために記録用紙の経路を切り換える経路切換部41と、経路切換部41により経路が切り換えられた記録用紙を、給送部15、搬送路23側に案内する反転案内部16とが設けられている。
給送部15には、記録用紙を積載する給紙トレイ20が設けられている。給紙トレイ20は、プリンタ部11の底側に配置され、上面が開放された箱状に構成されている。給紙トレイ20に積載された記録用紙は、給紙ローラ25によって搬送路23に給紙される。
そして、記録用紙の片面(表面)に画像を記録する場合には、給紙ローラ25によって給紙された記録用紙は、搬送路23に沿って下方から上方へUターンするように案内されて記録部24に至り、記録部24によって表面に画像が記録された後、排紙トレイ21に排出される。
一方、記録用紙の両面(表裏面)に画像を記録する場合には、表面に画像が記録された記録用紙を、表面が給紙ローラ25に当接するように、経路切換部41によって反転案内部16へ案内し、給紙ローラ25によって再び搬送路23に給紙し、記録部24によって記録媒体の裏面に画像を記録した後、排紙トレイ21へ排紙される。
次に、図3を参照して、プリンタ部11の構成について詳細に説明する。図3は、プリンタ部11の部分拡大断面図である。
給送部15には、給紙トレイ20の上側に、給紙ローラ25が配置されている。給紙ローラ25は、給紙トレイ20に積載された記録用紙を搬送路23へ給紙するものであり、給紙アーム26の先端に回転自在に軸支されている。給紙ローラ25は、LFモータ71(図9参照)を駆動源として動力伝達機構27を介して回転駆動される。この駆動伝達機構27は直線状に並ぶ複数のギアで構成されており、これらが噛合されることにより構成されている。
給紙アーム26は、その基端部が基軸28に支持されており、基軸28を回動中心軸として回転可能に構成されている。このため、給紙アーム26は、給紙トレイ20に対して接離可能に上下動することができる。また、給紙アーム26は、自重により又はバネ等に付勢されて下側へ回動付勢されている。このため、給紙アーム26は、通常において給紙トレイ20に接触し、給紙トレイ20が挿抜される際に上側へ退避するように構成されている。
給紙トレイ20から記録用紙を給紙する場合には、給紙アーム26が下側へ回動付勢され、給紙ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙に圧接された状態で、給紙ローラ25を回転し、給紙ローラ25のローラ面と記録用紙との間に発生する摩擦力により、最上位置の記録用紙が分離傾斜板22へ送り出される。
そして、記録用紙の先端が分離傾斜板22に当接すると、この記録用紙は上方へ案内され、矢印14に沿って搬送路23へ送り込まれる。給紙ローラ25によって最上位置の記録用紙が送り出される際に、その直下の記録用紙が摩擦や静電気の作用によって共に送り出される場合もあるが、この記録用紙は分離傾斜板22との当接によって制止される。
搬送路23は、分離傾斜板22から上方へ向かった後、正面側へU字状に曲がって形成されており、複合機10の背面側(図3左側)から正面側(図3右側)へと延び、記録部24を経て排紙トレイ21へ通じている。
搬送路23は、記録部24等が配設されている箇所以外では、外側ガイド面と内側ガイド面とによって区画形成されている。例えば、複合機10の背面側の搬送路23の湾曲部17は、外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19が本体フレーム53に固定されることにより形成されている。この場合、外側ガイド部材18が外側ガイド面を形成し、内側ガイド部材19が内側ガイド面を形成する。また、外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19は、所定間隔をあけて対向配置されている。
搬送路23が曲がっている箇所には、回転コロ29が設けられている。この回転コロ29は、回転自在に構成され、回転コロ29のローラ面は、外側ガイド面に露出されている。よって、搬送路23が曲がっている箇所においても、記録用紙が円滑に搬送される。
記録部24は、搬送路23の途中に配置されており、キャリッジ38及び記録ヘッド39とを備えている。記録ヘッド39は、キャリッジ38に搭載され、ガイドレール105、106に沿って主走査方向(図3紙面垂直方向)に往復動するように構成されている。
具体的には、キャリッジ38は、CRモータ95(図9参照)を駆動源とし、例えばベルト駆動機構を介してスライドされる。なお、複合機10の内部には、記録ヘッド39とは独立してインクカートリッジ(図示せず)が配置されている。このインクカートリッジからインクチューブを通じてインクが記録ヘッド39に供給される。そして、キャリッジ38が往復動される間に、記録ヘッド39からインクが微小なインク滴として吐出され、これにより、プラテン42上を搬送される記録用紙に画像が記録される。
複合機10の本体フレーム53には、キャリッジ38の位置を検出するリニアエンコーダ85(図9参照)が設けられている。このリニアエンコーダ85のエンコーダストリップがガイドレール105、106に配設されている。エンコーダストリップは、光を透過させる透光部及び光を遮断する遮光部を備えており、その透光部及び遮光部は、エンコーダストリップの長手方向に所定ピッチで交互に配置され所定のパターンを形成している。
また、キャリッジ38の上面には、透過型センサである光学センサ107が設けられている。この光学センサ107は、エンコーダストリップに対応する位置に設けられており、キャリッジ38と共にエンコーダストリップの長手方向に沿って往復動し、その往復動の際にエンコーダストリップのパターンを検出するものである。
さらに、キャリッジ38には、プラテン42上の記録用紙の存在の有無を検出するメディアセンサ86(図9参照)が設けられている。メディアセンサ86は、光源及び受光素子を備えており、光源から発せられた光は、プラテン42上に搬送された記録用紙に照射される一方、プラテン42上まで記録用紙が搬送されていない場合にはプラテン42に照射される。そして、記録用紙又はプラテン42に照射された光は反射され、その反射光を受光素子が受光しその受光量に応じた出力を行う。
記録部24よりも搬送路23の上流側には、搬送ローラ60及びピンチローラ31が設けられている。これらは対をなし、ピンチローラ31は、搬送ローラ60の下側に圧接するように配置されている。搬送ローラ60及びピンチローラ31は、搬送路23を搬送される記録用紙を狭持してプラテン42上へ送るものである。
また、記録部24よりも搬送路23の下流側には、排紙ローラ62及び拍車ローラ63が設けられている。排紙ローラ62及び拍車ローラ63は、記録済みの記録用紙を狭持して搬送路23からさらに搬送方向下流側へ(排紙トレイ21側へ)搬送するものである。
搬送ローラ60及び排紙ローラ62は、LFモータ71を駆動源として駆動され、搬送ローラ60及び排紙ローラ62の駆動は同期しており、画像記録時に間欠駆動される。これにより、記録用紙は所定の改行幅で送られながら画像記録がなされる。
なお、搬送ローラ60には、ロータリーエンコーダ87(図9参照)が設けられている。このロータリーエンコーダ87は、搬送ローラ60と共に回転するエンコーダディスク(図示せず)のパターンを光学センサで検出し、この光学センサが検出した信号に基づいて、搬送ローラ60及び排紙ローラ62の回転が制御される。また、画像記録の前後においては、搬送ローラ60及び排紙ローラ62は連続駆動され、迅速な用紙搬送が実現されている。
拍車ローラ63は、記録済みの記録用紙を圧接するものであり、記録用紙に記録された画像が劣化しないように、拍車ローラ63のローラ面には、拍車状に凹凸が形成されている。拍車ローラ63は、排紙ローラ62と接離する方向にスライド移動可能に設けられており、排紙ローラ62に圧接するように付勢されている。なお、拍車ローラ63を排紙ローラ62に付勢する手段は、典型的にはコイルバネが採用される。
図3では図示されていないが、本実施形態では、複数の拍車ローラ63が備えられており、各拍車ローラ63は、記録用紙の搬送方向と直交する方向、すなわち記録用紙の幅方向に均等に並設されている。拍車ローラ63の数は特に限定されるものではないが、本実施形態では8個に設定されている。
排紙ローラ62と拍車ローラ63との間に記録用紙が進入すると、拍車ローラ63は、記録用紙の厚み分だけコイルバネの付勢力に抗して退避する。記録用紙は排紙ローラ62に圧接され、排紙ローラ62の回転力が確実に記録用紙へ伝達される。また、ピンチローラ31も搬送ローラ60に対して同様に弾性付勢されている。したがって、記録用紙は、搬送ローラ60に圧接され、搬送ローラ60の回転力が確実に記録用紙へ伝達される。
搬送路23の搬送ローラ60よりも上流側には、レジセンサ102(図9参照)が設けられている。このレジセンサ102は、検出子及び光学センサを備えており、検出子は、搬送路23を横切るように配置され、搬送路23に出没可能である。検出子は、常時搬送路23に突出するように弾性付勢されており、搬送路23を搬送される記録用紙が検出子に当接することにより、検出子が搬送路23へ没入する。検出子の出没により、上記光学センサがON又はOFFされる。したがって、記録用紙が検出子を出没させることによって、搬送路23における記録用紙の先端又は後端の位置が検出される。
次に、図4及び図5を参照して、経路切換部41について説明する。図4及び図5は、経路切換部周辺を拡大して示す拡大断面図であり、図5は、図4に示す状態の経路切換部41が、中心軸52を回転中心として回動した状態を示している。
経路切換部41は、記録部24よりも下流側に配置されている。具体的には、経路切換部41は、記録部24よりも搬送路23の下流側部位36、すなわち搬送路23と反転案内部16との境界部分における搬送方向下流側に配置されている。経路切換部41には、ローラ対を構成する第1ローラ45及び第2ローラ46と、第2ローラ46に並設された補助ローラ47とが設けられている。
第1ローラ45及び第2ローラ46は、排紙ローラ62及び拍車ローラ63から送られた記録用紙103を狭持するものである。第1ローラ45及び第2ローラ46は、記録用紙103を搬送路23に沿ってさらに搬送方向下流側へ(排紙トレイ21側へ)搬送可能であると共に、記録用紙を反転案内部16に搬送可能である。
第2ローラ46及び補助ローラ47は、フレーム48に取り付けられている。このフレーム48は、複合機10の左右方向(図3の紙面垂直方向)に延びている(図6参照)。フレーム48の断面形状は、略L字状に形成されており、これにより、フレーム48の所要の曲げ剛性が確保されている。
フレーム48は、一体化された8つのサブフレーム49を備えている(図6参照)。各サブフレーム49は、複合機10の中心を基準として上記左右方向に対称に配置されている。各サブフレーム49は、それぞれ一つの第2ローラ46及び補助ローラ47を軸支している。従って、フレーム48は、それぞれ8つの第2ローラ46及び補助ローラ47を備えていることになり、各第2ローラ46及び補助ローラ47は、記録用紙の搬送方向と直交する方向、すなわち記録用紙103の幅方向に均等に並設されている。
第2ローラ46及び補助ローラ47は、各サブフレーム49に設けられた支持軸50、51に軸支され、その支持軸50、51の回りに回転自在に構成されている。本実施形態では、第2ローラ46及び補助ローラ47は、拍車状に形成されている。補助ローラ47は、第2ローラ46よりも所定距離だけ搬送方向上流側に配置されている。各第2ローラ46は、図示しないバネにより下方に付勢されており、常に第1ローラ45に弾性的に押し付けられている。
第1ローラ45は、所要の駆動伝達機構を介してLFモータ71と連結されており、そのLFモータ71を駆動源として回転駆動される。また、第1ローラ45は、中心軸52を備えており、その中心軸52は、複合機10の本体フレーム53側に支持されている。
第1ローラ45の上方には、第2ローラ46が載置されている。第1ローラ45は、単一の細長円柱状に形成されていてもよく、また、8つのローラがそれぞれ各第2ローラ46と対向配置されていてもよい。
なお、第1ローラ45は、LFモータ71によって正転及び逆転され、記録用紙を排紙トレイ21側および反転案内部16側に搬送可能に構成されている。即ち、搬送路23に沿って搬送された記録用紙103は、第1ローラ45と第2ローラ46とによって挟持される。そして、第1ローラ45が正転すると、記録用紙103は第1ローラ45と第2ローラ46とによって挟持されたまま搬送方向下流側へ搬送され、排紙トレイ21に排出される。他方、第1ローラ45が逆転すると、記録用紙は第1ローラ45と第2ローラ46とによって挟持されたまま搬送方向上流側へ戻される。
本実施形態では、第1ローラ45の外径は、排紙ローラ62の外径よりも若干大きく設定されている。すなわち、両者が同回転速度で駆動された場合は、第1ローラ45の周速度の方が排紙ローラ62の周速度よりも大きくなる。そのため、記録用紙103が排紙ローラ62及び第1ローラ45の双方によって搬送されるときは、記録用紙103は常に搬送方向に引っ張られるようになっている。
ここで、図6乃至図8を参照して、上述したように構成された経路切換部41の駆動機構44について説明する。図6は、経路切換部41の斜視図である。図7は、図6に示す矢印VII方向矢視図である。図8は、図6に示す矢印VIII方向矢視図である。駆動機構44は、経路切換部41を図4に示す状態から図5に示す状態に駆動したり、図5に示す状態から図4に示す状態に復帰駆動させるためのものである。
図6に示すように、駆動機構44には、中心軸52に設けられた従動ギア54と、これと噛み合う駆動ギア55と、駆動ギア55と連結されたカム57とが設けられている。
カム57は、回転駆動軸58の一端に連結されており、回転駆動軸58は、LFモータ71を駆動源として駆動される。図8に示すように、カム57には案内溝59が設けられている。この案内溝59は、回転駆動軸58の回りに環状に形成されている。具体的には、案内溝59には、回転駆動軸58を中心とする小円弧部69及び大円弧部70と、小円弧部69の一端及び大円弧部70の一端を連結する連結溝72と、小円弧部69の他端及び大円弧部70の他端を連結する連結溝73とが設けられている。
図6及び図7に示すように、従動ギア54は、歯部64とフランジ部65とから構成されている。歯部64は、中心軸52を中心とするインボリュート歯車として構成されている。歯部64は、中心軸52に嵌め込まれ、中心軸52の回りに回転することができるようになっている。また、フランジ部65は、歯部64と一体的に形成されており、フレーム48と連結されている。したがって、歯部64が回転すると、中心軸52を回転中心としてフレーム48、サブフレーム49、第2ローラ46及び補助ローラ47が一体的に回転するようになっている。
駆動ギア55は、支持軸66に回動自在に支持されている。この支持軸66は、本体フレーム53に設けられている。駆動ギア55は、歯部67とアーム68とによって構成されている。歯部67は、上記支持軸66を中心とするインボリュート歯車として構成されており、上記歯部64と噛み合っている。アーム68には、図8に示すピン56が突設されており、ピン56は、案内溝59に嵌合しており、案内溝59に沿ってスライド自在となっている。そして、歯部67が回転することにより歯部64が回転し、その結果、中心軸52を回転中心としてフレーム48、サブフレーム49、第2ローラ46及び補助ローラ47が一体的に回転する。
図8が示すように、カム57が回転すると、ピン56は案内溝59に沿って相対的に移動し、特に、連結溝72、73に沿ってスライドするときは、ピン56は、カム57の径方向に移動することになる。このため、図8においてカム57が時計回り(矢印82の方向)に回転されたときは、ピン56が大円弧部70、連結溝72及び小円弧部69に順に移動する。
従って、駆動ギア55は、図7において時計回りに回転する。その結果、従動ギア54は、図7において中心軸52を中心として反時計回りに回転する。前述のように、従動ギア54はフレーム48と連結されているから、従動ギア54が回転することにより、中心軸52を回転中心としてフレーム48、サブフレーム49、第1ローラ46及び補助ローラ47が一体的に回転する。尚、この状態から上述したのとはカム57が逆回転すれば、当然に、中心軸52を回転中心としてフレーム48、サブフレーム49、第1ローラ46及び補助ローラ47が一体的に回転して、元の状態に復帰する。
本実施形態において、図4が示すような経路切換部41の姿勢を「被記録媒体排出姿勢」、図5が示すような経路切換部41の姿勢を「被記録媒体反転姿勢」とすれば、記録用紙の表面にのみ画像が記録される場合(片面記録)には、経路切換部41が常時被記録媒体排出姿勢となり、搬送路23に沿って搬送される記録用紙は、そのまま排紙トレイ21側へ送られる(図4参照)。
一方、経路切換部41が被記録媒体反転姿勢に変化したときは、図5に示すように、記録用紙103を反転案内部16へ案内されるようになっている。具体的には、記録用紙の表裏両面に画像が記録される場合、まず、経路切換部41が被記録媒体排出姿勢を維持し(図4参照)、表面に画像記録された記録用紙が搬送方向下流側へ送られる。その後、経路切換部41が被記録媒体排出姿勢(図4参照)から被記録媒体反転姿勢(図5参照)に変化し、補助ローラ47が記録用紙103を押さえつけて反転案内部16側へ案内する。
再び、図4に戻り、説明を続ける。上述したように構成された経路切換部41の下流側には、ガイド部76が配置されている。ガイド部76は、第1ローラ45及び第2ローラ46よりも搬送方向下流側に設けられている。本体フレーム53に支持板75が取り付けられており、この支持板75にガイド部76が設けられている。
このガイド部76には、支持板75の下面に固定された基部77と、基部77に支持されたガイドローラ78とが設けられている。基部77は支軸79を備えており、ガイドローラ78は、この支軸79に回転自在に軸支されている。なお、本実施形態では、このガイドローラ78は拍車状に形成されている。
このガイド部76は、上記第1ローラ45及び第2ローラ46が逆転して記録用紙103が反転案内部16へ送られているときに記録用紙103の記録面に接触する。また、ガイド部76は、第1ローラ45及び第2ローラ46が正転して記録用紙103が反転案内部16へ送られているときは、記録用紙103に接触しない。具体的には、ガイド部76は、第1ローラ45及び第2ローラ46の接点と、排紙ローラ62及び拍車ローラ63の接点とを結ぶ仮想線と接触しない位置に設けられている。
記録用紙103が搬送方向の向きを変えて反転案内部16に送られる場合には、記録用紙103のうち第1ローラ45及び第2ローラ46よりも下流側の部分は、記録用紙103の剛性によって反転案内部16と平行な方向に向きが変えるよう作用する。しかし、ガイドローラ78が記録用紙103の記録面に当接し、この記録用紙103を撓ませる。これにより、記録用紙103は、第1ローラ45及び第2ローラ46に巻き付けられるため、安定した搬送力を得ることができ、記録用紙103は、確実に反転案内部16に送られる。
再び、図3に戻って説明を続ける。反転案内部16は、搬送路23に接続されており、記録部24よりも搬送路23の下流側部位36に連続している。反転案内部16は、表面に画像が記録された記録用紙を再び給紙トレイ20上に導く反転経路を構成している。この反転経路は、第1ガイド面32と第2ガイド面33とによって区画形成されている。
本実施形態では、第1ガイド面32及び第2ガイド面33は、それぞれ、複合機10の本体フレーム53の内部に配置されたガイド部材34及びガイド部材35の表面により形成されている。各ガイド部材34、35は、所定間隔をあけて対向配置されており、第1ガイド面32及び第2ガイド面33は、搬送路23の下流側部位36から給紙ローラ25の方へ斜め下方に延びている。
なお、本実施形態では、反転案内部16は、記録用紙を給紙トレイ20上に戻すように構成されているが、これに限定されるものではない。反転案内部16は、要するに搬送路23の下流側部位36と上流側部位37とを接続することができれば十分であり、したがって、記録用紙は、上流側部位37よりも給紙トレイ20側に戻されればよい。
次に、図9を参照して、複合機10の制御部84の構成について説明する。図9は、複合機10の制御部84の構成を示すブロック図である。制御部84は、プリンタ部11のみでなくスキャナ部12も含む複合機10の全体動作を制御するものであるが、スキャナ部12についての詳細な説明は省略する。
制御部84は、図に示すように、CPU(Central Processing Unit)88、ROM(Read Only Memory)89、RAM(Random Access Memory)90、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納されるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)91を主とするマイクロコンピュータとして構成されており、バス92を介してASIC(Application Specific Integrated Circuit)93に接続されている。
ROM89には、複合機10の各種動作を制御するためのプログラム等が格納されている。例えば、図11に示す両面印刷処理を実行させる印刷処理プログラム89aが格納されている。RAM90は、CPU88が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記録する記憶領域又は作業領域として使用される。また、RAM90には、インク量メモリ90aが割り当てられている。
インク量メモリ90aは、記録用紙103の裏面を印刷する場合に、給紙ローラ25と当接することになる記録用紙103の当接領域Rを、記録用紙103の搬送方向に沿って所定ピッチで区画した各領域毎に記録ヘッド39から吐出されたインク量を記録するものである。
ここで、図10を参照して、記録用紙103の当接領域Rについて説明する。図10は、表面を向いた記録用紙103の平面図である。尚、図10では、記録ヘッド39とプラテン42との間を記録用紙103が搬送される方向を副走査方向として図示し、図中下方の記録用紙103の端部を表面先端(裏面後端)、図中上方の記録用紙103の端部を表面後端(裏面先端)として図示している。
記録用紙103の当接領域Rは、記録用紙103の裏面を印刷する場合に、給紙ローラ25と当接することになる領域であり、図10に示すように、給紙ローラ25と一致する幅で、副走査方向に沿って帯状に形成される領域である。また、当接領域Rは、副走査方向に沿って所定ピッチで複数の領域r1、r2、・・・、rn−1、rnに区画されており、この各領域毎に記録ヘッド39から吐出されたインク量が検出され、各領域毎に吐出されたインク量がインク量メモリ90aに記憶される。
尚、本実施形態では、当接領域Rの各領域に吐出したインク量は、各領域に吐出したインクの吐出回数をカウントして算出する。但し、インクの吐出量の検出方法としては、これに限定されるものではなく、例えば、インク消費量、データ量からインク吐出量を検出するように構成しても良い。
また、当接領域Rを区画する所定ピッチは、第1ローラ45及び第2ローラ46によって記録用紙103を搬送できる最小の送りピッチと同じピッチに設定されているので、記録用紙103を停止させる位置を細かく制御することができ、適正な位置で記録用紙103を停止させることができる。
ASIC93は、CPU88からの指令に従い、LFモータ71に通電する相励磁信号等を生成して、該信号をLFモータ71の駆動回路94に付与し、該駆動回路94を介して駆動信号をLFモータ71に通電することにより、LFモータ71の回転制御を行っている。
駆動回路94は、給紙ローラ25、搬送ローラ60、排紙ローラ62、第1ローラ45などに接続されたLFモータ71を駆動させるものであり、ASIC93からの出力信号を受けて、LFモータ71を回転するための電気信号を生成する。該電気信号を受けてLFモータ71が回転し、該LFモータ71の回転力がギアや駆動軸等からなる周知の駆動機構を介して、給紙ローラ25、搬送ローラ60、排紙ローラ62、第1ローラ45へ伝達される。
この複合機10では、LFモータ71は、給紙トレイ20からの記録用紙の給紙のための駆動源となっており、また、プラテン42上に位置する記録用紙の搬送や記録済みの記録用紙を排紙トレイ21へ排出するための駆動源となっており、更には、所定の動力伝達機構を介して排紙ローラ62を駆動する駆動源にもなっている。
即ち、LFモータ71は、搬送ローラ60と、駆動伝達機構27を介して給紙ローラ25と、所定の動力伝達機構を介して排紙ローラ62とを駆動する。なお、所定の動力伝達機構は、例えば歯車列により構成してもよいし、組付スペースの関係上、タイミングベルト等を使用してもよい。
また、ASIC93は、CPU88からの指令に従い、CR(キャリッジ)モータ95に通電する相励磁信号等を生成して、該信号をCRモータ95の駆動回路96に付与し、該駆動回路96を介して駆動信号をCRモータ95に通電することにより、CRモータ95の回転制御を行っている。
駆動回路96は、上記キャリッジ38に接続されたCRモータ95を駆動させるものであり、ASIC93からの出力信号を受けて、CRモータ95を回転するための電気信号を生成する。該電気信号を受けてCRモータ95が回転し、該CRモータ95の回転力がキャリッジ38へ伝達されことによりキャリッジ38が往復動される。
駆動回路97は、記録ヘッド39から所定のタイミングでインクを記録用紙103に対して選択的に吐出させるものであり、CPU88から出力される駆動制御手順に基づいてASIC93において生成された出力信号を受け、記録ヘッド39を駆動制御する。
ASIC93には、スキャナ部12や、複合機10の操作指示を行うための操作パネル40、各種小型メモリカードが挿入されるスロット部43、パソコン等の外部機器とパラレルケーブルやUSBケーブルを介してデータの送受信を行うためのパラレルインタフェース(I/F)98及びUSBインタフェース(I/F)99、ファクシミリ機能を実現するためのNCU(Network Control Unit)100やモデム(MODEM)101が接続されている。
その他、ASIC93には、給紙ローラ25から搬送ローラ60近傍に記録用紙103が搬送されたことを検出するレジセンサ102、LFモータ71により駆動された各ローラの回転量を検出するロータリエンコーダ87、キャリッジ38の移動量を検出するためのリニアエンコーダ85、プラテン42上の記録用紙103の存在の有無を検出するメディアセンサ86が接続されている。
ここで、複合機10の制御部84で行われる処理を簡単に説明する。複合機10の電源がオンされると、キャリッジ38は、一旦そのスライド端まで移動され、リニアエンコーダ85による検出位置が初期化される。キャリッジ38が初期位置からスライド移動すると、キャリッジ38に設けられた光学センサ107がエンコーダストリップのパターンを検出する。
制御部84は、光学センサ107の検出に基づくパルス信号数によって、キャリッジ38の移動量を把握し、この移動量に基づいてキャリッジ38の往復動を制御すべく、CRモータ95の回転を制御する。また、制御部84は、レジセンサ102の出力信号及びロータリーエンコーダ87が検出するエンコーダ量に基づいて記録用紙103の先端又は後端の位置並びに記録用紙103の搬送量を把握する。
制御部84は、記録用紙103の先端がプラテン42の所定の位置に到達すると、記録用紙103を所定の改行幅ごとに間欠搬送すべくLFモータ71の回転を制御する。この改行幅は、画像記録の条件として入力された解像度等に基づいて設定される。特に高解像度記録、具体的には、縁無し写真記録が行われる場合においては、メディアセンサ86による記録用紙103の存在の検出と、ロータリーエンコーダ87が検出するエンコーダ量とに基づいて、制御部84が記録用紙103の先端、後端を正確に検知する。
さらに、メディアセンサ86による記録用紙103の存在の検出と、リニアエンコーダ85が検出するエンコーダ量とに基づいて、制御部84が記録用紙103の両端の位置を正確に検知する。そして、このようにして検知された記録用紙103の先端、後端及び両端の位置に基づいて、制御部84は、インクジェット記録ヘッド39によるインク滴の吐出を制御する。
次に、図11を参照して、複合機10のCPU88で実行される両面印刷処理について説明する。図11は、複合機10のCPU88で実行される両面印刷処理を示したフローチャートである。尚、図11の両面印刷処理では、両面印刷が指示された場合として説明する。図12乃至図15は、両面印刷時における記録用紙103の状態を時系列順に示す断面図である。
この両面印刷処理は、印刷実行の指示が入力されると、給紙ローラ25を駆動して、給紙トレイ20から記録用紙103を矢印14の方向に沿って搬送路23内に搬送する。搬送路23内において、記録用紙103は、給紙ローラ25が当接した面とは反対の面(表面)が記録ヘッド39のノズル形成と対向するように反転される。
そして、記録用紙103が搬送ローラ60及びピンチローラ31に到達すると、搬送ローラ60及びピンチローラ31で記録用紙103を挟持して、搬送ローラ60及びピンチローラ31によって記録用紙103を記録ヘッド39とプラテン42との間に搬送し、記録ヘッド39と対向する表面への画像記録を開始する。また、表面への画像記録を開始した場合には、表面に吐出したインク吐出量の検出を開始する(S1)。尚、検出したインク量は図10に示す当接領域Rの各領域毎にインク量メモリ90aに記憶される。
再び、図11に戻り、説明を続ける。表面への画像記録、インク量の検出を開始した場合、搬送ローラ60及びピンチローラ31によって記録用紙103を間欠的に搬送し、記録用紙103が停止している状態でキャリッジ38をスライドさせて記録ヘッド39によって記録用紙103の表面に画像を記録する。
また、記録用紙103が排紙ローラ62及び拍車ローラ63に到達すると、排紙ローラ62及び拍車ローラ63を駆動し、排紙ローラ62及び拍車ローラ63によって記録用紙103を更に下流側に搬送する。更に、記録用紙103が第1ローラ45及び第2ローラ46に到達すると、第1ローラ45及び第2ローラ46を駆動し、第1ローラ45及び第2ローラ46によって記録用紙103を更に下流側に搬送する。この間に、記録用紙103の表面への画像記録と、インク吐出量の検出とを終了する(S2)。
そして、図12(a)に示すように、記録用紙103が、第1ローラ45及び第2ローラ46に挟持され、且つ、上流側の端部が排紙ローラ62の下流側に延びる第1ガイド面32に支持されている状態となる第1停止位置まで第1ローラ45及び第2ローラ46によって記録用紙103を搬送し、第1停止位置で第1ローラ45及び第2ローラ46の駆動を一端停止する(S3)。
その後、図12(a)に示すように、被記録媒体排出姿勢にある経路切換部41を、図12(b)に示すように、被記録媒体保持姿勢へ変化させるように、経路切換部41を駆動する(S4)。尚、本実施形態において、被記録媒体保持姿勢とは、図12(b)に示すように、経路切換部41を、被記録媒体排出姿勢(図4,図12(a)参照)と、被記録媒体反転姿勢(図5,図13(c)参照)との中間位置に回動させた姿勢である。
経路切換部41を図12(a)に示す被記録媒体排出姿勢から、図12(b)に示す記録用紙保持姿勢へ変化させる場合には、第1ローラ45の支持軸52を中心として経路切換部41を回動する。すなわち、第2ローラ46は、記録用紙103を挟持したままで第1ローラ45の周面上を転動し、補助ローラ47が記録用紙103を記録用紙103の表面側から反転案内部16に向けて押圧する。
そして、経路切換部41を図12(b)に示す被記録媒体保持姿勢へ変化させた後、その状態のままで第1停止時間T1停止させる(S5)。これにより、記録用紙103は、図12(b)に示すように、経路切換部41の補助ローラ47によって記録用紙103の表面側から反転案内部16に向けてくの字状に屈曲した状態となり、この状態で第1停止時間T1停止されるので、記録用紙103にカール癖を付けることができる。よって、記録用紙103が浮き上がるのが抑制され、表面の後端(裏面の先端)が給紙ローラ25に誘導されやすくなり、表面に画像が記録された記録用紙103の先端が、給紙ローラ25に衝突してジャムが発生するのを抑制することができる。
その後、第1停止時間T1が経過するまで待機し(S6:No)、第1停止時間T1が経過した場合には(S6:Yes)、第2停止位置を決定する(S7)。第2停止位置は、図10に示す当接領域Rのうちのいずれかの領域と、給紙ローラ25とが当接している位置であり、本実施形態では、インク量メモリ90aに記憶されているインク量が最も少ない領域と、給紙ローラ25とが当接する位置を第2停止位置として決定する(S7)。
そして、第2停止位置を決定すると、図12(b)に示すように、被記録媒体保持姿勢にある経路切換部41を、図13(c)に示すように、被記録媒体反転姿勢へ変化させるように、経路切換部41の駆動を再開する(S8)。
経路切換部41を被記録媒体反転姿勢へ変化させるときは、上述したのと同様に、第1ローラ45の中心軸52を中心として経路切換部41を回動し、更に、補助ローラ47によって記録用紙103を押圧する。これにより、記録用紙103が補助ローラ47によって表面側から反転案内部16に向けて押圧され、記録用紙103は、図13(c)に示すように、記録用紙103の上流側に位置する先端部(表面の後端、裏面の先端)が反転案内部16側に進入する。
そして、第1ローラ45及び第2ローラ46を逆転駆動し、記録用紙103を反転案内部16内において給紙ローラ25に向けて搬送する(S9)。その後、図13(d)に示すように、記録用紙103の先端部(表面の後端、裏面の先端)が、給紙ローラ25に到達すると、給紙ローラ25を駆動する(S10)。
但し、給紙ローラ25は、記録用紙103が給紙ローラ25に到達してから所定時間経過後に駆動し、この間は、第1ローラ45及び第2ローラ46を逆転させ続ける。これにより、記録用紙103の斜行が整えられ、給紙ローラ25による再給紙性を向上させることができる。
こうして、給紙ローラ25を駆動して、給紙ローラ25と、第1ローラ45及び第2ローラ46とによって、例えば、図14(e)に示すように、記録用紙103を第2停止位置まで搬送し(S11)、第2停止位置で給紙ローラ25と、第1ローラ45及び第2ローラ46との駆動を第2停止時間T2停止する(S12)。
この第2停止時間T2は、記録用紙103にカール癖を付けるのに必要な時間であり、記録用紙103を搬送路23においてU字状に変形させた状態で第2停止時間T2停止させると、記録用紙103に所望のカール癖を付けることができる。
これにより、ジャムを発生させることなく記録用紙103を搬送ローラ60及びピンチローラ31に導入でき、また、記録ヘッド39とプラテン42との間に記録用紙103を円滑に搬送できる。更に、このカール癖付けは、搬送路23内において、記録用紙23をU字状に変形させた状態で第2停止時間T2停止させることで行われるので、カール癖付けのために、新たな物理的な構成を搭載する必要がなく、装置を大型化させることなく、且つ、簡単な構成で記録用紙103にカール癖を付けることができる。また、記録用紙103を第2停止時間T2停止させている間に、給紙ローラ25を通過していない記録用紙103を乾燥させることができる。
更に、第2停止位置では、S7で決定したように、当接領域Rのうちインク量が最も少ない当接領域と、給紙ローラ25とが当接している状態となる。よって、カール癖を付けるために、インク量とは無関係に予め決まった固定位置で記録用紙103を停止させるよりも、画像が印刷されている記録用紙103の表面と給紙ローラ25とが当接することで記録用紙103の表面に印刷された画像が乱されたり、表面に吐出されたインクが給紙ローラ25に付着して給紙ローラ25が汚れるのを抑制することができる。
こうして、第2停止位置で記録用紙103を第2停止時間T2停止させると(S13:Yes)、その後は、図14(f)に示すように、搬送路23において、記録用紙103は給紙ローラ25が当接した面(表面)とは反対の面(裏面)が記録ヘッド39のノズル形成と対向するように反転され、裏面に対して記録ヘッド39によって画像記録を開始する(S14)。
そして、図15(g)に示すように、記憶用紙103の先端部(裏面の先端)が経路切換部41に進入する前に、経路切換部41を被記録媒体反転姿勢から、再び被記録媒体排出姿勢に変化するように経路切換部41を駆動する(S15)。その後、記録用紙103の裏面への画像記録が終了し(S16)、両面に画像が記録された記録用紙103を第1ローラ45及び第2ローラ46によって搬送方向下流側へ搬送する。このとき、第1ローラ45及び第2ローラ46は正転し、記録用紙103は排紙トレイ21へ排紙される(S17)。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
上述した実施形態では、給紙ローラ25が記録用紙103の中央部分と当接する場合について説明したが、例えば、給紙ローラ25または給紙ローラ25とは異なる別のローラが表面に画像が印刷された記録用紙103の両縁部に沿って記録用紙103と当接するように並列に2つ設置されている場合には、図10に対応する図16に示すように、記録用紙103の両縁部に沿った領域を当接領域R1,当接領域R2とし、その当接領域R1,R2を記録用紙103の搬送方向に沿って所定ピッチで複数の領域に区画し、各領域のうちで最も吐出されたインク量が少ない領域と給紙ローラ25または給紙ローラ25とは異なる別のローラとが当接する位置で記録用紙103を停止させるように構成しても良い。かかる場合であっても上述したのと同様な効果を奏することができる。
また、本実施形態では、記録用紙を第1停止位置で第1停止時間T1、第2停止位置で第2停止時間T2停止させる場合について説明したが、第1停止位置、第2停止位置での停止時間を記録用紙103の種類、温度、湿度等の環境条件で変更するように構成しても良い。例えば、葉書等のように普通紙に比べて剛性の高い記録用紙103の場合には、カール癖を付けるのに普通紙よりも短時間で済むので、第1停止位置、第2停止位置での停止時間を普通紙よりも短くし、逆に、薄紙のように普通紙よりも剛性の低い記録用紙103の場合には、カール癖を付けるのには普通紙よりも長時間要するので、第1停止位置、第2停止位置での停止時間を普通紙よりも長くするように構成しても良い。
また、例えば、湿度が高い程、インクが乾燥し難いので、第1停止位置、第2停止位置での停止時間を長くし、逆に、湿度が低い程、インクが乾燥し易いので、第1停止位置、第2停止位置での停止時間を短くするように構成しても良い。このように構成することで、より確実に、カール癖を付けることができると共に、給紙ローラ25に画像が転写されるのを抑制することができる。